JP2007256749A - 吸音材及び吸音パネル並びに吸音材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストが低く、美観性及び吸音特性に優れた吸音材及びその製造方法並びにその吸音材を備えた吸音パネルを提供する。
【解決手段】一方向及び一方向と交差する方向に沿って配置された複数の貫通孔3を有する略格子状の隔壁体2からなり、略格子状の隔壁体2は、一方向に沿って延在する複数の薄帯部材4…と、一方向と交差する方向に沿って延在する複数の別の薄帯部材5…とが、相互に格子状に組み合わされて構成されてなることを特徴とする吸音材を採用する。
【選択図】図2

Description

本発明は、吸音材及び吸音パネル並びに吸音材の製造方法に関する。
従来、金属、木材、プラスチック等からなる板状部材に貫通孔を設け、貫通孔の音源と反対側に背後空気層を持たせた吸音パネルが知られている。しかし、これら吸音パネルにおいては、貫通孔の直径が比較的大きく肉眼で視認可能であるため、美観性が損なわれるという問題がある。
また、貫通孔の直径が数百マイクロメートル程度の吸音パネルも知られている(例えば特許文献1)が、これらの貫通孔はドリルで穿孔したりフォトリソグラフィ技術を利用して設けたりするので、製造コストが大きくなる問題がある。特に、1m四方の吸音材を形成するには、数千万〜数億個の微細な貫通孔を設ける必要があり、製造コストが極めて大きくなる。また、板厚が大きくなるに従って貫通孔のアスペクト比が大きくなるため、板厚の大きな吸音パネルの製造が困難になるという問題がある。
特開2005−173398号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、製造コストが低く、美観性及び吸音特性に優れた吸音材及びその製造方法並びにその吸音材を備えた吸音パネルを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の吸音材は、一方向及び前記一方向と交差する方向に沿って配置された複数の貫通孔を有する略格子状の隔壁体からなり、前記略格子状の隔壁体は、前記一方向に沿って延在する複数の薄帯部材と、前記一方向と交差する方向に沿って延在する複数の別の薄帯部材とが、相互に格子状に組み合わされて構成されてなることを特徴とする。
また、本発明の吸音材においては、前記の各薄帯部材の長辺部には、その長手方向に沿って一定の間隔を空けて複数の切欠部が設けられ、前記薄帯部材と前記別の薄帯部材とが組み合わされる際に、各薄帯部材の切欠部同士が嵌め合わされることが好ましい。
更に、本発明の吸音材においては、前記貫通孔の開口形状が略矩形状とされ、前記開口形状の一辺の長さが10μm以上200μm以下の範囲とされていることが好ましい。
更にまた、本発明の吸音材においては、前記隔壁体の厚みが0.5mm以上5mm以下の範囲とされていることが好ましい。
また、本発明の吸音材においては、前記貫通孔の内壁面に樹脂からなる補強層が形成されていることが好ましい。
更に、本発明の吸音材においては、前記各薄帯部材が着色されていることが好ましい。
次に、本発明の吸音パネルは、先のいずれかに記載の2以上の吸音材が所定の間隔を空けて相対配置され、各吸音材同士の間に空気層が設けられてなることを特徴とする。
また本発明の吸音パネルは、先のいずれかに記載の吸音材と剛体とが所定の間隔を空けて相対配置され、前記吸音材と前記剛体との間に空気層が設けられてなることを特徴とする。
また本発明の吸音パネルにおいては、前記空気層に多孔質吸音材が配置されていることが好ましい。多孔質吸音材としては、例えばグラスウール、ロックウール等の多孔質吸音材を用いることができる。
次に、本発明の吸音材の製造方法は、複数の薄帯部材の間にスペーサを配置して薄帯部材同士を離間させつつ厚み方向に重ねる配列工程と、前記複数の薄帯部材と交差する方向に沿って、複数の別の薄帯部材を相互に離間させつつ前記複数の薄帯部材に組み合わせることにより、格子状の隔壁体を形成する組立工程と、前記スペーサを除去する仕上工程と、を具備してなることを特徴とする。
また、本発明の吸音材の製造方法においては、前記配列工程において前記スペーサを前記複数の薄帯部材の長手方向両端部寄りに配置し、前記仕上工程において前記複数の薄帯部材の両端部を前記スペーサと共に除去することが好ましい。
更に、本発明の吸音材の製造方法においては、前記複数の薄帯部材及び前記複数の別の薄帯部材の各長辺部に、その長手方向に沿って一定の間隔を空けて複数の切欠部を設け、前記組立工程において前記複数の薄帯部材と前記複数の別の薄帯部材とを組み合わせる際に、各薄帯部材の切欠部同士を嵌め合わせることが好ましい。
更にまた、本発明の吸音材の製造方法においては、前記配列工程において前記複数の薄帯部材の厚み方向両面にそれぞれ接着樹脂を塗布し、前記組立工程において前記複数の別の薄帯部材の厚み方向両面にも接着樹脂を塗布し、前記隔壁体を形成した後に前記接着樹脂を硬化して薄帯部材同士を接合させることが好ましい。
また、本発明の吸音材の製造方法においては、前記複数の薄帯部材の一端部寄りにそれぞれ位置決め用の切欠部を設け、前記配列工程において前記複数の薄帯部材を配置する際に、前記位置決め用の切欠部に長尺の位置決め用治具を嵌め合わせて、前記複数の薄帯部材の前記の各切欠部の位置合わせを行うことが好ましい。
また、本発明の吸音材の製造方法においては、前記複数の薄帯部材及び前記複数の別の薄帯部材の厚みがそれぞれ10μm以上200μm以下の範囲とされ、前記の各薄帯部材における切欠部のピッチが20μm以上400μm以下の範囲とされ、前記の各薄帯部材の幅が0.5mm以上5mm以下の範囲とされ、前記配列工程における薄帯部材同士の間隔が10μm以上200μm以下の範囲とされていることが好ましい。
本発明の吸音材によれば、薄帯部材を格子状に組み合わせることによって複数の貫通孔を有する隔壁体が形成されているので、薄帯部材の長さ及び幅並びに厚みと、各薄帯部材同士の間隔とを調整することで、貫通孔のサイズ及び開口率を容易に調整できるともにサイズ等の精度を高めることができ、吸音特性を向上することができる。
また本発明の吸音材によれば、薄帯部材同士を格子状に組み合わせる際に、各薄帯部材に設けた切欠部同士を嵌め合わせるので、吸音材の機械的強度を向上させることができる。
更に、本発明の吸音材によれば、貫通孔の開口形状の一辺の長さが10μm以上200μm以下の範囲とされ、また隔壁体の厚みが0.5mm以上5mmの範囲とされているので、吸音特性をより高めることができる。
更にまた本発明の吸音材によれば、貫通孔の内壁面に樹脂からなる補強層が形成されているので、吸音材の強度をより高めることができる。
また、本発明の吸音材によれば、各薄帯部材が着色されているので、吸音材自体の色を変更したり、様々なモチーフからなるデザインを表現することが可能となり、吸音材の美観を高めることができる。
また、本発明の吸音パネルによれば、吸音材同士または吸音材と剛体を対向配置し、吸音材同士または吸音材と剛体との間に空気層を設けるので、吸音材の貫通孔と空気層とによって所謂ヘルムホルツ共鳴器を構成することができ、吸音特性を大幅に向上できる。
また、本発明の吸音パネルによれば、吸音材と剛体との間の空気層に多孔質吸音材を配置するので、吸音特性をより高めることができる。
更に、本発明の吸音材の製造方法によれば、配列工程においてスペーサを配置して薄帯部材同士を離間させ、次に組立工程において各薄帯部材に別の薄帯部材を離間させつつ組み合わせて格子状の隔壁体を形成することによって、隔壁体に複数の貫通孔が設けられ、しかもその貫通孔の数が、隔壁体における貫通孔の数=(薄帯部材の数−1)×(別の薄帯部材の数−1)となるので、比較的少ない工数で多数の貫通孔を形成することができる。これによって吸音材の製造コストを大幅に低減できる。
また、本発明の吸音材の製造方法によれば、スペーサを薄帯部材の両端部とともに除去するので、吸音材の美観性を保つことができる。
更にまた、本発明の吸音材の製造方法によれば、薄帯部材同士を格子状に組み合わせる際に、各薄帯部材に設けた切欠部同士を嵌め合わせるので、吸音材の機械的強度を向上させることができる。
更にまた、本発明の吸音材の製造方法によれば、各薄帯部材に接着樹脂を塗布してから各薄帯部材同士を組み合わせて隔壁体を形成し、その後、接着樹脂を硬化させるので、接着樹脂によって各薄帯部材同士が接合され、隔壁体の強度を大幅に向上できる。なお、硬化後の接着樹脂は、貫通孔の内壁面に形成された樹脂からなる補強層となる。
また、本発明の吸音材の製造方法によれば、薄帯部材に設けられた位置決め用の切欠部に位置決め用治具を嵌め合わせることによって、薄帯部材の各切欠部の位置合わせを行うので、隔壁体の寸法精度を高めることができ、これに伴って貫通孔のサイズ、ピッチ等の精度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下の説明において参照する図は、吸音材、吸音パネル及び吸音材の製造方法を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の吸音材等の寸法関係とは異なる場合がある。
「吸音材」
以下、本実施形態の吸音材について図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の吸音材を示す斜視図であり、図2は、図1に示す吸音材の一部を拡大した平面模式図であり、図3は、図1に示す吸音材の一部を拡大した斜視図であり、図4は、図1に示す吸音材の一部を拡大した分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の吸音材1は、一見すると板状の部材であるが、図1の拡大図である図2及び図3に示すように、この吸音材1は格子状に形成された隔壁体2によって構成されている。この隔壁体2には、x方向(一方向)及びこのx方向に対して直交するy方向(一方向と交際する方向)に沿って、複数の貫通孔3…がマトリックス状に並んで設けられている。この貫通孔3…は、吸音材1(隔壁体2)の厚み方向に沿って延在しており、図1における吸音材1の一面1a及び他面1bの間を貫通している。
次に隔壁体2は、図2、図3及び図4に示すように、x方向に沿って延在する複数の薄帯部材4…と、y方向に沿って延在する複数の別の薄帯部材5…とが、相互に格子状に組み合わされて構成されている。
図2において薄帯部材4…及び5…は、各薄帯部材4…、5…の幅方向一方側の端面が図中手前側に向けられて配置されている。また、薄帯部材4…は、その厚み方向両側の面がy方向及びその反対方向に向けられて配置され、一方薄帯部材5…は、その厚み方向両側の面がx方向及びその反対方向に向けられて配置されている。
換言すると、薄帯部材4…は、その厚みtの方向に沿って所定の間隔dを空けて並べられている。また、薄帯部材5…は、その厚みtの方向に沿って所定の間隔dを空けて並べられている。
薄帯部材4…、5…の材質は、金属、樹脂、セラミックスのいずれでも良い。金属としては例えば、ステンレス、Cu、Ni、Al等を例示できる。また、樹脂としては、PET等を例示できる。更にセラミックスとしては、アルミナの焼結体等を例示できる。また、各薄帯部材4…、5…には着色が施されていても良い。
また、図4の分解斜視図に示すように、各薄帯部材4…、5…には、その幅方向一方側の長辺部4a…、5a…にそれぞれ切欠部4b…、5b…が設けられており、切欠部4b…、5b…同士が嵌め合わされることによって各薄帯部材4…、5…が一体化されている。
切欠部4b…、5b…は、薄帯部材4…、5…の長辺部4a…、5a…が平面視略コ字状に切り欠けられて形成されている。切欠部4b…、5b…の幅を規定する一対の内壁面4c…、5c…は、隔壁体2の組立精度の観点からは、長辺部4a…、5a…に対して直交していれば良いが、組合せの容易性の観点からは、長辺部4a…、5a…に対して傾斜したテーパー面であることが好ましい。また、薄帯部材4…の切欠部4b…の幅は、薄帯部材5…の厚みtに一致させることが隔壁体2の組立精度の観点から好ましく、同様に薄帯部材5…の切欠部5b…の幅は、薄帯部材4…の厚みtに一致させることが好ましい。
薄帯部材4…及び5…が組み合わされる際には、後述するように各薄帯部材4…、5…の厚さ方向両面に接着樹脂が塗布された状態で組み合わされ、この接着樹脂が硬化されることによって薄帯部材4…、5…同士が接合される。各薄帯部材4…、5…の厚さ方向両面は、隔壁体においては図2または3に示すように各貫通孔3…の内壁面3a…を構成するものとなる。硬化された接着樹脂は、樹脂製の補強層となって各貫通孔3…の内壁面3a…を被覆した状態になる。この補強層の形成によって、隔壁体2の機械的強度が向上される。なお、図2〜図4においては接着樹脂及び補強層の図示を省略している。
本実施形態に係る隔壁体2おいては、図2に示すように、例えば、隣接する2つの薄帯部材4d、4e(4)と、隣接する2つの別の薄帯部材5d、5e(5)とが交差する部分に、1つの貫通孔3b(3)が形成される関係になる。即ち、貫通孔3bは、薄帯部材4d、4e及び薄帯部材5d、5eによって区画されることによって形成されている。この関係は、他の貫通孔3においても同様である。
このため、貫通孔3…の平面視形状はそれぞれ略矩形状とされ、また貫通孔3…の平面視したときの大きさは、薄帯部材4…同士の間隔d及び薄帯部材5…同士の間隔dによって規定される。なお、薄帯部材4…同士の間隔d及び薄帯部材5…同士の間隔dは、各切欠部4b…、5b…のピッチP、Pから各薄帯部材の厚みt、tを差し引いた値になる。
更に、貫通孔3…の長さ、換言すると隔壁体2の厚みは、各薄帯部材4…、5…の幅w、wによって規定される。
更にまた、貫通孔3…の間隔P、Pは、薄帯部材4…の厚みt及び薄帯部材5…の厚みtによって規定される。なお、貫通孔3…の間隔Pはx方向に沿う間隔であり、Pはy方向に沿う間隔である。
貫通孔3…の平面視したときの大きさ(開口形状の一辺の長さ)は、換言すると薄帯部材4…同士の間隔d及び薄帯部材5…同士の間隔dは、10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、50μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。d及びdがそれぞれ10μm未満になると、貫通孔3…の開口面積が小さくなって吸音特性が低下するので好ましくなく、d及びdがそれぞれ200μmを超えると、貫通孔3…が肉眼で視認されるようになり、吸音材1の美観性が低下するので好ましくない。
なお、d及びdはそれぞれ、一定であっても良いし、上記の数値範囲の間で可変であっても良い。また、d及びdは同じ値でも異なる値でも良い。
また、d及びdは、上述のように切欠部のピッチP、Pから薄帯部材の厚みt、tを差し引いた値である。従って、切欠部のピッチP、Pについては、20μm以上400μm以下の範囲が好ましく、100μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。
次に、隔壁体2の厚み(貫通孔3…の長さ)は、換言すると薄帯部材4…の幅w及び薄帯部材5…の幅wはそれぞれ、0.5mm以上5mm以下の範囲が好ましく、1mm以上3mm以下の範囲がより好ましい。w及びwがそれぞれ0.5mm未満になると、隔壁体2の厚みが低下して隔壁体2の機械的強度が低下するので好ましくなく、w及びwがそれぞれ5mmを超えると、吸音特性が低下するので好ましくない。
なお、w及びwはそれぞれ、一定であっても良いし、上記の数値範囲の間で可変であっても良い。例えば、隔壁体2の周辺部の厚みに対して中央部の厚みが厚くなるように、換言すると隔壁体の周辺部における貫通孔の長さに対して隔壁体の中央部における貫通孔の長さを長くするように、w及びwを調整しても良い。
次に、貫通孔3…の間隔P、Pは、換言すると薄帯部材4…の厚みt及び薄帯部材5…の厚みtはそれぞれ、10〜200μmの範囲が好ましく、50μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。t及びtがそれぞれ10μm未満になると、貫通孔3…の間隔P、Pが狭くなり過ぎて隔壁体2の機械的強度が低下するので好ましくなく、t及びtがそれぞれ200μmを超えると、貫通孔3…の間隔P、Pが広がり過ぎて吸音特性が低下するので好ましくない。
また、貫通孔3…の開口率は10%以上80%以下の範囲とされていることが好ましく、20%以上60%以下の範囲とされていることがより好ましい。ここで貫通孔3…の開口率とは、吸音材の一面1aまたは他面1bの面積に対する貫通孔3…の開口面積の割合である。開口率が10%以上であれば、貫通孔3…が不足して吸音特性が低下するおそれがない。また、開口率が80%以下であれば、吸音材1の強度が十分になる。
開口率は、貫通孔3…を平面視したときの開口形状の一辺の長さ(間隔d及び間隔d)と、貫通孔3…の間隔P、Pとを調整することで、適宜設定できる。
隔壁体2の大きさは、薄帯部材4…及び5…の使用枚数、寸法等によって適宜変更することができる。例えば、薄帯部材4…及び5…をそれぞれ10000枚ずつ用意し、各薄帯部材の厚みt、tを50μmとし、薄帯部材同士の間隔d、dをそれぞれ50μmとし、各薄帯部材の幅w及びwをそれぞれ1mmとし、各薄帯部材の長さをそれぞれ1mとした場合には、縦1m、横1m、厚み1mmの隔壁体2(吸音材)を構成できる。
また、この隔壁体2に設けられた貫通孔の数は約1億個となり、各貫通孔の開口形状は縦横50μm四方の矩形状となり、各貫通孔の間隔P、Pはそれぞれ100μmとなり、開口率は25%になる。
以上説明したように、本実施形態の吸音材1によれば、薄帯部材4…、5…を格子状に組み合わせることによって複数の貫通孔3…を有する隔壁体2が形成されているので、薄帯部材4…、5…の長さ及び幅並びに厚みと、各薄帯部材4…、5…同士の間隔とを調整することで、貫通孔3…のサイズ及び開口率を容易に調整できるともにサイズ等の精度を高めることができ、吸音特性を向上することができる。
また、薄帯部材4…、5…同士を格子状に組み合わせる際に、各切欠部4b…、5b…同士を嵌め合わせるので、吸音材1の機械的強度を向上させることができる。
更に、貫通孔3…の開口形状の一辺の長さが10μm以上200μm以下の範囲とされ、また隔壁体2の厚みが0.5mm以上5mmの範囲とされているので、吸音特性をより高めることができる。
更にまた、貫通孔3…の内壁面3a…に樹脂からなる補強層が形成されているので、吸音材1の強度をより高めることができる。
また、各薄帯部材4…、5…に着色を施すことで、吸音材1自体の色を変更したり、様々なモチーフからなるデザインを表現することが可能となり、吸音材1の美観を高めることができる。
「吸音パネル」
次に、上記の吸音材を備えた吸音パネルについて、図5〜図7を参照して説明する。
図5には、吸音パネルの一例を断面模式図で示す。
図5に示す吸音パネル10は、2枚の上記吸音材1A、1Bを所定の間隔を空けて相互に対向配置させて構成されてなるものである。吸音材1A、1Bを離間して配置させることによって、吸音材1A、1Bの間に空気層11が形成される。吸音材1A、1Bの間に空気層11が設けられることで吸音材1A、1Bの貫通孔3…と空気層11とが連通され、これにより所謂ヘルムホルツ共鳴器が構成される。これにより、吸音特性を大幅に向上できる。
吸音材1A、1Bの間隔mは、換言すると空気層11の厚みは、5mm以上500mm以下の範囲が好ましく、10mm以上300mm以下の範囲がより好ましい。空気層11の厚みがこの範囲より小さいと、良好な吸音特性が得られず、この範囲より大きいと、実用上厚くなりすぎて吸音材としては不適当である。
また、図5に示す吸音パネル10においては、同じ構成の吸音材1A、1Bを備えているので、どちらの吸音材1A、1Bを音源に向けて配置しても良い。これにより、施工の際には吸音パネル10の向きを音源の位置に関わりなく自由に設置することができ、設置の自由度が高まる。
次に図6には、吸音パネル20の別の例を断面模式図で示す。
図6に示す吸音パネルは、上記の吸音材1Aと、板状の剛体21を、所定の間隔を空けて相互に対向配置させて構成されてなるものである。吸音材1Aと剛体21を離間して配置させることによって、図3の場合と同様に、吸音材1Aと剛体21の間に空気層22が形成される。吸音材1Aと剛体21の間に空気層22が設けられることにより、吸音材1Aの貫通孔3…と空気層22とが連通されて所謂ヘルムホルツ共鳴器が構成される。これにより、吸音特性を大幅に向上できる。
吸音材1Aと剛体21の間隔mは、換言すると空気層22の厚みは、5mm以上500mm以下の範囲が好ましく、10mm以上300mm以下の範囲がより好ましい。空気層22の厚みがこの範囲より小さいと、良好な吸音特性が得られず、この範囲より大きいと、実用上厚くなりすぎて吸音材としては不適当である。
また、図6に示す吸音パネル20においては、吸音材1Aを音源側に向けて配置することが好ましい。これにより、音波が吸音材1Aの貫通孔3に効率良く入射されて良好な吸音特性が得られる。
次に図7には、吸音パネルの他の例を断面模式図で示す。
図7に示す吸音パネル30は、上記吸音材1Aと板状の剛体21とを所定の間隔を空けて相互に対向配置させ、更に吸音材1Aと剛体21との間(空気層22)に多孔質吸音材31を配置させて構成されてなるものである。吸音材1Aと剛体21を離間して配置させることによって、図3及び図4の場合と同様に、吸音材1Aと剛体21の間に空気層22が形成される。吸音材1Aと剛体21の間に空気層22が設けられることにより、吸音材1Aの貫通孔3…と空気層22とが連通されて所謂ヘルムホルツ共鳴器が構成される。これにより、吸音特性を大幅に向上できる。
また、空気層22に多孔質吸音材31を配置することで、吸音パネル30の吸音特性を更に向上できる。多孔質吸音材31には、例えばグラスウール、ロックウール等を用いることができる。
この吸音パネル30における吸音材1Aと剛体21の間隔mは、換言すると空気層22の厚みは、5mm以上500mm以下の範囲が好ましく、10mm以上300mm以下の範囲がより好ましい。空気層22の厚みがこの範囲より小さいと、良好な吸音特性が得られず、この範囲より大きいと、実用上厚くなりすぎて吸音材としては不適当である。
また、図7に示す吸音パネル30においては、図6に示す吸音パネル20の場合と同様に、吸音材1Aを音源側に向けて配置することが好ましい。これにより、音波が吸音材1Aの貫通孔3に効率良く入射されて良好な吸音特性が得られる。
また、多孔質吸音材31は、図7に示す吸音パネル30のみならず、図5及び図6に示す吸音パネル10、20に取り付けても良い。
上記の各吸音パネル10〜30によれば、吸音材1A、1B同士または吸音材1Aと剛体21を対向配置し、吸音材1A、1B同士または吸音材1Aと剛体21との間に空気層11、22を設けるので、吸音材の貫通孔3…と空気層11、21とによって所謂ヘルムホルツ共鳴器が構成され、吸音特性を大幅に向上できる。また、吸音材1A、1B自体が美観性に優れるため、吸音パネル10〜30自体の美観性も高めることができる。
「吸音材の製造方法」
次に、本実施形態の吸音材1の製造方法について説明する。
本実施形態の吸音材1の製造方法は、複数の薄帯部材4…の間にスペーサを配置して薄帯部材4…同士を離間させつつ薄帯部材4…同士を厚み方向に重ねる配列工程と、薄帯部材4…と交差する方向に沿って、別の薄帯部材5…を相互に離間させつつ薄帯部材4…に組み合わせることにより、格子状の隔壁体2を形成する組立工程と、スペーサを除去する仕上工程とから概略構成されている。
以下、各工程について詳細に説明する。
(配列工程)
まず、図8に示すような薄帯部材4…、5…を用意する。金属製または樹脂製の薄帯部材4…、5…を製造する場合には、金属製または樹脂製の長尺の薄帯を用意し、この薄帯を適当な長さに切断すると共に、打ち抜き法等の手段を用いて、切断した薄帯に切欠部4b…、5b…を設けることによって製造する。
また、セラミックス製の薄帯部材4…、5…を製造する場合には、例えばセラミックス粉末とバインダとが混合されてなるスラリーを調製し、次にドクターブレード法によってこのスラリーを基板上に塗布して長尺の薄帯状のシートに形成し、このシートを適当な長さに切断し、更に、切断したシートに切欠部4b…、5b…を設け、最後に焼成することによって製造される。
また、薄帯部材4には、位置用の切欠部4fを設けておくことが好ましい。位置「決め」用の切欠部4fは、他の切欠部4b…のひとつを流用しても良い。
更に、薄帯部材4…、5…の長さは、製造しようとする吸音材の一辺の長さに対して若干長くすることが、後の工程において薄帯部材4…、5…の取扱いが容易になる点で好ましい。例えば、1m四方の吸音材を製造する場合には、薄帯部材4…、5…の長さを1.2〜1.3m程度にすると良い。
調製した薄帯部材4…、5…の厚み方向両面には、未硬化の接着樹脂をスプレー等で薄く塗布する。接着樹脂としては例えば熱硬化性のエポキシ樹脂等を用いることができる。
また、調製した薄帯部材4…、5…には着色を施しておいても良い。
次に、図9に示すように、1本の薄帯部材4を、その切欠部4b…が図9中手前側に向くように配置し、この薄帯部材4の位置決め用の切欠部4fに棒状の位置決め用治具7を嵌め込む。
次に、図10に示すように、薄帯部材4…同士をy方向に沿ってその厚み方向に重ねるように配列する。この際、薄帯部材4…の間にスペーサ8…をそれぞれ配置し、このスペーサ8…によって薄帯部材4…同士を離間させつつ配列する。スペーサ8…は、各薄帯部材4…の長手方向両端部寄りに配置する。また、スペーサ8の厚みは、上述した薄帯部材4…の間隔dと同じにすればよい。
また、薄帯部材4…を配列する際には、各薄帯部材4…の位置決め用の切欠部4f…にそれぞれ、棒状の位置決め用治具7を嵌め込む。
薄帯部材4…を配列する際には、各薄帯部材4…の両端を軽く引っ張っておくことが、作業効率の点から望ましい。
以上により、薄帯部材4…については、スペーサ8…によって各薄帯部材4…同士の間隔が規定され、また、位置決め用治具7及び位置決め用の切欠部4f…によって各薄帯部材4…の切欠部4b…の位置がy方向に沿って相互に合わせられる。
(組立工程)
次に、組立工程では、図11に示すように、薄帯部材4…と交差する方向、即ちy方向に沿って、薄帯部材5…を相互に離間させつつ薄帯部材4…に対して格子状に組み合わせる。その際には、各薄帯部材の切欠部4b…、5b…同士を嵌め合わせる。薄帯部材5…を配列する際には、各薄帯部材5…の両端を軽く引っ張っておくことが、作業効率の点から望ましい。
次に、各薄帯部材4…、5…に予め塗布しておいた接着樹脂を硬化させる。接着樹脂がエポキシ樹脂の場合には加熱することで硬化することができる。
(仕上工程)
次に図12に示すように、仕上工程では配列工程で用いたスペーサ8…を除去する。スペーサ8…を除去するには、図12の一点鎖線Lに沿って薄帯部材4…、5…の両端部を切り離すことで、スペーサを両端部とともに切り離せば良い。また、この際には位置決め用の治具7も同時に切り離して取り除くと良い。
薄帯部材4…、5…は上述したように、製造しようとする吸音材の一辺の長さに対して若干長くしているので、薄帯部材4…、5…の両端部を切り離しても設計通りの大きさの吸音材が得られる。
以上の各工程を経ることで、図1〜図4に示す吸音材1が得られる。
上記の吸音材1の製造方法においては、配列工程においてスペーサ8…を配置して薄帯部材4…同士を離間させ、次に組立工程において各薄帯部材4…に別の薄帯部材5…を離間させつつ組み合わせて格子状の隔壁体2を形成する。これにより、隔壁体2に複数の貫通孔3…が設けられ、しかもその貫通孔3…の数が、隔壁体2における貫通孔の数=(薄帯部材の数−1)×(別の薄帯部材の数−1)となる。これにより、比較的少ない工数で多数の貫通孔3…を形成することができ、吸音材1の製造コストを大幅に低減できる。
また、薄帯部材4…に設けられた位置決め用の切欠部4f…に位置決め用治具7を嵌め合わせることによって、薄帯部材4…の各切欠部4b…の位置合わせを行うので、隔壁体2の寸法精度を高めることができ、これに伴って貫通孔3…のサイズ、間隔P、P等の精度を高めることができる。
また、薄帯部材4…、5…同士を格子状に組み合わせる際に、各薄帯部材に設けた切欠部4b…、5b…同士を嵌め合わせるので、吸音材1の機械的強度を向上させることができる。また、薄帯部材5…の間隔を、薄帯部材4…の切欠部4b…によって規定することができる。
更に、各薄帯部材4…、5…に接着樹脂を塗布してから各薄帯部材4…、5…同士を組み合わせて隔壁体2を形成し、その後、接着樹脂を硬化させるので、接着樹脂によって各薄帯部材4…、5…同士が接合され、隔壁体2の強度を大幅に向上できる。なお、硬化後の接着樹脂は、貫通孔3の内壁面3aに形成された樹脂からなる補強層となる。
更に、スペーサ8…を薄帯部材4…の両端部とともに除去するので、吸音材の美観性が損なわれる虞がない。
(実施例1)
長さ1.2mのアルミニウム製の薄帯部材を10000本用意し、各薄帯部材にエポキシ樹脂をスプレー塗布し、これら薄帯部材同士の間に厚さ50μmのスペーサを配置して薄帯部材同士を離間させつつ薄帯部材同士を厚み方向に沿って重ねて配列した。尚、各薄帯部材には予め、100μmのピッチで幅50μmの切欠部を設けておいた。
次に、長さ1.2mのアルミニウム製の別の薄帯部材を10000本用意し、この別の薄帯部材を相互に離間させつつ先の薄帯部材に対して格子状に組み合わせた。そして、エポキシ樹脂を加熱硬化することにより、格子状の隔壁体を形成した。この別の薄帯部材にも、100μmのピッチで幅50μmの切欠部を予め設けておいた。そして、薄帯部材同士を格子状に組み合わせる際に、これら切欠部同士を相互に嵌め合わせた。
次に、得られた隔壁体の周辺部をスペーサと共に除去することにより、縦横1m角の吸音材を製造した。
尚、各薄帯部材の厚みt、tはそれぞれ50μmであり、各薄帯部材の幅w及びwはそれぞれ1mmであった。
以上により、製造された吸音材は、縦1m、横1m、厚み1mmの板状であり、この吸音材に設けられた貫通孔の数は約1億個であり、各貫通孔の開口形状は縦横50μm四方の矩形状となり、各貫通孔の間隔P、Pはそれぞれ100μmとなり、開口率は25%になった。
次に、得られた吸音材を直径100mmの円板状に切り出した。そしてこの吸音材の垂直入射吸音率を測定した。結果を図13に示す。
図13に示すように、最大吸音率が0.9を超えており、また、最大吸音率を示す周波数が400Hz前後であり、低音の吸音率に優れていることが判明した。
(実施例2)
薄帯部材の材質をPET樹脂とし、各薄帯部材に着色を施したこと以外は上記実施例1と同様にして実施例2の吸音パネルを製造した。
得られた吸音パネルの吸音特性は実施例1の場合と同様であった。また薄帯部材に着色が施されたことによって、吸音材の外観がカラフルとなり、美観性が向上した。
(実施例3)
薄帯部材の材質をアルミナの焼結体としたこと以外は上記実施例1と同様にして実施例3の吸音パネルを製造した。
得られた吸音パネルの吸音特性は実施例1の場合と同様であった。また薄帯部材がアルミナ焼結体で形成されたことによって、吸音材の外観がセラミックス様となり、美観性が向上した。
(実施例4)
薄帯部材を5000本ずつ、合計10000本用意し、各薄帯部材の厚みt、tをそれぞれ100μmとし、各薄帯部材に設けた切欠部のピッチをそれぞれ200μmとし、切欠部の幅を100μmとし、薄帯部材の表面にアルマイト処理を施したこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例4の吸音パネルを製造した。尚、本実施例における吸音材は、縦1m、横1m、厚み1mmの板状であり、この吸音材に設けられた貫通孔の数は約2千5百万個であり、各貫通孔の開口形状は縦横100μm四方の矩形状となり、各貫通孔の間隔P、Pはそれぞれ200μmとなり、開口率は25%となった。
得られた吸音パネルの吸音特性は実施例1の場合とほぼ同様であった。また薄帯部材にアルマイト処理が施されているので着色を施すことができ、吸音材の外観をカラフルにして美観性を向上させることも可能であった。
(実施例5)
着色を施したPET製の薄帯部材を50000本ずつ、合計100000本用意し、各薄帯部材の厚みt、tをそれぞれ10μmとし、各薄帯部材に設けた切欠部のピッチをそれぞれ20μmとし、切欠部の幅を10μmとし、各薄帯部材の幅を0.5mmとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例5の吸音パネルを製造した。尚、本実施例における吸音材は、縦1m、横1m、厚み0.5mmの板状であり、この吸音材に設けられた貫通孔の数は約2千5百万個であり、各貫通孔の開口形状は縦横10μm四方の矩形状となり、各貫通孔の間隔P、Pはそれぞれ20μmとなり、開口率は25%となった。
得られた吸音パネルの吸音特性は実施例1の場合とほぼ同様であった。また薄帯部材に着色が施されたことによって、吸音材の外観がカラフルとなり、美観性が向上した。
(実施例6)
アルミナ焼結体からなる薄帯部材を2500本ずつ、合計5000本用意し、各薄帯部材の厚みt、tをそれぞれ200μmとし、各薄帯部材に設けた切欠部のピッチをそれぞれ400μmとし、切欠部の幅を200μmとし、各薄帯部材の幅を5mmとしたこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例6の吸音パネルを製造した。尚、本実施例における吸音材は、縦1m、横1m、厚み5mmの板状であり、この吸音材に設けられた貫通孔の数は約625万個であり、各貫通孔の開口形状は縦横200μm四方の矩形状となり、各貫通孔の間隔P、Pはそれぞれ400μmとなり、開口率は25%となった。
得られた吸音パネルの吸音特性は実施例1の場合とほぼ同様であった。また薄帯部材がアルミナ焼結体で形成されたことによって、吸音材の外観がセラミックス様となり、美観性が向上した。
(比較例1)
厚さ1mmの感光性ガラス基板に対して、フォトリソグラフィ技術により、100μmのピッチで、直径60μmの複数の貫通孔を穿孔することによって、各貫通孔が格子状に配置され、かつ開口率が25%の吸音材を製造したと仮定した。
そして、この吸音材を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の吸音パネルを製造したと仮定した。この比較例1の吸音パネルの垂直入射吸音率は、実施例1の場合とほぼ同等であると予想された。
しかし、実際に比較例1の吸音材を製造するには、露光装置等の高価な機器を導入する必要があり、露光装置等の制約上、また吸音材の大きさが最大で6インチ四方程度のものしか製造できず、1m四方の大型のパネルを製造するにはコストが極めて大きくなり、事実上実現が不可能である。
(比較例2)
厚さ1mmのアクリル基板に対して、X線リソグラフィ技術により、100μmのピッチで、直径60μmの複数の貫通孔を穿孔することによって、各貫通孔が格子状に配置され、かつ開口率が25%の吸音材を製造したと仮定した。
そして、この吸音材を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の吸音パネルを製造したと仮定した。この比較例2の吸音パネルの垂直入射吸音率は、実施例1の場合とほぼ同等であると予想された。
しかし、実際に比較例2の吸音材を製造するには、比較例1と同様に、高価な機器を導入する必要があり、また機器の制約上、また吸音材の大きさが最大で15cm四方程度のものしか製造できず、1m四方の大型のパネルを製造するにはコストが極めて大きくなり、事実上実現が不可能である。
(比較例3)
厚さ1mmのアルミニウム板に、200μmのピッチで、直径130μmの複数の貫通孔をドリルで穿孔することによって、各貫通孔が格子状に配置され、かつ開口率が25%の吸音材を製造したと仮定した。
そして、この吸音材を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の吸音パネルを製造したと仮定した。この比較例3の吸音パネルの垂直入射吸音率は、実施例1の場合とほぼ同等であると予想された。
しかし、実際に比較例3の吸音材を製造するには、2千5百万個もの貫通孔をドリルで穿孔して形成する必要があり、1分あたり10個の穿孔能力を有する工作機械を24時間連続で使用したとしても、吸音材の完成までに約8年を要すると予想され、事実上実現が不可能である。
(比較例4)
厚さ0.5mmのPET樹脂板に、20μmのピッチで、直径10μmの複数の貫通孔をレーザー加工で穿孔することによって、各貫通孔が格子状に配置され、かつ開口率が25%の吸音材を製造したと仮定した。
そして、この吸音材を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例4の吸音パネルを製造したと仮定した。この比較例4の吸音パネルの垂直入射吸音率は、実施例1の場合とほぼ同等であると予想された。
しかし、実際に比較例4の吸音材を製造するには、25億個もの貫通孔をレーザー加工で形成する必要があり、1分あたり100個の穿孔能力を有するレーザー加工装置を24時間連続で使用したとしても、吸音材の完成までに約80年を要すると予想され、事実上実現が不可能である。また、仮に実現できたとしても、PET樹脂に対するレーザー加工によって、PET樹脂板が加工熱で歪んだり、貫通孔の形状が不均一になったりする可能性があり、美観性が低下するものと予想される。
(比較例5)
厚さ5mmのアルミナグリーンシート板に、400μmのピッチで、直径200μmの複数の貫通孔をニードル加工により穿孔し、その後焼成することによって、各貫通孔が格子状に配置され、かつ開口率が25%の吸音材を製造したと仮定した。
そして、この吸音材を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例5の吸音パネルを製造したと仮定した。この比較例5の吸音パネルの垂直入射吸音率は、実施例1の場合とほぼ同等であると予想された。
しかし、実際に比較例5の吸音材を製造した場合には、焼成工程によって貫通孔等の寸法形状が設計値に対して変動してしまい、必ずしも良好な吸音特性が得られない可能性が高い。また、アルミナ板は耐衝撃性に劣り、また自重によっても割れ易いので、事実上実現が不可能である。
図1は、本発明の実施形態である吸音材を示す斜視図である。 図2は、図1に示す吸音材の一部を拡大した平面模式図である。 図3は、図1に示す吸音材の一部を拡大した斜視図である。 図4は、図1に示す吸音材の一部を拡大した分解斜視図である。 図5は本発明の実施形態である吸音パネルの一例を示す断面模式図である。 図6は本発明の実施形態である吸音パネルの別の例を示す断面模式図である。 図7は本発明の実施形態である吸音パネルの他の例を示す断面模式図である。 図8は、本発明の実施形態である吸音材の製造方法を説明するための図であって、(A)は薄帯部材を示す側面模式図であり、(B)は薄帯部材の平面模式図である。 図9は、本発明の実施形態である吸音材の製造方法を説明するための図であって、配列工程を示す工程図である。 図10は、本発明の実施形態である吸音材の製造方法を説明するための図であって、配列工程を示す工程図である。 図11は、本発明の実施形態である吸音材の製造方法を説明するための図であって、組立工程を示す工程図である。 図12は、本発明の実施形態である吸音材の製造方法を説明するための図であって、仕上工程を示す工程図である。 図13は、実施例1の吸音パネルの吸音特性を示す図であって、吸音率の周波数依存性を示すグラフである。
符号の説明
1、1A、1…B吸音材、2…隔壁体、3…貫通孔、3a…貫通孔の内壁面、4…薄帯部材、4f…位置決め用の切欠部、5…別の薄帯部材、4a、5a…薄帯部材の長辺部、4b、5b…切欠部、7…位置決め用治具、8…スペーサ、10,20、30…吸音パネル、11、22…空気層、21…剛体、31…多孔質吸音材、d…薄帯部材同士の間隔(貫通孔の開口形状の一辺の長さ)、d…別の薄帯部材同士の間隔(貫通孔の開口形状の一辺の長さ)、P…薄帯部材の切欠部のピッチ、P…別の薄帯部材の切欠部のピッチ、t…薄帯部材の厚み、t…別の薄帯部材の厚み、x…一方向、y…一方向と交差する方向、w…薄帯部材の幅(隔壁体の厚み)、w…別の薄帯部材の幅(隔壁体の厚み)

Claims (15)

  1. 一方向及び前記一方向と交差する方向に沿って配置された複数の貫通孔を有する略格子状の隔壁体からなり、
    前記略格子状の隔壁体は、前記一方向に沿って延在する複数の薄帯部材と、前記一方向と交差する方向に沿って延在する複数の別の薄帯部材とが、相互に格子状に組み合わされて構成されてなることを特徴とする吸音材。
  2. 前記の各薄帯部材の長辺部には、その長手方向に沿って一定の間隔を空けて複数の切欠部が設けられ、
    前記薄帯部材と前記別の薄帯部材とが組み合わされる際に、各薄帯部材の切欠部同士が嵌め合わされることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
  3. 前記貫通孔の開口形状が略矩形状とされ、前記開口形状の一辺の長さが10μm以上200μm以下の範囲とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸音材。
  4. 前記隔壁体の厚みが0.5mm以上5mm以下の範囲とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の吸音材。
  5. 前記貫通孔の内壁面に樹脂からなる補強層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の吸音材。
  6. 前記各薄帯部材が着色されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の吸音材。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の2以上の吸音材が所定の間隔を空けて相対配置され、各吸音材同士の間に空気層が設けられてなることを特徴とする吸音パネル。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の吸音材と剛体とが所定の間隔を空けて相対配置され、前記吸音材と前記剛体との間に空気層が設けられてなることを特徴とする吸音パネル。
  9. 前記空気層に多孔質吸音材が配置されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の吸音パネル。
  10. 複数の薄帯部材の間にスペーサを配置して薄帯部材同士を離間させつつ厚み方向に重ねる配列工程と、
    前記複数の薄帯部材と交差する方向に沿って、複数の別の薄帯部材を相互に離間させつつ前記複数の薄帯部材に組み合わせることにより、格子状の隔壁体を形成する組立工程と、
    前記スペーサを除去する仕上工程と、を具備してなることを特徴とする吸音材の製造方法。
  11. 前記配列工程において前記スペーサを前記複数の薄帯部材の長手方向両端部寄りに配置し、前記仕上工程において前記複数の薄帯部材の両端部を前記スペーサと共に除去することを特徴とする請求項10に記載の吸音材の製造方法。
  12. 前記複数の薄帯部材及び前記複数の別の薄帯部材の各長辺部に、その長手方向に沿って一定の間隔を空けて複数の切欠部を設け、前記組立工程において前記複数の薄帯部材と前記複数の別の薄帯部材とを組み合わせる際に、各薄帯部材の切欠部同士を嵌め合わせることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の吸音材の製造方法。
  13. 前記配列工程において前記複数の薄帯部材の厚み方向両面にそれぞれ接着樹脂を塗布し、前記組立工程において前記複数の別の薄帯部材の厚み方向両面にも接着樹脂を塗布し、前記隔壁体を形成した後に前記接着樹脂を硬化して薄帯部材同士を接合させることを特徴とする請求項12に記載の吸音材の製造方法。
  14. 前記複数の薄帯部材の一端部寄りにそれぞれ位置決め用の切欠部を設け、前記配列工程において前記複数の薄帯部材を配置する際に、前記位置決め用の切欠部に長尺の位置決め用治具を嵌め合わせて、前記複数の薄帯部材の前記の各切欠部の位置合わせを行うことを特徴とする請求項12に記載の吸音材の製造方法。
  15. 前記複数の薄帯部材及び前記複数の別の薄帯部材の厚みがそれぞれ10μm以上200μm以下の範囲とされ、前記の各薄帯部材における切欠部のピッチが20μm以上400μm以下の範囲とされ、前記の各薄帯部材の幅が0.5mm以上5mm以下の範囲とされ、前記配列工程における薄帯部材同士の間隔が10μm以上200μm以下の範囲とされていることを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれかに記載の吸音材の製造方法。

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