以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。まず、第1発明に関して述べる。図1(a)は本発明の第1発明に係る浴槽装置101の側面図であり、(b)は平面図である。図2は第1発明に係る浴槽装置の主要構成部材の関係を示した概略図であり、図3(a)〜(e)は第1の弁の各ポジションでの断面図、図3(f)は第1の弁の側面図、図4(a)〜(c)は第2の弁の各ポジションでの断面図、図4(d)は第2の弁の側面図、図5はスイングさせながら噴射可能な足裏用ノズルの断面図である。
第1発明の浴槽装置101は、浴槽1と、浴槽1に設けられた吸引口6と、スイングさせながら噴射可能な足裏用ノズル2sと、脹脛用ノズル3と、腰用ノズル4と、背中用ノズル5と、吸引口6から各ノズルに通じる循環径路を形成する配管と、循環径路内に設けられた循環ポンプ16と、第1の弁9と、第2の弁13を有する。
浴槽1において、入浴者の足先が位置する箇所には足裏用ノズル2sが左右に1対配置され、入浴者の脹脛が位置する箇所には脹脛用ノズル3が左右に1対配置され、入浴者の腰が位置する箇所には腰用ノズル4が1個配置され、入浴者の背中が位置する箇所には背中用ノズル5が1個配置されている。ここで、位置する箇所とは、入浴者(平均的な体格の使用者)が浴槽1に入ったと仮定したときの当該入浴者の足裏、脹脛、腰及び背中の近傍で、マッサージを行うのに最も効果的な位置を指す。
図1では、足裏用ノズル2sは浴槽短辺側の一方の壁面に設けられ、脹脛用ノズル3は浴槽底面に設けられ、腰用ノズル4および背中用ノズル5は浴槽短辺側のもう一方の壁面に設けられている。尚、各ノズルが配置される位置としては、図1に示した位置に限定されるものではなく、例えば、脹脛用ノズル3は浴槽長辺側の壁面に設けられていてもよい。また、背中用ノズル5は、腰より若干上もしくは左右の肩甲骨の間を狙うように設けられていてもよい。
また、浴槽装置101は単一の循環ポンプ16を備えている。この循環ポンプ16は浴槽1に形成した吸引口6から浴水を配管7を介して吸引し、吸引した浴水を配管8を介して吐出する。
尚、本発明でいう浴水とは、気泡入りの浴水も含むものである。
配管8は第1の弁9に接続されている。本実施例にあっては、図3に示すように、第1の弁9としてロータリー式の4方弁を使用している。第1の弁9は、モータ92により回動する弁体91を有しており、この弁体91の状態によって流路の連通状態を変化させる。この4方弁の1つの弁内流路9aは前記配管8につながり、弁内流路9bは足裏用ノズル2s及び脹脛用ノズル3に浴水を供給する配管10につながり、弁内流路9cは腰用ノズル4に浴水を供給する配管11につながり、9dは背中用ノズル5に浴水を供給する配管12につながっている。
前記配管10は第2の弁13に接続されている。本実施例にあっては、図4に示すように、第2の弁13としてロータリー式の4方弁を使用している。第2の弁13は、モータ132により回動する弁体131を有しており、この弁体131の状態によって流路の連通状態を変化させる。この4方弁の1つの弁内流路13aは前記配管10につながり、弁内流路13b、13cは足裏用ノズル2sに浴水を供給する配管14a,14bにそれぞれつながり、残りの弁内流路13dは脹脛用ノズル3に浴水を供給する配管15につながっている。
前記配管14a,14bは途中で分岐して左右の足裏用ノズル2sにつながり、前記配管15は更に途中で分岐して左右の脹脛用ノズル3につながっている。
前記足裏用ノズル2sはノズル自体は固定であるが、噴出する浴水がスイング動する構造となっている。具体的には、図5に示すように、足裏用ノズル2sには前記配管14aにつながるノズル内流路2aと前記配管14bにつながるノズル内流路2bが形成され、これらノズル内流路2aとノズル内流路2bがノズル内で合流している。
而して、配管14aからの浴水が配管14bからの浴水よりも多いと図において右上側に浴水が噴出し、配管14bからの浴水が配管14aからの浴水よりも多いと図において右下側に浴水が噴出する。また、配管14aからの浴水と配管14bからの浴水とがほぼ等しい場合には、その中間の方向(紙面右方向)に噴出することになる。このように配管14a,14bからの浴水の流量を制御することで足裏用ノズル2sから噴出する浴水はスイング動を行うことができる。すなわち、第2の弁13での配管14a,14bへの流量配分を変化させていくことにより、浴水噴射のスイング動を容易に実現できる。
以上の構成からなる浴槽装置101の動作について説明する。第1発明の浴槽装置101は、足裏用ノズル2s、脹脛用ノズル3、腰用ノズル4、背中用ノズル5から連続的に順番に浴水を噴出させる全身モードと、足裏用ノズル2s、脹脛用ノズル3から連続的に順番に浴水を噴出させる下半身モードと、腰用ノズル4、背中用ノズル5から浴水を噴出させる上半身モードを有している。
先ず全身モードについて説明する。本実施例では、第1の弁9及び第2の弁13としてそれぞれ前述のロータリー式の4方弁を用いており、図6は全身モードのタイムチャート、図7は全身モードにおける主要構成部材と各ノズルからの噴出状態を示した概略図である。尚、タイムチャート内の図の矢印は、後述する各弁のポジションを模式的に表している。
第1の弁9は図3に示したように5つのポジションが、第2の弁13は図4に示したように3つのポジションが、弁体の回動方向に重ならないよう設定されており、弁体91、131が回動することによって各ポジションを得ることができる。例えば第1の弁9では、図3(a)(b)(c)に示される3つのポジションで弁内流路9aを弁内流路9bにのみ接続することになる。尚、各ポジション間の回動途中では、2つの出水側流路にまたがって連通状態を形成することもあり、この際、連通状態(開度状態)に応じて送水量が2つの出水側流路に配分されることになる。
ここでは、各ポジション間の移動速度は全て等しく設定されている。すなわち、第1の弁9の回転周期(一回転するのに必要な時間)と第2の弁の回転周期の比は、5対3である。尚、第1の弁9の弁体91及び第2の弁13の弁体131は、基本的に紙面上時計回りに回動する。
先ず、使用者からの全身モード開始の指令入力を受けて、第1の弁9を図3(a)ポジションとし、第2の弁13を図4(a)ポジションとする(この第1の弁9および第2の弁13の状態を初期ポジションAと呼ぶ)。各弁がそれぞれのポジションにあること(初期ポジションAであること)を確認してから循環ポンプ16をオンし浴水の噴出を開始する。この状態では図7(a)に示すように、配管14a及び左右の足裏用ノズル2sのノズル内流路2aを介して使用者の足先に向けて浴水が噴出される。
この後、循環ポンプ16の送水が安定する所定の時間経過後、第1の弁9及び第2の弁13の回動動作を開始する。第1の弁9を図3(b)ポジションとし、第2の弁13を図4(b)ポジションまで回転せしめる。すると、配管14aからの足先向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管14bからの踵向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図7(b)に示すように、配管14a,14bを介して左右の足裏用ノズル2sから浴水が足裏に向けて噴出される状態を経て、図7(c)に示すように、配管14bを介して左右の足裏用ノズル2sから浴水が踵に向けて噴出される。
その結果、左右の足裏用ノズル2sから噴出される浴水の方向は、使用者の足先から土踏まずを経て踵に至るまで連続的に移るスイング動をなすことができる。これにより、足裏を撫でる動作を実現できる。
次いで、第1の弁9を図3(c)ポジションまで回動せしめ、第2の弁13を図4(c)ポジションまで回転せしめる。すると、踵向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり脹脛向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、この間に図7(d)に示すように、配管14bを介した左右の足裏用ノズル2s及び脹脛用ノズル3の両方から噴出している状態を経て、図7(e)に示すように、左右の脹脛用ノズル3のみから浴水が脹脛に向けて噴出される。
次いで、第1の弁9を図3(d)ポジションまで回動せしめるとともに、第2の弁13を図4(c)ポジションを維持したまま停止させておく。すると、脹脛向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり腰向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図7(f)に示すように、脹脛用ノズル3及び腰用ノズル4の両方から浴水が噴出する状態を経て、図7(g)に示すように、配管11のみを介して腰用ノズル4から腰に向けて噴出する状態となる。
この後、第1の弁9を図3(d)から(e)ポジションまで回転させると、配管11を介した腰用ノズル4からの腰向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管12を介した背中用ノズル5からの背中向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図7(h)に示すように、腰用ノズル4及び背中用ノズル5から腰及び背中に向けて同時に噴出する状態を経て、図7(i)に示すように、配管12のみを介して背中用ノズル5から背中に向けて噴出する状態となる。この際、第2の弁13は図4(c)ポジションから(a)ポジションに回動させておく。
この後、第1の弁9を図3(a)ポジションまで回動させて初期ポジションAに戻す。この間に、背中向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管14aからの足先向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図7(j)に示すように、背中用ノズル5及び足裏用ノズル2sから浴水が弱く噴出する状態をて、配管14aからの足先向けの浴水が噴出される図7(a)の状態に戻る。この際、第2の弁13は図4(a)ポジションに維持したまま停止させておく。
以上の動作を1サイクルとして繰り返し行い、使用者の停止の指令入力を受けてもしくは所定の時間の経過後、循環ポンプ16をオフし全身モードは終了となる。このとき、初期ポジションAに戻す動作をさせてもよい。
このような動作を行う全身モードによって、単一のポンプで、足先から始まって、足裏、踵、脹脛、腰、背中と、順番にかつ連続的に水流にて使用者の全身を撫で上げながら刺激することができ、常に末端から心臓に向かう方向で全身をマッサージし、リンパの流れを促進し、むくみ解消などの効果を効率よく発揮することができる。このとき、各ノズル間の噴出移行は、第1の弁9および第2の弁13の回動動作によりスムーズに行われるため、使用者にとって違和感のないマッサージ効果の高いシステムを実現できる。
図8は下半身モードのタイムチャートであり、基本的には前記全身モードから上半身モードを省略したものであり、第1の弁9は図3(a)ポジションに固定され、この間に第2の弁13が回動することで、図7(a)から(e)までを行い(a)に戻る、という工程を繰り返し行うことになる。尚、第1の弁9は図3(b)または(c)ポジションに固定してもよい。
このような動作を行う下半身モードによって、単一のポンプで、足先から始まって、足裏、踵、脹脛と、むくみの発生しやすい下半身に対して、順番にかつ連続的に水流を作用させることができ、常に身体の末端から心臓に向かう方向で下半身をマッサージし、リンパの流れを促進し、むくみ解消などの効果を効率よく発揮することができる。
図9は上半身モードのタイムチャートであり、基本的には前記全身モードから下半身モードを省略したものであり、第2の弁13は図4(a)ポジションに固定され、この間に第1の弁9が図3(d)ポジションと(e)ポジションとの間を回動往復((d)ポジションから(e)ポジションは時計回り、(e)ポジションから(d)ポジションは反時計回り、の反復動作)することで、図7(g)(h)(i)(h)(g)の工程を繰り返し行うことになる。尚、第2の弁13は図4(b)または(c)ポジションに固定してもよい。
このような動作を行う上半身モードによって、単一のポンプで、腰から背中の背骨周りに存在するつぼを中心としたマッサージポイントに対して、腰用ノズル4および背中用ノズル5から交互に水流を作用させることができ、広範囲にわたって上半身をマッサージし、こり解消などの効果を効率よく発揮することができる。
以上述べてきたように、本発明によれば、単一のポンプで全身モード、下半身モード、上半身モード、のそれぞれを実現でき、かつそれぞれのモードにおいて各ノズルから順番に水流を身体に対して作用させることができ、リンパマッサージやこり解消といったマッサージ効果をより効率よく発揮することができる。
また、使用者の状態や好みによって、全身を撫で上げてくれる全身モード、下半身のむくみを重点的に解消する下半身モード、上半身のこりを重点的に解消する上半身モード、を使い分けることができ、使用者にとってより好ましいシステムを単一のポンプで実現している。
このように、単一のポンプで順番に連続的に水流を噴出させるために、二つの弁(第1の弁9、第2の弁13)は上記のように連動して動かす必要がある。具体的には、第1の弁9が第2の弁13側に開いているとき(図3(a)ポジションから(c)ポジションまで)に、第2の弁13の一連の動作(少なくとも図4(a)ポジションから(c)ポジションまで)を行う必要がある。この連動動作を確実にするため、各モードでの動作状態において、第1の弁9と第2の弁13のポジション、具体的には弁体91と弁体131の位置をチェックする制御を行っても良い。例えば、全身モードにおいては初期ポジションAは定期的に訪れるので、このポジションを定期的にチェックしポジションのずれを補正することで、誤動作を防ぐことができる。同様に、本浴槽装置101の運転を一時中断し、再起動するときにも、各モードの初期位置(例えば全身モードにおいては初期ポジションA)を確認し、それから循環ポンプ16をオンすることで、誤動作を防ぐと共に、各モードの始まりを所定の噴出位置(全身モードと下半身モードでは配管14aを介した足先向け噴出、上半身モードでは配管11を介した腰向け噴出)からとすることができる。これにより、必ず身体の末端から心臓に向かうマッサージとなる。
また、循環ポンプ16から第1の弁9および第2の弁13を通じて各配管への送水時間を4秒から40秒と設定することが望ましい。各配管への送水時間とは、本実施例においては、例えば配管15への送水時間は、第1の弁9が弁内流路9b側に開いておりかつ第2の弁13が弁内流路13d側に開いている時間となり、およそ図4(b)ポジションから(a)ポジションに到るまでの時間である。この各配管への送水時間は、各配管に対応する各噴出ノズルからの浴水噴出の時間を決定しており、すなわち、マッサージ時間を決定するものである。例えば、スイングさせながら噴射させる足裏用ノズル2sの場合、噴出時間は配管14aと配管14bの2本分の送水時間を加味して決定されるため送水時間より若干長めとなり、およそ送水時間の3/2倍である。一方、脹脛用ノズル3の場合、噴出時間は配管15によってのみ決定されるため送水時間と等しい。各配管への送水時間が4秒以上だと、水流により撫で上げるリンパマッサージ効果が十分に得られ、また、40秒以下だと、使用者が使用中に退屈になることなく使用することができる。
また、各部位での動作時間を使用者の好みに応じて設定できるようにしてもよく、この場合、設定時間に応じて弁体の速度や回動時間を変更するよう制御することで対応できる。
次に、第1発明において第1の弁として電磁式バルブを用いた変形例について述べる。本変形例の浴槽装置は、第1の弁9に電磁式バルブを用いる以外については、前述の第1発明の実施例の浴槽装置101と同じ構成を有している。
図10、図11及び図12は、本変形例の、全身モード、下半身モード、及び上半身モードのタイムチャートである。基本的なパターンは前記ロータリーバルブを用いた場合と同様であり、単一のポンプで全身モード、下半身モード、上半身モードを第1の弁9および第2の弁13の連動動作によって実現している。尚、電磁式バルブを用いた場合にはオン・オフの切替がデジタル的であるため、瞬時に浴水の噴出・停止がなされる。これにより、脹脛ノズル3から腰用ノズル4への噴出移行、及び背中用ノズル5から足裏用ノズル2sへの噴出移行が明確となり、撫で開始や撫で終わりが明確となり方向性が明確となる。また、腰用ノズル4から背中用ノズル5への噴出移行も明確になるため、噴出のオンオフが明確となり、つぼ押し効果が高まり、こり解消に効果的である。
尚、本変形例においても、前述の実施例同様、各弁の弁体の位置のチェック制御や、送水時間の設定や、使用者の好みに応じた各種設定などを、行えるようにしてもよい。
以上、単一のポンプに2つの弁を有する構成について説明してきたが、3つの弁を有する構成としてもよい。例えば、第1の弁9から腰用ノズル4及び背中用ノズル5との流路間に第3の弁21を設けてもよい。この場合、例えば、腰用ノズルを図5のような足裏ノズル2s同様のスイング噴射可能なノズルとし、第3の弁21をロータリー式とすれば、腰用ノズル4sからの噴出もスイング動を可能とすることができる。このとき、図13のように、第3の弁21と腰用ノズル4sは配管11a、11bにてつながれ、また、第3の弁21と背中用ノズル5は配管12にてつながれている。このように構成することで、上述の足裏ノズル2sと脹脛ノズル3との順番関係同様、腰から背中までのマッサージを順序よく行うことができる。この際、全身モードとしては広範囲を連続してマッサージすることが可能となる。また、背中用ノズルもスイング噴射可能なノズルとしてもよい。すなわち、背中用ノズル及び腰用ノズルのいずれか一方をスイング噴射可能なノズルとしてもよいし、両方をスイング可能なノズルとしてもよく、いずれにしても、更に広範囲を連続してマッサージすることが可能となる。
次に、本発明の第2発明について述べる。以下に本発明の第2発明の実施の一例を添付図面に基づいて説明する。図14(a)は本発明の第2発明に係る浴槽装置102の側面図であり、(b)は平面図である。図15は本発明に係る浴槽装置の主要構成部材の関係を示した概略図であり、図16(a)〜(c)は第2の弁の各ポジションでの断面図、図16(d)は第2の弁の側面図、図17はスイングさせながら噴射可能な脹脛用ノズルの断面図である。
第2発明の浴槽装置102は、浴槽1と、浴槽1に設けられた吸引口6と、足裏用ノズル2と、スイングさせながら噴射可能な脹脛用ノズル3sと、腰用ノズル4と、背中用ノズル5と、吸引口6から各ノズルに通じる循環径路を形成する配管と、循環径路内に設けられた循環ポンプ16と、第1の弁9と、第2の弁13を有する。尚、第1発明の浴槽装置101と同様の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第1の弁9については、第1発明の浴槽装置101と同様、図3を参照して説明する。
浴槽1において、入浴者の足先が位置する箇所には足裏用ノズル2が左右に1対配置され、入浴者の脹脛が位置する箇所には脹脛用ノズル3sが左右に1対配置され、入浴者の腰が位置する箇所には腰用ノズル4が1個配置され、入浴者の背中が位置する箇所には背中用ノズル5が1個配置されている。ここで、位置する箇所とは、入浴者(平均的な体格の使用者)が浴槽1に入ったと仮定したときの当該入浴者の足裏、脹脛、腰及び背中の近傍で、マッサージを行うのに最も効果的な位置を指す。
図14では、足裏用ノズル2は浴槽短辺側の一方の壁面に設けられ、脹脛用ノズル3sは浴槽底面に設けられ、腰用ノズル4および背中用ノズル5は浴槽短辺側のもう一方の壁面に設けられている。尚、各ノズルが配置される位置としては、図14に示した位置に限定されるものではなく、例えば、脹脛用ノズル3sは浴槽長辺側の壁面に設けられていてもよい。また、背中用ノズル5は、腰より若干上もしくは左右の肩甲骨の間を狙うように設けられていてもよい。
また、浴槽1は単一の循環ポンプ16を備えている。この循環ポンプ16は浴槽1に形成した吸引口6から浴水を配管7を介して吸引し、吸引した浴水を配管8を介して吐出する。
尚、本発明でいう浴水とは,気泡入りの浴水も含むものである。
配管8は第1の弁9に接続されている。本実施例にあっては、図3に示すように、第1の弁9としてロータリー式の4方弁を使用している。第1の弁9は、モータ92により回動する弁体91を有しており、この弁体91の状態によって流路の連通状態を変化させる。この4方弁の1つの弁内流路9aは前記配管8につながり、弁内流路9bは足裏用ノズル2及び脹脛用ノズル3sに浴水を供給する配管10につながり、弁内流路9cは腰用ノズル4に浴水を供給する配管11につながり、9dは背中用ノズル5に浴水を供給する配管12につながっている。
前記配管10は第2の弁13に接続されている。本実施例にあっては、図16に示すように、第2の弁13としてロータリー式の4方弁を使用している。第2の弁13は、モータ132により回動する弁体131を有しており、この弁体131の状態によって流路の連通状態を変化させる。この4方弁の1つの弁内流路13aは前記配管10につながり、弁内流路13bは足裏用ノズル2に浴水を供給する配管14につながり、残りの弁内流路13c、13dは脹脛用ノズル3sに浴水を供給する配管15a、15bにそれぞれつながっている。
前記配管14は更に途中で分岐して左右の足裏用ノズル2につながり、前記配管15a、15bは途中で分岐して左右の脹脛用ノズル3sにつながっている。
前記脹脛用ノズル3sはノズル自体は固定であるが、噴出する浴水がスイング動する構造となっている。具体的には、図17に示すように、脹脛用ノズル3sには前記配管15aにつながるノズル内流路3aと前記配管15bにつながるノズル内流路3bが形成され、これらノズル内流路3aとノズル内流路3bがノズル内で合流している。
而して、配管15aからの浴水が配管15bからの浴水よりも多いと図において右上側に浴水が噴出し、配管15bからの浴水が配管15aからの浴水よりも多いと図において右下側に浴水が噴出する。また、配管15aからの浴水と配管15bからの浴水とがほぼ等しい場合には、その中間の方向(紙面右方向)に噴出することになる。このように配管15a,15bからの浴水の流量を制御することで脹脛用ノズル3sから噴出する浴水はスイング動を行うことができる。すなわち、第2の弁13での配管15a、15bへの流量配分を変化させていくことにより、浴水噴射のスイング動を容易に実現できる。
以上の構成からなる浴槽装置102の動作について説明する。第2発明の浴槽装置102は、足裏用ノズル2、脹脛用ノズル3s、腰用ノズル4、背中用ノズル5から連続的に順番に浴水を噴出させる全身モードと、足裏用ノズル2、脹脛用ノズル3sから連続的に順番に浴水を噴出させる下半身モードと、腰用ノズル4、背中用ノズル5から浴水を噴出させる上半身モードを有している。
先ず全身モードについて説明する。本実施例では、第1の弁9として前述のロータリー式の4方弁(図3)を、また第2の弁13として前述のロータリー式の4方弁(図16)を用いており、図18は全身モードにおける主要構成部材と噴出状態を示した概略図である。尚、全身モードのタイムチャートとしては、第1発明と同様であり、図6を用いて説明する。
第1の弁9は図3に示したように5つのポジションが、第2の弁13は図16に示したように3つのポジションが、弁体の回動方向に重ならないよう設定されており、弁体91、131が回動することによって各ポジションを得ることができる。例えば第1の弁9では、図3(a)(b)(c)に示される3つのポジションで弁内流路9aを弁内流路9bにのみ接続することになる。尚、各ポジション間の回動途中では、2つの出水側流路にまたがって連通状態を形成することもあり、この際、連通状態(開度状態)に応じて送水量が2つの出水側流路に配分されることになる。
ここでは、各ポジション間の移動速度は全て等しく設定されている。すなわち、第1の弁9の回転周期(一回転するのに必要な時間)と第2の弁の回転周期の比は、5対3である。尚、第1の弁9の弁体91及び第2の弁13の弁体131は、基本的に紙面上時計回りに回動する。
先ず、使用者からの全身モード開始の指令入力を受けて、第1の弁9を図3(a)ポジションとし、第2の弁13を図16(a)ポジションとする(この第1の弁9および第2の弁13の状態を初期ポジションBと呼ぶ)。各弁がそれぞれのポジションにあること(初期ポジションBであること)を確認してから循環ポンプ16をオンし浴水の噴出を開始する。この状態では図18(a)に示すように、配管14及び左右の足裏用ノズル2を介して使用者の足裏に向けて浴水が噴出される。
この後、循環ポンプ16の送水が安定する所定の時間経過後、第1の弁9及び第2の弁13の回動動作を開始する。第1の弁9を図3(b)ポジションとし、第2の弁13を図16(b)ポジションまで回転せしめる。すると、配管14を介した左右の足裏ノズル2からの足裏向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管15aを介した左右の脹脛用ノズル3sからの足首向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図18(b)に示すように、左右の足裏用ノズル2及び脹脛用ノズル3sの両方から噴出される状態を経て、図18(c)に示すように、配管15aを介して左右の脹脛用ノズル3sから浴水が足首に向けて噴出される。
次いで、第1の弁9を図3(c)ポジションまで回動せしめ、第2の弁13を図16(c)ポジションまで回転せしめる。この間に図18(d)に示すように、配管15a、15bを介して左右の脹脛用ノズル3sから脹脛に向けて噴出される状態を経て、図18(e)に示すように、配管15bを介して左右の脹脛用ノズル3sから浴水が膝裏に向けて噴出される。
その結果、左右の脹脛用ノズル3sから噴出される浴水の方向は、使用者の足首から脹脛を経て膝裏に至るまで連続的に移るスイング動をなすことができる。これにより、脹脛を撫で上げる動作を実現できる。
次いで、第1の弁9を図3(d)ポジションまで回動せしめるとともに、第2の弁13を図16(c)ポジションを維持したまま停止させておく。すると、膝裏向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり腰向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図18(f)に示すように、配管15bを介した脹脛用ノズル3s及び腰用ノズル4の両方から浴水が噴出する状態を経て、図18(g)に示すように、配管11のみを介して腰用ノズル4から腰に向けて噴出する状態となる。
この後、第1の弁9を図3(d)から(e)ポジションまで回転させると、配管11を介した腰用ノズル4からの腰向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管12を介した背中用ノズル5からの背中向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図18(h)に示すように、腰用ノズル4及び背中用ノズル5から腰及び背中に向けて同時に噴出する状態を経て、図18(i)に示すように、配管12のみを介して背中用ノズル5から背中に向けて噴出する状態となる。この際、第2の弁13は図16(c)ポジションから(a)ポジションに回動させておく。
この後、第1の弁9を図3(a)ポジションまで回動させて初期ポジションBに戻す。この間に、背中向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管14からの足先向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図18(j)に示すように、背中用ノズル5及び足裏用ノズルの両方から浴水が噴出する状態をて、配管14を介した左右の足裏用ノズル2からの足裏向けの浴水が噴出される図18(a)の状態に戻る。この際、第2の弁13は図16(a)ポジションに維持したまま停止させておく。
以上の動作を1サイクルとして繰り返し行い、使用者の停止の指令入力を受けてもしくは所定の時間の経過後、循環ポンプ16をオフし全身モードは終了となる。このとき、初期ポジションBに戻す動作をさせてもよい。
このような動作を行う全身モードによって、単一のポンプで、足裏から始まって、足首、脹脛、膝裏、腰、背中と、順番にかつ連続的に水流にて使用者の全身を撫で上げながら刺激することができ、常に末端から心臓に向かう方向で全身をマッサージし、リンパの流れを促進し、むくみ解消などの効果を効率よく発揮することができる。このとき、各ノズル間の噴出移行は、第1の弁9および第2の弁13の回動動作によりスムーズに行われるため、使用者にとって違和感のないマッサージ効果の高いシステムを実現できる。
続いて下半身モードについて説明する。下半身モードのタイムチャートとしては、第1発明と同様であり、図8を用いて説明する。基本的には前記全身モードから上半身モードを省略したものであり、第1の弁9は図3(a)ポジションに固定され、この間に第2の弁13が回動することで、図18(a)から(e)までを行い(a)に戻る、という工程を繰り返し行うことになる。尚、第1の弁9は図3(b)または(c)ポジションに固定してもよい。
このような動作を行う下半身モードによって、単一のポンプで、足裏から始まって、足首、脹脛、膝裏と、むくみの発生しやすい下半身に対して、順番にかつ連続的に水流を作用させることができ、常に身体の末端から心臓に向かう方向で下半身をマッサージし、リンパの流れを促進し、むくみ解消などの効果を効率よく発揮することができる。
続いて上半身モードについて説明する。上半身モードのタイムチャートとしては、第1発明と同様であり、図9を用いて説明する。基本的には前記全身モードから下半身モードを省略したものであり、第2の弁13は図16(a)ポジションに固定され、この間に第1の弁9が図3(d)ポジションと(e)ポジションとの間を回動往復((d)ポジションから(e)ポジションは時計回り、(e)ポジションから(d)ポジションは反時計回り、の反復動作)することで、図18(g)(h)(i)(h)(g)の工程を繰り返し行うことになる。尚、第2の弁13は16(b)または(c)ポジションに固定してもよい。
このような動作を行う上半身モードによって、単一のポンプで、腰から背中の背骨周りに存在するつぼを中心としたマッサージポイントに対して、腰用ノズル4および背中用ノズル5から交互に水流を作用させることができ、広範囲にわたって上半身をマッサージし、こり解消などの効果を効率よく発揮することができる。
以上述べてきたように、本発明によれば、単一のポンプで全身モード、下半身モード、上半身モード、のそれぞれを実現でき、かつそれぞれのモードにおいて各ノズルから順番に水流を身体に対して作用させることができ、リンパマッサージやこり解消といったマッサージ効果をより効率よく発揮することができる。
また、使用者の状態や好みによって、全身を撫で上げてくれる全身モード、下半身のむくみを重点的に解消する下半身モード、上半身のこりを重点的に解消する上半身モード、を使い分けることができ、使用者にとってより好ましいシステムを単一のポンプで実現している。
このように、単一のポンプで順番に連続的に水流を噴出させるために、二つの弁(第1の弁9、第2の弁13)は上記のように連動して動かす必要がある。具体的には、第1の弁9が第2の弁13側に開いているとき(図3(a)ポジションから(c)ポジションまで)に、第2の弁13の一連の動作(少なくとも図16(a)ポジションから(c)ポジションまで)を行う必要がある。この連動動作を確実にするため、各モードでの動作状態において、第1の弁9と第2の弁13のポジション、具体的には弁体91と弁体131の位置をチェックする制御を行っても良い。例えば、全身モードにおいては初期ポジションBは定期的に訪れるので、このポジションを定期的にチェックしポジションのずれを補正することで、誤動作を防ぐことができる。同様に、本浴槽装置102の運転を一時中断し、再起動するときにも、各モードの初期位置(例えば全身モードにおいては初期ポジションB)を確認し、それから循環ポンプ16をオンすることで、誤動作を防ぐと共に、各モードの始まりを所定の噴出位置(全身モードと下半身モードでは配管14を介した足裏向け噴出、上半身モードでは配管11を介した腰向け噴出)からとすることができる。これにより、必ず身体の末端から心臓に向かうマッサージとなる。
また、循環ポンプ16から第1の弁9および第2の弁13を通じて各配管への送水時間を4秒から40秒と設定することが望ましい。各配管への送水時間とは、本実施例においては、例えば配管14への送水時間は、第1の弁9が弁内流路9b側に開いておりかつ第2の弁13が弁内流路13b側に開いている時間となり、およそ図16(c)ポジションから(b)ポジションに到るまでの時間である。この各配管への送水時間は、各配管に対応する各噴出ノズルからの浴水噴出の時間を決定しており、すなわち、マッサージ時間を決定するものである。例えば、スイングさせながら噴射させる脹脛用ノズル3sの場合、噴出時間は配管15aと配管15bの2本分の送水時間を加味して決定されるため送水時間より若干長めとなり、およそ送水時間の3/2倍である。一方、足裏用ノズル2の場合、噴出時間は配管14によってのみ決定されるため送水時間と等しい。各配管への送水時間が4秒以上だと、水流により撫で上げるリンパマッサージ効果が十分に得られ、また、40秒以下だと、使用者が使用中に退屈になることなく使用することができる。
また、各部位での動作時間を使用者の好みに応じて設定できるようにしてもよく、この場合、設定時間に応じて弁体の速度や回動時間を変更するよう制御することで対応できる。
次に、第2発明において第1の弁として電磁式バルブを用いた変形例について述べる。本変形例の浴槽装置は、第1の弁9に電磁式バルブを用いる以外については、前述の第2発明の実施例の浴槽装置102と同じ構成を有している。
本変形例のタイムチャートとしては、第1発明の変形例のタイムチャートと同様である。すなわち、本変形例の全身モードのタイムチャートとして図10、下半身モードのタイムチャートとして図11、上半身モードのタイムチャートとして図12、を参照しながら説明する。
基本的なパターンは前記ロータリーバルブを用いた場合と同様であり、単一のポンプで全身モード、下半身モード、上半身モードを第1の弁9および第2の弁13の連動動作によって実現している。尚、電磁式バルブを用いた場合にはオン・オフの切替がデジタル的であるため、瞬時に浴水の噴出・停止がなされる。これにより、脹脛ノズル3sから腰用ノズル4への噴出移行、及び背中用ノズル5から足裏用ノズル2への噴出移行が明確となり、撫で開始や撫で終わりが明確となり方向性が明確となる。また、腰用ノズル4から背中用ノズル5への噴出移行も明確になるため、噴出のオンオフが明確となり、つぼ押し効果が高まり、こり解消に効果的である。
尚、本変形例においても、前述の実施例同様、各弁の弁体の位置のチェック制御や、送水時間の設定や、使用者の好みに応じた各種設定などを、行えるようにしてもよい。
以上、単一のポンプに2つの弁を有する構成について説明してきたが、3つの弁を有する構成としてもよい。例えば、第1の弁9から腰用ノズル4及び背中用ノズル5との流路間に第3の弁21を設けてもよい。この場合、例えば、背中用ノズルを図17のような脹脛ノズル3s同様のスイング噴射可能なノズルとし、第3の弁21をロータリー式とすれば、背中用ノズル5sからの噴出もスイング動を可能とすることができる。このとき、図19のように、第3の弁21と背中用ノズル5sは配管12a、12bにてつながれ、また、第3の弁21と腰用ノズル4は配管11にてつながれている。このように構成することで、上述の足裏ノズル2と脹脛ノズル3sとの順番関係同様、腰から背中、首下までのマッサージを順序よく行うことができる。この際、全身モードとしては、広範囲を連続してマッサージすることが可能となる。また、腰用ノズルもスイング噴射可能なノズルとしてもよい。すなわち、背中用ノズル及び腰用ノズルのいずれか一方をスイング噴射可能なノズルとしてもよいし、両方をスイング可能なノズルとしてもよく、いずれにしても、更に広範囲を連続してマッサージすることが可能となる。
次に、本発明の第3発明について述べる。以下に本発明の第2発明の実施の一例を添付図面に基づいて説明する。図20(a)は本発明の第3発明に係る浴槽装置103の側面図であり、(b)は平面図である。図21は本発明に係る浴槽装置の主要構成部材の関係を示した概略図であり、図22(a)〜(f)は第1の弁の各ポジションでの断面図、図22(g)は第1の弁の側面図、図23(a)〜(d)は第2の弁の各ポジションでの断面図、図23(e)は第2の弁の側面図である。
第3発明の浴槽装置103は、浴槽1と、浴槽1に設けられた吸引口6と、スイングさせながら噴射可能な足裏用ノズル2sと、スイングさせながら噴射可能な脹脛用ノズル3sと、腰用ノズル4と、背中用ノズル5と、吸引口6から各ノズルに通じる循環径路を形成する配管と、循環径路内に設けられた循環ポンプ16と、第1の弁39と、第2の弁33を有する。尚、第1発明の浴槽装置101および第2発明の浴槽装置102と同様の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、足裏用ノズル2sについては、第1発明と同様、図5を参照して説明し、脹脛用ノズル3sについては、第2発明と同様、図17を参照して説明する。
浴槽1において、入浴者の足先が位置する箇所には足裏用ノズル2sが左右に1対配置され、入浴者の脹脛が位置する箇所には脹脛用ノズル3sが左右に1対配置され、入浴者の腰が位置する箇所には腰用ノズル4が1個配置され、入浴者の背中が位置する箇所には背中用ノズル5が1個配置されている。ここで、位置する箇所とは、入浴者(平均的な体格の使用者)が浴槽1に入ったと仮定したときの当該入浴者の足裏、脹脛、腰及び背中の近傍で、マッサージを行うのに最も効果的な位置を指す。
図20では、足裏用ノズル2sは浴槽短辺側の一方の壁面に設けられ、脹脛用ノズル3sは浴槽底面に設けられ、腰用ノズル4および背中用ノズル5は浴槽短辺側のもう一方の壁面に設けられている。尚、各ノズルが配置される位置としては、図20に示した位置に限定されるものではなく、例えば、脹脛用ノズル3sは浴槽長辺側の壁面に設けられていてもよい。また、背中用ノズル5は、腰より若干上もしくは左右の肩甲骨の間を狙うように設けられていてもよい。
また、浴槽1は単一の循環ポンプ16を備えている。この循環ポンプ16は浴槽1に形成した吸引口6から浴水を配管7を介して吸引し、吸引した浴水を配管8を介して吐出する。
尚、本発明でいう浴水とは、気泡入りの浴水も含むものである。
配管8は第1の弁39に接続されている。本実施例にあっては、図22に示すように、第1の弁39としてロータリー式の4方弁を使用している。第1の弁39は、モータ392により回動する弁体391を有しており、この弁体391の状態によって流路の連通状態を変化させる。この4方弁の1つの弁内流路39aは前記配管8につながり、弁内流路39bは足裏用ノズル2s及び脹脛用ノズル3sに浴水を供給する配管10につながり、弁内流路39cは腰用ノズル4に浴水を供給する配管11につながり、39dは背中用ノズル5に浴水を供給する配管12につながっている。
前記配管10は第2の弁33に接続されている。本実施例にあっては、図23に示すように、第2の弁33としてロータリー式の5方弁を使用している。第2の弁33は、モータ332により回動する弁体331を有しており、この弁体331の状態によって流路の連通状態を変化させる。この5方弁の1つの弁内流路33aは前記配管10につながり、弁内流路33b、33cは足裏用ノズル2sに浴水を供給する配管14a、14bにそれぞれつながり、残りの弁内流路33d、33eは脹脛用ノズル3sに浴水を供給する配管15a、15bにそれぞれつながっている。
前記配管14a、14bは更に途中で分岐して左右の足裏用ノズル2sにつながり、前記配管15a、15bは途中で分岐して左右の脹脛用ノズル3sにつながっている。
前記足裏用ノズル2s及び脹脛用ノズル3sはノズル自体は固定であるが、噴出する浴水がスイング動する構造となっている。具体的構造については、足裏用ノズル2sは第1発明において図5を参照して説明したのと同様であり、脹脛用ノズル3sは第2発明において図17を参照して説明したのと同様であり、第2の弁33での各配管への流量配分を変化させていくことにより、浴水噴射のスイング動を容易に実現できる。
以上の構成からなる浴槽装置103の動作について説明する。第3発明の浴槽装置103は、足裏用ノズル2s、脹脛用ノズル3s、腰用ノズル4、背中用ノズル5から連続的に順番に浴水を噴出させる全身モードと、足裏用ノズル2s、脹脛用ノズル3sから連続的に順番に浴水を噴出させる下半身モードと、腰用ノズル4、背中用ノズル5から浴水を噴出させる上半身モードを有している。
先ず全身モードについて説明する。本実施例では、第1の弁39として前述のロータリー式の4方弁(図22)を、また第2の弁33として前述のロータリー式の5方弁(図23)を用いており、図24は全身モードのタイムチャート、図25は全身モードにおける主要構成部材と噴出状態を示した概略図である。尚、タイムチャート内の図の矢印は後述する各弁のポジションを模式的に表している。
第1の弁39は図22に示したように6つのポジションが、第2の弁33は図23に示したように4つのポジションが、弁体の回動方向に重ならないよう設定されており、弁体391、331が回動することによって各ポジションを得ることができる。例えば第1の弁39では、図22(a)(b)(c)(d)に示される4つのポジションで弁内流路39aを弁内流路39bにのみ接続することになる。尚、各ポジション間の回動途中では、2つの出水側流路にまたがって連通状態を形成することもあり、この際、連通状態(開度状態)に応じて送水量が2つの出水側流路に配分されることになる。
ここでは、各ポジション間の移動速度は全て等しく設定されている。すなわち、第1の弁39の回転周期(一回転するのに必要な時間)と第2の弁33の回転周期の比は、6対4である。尚、第1の弁39の弁体391及び第2の弁33の弁体331は、基本的に紙面上時計回りに回動する。
先ず、使用者からの全身モード開始の指令入力を受けて、第1の弁39を図22(a)ポジションとし、第2の弁33を図23(a)ポジションとする(この第1の弁39および第2の弁33の状態を初期ポジションCと呼ぶ)。各弁体がそれぞれのポジションにあること(初期ポジションCであること)を確認してから循環ポンプ16をオンし浴水の噴出を開始する。この状態では図25(a)に示すように、配管14a及び左右の足裏用ノズル2sのノズル内流路2aを介して使用者の足先に向けて浴水が噴出される。
この後、循環ポンプ16の送水が安定する所定の時間経過後、第1の弁39及び第2の弁33の回動動作を開始する。第1の弁39を図22(b)ポジションとし、第2の弁33を図23(b)ポジションまで回転せしめる。すると、配管14aを介した足裏ノズル2sからの足先向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管14bを介した足裏ノズル2sからの踵向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図25(b)に示すように、配管14a、14bを介して左右の足裏用ノズル2から浴水が足裏に向けて噴出される状態を経て、図25(c)に示すように、配管14bを介して左右の足裏用ノズル2から浴水が踵に向けて噴出される。
その結果、左右の足裏用ノズル2sから噴出される浴水の方向は、使用者の足先から土踏まずを経て踵に至るまで連続的に移るスイング動をなすことができる。これにより、足裏を撫でる動作を実現できる。
次いで、第1の弁39を図22(c)ポジションまで回動せしめ、第2の弁33を図23(c)ポジションまで回転せしめる。すると、踵向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり足首向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、この間に図25(d)に示すように、左右の足裏用ノズル2s(ノズル内流路2b)及び脹脛用ノズル3s(ノズル内流路3a)の両方から噴出している状態を経て、図25(e)に示すように、左右の脹脛用ノズル3sのみから浴水が足首に向けて噴出される。
次いで、第1の弁39を図22(d)ポジションまで回動せしめ、第2の弁33を図23(d)ポジションまで回転せしめる。すると、足首向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり膝裏向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、この間に図25(f)に示すように、配管15a、15bを介して左右の脹脛用ノズル3sから浴水が脹脛に向けて噴出される状態を経て、図25(g)に示すように、配管15bを介して左右の脹脛用ノズル3sから浴水が膝裏に向けて噴出される。
その結果、左右の脹脛用ノズル3sから噴出される浴水の方向は、使用者の足首から脹脛を経て膝裏に至るまで連続的に移るスイング動をなすことができる。これにより、脹脛を撫で上げる動作を実現できる。
次いで、第1の弁39を図22(e)ポジションまで回動せしめるとともに、第2の弁33を図23(d)ポジションを維持したまま停止させておく。すると、膝裏向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり腰向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図25(h)に示すように、脹脛用ノズル3及び腰用ノズル4の両方から浴水が噴出する状態を経て、図25(i)に示すように、配管11のみを介して腰用ノズル4から腰に向けて噴出する状態となる。
この後、第1の弁39を図22(e)から(f)ポジションまで回転させると、配管11を介した腰用ノズル4からの腰向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管12を介した背中用ノズル5からの背中向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図25(j)に示すように、腰用ノズル4及び背中用ノズル5から腰及び背中に向けて噴出する状態を経て、図25(k)に示すように、配管12のみを介して背中用ノズル5から背中に向けて噴出する状態となる。この際、第2の弁33は図23(d)ポジションから(a)ポジションに回動させておく。
この後、第1の弁39を図22(a)ポジションまで回動させて初期ポジションCに戻す。この間に、背中向けの浴水の噴出が徐々に弱くなり配管14aを介した足裏用ノズル2sからの足先向けの浴水の噴出が徐々に強くなり、図25(l)に示すように、背中用ノズル5及び足裏用ノズル2sから浴水が噴出する状態を経て、配管14aを介した足裏用ノズル2sからの足先向けの浴水が噴出される図25(a)の状態に戻る。この際、第2の弁33は図23(a)ポジションに維持したまま停止させておく。
以上の動作を1サイクルとして繰り返し行い、使用者の停止の指令入力を受けてもしくは所定の時間の経過後、循環ポンプ16をオフし全身モードは終了となる。このとき、初期ポジションCに戻す動作をさせてもよい。
このような動作を行う全身モードによって、単一のポンプで、足先から始まって、足裏、踵、足首、脹脛、膝裏、腰、背中と、順番にかつ連続的に水流にて使用者の全身を撫で上げることができ、常に身体の末端から心臓に向かう方向で全身をマッサージし、リンパの流れを促進し、むくみ解消などの効果を効率よく発揮することができる。このとき、各ノズル間の噴出移行は、第1の弁39および第2の弁33の回動動作により、スムーズに行われるため、使用者にとって違和感のないマッサージ効果の高いシステムを実現できる。
図26は下半身モードのタイムチャートであり、基本的には前記全身モードから上半身モードを省略したものであり、第1の弁39は図22(a)ポジションに固定され、この間に第2の弁33が回動することで、図25(a)から(g)までを行い(a)に戻る、という工程を繰り返し行うことになる。
尚、第1の弁39は図22(b)、(c)、(d)いずれのポジションに固定してもよい。
このような動作を行う下半身モードによって、単一のポンプで、足先から始まって、足裏、踵、足首、脹脛、膝裏と、むくみの発生しやすい下半身に対して、順番にかつ連続的に水流を作用させ撫で上げることができ、常に身体の末端から心臓に向かう方向で下半身をマッサージし、リンパの流れを促進し、むくみ解消などの効果を効率よく発揮することができる。
図27は上半身モードのタイムチャートであり、基本的には前記全身モードから下半身モードを省略したものであり、第2の弁33は図23(a)ポジションに固定され、この間に第1の弁39が図22(e)ポジションと(f)ポジションとの間を回動往復((e)ポジションから(f)ポジションは時計回り、(f)ポジションから(e)ポジションは反時計回り、の反復動作)することで、図25(i)(j)(k)(j)(i)の工程を繰り返し行うことになる。尚、第2の弁33は図23(b)または(c)ポジションに固定してもよい。
このような動作を行う上半身モードによって、単一のポンプで、腰から背中の背骨周りに存在するつぼを中心としたマッサージポイントに対して、交互に水流を作用させることができ、広範囲にわたって上半身をマッサージし、こり解消などの効果を効率よく発揮することができる。
以上述べてきたように、本発明によれば、単一のポンプで全身モード、下半身モード、上半身モード、のそれぞれを実現でき、かつそれぞれのモードにおいて各ノズルから順番に身体に対して作用させることができ、リンパマッサージやこり解消といったマッサージ効果をより効率よく発揮することができる。
また、使用者の状態や好みによって、全身を撫で上げてくれる全身モード、下半身むくみを重点的に解消する下半身モード、上半身のこりを重点的に解消する上半身モード、を使い分けることができ、使用者にとってより好ましいシステムを単一のポンプで実現している。
このように、単一のポンプで順番に連続的に水流を噴出させるために、二つの弁(第1の弁39、第2の弁33)は上記のように連動して動かす必要がある。具体的には、第1の弁39が第2の弁33側に開いているとき(図22(a)ポジションから(d)ポジションまで)に、第2の弁33の一連の動作(少なくとも図23(a)ポジションから(d)ポジションまで)を行う必要がある。この連動動作を確実にするため、各モードでの動作状態において、第1の弁39と第2の弁33のポジション、具体的には弁体391と弁体331の位置、をチェックする制御を行っても良い。例えば、全身モードにおいては初期ポジションCは定期的に訪れるので、このポジションを定期的にチェックしポジションのずれを補正することで、誤動作を防ぐことができる。同様に、本浴槽装置103の運転を一時中断し、再起動するときにも、各モードの初期位置(例えば全身モードにおいては初期ポジションC)をチェックし、それから循環ポンプ16をオンすることで、誤動作を防ぐと共に、各モードの始まりを所定の噴出位置(全身モードと下半身モードでは配管14aを介した足先向け噴出、上半身モードでは配管11を介した腰向け噴出)からとすることができる。これにより必ず身体の末端から心臓に向かうマッサージとなる。
また、循環ポンプ16から第1の弁39および第2の弁33を通じて各配管への送水時間を4秒から40秒と設定することが望ましい。各配管への送水時間とは、本実施例においては、例えば配管14bへの送水時間は、第1の弁39が弁内流路9b側に開いておりかつ第2の弁33が弁内流路13c側に開いている時間となり、およそ図23(a)ポジションから(c)ポジションに到るまでの時間である。この各配管への送水時間は、各配管に対応する各噴出ノズルからの浴水噴出の時間を決定しており、すなわち、マッサージ時間を決定するものである。例えば、スイングさせながら噴射させる脹脛用ノズル3sの場合、噴出時間は配管15aと配管15bの2本分の送水時間を加味して決定されるため送水時間より若干長めとなり、およそ送水時間の3/2倍である。各配管への送水時間が4秒以上だと、水流により撫で上げるリンパマッサージ効果が十分に得られ、また、40秒以下だと、使用者が使用中に退屈になることなく使用することができる。
また、各部位での動作時間を使用者の好みに応じて設定できるようにしてもよく、この場合、設定時間に応じて弁体の速度や回動時間を変更するよう制御することで対応できる。
次に、第3発明において第1の弁として電磁式バルブを用いた変形例について述べる。本変形例の浴槽装置は、第1の弁39に電磁式バルブを用いる以外については、前述の第3発明の実施例の浴槽装置103と同じ構成を有している。
図28、図29及び図30は、本変形例の、全身モード、下半身モード、及び上半身モードのタイムチャートである。基本的なパターンは前記ロータリーバルブを用いた場合と同様であり、単一のポンプで全身モード、下半身モード、上半身モードを第1の弁39および第2の弁33の連動動作によって実現している。尚、電磁式バルブを用いた場合にはオン・オフの切替がデジタル的であるため、瞬時に浴水の噴出・停止がなされる。これにより、脹脛用ノズル3sから腰用ノズル4への噴出移行、及び背中用ノズル5から足裏用ノズル2sへの噴出移行が明確となり、撫で開始や撫で終わりが明確となり方向性が明確となる。また、腰用ノズル4から背中用ノズル5への噴出移行も明確になるため、噴出のオンオフが明確となり、つぼ押し効果が高まり、こり解消に効果的である。
尚、本変形例においても、前述の実施例同様、各弁の弁体の位置のチェック制御や、送水時間の設定や、使用者の好みに応じた各種設定などを、行えるようにしてもよい。
以上、単一のポンプに2つの弁を有する構成について説明してきたが、3つの弁を有する構成としてもよい。例えば、第1の弁39から腰用ノズル4及び背中用ノズル5との流路間に第3の弁21を設けてもよい。この場合、例えば、腰用ノズルを図5のような足裏ノズル2s同様のスイング噴射可能なノズルとし、第3の弁21をロータリー式とすれば、腰用ノズル4sからの噴出もスイング動を可能とすることができる。第3の弁21をロータリー式とすれば、上述同様、背中用ノズル4のスイング動を容易に行うことができる。このとき、図31のように、第3の弁21と腰用ノズル4sは配管11a、11bにてつながれ、また、第3の弁21と背中用ノズル5は配管12にてつながれている。このように構成することで、上述の足裏ノズル2sと脹脛ノズル3との順番関係同様、腰から背中までのマッサージを順序よく行うことができる。この際、全身モードとしては広範囲を連続してマッサージすることが可能となる。また、背中用ノズルもスイング噴射可能なノズルとしてもよい。すなわち、背中用ノズル及び腰用ノズルのいずれか一方をスイング噴射可能なノズルとしてもよいし、両方をスイング可能なノズルとしてもよく、いずれにしても、更に広範囲を連続してマッサージすることが可能となる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の浴槽装置を構成するいずれかの要素について当業者が設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を備えたものであれば、本発明の範囲に包含される。
例えば、各浴水噴射ノズルの位置や大きさ、又、各弁の速度や停止のタイミングなど詳細な動きなどについて当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。