JP4000080B2 - 発熱体冷却装置、及びそれを有するパワーエレクトロニクス装置 - Google Patents

発熱体冷却装置、及びそれを有するパワーエレクトロニクス装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートシンクの表面に配置された発熱体の温度を冷媒により冷却する発熱体冷却装置、及びそれを有するパワーエレクトロニクス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヒートシンクの表面に配置された発熱体を冷却する発熱体冷却装置に関しては、ヒートシンクの裏側に設けられた冷却経路に冷媒として冷却水を通過させることによりヒートシンクの表面に配置された発熱体であるインバータ主回路の構成部材を冷却する発熱体冷却装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−346480号公報(図1、図2、及び図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の発熱体冷却装置においては、発熱体の表面から冷媒までの熱抵抗は、ヒートシンクを構成する部材内の熱抵抗と、冷媒内における熱抵抗との和になるので、大きい発熱体を冷却する場合には、冷媒の流速が小さいため、冷媒の温度とヒートシンクの母材の温度との温度差が少なくなり、冷媒がヒートシンクの裏面に設けられた流水経路の衝突面までの部材内における熱伝導が必要となるため、発熱体の表面から冷媒までの熱抵抗が大きくなり、冷却性能が低くなってしまう可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に考慮してなされたもので、発熱体から冷媒までの熱抵抗を小さくすることにより、冷却性能を向上させることが可能な発熱体冷却装置、及びそれを有するパワーエレクトロニクス装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、ヒートシンクの空洞部における冷媒の流速を増加させる構成により、発熱体冷却装置の冷却性能を向上させるという効果を達成することにある。
【0007】
さて、以上のような本発明の骨子は、具体的には以下のような手段を講じることにより実現される。
【0008】
第1の発明は、ヒートシンクの表面に発熱体を配置すると共に、当該ヒートシンクの裏面に発熱体に向けて冷却媒体を噴出する開口部を設け、反発熱体側に、ヘッダを配した発熱体冷却装置において、ヘッダの内部に、開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の角度をなすように、開口部の周縁に設けられた複数の第1のガイド部材を備えた発熱体冷却装置である。
【0009】
これにより、開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の角度をなすように、開口部の周縁に設けられた複数の第1のガイド部材によって第1の板状部材の発熱体の設けられた面の裏面の発熱体の位置に相当する位置に送出するための開口部から冷媒がヒートシンクに噴流として送出されるので、熱伝達率が高くなると共に、ヒートシンクの発熱体の設けられた第1の板状部材の内部における熱伝導が小さくなる。
【0010】
この結果、発熱体から冷媒までの熱抵抗を小さくすることにより、冷却性能を向上させることが出来る。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の発熱体冷却装置において、各第1のガイド部材を、開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して、ヘッダ内の冷媒の流れを開口部内に取り込むような所定の角度をなすように開口部の周縁部で、かつ、ヘッダの内部に設けられた複数の第2のガイド部材に置換した発熱体冷却装置である。
【0012】
これにより、第1の発明と同様の作用を奏することが出来るのに加え、各ガイド部材によってヘッダ内の冷媒の流れが開口部内に取り込まれるので、ヘッダから開口部を介して送出する冷媒に旋回速度成分が加わることにより、ヒートシンクと冷媒との温度差が一定以上に保たれるため、開口部の中心部よりも離れた位置に熱伝達率の高い部分が生じることとなり、冷却性能を高めることが出来る。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明の発熱体冷却装置において、各第1又は第2のガイド部材の開口部の中心軸に平行な方向の長さは、ヘッダの内部の壁面の高さよりも小さい値とした発熱体冷却装置である。
【0014】
これにより、第1の発明と同様の作用を奏することが出来るのに加え、ヘッダの入口以外の開口部からも冷媒が入り込みやすくなるので、発熱体冷却装置の冷却性能を高めることが出来る。
【0015】
第4の発明は、第1の発明の発熱体冷却装置において、各第1のガイド部材を、開口部の周縁で、かつ、開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度をなすように、ヘッダ内部の壁面上に設けられた第1の部分と、第1の部分と一体に形成され、かつ、開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度よりも小さい所定の第2の角度をなすように、ヘッダの内部の壁面上で、かつ、第1の部分よりも開口部に近い位置に設けられた第2の部分とを含む複数の第3のガイド部材に置換した発熱体冷却装置である。
【0016】
これにより、第2の部分が第1の部分と一体に形成され、かつ、開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度よりも小さい所定の第2の角度をなすように、ヘッダの内部の壁面上で、かつ、第1の部部分よりも開口部に近い位置に設けられているので、冷媒への抵抗が減少し、開口部内の冷媒の流速が増加する。
【0017】
この結果、発熱体から冷媒までの熱抵抗を小さくすることにより、冷却性能を向上させることが出来る。
【0018】
第5の発明は、第1ないし第4の何れか1つの発明の発熱体冷却装置を有するパワーエレクトロニクス装置である。
【0019】
これにより、第1の発明と同様の作用を奏することが出来る。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の全体構成の一例を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の平面図であり、図3は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の側面図である。
【0022】
図4は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の図2のA−A´断面における断面図であり、図5は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の図3のB−B´断面における断面図である。
【0023】
本実施の形態に係る発熱体冷却装置は、ヘッダ4に設けられた開口部5a〜5dから冷媒をヒートシンク1の空洞部の発熱体2a〜2dの裏面に相当する位置に向けて噴流として送出させることによって、発熱体2a〜2dからヒートシンク1に熱伝導された熱を冷媒で吸収してヒートシンク1の表面に設けられた発熱体2a〜2dの冷却を図るものである。
【0024】
本実施の形態に係る発熱体冷却装置のヒートシンク1は、外表面上に配置された発熱体2a〜2dを冷却するためのものであり、発熱体2a〜2dから熱伝導された熱を、ヒートシンク1を構成する第1の板状部材1aの内部における熱伝導を行うと共に、このヒートシンク1の空洞部を通過する冷媒に熱伝達する。
【0025】
本実施の形態に係るヒートシンク1は、表面上に発熱体2a〜2dが設けられた第1の板状部材1aと、前記第1の板状部材1aに対向する第2の板状部材1bと、前記第1の板状部材1a及び第2の板状部材1bと一体に形成され、かつ、所定の間隔を存して設けられた一対の板状部材からなる側壁1cとを有し、第1の板状部材1a、第2の板状部材1b、及び側壁1cと一体に形成され、かつ、第1の板状部材1a、第2の板状部材1b、及び側壁1cにより形成される空洞部の一端にのみ設けられた障壁1dとを備えており、障壁1dの反対側の端部1eで内部の冷媒を送出するための第1の冷媒管3に接続されている。
【0026】
このヒートシンク1の第2の板状部材1bには、ヘッダ4から送出された冷媒をヒートシンク1の空洞部に送入させるための開口部5a〜5dが設けられている。
【0027】
このヒートシンク1は、第1の板状部材1aの表面上に配置された発熱体2a〜2dの発生する熱よりも高い融点を有する材質から構成され、かつ、内部に冷媒が通過する所定の空洞部を有しており、略C字形状の平面形状と、略U字形状の断面形状とを有している。
【0028】
なお、このヒートシンク1としては、熱伝導率をより高める観点から、銅又はアルミ二ウムによって形成することがより好ましい。
【0029】
発熱体2a〜2dは、略直方体形状の外形形状を有しており、ヒートシンク1を構成する第1の板状部材1aの表面上に設けられている。
【0030】
これらの発熱体2a〜2dは、熱を発生し、発生した熱をヒートシンク1を構成する第1の板状部材1aに熱伝導する。
【0031】
なお、本実施の形態における発熱体冷却装置では、発熱体2a〜2dは、4個だけ設けられていたが、発熱体の数は、1個、2個、3個、5個、6個、7個、及び8個等の任意の数に変更可能である。
【0032】
第1の冷媒管3は、ヒートシンク1の発熱体2a〜2dが設けられた面から熱伝導された熱を吸収した冷媒をヒートシンク1内部の空洞部から外部に送出するために設けられており、端部1eでヒートシンク1と接続されている。
【0033】
第1の冷媒管3は、ヒートシンク1の端部1eの形状と同一形状の略円形形状の断面形状を有しており、冷媒をスムーズに外部に送出させる観点から、発熱体の発生する熱よりも高い融点を有する素材によって形成されている。
【0034】
ヘッダ4は、ヒートシンクの第2の板状部材1bと同一側に、ヒートシンク1と一体に形成され、かつ、冷媒を、ヒートシンクの空洞部内の第1の板状部材1aの発熱体の設けられた一面1aの裏面の発熱体2a〜2dの位置に相当する位置に送出するための開口部5a〜5dを備えており、端部で冷媒を内部に送入させるための第2の冷媒管6に接続されている。
【0035】
なお、本実施の形態では、ヘッダ4と、ヒートシンク1とは、一体に形成されていたが、これに限らず、分離自在としてもよいことはいうまでもない。
【0036】
このヘッダ4は、冷媒を通過させるための空洞部を有する略C字形状の平面形状と、略U字形状の断面形状とを有している。
【0037】
なお、ヘッダ4は、ヒートシンク1と一体に形成するのを容易にすると共に、軽量化を図る観点から、銅又はアルミ二ウムによって形成することがより好ましい。
【0038】
また、このヘッダ4の内部には、ヒートシンク1の空洞部内における冷媒の流速をより高める観点から、各発熱体2a〜2dの裏面に相当する位置に、合計4箇所の開口部5a〜5dが設けられている。
【0039】
各開口部5a〜5dの形状は、略円形形状の平面形状と、開口部分よりも冷媒の流れが通過する部分のほうが長い略長方形状の断面形状とを有している。
【0040】
なお、本実施の形態では、ヘッダ4に開口部5a〜5dを4箇所設けているが、これに限らず、1個、2個、3個、5個、6個、7個、及び8個等の発熱体2a〜2dの数に併せて変更することが可能である。
【0041】
なお、本実施の形態では、各開口部5a〜5dは、略同一の円形形状の平面形状を有していたが、これに限らず、各開口部5a〜5dの平面形状は、略多角形形状等の任意の形状に変更することが可能である。
【0042】
開口部5a〜5dは、略円形形状の断面形状を有し、発熱体2a〜2dの裏面のヘッダ4内部への正射影に相当する位置の近傍に設けられている。
【0043】
第2の冷媒管6は、内部を冷媒が通過するものであり、外部から送入された冷媒が、この冷媒管6に接続されたヘッダ4の内部に送出される。
【0044】
複数のガイド板7aは、ヘッダ4の内部に設けられた開口部5a〜5dの中心軸上の点から外側に向かう向きに対して0度より大きい所定の角度をなすように、開口部5a〜5dの周縁に設けられている。
【0045】
これらの各ガイド板7aは、図6に示すように、開口部5a〜5dの中心軸上の点から外側に向かう方向に対して0度より大きい所定の角度、例えばベータ(ラジアン)をなすように設けられている。
【0046】
なお、本実施の形態に係る各ガイド板7aは、冷媒による腐食に強い素材を用いる観点から、アルミニウム又はステンレス等の材質から構成するのがより好ましい。
【0047】
なお、本実施の形態に係る発熱体冷却装置は、多量の熱を発生するパワーエレクトロニクス装置、例えばインバータ、無停電電源装置等の構成部品として組み込んでもよい。
【0048】
次に、以上のように構成された発熱体冷却装置の作用に関し、図を用いて説明する。
【0049】
始めに、第2の冷媒管6を通して第2の開口部5a〜5dからヘッダ4の内部に冷媒が送入されると、冷媒は、ヘッダ4の内部を直進し、ヘッダ4の内部の側壁1cに沿って流れる。
【0050】
次に、冷媒は、開口部5a、5bの周縁に設けられたガイド板7aによって、開口部5a、5bの周縁では、前述した図5に示すような左回りの渦が形成される。
【0051】
一方、冷媒は、開口部5c、5dの周縁に設けられたガイド板7aによって、開口部5c、5dの周縁では、前述した図5に示すような右回りの渦が形成される。
【0052】
そして、冷媒は、開口部5a〜5dから流速をあげて、ヒートシンク1の空洞部に噴流として送出される。
【0053】
この時のヒートシンク1内部に送出される冷媒の速度は、以下の式(1)で表されるものとなる。
【0054】
Us=(Uθ+Uz0.5…式(1)
ここでUsは、開口部5a〜5dからヒートシンク1の空洞部に送出される冷媒の合成速度を示す。Uθは、開口部5a〜5dの周縁に設けられた複数のガイド板7aによって生じた冷媒の速度の旋回速度成分を示す。Uzは、冷媒の開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の軸方向速度成分を表す。
【0055】
従って、複数のガイド板7aを設けない場合、開口部5a〜5d内の冷媒の速度は、軸方向成分のみで旋回速度成分が生じないので、複数のガイド板7aを設けない場合における冷媒の速度と、複数のガイド板7aを設けた場合における速度Usとの大小関係は以下の式(2)のような不等式で表されることになる。
Us=(Uθ+Uz0.5>Uz=U0…(2)
ここで、U0は、複数のガイド板7aを設けない場合における開口部5a〜5dから送出される冷媒の速度を示す。
【0056】
ヒートシンク1の空洞部に送出した冷媒の速度が大きいので、ヒートシンク1の発熱体2a〜2dが設けられた第1の板状部材1aに、ガイド板7aを設けない場合と比較して、より多くの冷媒が供給されることになる。
【0057】
従って、ヒートシンク1と冷媒との間の熱伝達率は、この場合、冷媒と、ヒートシンク1の発熱体2a〜2dが設けられた面との間の温度差が保たれるので、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けない場合と比較して高くなる。
【0058】
図7は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置における開口部5a〜5dの中心軸上からの距離と熱抵抗との関係の一例を示すものである。
【0059】
同図の上部に示すように、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けた場合には、ガイド板7aを設けない場合と比較して、熱伝導率の最高値はやや低下するが、熱伝達率の高い領域を拡大することが出来る。
【0060】
従って、ガイド板7aを設けた場合には、ヒートシンク1の発熱体2a〜2dが設けられた第1の板状部材内における熱伝導が殆ど不要となる。
【0061】
一般に、発熱体2a〜2d表面から冷媒までの熱抵抗R[K/W]は、第1の板状部材内の熱伝導に対する熱抵抗Rfconと、冷媒内の熱抵抗Ralfとの和になるので、以下の式(3)で示される。
R=Rfcon+Ralf…式(3)
しかし、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けた場合には、第1の板状部材1a内での熱伝導が殆どなくなるため、第1の板状部材1a内の熱伝導に対する熱抵抗Rfconが殆ど0になるので、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けた場合における熱抵抗と、ガイド板7aを設けない場合における熱抵抗との間の大小関係は、以下の式(4)に示すような不等式で表される。
【0062】
R=Rfcon+Ralf>Ralf´…(4)
ここで、Rは、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けない場合における熱抵抗を示す。Ralf´は、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けた場合における熱抵抗を示す。
【0063】
従って、熱抵抗は、ガイド板7aを設けた場合の方が小さくなる。
【0064】
ゆえに、開口部5a〜5dの周縁にガイド板7aを設けた場合、熱抵抗が小さくなり、かつ、熱伝導率が高い領域が広くなるので、より多くの熱がヒートシンク1から、ヒートシンク1の空洞部を通過する冷媒に熱伝導され、この冷媒によって吸収される。
【0065】
ヒートシンク1の空洞部に送出された冷媒は、第1の板状部材1aの発熱体2a〜2dの設けられた一面の裏面に該当する位置でヒートシンク1から熱伝導された熱を吸収し、熱を吸収した冷媒は、第1の冷媒管3内を通って、外部に送出される。
【0066】
上述したように、本実施の形態によれば、ヘッダ4内部の開口部5a〜5dの周縁に設けられた複数のガイド板7aによって、開口部5a〜5dからヒートシンク1の空洞部に送出する冷媒の速度に旋回速度成分が加わるので、ガイド板7aを設けない場合と比較して熱伝達率が高くなると共に、ヒートシンク1の第1の板状部材1a内における熱伝導が必要なくなり、熱抵抗も小さくなるため、ヒートシンク1から多くの熱が冷媒に吸収される。
【0067】
この結果、ガイド板7aを設けない場合と比較して、発熱体冷却装置の冷却性能を高めることが出来る。
【0068】
<第2の実施の形態>
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図2と同様のA−A´断面における断面図であり、図9は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図3と同様のB−B´断面における断面図である。
【0069】
なお、第1の実施の形態と同一部分には、同一符号を付してその詳細な説明を省略し、ここでは主として異なる部分に関して説明する。なお、以下の各実施の形態に関しても同様に重複する説明を省略する。
【0070】
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の発熱体2a〜2dに関する冷却性能を高める観点から、第1の実施の形態に係る各ガイド板7aを冷媒を開口部5a〜5dに取り込ませるような角度で、開口部5a〜5dの周縁に設けられた複数のガイド板7bに置換した構成となっている。
【0071】
なお、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の各ガイド板7bが開口部5a〜5dの中心から外に向かう向きに対してなす角度は、ヘッダ4内部の冷媒の流れを開口部5a〜5dの内部に、より効率的に取り込む観点から、15度から75度の間であることがより好ましい。
【0072】
なお、本実施の形態では、各ガイド板7bは、開口部5a及び5bの周縁に、図9に示すような右回りの渦を形成するように配置されている。
【0073】
一方、各ガイド板7bは、開口部5c及び開口部5dの周縁においては、図9に示すように、左回りの渦を形成するように配置されている。
【0074】
以上のような構成によれば、冷媒が開口部5a〜5dの周縁に設けられた複数のガイド板7bによって開口部5a〜5dの内部に取り込まれるので、開口部5a〜5dの冷媒に生じる噴流の旋回速度成分は大きくなり、第1の実施の形態の場合よりも大きくなる。
【0075】
この結果、熱抵抗は、次式(5)に示すように、第1の実施の形態の場合と比較してさらに小さくなる。
【0076】
R=Ralf´´<Ralf´…(5)
ここで、Ralf´´は、本実施の形態における熱抵抗を示す。Ralf´は、第1の実施の形態に係る熱抵抗を示す。
【0077】
更に、本実施の形態では、開口部5a〜5d内からヒートシンク1の空洞部に送出される冷媒の旋回速度成分が大きくなるので、第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置と同様にヒートシンク1内部の熱伝導率が高い領域を広げることが出来る。
【0078】
従って、本実施の形態の発熱体冷却装置では、ヒートシンク1の空洞部を通過する冷媒がヒートシンク1から熱伝導される熱は、第1の実施の形態と比較して大きくなるので、冷媒がヒートシンク1から吸収する熱は大きくなり、発熱体冷却装置の冷却性能をより高めることが出来る。
【0079】
上述したように、本実施の形態によれば、複数のガイド板7bを、開口部5a〜5dの周縁に中心軸上の点から外側に向かう向きに、ヘッダ4内部の冷媒の流れを開口部5a〜5d内に取り込むように0度より大きい所定の角度を持たせたことによって、開口部5a〜5d内からヒートシンク1の空洞部に送出される冷媒の速度が高くなるため、熱伝達率の高い領域を広げると共に、熱抵抗も下げることが出来るので、ヒートシンク1の第1の板状部材1a内部での熱伝導が殆どなくなることとなり、発熱体冷却装置の冷却性能を更に高めることが出来る。
【0080】
なお、本実施の形態では、ガイド板7bの開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の長さは、ヘッダ4の内部の壁面の高さとを同一としたが、これに限らず、ガイド板7bの開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の長さをヘッダ4の内部の壁面の高さよりも小さくしてもよいことはいうまでもない。
【0081】
<第3の実施の形態>
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図2と同様のA−A´断面における断面図であり、図11は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図3と同様のB−B´断面における断面図である。
【0082】
なお、前述した図面と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは主として異なる部分に関して説明する。
【0083】
本実施の形態に係る発熱体冷却装置は、第1の実施の形態の発熱体冷却装置の複数のガイド板7aの開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の長さを、ヘッダ4内部の壁面の高さよりも小さい値とした複数のガイド板7cに置換した構成となっている。
【0084】
具体的には、本実施の形態では、図10に示すように、ガイド板7cの中心軸に平行な方向の長さHgは、ヘッダ4の内部の壁面の高さHhよりも小さくなっている。
【0085】
本実施の形態では、冷媒は、ガイド板7cによって第1の実施の形態と同様に図11に示すように、開口部5a、5bの周縁では、左回りの渦を形成して開口部5a、5bに送入され、ヒートシンク1の空洞部に噴流として送出される。
【0086】
一方、冷媒は、ガイド板7cによって、第1の実施の形態と同様に図11に示すように、開口部5c、5dの周縁では、右回りの渦を形成して開口部5c、5dに送入され、ヒートシンク1の空洞部に噴流として送出される。
【0087】
以上のような構成によれば、ガイド板7cとヘッダ4内の壁面との間からも開口部5a〜5dに冷媒が送入するので、ガイド板7cの高さをヘッダ4の内壁の高さと同一にした場合に比較して各ガイド板7c間で発生する流量差を小さくすることが出来る。
【0088】
この結果、安定した冷媒の旋回流れがヘッダ4の内部で発生するので、前述した冷媒の旋回速度成分が大きくなり、熱抵抗を小さくすることが出来る。
【0089】
また、本実施の形態の発熱体冷却装置では、開口部5a〜5d内における冷媒に生じる噴流の旋回成分が大きくなるため、第1の実施の形態と同様に、熱伝達率の大きな領域を広く保つことが出来るので、ヒートシンク1の空洞部を通過する冷媒がヒートシンク1から熱伝導される熱は大きくなり、発熱体冷却装置の冷却性能をより一層高めることが出来る。
【0090】
<第4の実施の形態>
図12は、本発明の第4の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図2と同様のA−A´断面における断面図であり、図13は、本実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図3と同様のB−B´断面における断面図である。
【0091】
なお、前述した図面と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは主として異なる部分に関して説明する。
【0092】
本実施の形態の発熱体冷却装置は、第1の実施の形態に係る複数のガイド板7aを、開口部5a〜5dの周縁で、かつ、開口部5a〜5dの中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度をなすように、ヘッダ4内部の壁面上に設けられた第1の部分と、第1の部分と一体に形成され、かつ、開口部5a〜5dの中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度よりも小さい所定の第2の角度をなすように、ヘッダ4の内部の壁面上で、かつ、第1の部分よりも開口部5a〜5dに近い位置に設けられた第2の部分とからなる第3の複数のガイド板7dに置換した構成となっている。
【0093】
具体的には、図14に示すように、第1の部分7d1は、開口部5a〜5dの周縁で、かつ、開口部5a〜5dの中心軸上の点Cから外側に向かう向きに対して所定の第1の角度βをなすように、ヘッダ4内部の壁面上に設けられており、第2の部分7d2は、第1の部分7d1と一体に形成され、かつ、開口部5a〜5dの中心軸上の点から外側に向かう向きに対してβよりも小さい所定の第2の角度であるγをなすように、ヘッダ4の内部の壁面上で、かつ、第1の部分7d1よりも開口部5a〜5dに近い位置に設けられている。
【0094】
本実施の形態では、図13に示すように、冷媒は、複数のガイド板7dによって、開口部5a、5bの周縁では、左回りの渦を形成して開口部5a、5bに送入され、ヒートシンク1の空洞部に噴流として送出される。
【0095】
一方、冷媒は、ガイド板7dによって、第1の実施の形態と同様に図13に示すように、開口部5c、5dの周縁では、右回りの渦を形成して開口部5c、5dに送入され、ヒートシンク1の空洞部に噴流として送出される。
【0096】
なお、本実施の形態では、ガイド板7aの開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の長さはヘッダ4の内部の壁面の高さと同一にしたが、これに限らず、ガイド板7aの開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の長さをヘッダ4の内部の壁面の高さよりも小さくしてもよいことはいうまでもない。
【0097】
このように、ガイド板7aの開口部5a〜5dの中心軸に平行な方向の長さをヘッダ4の内部の壁面の高さよりも小さくすることによって、冷媒が第1の冷媒管から離れた開口部まで流れ込みやすくなる。
【0098】
以上のような構成によれば、開口部5a〜5dに近い位置に、開口部5a〜5dの中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度よりも小さい所定の第2の角度をなすように、ヘッダ4の内部の壁面上で、かつ、第1の部分7d1よりも開口部5a〜5dに近い位置に設けられた第2の部分7d2を設けることによって、冷媒の抵抗が小さくなるので、開口部5a〜5d内における冷媒の軸方向の速度成分と、旋回速度成分との双方が大きくなる。
【0099】
この結果、第1の実施の形態と同様に、発熱体2a〜2dから冷媒までの熱抵抗が小さくなると共に、熱伝導率の高い領域を広げることができるので、発熱体冷却装置の冷却性能を向上させることが出来る。
【0100】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。例えば上記各実施の形態では、発熱体冷却装置単体で用いられている例であったが、これに限らず、上記各実施の形態に係る発熱体冷却装置を各種のパワーエレクトロニクス装置、例えばインバータ、無停電電源装置等の構成部品として組み込んで使用してもよいことはいうまでもない。
【0101】
また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には、省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0102】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、発熱体から冷媒までの熱抵抗を小さくすることにより、冷却性能を向上させることが可能な発熱体冷却装置、及びそれを有するパワーエレクトロニクス装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の全体構成の一例を示す斜視図。
【図2】 第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の平面図。
【図3】 第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の側面図。
【図4】 第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の図2のA−A´断面における断面図。
【図5】 第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置の図3のB−B´断面における断面図。
【図6】 第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置のガイド板7aの一例を示す模式図。
【図7】 第1の実施の形態に係る発熱体冷却装置における開口部5a〜5dの中心軸上からの距離と熱抵抗との関係の一例を示す図。
【図8】 本発明の第2の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図2と同様のA−A´断面における断面図。
【図9】 第2の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図3と同様ののB−B´断面における断面図。
【図10】 本発明の第3の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図2と同様のA−A´断面における断面図。
【図11】 第3の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図3と同様のB−B´断面における断面図。
【図12】 本発明の第4の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図2と同様のA−A´断面における断面図。
【図13】 第4の実施の形態に係る発熱体冷却装置の前述した図3と同様のB−B´断面における断面図。
【図14】 第4の実施の形態に係る発熱体冷却装置のガイド板7dの一例を示す模式図。
【符号の説明】
1…ヒートシンク、2a〜2d…発熱体、3…第1の冷媒管、4…ヘッダ、5a〜5d…開口部、6…第2の冷媒管、7a〜7d…複数のガイド板、
7d1…第1の部分、7d2…第2の部分

Claims (5)

  1. ヒートシンクの表面に発熱体を配置すると共に、当該ヒートシンクの裏面に前記発熱体に向けて冷却媒体を噴出する開口部を設け、反発熱体側に、ヘッダを配した発熱体冷却装置において、
    前記ヘッダの内部に、前記開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の角度をなすように、前記開口部の周縁に設けられた複数の第1のガイド部材を備えた発熱体冷却装置。
  2. 請求項1に記載の発熱体冷却装置において、
    前記各第1のガイド部材を、
    前記開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して、前記ヘッダ内の冷媒の流れを前記開口部内に取り込むような所定の角度をなすように前記開口部の周縁部で、かつ、前記ヘッダの内部に設けられた複数の第2のガイド部材に置換した発熱体冷却装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の発熱体冷却装置において、
    前記各第1又は第2のガイド部材の前記開口部の中心軸に平行な方向の長さは、前記ヘッダの内部の壁面の高さよりも小さい値とした発熱体冷却装置。
  4. 請求項1に記載の発熱体冷却装置において、
    前記各第1のガイド部材を、
    前記開口部の周縁で、かつ、前記開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度をなすように、前記ヘッダ内部の壁面上に設けられた第1の部分と、
    前記第1の部分と一体に形成され、かつ、前記開口部の中心軸上の点から外側に向かう向きに対して所定の第1の角度よりも小さい所定の第2の角度をなすように、前記ヘッダの内部の壁面上で、かつ、前記第1の部分よりも前記開口部に近い位置に設けられた第2の部分と
    を含む複数の第3のガイド部材に置換した発熱体冷却装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の発熱体冷却装置を有するパワーエレクトロニクス装置。
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