JPH06163033A - 二次電池用電極材料の製造方法 - Google Patents

二次電池用電極材料の製造方法

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JPH06163033A
JPH06163033A JP4333731A JP33373192A JPH06163033A JP H06163033 A JPH06163033 A JP H06163033A JP 4333731 A JP4333731 A JP 4333731A JP 33373192 A JP33373192 A JP 33373192A JP H06163033 A JPH06163033 A JP H06163033A
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atmosphere
electrode
electrode material
capacity
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JP4333731A
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Minoru Noguchi
実 野口
Koichi Miyashita
公一 宮下
Atsushi Demachi
敦 出町
Kenji Sato
健児 佐藤
Naohiko Oki
尚彦 沖
Kazuhiro Araki
一浩 荒木
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 有機高分子化合物を、還元雰囲気中で炭化
終了温度より低い温度で熱処理するか、あるいは著し
い酸化が開始するまでは大気中で、その後は還元雰囲気
中、中性雰囲気中、または酸化ガス雰囲気中で炭化終了
温度より低い温度で熱処理することを特徴とする二次電
池用電極材料の製造方法。 【効果】 本発明の製造方法で得られる炭素物質と有機
物質の性質を併せ持つ炭素材料を用いることにより、高
容量で充放電におけるサイクル安定性に優れ、しかも高
電流密度の充放電にも対応でき、さらに低電位での放電
容量が向上し、容量の経時劣化の低減された、二次電池
用電極材料を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池用電極材料の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化が進み、これに
伴い電池の高エネルギー密度化が求められ、種々の非水
電解液電池が提案されている。例えば、従来より非水電
解液電池用負極として、主に一次電池用に金属リチウム
が知られており、またアルミニウム/リチウム合金に代
表されるリチウム合金、炭素負極なども知られている。
しかしながら、金属リチウムは、二次電池の負極として
用いた場合、デンドライトの生成などに起因してサイク
ル安定性に劣ることが知られている。また、アルミニウ
ム/リチウム合金に代表されるリチウム合金負極も、金
属リチウムよりはサイクル安定性の向上はみられるもの
の、リチウム電池の性能を充分に引き出すうえでは充分
とはいえない。
【0003】このような問題を解決するため、リチウム
の炭素層間化合物が電気化学的に容易にできることを利
用した炭素負極を用いることも提案されている。このよ
うな炭素負極としては、多種、多様なものがあり、例え
ば結晶セルロースをチッ素ガス流下、1,800℃で焼
成して得られる炭素物質(特開平3−176963号公
報)、石炭ピッチあるいは石油ピッチを不活性雰囲気で
2,500℃以上で黒鉛化処理したもの(特開平2−8
2466号公報)、2,000℃を超える高温で処理さ
れたグラファイト化の進んだものなどが用いられ、金属
リチウム、リチウム合金と比較して容量の低下はある
が、サイクル安定性のあるものが得られている。しかし
ながら、このような負極でも、高電流密度での充放電に
おいては充分なサイクル安定性は得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、リチウム
電池の負極として、金属リチウムを用いた場合、充放電
にともない、デンドライトが生成し、劣化の原因となる
ばかりでなく、水分との接触により、激しい反応を起こ
し、劣化の可能性が増大するという問題がある。また、
リチウム合金も、金属リチウムに較べ安定性はあるもの
の、充分とはいえない。
【0005】一方、炭素負極は、金属リチウムやリチウ
ム合金に較べ、充電状態、すなわち、炭素にリチウムが
インターカレーションされた状態においても、水との反
応が充分に穏やかで、充放電にともなうデンドライトの
形成もほとんどみられず優れたものである。しかしなが
ら、炭素の種類によっては、充放電のほとんどできない
ものや、理論容量(充電時にLiC6 の状態を最大容量
と仮定)と比較して容量が極端に低いものが多い。ま
た、初期容量は比較的大きくても、充放電を繰り返すこ
とで劣化し、急激に容量が低下したり、また比較的容量
の大きい炭素負極においても、高電流密度で充放電を繰
り返すと劣化が激しく、二次電池としての性能を満足し
得ないなど、従来の炭素負極では、満足すべき性能の負
極は得られていない。
【0006】また、炭素負極用の炭素を製造するには、
2,000℃以上の高温での熱処理が必要であり、より
低温で簡便に製造できる方法が望まれていた。そこで、
これらの問題を解決するため、有機高分子化合物をアル
ゴンなどの不活性雰囲気中で比較的低温、すなわち炭化
温度付近で熱処理することにより、高容量でサイクル安
定性に優れ、高出力(高電流密度)の充放電にも対応で
きる負極材料が提案されている(特願平3−32967
5号明細書)。しかしながら、この材料は、上記の問題
は解決されたものの、低い電位での放電容量が小さかっ
たり、比較的低温で熱処理されているので、多くのダン
グリングボンド(他の原子と結合していない不安定な炭
素の結合手)を残しており、充放電を行わなくても時間
の経過に伴い容量が低下してしまうという問題があっ
た。本発明は、以上のような従来の技術的課題を背景に
なされたものであり、高容量でサイクル安定性に優れ、
高出力(高電流密度)の充放電にも対応でき、さらに低
電位での放電容量が向上し、容量の経時劣化の低減され
た二次電池用電極材料を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機高分子化
合物を、還元雰囲気中で炭化終了温度より低い温度で
熱処理するか(以下「ケース」ということがある)、
あるいは著しい酸化が開始するまでは大気中で、その
後は還元雰囲気中、中性雰囲気中、または酸化ガス雰囲
気中で炭化終了温度より低い温度で熱処理すること(以
下「ケース」ということがある)を特徴とする二次電
池用電極材料の製造方法を提供するものである。
【0008】炭素は、その出発原料、製造方法によっ
て、その物性、結晶構造が異なり、二次電池用電極とし
て用いた場合にも、性能に大きな差異が生ずる。本発明
においては、有機高分子化合物を、該有機高分子化合物
の炭化終了温度より低い温度で、特定の雰囲気下、熱処
理することで、優れた電極材料を得ることができるので
ある。
【0009】本発明において、有機高分子化合物として
は、その分子構造、その物性より、ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリベンジ
ル、ポリアミドイミド、フェノール樹脂などの耐熱性有
機高分子化合物が好ましい。これらの有機高分子化合物
のうち、共役高分子構造の発達したノンヘテロサイクリ
ックポリマーが特に好ましい。このようなものとして
は、ポリ(p−フェニレン)(P.P.P)、ポリ(p
−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−フェニ
レンキシレン)(PPX)などの直線型ポリマーが特に
優れたものである。
【0010】本発明の製造方法において、熱処理は有機
高分子化合物の炭化終了温度より低い温度でなされる。
炭化終了温度とは、熱分析において重量減少がほとんど
なくなる温度である。この炭化終了温度は、出発原料に
よって異なり、最適な熱処理温度も異なるが、300〜
1,500℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは50
0〜1,200℃ある。300℃未満では炭化が進ま
ず、一方炭化終了温度を超えるとグラファイト化が進み
すぎるので電池としての容量の低下をもたらしてしまう
ことになる。
【0011】有機高分子化合物を炭化終了温度より低い
温度で熱処理することにより、一部グラファイト化され
たアモルファス状態の炭素が得られる。これは、X線回
折パターン、および波長5,145Åのアルゴンイオン
レーザー光を用いたラマンスペクトル分析において証明
されている。すなわち、図2に示すように、グラファイ
トに起因するピークのショルダーはみられるものの、結
晶化は進んでいない。また、図6に示すように、グラフ
ァイト構造に起因する1,580cm-1のピークが短波
長側にシフトしており、かつ2,700cm-1付近に明
瞭なピークを示さないので、グラファイトではないこと
が分かる。この状態では有機成分、すなわち出発原料中
に含まれる炭素以外の元素(通常の場合は水素)が残存
しているが、これが二次電池用電極材料として最適なの
である。
【0012】次に、加熱は、還元雰囲気中、あるいは
著しい酸化が開始するまでは大気中でその後還元雰囲
気中、中性雰囲気中または酸化ガス中で行われる。ケー
スにおける還元雰囲気としては、水素雰囲気、アンモ
ニア雰囲気、アンモニア−水素混合雰囲気などが挙げら
れる。このような焼成雰囲気とすることにより、還元性
であり活性な水素によりダングリングボンドを低減でき
るのである。
【0013】また、ケースのように著しい酸化が開始
するまでは大気中で熱処理してもよい。著しい酸化が開
始する温度は、出発原料によって異なるが、通常、20
0〜500℃で、200〜400℃まで大気中で熱処理
することが好ましい。この場合、その後、還元雰囲気、
中性雰囲気または酸化ガス雰囲気中で熱処理しなければ
ならない。還元雰囲気としては、ケースと同様であ
り、また中性雰囲気としては、アルゴン、ヘリウム、チ
ッ素などが挙げられる。さらに、酸化ガスとしては、N
O/N2 (体積比=1/99〜99/1)の混合ガス、
2 O/N2 (体積比=1/999〜2/8)の混合ガ
スなどが挙げられる。このような処理により、低分子の
有機高分子化合物が酸素の結合を介して高分子化し、炭
化開始温度より低い温度での蒸発を低減できると考えら
れる。
【0014】加熱時間は0〜6時間、好ましくは0〜2
時間が適当である。ここで、加熱時間とは、設定温度、
すなわち熱処理温度到達後の時間であり、この時間が0
でも、電極としての性能に大きな影響はない。この具体
的な熱処理方法としては、ケース〜ともに、室温か
ら重量減少温度まで昇温はどのような昇温速度でもよ
く、これから得られた炭素の電極材料としての性能に影
響することはない。重量減少開始温度から熱処理温度に
到達するまでは、一定の昇温速度で行うのがよく、0.
1℃/分〜20℃/分が適当であり、好ましくは0.5
℃/分〜15℃/分、さらに好ましくは1℃/分〜10
℃/分である。
【0015】熱処理は、大気中で行われる場合を除き、
所定のガス中で行われるが、このガスは、昇温速度のコ
ントロールに影響を与えない範囲の流量で流されていれ
ばよい。また、冷却は、所定のガスフロー中で自然冷却
にて室温まで戻せばよい。そして、後処理としての熱処
理、表面改質などの処理は必要ない。以上のようにし
て、本発明の電極材料が得られるが、このようにして得
られる熱処理物は、通常、粉体または固体であり、これ
を機械的に粉砕し、優れた電極材料を得ることができ
る。
【0016】この電極材料を用いて負極を作製する場
合、電極材料の粒径は必ずしも制限されるものではない
が、平均粒径が5μm以下のものを用いることにより高
性能の電極を作ることができる。この場合、これらの粉
末に、ポリエチレン粉末などのバインダーを添加混合
し、ロールで圧延し、電極を作ることができる。バイン
ダーの配合量は、電極材料100重量部に対して2〜3
0重量部、好ましくは5〜20重量部である。ここで、
バインダーとしては、有機、無機いずれのバインダーも
使用することができる。有機バインダーとしては、前記
ポリエチレンのほかに、ポリテトラフルオロエチレンな
どのフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニ
ルなどの多くのバインダーを使用することができる。こ
の場合、ポリエチレンを除いて、バインダーの炭化終了
温度より低い温度での熱処理が必要となる。
【0017】また、無機バインダーとしては、ケイ素ガ
ラスなどのケイ素系バインダーが使用できるが、この場
合もバインダーとしての性能を発揮させるため融点を超
えた温度での熱処理が必要である。この場合、出発物質
である有機高分子化合物とこれらのバインダーを混合し
て成形し、前記のように熱処理することにより、直接、
電極体を得ることができる。この場合、電極体の形状変
化に注意する必要があるが、二次電池用の電極としての
性能は、本発明の電極材料とポリエチレンとを圧粉成形
したものと同等である。このようにして得られる電極体
は、これにリチウムまたはリチウムを主体とするアルカ
リ金属を担持させて、リチウム電池用電極とすることが
できる。
【0018】担持させる方法としては、リチウム箔を接
触させ熱拡散させたり、リチウム塩溶液中で電気化学的
にリチウムをドープさせたり、あるいは溶融リチウムに
浸漬させるなど、従来より行われているどのような方法
でもよい。本発明の電極材料は、二次電池の負極として
広範囲に使用でき、各種の正極、例えば二酸化マンガ
ン、五酸化バナジウムなどの酸化物やポリピロールなど
の有機高分子を用いた正極などと組み合わせて使用する
ことができる。また、負極ばかりでなく、同様にして各
種の負極、例えば本発明の電極材料より低い電位を有す
るリチウム金属、リチウム合金、Li−GICなどの電
極材料などと組み合わせて正極としても使用できる。
【0019】また、本発明の電極材料を用いた電池に使
用する非水系の電解質としては、正極材料および負極材
料に対して化学的に安定であり、かつリチウムイオンが
正極活物質と電気化学反応をするために移動できる非水
物質であればどのようなものでも使用でき、特にカチオ
ンとアニオンの組み合わせよりなる化合物であって、カ
チオンとしてはLi+ 、またアニオンの例としてはPF
6 - 、AsF6 - 、SbF6 - のようなVa族元素のハ
ロゲン化物アニオン、I- 、I3 - 、Br- 、Cl-
ようなハロゲンアニオン、ClO4 - のような過塩素酸
アニオン、HF2 - 、CF3 SO3 - 、SCN- などの
アニオンを有する化合物を挙げることができるが、必ず
しもこれらのアニオンに限定されるものではない。この
ようなカチオン、アニオンを持つ電解質の具体例として
は、LiPF6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB
4 、LiClO4 、LiI、LiBr、LiCl、L
iAlCl4 、LiHF2 、LiSCN、LiCF3
3 などが挙げられる。これらのうちでは、特にLiP
6 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBF4 、Li
ClO4 、LiCF3 SO3 が好ましい。
【0020】なお、非水系の電解質は、通常、溶媒に溶
解された状態で使用され、この場合、溶媒は特に限定さ
れないが、比較的極性の大きい溶媒が良好に用いられ
る。具体的にはプロピレンカーボネート、エチレンカー
ボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒド
ロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、ジメトキシエタ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグラ
イム類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、トリエ
チルホスフェートなどのリン酸エステル類、ホウ酸トリ
エチルなどのホウ酸エステル類、スルホラン、ジメチル
スルホキシドなどのイオウ化合物、アセトニトリルなど
のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミドなどのアミド類、硫酸ジメチル、ニトロメタン、
ニトロベンゼン、ジクロロエタンなどの1種または2種
以上の混合物を挙げることができる。これらのうちで
は、特にプロピレンカーボネート、エチレンカーボネー
ト、ブチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−
メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエ
タン、ジオキソランおよびγ−ブチロラクトンから選ば
れた1種または2種以上の混合物が好適である。
【0021】さらに、この非水電解質としては、上記非
水電解質を、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロ
ピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのイソシア
ネート架橋体、エチレンオキサイドオリゴマーを側鎖に
持つホスファゼンポリマーなどの重合体に含浸させた有
機固体電解質、Li3 N、LiBCl4 などの無機イオ
ン誘導体、Li4 SiO4 、Li3 BO3 などのリチウ
ムガラスなどの無機固体電解質を用いることもできる。
【0022】本発明の電極材料を使用したリチウム二次
電池を図面を参照してさらに詳細に説明する。すなわ
ち、本発明の電極材料を使用したリチウム二次電池は、
図1に示すように開口部10aが負極蓋板20で密閉さ
れたボタン形の正極ケース10内を微細孔を有するセパ
レータ30で区画し、区画された正極側空間内に正極集
電体40を正極ケース10側に配置した正極50が収納
される一方、負極側空間内に負極集電体60を負極蓋板
20側に配置した負極70が収納されたものである。
【0023】なお、セパレータ30としては、多孔質で
電解液を通したり含んだりすることのできる、例えばポ
リテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンやポリエチ
レンなどの合成樹脂製の不織布、織布および編布などを
使用することができる。また、正極50に用いられる正
極材料としては、リチウム含有五酸化バナジウム、リチ
ウム含有二酸化マンガンなどの焼成体粒子を使用するこ
とができる。なお、符号80は、正極ケース10の内周
面に周設されて負極蓋板20を絶縁支持するポリエチレ
ン製の絶縁パッキンである。
【0024】
【作用】本発明においては、有機高分子化合物を炭化終
了温度より低い温度で熱処理することにより、これが炭
化されグラファイト(結晶状)とアモルファスの中間に
ある、すなわちグラファイトとアモルファスの両方の特
徴を有する炭素が形成される。さらに、形成された炭素
中には、有機成分、すなわち出発原料中に含まれる炭素
以外の元素(通常の場合には水素)が残存している。通
常、高温で熱処理されるほど、X線的にはグラファイト
化が高くなり、一定以上にグラファイト化が進んだ炭素
は、電池としての容量の低下をもたらす。
【0025】しかしながら、本発明の電極材料は、比較
的低温で処理されるので、完全なグラファイト構造を持
たず、一次元的グラファイト類似構造を持ち、そのため
リチウムイオンの拡散がスムーズに行われ、高容量、高
サイクル安定性を示すと考えられる。一方、グラファイ
ト化が進むと、層間へのリチウムのインターカレーショ
ンは行われるものの、バルクへのリチウムの拡散速度が
制限され、高電流密度(高パワー)の充放電に対応でき
なくなるものと考えられる。また、本発明の電極材料
は、炭素中に適度にグラファイトが存在するので、これ
により導電性が上がり、電極としての性能を高める作用
があるものと推察される。
【0026】さらに、本発明では、還元雰囲気中で焼成
するので、比較的低温での焼成であるにもかかわらず、
還元性であり活性な水素により、ダングリングポンイト
を低減でき、本発明の電極材料を用いた電池の容量の経
時劣化を低減できる。また、原因は不明であるが、低電
位での容量も改善される。また、著しい酸化が開始する
までは大気中で焼成することにより、低分子の有機高分
子化合物が酸素の結合を介して高分子化し、炭化開始温
度より低い温度での蒸発を低減でき、これにより容量、
サイクル安定性が向上するものと思われる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定される
ものではない。なお、実施例中においてサイクル安定性
の評価は、次のようにして測定したものである。すなわ
ち、得られた電極を、プロピレンカーボネートとジメト
キシエタン(体積比で1対1)の混合溶媒に、LiCl
4 を1モル/lの濃度で溶解したものを電解液とし、
対極および参照極にLiを用いて図3に示す評価セルを
組み立て、この評価セルを用い、放電終止電位3V、充
電終止電位+10mV、充放電電流密度1.6mA/c
2 の条件でサイクル安定性を測定した。なお、図3に
おいて、符号1は対極(Liフォイル)、符号2はセパ
レータ(ガラスフィルター)、符号3は試料、符号4は
参照極、符号5は電解液、符号6はO−リング、符号7
はバネである。
【0028】実施例1 ポリパラフェニレン(P.P.P)を室温から350℃
までは大気中で、350℃から700℃まではアルゴン
雰囲気中で熱処理して電極材料を得た。この際、室温か
ら500℃までは250℃/時間、500℃から700
℃までは40℃/時間の割合で昇温した。700℃に達
した時点で加熱を中止し、炉冷した。室温に下がるまで
アルゴンを流し続けた。このようにして製造した炭素材
料からなる電極材料のX線回折パターンを図2に示す。
特定な回折パターンを示さず非晶質である。このように
して得られた電極材料に20重量%となるようにポリエ
チレンバインダーを加えて混合後、1ton/cm2
圧力で圧粉成形し、5×6mmに切り出して電極を製造
した。作製した電極について、図3に示すテストセルを
用いて、充放電を繰り返した。結果を図4に示す。
【0029】比較例1 大気中で加熱せず、室温からアルゴン中で加熱処理した
以外は、実施例1と同様にして得られた材料を実施例1
と同様に性能評価した。結果を図4に示す。図4からも
分かるように、著しい酸化が開始するまで大気中で加熱
したものの方が容量、サイクル安定性ともに優れてい
た。
【0030】実施例2 P.P.Pを水素気流下で室温から500℃までは25
0℃/時間の割合で、500℃から700℃までは40
℃/時間の割合で昇温し、700℃に達した時点で加熱
を中止し、炉冷した。室温に下がるまで水素を流し続け
た。このようにして製造した炭素材料からなる電極材料
のX線回折パターンをP.P.Pのものとともに図5に
示す。ブロードなピークが測定されるが、これはP.
P.Pが完全に炭化されていないため、P.P.Pの構
造に近い何らかの構造によるものと思われる。また、図
6にラマンスペクトルの測定結果を示す。1,580c
-1が高波数側へシフトしており、2,700cm-1
は明瞭なピークを示さない。従って、これはグラファイ
ト構造ではない。
【0031】元素分析の結果、H/C(原子比)=0.
241であった。水素に代えてアルゴン中で同一条件で
焼成したものが、H/C(原子比)=0.199であっ
たのと比べ、より多くの水素を含んでいる。水素中、ア
ルゴン中で焼成して得られた電極材料それぞれに、20
重量%となるようにポリエチレンバインダーを加えて混
合後、1ton/cm2 の圧力で圧粉成形し、5×6m
mに切り出して電極を製造した。作製した電極それぞれ
について、図3に示すテストセルを用いて、初期放電容
量の経時劣化を測定した。結果を図7に示す。試料は劣
化加速のため80℃真空中(10-3Torr)に放置し
た。また、初期放電曲線を図8に示す。放電容量は水素
中で焼成した試料では低下するが、1V以下の電位にお
いては水素中で焼成した試料の方が高い。
【0032】実施例3 ベンゼンとキシレンをモル比で1:1の割合で重合した
樹脂を、室温から350℃まで大気中で1時間で昇温
し、その後アルゴン雰囲気中で650℃まで6時間かけ
て昇温し、650℃に到達した時点で加熱を中止し、炉
冷した。室温に下がるまでアルゴンを流し続けた。この
ようにして得られた炭素材料からなる電極材料に20重
量%となるようにテフロンバインダーを加えて混合後、
加圧成形し、電極を製造した。作製した電極について、
実施例1と同様の条件にて充放電を繰り返した。結果を
図9に示す。
【0033】比較例2 大気中で加熱せず室温からアルゴン中で加熱処理した以
外は、実施例3と同様にして得られた材料を実施例3と
同様に性能評価した。結果を図9に示す。図9からも分
かるように、大気中で加熱したものの方が容量、サイク
ル安定性ともに優れていた。
【0034】
【発明の効果】本発明の製造方法で得られる電極材料を
用いることにより、高容量で充放電におけるサイクル安
定性に優れ、高電流密度の充放電に耐え得、しかも、経
時劣化の低減された、低電位での放電容量の向上した二
次電池用電極が得られる。また、本発明の電極材料の製
造方法は、従来の製造方法のように2,000℃以上の
高温で熱処理しなければならなかったのに較べ、低温で
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二次電池用電極材料を用いたリチウム
二次電池の一部断面図を含む正面図である。
【図2】実施例1で得られた電極材料のX線回折パター
ンである。
【図3】電極を評価するための評価セルの構成図であ
る。
【図4】実施例1および比較例1の性能評価におけるサ
イクル安定性を示すグラフである。
【図5】実施例2で得られた電極材料のX線回折パター
ンである。
【図6】実施例2で得られた電極材料のラマンスペクト
グラムである。
【図7】実施例2の性能評価における初期放電容量の経
時劣化を示すグラフである。
【図8】実施例2の性能評価における初期放電曲線であ
る。
【図9】実施例3および比較例2の性能評価におけるサ
イクル安定性を示すグラフである。
【符号の説明】
30 セパレータ 50 正極 70 負極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 健児 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 沖 尚彦 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 荒木 一浩 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子化合物を、還元雰囲気中で
    炭化終了温度より低い温度で熱処理するか、あるいは
    著しい酸化が開始するまでは大気中で、その後は還元雰
    囲気中、中性雰囲気中、または酸化ガス雰囲気中で炭化
    終了温度より低い温度で熱処理することを特徴とする二
    次電池用電極材料の製造方法。
JP4333731A 1992-11-20 1992-11-20 二次電池用電極材料の製造方法 Withdrawn JPH06163033A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1040914A (ja) * 1996-05-23 1998-02-13 Sharp Corp 非水系二次電池及び負極活物質の製造方法
JP2007257850A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Daihatsu Motor Co Ltd 電気化学セル
JP2011216231A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Jx Nippon Oil & Energy Corp リチウムイオン二次電池用炭素材料及びそれを用いた電極

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