JP2007253495A - 成形条件の設定方法、プログラムおよび射出成形機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 この成形条件の設定方法は、事前に設計変数をサンプリングして射出成形解析を行い、各サンプリング点における評価関数を算出し、かつ成形不良発生の有無を判定する工程と、評価関数の算出結果に基づいて当該評価関数を設計変数の関数として近似的に表す応答曲面近似式を作成する工程と、応答曲面近似式を用いて所定の最適化手法で最適設計変数を選択する最適化工程とを有する。そして、最適化工程において、成形不良発生の有無の判定結果を参照し、成形不良発生領域に在る設計変数を排除する。
【選択図】 図2
Description
また、複数の目的性能を最適化する場合は、従来、各目的性能に対する評価関数に重み係数をかけ、それぞれ足し合せた線形和を全体の評価関数とし、この全体の評価関数の応答をもとに最適化していたが、所望の最適解が得られない場合に、重み係数を試行錯誤で変更しなければならない。これに対して、複数の最適解の集合であるパレート最適解を求める手法である多目的最適化手法があるが、その計算量の膨大さによって実用性が失われてしまう。
そこで、射出成形の解析過程を簡略化するために、事前にサンプリングしたパラメータについて射出成形の解析を行って応答曲面近似式を作成し、この応答曲面近似式を用いて最適化工程を行うことが考えられる。
請求項2に記載の発明においては、応答曲面近似式を作成する工程において、成形不良が発生するサンプリング点のデータを排除することにより、不適切なデータによる影響を排除して、精度の高い応答曲面近似式を作成することができる。
請求項3に記載の発明においては、設計変数のバラツキを考慮することでロバストに目標性能を達成する最適解を探索することができる。
請求項4に記載の発明においては、評価関数の設定や重み係数を試行錯誤的に模索する必要性を排除することができる。
請求項5に記載の発明においては、型締力と成形サイクルというトレードオフの関係にある2つの性能の評価を全体的に把握して、状況に応じた最適な成形条件を求めることができる。
請求項7に記載の成形品の製造方法は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の各工程を実行して得られた成形条件により、射出成形を行うことを特徴とする。
請求項9に記載の射出成形機は、射出成形機本体と、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の各工程を実行して得られた成形条件により、前記射出成形機本体を制御する制御部と有することを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、最適化技術を高度に利用した高精度の最適解を用いて成形することができる。
図1は、この発明の成形条件の設定方法を実施するための成形条件の設定装置(コンピュータ装置)10であり、各種の演算およびデータ処理等を行う演算・制御部11と、演算・制御部11が実行する射出成形解析や最適化のプログラムを記憶するRAM等の第1記憶部12と、演算・制御部11がデータを記憶し、プログラムの実行領域ともなる第2記憶部13と、データの入力を行うための入力部14と、操作者に各種の出力を表示する表示部15とを備えている。
そして、ステップ5において、サンプリング点におけるショートショットの発生の有無を示すテーブルを作成する。
射出成形過程を計算する数値解析には、射出成形解析ソフトウエアであるMoldflow Plastics Insight version 5.0(商品名:Moldflow Corporation製)を使用した。
設計変数として、射出時間(it)と金型温度(mot)、樹脂温度(met)の3変数を選択した。設計変数に関する初期条件と制約条件、表1に示す。
評価関数として、型締力の平均値(MCF)、型締力の標準偏差(SCF)、成形サイクルの平均値(MCT)、成形サイクルの標準偏差(SCT)の線形和を用いた。
(MCF+3SCF)/MCF0+(MCT+3SCT)/MCT0
成形サイクルは、射出時間(設計変数:it)と冷却時間(応答値)と製品取出し時間(固定値:10秒)の和とし、冷却時間は固化時間の最大値(ランナー部除く)とした。MCF0,MCT0はそれぞれ、初期条件における型締力と成形サイクルの平均値である。
最適化手法として、Adaptive Simulated Annealing (ASA;解適応焼きなまし法)、応答曲面はRadial Basis Function(RBF)近似モデル、品質工学手法としてSix Sigma Robust
Design(DFSS)を使用した。
ロバスト設計の結果を表2に示す。比較例として、応答曲面法を用いずに、毎回射出成形解析を実行する最適化結果についても示した。
最適化手法として多目的遺伝的アルゴリズム(MOGA)のアルゴリズムの一つであるNCGA(Neighborhood Cultivation Genetic Algorithm)を用いた(個体数50、世代数50)。応答曲面はRadial Basis Function(RBF)近似モデルを使用した。
図7より、50世代までの最適化計算で、応答曲面法とNCGAを組み合わせた本発明の方法は、応答曲面法を用いない従来の方法とほぼ同等のパレート最適解集合が得られることが分かった。そして、応答曲面法を用いることにより計算時間を約0.026倍(64解析/2500解析)まで短縮することができた。
11 演算・制御部
12 第1記憶部
13 第2記憶部
14 入力部
15 表示部
20 射出成形機
21 射出成形機本体
22 記憶部
23 制御部
Claims (9)
- 射出成形解析と計算機支援による最適化手法の組み合わせを用いて、最適な成形条件を設定する方法において、
事前に設計変数をサンプリングして射出成形解析を行い、各サンプリング点における評価関数を算出し、かつ成形不良発生の有無を判定する工程と、
評価関数の算出結果に基づいて当該評価関数を設計変数の関数として近似的に表す応答曲面近似式を作成する工程と、
前記応答曲面近似式を用いて所定の最適化手法で最適設計変数を選択する最適化工程とを有し、
前記最適化工程において、成形不良発生の有無の判定結果を参照し、成形不良発生領域に在る設計変数を排除することを特徴とする成形条件の設定方法。 - 前記応答曲面近似式を作成する工程において、成形不良が発生するサンプリング点のデータを排除することを特徴とする請求項1に記載の成形条件の設定方法。
- 前記最適化工程において設計変数のバラツキを考慮したロバスト最適解を得ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成形条件の設定方法。
- 前記最適化工程において複数の目的性能を評価関数とし、パレート最適解を得ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成形条件の設定方法。
- 前記複数の目的性能を、型締力と成形サイクルとすることを特徴とする請求項4に記載の成形条件の設定方法。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の各工程を実行することを特徴とするプログラム。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の各工程を実行して得られた成形条件により、射出成形を行うことを特徴とする成形品の製造方法。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の各工程を実行するプログラムを収容したことを特徴とする記憶媒体。
- 射出成形機本体と、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の各工程を実行して得られた成形条件により、前記射出成形機本体を制御する制御部と有することを特徴とする射出成形機。
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