JP2007255748A - ヒートポンプシステム,ヒートポンプシステムの軸封方法,ヒートポンプシステムの改造方法 - Google Patents

ヒートポンプシステム,ヒートポンプシステムの軸封方法,ヒートポンプシステムの改造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧縮機を支持する軸受の軸受潤滑油がヒートポンプシステムの作動流体へ漏れこむことを抑制し、作動液体を水または水蒸気としても信頼性が高いヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】外部高温熱源20と作動流体とで熱交換する熱交換器である蒸発器4と、前記作動流体を圧縮する圧縮機1を備えたヒートポンプシステムにおいて、前記作動流体を水または水蒸気とし、前記圧縮機1の軸受61をパージする系統を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒートポンプシステム,ヒートポンプシステムの軸封方法,ヒートポンプシステムの改造方法に関する。
ヒートポンプシステムに関しては、例えば特許文献1に記載のように、冷媒循環路への流出潤滑油を圧縮機へ返送する技術が開示されている。
特開2002−333220号公報
特許文献1に記載の技術では、冷媒に漏れこんだ潤滑油を回収して圧縮機へ返送している。しかし、回収しきれない潤滑油は冷媒中に混在したままである。
本発明の目的は、圧縮機の軸受潤滑油のヒートポンプ作動流体への漏れこみを抑制することで、信頼性の高いヒートポンプシステム,ヒートポンプシステムの軸封方法,ヒートポンプシステムの改造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、熱源と作動流体とで熱交換する熱交換器と、前記作動流体を圧縮する圧縮機とを備えたヒートポンプシステムにおいて、前記作動流体を水または水蒸気とし、前記圧縮機の軸受をパージする系統を備える。
本発明によれば、圧縮機の軸受潤滑油のヒートポンプ作動流体への漏れこみを抑制することで、信頼性を向上できるという効果を奏する。
まず、産業用ヒートポンプで作動流体を水または水蒸気としたシステムについて技術説明する。産業用ヒートポンプを用いて熱利用設備にエネルギーを供給する場合、温水や冷水を作動流体として用いる技術がある。発明者らは、蒸気圧縮機の性能向上が進む技術背景の下で検討を重ね、ヒートポンプシステムの作動流体を水蒸気とすれば、媒体重量あたりに搬送できるエネルギー量を飛躍的に向上できることを見出した。さらにこの場合、作動流体を負圧とすれば、外部からの熱を極めて効率的に取り込むことができるという知見も得た。
ただし、圧縮機の軸受部雰囲気圧は大気圧程度であるため、作動流体が負圧であって圧縮機軸受に油軸受を用いた場合、軸受潤滑油の作動流体中への混入が危惧される。そのため、ヒートポンプシステムの効率を考慮した上で、軸受潤滑油の圧縮機主流中への混入を抑制し信頼性を向上することが望まれる。
次に本発明を図面に基づいて具体的に説明する。
(第1実施例)本発明の第1実施例を、図1,図2,図3を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施例であるヒートポンプシステムの構成図である。本実施例では、複数の圧縮手段として、四段構成の蒸気圧縮機を1台使用するヒートポンプシステムを例にとって説明する。この場合、複数の圧縮手段の間とは蒸気圧縮機の各段の段間であり、複数の圧縮手段の入口部,出口部とはそれぞれ蒸気圧縮機第一段の入口部,第四段の出口部を意味する。
図1に示すヒートポンプシステムは、供給された水を外部高温熱源20との熱交換によって蒸発させる蒸発器4と、蒸発した水蒸気を圧縮して吐出する蒸気圧縮機1を備えている。蒸気圧縮機1は、第一段11,第二段12,第三段13,第四段14の4段で構成されている。蒸気圧縮機1は、軸2を介して連結されたモータ3により駆動される。また、蒸気圧縮機1の入口側には加湿器81が設置され、蒸気圧縮機1を構成する蒸気圧縮機の第一段11と第二段12の間,第二段12と第三段13の間,第三段13と第四段14の間には加湿器82,83,84がそれぞれ設置されている。各加湿器はポンプ80から供給された水を噴霧することで、作動流体を冷却する。なお、蒸気圧縮機の段が4段以外の場合にも各段の間に加湿器が設けられる。
次に、本実施例のヒートポンプシステムにおける作動流体の流れについて説明する。液体を膨張させる膨張器9で、供給された水40は減圧され、低圧水41として、熱源と作動流体で熱交換する熱交換器である蒸発器4へ供給される。蒸発器4へ供給された低圧水41は、外部高温熱源20と熱交換することで蒸発し、過熱蒸気42となる。過熱蒸気
42は加湿器81へ供給され、ポンプ80から供給された水の噴霧により飽和温度程度まで冷却され、飽和蒸気43となって蒸気圧縮機1へ供給される。飽和蒸気43は蒸気圧縮機1の第一段11を通過することで、圧力,温度が上昇し過熱蒸気44となる。過熱蒸気44は加湿器82に供給され、水噴霧により飽和温度程度まで冷却されて飽和蒸気45として第二段12へ供給される。飽和蒸気45は、第二段12で圧縮されることにより圧力と温度が上昇して過熱蒸気46となり、加湿器83へ供給され、ポンプ80から供給された水を噴霧することにより飽和温度程度まで冷却されて飽和蒸気47となる。飽和蒸気
47は第三段13へ供給され、昇温昇圧されて過熱蒸気48となる。過熱蒸気48は、加湿器84での水噴射により飽和温度程度まで冷却され、飽和蒸気49として第四段14へ供給される。飽和蒸気49は第四段14で圧縮され、最終的に高温,高圧の過熱蒸気50として放出される。
ここで、本実施例のヒートポンプシステムにおける作動流体の状態について詳細に説明する。本実施例では、供給される水40として、圧力約0.5MPa ,温度約120℃の水を想定している。水40は膨張器9により圧力約0.02MPa ,温度約60℃,質量流量約1.6kg/s の減圧水41となる。減圧水41は、約80℃の外部高温熱源20との熱交換により蒸発潜熱を得て液相から気相へと相変化し、約65℃の過熱蒸気42となる。過熱蒸気42は加湿器81に流入し、ここで噴霧される約0.05kg/s の水に蒸発潜熱を奪われることで冷却され、飽和温度である約60℃まで冷却され、飽和蒸気43となって蒸気圧縮機1へと供給される。飽和蒸気43は、第一段11により所定の圧力比約2.4 まで圧縮され、圧力約0.05MPa ,温度約150℃の過熱蒸気44となる。過熱蒸気44は、加湿器82で約0.1kg/s の水を噴霧されることにより飽和温度である約80℃まで冷却され、飽和蒸気45となって第二段12へ供給される。飽和蒸気45は第二段12により所定の圧力比2.2 まで圧縮され、圧力が約0.11MPa 、温度が約170℃まで上昇した過熱蒸気46となる。過熱蒸気46は、加湿器83にて噴霧される約0.1kg/s の水が蒸発潜熱を奪うことにより、飽和温度である約100℃まで冷却され、飽和蒸気47となる。飽和蒸気47は第三段13によって所定の圧力比約2.0 まで圧縮され、圧力が約0.22MPa 、温度が約180℃に上昇した過熱蒸気48となる。過熱蒸気48は加湿器84へ流入し、そこで噴霧された0.1kg/s の水が蒸発潜熱を奪うことによって、飽和温度である120℃まで冷却され、飽和蒸気49となって第四段
14へと流入する。飽和蒸気49は第四段14により所定の圧力比1.8 まで圧縮され、最終的には、圧力約0.40MPa ,温度約190℃の過熱蒸気50を得ることができる。過熱蒸気50は、工業用熱源として、製紙会社,食品工場,地域冷暖房,化学工場などの熱利用施設で利用される。
本実施例では、圧縮機の作動流体を水蒸気としたため、温水や冷水とした場合と比べて流体重量あたりに搬送できるエネルギー量を飛躍的に向上できる。そのため、ヒートポンプシステムの設置場所は熱利用施設に近い範囲に限定されない。
また、ヒートポンプは大気の熱や廃熱等を取り込んで有効利用するものである。本実施例では膨張器によってヒートポンプ作動流体である水の圧力を負圧にまで下げているため、外部高温熱源の温度が比較的低くても水を水蒸気に相変化させることができる。したがって、熱源からの熱を効率的に取り込むことができるという効果と、温度が低いために有効利用されていなかった熱源をも利用できるという効果の二つの効果を得ることができる。
ただし、この場合圧縮機の作動流体である水蒸気も負圧になる。負圧の作動流体で運用する圧縮機は、軸受潤滑油の漏れ込みによる影響から一般的に信頼性は低い。本実施例では、後述のように軸受部にパージ機構を設け、軸受潤滑油の作動流体中への漏れ出しを抑制し、信頼性を向上させている。つまり、本実施例のヒートポンプシステムは、高い信頼性と優れた効率を両立している。
図2は、本実施例のヒートポンプシステムの圧縮機構造を簡略的に示す図である。図2に示すように、蒸気圧縮機1は、静止部材101,102,103,104,105,
106、静翼111,112,113,114からなる静止系と、軸2、ロータ121,122,123,124、動翼131,132,133,134からなる回転系から構成されている。静止系と回転系は、軸受61,62を介して接続されている。動翼131と静翼111を含む第一段11,動翼132と静翼112を含む第二段12,動翼133と静翼113を含む第三段13,動翼134と静翼114を含む第四段14の各段の前には、それぞれ加湿器81,82,83,84が設置され、各加湿器にはポンプ80から水が供給されている。なお本実施例において、加湿器は噴霧ノズルを想定しているが、水をミスト状に噴霧できる機構であれば他の形態の加湿器でもよい。
図3に、図2で示した本実施例のヒートポンプシステムの圧縮機構造における軸受部の拡大図を示す。軸受61には、ポンプ70から配管71を通じて潤滑剤が供給され、配管72を通じて潤滑剤が回収される。作動流体の流路と軸受61の間には、フィン153,155で仕切られた空間151が設けられている。空間151には、空間151外から流体を供給可能なように配管160が接続されている。本実施例中でフィンは、回転体である軸2と静止体である静止部材101の間隙をシールする役割を担っている。空間151と軸受部の間、空間151と圧縮機主流の間を通過する流体の流量は、フィン153とフィン155のシール効果により抑えられる。このシール効果により、配管160から供給される流体の圧力を適宜調節することで、空間151内の圧力は所定の範囲内に保たれる。
本実施例では潤滑剤として油を用いている。何らかの原因で油が作動流体の流路中に漏れると、翼や流路を腐食させる場合がある。これを抑制するため、本実施例では空間151に高圧の流体をパージすることで、油が作動流体の流路へ漏れることを抑制する。パージとは、軸受部に供給される潤滑油が軸受部から外へ漏れ出すことを抑えるための軸封を意味する。具体的には、軸受61の潤滑油の圧力よりも高圧のパージ流体を空間151に供給することで、軸受61から空間151へ向かう流体の流れを抑制し、潤滑油がパージ系統および圧縮機主流へ混入することを抑えている。
一般的なターボ機械では、高温、高圧の空気をパージ気体として用いる。しかし、本実施例では圧縮機作動流体が水蒸気であるため、パージ気体として空気を用いると圧縮機主流中に水蒸気と空気が混合することになる。異種気体である水蒸気と空気は熱容量が異なる。パージ気体が主流中に流れ込む部分と圧縮機翼との距離は翼弦長の数倍程度なので、パージ気体は完全に主流中に拡散する前に圧縮機翼に衝突する。翼は熱伸びによる変形を考慮しなければならず、局地的に温度が変化する部分があればその分だけ翼の信頼性は低い。以上のことから、パージ気体として空気を用いた場合、熱容量に偏りをもった気体が翼に衝突して翼の一部分だけ集中的に温度が変化するため、翼の信頼性は低い。
そこで本実施例では軸受部のパージ用空間にパージ気体として水蒸気を供給している。圧縮機の主流気体とパージ用気体を同種気体である水蒸気とすることにより、翼の局地的な温度変化の発生を抑制し、翼の信頼性を高めることができる。またさらにパージ気体が主流にもれ込むことを考慮しても、パージ気体としては空気よりも水蒸気を利用した方が望ましい。水蒸気を利用すれば圧縮機主流の質量流量の減少が抑えられ、効率を向上させることができるからである。
本実施例では軸受は大気にさらされているため、軸受部の雰囲気圧は大気圧である。そのため、作動流体の流れ方向上流側の軸受61の軸受空間151へ供給するパージ用水蒸気の圧力は大気圧よりも若干高い約0.12MPa 、温度は約150℃を想定している。
一方、作動流体の流れ方向下流側の軸受62の潤滑油が主流中に混入する場合には、静止部材106とロータ124の間隙から混入することが考えられる。ただしこの位置での圧縮機主流水蒸気の圧力は大気圧よりもはるかに高い。そのため、この高圧の主流水蒸気がパージ水蒸気の役割を果たしている。この構成がパージ機構とみなせるため、軸受62から主流中への潤滑油混入の可能性は極めて低い。つまり、軸受62には軸受61のような新たなパージ機構を設けてもよいし設けなくてもよい。
なお、水以外の単一の流体を用いて本実施例におけるシステムを構成することも可能である。ただし、入手が安価,容易で、無害かつヒートポンプシステムの冷媒として使用可能な流体であるという点で、水を適用することが望ましい。
ここで、本実施例のヒートポンプにおけるシステム上の利点を説明する。作動流体の加湿による冷却を伴わないヒートポンプシステム(以下、比較例と称する)に比べ、作動流体である水蒸気を加湿により冷却する本実施例のヒートポンプシステムでは熱輸送の性能が飛躍的に向上する。ヒートポンプのシステムの性能は、成績係数(COP:Coefficientof Performance) によって評価される。COPとは、利用可能なエネルギーを圧縮機の動力で割った値であり、ヒートポンプによって汲み上げられた熱量と,これを汲み上げるときに使った圧縮機の圧縮仕事量との比をあらわす。
本実施例のヒートポンプシステム中の蒸気圧縮機1の圧縮動力は合計で約1.2MW,過熱蒸気50の形で保持しているエネルギーは約5.2MW であるためヒートポンプ成績係数は約4.3 である。一方、前述の比較例であるヒートポンプの場合、段効率と段ヘッドが蒸気圧縮機と同一であると仮定すると、作動媒体である水蒸気の冷却を行わないため圧縮機の圧縮比は約11に低下する。なお、本実施例のヒートポンプでは圧縮機の圧縮比は約20である。作動媒体非冷却時に圧縮比が低い理由は、各段に流入する水蒸気の温度が高いため同一のヘッドに対する圧力上昇が小さくなるためである。これは、昇温させると密度が低くなり、密度が低いほど所定の圧力まで加圧する際の圧縮動力を多く要するという気体の性質による。
圧力比はユーザーの仕様で決まる。そのため、性能を比較するためには比較例の圧力比を加湿による冷却がある本実施例と同一にする必要がある。比較例の圧縮比を加湿による冷却がある場合と同等にまで上げるためには段数を追加する必要がある。しかし、段数の追加は圧縮動力の増大と部品点数の増加を伴う。つまり、作動流体の冷却を行わない比較例のヒートポンプシステムは本実施例のものと比べると、成績係数が悪く、コストも高い。すなわち本実施例のヒートポンプシステムは、加湿によって水蒸気の冷却を行うことで、高性能化,低コスト化を実現している。
本実施例は加湿による冷却の例を示したが、上述の通り、作動流体である水蒸気の温度を低下させることのできる方法であれば、同種の効果を得ることができる。したがって、例えば熱交換器によって作動媒体を冷却するなど、加湿冷却以外の冷却手段を用いても構わない。
なお、作動流体である液体を膨張させる膨張器と、膨張した液体を外部高温熱源からの熱により蒸発させる蒸発器と、蒸発した気体を圧縮する圧縮機を備えた既設のヒートポンプシステムがあれば、これを改造することにより、本実施例のヒートポンプシステムと同様の効果を奏するヒートポンプシステムを得ることができる。これは、上記既設のヒートポンプシステムに、膨張器に作動流体として水を供給する供給手段と、圧縮機の軸受部を軸封するパージ手段を追設して本実施例のヒートポンプシステムと同様の構成とすることにより実現できる。
(第2実施例)次に、本発明の第2実施例を図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の第2実施例であるヒートポンプシステムの構成図であり、図5は、図4における軸受部の拡大図である。図4において、図1と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。図5においても、図3と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図4において、図1と異なるのは、軸受部のパージ水蒸気を蒸発器4へ供給するための戻り配管161が設置された点である。軸受61の周辺の拡大図を図5に示す。
図5に示すように、本実施例では軸受と作動流体の流路との間にフィンで仕切られた空間が二つ設置されている。軸受側の空間151にはパージ用の水蒸気の供給配管160が接続され、作動流体の流路側の空間152は蒸発器4と戻り配管161を介して結ばれている。
ここで、本実施例におけるパージ用水蒸気の具体的動作を説明する。軸受の雰囲気圧よりも高い圧力で、パージ用水蒸気が供給配管160からフィン153,フィン154で仕切られた空間151へ供給される。空間151にて軸受の潤滑油の漏れを防止したパージ用水蒸気の一部は、フィン154,フィン155で仕切られた空間152を経由し戻り配管161を通って蒸発器4へ供給される。
パージ機構は、圧縮機1の軸受61を軸封するよう、所望圧力の水蒸気を軸受部の軸封系統に供給して軸封する構成であることが望ましい。ここで所望の圧力とは、軸受61に供給される潤滑油の圧力よりも高い圧力とする。このように構成することにより、フィン153では空間151から軸受61の方向へパージ水蒸気の一部が流れる。このため、逆の流れ、すなわち軸受61から空間151方向への流体の流れを抑制することができる。つまり、軸受61の潤滑油のパージ水蒸気への混入、ひいては圧縮機主流への混入を防ぐことができる。本実施例では、パージ用水蒸気として、例えば圧力が0.12MPa 程度、温度が150℃程度の水蒸気を利用する。
空間151のパージ水蒸気の一部は、軸受61方向の他に、フィン154を通過して空間152にも供給される。空間152のパージ空気の流出経路としては、蒸発器4へつながる戻り配管161,フィン155を通過して圧縮機入口付近の主流へつながる経路の二系統がある。蒸発器4と圧縮機入口の圧力は同程度であるが、フィン155のシール効果のため、戻り配管161へ流れる割合が圧倒的に多く、フィン155から圧縮機主流中へのパージ水蒸気の流入が抑制される。
本実施例では、パージ水蒸気の圧力を軸受潤滑油の圧力より高くし、さらにパージ水蒸気の戻り配管161を設置している。そのために、軸受潤滑油のパージ空間151への混入を抑制するとともに、パージ空間152から圧縮機主流への流入を極端に少なくすることができる。つまり、圧縮機作動流体である主流中の水蒸気への油の流入を二重に抑制している。また、軸受61付近の作動流体の温度は60℃程度であるのに対してパージ用水蒸気の温度は150℃程度である。そのため、パージ用水蒸気が作動流体の流路へ流出すると、作動流体の温度上昇を招き、蒸気圧縮機の効率が低くなる。つまり本実施例によれば、戻り配管161を設置することで、圧縮機主流への潤滑油の混入を抑制する効果と、パージ用水蒸気の流出を抑制することで圧縮機の高効率運転ができるという効果の2つの効果を得ることができる。
パージ用水蒸気の供給源には外部からの高圧蒸気源を用いてもよいし、蒸気圧縮機1の中間段もしくは最終段から高圧蒸気を抽気してもよい。また、必要であれば両方設置し、運転状態によって蒸気の供給量をそれぞれ調整することができる。
また、本実施例では、軸受部を軸封した後のパージ水蒸気を、戻り配管161を介して蒸発器4に供給している。蒸発器4に供給されたパージ水蒸気は熱源として利用され低圧水41と熱交換する。パージ用水蒸気の温度は例えば150℃程度であり、想定される外部高温熱源20の温度80℃より高い。したがって本実施例によれば、パージ用水蒸気の熱を系内で再利用することによる効率向上と、より高温の熱源を蒸発器4に供給できることによる蒸発性能の向上という効果も得ることができる。
(第3実施例)図6は、本発明の第3実施例として、蒸気圧縮機中間段から軸受部へパージ用水蒸気を供給する配管を設置した例を示す。図4の第2実施例と共通な部分は説明を省略する。本実施例では、圧縮機1の第二段12の出口に第一の抽気配管163を設置し、この第一の抽気配管163の一方を図5における配管160のかわりに軸受61のパージ用空間151と接続している。
次に、本実施例の具体的動作を説明する。抽気配管163から抽気された高圧水蒸気は、軸受部のフィン153,154で仕切られた空間151に流入し、パージ用水蒸気として利用される。このときの水蒸気の圧力は約0.11MPa 、温度は170℃程度である。本実施例では軸受は大気にさらされているため、水蒸気の圧力が大気圧を上回っていればパージは可能である。もちろん、水蒸気の圧力が大気圧と比べより高ければパージの信頼性もより高くなる。本実施例では第二段12の出口からの抽気が適当と判断しここからの抽気を利用しているが、抽気位置は圧縮機第三段13の出口や第四段14の出口とすることも可能である。パージ用水蒸気は空間151において軸受の潤滑油の漏れを抑制し、圧縮機主流とフィン155で仕切られた空間152から戻り配管161を経由して蒸発器4へ放出される。
本実施例では、圧縮機主流水蒸気を抽気する抽気配管を利用し、圧縮機主流水蒸気の一部をパージ用水蒸気として用いている。この構成により外部からの高温蒸気源を必要としないため、部品点数削減による低コスト化を実現したヒートポンプシステムが提供可能である。
(第4実施例)次に、本発明の第4実施例を図7を用いて説明する。第3実施例との違いは、外部高温蒸気源(図示せず)に接続された配管160が軸受61のパージ用空間
151に接続されている点、および配管160,163に制御装置180で制御される調節弁170,172が設置されている点である。第3実施例で説明した第一の抽気配管
163と区別するために、本実施例では配管160を第二の抽気配管と称することとする。なお、図1〜図6と重複する部分に関してはそれぞれ同一の番号を付与し、説明は省略する。
ここで、図8を用いて本実施例の具体的な運転状況について説明する。高圧水蒸気は、第一の抽気配管160または第二の抽気配管163を経由して軸受部の空間151に供給され、パージ用水蒸気として軸受からの潤滑油の漏れを抑制する。その後、空間152から戻り配管161を経由し蒸発器4へ供給される。このときの水蒸気の温度と圧力は、第一の抽気配管160からの水蒸気では約0.12MPa ,約150℃、第二の抽気配管
163からの水蒸気では約0.11MPa ,約170℃を想定している。
第一の抽気配管160,第二の抽気配管163に設置されたパージ水蒸気調節弁170,172は、制御装置180によって制御される。制御装置180は例えば水蒸気圧縮機1の回転数を入力とし、調節弁170,172に信号を送り、弁を開閉する。図8に本実施例における圧縮機起動から定格運転に達するまでのパージ蒸気弁の開閉の制御例を示す。図8において横軸は蒸気圧縮機1の運転時間、縦軸は各調節弁の開度である。パージ水蒸気弁である調節弁170は、圧縮機1を起動させてから定格回転数に達するまでの昇速期間中は全開とする。このとき軸受部のパージは外部蒸気源からの蒸気のみで行う。圧縮機1が定格回転数に達した後、弁170を徐々に閉じて全閉とする。一方、パージ水蒸気弁である調節弁172は圧縮機1が定格回転数に達するまでは閉じておく。圧縮機1が定格回転数に達した後、弁170を閉じることにより減少する外部水蒸気源からのパージ水蒸気を補うように弁172を開いてゆく。弁170を閉じ終わると弁172は全開となり、定格運転中の大半は蒸気圧縮機1からの抽気のみで軸受部をパージする。このような弁開閉制御により、昇速時から定格運転まで適切に軸受部のパージができる。
本実施例における、定格運転中の圧縮機1を停止させる過程のパージ蒸気弁の開閉例を図9に示す。図8と重複する部分については同符号を付し説明を省略する。パージ蒸気弁である調節弁170は圧縮機1の定格運転中に徐々に開きはじめ、全開となった段階で圧縮機1を減速しはじめる。その後圧縮機1が停止するまで弁170は全開にしておく。一方パージ蒸気弁172は、弁170を開くことによる外部蒸気源からのパージ用水蒸気の増加量と同量だけ、圧縮機1からの抽気によるパージ用水蒸気を減少させるように徐々に閉じる。圧縮機1の減速開始時には弁172は全閉である。つまり、圧縮機1の減速中は外部蒸気源からの水蒸気のみで軸受部をパージする。
このように定格運転中に弁の切り替えを完了させることで、圧縮機1の加減速中に、何らかの原因で圧縮機1の抽気によるパージ用水蒸気量が不足するといったリスクを回避でき、信頼性の高い運転ができる。
しかし、切り替えのタイミングはこれに限ったものではない。例えば、上記パージ水蒸気量の不足が起こりにくいヒートポンプシステムを実現できれば、圧縮機1の加減速中に弁を切り替えた方がより効率の良い運転ができる。
すなわち本実施例によれば、軸封用の水蒸気を第一の抽気配管163と第二の抽気配管160からそれぞれ所定量ずつ供給する構成とすることで、高い効率,高い信頼性を達成することができる。
(第5実施例)次に、本発明の第5実施例を図10を用いて説明する。図10は、本発明の第5実施例であるヒートポンプシステムの構成図である。図6において、図1〜図9と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
本実施例では蒸気圧縮機1がケーシング100によって密閉されている。そのため、軸受雰囲気圧は、軸受61付近でありパージ蒸気が流入する可能性のある部分の作動流体の圧力と同程度の0.02MPa である。軸受のパージ用水蒸気は軸受雰囲気圧を若干上回っていればよい。つまり、軸受雰囲気圧が低いほど、パージ用水蒸気に必要とされる圧力は低くなる。一般的に、必要とされる圧力が低いほど、水蒸気は温度の低いものを用いることができる。工場等で利用可能な水蒸気は、高圧なものであるほど温度が高い傾向があるからである。本実施例パージ用水蒸気としては、例えば圧力0.04MPa 程度、温度80℃程度の水蒸気を利用する。パージ用水蒸気の供給元としては実施例2と同様に外部からの蒸気を用いても、蒸気圧縮機1からの抽気を用いても、その両方を用いてもかまわない。
本実施例によると、軸受61を含む圧縮機1をケーシング100で密閉している。そのため軸受雰囲気圧が低く、軸受雰囲気圧が高い場合と比べて温度の低い水蒸気をパージ用水蒸気として用いることができる。このため、パージ用空気が作動流体の流路に流出したときにも作動流体の温度上昇を低く抑えることができ、圧縮機の効率低下を抑制できるという効果を奏する。
(第6実施例)次に、本発明の第6実施例であるヒートポンプシステムを図11用いて説明する。図11は、本発明のヒートポンプシステムの第6実施例を簡略的に示す図である。図11において、図1〜図10と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
本実施例では、膨張器9としてタービンを用い、蒸気圧縮機1の軸2と同軸に配置している。そのため、タービンの回転力を蒸気圧縮機の駆動動力の一部に利用できる。また、加湿器81,82,83,84に水を供給するためのポンプを設置せず、膨張器9の上流側の高圧水40を抽気して加湿器81,82,83,84へ供給している。
ここで図11を用いて本実施例におけるヒートポンプシステムの具体的作動状況を説明する。高圧水40の圧力や温度はヒートポンプシステムの仕様によって異なるため、ここではその一例を示す。作動流体である高圧水40は圧力約0.5MPa ,温度約120℃、流量約2.0kg/sのものを想定する。このうち、合計約0.4kg/sの水を抽気し、加湿器81,82,83,84に供給する。残りの約1.6kg/s の水は膨張器9であるタービンの作用により、圧力約0.02MPa ,温度約60℃に膨張する。膨張器9を通過した後の作動流体の流れについては実施例1と同様であるためここでは説明を省略する。
本実施例によれば、膨張器9として用いるタービンと蒸気圧縮機1の軸2が連結されているため、蒸気圧縮器1の駆動動力を削減でき、駆動に用いるモータ3の負担を軽減することができる。つまり、水蒸気の膨張を効率的に行うことができ、COPを向上することができるという効果を奏する。また、ポンプの省略により、コストの削減も達成できる。
(実施例7)次に、本発明の第7実施例を図12用いて説明する。図12は、本発明の第7実施例であるヒートポンプシステムの構成図である。図12において、図1〜図11と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
本実施例では、膨張器9として蒸気圧縮機1の軸2と同軸に配置した複数段のタービンを用い、膨張器であるタービンの各段からそれぞれ別々に加湿器81,82,83,84に水を供給している。
図12を用いて本実施例におけるヒートポンプシステムの構成を説明する。本実施例において、膨張器9は第一段91,第二段92,第三段93,第四段94の四段構成となっている。膨張器9の流入部には抽気配管911が設けられ、抽気配管911は加湿器84に接続されている。膨張器9の第一段91と第二段92の間には加湿器83に接続された抽気配管912が設けられている。膨張器9の第二段92と第三段93の間には加湿器
82に接続された抽気配管913が設置されている。膨張器9の第三段93と第四段94の間には加湿器81に接続された抽気配管914を有する。
以下、図12を用いて本実施例の具体的運転状況を説明する。作動流体は膨張器9の上流側で高圧水40の形態で存在している。高圧水の圧力と温度はヒートポンプシステムの仕様によって異なるが、本実施例では圧力約0.5MPa,温度約120℃,流量約2.0kg/sを想定している。高圧水40のうち、加湿冷却に用いるために約0.1kg/s の高圧水を抽気し、抽気配管911を経由して加湿器84に供給する。残りの約1.9kg/sの高圧水は膨張器9の第一段91を通過し、圧力約0.22MPa まで膨張する。第一段91を通過後の作動流体のうち、約0.1kg/s の流量の水が抽気され、抽気配管912を経由して加湿器83へと供給される。残りの約1.8kg/s の高圧水は第二段92を通過し、圧力約0.10MPa まで膨張する。第二段92を通過後の作動流体のうち、約
0.1kg/s の流量の水が抽気され、抽気配管913を経由して加湿器82へと供給される。残りの約1.7kg/s の高圧水は第三段93を通過し、圧力約0.04MPa まで膨張する。第三段93を通過後の作動流体のうち、約0.1kg/s の流量の水が抽気され、抽気配管914を経由して加湿器81へと供給される。残りの約1.6kg/s の高圧水は第四段94を通過し、最終的に圧力約0.02MPa ,温度約60℃まで膨張する。膨張器9を通過後の作動流体の流れについては実施例6と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
本実施例は加湿冷却に用いる水をより効率的に取り出す、という発想を起点としている。本実施例では実施例6に比べ、膨張器9における流量が途中まで大きい。これは膨張器9から取り出せる駆動力が大きく、蒸気圧縮機1の駆動力をさらに削減可能であるということを意味する。つまり、実施例6に比べてさらに熱輸送性能が向上したヒートポンプシステムが供給可能である。
本明細書中の各実施例では、作動流体である水または水蒸気の温度,圧力や、加湿器で噴霧する水の質量流量,圧縮機の圧力比等を詳細に記載している。ただし、これらはあくまで一つの例を示したものであり、各実施例中にあげた値に限定されるものではない。
また、各実施例では、複数段の圧縮機を単独で用いた例を示した。しかし作動媒体を圧縮するのに、単数段の圧縮機を複数用いても、複数段の圧縮機を複数用いても構わない。さらに作動媒体の冷却に関しても、本実施例では圧縮機の段間で行うとしたが、複数の圧縮機の圧縮機間で行っても構わない。
さらに、各実施例中で示した構成は、それぞれ別の実施例で示した構成と適宜組み合わせることが可能である。例えば、第6実施例として図11に示した構成であるポンプ80の省略は、膨張器9より上流で水40を分岐し、ポンプがなくても加湿器での水噴射が充分可能な程度の高圧水を得ることによって実現されている。この条件さえ満たせば、第1実施例のヒートポンプシステムに、第6実施例で示したポンプ80を省略するという構成を適用することが可能である。
本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。 本発明のヒートポンプシステムの圧縮機構造図を示す。 本発明のヒートポンプシステムの圧縮機の軸受部の拡大図を示す。 本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。 本発明のヒートポンプシステムの圧縮機の軸受部の拡大図を示す。 本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。 本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。 本発明における圧縮機の運転状態に対するパージ蒸気弁の開閉制御例を示す。 本発明における圧縮機の運転状態に対するパージ蒸気弁の開閉制御例を示す。 本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。 本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。 本発明の実施形態の一つであるヒートポンプシステムの構成図を示す。
符号の説明
1…圧縮機、2…軸、3…モータ、4…蒸発器、9…膨張器、11…第一段、12…第二段、13…第三段、14…第四段、20…外部高温熱源、40,41…水、42,44,46,48,50…過熱蒸気、43,45,47,49…飽和蒸気、61,62…軸受、70,80…ポンプ、71,72,160,161,163,911,912,913,914…配管、81,82,83,84…加湿器、91…凝縮器第一段、92…凝縮器第二段、93…凝縮器第三段、94…凝縮器第四段、100…ケーシング、101,102,103,104,105,106…静止部材、111,112,113,114…静翼、121,122,123,124…ロータ、131,132,133,134…動翼、151,152…空間、153,154,155…フィン、170,172…弁、180…制御装置。


Claims (15)

  1. 熱源と作動流体とで熱交換する熱交換器と、前記作動流体を圧縮する圧縮機を備えたヒートポンプシステムにおいて、
    前記作動流体を水または水蒸気とし、前記圧縮機の軸受をパージする系統を備えたことを特徴とするヒートポンプシステム。
  2. 請求項1に記載のヒートポンプシステムにおいて、
    少なくとも前記作動流体流れ方向上流側の軸受に前記パージ系統を備えたことを特徴とするヒートポンプシステム。
  3. 液体を熱源からの熱で蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した気体を圧縮する複数の圧縮手段を備えたヒートポンプシステムにおいて、
    前記液体を水、前記気体を水蒸気とし、前記圧縮手段の軸受をパージする系統を備え、該パージに用いる媒体を前記気体と同種気体とすることを特徴とするヒートポンプシステム。
  4. 液体を膨張させる膨張器と、前記液体を熱源からの熱で蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した気体を圧縮する複数の圧縮手段とを備えたヒートポンプシステムにおいて、
    前記液体を水、前記気体を水蒸気とし、前記圧縮手段の軸受部を水蒸気で軸封し、前記軸受部から前記蒸発器へ通じる配管を有し、該配管を通じて軸封用水蒸気の全部もしくは一部を前記軸受部から前記蒸発器に供給する構成としたことを特徴とするヒートポンプシステム。
  5. 請求項4に記載のヒートポンプシステムにおいて、
    前記複数の圧縮手段の間もしくは前記複数の圧縮手段の出口部から水蒸気の一部を抽気して前記圧縮手段の軸受部に供給するための第一の抽気配管を有することを特徴としたヒートポンプシステム。
  6. 請求項5に記載のヒートポンプシステムにおいて、
    前記ヒートポンプシステムとは別の水蒸気源から軸封用水蒸気を前記圧縮手段の軸受部に供給するための第二の抽気配管を有し、軸封用の水蒸気は、前記第一の抽気配管と前記第二の抽気配管からそれぞれ所定量ずつ供給されることを特徴としたヒートポンプシステム。
  7. 請求項6記載のヒートポンプシステムにおいて、
    前記第一の抽気配管と前記第二の抽気配管はそれぞれ調節弁を有し、それぞれの調節弁を制御する制御装置を備えたことを特徴とするヒートポンプシステム。
  8. 請求項4に記載されたヒートポンプシステムにおいて、
    前記複数の圧縮手段をケーシング内に収納し、該ケーシングを密閉構造とすることを特徴とするヒートポンプシステム。
  9. 請求項4に記載されたヒートポンプシステムにおいて、
    前記膨張器の上流側の水流路にバイパス流路を設け、一部の水を前記複数の圧縮手段の入口部および前記複数の圧縮手段の間に設けられた冷却手段に供給し、該冷却手段によって前記ヒートポンプシステムの主流中の水蒸気を冷却することを特徴とするヒートポンプシステム。
  10. 請求項4に記載されたヒートポンプシステムにおいて、
    前記膨張器を多段構造とし、各段の間の一部または全てに抽気配管を設け、該抽気配管を通じて一部の水を前記複数の圧縮手段の入口部および前記複数の圧縮手段の間に設けられた冷却手段に供給し、該冷却手段によって前記ヒートポンプシステムの主流中の水蒸気を冷却することを特徴とするヒートポンプシステム。
  11. 請求項4,請求項9または請求項10に記載されたヒートポンプシステムにおいて、
    前記冷却手段は加湿器であり、該加湿器からの水の噴霧により前記ヒートポンプシステムの主流中の水蒸気を冷却することを特徴とするヒートポンプシステム。
  12. 請求項9または請求項10に記載されたヒートポンプシステムにおいて、
    前記膨張器はタービンであることを特徴とするヒートポンプシステム。
  13. 請求項4に記載のヒートポンプシステムにおいて、
    前記軸封用水蒸気の圧力は、前記圧縮手段の軸受部を潤滑する潤滑媒体の圧力よりも大きいことを特徴とするヒートポンプシステム。
  14. 水を膨張させる膨張器と、該水を熱源によって蒸発させて水蒸気にする蒸発器と、該水蒸気を圧縮する圧縮機とを備えたヒートポンプシステムの軸受部の軸封方法であって、
    前記圧縮機の軸受部を軸封するよう、所望圧力の水蒸気を該軸受部の軸封系統に供給して軸封することを特徴とするヒートポンプシステムの軸封方法。
  15. 液体を膨張させる膨張器と、熱源によって前記液体を蒸発させて気体にする蒸発器と、該気体を圧縮する圧縮機とを備えたヒートポンプシステムの改造方法であって、
    前記液体を水とするよう、前記膨張器に作動流体として水を供給する供給手段を設け、前記圧縮機の軸受部に該軸受部を軸封するよう改造することを特徴とするヒートポンプシステムの改造方法。
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