JP2007254613A - ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】
優れた透明性と高温雰囲気下でも使用できる耐熱性を合わせ持つポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
(a)厚み1mmの成形体としたときの全光線透過率が80%以上である共重合ポリアミド樹脂85〜99.5重量部および(b)好ましくは有機オニウムイオンおよびヒンダードアミン系化合物を含有する膨潤性層状珪酸塩0.5〜15重量部(前記(a)共重合ポリアミド樹脂と(b)膨潤性層状珪酸塩の合計を100重量部とする)を配合してなるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、膨潤性層状珪酸塩を配合したポリアミド樹脂組成物であって、透明性かつ耐熱性に優れたポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂の透明性を向上させる目的で、共重合によってポリアミドの結晶性を低下させる技術は広く知られており、透明性の要求されるフィルムなどの用途で用いられている(例えば、特許文献1)。しかし、結晶性を低下させることによって強度や耐熱性が低下する問題がある。また、ポリアミド樹脂をガラス繊維や炭素繊維等の繊維質や炭素カルシウム等の無機充材で強化する技術も広く知られているが、これらの強化材によりポリアミド樹脂組成物の機械的強度や耐熱性は改良されるものの、ポリアミド樹脂中にて光線を乱反射させてしまうため透明性が劣る問題がある。
このような問題を解決する試みとして、従来の強化材より極めて細かい無機結晶成分である膨潤性層状珪酸塩をポリアミド樹脂に均一に分散させることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等)。しかしながら、これらの樹脂組成物はポリアミド樹脂中に膨潤性層状珪酸塩を均一に分散させるためには膨潤性層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンを有機オニウムイオンに交換する必要があり、その様な膨潤性層状珪酸塩をポリアミド樹脂中に直接添加して溶融混練すると、有機オニウムイオンが混練時の温度に耐えることができず、分解、変色し、そのため樹脂成形品の外観が黄色味を帯びたり、長期高温雰囲気下にさらすと透明性が著しく低下する問題があった。
特開1985−215053号公報 特開2002−88239号公報 特開2003−20401号公報
そこで、本発明は優れた透明性と高温雰囲気下でも使用できる耐熱性を合わせ持つポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、厚み1mmの成形体としたときの全光線透過率が80%以上である共重合ポリアミドに、膨潤性層状珪酸塩を特定の割合で配合することにより上記課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(a)厚み1mmの成形体としたときの全光線透過率が80%以上である共重合ポリアミド樹脂85〜99.5重量部および(b)膨潤性層状珪酸塩0.5〜15重量部(前記(a)共重合ポリアミド樹脂と(b)膨潤性層状珪酸塩の合計を100重量部とする)を配合してなるポリアミド樹脂組成物、
(2)(b)膨潤性層状珪酸塩が層間に有機オニウムイオンおよびヒンダードアミン系化合物を含有する膨潤性層状珪酸塩であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)前記(a)共重合ポリアミド樹脂がヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%およびヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)ポリアミド樹脂組成物中の(b)膨潤性層状珪酸塩が単層レベルで分散していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物、
(5)(b)膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイトであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物、および
(6)(1)〜(5)のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品

を提供するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、厚み1mmの成形体としたときの全光線透過率が80%以上である共重合ポリアミド樹脂と膨潤性層状珪酸塩からなり、優れた透明性と高温雰囲気下でも使用できる耐熱性を合わせ持つポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で用いられる(a)厚み1mmの成形体としたときの全光線透過率が80%以上である共重合ポリアミド樹脂は、セバシン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンセバカミド単位(以下ナイロン610またはN610とも称す)とテレフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られるヘキサメチレンテレフタラミド単位(以下ナイロン6TまたはN6Tとも称す)とから構成されているものが好ましい。各成分の構成比は、N610が20〜80重量%、N6Tが80〜20重量%であるものが好ましい。さらに好ましい構成比はN610が30〜70重量%、N6Tが70〜30重量%である。N6Tを80重量%以下とすることで、共重合ポリアミド樹脂の結晶性を適当な範囲に維持することができ、耐熱性、成形加工性等にすぐれた樹脂組成物とすることができるため好ましい。N6Tが20重量%以上とすることで、結晶性が高くなりすぎることがなく、透明性の良好な樹脂組成物を得ることができる。ここで、各成分の構成比は、(a)共重合ポリアミド樹脂の共重合成分を100重量%として表した値である。
また、本発明で使用する(a)共重合ポリアミド樹脂は厚み1mmの成形品としたときの全光線透過率が80%以上である必要がある。ここで、全光線透過率は、金型温度80℃で射出成形して得た80mm×80mm×厚み1mmの成形品の全光線透過率を東洋精機株式会社製直読ヘイズメーターを使用して測定した値であり、以下の式で表される。
全光線透過率(Tt、%)=全透過光量(T2)/全入射光量(T1)×100
本発明で用いられる(a)共重合ポリアミドの分子量は、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度ηrとして0.5〜3.0が好ましく、更に好ましくは1.5〜2.9である。ηrが0.5以上の共重合ポリアミド樹脂を使用することで樹脂が脆くなることがなく、さらに、成形時にシリンダーのノズル先端からのドローリングがおきることがなく成形がしやすい樹脂組成物を得ることができるので好ましい。また、ηrが3.0以下の共重合ポリアミド樹脂を使用することで、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり過ぎることがなく、成形時の金型への充填がしやすく好ましい。
本発明で用いられる膨潤性層状珪酸塩とはアルミニウム、マグネシウム、リチウム等の金属を含む8面体シートの上下に珪酸4面体シートが重なって1枚の板状結晶層を形成している2:1型の構造を持つものであり、通常、その板状結晶層の層間に交換性の陽イオンを有している。
その1枚の板状結晶の大きさは、通常幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームである。また、その交換性陽イオンのカチオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが好ましく挙げられ、さらに好ましくはカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
膨潤性層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性雲母が好ましく、特にモンモリロナイトが最も好ましい。
本発明においては層間に交換性陽イオンが交換された有機オニウムイオンが存在する膨潤性層状珪酸塩を用いることが好ましい。
有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウムなどのトリアルキルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
これらのアンモニウムイオンの中でも、好ましいものは4級アンモニウムイオンであり、例えばトリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、12−アミノドデカン酸から誘導されるアンモニウムイオンなどが挙げられ、特にトリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムが最も好ましい。
本発明において層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された膨潤性層状珪酸塩は、交換性の陽イオンを層間に有する膨潤性層状珪酸塩と有機オニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、膨潤性層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
本発明において、膨潤性層状珪酸塩に対する有機オニウムイオンの量は、膨潤性層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点から、膨潤性層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であることが好ましい。
また、これら膨潤性層状珪酸塩は層間に上記の有機オニウム塩に加え、ヒンダードアミン系化合物を存在させることが、成形体の黄化や熱処理後の透明性低下を抑制するために好ましい。
ヒンダードアミン系化合物としてはアミンの隣接位置の少なくとも一方に立体障害性置換基(例えば炭化水素基)を有するものである。
この例としては、分子量1000以上のコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物を好ましいものの1例としてあげる事が出来る。
これらヒンダードアミン系化合物を含有する膨潤性層状珪酸塩を得るには、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中でヒンダードアミン系化合物を膨潤性層状珪酸塩に吸着させる方法か、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌混合機の中で膨潤性層状珪酸塩を攪拌しながらヒンダードアミン系化合物を滴下して吸着させる方法、さらには膨潤性層状珪酸塩に直接ヒンダードアミン系化合物を添加して、乳鉢等で混合して吸着させることによる方法のどれを用いても良い。膨潤性層状珪酸塩をヒンダードアミン系化合物で処理する場合には、水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合するのが好ましい。また、ヒンダードアミン系化合物の膨潤性層状珪酸塩との反応効率を高めるため、水のほかにメタノールやエタノール等の水とヒンダードアミン系化合物両方を溶解する有機溶媒を混合して処理をするのが好ましい。このようなヒンダードアミン系化合物で処理した膨潤性層状珪酸塩を熱処理することによってさらに反応を促進させることも可能である。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物を膨潤性層状珪酸塩とポリアミド樹脂を溶融混練して製造する際には、成形品の黄化を抑制するため、予め膨潤性層状珪酸塩をアミノシラン系化合物による処理を行っておくことが好ましい。膨潤性層状珪酸塩とポリアミド樹脂を溶融混練する際にアミノシラン系化合物を添加するよりも、予め膨潤性層状珪酸塩をアミノシラン系化合物による処理を行っておく方が、ポリアミド樹脂組成物を成形品としたときの黄化を抑制する効果が高いので好ましい。
本発明において(b)膨潤性層状珪酸塩の含有量は前記(a)共重合ポリアミド樹脂と(b)膨潤性層状珪酸塩の合計を100重量部として0.5〜15重量部となる範囲である。0.5重量部より少ないと耐熱性が低くなり、15重量部を越えると透明性が低下する。
本発明のポリアミド樹脂組成物においては、マトリックスであるポリアミド樹脂中に膨潤性層状珪酸塩が単層のレベルで均一に分散していることが好ましい。単層のレベルで均一に分散している状態とは、膨潤性層状珪酸塩が単層〜10層程度の状態で、二次凝集することなくマトリックス樹脂全体に分散していることを言う。この状態はポリアミド樹脂組成物から切片を切削しこれを電子顕微鏡で観察することによって確認できる。
本発明における組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
本発明で用いるポリアミド樹脂組成物を得る方法については、制限はなく、共重合ポリアミド樹脂の重合時に膨潤性層状珪酸塩を存在せしめて得てもよいが、共重合ポリアミド樹脂と膨潤性層状珪酸塩を溶融混練して得る方法が好適である。この際、共重合ポリアミド樹脂と膨潤性層状珪酸塩を溶融混練する方法には特に制限はなく、共重合ポリアミド樹脂の溶融状態下で機械的剪断を行うことができればよい。その処理方法もバッチ式または連続式のいずれでも良いが、連続的に製造できる連続式の方が作業効率の面から好ましい。具体的な混練装置にも制限はないが、押出機、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好んで用いられる。二軸押出機を用いる場合には、(a)共重合ポリアミド樹脂と(b)膨潤性層状珪酸塩をあらかじめブレンダー等で混合しておき、それを押出機のフィード口から供給する方法や、(a)成分を押出機の上流側のフィード口から供給し、(b)成分を下流側のフィード口から供給する方法など供給の方法にも特に制限はない。押出機のスクリューアレンジにも特に制限はないが、膨潤性層状珪酸塩を単層レベルに分散させるために、ニーディングゾーンを設けることが好ましい。
また、押出温度については、通常、共重合ポリアミド樹脂の融点より5〜50℃高い温度範囲から選択され、スクリュー回転数としては良好な膨潤性層状珪酸塩の分散を得る上で150rpm以上が好ましく、更には250rpm以上が好ましい。
本発明による得られる樹脂組成物は成形品としたときに透明性の高いものが得られるが、透明性の判断として、全光線透過率を用いるのがよい。全光線透過率は以下の式で表される。
全光線透過率(Tt、%)=全透過光量(T2)/全入射光量(T1)×100
全光線透過率は値の高い方が無色になり、透明性に優れる。本発明のポリアミド樹脂組成物において金型温度80℃で射出成形して得た厚み1mmの成形品の全光線透過率は60%以上であることが好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、長期高温雰囲気下で使用した場合も透明性の低下が少ない成形品を提供することができるが、長期高温雰囲気下で処理した後の透明性も全光線透過率によって評価される。120℃のギアオーブンで300時間熱処理した場合の全光線透過率の変化率が40%未満であることが好ましく、さらには30%未満であることが好ましい。40%以上であると黄変変色が大きいため耐熱性と透明性の必要な用途には適さない場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物の耐熱性の判断として、荷重たわみ温度を用いるのがよい。荷重たわみ温度の測定はASTM D648に準じて荷重1.86MPaで行い、本発明のポリアミド樹脂組成物において荷重たわみ温度は70℃以上であることが好ましい。70℃未満であると耐熱性が必要な用途には適さない場合がある。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
評価項目と測定方法
(1)材料強度

以下の標準方法に従って測定した。
引張強度、引張伸び :ASTM D638
曲げ強度、曲げ弾性率 :ASTM D790
(2)耐熱性
荷重たわみ温度をASTM D648に準じて荷重1.86MPaで測定した。
(3)全光線透過率
金型温度80℃で、80mm×80mm×1mmtの角板を射出成形し、この角板の熱処理前と熱処理後(120℃、300時間)の全光線透過率を東洋精機株式会社製直読ヘイズメーターを用いて測定した。
(4)クレイの分散性
金型温度80℃で射出成形したASTM 4号ダンベル試験片の一部をサンプリングし、透過型電子顕微鏡でクレイ分散性を目視評価した。
クレイが単層〜数層程度で均一に分散していれば◎、単層〜10層程度で均一に分散していれば○、単層〜10層程度で分散している部分もあるが、10層以上の凝集物も存在していれば△、10層以上の凝集物で存在していれば×とした。
[参考例1](ポリアミド(a−1)の製造)
セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩500g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを内容積3リットルのオートクレーブ中に仕込み、充分窒素置換した後、撹拌しながら温度を室温から220℃まで約1時間かけて昇温した。その後、圧力を18kg/cmに保ちながら水を反応系外に除去しながら約2時間かけて温度を260℃まで昇温させた。その後、圧力を解放しながら約2時間かけて温度を300℃まで昇温し反応を終えた。その後、撹拌を止めオートクレーブ底部から差圧10kg/cmで反応混合物を取り出し、ηr=2.3、全光線透過率=85%のポリアミド(a−1)を得た。
[参考例2](ポリアミド(a−2)の製造)
セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は参考例1と同様の方法でポリアミド(a−2)を作成した。得られたポリアミドのηrは2.45、全光線透過率は80%であった。
[参考例3](ポリアミド(a−3)の製造)
セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩300gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩700g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は参考例1と同様の方法でポリアミド(a−3)を作成した。得られたポリアミドのηrは2.35、全光線透過率は80%であった。
[参考例4](ポリアミド(a−4)の製造)
セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩900gとテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの等モル塩100g、安息香酸8gとイオン交換水250mlを出発原料とした以外は参考例1と同様の方法でポリアミド(a−4)を作成した。得られたポリアミドのηrは2.50、全光線透過率は70%であった。
〔参考例5〕(膨潤性層状珪酸塩(b−1)の製造)
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド51g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、未乾燥状態の固体を得た。その後、エタノールに溶解させたヒンダードアミン系酸化防止剤(チバガイギー社:チヌビン622LD)をその固形分量に対して、0.5重量%添加、混合し、得られた固体を80℃で真空乾燥、粉砕して膨潤性層状珪酸塩(b−1)を得た。得られた膨潤性層状珪酸塩の無機灰分量を測定したところ、68重量%であった。なお、無機灰分量の測定は膨潤性層状珪酸塩0.1gを600℃の電気炉で3時間灰化して求めた値である。
〔参考例6〕(膨潤性層状珪酸塩(b−2)の製造)
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド51g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、未乾燥状態の固体を得た。その後、得られた固体を80℃で真空乾燥、粉砕して膨潤性層状珪酸塩(b−2)を得た。得られた膨潤性層状珪酸塩の無機灰分量を測定したところ、68重量%であった。なお、無機灰分量の測定は膨潤性層状珪酸塩0.1gを600℃の電気炉で3時間灰化して求めた値である。
比較例で使用したポリアミド樹脂は以下のとおり。なお、常法に従い重合を行い、調整した。
<ポリアミド樹脂>
ポリアミド(a−5):融点265℃、相対粘度2.70のナイロン66樹脂
〔実施例1〕
ポリアミド(a−1)99重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)1重量%をタンブラーミキサーでブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30型2軸押出機のメインフィーダーから供給し、混練温度300℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練を行った。得られた組成物はペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥し、シリンダ温度270℃、金型温度80℃でASTM試験片及び80mm×80mm×1mmtの角板を射出成形して得た。特性の評価結果を表1に示した。
〔実施例2〕
ポリアミド(a−1)95重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)5重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
ポリアミド(a−1)90重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)10重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
ポリアミド(a−2)95重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)5重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔実施例5〕
ポリアミド(a−3)95重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)5重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
ポリアミド(a−1)99.9重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)0.1重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
ポリアミド(a−1)80重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)20重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔比較例3〕
ポリアミド(a−4)95重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)5重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔比較例4〕
ポリアミド(a−5)95重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−1)5重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
〔比較例5〕
ポリアミド(a−1)95重量%と膨潤性層状珪酸塩(b−2)5重量%をタンブラーミキサーでブレンドした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、特性評価を行った。結果を表1に示した。
Figure 2007254613
実施例1〜5および比較例1〜5との比較より明らかなとおり、
全光線透過率が80%以上の共重合ポリアミド樹脂に膨潤性層状珪酸塩を特定の割合で配合されたポリアミド樹脂組成物は、初期、熱処理後ともに優れた透明性を有し、かつ耐熱性に優れるものであった。

Claims (6)

  1. (a)厚み1mmの成形体としたときの全光線透過率が80%以上である共重合ポリアミド樹脂85〜99.5重量部および(b)膨潤性層状珪酸塩0.5〜15重量部(前記(a)共重合ポリアミド樹脂と(b)膨潤性層状珪酸塩の合計を100重量部とする)を配合してなるポリアミド樹脂組成物。
  2. (b)膨潤性層状珪酸塩が層間に有機オニウムイオンおよびヒンダードアミン系化合物を含有する膨潤性層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(a)共重合ポリアミド樹脂がヘキサメチレンセバカミド単位20〜80重量%およびヘキサメチレンテレフタラミド単位80〜20重量%から構成される共重合ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. ポリアミド樹脂組成物中の(b)膨潤性層状珪酸塩が単層レベルで分散していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. (b)膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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