JP2007257285A - 要因推定装置、要因推定方法、プログラムおよびコンピュータ読取可能記録媒体 - Google Patents

要因推定装置、要因推定方法、プログラムおよびコンピュータ読取可能記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 知識データの管理を容易にできる要因推定装置を提供する。
【解決手段】 現象に対して、その要因を推定する要因推定装置は、知識データを用いて現象に対する要因を推定する推論エンジンを含む。知識データは、現象をノードとして、ノード間を因果関係を基に接続したネットワーク構造で表される。複数の現象は、互いに因果関係を持つ第1から第3の3つの階層に分類され、複数の現象を分類するときに、第1階層に属する現象と第2階層に属する現象、および、第2階層に属する現象と第3階層に属する現象のそれぞれの間の関係がすべて原因−結果の因果関係をもつようにされる。推論エンジンは、3つの階層に分類された知識データを用いて現象の要因を推定する。
【選択図】図2

Description

この発明は、要因推定装置、要因推定方法、プログラムおよびコンピュータ読取可能記録媒体に関し、特に、知識データの管理が容易な要因推定装置、要因推定方法、プログラムおよびコンピュータ読取可能記録媒体に関する。
従来から、多工程で構成される生産ラインでの不良改善では、熟練者が、過去の事例などから不良とその要因の対応関係をまとめて、不良が発生したときにその対応関係を活用して要因を推定することが行なわれていた。しかし、この作業は熟練者でなければ困難であり、誰もが効率よく要因を推定することはできなかった。
これに対して、要因推定方法の一例として、実装工程の不良要因分析方法が、たとえば、特許第3511632号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によれば、不良と各工程で検出できる不具合に注目し、予め不良と各工程の不具合、要因の関連する可能性の知識を作成し、その知識と各工程の不具合の発生頻度から自動的に要因を推定している。すなわち要因との関係をネットワーク構造で記述して、自動的に要因を推定している。
また、要因推定装置の他の例として、予め用意した診断木と計測項目などから自動的に故障モードの影響解析図を作成し、さらに、故障モード影響解析図と過去の故障事例データから故障診断ルールを作成する方法が、たとえば、特開2003−228485号公報(特許文献2)に開示されている。
特許第3511632号公報(段落番号0009および図3等) 特開2003−228485号公報(段落番号0007等)
従来の、要因推定方法または装置は上記のように構成されていた。特許文献1によれば、要因間の関係をネットワーク構造で記述して、自動的に要因を推定しているが、知識はネットワーク構造で記述されるため、不良と各工程で発生する不具合、要因などの数が増えると要素の関係が複雑になり、関連を把握しにくく、知識の管理が困難になるという問題があった。
この場合の問題を、図18を参照して説明する。図18は、複数の要因(または現象、図中P00XXで示す)間の関係をネットワークで示す図である。ここでは、各要因をノードとし、各要因間をリンクで結んでいる。このようなネットワークで表示すると、ノードの数が多くなり、規模が大きくなると、複雑になり、因果関係の妥当性の確認や、編集や追加といった管理が困難になるという問題があった。
また、特許文献2によれば、推定のための診断ルールを自動で作成している。したがって、この場合も、作成されたルールの妥当性の評価や管理、編集を行うことが難しい、という問題があった。
この発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、知識データの管理を容易にできる要因推定装置、要因推定方法、プログラム、およびプログラムを格納したコンピュータ読取可能記録媒体を提供することを目的とする。
この発明の他の目的は、知識データの編集が容易にできる、要因推定装置、要因推定方法、プログラム、およびプログラムを格納したコンピュータ読取可能記録媒体を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、誰でも確実に要因を推定できる要因推定装置、要因推定方法、プログラム、およびプログラムを格納したコンピュータ読取可能記録媒体を提供することである。
この発明に係る、現象に対して、その要因を推定する要因推定装置は、知識データを用いて現象に対する要因を推定する推定手段を含み、知識データは、現象をノードとして、ノード間を因果関係を基に接続したネットワーク構造で表され、複数の現象を互いに因果関係を持つ複数の階層に分類する分類手段を含み、推定手段は、分類手段で分類された知識データを用いて現象の要因を推定する。
知識データを構成する複数の現象は、互いに因果関係を持つ複数の階層に分類される。したがって、複数の現象間の関係を一目瞭然に把握できる。その結果、知識データを容易に管理できる。
また、知識データが整理されており、推定手段はこのように整理された知識データを利用して現象の要因を推定するため、確実に要因を推定できる。
その結果、誰でも確実に要因を推定できる要因推定装置を提供できる。
好ましくは、分類された複数の現象をマトリックス表で表示する表示手段を含む。分類された複数の現象がマトリックス表で表示されるため、複数の現象間の関係をより明瞭に把握できる。
さらに好ましくは、分類手段は、複数の現象を互いに因果関係を持つ3つ以上の階層に分類し、3つ以上の階層の、各階層間の関係がすべて原因−結果の因果関係をもつようにする。
さらに好ましくは、現象は、製造工程において発生した異常現象である。
さらに好ましくは、3つ以上の階層は、第1階層から第3階層を含み、第1階層は工程や材料に存在する不良要因を含み、第2階層は中間工程での仕掛品に発生する異常現象を含み、第3階層は、最終工程を経た後の製品の不良を含む。
なお、ノードの表す現象と複数の階層は予め定義されているのが好ましい。
この発明のある実施の形態においては、ノード間に因果関係が成立するか否かを判断するために、所定の特徴量の有無を判断する特徴量判断手段を含む。
製造工程には、当該製造工程の製造結果を検査する検査装置が設けられ、特徴量判断手段は、因果関係の有無を判断するために検査装置からの検査情報を使用してもよいし、ユーザから入力された情報を使用してもよい。
好ましくは、知識データを編集するための編集手段を含む。
また、編集手段は、複数の階層に属する現象をマトリックス表で表示する表示手段と、表示手段に表示されたマトリックス表の所望の交点を指示することによって、知識データの編集を開始する編集開始手段とを含んでもよい。
表示手段に表示されたマトリックス表の所望の交点を指示することによって、知識データの編集を開始できるため、簡単に知識データの編集を行うことができる。
また、推定手段は所定のルールベースを用いて推論を行い、編集開始手段は、ルールベースを表示することによって知識データの編集を開始してもよい。
また、推定手段は所定のルールベース用いて推論を行い、知識データをルールベースに変換する変換手段をさらに含んでもよい。
この発明の他の局面においては、エキスパートシステムは、上記した要因推定装置を含む。
この発明のさらに他の局面においては、要因推定方法は、現象に対して、所定の知識データを用いて、その要因を推定する。要因推定方法は、知識データを、現象をノードとして、ノード間を因果関係を基に接続したネットワーク構造で表すステップと、ユーザの判断に基づいて、複数の前記現象を互いに因果関係を持つ複数の階層に分類するステップと、分類された知識データを用いて現象の要因を推定するステップとを含む。
好ましくは、分類された複数の現象をマトリックス表で表示するステップを含む。
さらに好ましくは、知識データを編集するステップをさらに含む。
さらに好ましくは、編集ステップは、複数の階層に属する現象をマトリックス表で表示するステップと、表示されたマトリックス表の所望の交点を指示することによって、知識データの編集を開始するステップとを含む。
この発明のさらに他の局面においては、プログラムは、上記の要因推定方法をコンピュータに実行させる。
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能記録媒体に格納されてもよい。
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はこの発明に係る要因推定装置の要部を示す機能ブロック図である。要因推定装置10は、たとえば、製造工程等で生じた不良の原因を、推論エンジンを用いて推定する装置である。図1を参照して、要因推定装置10は、要因推定部11と、要因推定部11に接続され、製造工程等に設けられた図示のない検査装置からのセンシングデータや特徴量を入力するデータ入力部21と、要因の推定結果をユーザに表示等するとともに、ユーザからの入力を受付けるユーザ入出力部22とを含む。
要因推定部11は、製造工程等で生じた不良等の現象に関する要因等の推定を行う推論エンジン12と、推論エンジン12が推論するためのルールベース13と、ルールベース16の基になる、入力されたデータを格納するデータベースである、知識ベース15と、知識ベース15をルールベース13に変換する変換部14と、ユーザ入出力部22へ出力等するためのインターフェイスとなるGUI(Graphic User Interface)を準備するGUI作成部16とを含む。GUI作成部16が入出力部22に接続されている。要因推定部11は、具体的には、CPU17を有するコンピュータであり、推論エンジン12や変換部14はプログラムであり、ルールベース13や知識ベース15は図示のないハードディスク等の格納手段に格納されている。
また、CPU17は、因果関係を持つ複数の階層への分類を行う分類手段として機能し、推論エンジン12は推定手段として機能する。
次に、知識ベース(知識データ)15の構成について説明する。この実施の形態においては、知識ベース15は、たとえば、製造工程において発生した異常な現象(不良、不具合等)や、その原因となる現象のような各現象をノードとし、それらを因果関係を基に接続したネットワーク構造で表現する。また、このとき、ユーザの判断に基づいて、複数の現象を互いに因果関係を持つ複数の階層、たとえば、3つの階層に分類し、第1階層に属する現象と第2階層に属する現象、および第2階層に属する現象と第3階層に属する現象間にある因果関係がすべて原因−結果の順序関係をもつようにする。
このようにして表された知識データのネットワーク図を図2(A)に示す。図2(A)を参照して、第1階層に属する現象と第2階層に属する現象、および第2階層に属する現象と第3階層に属する現象間にある因果関係がすべて原因−結果の順序関係をもつようにしたため、それぞれの間の因果関係が明白になる。したがって、第3階層に属する現象が、製造工程における不良であれば、第2階層、第3階層を順にたどっていけば、不良の原因を自動的に推定できる。その結果、熟練者でなくても不良の原因を容易に推定できる知識ベースとなる。
また、図2(A)のように因果関係が表されると、各階層のそれぞれのノードを縦方向の左端および横方向の上端に並べたマトリックス形式の表を作成できる。第3階層と第2階層とのマトリックス表を図2(B)に、第2階層と第1階層とのマトリックス表を図2(C)に、それぞれ示す。このようなマトリックス表を用いれば、各ノード間の因果関係を一目瞭然に把握できるため、知識ベースの管理が容易になるとともに、因果関係の設定、変更、取消しといった、知識ベースの編集が容易に行えるようになる。
なお、ここでは、知識ベースを3階層で表した場合について説明したが、これに限らず、2階層や、4階層以上としてもよい。
次に、このように整然と整理された知識ベース15を用いて推論エンジン12が製造工程における不良の原因を推定する場合の処理について説明する。図3は要因推定装置10の推論エンジン12(CPU17)が行う推論動作を示すフローチャートである。要因推定装置10は、たとえば、ある製造工程における不良の原因を推定する。図3を参照して、要因推定装置10は、たとえば、ある製造工程における検査装置等からデータ入力部21を介してセンシングデータまたは特徴量を入力する。または、ユーザにある工程における写真等を見せて、ユーザに所定の特徴量の有無を判断させる(ステップS11、以下、ステップを省略する)。入力されたデータとルールベース13、または、ユーザ入出力部22からのデータおよび知識ベース15を用いて、推論エンジン12が不良原因の推論を行う(S12)。そして、推論結果を、ユーザ入出力部22に設けた図示のないディスプレイ(表示手段)等を介してユーザに表示する(S13)。このように、要因推定装置10は、ある製造工程おける不良要因を推定する、いわゆるエキスパートシステムとして作動する。エキスパートシステムには多くのものが存在するが、ここでは、電子部品実装装置の基板実装ラインにおける不良原因を特定する場合について説明する。
基板実装ラインを図4に示す。図4を参照して、基板実装ライン60は、電子部品が実装される基板の流れる上流側から下流側に向かって配列された印刷(Print)工程と、マウント(Mount)工程と、リフロー(Reflow)工程とを含む。各工程間は、コンベヤ、ロボット、その他の搬送装置によって連結されている。各工程には、その工程の処理を行なうための装置が設けられている。
印刷工程には、基板にランドを印刷するための印刷機61と、印刷後の検査を行なう印刷後検査装置62とが設けられる。マウント工程には、基板に部品をマウントするためのマウンタ63と、マウント後の検査を行なうマウント後検査装置64とが設けられる。リフロー工程には、部品の端子をランドにハンダ付けをするためのリフロー炉65とハンダ付け後の検査を行なうリフロー後検査装置66とが設けられる。
印刷機61、印刷後検査装置62、マウンタ63、マウント後検査装置64およびリフロー炉65およびリフロー後検査装置66は、それぞれ、LAN67を介して要因推定装置10および検査情報蓄積装置68に接続されている。
印刷後検査装置62、マウント後検査装置64、リフロー後検査装置66からは、それぞれの工程における検査結果が検査画像を含めて、検査情報蓄積装置68に送られて格納され、必要に応じて、要因推定装置10から読出される。
ここで、不良としては、ブリッジ(部品の電極間を短絡するようにハンダが付着すること)、濡れ不良(ハンダとランド、又は、ハンダと部品の電極との接合に不具合があること)、フィレット異常(ハンダ量が多すぎたり少なすぎたりして、ハンダを断面から見たときの輪郭線がきれいな山型になっていないこと)、および部品無し(部品が存在しないこと)等がある。
要因推定装置10は、検査装置にセンサが設けられているものは検査装置の検査結果データを、ないものは検査画像をユーザ入出力部22を介してユーザに見せてその判断結果を入力させて推論を行う。
図5は、この場合の処理の例を示す図である。図5を参照して、ここでは、図2に示したように知識ベースは3層構造となっており、1層目は不良としての、生産ライン通過後の製品の不具合を表し、ここでは、「ブリッジ」が表示されている。2層目は1次要因として各画像検査装置の検査画像を人が目視で確認可能な異常現象、3層目は、2次要因として工程の装置や、使用する材料の異常を表現している。ここで、ノードとなる現象は、ユーザの判断を誤らせないとともに、表現のぶれを少なくするために、たとえば、「対象」、「属性」、「属性値」のような三つの組の知識表現(Object-attribute-value triple, OVP triple)を用いて表現するのが好ましい。
図6は、要因推定装置10が電子部品実装装置における不良の一例としての「ブリッジ」を起こした場合の推論方法を説明する図である。図6(A)は、図5に示した不良と1次要因を示す図であり、図6(B)は、1次要因を診断するための、ユーザに提示する質問文、およびその場合のユーザからの回答の例を示す図であり、図6(C)は、図6(B)に示した質問文とともに表示される、はんだ印刷工程等における検査画像である。この検査画像は、図示のない検査装置から入力され、知識ベース15に格納されている。このように、ユーザからの情報を得るときは、検査装置からの検査画像等を表示しながら行う。これによって、正確な情報が入力され、的確な推論が行われる。
図6(B)を参照して、ここでは、特徴量に関する質問ID2および6について有意な回答が得られている。これらの回答から推論エンジン12は、不良(ブリッジ)に対応する1次要因は、図6(A)において太線で示されているものである、と推論する。すなわち、ブリッジの要因の可能性があるのは、「印刷後はんだのにじみ」か、「実装後はんだの押しつぶし」を起こした2次要因のみに絞り込まれる。
なお、このように、知識ベース15およびGUI16はCPU17とともに、質問に対するユーザからの回答を受けて、特徴量の有無によって要因(因果関係)の有無を判断しているため、特徴量判断手段として機能している。また、検査装置からの検査情報を用いて特徴量の有無を判断するときは対応する機能を有する部分が特徴量判断手段として機能する。
図7は、2次要因を特定する方法を示す図である。図7(A)は、図6で示した要因の可能性がある一例としての「印刷後はんだのにじみ」がある場合の特徴量を示す図であり、図7(B)は、この段階で使用される、ユーザに提示する質問文、およびその場合のユーザからの回答例を示す図である。図6の場合と同様に、検査画像から特徴量に関する質問IDA〜Dの質問に対してユーザが回答を入力する。入力された回答から、質問IDA、およびCが関係することがわかる。したがって、これらの関係する「印刷機マスク破損あり」、「印刷機基板厚さ設定間違い」および「印刷機印圧設定高い」が2次要因であると判断される。
図8は、図6で特定されたもう一つのブリッジの要因の可能性である、「実装後はんだの押しつぶし」の2次要因を特定する方法を示す図である。図8(A)は、「実装後はんだの押しつぶし」がある場合の特徴量(2次要因)を示す図であり、図8(B)は、この段階で使用される、ユーザに提示する質問文、およびその場合のユーザからの回答例を示す図である。図7の場合と同様に、検査画像から特徴量に関する質問IDF〜Jの質問に対してユーザが回答を入力する。入力された回答から、質問IDF、IおよびJが関係することがわかるため、これらに関連する「マウンタノズルつまり」が2次要因であると判断される。
以上から、推論エンジン12は、「印刷機マスク破損あり」、「印刷機基板厚さ設定間違い」、「印刷機印圧設定高い」および、「マウンタノズルつまりあり」の5個が「ブリッジ」の要因の可能性が高いと推定する。
このように、この実施の形態においては、現象を表すノードを3段階に分けて、それぞれが因果関係を有するように関連付けた知識ベースを用いて推論エンジン12が推論するようにしたため、多くの現象からなる知識ベースが一覧可能に管理される。推論エンジン12は、このような整理された知識ベースを用いて推論を行うため、確実に要因を推定できるとともに、誰でも確実に要因を推定できる要因推定装置を提供できる。
次に、知識ベースの編集について説明する。まず、知識ベースの構造について説明する。図9(A)は知識ベース14の有するマトリックス表31を示す図である。この表は図2(B)、(C)に示したものと同様である。マトリックス表31は、上記したように、2次元の表として表され、横軸方向に原因ID(または1次要因)を、縦軸方向に1次要因ID(または2次要因)を有し、両者に因果関係があれば、その交点に○が表示され、なければ×が表示される。
図9(B)は現象データ32を示す図である。この現象データが、マトリックス表31に示した、原因または要因を構成しうる。図9(C)は、因果関係データ33を示す図である。マトリックス表31において、○印を付けた部分の原因(親ノード)と結果(子ノード)とそのような因果関係をつけた理由(診断ルール)が表形式で表示されている。診断ルールは、ルールのID番号とその特徴量の入力値を含む。図9(D)は、特徴量データの取得方法を示す図である。図9(D)を参照して、各診断ルールIDごとに、取得方法の種別と、取得方法と、取得方法種別が対話形式である場合の、ユーザに対する質問の選択肢およびその入力が含まれている。ここでは、一つの特徴量データの取得に、ユーザとの対話による場合と計算(検査結果情報の入力)による場合との2つの方法が準備されている。
次に上記した診断ルールを含むルールベース13の構造について説明する。図10は、ルールベース13の構造を示す図である。図10(A)は、現象IDがP0001(ブリッジ)の場合の、ルールデータを示す。ルールベース13は図10(A)に示すような、特徴量データの判別結果を含むIF〜THENルールを有しており、これを用いて推論エンジン12が推論する。また、図10(B)は特徴量IDごとのデータを示す。図10(B)を参照して、ここには、各特徴量IDごとの、ユーザとの対話によって選択された選択肢に設定された値とそのラベル名が表示されている。たとえば、特徴量T0004(参照番号36)において、選択肢が「全体的に高い」とき、ユーザから設定された選択肢が「1」であれば、ラベル名として「MUCH」が推論エンジン12に返される。
図11は、知識の編集を行う前提となる各要因(ノード)と、その階層の一例を示す図である。図11を参照して、(A)は不良内容の例を示す図であり、(B)は1次要因の例を示す図であり、(C)は2次要因の例を示す図である。ここでは、それぞれにID番号が付されている。不良内容として、たとえば、「ブリッジ」、「体積過多」、「体積過少」「濡れ不良」等があげられている。ここでは、3階層の例をあげているが、この階層に限るものではない。
次に、知識ベース15を編集する場合の具体的な処理について説明する。ここでも、基板実装装置における不良原因を特定することができる要因推定装置を例にあげて説明する。
図12はこの場合のCPU17の行う動作を示すフローチャートである。図12を参照して、まずユーザは、ユーザ入出力部22から、CPU17に指示して、ネットワーク表のデータを読み込む(S21)。次いで、図示のないディスプレイに、マトリックス表40を表示させる(S22)。この状態で、ユーザがマトリックス表40のセルをクリックしたか否かを判断する(S23)。
図13はユーザがマトリックス表40におけるIDがP0005とP0014との交点41を、をユーザ入力部22としての、たとえば、マウスでクリックした状態を示す図である。ここで、○印がなければ、因果関係が設定されていないと判断し(S24でNO)、そこに○印が記入されて、因果関係が作成される(S25)。このとき、ルールベース13の診断ルールを追加する(S26)。診断ルールを登録し(S27)、編集を続けるか否かをユーザに問い合わせる(S28)。編集を続けるときは(S28でYES)、S23へ戻る。
S24で因果関係が設定済であると判断したときは(図13において、すでに交点41に○印があるとき、S24でYES)、診断ルールを表示し(S30)、診断ルールを編集して(S31)、S27へ進む。
この場合の処理内容を図14に示す。図14は診断ルールを編集する場合のディスプレイへの表示例を示す図である。図14(A)は図13と同様の図である。ユーザがIDがP0003とP0009との交点である交点42に因果関係を設定したいとき(図14(A)の状態、ここでは、交点42に×印が付され、因果関係が設定されていない)、または設定されているがその診断ルールを変更したいとき、ユーザはこの交点42に対して所定の処理、たとえば、ダブルクリック等を行う。すると、図14(B)に示すように、診断ルールの設定画面が表示される。ユーザはこの画面を参照して、ルールとして特徴量を判断したい条件を指定して診断ルールを設定可能である。ルールとしては、予め登録された特徴量と回答の組み合わせを選択する。または、テキストで論理式の形で記述してもよい。設定を終了して診断ルール表示画面を閉じると、図14(C)に示すように、交点42には○印が付され、因果関係データが作成された状態となる。
ここで、CPU17は、知識データを編集する編集手段や、知識データの編集を開始する編集開始手段として作動する。
なお、ここでは、プログラムが自動的に因果関係の設定の有無を判断する場合について説明したが、これに限らず、ユーザが表示されたマトリックス表に直接○印や×印を記述するようにし、ルールの追加を別の入力方法で行ってもよい。
図12に戻って、S28で編集を続けないときは(S28でNO)、変換部14が知識ベース15からルールベース13を作成する。
図14では、不良と1次要因との間の知識ベースの編集方法について説明したが、次に、1次要因と2次要因間の知識ベースの編集方法について説明する。図15は、この場合の図14に対応する図である。図15(A)は図14(A)に対応し、図15(B)は図14(B)に対応する。この場合も、マトリックス表43の因果関係を設定したい交点をダブルクリック等の所定の方法で選択し、同様に診断ルールの設定や変更等ができる。
なお、作成された因果関係とルールに対して整合性のチェックを行うようにしてもよい。これは、たとえば、不良と1次要因との関係と、1次要因と2次要因との関係で矛盾するルールが設定されている、等を判断する。
また、図14や図15で設定された因果関係を、図2で示した知識ベースを構成するネットワークで表現し、それをディスプレイに表示させて、ユーザに確認させてもよい。
次に、図12のS29で説明した、ルールベースへの変換について説明する。図16はルールベースの変換方法を説明するための図である。図16(A)は図14に示した不良内容と1次要因の因果関係を設定した時の図であり、図16(B)は図15に示した1次要因と2次要因の因果関係を設定した時の図であり、図16(C)は図9(D)で示した、知識ベースの特徴量データを示す図であり、図16(D)はルールベース13の中に保持されているルールデータと特徴量データとを示す図である。図16(A)〜図16(C)で示すデータを基に、変換部14は、自動的にルールデータを作成する。
具体的には、次のような処理を行う。図12のS28において、編集が終了したことをトリガー(S28でNO)に、変換部14が知識ベース15からルールベース13を作成する。ルールベース13に不良内容から2次要因までの全てのパス上の、全てのルールをAND条件で結び、不良ごとに2次要因に至るIF〜THENルールを作成する。
この例では、図16(A)でP0001からP0007への因果関係51が入力され、図16(B)でP0007からP0039への因果関係52が入力されたことを受けて、変換部はP0001→P0039へのルール53(T0001=NG AND T0030=LARGE)を作成する。すなわち、ルールデータに始点となる不良のIDごとに接続する全ての2次要因に至るIF〜THENルールを記述する。また、特徴量データは図16(C)に示した、知識ベースの特徴量IDと入力1〜3の値をそれぞれ抽出して作成する。
以上のように、ここでは、CPU17は、知識データをルールベースに変換する変換手段として作動する。
なお、不良内容〜1次要因、1次要因〜2次要因ごとのルールをルールベース13に記述してもよい。
また、変換部14によって変換を行わずに、知識ベース15のマトリックス表を推論制御部でそのまま読み込み、表をたどるように推論エンジン12で推論を行ってもよい。
この場合の図1に対応する要因推定装置のブロック図を図17に示す。図17に示すように、この場合の要因推定装置25の要因推定部26は、ルールベースと変換部の代わりに、推論制御部27を有している。この推論制御部27が、知識ベース15のマトリックス表をそのまま読み込み、推論エンジン12に推論を行わせる。また、推論制御部27が知識ベース15を読み込み推論エンジン12に必要な情報の入力や特徴量の取得を制御する。
上記以外の要素は図1の場合と同じであるので、同じ要素に同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
なお、上記実施の形態では、この発明に係る要因推定装置が、基板実装装置における不良内容の原因を推定する装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、任意の製造装置における不良要因の推定装置やエキスパートシステムに適用されてもよい。
また、製造装置における不良要因の推定用の装置に限らず、任意の装置やシステムにおける、任意の物理現象に対する因果関係を特定する推定装置に適用できる。
また、上記実施の形態においては、特徴量の有無の判断を、GUIを用いて、ユーザとの対話によって得られたデータに基づいて行う場合について説明したが、これに限らず、製造工程等に設けられる検査装置からの検査情報をその閾値を用いて判断してもよい。
また、上記実施の形態においては、要因推定装置がその専用装置である場合について説明したが、これに限らず、装置を汎用のパソコンとし、上記の動作を全てプログラム化して、パソコンをそのプログラムで作動させて要因推定装置として使用してもよい。この場合、このプログラムは、光ディスクやハードディスクのような記録媒体で提供してもよいし、ネットワークを介して、ネット上のサーバからダウンロードするようにしてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係る要因推定装置の機能ブロック図である。 知識ベースの構造を示す図である。 要因推定装置の推定処理を示すフローチャートである。 基板実装ラインを示す図である。 推定処理の一例を示す図である。 不良内容からその1次要因を特定する場合の処理内容を説明するための図である。 1次要因から2次要因を特定する場合の処理内容を説明するための図である。 1次要因から2次要因を特定する場合の処理内容を説明するための図である。 知識ベースのデータ構造を示す図である。 ルールベースの構造を示す図である。 知識ベースの編集の前提となる、ノードの内容を示す図である。 知識ベースの編集を行う場合の処理を示すフローチャートである。 知識ベースの編集を行う場合の具体的処理を示す図である。 知識ベースの編集を行う場合の具体的処理を示す図である。 知識ベースの編集を行う場合の具体的処理を示す図である。 ルールベースへの変換方法を説明するための図である。 要因推定装置の他の構成を示す機能ブロック図である。 従来の問題点を説明するための図である。
符号の説明
10 要因推定装置、11 要因推定部、12 推論エンジン、13 ルールベース、14 変換部、15 知識ベース、16 GUI、17 CPU、21 データ入力部、122 ユーザ入出力部。

Claims (20)

  1. 現象に対して、その要因を推定する要因推定装置であって、
    知識データを用いて前記現象に対する要因を推定する推定手段を含み、
    前記知識データは、前記現象をノードとして、前記ノード間を因果関係を基に接続したネットワーク構造で表され、
    複数の前記現象を互いに因果関係を有する複数の階層に分類する分類手段を含み、
    前記推定手段は、前記分類手段で分類された知識データを用いて前記現象の要因を推定する、要因推定装置。
  2. 前記分類された複数の現象をマトリックス表で表示する表示手段を含む、請求項1に記載の、要因推定装置。
  3. 前記分類手段は、複数の前記現象を互いに因果関係を持つ3つ以上の階層に分類し、
    前記3つ以上の階層の、各階層間の関係がすべて原因−結果の因果関係をもつようにする、請求項1または2に記載の要因推定装置。
  4. 前記現象は、製造工程において発生した異常現象である、請求項1から3のいずれかに記載の要因推定装置。
  5. 前記3つ以上の階層は、第1階層から第3階層を含み、
    前記第1階層は工程や材料に存在する不良要因を含み、前記第2階層は中間工程での仕掛品に発生する異常現象を含み、前記第3階層は、最終工程を経た後の製品の不良を含む、請求項3に記載の要因推定装置。
  6. 前記ノードの表す現象と前記複数の階層は予め定義されている、請求項1から5のいずれかに記載の要因推定装置。
  7. 前記ノード間に因果関係が成立するか否かを判断するために、所定の特徴量の有無を判断する特徴量判断手段を含む、請求項1から6のいずれかに記載の要因推定装置。
  8. 前記製造工程には、当該製造工程の製造結果を検査する検査装置が設けられ、前記特徴量判断手段は、前記因果関係の有無を判断するために前記検査装置からの検査情報を使用する、請求項7に記載の要因推定装置。
  9. 前記特徴量判断手段は、ユーザから入力された情報を使用する、請求項7に記載の要因推定装置。
  10. 前記知識データを編集するための編集手段を含む、請求項1から3のいずれかに記載の要因推定装置。
  11. 前記編集手段は、
    前記複数の階層に属する現象をマトリックス表で表示する表示手段と、
    前記表示手段に表示されたマトリックス表の所望の交点を指示することによって、前記知識データの編集を開始する編集開始手段とを含む、請求項10に記載の要因推定装置。
  12. 前記推定手段は所定のルールベースを用いて推論を行い、
    前記編集開始手段は、前記ルールベースを表示することによって前記知識データの編集を開始する、請求項11に記載の要因推定装置。
  13. 前記推定手段は所定のルールベース用いて推論を行い、
    前記知識データを前記ルールベースに変換する変換手段をさらに含む、請求項11に記載の要因推定装置。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の要因推定装置を含む、エキスパートシステム。
  15. 現象に対して、所定の知識データを用いて、その要因を推定する要因推定方法であって、
    知識データを、現象をノードとして、ノード間を因果関係を基に接続したネットワーク構造で表すステップと、
    ユーザの判断に基づいて、複数の前記現象を互いに因果関係を持つ複数の階層に分類するステップと、
    分類された知識データを用いて現象の要因を推定するステップとを含む、要因推定方法。
  16. 分類された複数の現象をマトリックス表で表示するステップを含む、請求項15に記載の要因推定方法。
  17. 知識データを編集するステップをさらに含む、請求項15または16に記載の要因推定方法。
  18. 前記編集ステップは、
    複数の階層に属する現象をマトリックス表で表示するステップと、
    表示されたマトリックス表の所望の交点を指示することによって、知識データの編集を開始するステップとを含む、請求項17に記載の要因推定方法。
  19. 請求項15から18に記載の方法を、コンピュータに実行させるプログラム。
  20. 請求項19に記載のプログラムを格納したコンピュータ読取可能記録媒体。
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