JP2007259620A - 固定子 - Google Patents

Abstract

【課題】環状接合に溶接を用いることなく、高効率で組立容易な固定子を提供する。
【解決手段】積層鉄心に集中巻線を施したあと環状に接合する固定子において、外径の異なる２種類の分割鉄心１１ａおよび分割鉄心１１ｂを積層した積層鉄心１１と、絶縁板１２で絶縁した積層鉄心１１にコイル１３を集中巻回した積層鉄心を環状に仮接合する弾性体１４と、環状に接合する積層鉄心を保持する環状構造体１５とを備え、弾性体１４を外径の小さい積層鉄心１１ｂの外周部に装着した状態で環状構造体１５を焼きバメ固着する。
【選択図】図１

Description

本発明は、環状構造体を有する固定子の新規な構造および製造方法に関する。

近年、産業用途の電動機には高効率、高機能が求められており、高効率で制御性がよく長寿命のブラシレスモータ化が進んでいる。一方、高効率化を達成するために分割した固定子の極歯に集中巻線を施した後、分割面を接合合体して固定子巻線の占積率を向上させたものが知られている（例えば、特許文献１参照）。

また、隣接する積層鉄心の当接部に凹凸を形成し、積層鉄心を内径方向に押圧する環状構造物を設ける固定子が知られている（例えば、特許文献２参照）。
特開平７−７８７５号公報 特許第３４３０５２１号公報

解決しようとする問題点は、分割鉄心と集中巻線による小型化および高効率を維持しながら、固定子鉄心の接合作業から溶接をなくし、溶接にて発生する熱歪みと渦電流損をなくすことである。

すなわち、特許文献１に記載された固定子は、その接合に手間が掛かるとともに、溶接で鉄板の厚みに依存する渦電流損が発生しモータの損失が増大し、モータの効率を低下させるという問題があった。

また、特許文献２に記載の固定子は、環状構造物を装着する前に仮固定する必要があり、依然として部分的な溶接が必要であった。

本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、環状接合に溶接を用いることなく、高効率で組立容易な固定子を提供することを目的とする。

上記の課題を解決するために本発明は、積層鉄心に集中巻線を施したあと環状に接合する固定子において、外径の異なる２種類の鉄心を積層した積層鉄心と、前記積層鉄心を環状に仮接合する弾性体と、環状に接合する積層鉄心を保持する環状構造体とを備え、前記弾性体を外径の小さい積層鉄心の外周部に装着した状態で環状構造体を焼きバメ固着した固定子である。

また、積層鉄心の極歯外周中央部に開口部が孔部内側より小さい切欠孔部を設け、前記積層鉄心を環状に保持する保形治具を前記切欠孔部に装着し、環状保形した前記積層鉄心の外周に加熱した環状構造体を装着し、前記環状構造体の加熱冷却による収縮力で接合保持したあと、前記保形治具を取り外す固定子の製造方法である。

本発明の固定子によれば、外径の小さい積層鉄心の外周部に弾性体を装着したまま環状構造体を積層鉄心の外周に焼きバメ固着するので、接合固着作業を容易化できる。また、分割面の接合に溶接を用いないので渦電流損を抑制できる。

また、積層鉄心の外周部に設けた切欠孔部と係合する保形治具を用いることで、安価に環状保形を構成できる。さらに、内径方向に弾性を持たせることで仮接合が確実となり、積層鉄心の取付け作業、固定子の取外し作業を容易化できる。

したがって、高効率で組立作業性の良い固定子を得ることができる。

集中巻線を施したあと積層鉄心の分割面を凹凸接合する固定子において、前記積層鉄心の極歯外周中央部に切欠孔部を設け、前記積層鉄心を環状に保持する保形治具を前記切欠孔部に装着し、環状保形した積層鉄心の外周に加熱した環状構造体を装着し、前記環状構造体の加熱冷却による収縮力で接合保持したあと、前記保形治具を取り外す固定子の製造方法で、保形治具は内径方向に弾性を有する。

実施例１の固定子は、集中巻線を施した積層鉄心を環状に接合する際に、積層鉄心の外周部に弾性体を装着して、各積層鉄心を仮接合するものである。

図１において、積層鉄心１１は、外径の異なる２種類の分割鉄心１１ａ、分割鉄心１１ｂで構成され、その分割接合面には、環状接合した際に互いに係合してラジアル方向の動きを規制する凹凸部を設けている。そして、積層方向の中央付近に外径の小さい鉄心１１ｂ、その両側に鉄心１１ａをそれぞれ所定量積層して積層鉄心１１を構成している。

この積層鉄心１１の極歯部を絶縁板１２で絶縁処理した後、各積層鉄心１１にコイル１３を集中巻回する。図１では１つの積層鉄心１１にのみ巻線を記載し、残りの積層鉄心の巻線を省略している。

次に、巻線を施した１２個の積層鉄心１１を環状に仮配置する。この環状に仮配置した状態で、外径の小さい分割鉄心１１ｂの外周に弾性体１４を装着する（図２参照）。

このあと、弾性体１４によって仮接合した積層鉄心１１の外周部に、加熱した環状構造体であるアルミ製フレーム１５を装着すると、フレーム１５の熱が積層鉄心１１に伝わり、フレーム１５は収縮する。収縮によって発生した力は、分割接合面の凹凸係合部に印加保持されて固定子が完成する。

弾性体１４は、Ｃリング形状とし、その内径は、分割鉄心１１ｂの外径よりさらに小さく設定、外径は弾性体１４を装着した時に積層鉄心１１の外周からはみ出さないよう寸法設定する。弾性体１４の材質としては、Ｃリング形状の場合は金属でも合成樹脂でもよく、環状のゴムベルトに置き換えてもよいが、環状構造体を固着するまでの間、確実に保形する必要がある。

このように、弾性体１４を積層鉄心１１の外径の小さい外周部に装着したまま、環状構造体１５を焼きバメにて固着させるので、接合固着作業を容易化できる。また、分割接合に溶接を用いないため、接合部における渦電流損を抑制できる。

実施例１は、積層鉄心の外周部に弾性体を装着した状態で環状構造体を焼きバメしたのに対して、実施例２は、弾性体を用いず環状構造体の装着前に保形治具を用いて製造する点が特徴である。

図３において、積層鉄心２１は、分割鉄心２１ａを所定量積層したものである。分割鉄
心２１ａの外周中央には、開口部が孔部内側より小さい切欠孔部２１ｂを設け、分割面には、実施例１と同様の凹凸部を設けている。

実施例１と同様に積層鉄心２１の極歯部を絶縁板２２で絶縁処理したあと、各積層鉄心２１にコイル２３を集中巻回する。

ここで、巻線を施した積層鉄心２１を環状配置する保形治具２６について説明する。保形治具２６は、ベース部２６ｂに１２本のピン２６ａを等間隔に有しており、積層鉄心２１を環状配置した際の切欠孔部２１ｂと一致する位置に設けている。

このピン２６ａに切欠孔部２１ｂを挿入したとき、積層鉄心２１が内径方向に押されるように作用させる。このため、挿入前のピン２６ａは、保形治具２６の中心方向に少し傾斜させ、根元に弾性を設ける。また、ベース部２６ｂの中央部にはラジアル方向に移動可能な円柱状のガイド（図示せず）を設け、１２個の積層鉄心２１を環状配置したとき、ピン２６ａの弾性力で積層鉄心２１が倒れないようにする。このガイドは、積層鉄心の着脱を容易にするため、コレットチャックのように３分割して弾性を持たせるとよい。

これにより、１２個の積層鉄心２１は、接合面同士が密着し、内周部は保形治具２６のスライドガイドに当接する。保形治具２６で積層鉄心２１を環状保持した状態で、加熱した環状構造体２５を装着すると、実施例１と同様に、環状構造体２５の熱が積層鉄心２１に伝わり、環状構造体２５は収縮する。収縮による力は、分割接合面に設けた凹凸係合部に印加保持される。このあと、保形治具２６を取り外せば固定子が完成する。

実施例２は、積層鉄心の環状仮保持に保形治具を用いるため、実施例１のように弾性体を必要とせず、実施例１の固定子に比べて安価に得られる。また、分割接合に溶接を用いないため、接合部における渦電流損を抑制できる。

本発明の固定子は、産業用途などの放熱が必要な大容量モータに有用である。

本発明の実施例１における弾性体の装着説明図 本発明の実施例１における固定子の構成斜視図 本発明の実施例２における保形治具と積層鉄心の説明図

符号の説明

１１，２１ 積層鉄心
１１ａ，１１ｂ，２１ａ 分割鉄心
１２，２２ 絶縁板
１３，２３ コイル
１４ 弾性体
１５，２５ 環状構造体（フレーム）
２１ａ 切欠孔部
２６ 保形治具

Claims (4)

1. 積層鉄心に集中巻線を施したあと環状に接合する固定子において、外径の異なる２種類の鉄心を積層した積層鉄心と、前記積層鉄心を環状に仮接合する弾性体と、環状に接合する積層鉄心を保持する環状構造体とを備え、前記弾性体を外径の小さい積層鉄心の外周部に装着した状態で環状構造体を焼きバメ固着したことを特徴とする固定子。
2. 弾性体は、帯状のＣ形板バネである請求項１に記載の固定子。
3. 集中巻線を施したあと積層鉄心の分割面を凹凸接合する固定子において、前記積層鉄心の極歯外周中央部に切欠孔部を設け、前記積層鉄心を環状に保持する保形治具を前記切欠孔部に装着し、環状保形した積層鉄心の外周に加熱した環状構造体を装着し、前記環状構造体の加熱冷却による収縮力で接合保持したあと、前記保形治具を取り外すことを特徴とする固定子の製造方法。
4. 保形治具は内径方向に弾性を有する請求項３に記載の固定子の製造方法。