第1の発明は、浴槽と、前記浴槽に設けられ、前記浴槽の浴槽壁面に沿う噴流を吐出する吐水部と、前記吐水部に接続され、前記吐水部から吐水される噴流の水量を調節する吐水駆動部と、を備え、前記制御部は、前記吐水駆動部を制御して前記入浴者を揺動させる強さの、前記浴槽壁面に沿った旋回流を生成する噴流を、前記吐水部から間欠的に吐水させることを特徴とする浴槽装置である。
この浴槽装置によれば、浴槽側面に沿って吐水部より吐出される噴流が、浴槽内に溜められた湯水を旋回させる。それによって、この浴槽内に生まれる旋回流は、浴槽内の使用者の入浴姿勢を揺動させると共に、使用者に体幹部を中心とした旋回運動を誘発させる。即ち、入浴しながら、ストレッチや筋機能を高める運動を提供することが可能となる。
第2の発明は、第1の発明において、前記吐水部は、前記浴槽壁面に沿って噴流を吐水し、浴槽内に第一の旋回流を生成する第一の吐水部と、前記浴槽壁面に沿って噴流を吐水し、浴槽内に第一の旋回流とは逆方向の、第二の旋回流を生成する第二の吐水部と、を有し、前記制御部は、前記入浴者を揺動させる強さの、前記浴槽壁面に沿った旋回流を生成する噴流を、前記第一及び第二の吐水部からそれぞれ間欠的に、且つ交互に吐水させることを特徴とする浴槽装置である。
この浴槽装置によれば、浴槽側面に備わる吐水部は、浴槽側面に沿って噴流を吐出し、浴槽内に溜められた湯水を時計周り方向と反時計周り方向に旋回させることが可能である。それによって、この浴槽内に生まれる二つの回転方向の旋回流は、浴槽内の使用者の入浴姿勢を効果的に揺動させると共に、使用者に体幹部を中心とした旋回運動を誘発させる。特に使用者の身体部位において、左右均等に、かつ、全身を刺激することとなる。即ち、入浴しながら、ストレッチや筋機能を高める運動を効果的行えることが可能となる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記吐水部は、前記浴槽壁面に沿って噴流を吐水し、前記浴槽内に前記第一の旋回流を生成する第三の吐水部と、前記浴槽壁面に沿って噴流を吐水し、前記浴槽内に前記第二の旋回流を生成する第四の吐水部とを有し、前記第三の吐水部は、前記第一の吐水部から前記浴槽の略中心より点対称の位置に配置され、前記第四の吐水部は、前記第二の吐水部から前記浴槽の略中心より点対称の位置に配置され、前記制御部は、前記第一の吐水部と前記第三の吐水部からの噴流を同期させ、前記第二の吐水部と前記第三の吐水部からの噴流を同期させることを特徴とする浴槽装置である。
この浴槽装置によれば、浴槽側面に備わる吐水部は、浴槽側面に沿って噴流を吐出し、浴槽内の溜められた湯水を時計周り方向と反時計周り方向に旋回させることが可能とである。その時、吐水部を浴槽の略中心より点対称の位置に配置する。すると、浴槽側面に生成される旋回流は、浴槽内週の半分程度で噴流が吐出されるため、使用者を揺動させる旋回流を維持することが可能となり、より効果的に使用者へ旋回運動を提供するとともに、入浴しながらのストレッチ運動や筋機能を高める運動を実現できるようになる。
前記浴槽は、前記入浴者を揺動させる強さの、前記浴槽壁面に沿った旋回流を減衰させないよう、前記浴槽を略円状としたことを特徴とする浴槽装置である。
この浴槽装置によれば、浴槽側面を略円状とすることで、浴槽側面に沿って吐水部より吐出される噴流が、減衰することなく浴槽内に溜められた湯水を旋回させる。また、減衰が少ない旋回流によって、誘発される使用者の揺動も略円状の浴槽壁面に沿って、滑らかに揺り動かさる。即ち、障害壁などに衝突することもなく快適に旋回運動、ストレッチ運動を入浴者は受けることが可能となる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る浴槽装置を例示する模式図である。図1(a)は模式断面図であり、図1(b)は模式平面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る浴槽装置1は、浴室ユニット60内に設けられている。浴室ユニット60は、防水パン61によって床が構成されており、壁パネル62によって壁が構成されており、天井パネル(図示せず)によって天井が構成された箱形の水密ユニットである。浴槽装置1は、防水パン61上に配置されている。
浴槽装置1には、浴槽2が設けられている。浴槽2の形状は例えば略直方体形状であり、この場合浴槽2は、背もたれ可能な背側面(第1の壁面)2aと、背側面2aに対向する足側面(第2の壁面)2bと、背側面2aの左側から足側面2bの右側にかけて延在する右側面(第3の壁面)2dと、背側面2aの右側から足側面2bの左側にかけて延在する左側面(第4の壁面)2eと、底面2cと、を有する。入浴者Mは、背側面2aに背を向け足側面2bに足を向けて浴槽2内に入浴することになる。
また、浴槽2には、浴槽壁面に沿って噴流を吐出するノズル(吐水部)3が設けられている。例えば、図1に表したように、足側面2bには、ノズル31R、31Lを設けることができる。ノズル31R及び31Lは、右側面2dと左側面2eに沿って背側面2aに向かった噴流を噴出する。
また、右側面2dにノズル35Rを設けることができ、右側面2dに沿って背側面2aに向かった噴流を噴出する。そして、左側面2eにノズル35Lを設けることができ、左側面2eに沿って背側面2aに向かった噴流を噴出する。また、ノズル35Rは、右側面2dに沿って足側面2bに向かった噴流も噴出する。そして、ノズル35Lは、左側面2eに沿って足側面2bに向かった噴流も噴出する。すなわち、浴槽の側面に設けられたノズル35R、35Lは、背側面2a方向と足側面2b方向の両方に噴流を吐水することが可能である。
また、背側面2aには、ノズル34R、34Lを設けることができる。ノズル34R及び34Lは、それぞれ右側面2dと左側面2eに沿って足側面2bに向かった噴流を噴出する。
なお、以下において、ノズル31R及び31L、ノズル34R及び34L、並びにノズル35R及び35Lを、それぞれまとめて「ノズル31」、「ノズル34」、「ノズル35」と呼ぶことがある。
これらの左右一対のノズルは、水平方向に並列して配列されており、例えば、右側面2d及び左側面2eから等距離にある中心線C(図1(b)参照)に関して対称となる位置に配置されている。なお、図1においては、図示の便宜上、ノズル31R及び31Lを相互にずらして描いているが、実際にはノズル31R及び31Lは同じ高さに配置されている。
浴槽2の長手方向の長さ、すなわち、背側面2aから足側面2bまでの長さは、標準的な体格の入浴者Mが入浴姿勢をとったとき、すなわち、臀部を底面2cに接触させ、背中m2を背側面2aに接触させ、足裏m6を足側面2bに対向させたときに、足裏m6が足側面2bに接触する程度の長さである。
また、浴槽装置1には、噴流を生成する吐水駆動部として、ポンプ4が設けられている。ポンプ4は、ノズル3に接続している。なお、図1では、簡略化のためノズル31に接続するポンプ4のみを描いたが、他のノズルが設けられている場合には、当該ノズルには同様にポンプ4が接続している。図1に表したポンプ4は、入浴者の右側に位置するノズル31Rに水を吐出するポンプ4Rと、入浴者の左側に位置するノズル31Lに水を吐出するポンプ4Lと、を有する。つまり、ポンプ4Rはノズル31Rに接続しており、ポンプ4Lはノズル31Lに接続している。ポンプ4の吸入口7は、浴槽2の内部に連通している。これにより、ポンプ4は浴槽2内から水を汲み上げ、噴流を生成して吐出する。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱された温水や湯も含むものとする。また、本願明細書における「噴流」は、水の噴流のみならず、必要に応じ、空気を含んだ気泡水の噴流としてもよい。
ポンプ4は、図示した2つのポンプ4R及び4Lを必ずしも有していなくともよく、1つのポンプであってもよい。この場合には、ポンプ4によって生成された噴流の流路を切り替えて、噴流をノズル31R及び31Lに対して交互に供給する切替部が、ノズル31とポンプ4との間に設けられる。これによれば、ポンプ4のサイズを小さくすることができ、足側面2bと壁パネル62との間の距離を短縮することができる。これにより、防水パン61、足側面2b、及び壁パネル62により囲まれ、ポンプ4等を収納する空間を小さくすることができ、浴槽ユニット内の限られた空間を有効に利用することができる。
また、ノズル34などがさらに設けられている場合には、ノズル34などにそれぞれ接続するポンプ4を別個に設けてもよく、あるいはノズル31、ノズル34等の全部または一部が1つのポンプ4を共有する構成にしてもよい。後者の場合は、ポンプ4によって生成された噴流の流路を切り替えて、噴流をノズル31やノズル34などに対して交互に供給する切替部を設けることができる。
図1に表した浴槽装置1によれば、ポンプ4は、ノズル31R及び31Lにそれぞれ接続したポンプ4R及び4Lを有するため、ノズル31R及び31Lからそれぞれ独立した態様で噴流を吐出することができる。例えば、ノズル31R及び31Lからは、異なる吐水流量や吐水時間の噴流を吐出できる。
浴槽装置1には、噴流を生成する吐水駆動部であるポンプ4の動作を制御する制御部5がさらに設けられている。制御部5は、ポンプ4に電気的に接続し、ポンプ4の動作を制御することによりノズル3からの噴流の状態を制御できる。そして、制御部5は、ノズル3からの噴流の状態を、次のように制御する。すなわち、制御部5は、噴流の状態を、相対的に流量の小さい第1の噴流状態と、相対的に流量の大きい第2の噴流状態と、に設定できる。そして、第1の噴流状態と第2の噴流状態との間の移行時において、噴流の作用により入浴者Mの身体を揺動させることができる。より詳細には、ノズル3から浴槽側面(2a、2b、2c、2d)に沿って噴出される噴流が、浴槽内に溜められた湯水を、浴槽壁面に沿った時計周りの旋回流D1と反時計回りD2の旋回流を生成することで、旋回流と同方向に入浴者Mの身体を揺動させることが出来る。
例えば、浴槽壁面に沿う第1の噴流状態に対しては、入浴者Mの身体部位が噴流によって生成された浴槽壁面に沿う旋回流の回転方向と逆向きに移動し、一方、浴槽壁面に沿う第2の噴流状態に対しては、入浴者Mの身体部位が噴流によって生成された浴槽壁面に沿う旋回流の回転方向と同方向に移動するように設定できる。
第1の噴流状態のときのノズル3からの吐水流量Q1は、例えば約30リットル/分程度である。一方、第2の噴流状態のときのノズル3からの吐水流量Q2は、例えば約120〜180リットル/分程度である。このように、第2の噴流状態のときの吐水流量Q2は、マッサージ用として噴出される噴流の吐水流量よりもかなり大きい。そのため、第2の噴流状態のときのノズル3からの噴流は、浴槽内に蓄えられた湯水を旋回させることができる。そして、旋回される浴槽内の湯水の働きによって、入浴者Mは、体幹部(胴体)m1を前後に動かしたり旋回させたりすることができる。
また、浴槽装置1は、例えばリモコンなどの操作部8を備えてもよい。操作部8は、例えば、浴室ユニット60の壁パネル62に取り付けられており、入浴者Mからの操作により制御部5へ制御信号を送信できる。そして、制御部5は、操作部8からの制御信号に基づいてポンプ4の動作を制御できる。つまり、入浴者Mは、操作部8を操作することによりポンプ4の動作を制御し、ノズル3からの噴流の状態を変更できる。
なお、前述したように、第1の噴流状態のときの吐水流量Q1は、例えば約30リットル/分程度や、0(ゼロ)リットル/分へ設定できる。もし、吐水流量Q1が、0(ゼロ)リットル/分でない時、制御部5がノズル3からの噴流を第1の噴流状態から第2の噴流状態に切り替えた場合でも、ポンプ4に対して過負荷がかかるおそれは少ない。さらに、第1の噴流状態から第2の噴流状態に切り替わる時間、すなわち吐水流量Q1から吐水流量Q2の噴流が吐水されるまでの時間を短縮することもできる。
次に、浴槽装置1の構成及び動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
(具体例1)
まず、本実施形態の浴槽装置1の構成及び動作の一例(具体例1)について、図2〜図4を参照しつつ説明する。
図2(a)及び(b)は、具体例1に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式平面図である。
図3(a)及び(b)は、具体例1に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式側面図である。
図2(a)及び図3(a)は、浴槽内に溜められた湯水が、時計回りに旋回する(ClockWise:CW)状態を表している。図2(b)及び図3(b)は、反時計回りに旋回する(CounterClockWise:CCW)状態を表している。
図2及び図3に表したように、具体例1では、背側面2aにノズル34(ノズル34R、34L)が設けられている。そして、制御部5は、ノズル34Rから吐出される噴流の状態を、第1の噴流状態と、第2の噴流状態と、に交互に設定するとともに、ノズル34Lから吐出される噴流の状態を、第1の噴流状態と、第2の噴流状態と、に交互に設定する。また、制御部5は、ノズル34R及びノズル34Lからの噴流状態が逆位相となるように制御する。すなわち、ノズル34Lから吐出される噴流の状態は、ノズル34Rから吐出される噴流の状態が第1の噴流状態であるときの略全期間において第2の噴流状態となり、ノズル34Rから吐出される噴流の状態が第2の噴流状態であるときの略全期間において第1の噴流状態となる。以下、浴槽装置1の動作及び入浴者Mの状態について詳細に説明する。
吐水部3の名称の詳細を各図より説明する。図2(a)において、時計周りの旋回流D1を生成するために、左側面2eに沿った第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第1の吐水部を34Lとする。一方、図2(b)において、反時計周りの旋回流D2を生成するために、右側面2dに沿って第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第2の吐水部を34Rとする。
まず、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。すなわち、入浴者Mは、臀部を底面2cに接触させ、背中m2を背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに接触させる初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節、及び股関節は脱力しているものとする。
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル34に対して供給する。このとき、ノズル34R及び34Lからそれぞれ吐出される噴流の時間に対する吐水流量は、例えば図4に表した如くである。
図4は、時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
図4に表したグラフ図においては、周期に対する吐水流量Q2が持続する時間の割合(比率)を表すデューティ比は、「0.5」である。但し、このデューティ比(0.5)は、一例にすぎず、これだけに限定されるわけではない。なお、本願明細書において「周期」とは、第1の噴流状態(吐水流量Q1)が開始してから次の第1の噴流状態(吐水流量Q1)が開始するまでの時間、あるいは第2の噴流状態(吐水流量Q2)が開始してから次の第2の噴流状態(吐水流量Q2)が開始するまでの時間をいうものとする。
また、第1の噴流状態(吐水流量Q1)と、第2の噴流状態(吐水流量Q2)と、は交互に切り替えられ、ノズル34R及びノズル34Lからの噴流状態は逆位相である。
まず、図2(a)及び図3(a)の矢印A2で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル34Lから吐水流量Q2の噴流を吐出させる。また、図2(a)の矢印A1で示すように、ノズル34Rからは吐水流量Q1の噴流を吐出させる。ノズル34Lからの噴流は、左側面2eに沿って背側面2aから足側2bへ噴出する。すると、入浴者Mの左側面2eに近い身体部位は、ノズル34Lより噴出される方向と同じ方向に移動する。一方、ノズル34Rからの噴流は、流量が小さいため、右側2dに近い身体部位は、移動しない。もしくは、ノズル34Lからの噴流による移動する身体部位の移動の反動で、ノズル34Rより噴出される水流の方向と反対方向に移動することとなる。即ち、体幹部m1は、上から見て時計回り(CW)に旋回する。
また、ノズル34Lからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
その後、図2(b)及び図3(b)の矢印A1で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル34Lから吐水流量Q1の噴流を吐出させる。また、図2(b)の矢印A2で示すように、ノズル34Rからは吐水流量Q2の噴流を吐出させる。
ノズル34Rからの噴流は、右側面2dに沿って背側面2aから足側2bへ噴出する。すると、入浴者Mの右側2dに近い身体部位は、ノズル34Lより噴出される方向と同じ方向に移動する。一方、ノズル34Lからの噴流は、流量が小さいため、左側2eに近い身体部位は、移動しない。もしくは、ノズル34Rからの噴流による移動する身体部位の移動の反動で、ノズル34Lより噴出される水流の方向と反対方向に移動することとなる。即ち、体幹部m1は、上から見て反時計回り(CCW)に旋回する。
また、ノズル34Rからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
噴流状態の周期は、目的や体調などに応じて適宜選択することができる。例えば、周期を長くすることで、ゆっくりとした筋の伸張を行わせることができる。また、周期を短くすると筋は短時間で多くの伸張を繰り返すことができ、効率よくストレッチを行うことが可能となる。
本発明において、入浴者の揺動とは、浴槽側面に沿った間欠的で2種類の回転方向を有する旋回流によって引き起こされる動作を意味する。そして、揺動とは、主に、旋回流によってもたらされる、体幹部を中心とした旋回運動と屈伸運動を意味する。さらに、旋回運動は、全身に波及することから、腕、脚部周りの筋群に筋活動を誘発させる。
このように、具体例1では、背側面2aに備わるノズル34L及び34Rから左側面2e及び、右側面2dに沿った噴流の吐水流量Q1とQ2に調節し、交互に噴出する。そして、入浴者Mは、体幹部m1の旋回運動(CW、CCW)を行うこととなる。このため、噴流の影響と、浴槽内特有の効果である浮力の働きなどが相乗して働くことで腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋等へ刺激を与えることができる。また、この体幹部m1の運動は上肢(腕)m8に波及し、上肢m8の屈曲運動を引き起こすことができる。このように、本具体例では、体幹部m1から上肢m8にかけて上半身全体に対しストレッチ運動を行わせることができる。さらに、旋回運動によって得られる姿勢変化が、筋を活動させるトリガーとなり、筋活動を誘発させる。即ち、筋力向上へも働きかけるが可能となる。
また、ノズル34より左右交互にリズムよく(例えば、1秒程度おきに)吐出されるようにすることで、より大きな運動を誘発することができる。
さらに、この体幹部m1の運動は、脚部m3に波及して大腿部m4や下腿部m5の筋肉の伸縮を引き起こすことができる。これにより、入浴者Mは体幹部m1から脚部m3にかけての広い範囲の部位のストレッチ運動を行うことができる。
また、具体例6でも具体例1に関して前述した各種効果、すなわち、他動運動による効果、入浴姿勢のまま行う運動による効果、及び入浴による温熱効果に伴う効果が得られる
また、この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいう。すなわち、本実施形態に係る浴槽装置は、入浴者を座らせた状態にありながら、他動的に運動を行わせることができる運動浴槽装置であると言える。
さらに、入浴による温熱効果により、運動効果がより一層向上する。また、噴流により入浴者Mの周囲の温度境界層が常に破壊されるため、入浴者Mが温まり易く、運動効果がさらに向上する。このように、前述した運動を浴槽内で行うことにより、浴槽外で行う場合と比較して、より高い運動効果を得ることができる。また、筋や関節への柔軟性も温熱効果によって高まり、運動と共に柔軟性を高める運動ともなる。
この浴槽装置によれば、浴槽の背側面2bにノズル34を設け、浴槽側面に沿って噴流を吐出する。この場合、入浴者より近位にノズル34を配置することで、浴槽側面に沿った旋回流が減衰する前に、入浴者Mの身体を揺動させることとなる。即ち、効果的に使用者へ旋回運動を提供するとともに、入浴しながらのストレッチ運動や筋機能を高める運動を実現できるようになる。
(具体例2)
次に、本実施形態の浴槽装置1の構成及び動作の他の一例(具体例2)について、図5〜図7を参照しつつ説明する。
図5は、具体例2に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式平面図である。図5(a)は、入浴者Mの体幹部が反時計周りに旋回(CCW)するときを表しており、図5(b)は、入浴者Mの体幹部が時計回りに旋回(CW)するときを表している。
図6は、具体例2に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式側面図である。図6(a)は、入浴者Mの体幹部が反時計周りに旋回(CCW)するときを表しており、図6(b)は、入浴者Mの体幹部が時計回りに旋回(CW)するときを表している。
図5及び図6に表したように、具体例2では、足側面2bにノズル31(ノズル31R及びノズル31L)が設けられている。また、制御部5は、ノズル31Rから吐出される噴流の状態を、第1の噴流状態と、第2の噴流状態と、に交互に設定するとともに、ノズル31Lから吐出される噴流の状態を、第1の噴流状態と、第2の噴流状態と、に交互に設定する。
吐水部3の名称の詳細を図5(a)、(b)より説明する。図5(a)において、反時計周りの旋回流D2を生成するために、左側面2eに沿った第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第1の吐水部を31Lとする。一方、図5(b)において、時計周りの旋回流D1を生成するために、右側面2dに沿って第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第2の吐水部を31Rとする。
そして、制御部5は、ノズル31R及びノズル31Lからの噴流状態が逆位相となるように制御する。すなわち、ノズル31Lから吐出される噴流の状態は、ノズル31Rから吐出される噴流の状態が第1の噴流状態であるときの略全期間において第2の噴流状態となり、ノズル31Rから吐出される噴流の状態が第2の噴流状態であるときの略全期間において第1の噴流状態となる。以下、浴槽装置1の動作及び入浴者Mの状態について詳細に説明する。
まず、具体例1に関して前述したように、浴槽2内に水(湯)Wを入れた状態で、入浴者Mが浴槽2内に入り、入浴姿勢をとる(図1参照)。すなわち、入浴者Mは、臀部を底面2cに接触させ、背中m2を背側面2aに接触させ、足裏m2を足側面2bに接触させる初期姿勢をとる。このとき、入浴者Mはリラックスした状態にあり、足関節、膝関節、及び股関節は脱力しているものとする。
この状態から、ポンプ4を作動させる。これにより、ポンプ4は、浴槽2内の水を吸入口7から汲み上げて噴流を生成し、ノズル31に対して供給する。このとき、ノズル31R及び31Lからそれぞれ吐出される噴流の時間に対する吐水流量は、例えば図7に表した如くである。
図7は、時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
図7に表したグラフ図においては、周期に対する吐水流量Q2が持続する時間の割合(比率)を表すデューティ比は、「0.5」である。但し、このデューティ比(0.5)は、一例にすぎず、これだけに限定されるわけではない。また、第1の噴流状態(吐水流量Q1)と、第2の噴流状態(吐水流量Q2)と、は交互に切り替えられ、ノズル31R及びノズル31Lからの噴流状態は逆位相である。
図5(a)及び図6(a)の矢印A2で示すようにノズル31Lから吐水流量Q2の噴噴流を吐出させる。ノズル31Lからの噴流は、左側面2eに沿って足側面2bから背側面2aへ噴出する。すると、入浴者Mの左側面2eに近い身体部位は、ノズル31Lより噴出されう方向と同じ方向に移動する。一方、ノズル31Rからの噴流は、流量が小さいため、右側2dに近い身体部位は、移動しない。もしくは、ノズル31Lからの噴流による移動する身体部位の移動の反動で、ノズル31Rより噴出される水流の方向と反対方向に移動することとなる。即ち、体幹部m1は、上から見て反時計回り(CCW)に旋回する。
また、ノズル31Lからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
その後、図5(b)及び図6(b)の矢印A1で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル31Lから吐水流量Q1の噴流を吐出させる。また、図5(b)の矢印A2で示すように、ノズル31Rからは吐水流量Q2の噴流を吐出させる。
ノズル31Rからの噴流は、右側面2dに沿って背側面2aから足側2bへ噴出する。すると、入浴者Mの右側2dに近い身体部位は、ノズル31Rより噴出される方向と同じ方向に移動する。一方、ノズル31Lからの噴流は、流量が小さいため、左側2eに近い身体部位は、移動しない。もしくは、ノズル31Rからの噴流による移動する身体部位の移動の反動で、ノズル31Lより噴出される水流の方向と反対方向に移動することとなる。即ち、体幹部m1は、上から見て時計回り(CW)に旋回する。
また、ノズル31Rからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
噴流状態の周期は、目的や体調などに応じて適宜選択することができる。例えば、周期を長くすることで、ゆっくりとした筋の伸張を行わせることができる。また、周期を短くすると筋は短時間で多くの伸張を繰り返すことができ、効率よくストレッチを行うことが可能となる。
このように、具体例1では、背側面2aに備わるノズル34L及び34Rから左側面2e及び、右側面2dに沿った噴流の吐水流量Q1とQ2に調節し、交互に噴出する。そして、入浴者Mは、体幹部m1の旋回運動(CW、CCW)を行うこととなる。このため、腹直筋、腹斜筋、脊柱起立筋等へ刺激を与えることができる。また、この体幹部m1の運動は上肢(腕)m8に波及し、上肢m8の屈曲運動を引き起こすことができる。このように、本具体例では、体幹部m1から上肢m8にかけて上半身全体に対しストレッチ運動を行わせることができる。
また、ノズル34より左右交互にリズムよく(例えば、1秒程度おきに)吐出されるようにすることで、より大きな運動を誘発することができる。
さらに、この体幹部m1の運動は、脚部m3に波及して大腿部m4や下腿部m5の筋肉の伸縮を引き起こすことができる。これにより、入浴者Mは体幹部m1から脚部m3にかけての広い範囲の部位のストレッチ運動を行うことができる。
また、具体例6でも具体例1に関して前述した各種効果、すなわち、他動運動による効果、入浴姿勢のまま行う運動による効果、及び入浴による温熱効果に伴う効果が得られる
また、この運動は外部から与えられる他力的な他動運動であり、入浴者の意志によって行われる自動運動ではないため、入浴者Mの意志力に依存する部分が少なく、長続きしやすい。また、この運動は入浴姿勢のまま行うことができるため、入浴者は、リラックスした状態で運動することができる。この結果、運動を継続しやすい。なお、「他動運動」とは、人が自分の筋力ではなく外力を利用して行う運動をいう。すなわち、本実施形態に係る浴槽装置は、入浴者を座らせた状態にありながら、他動的に運動を行わせることができる運動浴槽装置であると言える。
ノズル31L及び31Rより浴槽側面2e、2dに沿った噴流を吐水する。この時、ノズル31及び31Rから使用者Mまでの距離は、具体例1に比べ長い。即ち、使用者Mは、ノズル31L及び31Rによって作られる浴槽側面に沿った吐水流量Q1とQ2の変化をゆっくり受ける。即ち、ノズル31L及び31Rによって作られる旋回流の変化は距離の分だけ使用者Mへ与える時間が長くなる。よって、緩やかな身体の揺動(旋回運動CW及びCCW)を得て、ゆっくりとしたリズムでストレッチを行うことが出来る。
また、具体例2でも具体例1に関して前述した各種効果、すなわち、他動運動による効果、入浴姿勢のまま行う運動による効果、及び入浴による温熱効果に伴う効果が得られる
この浴槽装置によれば、浴槽の足側面にノズル31を設け、浴槽側面に沿って噴流を吐出する。この場合、入浴者より遠位にノズル31を配置して、浴槽側面に沿った噴流を吐出するので、具体例1により浴槽壁面全体に沿わせることでより、効果的な旋回流を生成することが出来る。即ち、より効果的に使用者へ旋回運動を提供するとともに、入浴しながらのストレッチ運動や筋機能を高める運動を実現できるようになる。
(具体例3)
次に、本実施形態の浴槽装置1の構成及び動作のさらに別の一例(具体例3)について、図8及び図9を参照しつつ説明する。
図8は、具体例3に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式平面図である。
図9は、具体例3に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式側面図である。
図8(a)及び図9(a)は、浴槽内の湯水が噴流によって反時計周りに旋回する(CCW)する状態を表しており、図8(b)及び図9(b)は、時計周りに旋回する(CW)状態を表している。
図8及び図9に表したように、具体例3では、足側面2bにノズル31L及び31Rを設け、足側面2b対向する面である背側面2aにノズル34L及び34Rを設けられている。そして、ノズル31Lとノズル34Lは、左側面2eに沿ってそれぞれ対向する噴流を吐水する。ノズル31Rとノズル34Rは、左側面2dに沿ってそれぞれ対向する噴流を吐水する。
吐水部3の名称を図8(a)、(b)より説明する。例えば、図8(a)において、反時計周りの旋回流D2を生成するために、左側面2eに沿った第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第1の吐水部である31Lを設け、ノズル31Lの、浴槽の略中心に対して点対称となる位置に、第3の吐水部である34Rを設けた。
一方、図8(b)において、時計周りの旋回流D1を生成するために、右側面2dに沿って第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第2の吐水部である31Rを設け、ノズル31Rの、浴槽の略中心に対して点対称に位置に、第4の吐水部である34Lを設けるする。
そして、制御部5は、ノズル31及び34から吐出される噴流の状態を、第1の噴流状態と、第2の噴流状態とに設定する。ノズル31L及びノズル34Rから吐出される噴流の状態は、同位相となり、ノズル31R及びノズル34Lから吐出される噴流の状態も、同位相となる。以下、入浴者Mの動作を例に取り上げて説明する。
まず、図8(a)及び図9(a)の矢印A2で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル31L及びノズル34Rから吐水流量Q2の噴流を吐出させる。ノズル31Lからの噴流は、左側面2eに沿って足側面2bから背側面2aへ噴出する。そして、ノズル34Rからの噴流は、右側面2dに沿って背側面2aから足側面2bへ噴出する。一方で、ノズル31R及びノズル34Lから吐水流量Q1の噴流を吐出させる。ノズル31Rからの噴流は、右側面2dに沿って足側面2bから背側面2aへ噴出する。そして、ノズル34Lからの噴流は、左側面2eに沿って背側面2aから足側面2bへ噴出する。
すると、入浴者Mの左側面2eに近い身体部位は、左側面2eに沿って流れる噴流と同じ方向に移動することとなる。また、入浴者Mの右側面2dに近い身体部位は、右側面2dに沿って流れる噴流と同じ方向に移動するととなる。即ち、体幹部m1は、上から見て反時計回り(CCW)に旋回する。
また、ノズル31L及び34Rからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
その後、図8(b)及び図9(b)の矢印A1で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル31L及びノズル34Rから吐水流量Q1の噴流を吐出させる。ノズル31Lからの噴流は、左側面2eに沿って足側面2bから背側面2aへ噴出する。そして、ノズル34Rからの噴流は、右側面2dに沿って背側面2aから足側面2bへ噴出する。
一方で、ノズル31R及びノズル34Lから吐水流量Q2の噴流を吐出させる。ノズル31Rからの噴流は、右側面2dに沿って足側面2bから背側面2aへ噴出する。そして、ノズル34Lからの噴流は、左側面2eに沿って背側面2aから足側面2bへ噴出する。
すると、入浴者Mの左側面2eに近い身体部位は、左側面2eに沿って流れる噴流と同じ方向に移動することとなる。また、入浴者Mの右側面2dに近い身体部位は、右側面2dに沿って流れる噴流と同じ方向に移動するととなる。即ち、体幹部m1は、上から見て時計回り(CW)に旋回する。
また、ノズル31R及び34Lからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
図10は、時間に対するノズルからの吐水流量の具体例を例示するグラフ図である。
図10に表したグラフ図においては、周期に対する吐水流量Q2が持続する時間の割合(比率)を表すデューティ比は、「0.5」である。但し、このデューティ比(0.5)は、一例にすぎず、これだけに限定されるわけではない。なお、本願明細書において「周期」とは、第1の噴流状態(吐水流量Q1)が開始してから次の第1の噴流状態(吐水流量Q1)が開始するまでの時間、あるいは第2の噴流状態(吐水流量Q2)が開始してから次の第2の噴流状態(吐水流量Q2)が開始するまでの時間をいうものとする。
第1の噴流状態(吐水流量Q1)と、第2の噴流状態(吐水流量Q2)の切り替えについて説明する。ノズル31Rとノズル31Lからの噴流状態は、逆位相となる。同様に、ノズル34R及びノズル34Lからの噴流状態は逆位相である。そして、ノズル31Lとノズル34Rは同位相となり、ノズル31Rとノズル34Lも同位相となる。浴槽2に備わるノズル31、34より使用者を挟んで、浴槽壁面に噴流が沿って流れるよう、第1の噴流状態と第2の噴流状態を交互に切り替える。
このように、具体例3では、ノズル31及び34を組合わせることで、具体例1や具体例2に比べて、浴槽壁面に沿わした噴流の勢いを保持し、旋回流を浴槽内に効果的に生成できる。すなわち、浴槽内に発生する旋回流により使用者に、運動を提供することが出来る。図8〜図10に記載したように、本実施例においてはノズル31Lとノズル34R、ノズル31Rとノズル34Lを、それぞれ浴槽の略中心に対して点対称に配置しており、更にはそれらの点対称に配置されたノズル同士の噴流状態を同期させ、同じタイミングにて吐水流量を切り替えている。この構成とすることで、足側と背側という2つの方向から浴槽壁面に沿う吐水を行うことができ、更に効率的な旋回流の生成が行える。
また、この旋回運動により、膝関節周りのストレッチも重点的に行える。本具体例では、使用者が膝に疾患を抱える場合であっても、湯Wの温熱によって筋や腱が柔軟性を得た後に筋や腱に対してストレッチ運動を行わせることができるため、無理な運動とならない。膝関節の働きは、生活習慣や加齢の影響を受け、歩行機能へ影響することが知られている。そのため、膝関節へのケアは、運動のみならずリハビリの観点からも重要となる。
さらに、この下腿部m5の運動は、大腿部m4や体幹部m1に波及してこれら部位の運動をも引き起こすことができる。これにより、入浴者Mは脚部m3から体幹部m1にかけての広い範囲の部位のストレッチ運動を行うことができる。
また、具体例3でも具体例1に関して前述した各種効果、すなわち、他動運動による効果、入浴姿勢のまま行う運動による効果、及び入浴による温熱効果に伴う効果が得られる。
具体例3で記述したように吐水部を浴槽の略中心より点対称の位置に配置する。それにより、浴槽側面に生成される旋回流は、浴槽内週の半分程度で噴流が吐出されるため、使用者を揺動させる旋回流を維持することが可能となり、より効果的に使用者へ旋回運動を提供するとともに、入浴しながらのストレッチ運動や筋機能を高める運動を実現できるようになる。
さらに、具体例3の変形例について図15より説明する。図15に示すように浴槽の略中心点と点対称に吐水部がそれぞれ配置されている。具体的には、足側面2bに配置され左側面2eに沿って噴流を吐出する31Lと、背側面2aに配置され、右側面2dに沿って噴流を吐出する34Rとを備えている。そして、浴槽壁面に沿って使用者を揺動させる強さの旋回流を時計周りに生成する。また、吐水部31L及び34Rより吐出される噴流を間欠的に制御することで、間欠的に旋回流を生成する。制御部5によって、31Lと34Rにおける噴流は同期している。すなわち、31Lと34Rとは、同時に第2の噴流状態での吐水を行うこととなる。
一定方向に誘発される間欠的な旋回流は、使用者に対しても旋回運動を間欠的に起こさせることとなる。すなわち、一定方向の旋回流を用いることで、運動機能などが弱まった高齢者やリハビリなどに用いる際、半身のリハビリを行うとした際、選択した1方向の旋回流を使って、使用者に適した運動を提供することが可能となる。また、具体例3の変形例として表示した図15に示す以外に、ノズルを配置してい、1方向(時計周り、もしくは反時計周り)の旋回流によって運動を実施することも可能である。また、浴槽に対して、浴槽の略中心に点対称で設けられており、なおかつそれらの吐水状態を同期させていることから、より効率的に旋回流を生成することができる。
(具体例4)
次に、本実施形態の浴槽装置1の構成及び動作のさらに別の一例(具体例4)について、図12を参照しつつ説明する。
図12は、具体例4に係る浴槽装置1の構成及び動作を例示する模式平面図である。
図12(a)及び(c)は、浴槽内の湯水が噴流によって時計周りに旋回する(CW)するときを表しており、図8(b)及び(d)は、反時計周りに旋回する(CCW)状態を表している。
図12(a)、(b)、(c)、(d)に表したように、具体例4では、右側面2dにノズル35R、左側面2eにノズル35Lが設けられている。ノズル35から吐出される噴流は、浴槽壁面に沿って、浴槽内を流れる。その際、吐出される噴流の方向は、背側面2aから足側面2bに向けて吐出する図12(a)、図12(b)で例示する場合と、反対に、足側面2bから背側面2aに向けて吐出する図12(c)、図12(d)で例示する場合とがある。
このとき吐水部3の名称を図12(a)、(b)、(c)、(d)より説明する。図12(a)において、時計周りの旋回流D1を生成するために、左側面2eに沿った第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第1の吐水部を35Lとする。一方、図12(b)において、反時計周りの旋回流D2を生成するために、右側面2dに沿って第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第2の吐水部を35Rとする。
また、図12(c)において、時計周りの旋回流D1を生成するために、右側面2dに沿った第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第1の吐水部を35Rとする。一方、図12(d)において、反時計周りの旋回流D2を生成するために、左側面2eに沿って第2の噴流状態A2(吐水流量Q2)を吐水する第2の吐水部を35Lとする。
そして、制御部5は、ノズル35R及び35Lから吐出される噴流の状態を、第1の噴流状態と、第2の噴流状態と、に交互に設定する。また、制御部5は、ノズル35R及びノズル35Lから吐出される噴流の状態は、逆位相となるように制御する。すなわち、ノズル35Lから吐出される噴流の状態は、ノズル35Rから吐出される噴流の状態が第1の噴流状態であるときの略全期間において第2の噴流状態となり、ノズル35Rから吐出される噴流の状態が第2の噴流状態であるときの略全期間において第1の噴流状態となる。以下、浴槽装置1の動作及び入浴者Mの状態について詳細に説明する。
まず、図12(a)の矢印A2で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル35Lから吐水流量Q2の噴流を左側面2eに沿って、足側面2bに向かって吐出させる。一方、ノズル35Rから吐水流量Q1の噴流を右側面2dに沿って、足側面2bに向かって吐出させる。結果、浴槽内には、時計周りの旋回流が生まれる。そして、使用者は、図12(a)で示すように、時計周りの旋回流によって体幹部を時計周りに旋回させることとなり、ストレッチ運動となる。また、ノズル35Lからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
その後、図12(b)の矢印A2で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル35Rから吐水流量Q2の噴流を右側面2dに沿って、足側面2bに向かって吐出させる。一方、ノズル35Lから吐水流量Q1の噴流を左側面2eに沿って、足側面2bに向かって吐出させる。結果、浴槽内には、反時計周りの旋回流が生まれる。そして、使用者は、図12(b)で示すように、反時計周りの旋回流によって体幹部を反時計周りに旋回させることとなり、ストレッチ運動となる。また、ノズル35Rからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
また、図12(c)の矢印A2で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル35Rから吐水流量Q2の噴流を右側面2dに沿って、背側面2aに向かって吐出させる。一方、ノズル35Lから吐水流量Q1の噴流を左側面2eに沿って、背側面2aに向かって吐出させる。結果、浴槽内には、時計周りの旋回流が生まれる。そして、使用者は、図12(c)で示すように、時計周りの旋回流によって体幹部を時計周りに旋回させることとなり、ストレッチ運動となる。また、ノズル35Rからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
その後、図12(d)の矢印A2で示すように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル35Lから吐水流量Q2の噴流を左側面2eに沿って、背側面2aに向かって吐出させる。一方、ノズル35Rから吐水流量Q1の噴流を右側面2dに沿って、背側面2aに向かって吐出させる。結果、浴槽内には、反時計周りの旋回流が生まれる。そして、使用者は、図12(d)で示すように、反時計周りの旋回流によって体幹部を反時計周りに旋回させることとなり、ストレッチ運動となる。また、ノズル35Lからの噴流の流量を吐水流量Q2とする時間は適宜設定されれば良く、例えば一定時間吐水流量Q2での吐水を続け、体幹部m1がCCWに旋回した状態が一定時間持続してもよい。
以上説明した通り、旋回流によるストレッチ運動は、旋回流の方向によらず、時計回りと反時計回りの旋回流を、交互に生成することによって成される。
噴流状態の周期は、目的や体調などに応じて適宜選択することができる。例えば、周期を長くすることで、ゆっくりとした筋の伸張を行わせることができる。また、周期を短くすると筋は短時間で多くの伸張を繰り返すことができ、効率よくストレッチを行うことが可能となる。
このように、具体例4では、浴槽内に起こる時計周りと、反時計周りの旋回流によって、使用者に体幹部周りの旋回運動を行わせることが出来る。この時、浴槽内で起こる旋回流は積極的に旋回運動を誘発させるが、浴槽内にある湯水が流れ動くことで、使用者は入浴中の姿勢を保持しようと、体幹部周り動きが全身に波及することで、脚部、上肢の筋群を気づかないうちに使用するとこととなる。
また、前述したように、ノズル35R、35Lから吐出される噴流の状態は、噴流状態を逆位相とすれば、具体例1に関して前述したように体幹部周りを中心とした旋回運動をのような運動を実現せうることが出来る。また、これら噴流状態を左右のどちらかを積極的に吐水することで、使用者の鍛えたい部位を効率よく運動させるこる事が出来る。
一般的に吐水部を備える浴槽の形状は、浴室における浴槽の接地位置などを考慮して、右側作りと左側作りが容易されている。しかし、具体例4で記述したように、浴槽の左右側面(2e、2d)に、ノズル35R及び35Lを設けることで、ノズルの取り付けや、浴室に応じた配管施工などの問題が解消される。すなわち、浴室などの浴槽設置の配置に関係なく、旋回流を浴槽内に生成することが可能となる。
また、具体例4でも具体例1に関して前述した各種効果、すなわち、他動運動による効果、入浴姿勢のまま行う運動による効果、及び入浴による温熱効果に伴う効果が得られる。
具体例4の変形について、図13を用いて説明する。図12に例示したものと同様に、右側面2d、左側面2eにノズル35R及び35Lを備える。そして、ノズル35R及び35Lは、それぞれの設置面に沿って、足側面2bに向かって吐出することも、背側面2aに向かって吐出することも可能である。また、制御部5は、ノズル35Rとノズル35Lから吐水される方向は、逆位相となるように制御する。吐水状態について一例を図13(a)(b)より説明する。図13(a)に例示するように、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル35Lより、左側面2eに沿って足側面2bへ第2の噴流状態で吐水する。この時、ノズル35Rは、右側面2dに沿って背側面2aに向かって第2の噴流状態で吐出することとなる。即ち、浴槽内の湯水は、時計周りの旋回流を形成する。
一方、図13(b)に例示する場合、制御部5はポンプ4を作動させ、ノズル35Rより右側面2dに沿って、第2の噴流状態で足側面2bに向かって吐出する。この時、ノズル35Lは、左側面2eに沿って、第2の噴流状態で背側面2aに向かって吐出することとなる。即ち、浴槽内の湯水は、反時計周りの旋回流を形成する。以下、浴槽装置1の動作及び入浴者Mの状態について詳細に説明する。
まず、図13(a)、(b)で例示されるように、浴槽内には、時計周りの旋回流と反時計周りの旋回流が交互に生まれる。この旋回流は、使用者を揺動させつつ、旋回運動を与える。旋回運動を起こす旋回流によって体幹部の筋群を中心に、浴槽内で入浴しながらストレッチ運動を実施できる。そして、図示しないが、この関節が屈曲した状態が一定時間持続して、積極的に運動したい方向を選択して旋回運動を実施してもよい。
浴槽の左右側面(2e、2d)に、ノズル35R及び35Lを設けることで、具体例3に比べて、浴槽側面に沿った旋回流を減衰させない吐水を、二つのノズルのみで実施することが出来る。そのため、施工の面からも複雑な配管等が必要ないなどのメリットがある。
以上、各種具体例について説明した。これら具体例においては、入浴者Mはストレッチ運動の他、噴流状態の周期を高くするなどして歩行運動のような運動等の通常の運動を行うこともできる。
例えば、具体例1(図2〜図4)の場合は、噴流状態の周期を比較的長くすることにより、補償動作を実現することができる。旋回運動により、入浴者Mは姿勢のバランスを崩され、不安定な姿勢となる。そのため、入浴者Mは、無意識に全身の筋肉を働かせて姿勢を安定させようとする補償動作を行う。これにより、入浴者Mは、バランストレーニングを行うことができる。
また、本実施形態では、制御部5は、図14に表したように第1及び第2の噴流状態の少なくともいずれかを変化させてもよい。
図14は、噴流状態の態様を例示する模式グラフ図である。
図14に表したように、制御部5は、第1及び第2の噴流状態の少なくともいずれかにおいて、ノズル3から吐出される噴流の流量Qを変化させてもよい。図では、第2の噴流状態における吐水流量Q2は、Q21〜Q24の4つの値をとる。
また、図14に表したように、制御部5は、第1及び第2の噴流状態の少なくともいずれかの継続時間を変化させてもよい。図では、第1の噴流状態の継続時間は、b1〜b4の4つの値をとる。また、第2の噴流状態の継続時間は、a1〜a4の4つの値をとる。
また、図14に表したように、制御部5は、ノズル3から吐出される噴流の状態の変化の周期を変化させてもよい。図では、周期は、T1〜T4の4つの値をとる。
また、図14に表したように、制御部5は、ノズル3から吐出される噴流の状態の変化の周期に対する第1及び第2の噴流状態の継続時間の割合(デューティ比)を変化させてもよい。図では、周期に対する第2の噴流状態の継続時間「a/T」は、a1/T1〜a4/T4の4つの値をとる。
周期T1〜T4の噴流状態が終了した後においては、このような周期T1〜T4の噴流状態を規則的に繰り返してもよく、あるいはさらに別の噴流状態としてランダムに噴流を吐出させてもよい。
このような構成によれば、ノズル3からの噴流の状態が規則的または不規則的に変更されるため、入浴者Mの運動は、規則的または不規則的に変化する。すなわち、同じリズムの運動が長期に亘り継続することはない。そのため、入浴者Mは、運動に慣れたり、飽きたりするおそれは少ない。したがって、入浴者Mに継続的に運動させることができる。
さらに、入浴者Mの身体は、規則的または不規則的に変化する運動をするため、その運動の際に使用される身体の部位や筋群は、変化する。これにより、入浴者Mの身体の部位や筋群を広範囲に亘ってバランスよく運動させることができる。
さらに、浴槽形状の変形例を図11より説明する。図11に示す浴槽のように足側面2bと右側面2dと左側面2eと背側面2aが接続される四隅を、角のないR形状である凹R1からR4とする。すなわち、浴槽の上面視の形状を、角のない略円状とする。これによって、浴槽壁面に沿って流れる噴流を減衰させる比率を少なくし、効果的に噴流を浴槽壁面に沿わして旋回による運動を入浴者へ与えることが出来る。
また、浴槽形状を円形、楕円形状とすることによって、浴槽壁面に沿った噴流は減衰することなく浴槽内を旋回する旋回流が生成される。この浴槽内を旋回する流れにって、より効果的に入浴者へ運動を提供することが出来る。
即ち、効率よく浴槽壁面に沿った噴流を吐水することができることで、ポンプ4から吐水される吐水流量を少なくすることが出来、エコになる。もしくは、ポンプ4の出力を小さくすることでコンパクトなポンプ4へ置き換えることができ省スペースとなることも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、他動運動を実現し、これにより入浴者に継続的に運動させることができる浴槽装置が提供される。また、身体の部位をバランスよく運動させることができる浴槽装置が提供される。