JP2561620B2 - 炭素系材料およびその製造方法 - Google Patents

炭素系材料およびその製造方法

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JP2561620B2 JP5508802A JP50880293A JP2561620B2 JP 2561620 B2 JP2561620 B2 JP 2561620B2 JP 5508802 A JP5508802 A JP 5508802A JP 50880293 A JP50880293 A JP 50880293A JP 2561620 B2 JP2561620 B2 JP 2561620B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、炭素系材料、特に二次電池用電極材料、さ
らに詳細には非水電解液二次電池用電極材料に有用な炭
素系材料、およびその製造方法に関する。
背景技術 近年、電子機器の小型化が進み、これに伴い電池の高
エネルギー密度化が求められ、種々の非水電解液電池が
提案されている。
例えば、従来より非水電解液電池用負極として、主に
一次電池用に金属リチウムが知られており、またアルミ
ニウム/リチウム合金に代表されるリチウム合金、炭素
負極なども知られている。
しかしながら、金属リチウムは、二次電池の負極とし
て用いた場合、デンドライトの生成などに起因してサイ
クル安定性に劣ることが知られている。
また、アルミニウム/リチウム合金に代表されるリチ
ウム合金負極も、金属リチウムよりはサイクル安定性の
向上はみられるものの、リチウム電池の性能を充分に引
き出すとはいえない。
このような問題を解決するため、リチウムの炭素層間
化合物が電気化学的に容易にできることを利用した炭素
負極を用いることも提案されている。このような炭素負
極としては、多種、多様なものがあり、例えば結晶セル
ロースをチッ素ガス流下、1,800℃で焼成して得られる
炭素物質(特開平3−176963号公報)、石炭ピッチある
いは石油ピッチを不活性雰囲気で2,500℃以上で黒鉛化
処理したもの(特開平2−82466号公報)、2,000℃を超
える高温で処理されたグラファイト化の進んだものなど
が用いられ、金属リチウム、リチウム合金と比較して容
量の低下はあるが、サイクル安定性のあるものが得られ
ている。しかしながら、このような負極でも、高電流密
度での充放電においては充分なサイクル安定性は得られ
ていない。
このように、リチウム電池の負極として、金属リチウ
ムを用いた場合、充放電にともないデンドライトが生成
し、劣化の原因となるばかりでなく、水分との接触によ
り激しい反応を起こし、劣化の可能性が増大するという
問題がある。また、リチウム合金も、金属リチウムに較
べ安定性はあるものの、充分とはいえない。
一方、炭素負極は、金属リチウムやリチウム合金に較
べ、充電状態、すなわち炭素にリチウムがインターガレ
ーションされた状態においても、水との反応が充分に穏
やかで、充放電にともなうデンドライトの形成もほとん
どみられず優れたものである。しかしながら、炭素の種
類によっては、充放電のほとんどできないものや、理論
容量(充電時にLiC6の状態を最大容量と仮定)と比較し
て容量が極端に低いものが多い。
また、初期容量は比較的大きくても、充放電を繰り返
すことで劣化し、急激に容量が低下したり、また比較的
容量の大きい炭素負極においても、高電流密度で充放電
を繰り返すと劣化が激しく、二次電池としての性能を満
足し得ないなど、従来の炭素負極では満足すべき性能の
負極は得られていない。
また、炭素電極用の炭素を製造するには、2,000℃以
上の高温での熱処理が必要であり、より低温で簡便に製
造できる方法が望まれている。
以上のように、炭素は、二次電池用電極材料として最
適であるとされるようになったが、他に半導体、キャパ
シター、活性炭などにも利用でき、その用途が広がって
いる。
本発明は、以上のような従来の技術的課題を背景にな
されたものであり、電極材料、キャパシター、活性炭な
どに有用であり、特に高容量でサイクル安定性に優れ、
高出力(高電流密度)の充放電にも対応できる二次電池
用電極材料に有用な炭素系材料、およびそのような炭素
系材料を高温での熱処理をせず、比較的低温(800℃以
下)で得ることのできる炭素系材料の製造方法を提供す
ることを目的とする。
発明の開示 本発明は、ノンヘテロサイクリックポリマーを不活性
ガス雰囲気下、600〜800℃で熱処理して得られる、炭素
物質と有機物質の性質を併せ持つ炭素系材料であって、
かつ下記〜の条件を満たす炭素系材料を提供するも
のである。
真密度が1.3〜2.1g/cm3
水素/炭素(H/C)原子比が0.15〜0.6。
X線広角回折法により特定な回折ピークを示さないア
モルファス構造を有する。
波長5,145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラ
マンスペクトル分析において、1,350cm-1および1,600cm
-1付近にピークを示し、かつ2,700cm-1付近に明瞭なピ
ークを示さない。
NMR分析において、芳香族の縮環由来の120〜130ppm付
近にピークを示す。
導電性を有し、室温での抵抗率が10-3から104Ωcmで
ある。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の炭素系材料をリチウム電池用電極材
料に用いたリチウム二次電池の一部断面図を含む正面図
である。
図2は、実施例1におけるリチウム電池の充放電曲線
を示すグラフである。
図3は、実施例1におけるリチウム電池のサイクル特
性を示すグラフである。
図4は、実施例1における炭素系材料のTG、DTAの結
果を示すグラフである。
図5は、実施例1で得られた炭素系材料のX線回折パ
ターンである。
図6は、実施例2におけるリチウム電池のサイクル特
性を示すグラフである。
図7は、比較例1におけるリチウム電池の充放電曲線
を示すグラフである。
図8は、比較例1におけるリチウム電池のサイクル特
性を示すグラフである。
図9は、比較例1における市販の負極カーボンのX線
回折パターンである。
図10は、実施例3および実施例7で得られた炭素系材
料のX線回折パターンである。
図11は、実施例3の性能評価における充放電曲線を示
すグラフである。
図12は、実施例3の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
図13は、比較例2の性能評価における充放電曲線を示
すグラフである。
図14は、実施例7で得られた炭素系材料のレーザーラ
マンスペクトグラムである。
図15は、実施例7で得られた炭素系材料のNMRスペク
トルである。
図16は、サイクル安定性を評価するための評価セルの
構成図である。
図17は、実施例7の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
図18は、実施例7の性能評価における充放電特性を示
すグラフである。
図19は、実施例8の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
図20は、実施例9で得られた電極材料のサイクル安定
性を示すグラフである。
図21は、比較例12で得られた炭素系材料のX線回折パ
ターンである。
図22は、比較例12で得られた粉末のレーザーラマンス
ペクトグラムである。
図23は、比較例12の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
図24は、実施例10で得られた炭素系材料のX線回折パ
ターンである。
図25は、実施例10の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
図26は、実施例11の性能評価における電位と充放電時
間との関係を示すグラフである。
図27は、実施例12で得られた炭素系材料のX線回折パ
ターンである。
図28は、実施例12で得られた炭素系材料のレーザーラ
マンスペクトグラムである。
図29は、実施例12で得られた炭素系材料のNMRスペク
トルである。
図30は、実施例12の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
図31は、実施例13の性能評価におけるサイクル安定性
を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態 炭素は、その出発原料や製造方法によって、その物性
や結晶構造が異なり、二次電池用電極として用いた場合
にも、性能に大きな差異が生ずる。
本発明は、ノンヘテロサイクリックポリマーを従来ほ
ど高温でなく600〜800℃で熱処理することにより、簡便
に、特に高性能の二次電池用電極材料に有用な炭素系材
料を得ることができるものである。
本発明において、熱処理の温度は600〜800℃であり、
500℃未満では炭化が進まず、一方1,500℃を超えるとグ
ラファイト化が進みすぎるので電池としての容量の低下
をもたらしてしまうことになる。有機高分子化合物を60
0〜800℃で熱処理することにより、X線回折パターンに
よると一部グラファイト化されたアモルファス状態の炭
素が得られ、この状態では有機成分、すなわち出発原料
中に含まれる炭素以外の元素(通常の場合は水素)が残
存しているが、これがリチウム電池用電極材料用として
最適なのである。
このようにして得られる本発明の炭素系材料は、下記
〜の条件を満たし、炭素物質と有機物質の性質を併
せ持つ。
真密度が1.3〜2.1g/cm3
水素/炭素(H/C)原子比が0.15〜0.6。
X線広角回折法により特定な回折ピークを示さないア
モルファス構造を有する。
波長5,145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラ
マンスペクトル分析において、1,350cm-1および1,600cm
-1付近にピークを示し、かつ2,700cm-1付近に明瞭なピ
ークを示さない。
NMR分析において、芳香族の縮環由来の120〜130ppm付
近にピークを示す。
導電性を有し、室温での抵抗率が10-3〜104Ωcmであ
る。
本発明の炭素系材料において、真密度は1.3〜2.1g/cm
3、好ましくは1.9〜2.1g/cm3であり、1.3g/cm3未満では
放電容量が低下し、一方2.1g/cm3を超えるとサイクル安
定性が低下する。ここで、真密度とは、多孔質固体の空
隙部を除いた部分の密度である。
また、本発明の炭素系材料は、水素/炭素(H/C)原
子比が0.15〜0.6、好ましくは0.15〜0.40てある。水素
/炭素(H/C)原子比が0.05未満では、グラファイト構
造が発達し、充放電にともなうリチウムのドープ脱ドー
プ反応時の結晶の膨張収縮により結晶構造が破壊され、
サイクル安定性が低下し、一方0.6を超えると放電容量
が著しく低下する。
さらに、本発明の炭素系材料は、X線広角回折により
特定の回折ピークを示さないものである。特定な回折ピ
ークを示すものは、アモルファス構造でなく、グラファ
イト構造が発達しているために、サイクル安定性が低下
してしまう。
さらに、本発明の炭素系材料は、波長5,145Åのアル
ゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析に
おいて、1,350cm-1および1,600cm-1付近にピークを示
し、かつ2,700cm-1付近に明瞭なピークを示さないもの
である。グラファイトの場合、1,580cm-1前後と2,700cm
-1前後にシャープなピークがあり、このようなものでは
グラファイトであるためにやはりサイクル安定性が低下
してしまう。本発明の炭素系材料においては、グラファ
イト層の広がり、重なりをあまり発達させず、a軸方向
の結晶子の大きさは25Å以下であることが好ましい。こ
のようにすれば、グラファイト構造が小さいため、構造
破壊が生じ難く、サイクル特性が改善されるのである。
さらに、本発明の炭素系材料は、NMR分析において
は、CPMAS法による13C NMR;アダマンタンの高磁場側の
ピークをを29.5ppmとする外部標準としたとき、芳香族
の縮環由来の120〜130ppm付近にピークを有する。
さらに、本発明の炭素系材料は、導電性を有し、室温
での抵抗率が10-3〜104Ωcmである。抵抗率がこの範囲
にある炭素系材料は炭素化が充分に進行しておらず出発
原料である有機物の性質が残っており、これが充放電に
ともなうリチウムのドープ、脱ドープ反応時の結晶の膨
張収縮を吸収できる性質を持っており、これにより、そ
の構造が破壊されない。抵抗率が10-3Ωcmより小さくな
ると黒鉛構造が発達し充放電に伴うリチウムのドープ、
脱ドープ反応時の結晶の膨張収縮によってその構造が破
壊され、サイクル安定性が悪くなる。一方、抵抗率が10
4Ωcmより大きくなると充放電反応時の分極が大きくな
る。好ましくは0.1〜103Ωcmである。
以上のような〜の条件を満たす本発明の炭素系材
料は、耐蝕性、多孔性で高表面積、微粒性で潤滑性を有
するという炭素系材料の特徴のいくつかも有しており、
充放電にともなうリチウムのドープ脱ドープ反応が可能
であるという炭素物質としての特徴と、それにともなう
結晶の膨張収縮を吸収できる有機物質の性質を併せ持っ
た物質であり、サイクル安定性に優れ放電容量も大きく
優れたものである。
次に、本発明の炭素系材料を製造する方法について説
明する。本発明の炭素系材料は、ノンヘテロサイクリッ
クポリマーを、通常、アルゴン、ヘリウム、チッ素など
の不活性ガス流下で600〜800℃、好ましくは該ノンヘテ
ロサイクリックポリマーの炭化温度付近で熱処理する。
炭化温度とは、出発原料のノンヘテロサイクリックポリ
マーから水素などの脱離が起こる温度であり、TG(熱重
量測定)、DTA(示差熱分析)により測定される。この
熱処理温度は、出発原料によって異なり、最適な熱処理
温度も異なるが、炭化温度から炭化温度+300℃程度の
範囲が好ましく、通常、600〜1,000℃位であり、さらに
好ましくは600〜800℃である。
加熱時間は、0〜5時間、好ましくは0〜2時間が適
当である。ここで、加熱時間とは、設定温度、すなわち
熱処理温度到達後の時間であり、この時間が0でも、電
極材料としての性能に大きな影響はない。
この具体的な熱処理方法としては、熱分析において出
発原料の重量減少開始温度、すなわち炭化温度までの昇
温速度は任意の値でよく、重量減少開始温度から最高到
達温度までは、通常、6℃/時間〜300℃/時間の昇温
速度で、好ましくは20℃/時間〜200℃/時間の昇温速
度で昇温する。より好ましくは、20℃/時間〜100℃/
時間である。
ここで、最高到達温度とは、重量減少開始温度から重
量減少終了温度までの間に減少した重量を100とした場
合、10〜90減少する温度をいう。
このような熱処理の具体的方法をポリパラフェニレン
を例にして説明する。すなわち、室温から500℃までの
昇温はどのような昇温速度でもよく、これから得られる
炭素系材料の電極材料としての性能に影響することはな
い。500℃からは、一定の昇温速度で行うのがよく、6
℃/時間〜300℃/時間が適当であり、好ましくは24℃
/時間〜120℃/時間、さらに好ましくは30℃/時間〜6
0℃/時間である。
また、熱処理温度は、上記のように、500〜1,500℃で
あるが、好ましくは600〜1,200℃、さらに好ましくは70
0〜1,000℃である。
熱処理は、アルゴン、ヘリウム、チッ素などの不活性
ガス中で行われ、この不活性ガスは、昇温速度のコント
ロールに影響を与えない範囲の流量で流されていればよ
い。
また、冷却は、不活性ガスフロー中で自然冷却にて室
温まで戻せばよい。そして、後処理としての熱処理、表
面改質などの処理は必要ない。
本発明の炭素系材料の出発原料は、その分子構造、そ
の物性から選択された、ポリアミド、ポリイミド、ポリ
エステル、ポリエーテルケトン、ポリベンジル、ポリア
ミドイミド、フェノール樹脂などの耐熱性有機高分子化
合物のうち、共役高分子構造の発達したノンヘテロサイ
クリックポリマーである。このようなものとしては、ポ
リ(p−フェニレン)(P.P.P)、ポリ(p−フェニレ
ンビニレン)(PPV)、ポリ(p−フェニレンキシレ
ン)(PPX)などの直線型ポリマーが特に優れたもので
ある。中でも、P.P.Pが好ましいが、PPV、PPXなども分
子中に脂肪族炭素を持っており、該脂肪族炭素が熱処理
した後に縮合6員環と縮合6員環をを結合し、これによ
ってドープ、脱ドープの際の応力を緩和するのでサイク
ル特性が改善されるので好ましい。
このようにして得られる熱処理物は、通常、粉体また
は固体であり、これを機械的に粉砕し、特に電極材料と
して有用な優れた炭素系材料を得ることができる。
この炭素系材料には、導電フィラーを添加することも
できる。本発明の炭素系材料は、炭素物質と有機物質の
性質を併せ持っており、電極としての抵抗が比較的大き
い。すなわち、本発明の炭素系材料は、グラファイト構
造が発達した炭素電極に較べ、急速充放電特性に優れる
が、さらに高い割合で充放電を行うとすれば、電極の電
気抵抗が大きいと、急速充電あるいは高率放電を行った
場合、電子が電極内をスムーズに移動できず充電あるい
は放電容量が低下してしまう。そこで、導電フィラーを
添加することによって、電極の電気抵抗を低減すること
ができ、さらに急速充電、高率放電が可能となる。この
導電フィラーとしては、金属の粉末あるいはメッシュで
も構わないが、例えば気相成長法炭素繊維のようなリチ
ウムイオン吸放出能力を有する導電フィラーが好まし
い。
リチウムイオン吸放出能力を有する導電フィラーを用
いると、導電フィラーを添加したことによる重量当たり
の充放電容量の低下を最小限に抑えることができる。導
電フィラーの抵抗率は、2.2×10-6Ωcm〜1×10-2Ωcm
(室温)の範囲にあり、本発明の炭素系材料より低いこ
とが好ましい。導電フィラーの添加量は、炭素系材料10
0重量部に対し、1〜30重量部が好ましい。
本発明の炭素系材料を用いて電極を作製する場合、該
炭素系材料の粒径は必ずしも制限されるものではない
が、平均粒径が5μm以下のものを用いることにより高
性能の電極を作ることができる。この場合、これらの粉
末に、ポリエチレン粉末などのバインダーを添加混合
し、ロールで圧延し、電極を作ることができる。バイン
ダーの配合量は、炭素系材料100重量部に対して2〜30
重量部、好ましくは5〜20重量部である。
ここで、バインダーとしては、有機、無機いずれのバ
インダーも使用することができる。有機バインダーとし
ては、前記ポリチレンのほかに、ポリテトラフルオロエ
チレンなどのフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ
塩化ビニルなどの多くのバインダーを使用することがで
きる。
また、石油ピッチ、石炭ピッチをバインダーとするこ
ともでき、この場合はこれらの炭化温度付近での熱処理
が必要となる。
また、無機バインダーとしては、ケイ素ガラスなどの
ケイ素系バインダーが使用できるが、この場合もバイン
ダーとしての性能を発揮させるために融点を超えた温度
での熱処理が必要である。
この場合、出発物質であるノンヘテロサイクリックポ
リマーとこれらのバインダーを混合して成形し、前記の
ように熱処理することにより、直接、電極体を得ること
ができる。この場合、電極体の形状変化に注意する必要
があるが、リチウム電池用の電極としての性能は、本発
明の炭素系材料とポリエチレンとを圧粉成形したものと
同等である。
このようにして得られる電極体は、これにリチウムま
たはリチウムを主体とするアルカリ金属を担持させて、
リチウム電池用電極とすることができる。
担持させる方法としては、リチウム箔を接触させ熱拡
散させたり、リチウム塩溶液中で電気化学的にリチウム
をドープさせたり、あるいは溶融リチウムに浸漬させ炭
素中にリチウムを拡散させるなど、従来より行われてい
るどのような方法でもよい。
本発明の炭素系材料は、リチウム電池の負極として広
範囲に使用でき、各種の正極、例えば二酸化マンガン、
五酸化バナジウムなどの酸化物やポリピロールなどの有
機高分子を用いた正極などと組み合わせて使用すること
ができる。
また、負極ばかりでなく、同様にして各種の負極、例
えば本発明の炭素系材料より低い電位を有するLi金属、
Li合金、Li−GICなどの電極材料などと組み合わせて正
極としても使用できる。
本発明の炭素系材料を電極材料に用いた電池に使用す
る非水系の電解質としては、正極材料および負極材料に
対して化学的に安定であり、かつリチウムイオンが正極
活物質と電気化学反応をするために移動できる非水物質
であればどのようなものでも使用でき、特にカチオンと
アニオンの組み合わせよりなる化合物であって、カチオ
ンとしてはLi+、またアニオンの例としてはPF6 -、As
F6 -、SbF6−のようなV a族元素のハロゲン化物アニオ
ン、I-、I3 -、Br-、Cl-のようなハロゲンアニオン、ClO
4 -のような過塩素酸アニオン、HF2 -、CF3SO3 -、SCN-
どのアニオンを有する化合物を挙げることができるが、
必ずしもこれらのアニオンに限定されるものではない。
このようなカチオン、アニオンを持つ電解質の具体例
としては、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiClO4、Li
I、LiBr、LiCl、LiAlCl4、LiHF2、LiSCN、LiCF3SO3など
が挙げられる。これらのうちでは、特にLiPF6、LiAs
F6、LiSbF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3が好ましい。
なお、非水系の電解質は、通常、溶媒に溶解された状
態で使用され、この場合、溶媒は特に限定されないが、
比較的極性の大きい溶媒が良好に用いられる。具体的に
は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、
ジオキソラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチ
レングリコールジメチルエーテルなどのグライム類、γ
−ブチロラクトンなどのラクトン類、トリエチルホスフ
ェートなどのリン酸エステル類、ホウ酸トリエチルなど
のホウ酸エステル類、スルホラン、ジメチルスルホキシ
ドなどのイオウ化合物、アセトニトリルなどのニトリル
類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど
のアミド類、硫酸ジメチル、ニトロメタン、ニトロベン
ゼン、ジクロロエタンなどの1種または2種以上の混合
物を挙げることができる。これらのうちでは、特にプロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレン
カーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジオキ
ソランおよびγ−ブチロラクトンから選ばれた1種また
は2種以上の混合物が好適である。
さらに、この非水電解質としては、上記非水電解質
を、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオ
キサイド、ポリエチレンオキサイドのイソシアネート架
橋体、エチレンオキサイドオリゴマーを側鎖に持つホス
ファゼンポリマーなどの重合体に含浸させた有機固体電
解質、Li3N、LiBCl4などの無機イオン誘導体、Li4Si
O4、Li3BO3などのリチウムガラスなどの無機固体電解質
を用いることもできる。
本発明の炭素系材料を電極材料として使用したリチウ
ム二次電池を図面を参照してさらに詳細に説明する。
すなわち、本発明の炭素系材料を負極に使用したリチ
ウム二次電池は、図1に示すように開口部10aが負極蓋
板20で密閉されたボタン形の正極ケース10内を微細孔を
有するセパレータ30で区画し、区画された正極側空間内
に正極集電体40を正極ケース10側に配置した正極50が収
納される一方、負極側空間内に負極集電体60を負極蓋板
20側に配置した負極70が収納されたものである。
なお、セパレータ30としては、多孔質で電解液を通し
たり含んだりすることのできる、例えばポリテトラフル
オロエチレン、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合
成樹脂製の不織布、織布および編布などを使用すること
ができる。また、正極50に用いられる正極材料として
は、リチウム含有五酸化バナジウム、リチウム含有二酸
化マンガンなどの焼成体粒子を使用することができる。
なお、符号80は、正極ケース10の内周面に周設されて
負極蓋板20を絶縁支持するポリエチレン製の絶縁パッキ
ンである。
本発明の炭素系材料は、炭素物質と有機物質が混在し
ており、炭素物質と有機物質の性質を併せ持っている。
そこで、炭素物質の特性として、充放電にともなうリチ
ウムのドープ脱ドープ反応が可能であり、そのうえ有機
物質の性質として、リチウムのドープ脱ドープにともな
う結晶の膨張収縮を吸収できる性質も持っており、これ
によりサイクル安定性に優れ、放電容量も大きく優れた
ものとなるのである。
また、この炭素物質と有機物質の混在した炭素系材料
(実施例1)のX線回折パターンを図5に示したが、縮
合芳香族6員環に起因するピークのショルダーはみられ
るものの、回折ピークはみられず結晶化は進んでおら
ず、アモルファス構造を持つ。本発明の炭素系材料は、
比較的低温で熱処理されるので、しっかりしたグラファ
イト構造をもたず、一次元的グラファイト類似構造をも
ち、グラファイトと有機物の中間にある。
このように、本発明の炭素系材料は、ほとんどグラフ
ァイト構造が発達しておらず、リチウムがグラファイト
の層間に拡散するグラファイト構造が非常に小さいた
め、リチウムの拡散速度が非常に速く、また溶液とグラ
ファイト構造との接触界面の面積が大きいため、高電流
密度での充放電に対応できるものと考えられる。一方、
グラファイト化がすすむと、層間へのリチウムのインタ
ーカレーションは行われるものの、バルクへのリチウム
の拡散速度が制限され、高電流密度(高パワー)の充放
電に対応できなくなるものと考えられる。また、本発明
の炭素系材料は、炭素中に適度のグラファイトが存在す
るので、これにより、導電性が上がり、電極としての性
能を高める作用があるものと推察される。
従って、本発明の有機物質と炭素物質の性質を併せ持
つ炭素系材料を、二次電池、特にリチウム電池の電極材
料として用いることにより、高容量でかつ充放電におけ
るサイクル安定性に優れ、しかも高電流密度の充放電に
耐え得るリチウム電池用電極を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 下記一般式(I)で表されるポリ(p−フェニレン)
(P.P.P)をアルゴン雰囲気中で700℃で熱処理して、炭
素成分約98重量%、有機成分(H)約1.5重量%の割合
で混在する炭素系材料を得た。
(式中、nは重合度を示す。) これに、バインダーとしてテフロン(デュポン社製、
ポリテトラフルオロエチレン)の粉末を10重量%となる
ように加えて、圧粉成形し負極を製造した。
作製した電極を負極とし、対極にリチウム箔を用い、
またPC(プロピレンカーボネート)とDME(ジメトキシ
エタン)を体積比で1:1とした混合溶媒にLiClO4を1モ
ル/で溶解したものを電解液として用い、図1に示す
電池を作製し、性能を評価した。
この充放電曲線を図2に、サイクル特性を図3に示
す。初期容量が350Ah/kgを超える値を示し、またサイク
ル特性も徐々に低下はするものの安定していた。この低
下の原因は、対極に用いたリチウム箔側での副反応生成
物によるものと考えられる〔HPLC(液体クロマトグラフ
ィー)分析により、電解質溶液中で副反応生成物の存在
を確認した〕。以上のように、ノンヘテロサイクリック
ポリマーの炭化温度付近で熱処理した炭素系材料によ
り、高容量、高出力で安定性の高いリチウム電池用負極
を製造することができる。
なお、図4にTG、DTAの結果を示す。この結果より、7
00℃前後で熱処理することで、目的とする成分と有機成
分の混在した負極材料として有用な炭素系材料が得られ
ることが分かる。
また、図5には、熱処理して得られた本発明の炭素系
材料のX線回折パターンを示す。得られた炭素系材料
は、非晶質に近く、炭素がしっかりした結晶構造を示し
ていないことが分かる。
実施例2 下記一般式(II)に表されるポリ(p−フェニレンキ
シレン)を、P.P.Pに代えて用いた以外は、実施例1と
同様にして実験した。
(式中、nは重合度を示す。) 充放電曲線は、実施例1の図2と同様であった。ま
た、サイクル特性は、図6に示すとおりであった。
比較例1 市販のリチウム電池用負極カーボンを負極に用いた以
外は、実施例1と同様に電池を作製し、性能を評価し
た。
充放電曲線を図7に、サイクル特性を図8に示す。実
施例1〜2と比較して容量、サイクル安定性ともに低い
ことが分かる。
なお、図9にこの比較例に用いた負極カーボンのX線
回折パターンを示す。この炭素は、グラファイトの結晶
構造を持っていることが分かる。
実施例3 ベンゼンを出発原料として合成した前記一般式(I)
で表されるポリパラフェニレンをアルゴン雰囲気中で熱
処理して炭素系材料を得た。
この熱処理は、室温から500℃まで1時間かけて昇温
し、500〜700℃までは5時間かけて昇温し、700℃での
保持時間は0分で、アルゴンフロー中に放置して自然冷
却した。このようにして製造した炭素系材料のX線回折
パターンを図10に示す。
このようにして得られた炭素系材料にバインダーとし
てテフロン(デュポン社製、ポリテトラフルオロエチレ
ン)の粉末を10重量%となるように加えて、圧粉成形し
負極を製造した。
作製した負極を、対極(リチウム)、参照極(リチウ
ム)と組み合わせ、プロピレンカーボネートとジメトキ
シエタンを体積比で1:1とした混合溶媒にLiClO4を1モ
ル/で溶解したものを電解液として用い、性能を評価
した。
その結果、初期容量は357Ah/kgと高く、サイクル安定
性も優れていた。このときの充放電条件は、1.6mA/cm2
と大変厳しい条件であったにもかかわらず、図11に示す
ように安定した充放電曲線を示した。
また、充放電サイクルと放電容量の関係を、図12に示
す。多少の劣化がみられるが、これは対極と電解液との
副反応が主原因と考えられる(電解液より副反応生成物
を検出した)。
以上のように、ポリパラフェニレンを出発原料として
熱処理して得られた炭素系材料は、リチウム電池用負極
として高容量で高電流密度でもサイクル安定性に優れた
ものであった。
比較例2 炭素系材料として、市販のリチウム電池用カーボンを
負極に用いた以外は、実施例3と同様に電池を作製し、
性能を評価した。
結果を図13に示す。図13からも分かるように、初期容
量は173Ah/kgと低く、サイクル性能も3サイクルで初期
容量が50%以下に低下してしまい、安定性が悪かった。
比較例12〜14、比較例3 出発原料としてポリパラフェニレンを用い、昇温速度
をコントロールせずに熱処理温度をそれぞれ変更する以
外は、実施例3と同様にして炭素系材料を得、実施例1
と同様にして電池を作製し、その性能を評価した。結果
を表1に示す。
表1から明らかなように、昇温速度をコントロールせ
ずに本発明の温度範囲で焼成した比較例12〜14は、昇温
速度をコントロールした実施例3に比べてやや性能が落
ちる。一方、熱処理温度が本発明の範囲を超えて高い比
較例3では、特に初期容量が低い。
比較例4〜11 出発原料として、ピッチ、ナイロン、あるいはフェノ
ール樹脂(ノボラックまたはレゾール)を用い、昇温速
度をコントロールせずに、表2の熱処理温度で焼成した
以外は、実施例3と同様にして炭素系材料を得、実施例
3と同様にして電池を作製し、その性能を評価した。結
果を表2に示す。表2から明らかなように、昇温速度を
コントロールせずに焼成したポリパラフェニレン(比較
例12)の方が、出発原料として、ピッチ、ナイロン、あ
るいはフェノール樹脂を用い、昇温速度をコントロール
せずに焼成した炭素系材料よりも優位性があることが分
かる。
実施例7 ポリ(p−フェニレン)をアルゴン雰囲気中で室温か
ら500℃まで500℃/時間の昇温速度で昇温し、500℃か
ら700℃までは40℃/時間で昇温し、700℃に到達した時
点で熱を中止し室温まで冷却して炭素系材料を得た。
得られた炭素系材料のX線回折パターンは図10と同様
であり、また波長5,145Åのアルゴンイオンレーザー光
を用いたラマンスペクトル分析の結果を図14に、NMRの
結果を図15に示す。真密度は2.07g/cm3、水素/炭素
(原子比)は0.199、抵抗率(導電度)は10-1〜10Ωcm
であった。
この炭素系材料の粉末90重量%と、バインダーとして
ポリエチレン粉末10重量%とを混合したのち、圧延ロー
ルで約200μmに圧延し、80℃で真空乾燥しこれを5×6
mmに切り出し、負極を製造した。
この負極の抵抗率は40Ωcmであった。
得られた負極を、プロピレンカーボネートとジエチレ
ングリコールジメチルエーテルを体積比で1:1とした混
合溶媒に、LiClO4を1モル/の濃度で溶解したものを
電解液とし、対極および参照極にLiを用いて図16に示す
評価セルを組み立て、この評価セルを用い、放電終止電
位3V、充電終止電位0V、充放電電流密度1.6mA/cm2の条
件でサイクル安定性を測定した。結果を図17に示す。
なお、図16において、符号1は試料、符号2はセパレ
ータ(ガラスマット)、符号3は対極(Liフォイル)、
符号4はSUS板、符号5は電解液、符号6は参照極、符
号7はバネ、符号8はO−リングである。
また、得られた負極の充放電特性を測定した結果を図
18に示す。
なお、500〜700℃の昇温の速度を12℃/時間から30℃
/時間で、処理温度保持時間を0〜5時間の間で処理さ
れたサンプルの物性と、ここで挙げた条件下で処理した
サンプルの物性に大きな差異はみられなかった。
実施例8 出発原料にベンゼン/キシレン(モル比)=2:1の割
合で重合したものを用いた以外は、実施例7と同様にし
て炭素系材料の粉末を得た。
この粉末の真密度は2.09g/cm3、水素/炭素(H/C)原
子比は0.18であった。また、そのX線回折パターンには
特定な回折ピークはなく、波長5,145Åのアルゴンイオ
ンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において1,
580cm-1のピークが短波長側にシフトしており、2,700cm
-1付近に明瞭なピークを示さなかった。
この粉末を用いて、実施例7と同様に負極を製造して
評価セルを組立て、サイクル安定性を評価した。この電
極の抵抗率は20Ωcmであった。結果を図19に示す。
実施例9 出発原料に、ベンゼン/キシレン(モル比)=1:1の
割合で重合したものを用いた以外は、実施例7と同様に
して炭素系材料の粉末を得た。
この粉末の真密度は2.09g/cm3、水素/炭素(H/C)原
子比は0.178であった。また、そのX線回折パターンに
は特定な回折ピークはなく、波長5,145Åのアルゴンイ
オンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析において
1,580cm-1のピークが短波長側にシフトしており、2,700
cm水素/炭素(H/C)原子比は0.18であった。また、そ
のX線回折パターンには特定な回折ピークはなく、波長
5.145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンス
ペクトル分析において1,580cm-1のピークが短波長側に
シフトしており、2,700cm-1付近に明瞭なピークを示さ
なかった。
この粉末を用いて、実施例7と同様に負極を製造して
評価セル組立て、サイクル安定性を評価した。この電極
の抵抗率は15Ωcmであった。結果を図20に示す。
比較例12 炭素ピッチをチッ素ガス気流下で2,300℃で2時間保
持した以外は、実施例7と同様にして炭素系材料の粉末
を得た。得られた粉末のX線回折パターンを図21に、波
長5,145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマン
スペクトル分析の結果を図22に示す。水素/炭素(H/
C)原子比を測定したところ水素原子は検出限界以下、
真密度は2.18g/cm3であった。
この粉末を用いて、実施例7と同様に負極を製造して
評価セルを組立て、サイクル安定性を評価した。この電
極の抵抗率は6mΩcmであった。結果を図23に示す。
図17〜21および図23の比較から明らかなように、本発
明の炭素系材料を負極に用いると、高容量で、かつサイ
クル安定性に優れ、しかも高電流密度の充放電において
も安定していた。
実施例10 ベンゼン/キシレン(モル比)=1:1の割合で重合し
たもの(PBX)をアルゴン雰囲気中で室温から160℃まで
1時間で昇温し、680℃まで70℃/時間の割合で昇温
し、680℃に到達した時点で加熱を中止し炉冷した。こ
の際、炭素系材料が室温になるまでアルゴンを流し続け
た。
この炭素系材料をX線回折パターンを図24に示す。明
確なX線回折ピークを示さず、グラファイト構造の発達
は認められない。この炭素系材料の波長5,145Åのアル
ゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析に
おいて、1,580cm-1のピークが短波長側にシフトしてお
り、2,700cm-1付近に明瞭なピークを示さず、縮合6員
環の結晶子の大きさは25Å以下であった。また、NMRで
解析を行ったところ、図29に示すような縮合6員環に基
づくピークと脂肪族炭素に基づくピークが検出された。
この炭素系材料の粉末にテフロンバインダーを20重量
%加え、加圧成型し、5×6mmに切り出し、電極を製造
した。これを、充放電電流密度1.6mA/cm2、充電終止電
位+10mV(対Li/Li)、放電終止電位+3Vで充放電を繰
り返した。この結果を図25に示す。
また、ポリパラフェニレンをAr気流下、700℃で熱処
理して得られた、縮合6員環のみで、脂肪族炭素で結合
されていない、図15に示す炭素と有機物の性質を併せ持
った炭素系材料(縮合6員環の結晶子の大きさは25Å以
下)を同様にして電極とし、サイクル安定性を評価した
結果を図25に示す。脂肪族炭素で結合しているものの方
が、若干性能がよい。
実施例11 実施例3と同様にして炭素系材料の粉末を得た。この
粉末80重量%に対し、結着剤としてポリエチレン粉末10
重量%、導電フィラーとして気相成長法炭素繊維〔昭和
電工(株)製、黒鉛化処理品〕10重量%を混合したの
ち、圧延ロールで約200μmに圧延し、80℃で真空乾燥
した後、これを5×6mmに切り出した。この電極の抵抗
率は0.5Ωcmであった。この電極を用い、図16に示す評
価セルで、10mA/cm2で充電後、10mA/cm2で放電し、電位
と充放電時間との関係を調べた。結果を図26に示す。ま
た、導電フィラーを添加しないで、電極粉末89重量%、
結着剤11重量%とした以外は、上記と同様にして評価し
た結果もあわせて図26に示した。図26より、導電フィラ
ーを添加したものの方が急速充電に優れることが分か
る。
実施例12 ベンゼン/キシレン(モル比)=1:1の割合で重合し
た樹脂(PBX)をアルゴン雰囲気中で室温から350℃まで
1時間で昇温し、650℃まで6時間で昇温し、650℃に到
達した時点で加熱を中止し炉冷した。この際、炭素系材
料が室温になるまでアルゴンを流し続けた。
この炭素系材料のX線回折パターンを図27に示す。明
確なX線回折ピークを示さず、アモルファス構造であ
る。図28にこの炭素系材料の波長5,145Åのアルゴンイ
オンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析の結果を
示す。2,700cm-1付近に明瞭なピークを示さず、グラフ
ァイト構造は発達していない。図29にNMRスペクトルを
示す。
芳香族の縮環に由来するピーク(120〜130ppm付近)
と脂肪族炭素に由来するピーク(10ppm付近)が観察さ
れる。原子比を測定したところ、水素/炭素(H/C)=
0.22であった。この炭素系材料の粉末ににポリエチレン
バインダーを20重量%加え、加圧成型し、正極を製造し
た。この正極を用い、Liを負極とし、電解液をプロピレ
ンカーボネートとジエチレングリコールジメチルエーテ
ルを体積比で1:1の混合溶媒にLiClO4を1モル/の濃
度で溶解したものとし、性能を評価した。サイクル安定
性は、充放電電流密度1.6mA/cm2、放電終止電位+10m
V、充電終止電位+3Vで充放電を繰り返し調べた。この
結果を図30に示す。
実施例13 実施例7で得られた炭素系材料の粉末を実施例12と同
様にして、性能を評価した。サイクル安定性を図31に示
す。
産業上の利用可能性 本発明の炭素系材料を電極材料としてを用いることに
より、高容量で充放電におけるサイクル安定性に優れ、
しかも高電流密度の充放電に耐え得る非水系の二次電池
が得られる。また、本発明の炭素系材料は、電極材料の
ほか、半導体、キャパシター、活性炭用などの材料とし
ても有用である。
また、本発明の炭素系材料の製造方法は、従来の製造
方法が2,000℃以上の高温で処理しなければならなかっ
たのに比べ、低温で行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 実 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 沖 尚彦 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノンヘテロサイクリックポリマーを不活性
    ガス雰囲気下、600〜800℃で熱処理して得られる、炭素
    物質と有機物質の性質を併せ持つ炭素系材料であって、
    かつ下記〜の条件を満たすことを特徴とする炭素系
    材料。 真密度が1.3〜2.1g/cm3。 水素/炭素(H/C)原子比が0.15〜0.6。 X線広角回折法により特定な回折ピークを示さないア
    モルファス構造を有する。 波長5,145Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラ
    マンスペクトル分析において、1,350cm-1および1,600cm
    -1付近にピークを示し、かつ2,700cm-1付近に明瞭なピ
    ークを示さない。 NMR分析において、芳香族の縮環由来の120〜130ppm付
    近にピークを示す。 導電性を有し、室温での抵抗率が10-3から104Ωcmで
    ある。
  2. 【請求項2】ノンヘテロサイクリックポリマーがポリパ
    ラフェニレンである請求の範囲第1項記載の炭素系材
    料。
  3. 【請求項3】ノンヘテロサイクリックポリマーを不活性
    ガス雰囲気下、600〜800℃で熱処理することを特徴とす
    る、炭素物質と有機物質の性質を併せ持つ炭素系材料の
    製造方法。
  4. 【請求項4】ノンヘテロサイクリックポリマーの炭化温
    度付近の温度で熱処理する請求の範囲第3項記載の炭素
    系材料の製造方法。
  5. 【請求項5】500℃からの昇温速度を6℃/時間〜300℃
    /時間の範囲内とする請求の範囲第3項または第4項記
    載の炭素系材料の製造方法。
  6. 【請求項6】ノンヘテロサイクリックポリマーがポリパ
    ラフェニレンである請求の範囲第3〜5項いずれか1項
    に記載の炭素系材料の製造方法。
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