JP2007260719A - 金属管端矯正設備および金属管端矯正方法 - Google Patents

金属管端矯正設備および金属管端矯正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた寸法精度で金属管端部の内径を矯正する
【解決手段】金属管1の端部を拡管加工するプラグ3と、金属管1を固定するチャック2と、プラグ3および/またはチャック2の位置を移動させる移動手段とを備え、プラグ3は、その横断面が円であり、先端から順にテーパ部31と等径部32とで連続的に形成され、テーパ部31の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものであり、チャック2は金属管1を固定する位置の変更が可能であることを特徴とする金属管端矯正設備。
22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ・・・(1)
R2≧R1 ・・・(2)
【選択図】 図1

Description

本発明は、継目無管または溶接管からなる金属管端部の内径寸法を矯正する設備および矯正方法に関する。
ラインパイプは、通常、現地において他のラインパイプと溶接され、接続されるので、管端の寸法精度、特に内径寸法精度に優れることが求められる。また、油井管は、通常、端部をねじ加工して、これを締め付けることによりつなぎ合わされる。この場合も、管端の寸法精度に優れることが求められる。
金属管の端部の内径寸法を向上させる方法としては、エキスパンド装置を用い、金属管端部を拡管しつつ、寸法を矯正する方法が知られている。
図4は、従来のエキスバンド装置を用いた金属管端部の矯正方法を説明する模式図である。従来の管端矯正方法においては、まず、図4(a)に示すように、矯正の対象である金属管1をチャック2で固定した状態で、シリンダ4に接続されたプラグ5を図中矢印の方向に移動させる。次に、図4(b)に示すように、プラグ5を金属管1の端部における予め設定した位置まで押し込み、金属管端部の内径寸法を矯正する。その後、図4(c)に示すように、プラグ5を図中矢印の方向に移動させ、金属管1から抜き出す。
ここで、従来のエキスパンド装置に用いられるプラグは、断面が円形であり、軸方向の先端から後端(図中左側の端部から図中右方向の端部)に向かって徐々に径が大きくなるテーパ部および径が変動しない等径部により連続的に構成される。そして、テーパ部のテーパ角は一定である。
特開2001−113329号公報
上記従来の管端矯正方法では、金属管内部の内径が周方向、軸方向双方でばらつきが生じていた。これは下記の理由による。
図5は、従来の管端矯正方法における問題点を説明する模式図である。図5に示すように、金属管1はプラグ5により拡管されるので、内径はDinからD10となる。すなわち、金属管1は、プラグ5のテーパ部51で拡管されるが、このとき、等径部52の外径D1より金属管1の内径D10の方が大きくなるという現象(以下、オーバーシュートという)が生じる。
オーバーシュートが生じると、金属管1内面は、等径部52と接触しないため、等径部52から力(反力)を受けない。このため、金属管1の内径にばらつきが生じ、横断面は真円にならないのである。また、金属管の内径は軸方向でも不均一となる。
金属管の内径のばらつきを生じさせないためには、プラグにより金属管端部の内径が目標内径にまで拡張される前に、オーバーシュートを生じさせ、かつオーバーシュートを終了させればよい。
本発明者らは、このような問題を解決すべく、特願2004−273836において、図1〜3に示すプラグを提案している。
図1に示すプラグ3は、その横断面が円であり、先端から順にテーパ部31と等径部3且とで連続的に形成され、テーパ部31の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものである。
22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ・・・(1)
R2≧R1 ・・・(2)
但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
D1:テーパ部後端の外径であり、かつ等径部の外径(mm)
LR:テーパ部後端から外径がD1×0.99となる位置までの軸方向の距離(mm)
R1:テーパ部後端におけるテーパ角(°)
R2:テーパ部の外径がD1×0.99となる位置におけるテーパ角(°)
図2に示すように、このプラグ3を用いて金属管1の端部の内径寸法を矯正する際には、まず、図2(a)に示すように、金属管1をチャック2で固定した状態で、シリンダ4に接続されたプラグ3を図中矢印の方向に移動させる。そして、図2(b)に示すように、プラグ3を金属管1の端部における予め設定した位置まで押し込み、金属管端部の内径寸法を矯正する。その後、図2(c)に示すように、プラグ3を図中矢印の方向に移動させ、金属管1から抜き出す。
図3に示すように、このプラグ3を用いて金属管1を拡管して内径寸法を矯正する場合、テーパ部31で生じた金属管1のオーバーシュートは、テーパ部31内で終了するので、金属管1の内面は等径部32に接する。このため、内径の変動が小さく、かつ真円状態を維持した状態で、金属管1の端部の内径寸法を矯正することができる。
このプラグを用いると、金属管の内面がテーパ部だけでなく、等径部とも接することになり、接触面積が増加するので、金属管端部の内径寸法を矯正するための負荷が増大する。これにより、チャック2によるクランプ力を増大させる必要が生じる。ある程度の肉厚がある金属管の場合、クランプ力が増大しても金属管の形状等に悪影響を及ぼさないが、剛性の弱い薄肉材(金属管の厚みtおよび外径Dの比(t/D)が0.04以下)ではクランプ力によって、管が変形する。その変形が金属管の端部(拡管しようとする端部)の内径寸法精度を悪化させる。従って、金属管のクランプ位置は、その寸法によって設定する必要がある。
本発明は、このような観点からなされたものであって、金属管端部の内径寸法精度に優れた金属管の管端矯正設備および管端矯正方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の(A)に示す管端矯正装置ならびに下記の(B)および下記の(C)に示す管端矯正方法を要旨とする。
(A)金属管の端部を矯正するプラグと、金属管を固定するチャックと、プラグおよび/またはチャックの位置を移動させる移動手段とを備え、プラグは、その横断面が円であり、先端から順にテーパ部と等径部とで連続的に形成され、テーパ部の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものであり、チャックは金属管を固定する位置の変更が可能であることを特徴とする金属管端矯正設備。
22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ‥・(1)
R2≧R1 ・・・(2)
但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
D1:テーパ部後端の外径であり、かつ等径部の外径(mm)
LR:テーパ部後端から外径がD1×0.99となる位置までの軸方向の距離(mm)
R1:テーパ部後端におけるテーパ角(°)
R2:テーパ部の外径がD1×0.99となる位置におけるテーパ角(°)
(B) チャックで固定した金属管の端部をプラグにより矯正する金属管端矯正方法であって、プラグとして、横断面が円であり、先端から順にテーパ部と等径部とで連続的に形成され、テーパ部の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものを用い、金属管の厚みtおよび外径Dの比(t/D)の値に応じて、チャックによる金属管の固定位置を設定することを特徴とする金属管端矯正方法。
22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ・・・(1)
R2≧R1 ・・・(2)
但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
D1:テーパ部後端の外径であり、かつ等径部の外径(mm)
LR:テーパ部後端から外径がD1×0.99となる位置までの軸方向の距離(mm)
R1:テーパ部後端におけるテーパ角(°)
R2:テーパ部の外径がD1×0.99となる位置におけるテーパ角(°)
(C)金属管の厚みtおよび外径Dの比(t/D)が0.04以下の場合に、下記の(3)式を満たす位置でチャックにより金属管を固定することを特徴とする請求項2に記載の金属管端矯正方法。
L/D>−21.8×(t/D)+1.7 ・・・(3)
但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
t:素管の厚さ(mm)
D:素管の外径(mm)
L:金属管のプラグを挿入する側の管端からチャックによる固定位置までの距離(mm)
本発明によれば、金属管端部の内径を優れた寸法精度で矯正することができる。
図2に示すように、本発明に係る管端矯正設備は、例えば、金属管1の端部から挿入プラグ3と、金属管を固定するチャック2と、プラグ3および/またはチャック2の位置を移動させる図示しない移動手段とを有する。本発明に係る管端矯正設備で用いられるプラグ3は、図1に示すように、例えば、その横断面が円であり、先端から順にテーパ部31と等径部32とで連続的に形成され、テーパ部31の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものである。
22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ・・・(1)
R2≧R1 ・・・(2)
但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
D1:テーパ部後端の外径であり、かつ等径部の外径(mm)
LR:テーパ部後端から外径がD1×0.99となる位置までの軸方向の距離(mm)
R1:テーパ部後端におけるテーパ角(°)
R2:テーパ部の外径がD1×0.99となる位置におけるテーパ角(°)
図3に示すように、このプラグ3を金属管1に挿入する場合、テーパ部31で生じた金属管1のオーバーシュートは、テーパ部31内で終了するので、金属管1の内面は等径部32に接する。即ち、テーパ部31の外径がD1×0.99(以下、「D2」と呼ぶ。)となる位置におけるテーパ角R2は、テーパ部31後端におけるテーパ角R1以上であり、かつ、テーパ部後端から外径がD2となる位置までの軸方向の距離LRが上記(1)式を満たすので、金属管1は、テーパ部31の外径がD2となる位置より後端側でほとんど曲げ加工を受けない。
このため、オーバーシュートは、テーパ部31の外径がD2となる位置より後端側で生じ、等径部32に達する前に終了するのである。このため、内径の変動が小さく、かつ真円状態を維持した状態で、金属管1の端部の内径寸法を矯正することができる。
本発明に係る金属管端矯正設備においては、図2(a)に示すように、チャック2で金属管1を固定する位置、つまり、金属管1のプラグ3を挿入する側の管端からチャック2による固定位置までの距離の変更が可能であることを特徴とする。なお、固定位置とは、チャックの管端に最も近い部分を意味する。
素管の軸心とプラグの軸心との芯ずれがあると、内径寸法を高精度に矯正することができず、しかも材料が挫屈するなどの問題が生じる場合もある。芯ずれ防止のためにはできる限り管端に近い部位を固定するのが良い。しかし、薄肉材、具体的にはt/D≦0.04(t:肉厚、D:外径)の場合、クランプにより変形しやすいため、管端に近い部位を固定すると、管端も変形し、高精度に内径寸法を矯正することができない場合がある。一方、薄肉材の場合、剛性が弱いので、管端から離れた箇所を固定しても、センタリング効果があり、芯ずれの問題が生じにくい。
このような観点から、本発明に係る金属管端矯正設備においては、金属管の固定位置を変更できることとし、厚肉材を矯正する場合には管端に近い部位を、薄肉材を矯正する場合には管端から遠い部位を固定できる構成とした。また、本発明に係る金属管端矯正方法においては、金属管の厚みtおよび外径Dの比(t/D)の値に応じて、チャックによる金属管の固定位置を設定することとした。
例えば、金属管(素管)の厚みtおよび外径Dの比(t/D)が0.04以下の場合には、下記の(3)式を満たす位置でチャックにより金属管を固定するのが望ましい。チャックによる金属管の固定位置を(3)式を満たす条件としなければならない理由については、実施例で説明する。
L/D>−21.8×(t/D)+1.7 ・・・(3)
但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
t:素管の厚さ(mm)
D:素管の外径(mm)
L:金属管のプラグを挿入する側の管端からチャックによる固定位置までの距離(mm)
本発明の効果を確認するために、炭素鋼からなる継目無鋼管の管端に、図1に示すプラグを挿入、拡管し、拡管後の金属管の内径楕円率を調査した。実験に供した金属管の外径および肉厚、プラグ形状、クランプ位置ならびに内径楕円率を表1に示す。
なお、内径楕円率は、拡管後の管の内面形状を形状測定機で測定し、次式により算出した。但し、式中のdmaxは最大内径、dminは最小内径、daveは平均内径をそれぞれ意味する。
内径楕円率(%)=(dmax−dmin)/dave×100
Figure 2007260719
表1に示す結果について、内径楕円率とL/D(L:金属管のプラグを挿入する側の管端からチャックによる固定位置までの距離、D:素管の外径)との関係を図6に、内径楕円率が0.3%となるL/Dとt/D(t:素管の厚さ、D:素管の外径)との関係を図7に示す。
なお、図7は、図6においてt/D=0.020(図中の○)については、近似直線と内径楕円率=0.3%の直線との交点におけるL/Dを選び、t/D=0.41(図中の●)およびt/D=0.062(図中の□)については、それぞれプロットした値のL/Dを選んだ。
表1および図6に示すように、t/Dが0.04を超える厚肉管の場合、L/Dが0.9付近でも内径楕円率が0.3%という低い値を維持しているが、t/Dが0.020の薄肉管の場合、L/Dの値によって内径楕円率が変化する。このことから、t/Dの値によっては、金属管のプラグを挿入する側の管端からチャックによる固定位置までの距離を調整する必要があることが分かる。
さらに、表1および図7に示すように、素管のt/Dが0.04以下の場合には、内径楕円率が0.3%となるようにL/Dを設定するためには、下記の(3)式を満たす範囲になければならないことが分かる。
L/D>−21.8×(t/D)+1.7 ・・・(3)
本発明によれば、金属管端部の内径を優れた寸法精度で矯正することができるので、ラィンパイプ、油井管などの継ぎ手の矯正に有用である。
本発明において用いるプラグを例示した模式図 本発明に係る管端矯正方法を説明する模式図 本発明に係る管端矯正方法による拡管状態を説明する模式図 従来のエキスパンド装置を用いた金属管端部の矯正方法を説明する模式図 従来の管端矯正方法における問題点を説明する模式図 実施例における内径楕円率とL/Dとの関係を示す図 実施例における内径楕円率が0.3%となるL/Dとt/Dとの関係を示す図
符号の説明
1.金属管
2.チャック
3.プラグ(31.テーパ部、32.等径部)
4.シリンダ
5.従来方法のプラグ(51.テーパ部、52.等径部)

Claims (3)

  1. 金属管の端部を矯正するプラグと、金属管を固定するチャックと、プラグおよび/またはチャックの位置を移動させる移動手段とを備え、プラグは、その横断面が円であり、先端から順にテーパ部と等径部とで連続的に形成され、テーパ部の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものであり、チャックは金属管を固定する位置の変更が可能であることを特徴とする金属管端矯正設備。
    22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ‥・(1)
    R2≧R1 ・・・(2)
    但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
    D1:テーパ部後端の外径であり、かつ等径部の外径(mm)
    LR:テーパ部後端から外径がD1×0.99となる位置までの軸方向の距離(mm)
    R1:テーパ部後端におけるテーパ角(°)
    R2:テーパ部の外径がD1×0.99となる位置におけるテーパ角(°)
  2. チャックで固定した金属管の端部をプラグにより矯正する金属管端矯正方法であって、プラグとして、横断面が円であり、先端から順にテーパ部と等径部とで連続的に形成され、テーパ部の外径が先端から後端に向かって徐々に大きくなり、且つ下記の(1)式および(2)式を満足するものを用い、金属管の厚みtおよび外径Dの比(t/D)の値に応じて、チャックによる金属管の固定位置を設定することを特徴とする金属管端矯正方法。
    22≦LR/(D1×0.01/2)≦115 ・・・(1)
    R2≧R1 ・・・(2)
    但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
    D1:テーパ部後端の外径であり、かつ等径部の外径(mm)
    LR:テーパ部後端から外径がD1×0.99となる位置までの軸方向の距離(mm)
    R1:テーパ部後端におけるテーパ角(°)
    R2:テーパ部の外径がD1×0.99となる位置におけるテーパ角(°)
  3. 金属管の厚みtおよび外径Dの比(t/D)が0.04以下の場合に、下記の(3)式を満たす位置でチャックにより金属管を固定することを特徴とする請求項2に記載の金属管端矯正方法。
    L/D>−21.8×(t/D)+1.7 ・・・(3)
    但し、式中の各記号の意味は下記のとおりである。
    t:素管の厚さ(mm)
    D:素管の外径(mm)
    L:金属管のプラグを挿入する側の管端からチャックによる固定位置までの距離(mm)
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