JP2007257850A - 電気化学セル - Google Patents

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Abstract

【課題】 参照極を、作業性良く、簡易かつ確実に組み付けることができ、精度の高い性能評価を行なうことができる電気化学セルを提供すること。
【解決手段】 開口部43を有する参照極底壁42の上面に参照極5を、開口部43から露出するように載置して、参照極収容部外周壁40および参照極収容部内周壁41に沿うように、参照極押圧部38をその上方から参照極収容部29に対してスライドさせて、参照極収容部29に収容する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、電気化学セル、詳しくは、3電極方式の電気化学セルに関する。
従来より、ハイブリッド車両や燃料電池車両に搭載される蓄電デバイスとして、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどが利用されている。
一般に、これらの蓄電デバイスの性能評価においては、作用極および対極の他に参照極を組み合わせた3電極式電気化学セルなどが用いられる。
このような電気化学セルとして、たとえば、少なくとも1組の作用極と対極を、セパレータを介して対向配置してなる電極体、該電極体を収納するための収納容器および該収納容器の蓋部からなる電気化学セルにおいて、加圧手段をさらに備え、該加圧手段により該蓋部を該収納容器側に押圧することにより該収納容器が密閉されるものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−109653号公報
引用文献1に記載される電気化学セルでは、作用極、対極および参照極が、押圧手段の押圧方向において重なるように配置される。
しかし、このような配置においては、作用極と参照極との間にセパレータを介在させるために、内部抵抗が大きくなるという不具合がある。
そこで、作用極と参照極との間にセパレータを介在させずに参照極を組み付けることによって、内部抵抗を低減する方法が提案されるが、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどの性能評価においては、参照極に加工性の良くない材料、たとえば、リチウムなどを使用する場合があるので、その組付けが作業性良く行われることが望まれる。また、精度の高い性能評価を行うために、性能評価に使用できる参照極の有効面積を十分に確保する必要がある。
そこで、本発明の目的は、参照極を、作業性良く、簡易かつ確実に組み付けることができ、精度の高い性能評価を行なうことができる電気化学セルを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の電気化学セルは、作用極と、前記作用極に対して対向配置される対極と、前記作用極と前記対極との間に介在されるセパレータと、前記作用極と前記対極との対向方向における前記作用極の投影面から離間するように配置され、かつ、前記作用極との間にセパレータが介在されずに配置される参照極と、前記参照極を収容するための収容部材とを備え、前記収容部材は、開口部を有する被押圧面が形成された収容部と、前記収容部に収容され、前記被押圧面を押圧するための押圧部とを備え、前記参照極は、前記開口部から露出するように、前記被押圧面と前記押圧部との間に配置されていることを特徴としている。
本発明の電気化学セルでは、参照極が、収容部材における被押圧面と押圧部との間に配置されている。つまり、参照極を収容部材の被押圧面に載置して、その上から押圧部によって押圧するという簡易な操作だけで、参照極を作業性良く、確実に組み付けることができる。また、参照極が、被押圧面に形成された開口部から露出するので、リチウムイオン電池などの性能評価に使用できる参照極の有効面積を十分に確保することができ、精度の高い性能評価を行うことができる。
また、本発明の電気化学セルでは、前記参照極が、リチウムであることが好適である。
性能評価の評価対象となる蓄電デバイスが、たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなど、正極および負極にリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な材料が用いられているデバイスである場合において、参照極がリチウムであると、効率よく性能評価を行なうことができる。
また、本発明の電気化学セルでは、前記収容部材の少なくとも一部は、前記電気化学セル内において、電解液によって浸漬されており、前記押圧部は、前記収容部に対してスライド自在に収容され、前記収容部は、前記参照極と反応せず、前記電解液と反応しない材料から形成されており、前記押圧部のスライドを案内するためのガイド部を備えていることが好適である。
収容部が、参照極と反応せず、かつ、電解液と反応しない材料から形成されていることにより、たとえば、性能評価中に収容部が電解液と反応し、溶解することによって作用極と参照極とが短絡することを防止することができるため、精度の高い性能評価を行うことができる。また、収容部には、押圧部のスライドを案内するためのガイド部が備えられているので、参照極を収容部材の被押圧面に載置して、その上から押圧部をガイド部に沿ってスライドさせて収容するだけで参照極の組み付けを行なうことができる。そのため、参照極を、作業性よく、簡易かつ確実に組み付けることができる。
本発明の電気化学セルによれば、参照極を、作業性よく、簡易かつ確実に組み付けることができ、精度の高い性能評価を行うことができる。
図1は、本発明の電気化学セルの一実施形態である、3電極方式の電気化学セルの外観斜視図であり、図2は、図1に示す電気化学セルの中央断面図である。
図1および図2に示すように、この電気化学セル1は、ケーシング2と、そのケーシング2内に収容される作用極3、対極4、参照極5およびセパレータ6とを備えている。
ケーシング2は、作用極3と電気的に接続される上側ケーシング7と、対極4と電気的に接続される下側ケーシング8と、参照極5と電気的に接続され、上側ケーシング7と下側ケーシング8との間に介在される中間ケーシング9とを、それぞれ別体として備えている。
上側ケーシング7は、金属製(たとえば、ステンレス製、以下同様)であり、断面略逆T字形状に形成され、有底円筒形状の中央筒部10と、中央筒部10の下端部外周から径方向外方に延びる上側フランジ部11とが一体的に形成されている。
中央筒部10は、その内周面に、後述する押圧調整ボルト12が螺着されるねじ山が形成されている螺着部13が、軸方向(上下方向)に沿って形成されている。また、中央筒部10の底部には、その底部を厚さ方向(上下方向)に貫通し、後述する押圧軸15が挿通される挿通孔14が形成されている。
下側ケーシング8は、金属製であり、断面逆ハット形状に形成され、断面凹形状の収容部16と、収容部16の上端部外周から径方向外方に延びる上側フランジ部11と略同一外径の下側フランジ部17とが一体的に形成されている。
中間ケーシング9は、金属製であり、上側フランジ部11および下側フランジ部17と、略同一外径の円板形状に形成されている。なお、中間ケーシング9の内径は、収容部16の内径よりも小さく設定されている。
また、上側ケーシング7、中間ケーシング9および下側ケーシング8には、これらが軸方向(上下方向)に重なった状態において、同一位置に、厚さ方向を貫通する固定孔18がそれぞれ形成されている。固定孔18は、周方向に互いに等間隔(90°間隔)を隔てて、複数(4つ)穿孔されている。
また、この電気化学セル1は、上側ケーシング7の螺着部13に螺着される押圧調整ボルト12と、圧縮ばねからなる第1コイルばね19と、第1コイルばね19に押圧される押圧軸15と、押圧軸15に押圧される電極押圧部材20と、電極押圧部材20の周りに配置される収容部材としての参照極収容部材21および圧縮ばねからなる第2コイルばね22とを、それぞれ別体として備えている。
押圧調整ボルト12は、金属製であり、頭部23と、その頭部23から突出し、ねじ山が形成されるねじ軸部24とを一体的に備えている。ねじ軸部24の遊端部(下端部)には、第1コイルばね19を受け入れるばね受け凹部25が形成されている。
押圧軸15は、金属製であり、長手方向両端部が丸く形成される断面円形状の棒状をなし、その長手方向(上下方向)途中に、径方向外方に膨出する環状のリング部26が形成されている。このリング部26は、その外径が、挿通孔14より大径に形成されている。
第1コイルばね19は、押圧調整ボルト12のばね受け凹部25内に収容され、かつ、押圧軸15のリング部26に当接可能な直径を有する螺旋筒状の金属製のコイルばねから形成されている。
電極押圧部材20は、金属製であり、その外径が収容部16の内径よりも小さい円柱形状をなし、その上面には、押圧軸15を受ける碗形状の受け部27が一体的に形成されている。また、その下面は、平坦形状に形成されている。また、この電極押圧部材20は、収容部16に収容される程度の上下方向厚みで形成されている。
参照極収容部材21は、参照極5を収容するための収容部としての参照極収容部29および、参照極5を後述する参照極底壁42の上面に対して押圧するための押圧部としての参照極押圧部38を備えている。
以下、参照極収容部29については図3を、参照極押圧部38については図4を参照して、説明する。
図3は、参照極収容部29を具体的に示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)に示すA−Aの切断面で切断したときの断面図である。また、図4は、参照極押圧部38を具体的に示す図であって、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)に示すB−Bの切断面で切断したときの断面図である。
図3を参照して、参照極収容部29は、絶縁性の樹脂製(たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン製など、以下同様)であり、有底円環形状に形成され、電気化学セル1に組み付けられた状態において、収容部16の内周面と電極押圧部材20の外周面との間に介在される径方向厚みで形成されている(図2参照)。また、参照極収容部29は、その内周面を有する参照極収容部内周壁41と、参照極収容部内周壁41の径方向外側において間隔を隔てて対向され、その外周面を有する参照極収容部外周壁40と、これら参照極収容部内周壁41と参照極収容部外周壁40の下端部を連結する中空円板状の参照極底壁42とを備えている。そして、参照極収容部内周壁41と参照極収容部外周壁40との間が、参照極押圧部38が収容される溝部39として形成される。なお、本発明では、参照極収容部外周壁40および参照極収容部内周壁41が、ガイド部を構成している。
参照極底壁42には、周方向略等間隔に複数個所(たとえば16箇所)、略長方形に切り出されることによって開口される開口部43が形成されている。
図4を参照して、参照極押圧部38は、たとえば、ステンレスまたはニッケルなど、電気伝導性を有する材料からなり、円筒形状に形成され、溝部39に収納可能な径方向厚みで形成されている。また、溝部39に収容された状態において、その上面が、参照極収容部29の上面と、略面一となるような高さで形成されている。これにより、電気化学セル1に組み付けられた状態において、第2コイルばね22と電気的に導通される(図2参照)。さらに、参照極押圧部38の、外周面が参照極押圧部外周面45、内周面が参照極押圧部内周面46として形成されている。
また、参照極押圧部38の上面には、周方向途中に上下方向に段差を生じる凹部44が、複数個(たとえば8箇所)形成されており、参照極押圧部38を参照極収容部29に収容した状態において、たとえば、任意の凹部44の側面とそれに隣接する凹部44の側面とをピンセットまたは指で挟むことなどによって、参照極押圧部38を参照極収容部29から取り出すことができるようになっている。
再び図1および図2を参照して、第2コイルばね22は、参照極収容部材21の上面、詳しくは、参照極収容部29および参照極押圧部38の上面に当接可能な直径を有する螺旋筒状の金属製のコイルばねから形成されている。
作用極3は、電極押圧部材20と同径の円板形状をなし、たとえば、水蒸気賦活活性炭、やしがら系活性炭および石油コークス系活性炭などの活性炭、リチウム遷移金属化合物、二酸化マンガンまたはフッ化黒鉛など、たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどの正極材料、たとえば、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)およびグラファイトなどの炭素系材料、黒鉛、不定形炭素または有機高分子焼結体など、たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどの負極材料など、作用極3として性能評価をする材料から形成されている。
対極4は、作用極3と同径の円板形状をなし、たとえば、上記した材料と同様の材料など、対極4として評価する材料から、形成されている。なお、対極4は、作用極3より大径の円板形状に形成することもできる。
参照極5は、作用極3および対極4の電位の基準となる電極であり、電極電位が安定している材料、たとえば、リチウム、銀、活性炭などが用いられ、たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタの性能評価を実施する場合においては、リチウムを用いることが好ましい。性能評価の評価対象が、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタのように、正極および負極にリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な材料が用いられているデバイスである場合において、参照極5がリチウムであると、効率よく性能評価を実施することができる。また、参照極5は、溝部39内において円環状に収容される形状、たとえば、開口部43より大きい面積である箔形状、たとえば、略長方形が放射状に連結するような短冊形状に形成されている。これにより、たとえば、リチウムなどのように加工性の良くない材料を参照極5に用いた場合であっても、参照極5の形状が箔形状であれば、作業能率を低下させずに、容易に加工することができる。
セパレータ6は、電極押圧部材20、作用極3および対極4よりも大径であって、収容部16の内径と同径の円板形状をなし、たとえば、ガラス繊維からなる不織布またはポリオレフィン系微孔性フィルム、セルロース系フィルムなど、セパレータとして用いられる通常の材料から、形成されている。
次に、この電気化学セル1の組み付けについて説明する。
この電気化学セル1の組み付けにおいては、まず、下側ケーシング8の収容部16内に、対極4、セパレータ6、作用極3および、参照極5が収容された参照極収容部材21を、配置する。具体的には、収容部16内の底面中央部に、対極4を載置し、その対極4の上面に、セパレータ6を載置し、そのセパレータ6の上面周端部に、参照極5が収容された参照極収容部材21を配置する。
ここで、参照極収容部材21の組み付けについて、図5〜図7を参照して説明する。
参照極収容部材21の組み付けにおいては、まず、図5に示すように、参照極底壁42の被押圧面としての上面に参照極5を載置する。具体的には、短冊状に形成された参照極5を、その表面が開口部43から露出するように、たとえば、参照極底壁42の周方向にわたって載置する。次いで、図6に示すように、たとえば、参照極押圧部外周面45が参照極収容部外周壁40の内周面に摺動するように、また、参照極押圧部内周面46が参照極収容部内周壁41と摺動するように、参照極押圧部38を参照極収容部29に対してスライドさせて、溝部39に収容する。
このように組み付けることによって、図7に示すように、参照極5は、参照極底壁42の上面と参照極押圧部38との間において、参照極押圧部38によって押圧され、かつ、開口部43から露出される。また、参照極押圧部38の上面が、参照極収容部29の上面と略面一となるように組み付けられている。なお、参照極5については、たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどの性能評価の精度に影響を与えないのであれば、たとえば、参照極底壁42の上面の周方向数箇所に載置するだけでもよい。
そして、参照極収容部材21を配置した後、セパレータ6の上面中央部に、作用極3を載置し、作用極3の上面に、電極押圧部材20が上下方向において重なるように載置する。これによって、収容部16内においては、対極4、セパレータ6、作用極3および電極押圧部材20が、収容部16の深さ方向(上下方向)に沿って順次配置され、参照極5が収容された参照極収容部29が、電極押圧部材20に対して径方向外方側方に配置される。
また、セパレータ6は、電極押圧部材20、作用極3および対極4の外径より大きく、収容部16の内径と同径に形成されているため、このような配置において、上下方向における電極押圧部材20、作用極3および対極4の投影面から、径方向(水平方向)外方にはみ出している。そして、参照極収容部29に収容されている参照極5は、上下方向における電極押圧部材20、作用極3および対極4の投影面から、径方向(水平方向)外方に離間して配置されており、はみ出した部分のセパレータ6の上面と、開口部43から露出した参照極5の下面とが、上下方向において対向する。
また、このような配置において、参照極5は、作用極3に対して径方向外方において、セパレータ6を介在させることなく配置されている。
その後、収容部16内に、電解液を注入する。電解液は、その目的および用途によって、適宜公知のものが選択される。たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどの性能評価を実施する場合には、リチウムイオンを含む有機溶媒からなり、リチウム塩を有機溶媒に溶解させることにより、調製されている。
リチウム塩としては、たとえば、LiClO4、LiCF3SO3、LiC(SO2CF33、LiB(C654、LiC49SO3、LiC817SO3、LiB[C63(CF32−3,5]4、LiB(C654、LiB[C64(CF3)−4]4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3CO2、LiN(CF3SO22が挙げられる。なお、上式中[C63(CF32−3,5]は,フェニル基の3位と5位に、[C64(CF3)−4]はフェニル基の4位に、それぞれ−CF3が置換されているものを意味する。
また、有機溶媒としては、たとえば、ジエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、プロピレンカーボネート誘導体、エチレンカーボネート、エチレンカーボネート誘導体、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジオキソラン、リン酸トリエステル、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、1,3−プロパンスルトン、4,5−ジヒドロピラン誘導体、ニトロベンゼン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン誘導体、シドノン化合物、アセトニトリル、ニトロメタン、アルコキシエタン、トルエンなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上併用することができる。電解液は、組み付け後の電気化学セル1において、収容部16内の少なくともセパレータ6が浸漬されるとともに、参照極収容部材21の下端部の少なくとも一部が浸漬される程度、たとえば、参照極5が電解液に接触する程度に注入する。
次いで、参照極収容部材21の上面に、第2コイルばね22の下端部を載置した後、中間ケーシング9を、その下面で第2コイルばね22の上端部を押圧するようにして、下側ケーシング8の下側フランジ部17の上面に重ね合わせる。なお、中間ケーシング9と下側ケーシング8との間には、ゴム製のOリング30および円板形状のリングシール板33を介在させて、それらの間のシールを確保するとともに、中間ケーシング9と下側ケーシング8との間を絶縁する。
その後、上側ケーシング7を、中間ケーシング9の上面に重ね合わせる。なお、上側ケーシング7と中間ケーシング9との間には、ゴム製のOリング30および円板形状のリングシール板33を介在させて、それらの間のシールを確保するとともに、上側ケーシング7と中間ケーシング9との間を絶縁する。
そして、上側ケーシング7、中間ケーシング9および下側ケーシング8に穿孔されている固定孔18を位置合わせして、各固定孔18に下側ケーシング8の下側フランジ部17側から、固定ボルト31を挿通させ、上側ケーシング7の上側フランジ部11側に挿通された固定ボルト31を、ナット32で締め込む。なお、上側ケーシング7および中間ケーシング9の固定孔18には、予め絶縁性のカラー部材34を挿入しておき、固定ボルト31によって、上側ケーシング7、中間ケーシング9および下側ケーシング8が導通することを防止する。
また、上側ケーシング7の中央筒部10の挿通孔14に、押圧軸15を、リング部26が挿通孔14に対向し、押圧軸15の下端部が電極押圧部材20の受け部27に当接するまで、挿通する。そして、挿通孔14に挿通された押圧軸15のリング部26の上面に、第1コイルばね19を載置した後、押圧調整ボルト12のねじ軸部24を、ばね受け凹部25によって押圧軸15の上端部が受けられるように、中央筒部10の螺着部13に螺着させ、螺締する。なお、押圧調整ボルト12の頭部23の下面と、中央筒部10の上端面との間には、ゴム製のOリング30を介在させて、それらの間のシールを確保する。
このようにして組み付けられた電気化学セル1では、固定ボルト31およびナット32の締め付けによって、参照極収容部材21の上面と中間ケーシング9の下面の間に挟まれる第2コイルばね22が圧縮されるので、その第2コイルばね22の反力によって、参照極収容部材21が下方に押圧され、その結果、参照極収容部材21の下面、詳しくは、参照極底壁42が、セパレータ6を押圧する。
また、このようにして組み付けられた電気化学セル1では、押圧調整ボルト12の締め付けによって、第1コイルばね19を介して、押圧軸15が下方に向かって弾性的に付勢される。そして、弾性的に付勢された押圧軸15の下端部が、電極押圧部材20を押圧するので、その結果、電極押圧部材20が、セパレータ6を上下に挟んで対向配置される作用極3および対極4を押圧する。
また、この電気化学セル1では、下側ケーシング8には、対極4に電圧を印加するための対極用端子35が設けられている。対極用端子35は、収容部16の底面に接触している対極4と、下側ケーシング8を介して電気的に導通される。
また、中間ケーシング9には、参照極5に電圧を印加するための参照極用端子36が設けられている。参照極用端子36は、参照極押圧部38と接触している参照極5と、中間ケーシング9および第2コイルばね22を介して電気的に導通される。より具体的には、電気化学セル1を組み付けた状態において、参照極用端子36が設けられる中間ケーシング9の下面は、第2コイルばね22の上端部を押圧している。また、第2コイルばね22の下端部は、参照極収容部材21の上面、詳しくは、参照極収容部29および参照極押圧部38の上面を押圧している。さらに、参照極押圧部38の下面は、参照極5を押圧している。このように、中間ケーシング9、第2コイルばね22、参照極押圧部38および参照極5が連続的に接触した状態となるので、参照極用端子36は、参照極5と電気的に導通される。
また、上側ケーシング7には、作用極3に電圧を印加するための作用極用端子37が設けられている。作用極用端子37は、電極押圧部材20の下面に接触している作用極3と、上側ケーシング7、押圧調整ボルト12、第1コイルばね19および押圧軸15を介して電気的に導通される。
そして、このような電気化学セル1では、作用極3および対極4がセパレータ6を介して上下方向に対向配置される一方で、参照極5が、上下方向における作用極3の投影面から離間し、かつ、作用極3との間に他のセパレータが介在されずに、作用極3および対極4によって挟まれるセパレータ6と接触するように、配置されており、さらに、参照極底壁42の上面と参照極押圧部38との間に配置されている。
つまり、この配置により、参照極5と作用極3との間の内部抵抗を低減することをできながら、参照極5を参照極底壁42の上面に載置して、その上から参照極押圧部38で押圧するという簡易な操作だけで、参照極5を作業性良く、確実に組み付けることができる。また、参照極5が、開口部43から露出するので、たとえば、リチウムイオン電池やハイブリッドキャパシタなどの性能評価に使用できる参照極5の有効面積を広くすることができ、精度の高い性能評価を行うことができる。
また、参照極収容部29が、絶縁性の樹脂からなり、参照極5と反応せず、かつ、電解液と反応しないため、たとえば、性能評価中に作用極3と参照極5とが短絡することを抑制することができ、精度の高い性能評価を行うことができる。さらに、参照極収容部29に、参照極押圧部38のスライドを案内するための参照極収容部外周壁40および参照極収容部内周壁41が備えられているので、参照極5を参照極底壁42の上面に載置して、その上から参照極押圧部38を、参照極収容部外周壁40および参照極収容部内周壁41に沿ってスライドさせて収容するだけで参照極5の組み付けを行なうことができる。そのため、参照極5を、作業性よく、簡易かつ確実に組み付けることができる。
また、この電気化学セル1では、押圧調整ボルト12の締め付けによって、電極押圧部材20が、セパレータ6を上下に挟んで対向配置される作用極3および対極4を押圧して、作用極3を、セパレータ6を介して対極4に密着させることができる。また、固定ボルト31およびナット32の締め付けによって、第2コイルばね22が、参照極5を押圧して、参照極5を、セパレータ6に密着させることができる。その結果、簡易かつ確実な組み付けによって、作用極3、対極4および参照極5をより確実に配置して、正確な測定を達成することができる。
また、押圧調整ボルト12の締め付けによる押圧力を調整することによって、作用極3および対極4を、セパレータ6を介して、最適の押圧力で均一に接触させることができる。さらに、固定ボルト31およびナット32の締め付けによる押圧力を調整することによって、参照極5を、セパレータ6に対して、最適の押圧力で均一に接触させることができる。
しかも、これら押圧調整ボルト12による締め付け、および、固定ボルト31による締め付けは、すべて上方(同一方向)から実施することができるので、より一層簡易な組み付けを実現することができる。
また、この電気化学セル1では、下側ケーシング8の収容部16によって、対極4、セパレータ6、作用極3および参照極5を、コンパクトに収容しつつ、これらの簡易かつ確実な組み付けを達成することができる。
さらに、収容部16によって、その内部が閉塞されるので、電解液の漏れをより確実に防止することができる。
また、この電気化学セル1は、上記した優れた組み付け性に起因して、優れた分解性もあり、そのため、短時間で分解および組み付けすることができる。
本発明の電気化学セルの一実施形態である、3電極方式の電気化学セルの外観斜視図である。 図1に示す電気化学セルの中央断面図である。 参照極収容部を具体的に示す図であって、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)に示すA−Aの切断面で切断したときの断面図である。 参照極押圧部を具体的に示す図であって、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)に示すB−Bの切断面で切断したときの断面図である。 参照極を載置した状態の参照極収容部の平面図である。 参照極収容部および参照極押圧部の分解斜視図である。 参照極を組み付けた状態の参照極収容部材を示す断面図である。
符号の説明
1 電気化学セル
3 作用極
4 対極
5 参照極
6 セパレータ
21 参照極収容部材
29 参照極収容部
38 参照極押圧部
40 参照極収容部外周壁
41 参照極収容部内周壁
42 参照極底壁

Claims (3)

  1. 作用極と、
    前記作用極に対して対向配置される対極と、
    前記作用極と前記対極との間に介在されるセパレータと、
    前記作用極と前記対極との対向方向における前記作用極の投影面から離間するように配置され、かつ、前記作用極との間にセパレータが介在されずに配置される参照極と、
    前記参照極を収容するための収容部材とを備え、
    前記収容部材は、開口部を有する被押圧面が形成された収容部と、前記収容部に収容され、前記被押圧面を押圧するための押圧部とを備え、
    前記参照極は、前記開口部から露出するように、前記被押圧面と前記押圧部との間に配置されていることを特徴とする、電気化学セル。
  2. 前記参照極が、リチウムであることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学セル。
  3. 前記収容部材の少なくとも一部は、前記電気化学セル内において、電解液によって浸漬されており、
    前記押圧部は、前記収容部に対してスライド自在に収容され、
    前記収容部は、前記参照極と反応せず、前記電解液と反応しない材料から形成されており、前記押圧部のスライドを案内するためのガイド部を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気化学セル。
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