JP2007252144A - 電圧変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇圧比率によって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように出力電圧制御を行う電圧変換装置を得る。
【解決手段】電圧変換装置は、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bをスイッチングして直流電源2の出力電圧を昇圧して電気負荷3に供給する。電圧変換器4のスイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの間の周波数伝達特性は、2次要素を含み共振点が存在する。制御装置5Aは、周波数伝達特性を式表現した電圧変換器出力電圧特性モデル26Aに基づいて、出力電圧Voutのフィードバック制御器の係数パラメータを、通過帯域内での特性が昇圧比率によって変化することなく一律となるように、また、共振の影響を回避するように設定する。
【選択図】図6

Description

この発明は、直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置に関し、特に、入力電圧と出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように出力電圧を制御するための新規な技術に関するものである。
従来から、直流電源の出力電圧を任意の電圧に変換して出力する電圧変換装置は、広く用いられており、電圧変換の動作形態としては、直流電源の出力電圧を降圧して電気負荷に供給する降圧変換や、直流電源の出力電圧を昇圧して電気負荷に供給する昇圧変換などがある。
また、電圧変換装置の使用目的としては、
(1)直流電源の出力電圧に対して電気負荷が要求する入力電圧が異なる場合に電気的に不都合なく接続して使用可能とすること、
(2)電気負荷の入力電圧を直流電源の出力電圧変動の影響を受けず所定値に安定して供給すること、
(3)電気負荷の電力損失を最小化して高エネルギー効率で動作させるために電気負荷の動作状態に合わせて適切な電圧を供給すること、
などがあげられる。
上記動作形態および使用目的を達成するための従来の電圧変換装置として、バッテリ、電圧変換装置、インバータおよび交流電動機を組合せて、電気自動車の駆動装置として適用したものがある(たとえば、特許文献1参照)。
この場合、直流電源であるバッテリの出力電圧を、電圧変換装置によって昇圧変換してインバータに供給し、さらに、インバータが直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機に供給することで電気自動車の駆動力を得て走行するように構成されている。
上記特許文献1に記載の従来装置において、交流電動機の制御は、交流電動機の動作情報をフィードバックして、インバータ内のスイッチング素子のスイッチングデューティを調節するフィードバック制御によって行われる。ここで、インバータと交流電動機の組合せが電圧変換装置の出力側から見た電気負荷に相当する。
特許文献1では、バッテリの残存容量などによって変化する出力電圧の影響により、電気自動車の駆動装置の制御応答性に違いが生じることから、これに起因した電気自動車の加速時での加速時間ばらつきを解消するために、以下の2点(A)、(B)を例示している。
(A)電圧変換装置が非昇圧状態(入力電圧と出力電圧とが等しい状態)を前提として、実際のバッテリ出力電圧Vbatとバッテリの出力電圧基準値Vrefとの電圧比率Vref/Vbatに応じてフィードバック制御のループゲインを設定すること(段落[0025]参照)。
(B)電圧変換装置が昇圧状態の場合は、上記フィードバック制御のループゲインを電圧変換装置の入力電圧と出力電圧との昇圧比率に応じて、あらかじめ実験的に求めた最適倍率αによって補正すること(段落[0027])。
上記従来装置では、バッテリ電圧変動に対して電気負荷の応答性を所定特性に保つために、電気負荷側のフィードバック制御のループゲインを操作している。
しかしながら、電圧変換装置の出力電圧は、昇圧比率に対するループゲインへの最適倍率αをあらかじめ実験的に求めてデータ化しておき、最適倍率αをループゲインに乗算することによって制御特性に反映されるものの、電圧変換装置、インバータおよび交流電動機は、それぞれ固有に制御特性を有することから、組合せ時の制御特性の補償機構を、交流電動機のフィードバック制御のみに設けるのは好ましくない。
なぜなら、電圧変換装置、インバータおよび交流電動機の各制御特性の組合せのうち、電圧変換装置のみを別の制御特性に組替えた場合、または、インバータのみを別の制御特性に組替えた場合であっても、最適倍率αを実験的に再設定するためには、多大な工数が発生することになるからである。
このことは、交流電動機のフィードバック制御の方式を一部変更した場合であっても同様であり、たとえば、角度センサ付きのフィードバック制御から角度センサレスフィードバック制御に替える場合も該当する。
一方、電圧変換装置の出力電圧制御特性は、出力端子に接続される電気負荷によっても変化する。
一般に、電圧変換装置の出力電圧制御は、電圧変換装置内の半導体電力変換素子であるパワー素子のスイッチングデューティを調整することにより行われるが、このときに電力変換系が有する共振周波数は、スイッチングデューティや電気負荷量(入力電圧/出力電流)によって変化する特性となる。
したがって、出力電圧や出力電流を帰還してフィードバック制御することにより出力電圧制御を行う場合に、昇圧比率や電気負荷量によっては、出力電圧が振動的な値となり、電圧変換性能が劣化してしまう。
また、電力変換系の周波数伝達特性についても、その振幅値がスイッチングデューティによって変化することから、出力電圧制御の応答性が昇圧比率によって変動することになる。
特に、電気負荷がインバータおよび交流電動機からなる電気機械変換装置であって、電気自動車やハイブリッド自動車のパワートレインとして適用することを考えると、電圧変換装置の出力電圧が振動的となった場合には、交流電動機のフィードバック制御が破綻する場合、または機械出力が振動的となって乗車フィーリングが悪化する場合や、動力伝達機構が劣化する場合などが生じる可能性がある。
これらの問題を回避するためには、電圧変換装置のフィードバック制御系において、応答特性補償のための機構を盛込むことが好ましい。
一方、電気負荷装置が、特許文献1に示されるような制御系を有しておらず、受動的なものであって、出力電圧の変動がそのまま電気負荷の出力特性に現れる場合を考慮すると、電圧変換装置の出力電圧制御の性能を向上させることが重要となる。
特開平11−89270号公報
従来の電圧変換装置では、特許文献1のように、電気負荷側のフィードバック制御のループゲインを操作して電気負荷の応答性を所定特性に保持しているが、電圧変換装置、インバータと交流電動機はそれぞれ固有に制御特性を有するので、最適倍率αを実験的に再設定するために多大な工数が発生するという課題があった。
また、電気負荷により変化する電圧変換装置の出力電圧制御特性は、電圧変換装置内のパワー素子のスイッチングデューティの調整により制御されているが、電力変換系の共振周波数がスイッチングデューティや電気負荷量によって変化するので、出力電圧や出力電流を帰還してフィードバック制御する場合に、昇圧比率や電気負荷量によっては出力電圧が振動的な値となり、電圧変換性能が劣化するという課題があった。
また、周波数伝達特性の振幅値もスイッチングデューティによって変化することから、出力電圧制御の応答性が昇圧比率によって変動するという課題があった。
特に、電気自動車やハイブリッド自動車のパワートレインとして適用した場合には、乗車フィーリングの悪化や、動力伝達機構の劣化などが生じるという課題があった。
さらに、これら問題を回避するためには、応答特性補償のための機構を電圧変換装置のフィードバック制御系に盛込み、電圧変換装置の出力電圧制御性能を向上させることが好ましいが、具体的な解決手段が得られていないため、実現することができないという課題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、入力電圧と出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するような出力電圧制御を実現した電圧変換装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、実験的データ算出などによる多大な工数を要することなく、昇圧比率によって変化することのない一律な特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するような出力電圧制御を実現した電圧変換装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、電気負荷としてインバータおよび交流電動機を組合せた電気機械変換装置を適用した場合においても、電気負荷の動作状態の変化に対応して、昇圧比率によって変化することのない、一律な特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するような出力電圧制御を実現した電圧変換装置を得ることを目的とする。
さらに、この発明は、出力電圧制御において、出力電圧および出力電流を帰還するとともに、出力電流制御系および出力電圧制御系を多重ループとして構成し、出力電圧制御が破綻することなく出力電流を上限内に拘束することにより、電圧変換装置内の電力供給経路の過電流による損壊の防止を容易としながら、昇圧比率によって変化することのない、一律な特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するような出力電圧制御を実現した電圧変換装置を得ることを目的とする。
この発明による電圧変換装置は、直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
電力変換半導体からなるパワー素子を有し、パワー素子のスイッチングにより入力端子と出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
出力電圧が目標出力電圧と一致するように出力電圧を帰還制御し、パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
制御装置は、
目標出力電圧と出力電圧との電圧偏差に基づいてスイッチング信号のデューティを算出する電圧制御演算器と、
スイッチング信号のデューティから出力電圧までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電圧特性モデルとを備え、
電圧変換器出力電圧特性モデルは、入力電圧Vinと、スイッチング信号のデューティDと、電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、電圧変換器に接続される電気負荷量Rldと、ラプラス演算子sとを用いて、第1の周波数伝達特性Gvp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
Figure 2007252144
ただし、
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld/L、
ωo=(1−D)/√(L×C)、
Q=(1−D)×Rld×√(C/L)、
で表現し、
電圧制御演算器は、第1の周波数伝達特性と、目標出力電圧からスイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
[条件1]目標出力電圧が変動する周波数領域において、入力電圧と出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
[条件2]2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
[条件3]2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
をすべて満たす制御ゲインを有するものである。
また、この発明による電圧変換装置は、直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
出力端子での出力電流を検出する出力電流検出器と、
電力変換半導体からなるパワー素子を有し、パワー素子のスイッチングにより入力端子と出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
出力電圧が目標出力電圧と一致するように出力電圧を帰還制御し、パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
制御装置は、
出力電圧と出力電流との比を電気負荷量として算出する電気負荷量算出手段と、
目標出力電圧と出力電圧との電圧偏差に基づいてスイッチング信号のデューティを算出する電圧制御演算器と、
スイッチング信号のデューティから出力電圧までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電圧特性モデルとを備え、
電圧変換器出力電圧特性モデルは、入力電圧Vinと、スイッチング信号のデューティDと、電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、電圧変換器に接続される電気負荷量Rld_imdと、ラプラス演算子sとを用いて、第1の周波数伝達特性Gvp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
Figure 2007252144
ただし、
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld_imd/L、
ωo=(1−D)/√(L×C)、
Q=(1−D)×Rld_imd×√(C/L)、
で表現し、
第1の周波数伝達特性は、逐次算出される電気負荷量の変化を反映して逐次更新され、
電圧制御演算器は、第1の周波数伝達特性と、目標出力電圧からスイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
[条件1]目標出力電圧が変動する周波数領域において、入力電圧と出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
[条件2]2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
[条件3]2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
をすべて満たす制御ゲインを有するものである。
また、この発明による電圧変換装置は、直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
出力端子での出力電流を検出する出力電流検出器と、
電力変換半導体からなるパワー素子を有し、パワー素子のスイッチングにより入力端子と出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
出力電圧が目標出力電圧と一致するように出力電圧および出力電流を帰還制御し、パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
制御装置は、
目標出力電圧および出力電圧に基づいて目標出力電流を算出する電圧制御演算器と、
目標出力電流および出力電流に基づいてスイッチング信号のデューティを算出する電流制御演算器と、
スイッチング信号のデューティから出力電流までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電流特性モデルとを備え、
電圧変換器出力電流特性モデルは、入力電圧Vinと、スイッチング信号のデューティDと、電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、電圧変換器に接続される電気負荷量Rldと、ラプラス演算子sとを用いて、第1の周波数伝達特性Gcp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
Figure 2007252144
ただし、
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld/L
ωo=(1−D)/√(L×C)
Q=(1−D)×Rld×√(C/L)
で表現し、
電流制御演算器は、第1の周波数伝達特性と、目標出力電流からスイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
[条件1]目標出力電圧が変動する周波数領域において、入力電圧と出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
[条件2]2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
[条件3]2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
をすべて満たす制御ゲインを有するものである。
また、この発明による電圧変換装置は、直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
出力端子での出力電流を検出する出力電流検出器と、
電力変換半導体からなるパワー素子を有し、パワー素子のスイッチングにより入力端子と出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
出力電圧が目標出力電圧と一致するように出力電圧および出力電流を帰還制御し、パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
制御装置は、
出力電圧と出力電流との比を電気負荷量として算出する電気負荷量算出手段と、
目標出力電圧および出力電圧に基づいて目標出力電流を算出する電圧制御演算器と、
目標出力電流および出力電流に基づいてスイッチング信号のデューティを算出する電流制御演算器と、
スイッチング信号のデューティから出力電流までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電流特性モデルとを備え、
電圧変換器出力電流特性モデルは、入力電圧Vinと、スイッチング信号のデューティDと、電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、電圧変換器に接続される電気負荷量Rld_imdと、ラプラス演算子sとを用いて、第1の周波数伝達特性Gcp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
Figure 2007252144
ただし、
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld_imd/L
ωo=(1−D)/√(L×C)、
Q=(1−D)×Rld_imd×√(C/L)
で表現し、
第1の周波数伝達特性は、逐次算出される電気負荷量の変化を反映して逐次更新され、
電流制御演算器は、第1の周波数伝達特性と、目標出力電流からスイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
[条件1]目標出力電圧が変動する周波数領域において、入力電圧と出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
[条件2]2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
[条件3]2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
をすべて満たす制御ゲインを有するものである。
この発明によれば、パワー素子のスイッチングデューティから出力電流までの電圧変換装置の第1の周波数伝達特性のモデルを式表現して保有するとともに、電圧変換装置の動作時における電気負荷量を算出して式表現のモデルに逐次反映させることにより、電気負荷の変化などにより生じる制御応答性の相違にも対応し、昇圧比率によって変化することなく一律の特性で、かつ、昇圧比率の変化や電気負荷量の変化に起因して周波数変動する共振の影響を回避して、出力電圧が振動的となるのを防止するような出力電流制御および出力電圧制御を実現することができる。
また、この発明によれば、電気負荷としてインバータおよび交流電動機が組合された電気機械変換装置を適用した場合にも、交流電動機の動作状態の変化や交流電動機フィードバック制御の方式の違いによって生じる制御応答性の相違にも対応し、昇圧比率によって変化することなく一律の特性で、かつ、昇圧比率の変化や電気負荷量の変化に起因してその周波数が変動する共振の影響を回避して、出力電圧が振動的となるのを防止するような出力電流制御および出力電圧制御を実現することができる。
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る電圧変換装置1Aを含むシステム全体の構成を一部回路図で示すブロック図である。
図1において、電圧変換装置1Aは、入力端子Po、Noが直流電源2に接続され、出力端子P、Nが電気負荷3に接続されている。
直流電源2としては、リチウムイオン2次バッテリや、ニッケル水素2次バッテリ、鉛バッテリといった各種バッテリの他、太陽電池、燃料電池、または、これらに電気2重層キャパシタを組合せたもの、その他、交流電力を直流電力に変換する整流装置などが用いられ得る。
電圧変換装置1Aは、電圧変換器4と、制御装置5Aと、入力電圧検出器11と、出力電圧検出器12とを備えている。
電圧変換装置1A内において、電圧変換器4は、入力端子Po、Noと、出力端子P、Nとの間に挿入されている。
電圧変換器4は、出力端子P、N間に挿入されたトランジスタ6a、6bと、トランジスタ6a、6bに逆並列接続されたフライホイールダイオード7a、7bと、入力端子Poとトランジスタ6a、6bの接続点との間に挿入されたリアクトル8と、出力端子P、N間に挿入された平滑コンデンサ9と、入力端子Po、No間に挿入された入力フィルタコンデンサ10とを有する。
トランジスタ6a、6bは、フライホールダイオード7a、7bと組み合わされて、2個のパワー素子を構成している。
入力電圧検出器11は、入力端子Po、No間の入力電圧Vinを検出して、制御装置5Aに入力する。
同様に、出力電圧検出器12は、出力端子P、N間の出力電圧Voutを検出して、制御装置5Aに入力する。
また、制御装置5Aには、外部コントローラ(図示せず)により指示された目標出力電圧Vout_refが入力される。
制御装置5Aは、上記入力情報に基づき、ON/OFFレベルのデューティ信号からなるスイッチング信号Swを生成して、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bをON/OFF制御する。
電圧変換器4は、直流電源2から供給される入力電圧Vinを任意の出力電圧Voutに変換して出力するための、入力端子Po、Noと出力端子P、Nとの間の電力供給経路を構成している。
トランジスタ6a、6bは、半導体電力変換素子からなり、各ゲート電極に印加されるほぼ矩形状のスイッチング信号Swの電圧レベルに応じて、ON(導通)、OFF(開放)を切り替えるスイッチング動作を行う。
トランジスタ6aのエミッタは、トランジスタ6bのコレクタに接続されている。
フライホイールダイオード7aは、トランジスタ6aに逆並列となるように、アノードがトランジスタ6aのエミッタに接続され、カソードがトランジスタ6aのコレクタに接続されている。
同様に、フライホイールダイオード7bは、トランジスタ6bに逆並列となるように、アノードがトランジスタ6bのエミッタに接続され、カソードがトランジスタ6bのコレクタに接続されている。
トランジスタ6a、6bと、フライホイールダイオード7a、7bとにより、電圧変換器4のアームが構成される。
電圧変換器4のアーム中間点であるトランジスタ6aのエミッタとトランジスタ6bのコレクタとの接続点には、リアクトル8の一端が接続されている。
リアクトル8の他端は、入力フィルタコンデンサ10の一端に接続されるとともに、直流電源2の高電位側と同電位の入力端子Poに接続されている。
また、入力フィルタコンデンサ10の他端は、トランジスタ6bのエミッタに接続されるとともに、直流電源2の低電位側と同電位の入力端子Noに接続されている。
平滑コンデンサ9の一端は、トランジスタ6aのコレクタに接続されるとともに、電力変換器4の高電位側の出力端子Pとして電気負荷3に接続されている。
また、平滑コンデンサ9の他端は、トランジスタ6bのエミッタに接続されるとともに、直流電源2の低電位側と同電位の低電位側の出力端子Nとして電気負荷3に接続されている。
電圧変換器4は、公知の双方向チョッパを構成しており、トランジスタ6a、6bのスイッチング動作により、入力端子Po、No間の入力電圧Vinを昇圧して、出力端子P、N間の出力電圧Voutに変換して出力する。
また、昇圧動作とは逆に、電圧変換器4は、出力端子P、N間の電圧を降圧して、入力端子Po、No間の電圧に変換して出力するようにも動作し得る。ただし、この降圧動作の場合、厳密には、出力端子P、Nが電力の入力端子として機能し、入力端子Po、Noが電力の出力端子として機能する。
図1に示すように、この発明の実施の形態1に係る電圧変換装置1Aは、直流電源2から入力端子Po、Noに印加される入力電圧Vinを、所望の目標出力電圧Vout_refと一致するように電圧変換し、出力電圧Voutとして出力端子P、Nから生成するために、出力電圧Voutを検出する出力電圧検出器12と、入力電圧Vinを検出する入力電圧検出器11と、電圧変換器4と、電圧変換器4を制御する制御装置5Aとを備えている。
電圧変換器4は、電力変換半導体からなるトランジスタ6a、6bを有し、トランジスタ6a、6bのスイッチングにより入力端子Po、Noと出力端子P、Nとの間で電圧変換を行う。
制御装置5Aは、出力電圧Voutが目標出力電圧Vout_refと一致するように出力電圧Voutを帰還制御し、トランジスタ6a、6bに対するスイッチング信号Swを出力する。
以下、図1に示したこの発明の実施の形態1による電圧変換装置1Aの概略動作について説明する。
ここでは、入力端子Po、No間の入力電圧Vinを昇圧して出力端子P、N間の出力電圧Voutに変換出力する場合を考える。
このとき、トランジスタ6a、6bは、相補にスイッチング動作し、トランジスタ6aがONの場合には、トランジスタ6bはOFFとなり、逆に、トランジスタ6aがOFFの場合には、トランジスタ6bはONになる。
また、各トランジスタ6a、6bのスイッチング動作は、前述のように、制御装置5Aの出力電圧制御演算によって生成されるスイッチング信号Swに応じて行われる。
まず、トランジスタ6bがONされた場合には、トランジスタ6aがOFFとなり、フライホイールダイオード7aが逆バイアスとなるので、トランジスタ6bのコレクタの電位は、ほぼ直流電源2の低電位側の入力端子Noの電位と等しくなり、リアクトル8に電流が流れてエネルギーが蓄積される。
一方、トランジスタ6bがOFFされた場合には、トランジスタ6aがONとなり、フライホイールダイオード7bが逆バイアスとなるので、リアクトル8に蓄積されたエネルギーは、平滑コンデンサ9から電気負荷3に向けて放出される。
このような、トランジスタ6a、6bをスイッチングする一連の動作により、入力電圧Vinから出力電圧Voutへの昇圧変換が行われる。
このとき、制御装置5Aは、昇圧変換した電圧変換器4の出力電圧Voutが、所定の目標電圧にしたがうように、出力電圧制御演算を行い、スイッチング信号SwのON/OFFによるデューティを調整する。
ここで、トランジスタ6bをONさせるスイッチングデューティ(スイッチング信号Swのデューティ)Dから出力電圧Voutまでの第1の周波数伝達特性(以下、単に「周波数伝達特性」ともいう)Gvp(s)は、前述の式(1)のように表される。
また、周波数伝達特性Gvp(s)は、2次遅れ要素を含む特性であり、2次遅れ要素の固有周波数ωoは、前述のように、リアクトル8のインダクタンス値Lと、平滑コンデンサ9の容量値Cとを用いて、以下の関係で表される。
ωo=(1−D)/√(L×C)
また、Q値は、前述のように、電気負荷量(電気負荷3のインピーダンス)Rldを用いて、以下の関係で表される。
Q=(1−D)×Rld×√(C/L)
ここで、周波数伝達特性Gvp(s)に含まれる2次遅れ要素により、以下の式(5)で表される共振周波数ωpにおいて、電圧変換系に共振が発生する。
Figure 2007252144
また、定常状態において、出力電圧Voutと、入力電圧Vinと、出力電圧Voutと入力電圧Vinとの昇圧比率BR(=Vout/Vin)と、スイッチングデューティDとの間には、以下の式(6)で表される関係がある。
Figure 2007252144
式(5)、式(6)から分かるように、共振周波数ωpは、昇圧比率BRおよび電気負荷量Rldによって変動する。
図2は或る固定のインダクタンス値L、容量値C、電気負荷量Rldにおける周波数伝達特性Gvp(s)を示す説明図であり、図2(a)はゲイン特性、図2(b)は位相特性を示している。
また、図2は昇圧比率BRの違いによって変化する共振周波数ωpを示している。
図2(a)において、横軸は周波数ω[rad/sec]、縦軸は振幅[dB]であり、図2(b)において、横軸は周波数ω[rad/sec]、縦軸は位相[度]である。
図2(a)、(b)において、実線、1点鎖線、破線で示す3本の特性線は、それぞれ、昇圧比率BR(=Vout/Vin)が「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
また、図2(a)において、点線は0dBの振幅レベルを示している。
図2(a)のゲイン特性図において、振幅が極大となる共振周波数近傍の周波数帯を除けば、昇圧比率BRが低い場合(BR=1.0側)の特性線(実線側)の方が、昇圧比率BRが高い場合(BR=5.0側)の特性線(破線側)よりも振幅が小さくなる。
しかし、共振周波数ωpの近傍では、昇圧比率BRが低い場合の特性線の方が、昇圧比率BRが高い場合の特性線よりも、Q値が大きい(共振による振幅の盛り上がりが目立つ)特性となる。
また、図2(a)、(b)のゲイン特性図および位相特性図において、昇圧比率BRが高くなるにつれて、共振周波数ωpは、より低い周波数帯に推移する。
このように、インダクタンス値L、容量値C、電気負荷量Rldが固定で変動しない場合であっても、周波数伝達特性Gvp(s)の特性は、昇圧比率BRによって変化することになる。
したがって、周波数伝達特性Gvp(s)を制御対象とする制御装置5Aは、昇圧比率BRによって変化する周波数伝達特性Gvp(s)に対応して、適切な構造および制御ゲイン(係数パラメータ)を有していなければならない。
仮に、周波数伝達特性Gvp(s)に対応した適切な制御ゲインを有していない制御装置であれば、出力電圧制御の応答がばらついてしまい、場合によってオーバーシュート、アンダーシュートや振動などの不都合が生じることになる。
ここで、図3〜図5を参照しながら、上記振動などの不都合が生じる状態について説明する。
いま、図1に示す制御装置5Aとして、出力電圧制御用のPI(比例積分)制御器を例にとり、出力電圧Voutを帰還して、目標出力電圧Vout_refとの電圧偏差が「0」となるように比例積分演算を行い、制御量としてトランジスタ6bに対するスイッチングデューティDを出力し、制御ゲイン(PI制御器の係数パラメータ)が変化せずに固定値となるものを考える。
図3は上記PI制御器からなる制御装置5Aの第2の周波数伝達特性(以下、単に「周波数伝達特性」という)Gcv0(s)を示す説明図であり、図3(a)はゲイン特性、図3(b)は位相特性を示している。
また、図3(a)において、点線は0dBの振幅レベルを示している。
図3(a)、(b)において、振幅および位相に関する各特性線(実線参照)は、昇圧比率BRにかかわらず均一となる。
一方、図4は制御対象を考慮した一巡伝達特性Gcv0(s)・Gvp(s)を示す説明図であり、図4(a)はゲイン特性、図4(b)は位相特性を示している。
一巡伝達特性Gcv0(s)・Gvp(s)は、図3に示すPI制御器の周波数伝達特性Gcv0(s)と、制御対象の周波数伝達特性Gvp(s)と、を直列接続したときの周波数伝達特性を示している。
図4(a)、(b)において、実線、1点鎖線、破線で示す3本の特性線は、図2と同様に、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
また、図4(a)において、点線は0dBの振幅レベルを示している。
この場合、周波数伝達特性Gvp(s)の2次遅れ要素が共振特性を有することから、制御装置5A内の第2の周波数伝達特性Gcv0(s)を直列接続したトータルの一巡伝達特性Gcv0(s)・Gvp(s)にも、2次遅れ要素が含まれるので、共振特性を有することになる。
また、図4(a)、(b)のように、PI制御器の特性(図3参照)が昇圧比率BRに関して変化がなく均一であっても、制御対象の特性が変動することから、一巡伝達特性Gcv0(s)・Gvp(s)も変動することが分かる。
これにより、図4(a)に示すゲイン特性線が振幅0dBと交差する周波数ωvcは、昇圧比率BRの違いによって変化し、したがって、目標出力電圧Vout_refに対して出力電圧Voutが追従する際の応答速度も、昇圧比率BRによって異なることになる。
このとき、図4(a)のように、昇圧比率BRが高くなるにつれて、共振周波数ωpは、より低い周波数帯に推移するが、振幅そのものは大きくなることから、0dB(点線参照)と交差する周波数ωvcは、より高い周波数帯に推移する。
この結果、昇圧比率BRが高くなるにつれて、位相余裕PMは、減少することになり、出力電圧Voutの応答波形は、振動的になり易い。
図5は出力電圧Vout[V]の時間応答特性を示す説明図であり、目標出力電圧Vout_refがステップ状に変化した場合の、出力電圧Voutの追従特性を示しており、横軸は時間t、縦軸は出力電圧Voutである。
出力電圧Voutは、図5(a)では入力電圧Vin×5[倍]まで増大し、図5(b)では入力電圧Vin×3[倍]まで増大し、図5(c)では入力電圧Vin×2[倍]から減少している。
すなわち、図5(a)の特性線BV5は、目標出力電圧Vout_refが、昇圧比率BR=1.0の相当値(Vin×1)からBR=5.0の相当値(Vin×5)に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
図5(b)の特性線BV3は、目標出力電圧Vout_refがBR=1.0の相当値からBR=3.0の相当値(Vin×3)に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
また、図5(c)の特性線BV1は、目標出力電圧Vout_refがBR=2.0の相当値(Vin×2)からBR=1.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
図5(a)〜(c)において、各特性線BV5、BV3、BV1の出力応答波形が定常水準の90[%]に達するまでの時間t1a、t1b、t1cは、互いに異なる値となり、「昇圧比率BRが高いほど、より短い時間」となる。
また、図5(a)に示すように、「昇圧比率BRが高いほど振動的な波形」となっている。
図5の上記解析結果は、それぞれ、図4(a)、(b)に示す一巡伝達特性Gcv0(s)・Gvp(s)のゲイン特性および位相特性において、「昇圧比率BRが高くなるにつれて、0dBと交差する周波数がより高い周波数帯」に推移し、「位相余裕PMが減少すること」に対応している。
したがって、この発明の実施の形態1に係る制御装置5Aにおいては、昇圧比率BRに応じて変化する制御対象の特性(図4、図5参照)に対し、以下の3つの条件を満たすように、制御演算器(後述する)の構造および制御ゲイン(係数パラメータ)を設定している。
[条件1]目標出力電圧Vout_refが変動する周波数領域において、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの昇圧比率BRによって変化することなく一律となること。
[条件2]周波数伝達特性Gvp(s)に含まれる2次遅れ要素の共振周波数ωpにおける振幅値が負の所定閾値以下となること。
[条件3]2次遅れ要素の共振周波数ωpよりも低周波数域において振幅値が0dBと交差すること。
上記3つの条件により、出力電圧Voutの応答性がばらつくこと、または振動的になること(図5参照)ということがなくなり、制御装置5Aは、一律の特性で、かつ、安定となるように動作する。
図6はこの発明の実施の形態1に係る制御装置5Aの具体的な機能構成を示すブロック図である。
図6において、制御装置5Aは、減算器21と、電圧制御演算器22Aと、リミッタ23と、飽和判定部24と、PWM生成部25と、電圧変換器出力電圧特性モデル26Aとを備えている。
電圧制御演算器22Aは、PI(比例積分)演算を行うために、積分入力切替えスイッチ31と、積分部32Aと、加算器33と、比例部34とを有し、上記3つの条件を満たすように構成されている。
飽和判定部24は、減算器35と、絶対値演算器36とを有し、絶対値演算器36から出力される飽和判定結果(後述する)は、積分入力切替えスイッチ31の選択動作を決定する。
電圧変換器出力電圧特性モデル26Aは、電圧制御演算器22A内の積分部32Aおよび比例部34における変数設定に関連している。
制御装置5Aにおいて、電圧制御演算器22Aは、目標出力電圧Vout_refと出力電圧Voutとの電圧偏差ΔVerrに基づいて、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bに対するスイッチングデューティDを算出する。
電圧変換器出力電圧特性モデル26Aは、スイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの周波数伝達特性Gvp(s)を表現する。
また、電圧変換器出力電圧特性モデル26Aは、入力電圧Vinと、スイッチングデューティDと、電圧変換器4を構成するリアクトル8のインダクタンス値Lと、電圧変換器4を構成する平滑コンデンサ9の容量値Cと、電圧変換器4に接続される電気負荷量Rldと、ラプラス演算子sとを用いて、周波数伝達特性Gvp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む前述の式(1)で表現する。
ただし、前述のように、式(1)において、2次遅れ要素の共振周波数ωp、2次遅れ要素の固有周波数ωoおよびQ値は、以下のように表される。
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld/L、
ωo=(1−D)/√(L×C)、
Q=(1−D)×Rld×√(C/L)、
電圧制御演算器22Aは、周波数伝達特性Gvp(s)と、目標出力電圧Vout_refからスイッチングデューティDまでの第2の周波数伝達特性(以下、単に「周波数伝達特性」ともいう)Gcv(s)と、の直列接続で表される一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)が、前述の[条件1]〜[条件3]をすべて満たすような制御ゲインを有する。
また、電圧制御演算器22Aは、スイッチングデューティDに基づいて折点周波数を調整するPI制御器により構成されている。
次に、図6に示した制御装置5Aによる具体的な動作手順について説明する。
図6においては、電圧制御演算器22Aから出力される範囲制限前のスイッチングデューティDoと、リミッタ23から出力される最終的なスイッチングデューティDとを区別して表記している。
制御装置5Aは、出力電圧Vout、目標出力電圧Vout_refおよび入力電圧Vinの各入力情報に基づいて出力電圧制御用の演算を行い、上記条件を満たす制御ゲインで算出されたスイッチングデューティDに基づき、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bをON動作させるためのスイッチング信号SwをPWM生成部25から出力する。
まず、制御装置5A内の減算器21は、外部コントローラから指示される目標出力電圧Vout_refと、出力電圧検出器12で検出された出力電圧Voutとを取り込み、目標出力電圧Vout_refから出力電圧Voutを減算し、電圧偏差ΔVerr(=Vout_ref−Vout)を算出して電圧制御演算器22Aに入力する。
電圧偏差ΔVerrは、電圧制御演算器22A内の加算器33に入力されるとともに、図示された選択状態の積分入力切替えスイッチ31および積分部32Aを介して加算器33に入力される。
積分入力切替えスイッチ31は、減算器21からの電圧偏差ΔVerrを選択するのみならず、飽和判定部24から出力される範囲制限前のスイッチングデューティDoの飽和判定結果に応じて、点線矢印で示すように、固定値「0」を選択的に切替えて積分部32Aに入力する。
飽和判定部24からの飽和判定結果は、スイッチングデューティDoの値がデューティとして実動可能な設定範囲「0.0〜1.0」から逸脱した場合には「飽和」の識別結果を示し、スイッチングデューティDoの値が設定範囲「0.0〜1.0」内の場合には「非飽和」の識別結果を示す。
積分入力切替えスイッチ31は、飽和判定部24からの飽和判定結果が「飽和」(設定範囲から逸脱)を示すときには、固定値「0」を選択して積分部32Aに入力し、飽和判定結果が「非飽和」(設定範囲内)を示すときには、電圧偏差ΔVerrを選択して積分部32Aに入力する。
積分入力切替えスイッチ31が電圧偏差ΔVerrを選択した場合、積分部32Aは、係数パラメータKiv、範囲制限後のスイッチングデューティDおよびラプラス演算子sを用いて、係数Kiv・(1−D)/sに基づいて電圧偏差ΔVerrを積分演算し、積分演算結果を加算器33に入力する。
ここで、積分部32Aの演算式中の係数Kiv・(1−D)は、電圧制御演算器22Aの折点周波数ωpi(後述する)に相当し、スイッチングデューティDに応じて変化する値である。
また、係数パラメータKivは、電圧変換器出力電圧特性モデル26Aに基づいて適正値(後述する)に設定される。
続いて、加算器33は、電圧偏差ΔVerrと積分部32Aからの積分演算結果とを加算し、加算結果を比例部34に入力する。
比例部34は、加算器33の加算結果に係数パラメータApvを乗算し、範囲制限前のスイッチングデューティDoとして出力する。
係数パラメータApvは、電圧変換器出力電圧特性モデル26Aに基づいて適正値(後述する)に設定される。
図6に示す制御装置5Aの構成によれば、スイッチングデューティが「飽和」(設定範囲から逸脱)を示すときには、アンチワインドアップ処理(積分部32Aへの入力情報を「0」として、電圧偏差ΔVerrの蓄積を停止する処理)を施しているので、電圧偏差ΔVerrの極性が反転して「飽和」状態を離脱する際も、速やかに反応することができる。
電圧制御演算器22A内の比例部34から出力される範囲制限前のスイッチングデューティDoは、リミッタ23と、飽和判定部24内の減算器35に入力される。
リミッタ23は、上限値を「1.0」、下限値を「0.0」として、上下限値内に値が収まるように、範囲制限前のスイッチングデューティDoを制限して、最終的なスイッチングデューティDを出力する。
PWM生成部25は、スイッチングデューティDを取り込み、所定のスイッチング周波数の搬送波との大小を比較し、この大小関係で表現されるパルス幅変調(PWM)によって、トランジスタ6a、6bをON動作させるためのスイッチング信号Swを生成し、制御装置5Aから電圧変換器4への出力信号とする。
一方、飽和判定部24において、減算器35は、リミッタ23の入出力値に相当する範囲制限前のスイッチングデューティDoと範囲制限後のスイッチングデューティDとを取り込み、両者のデューティ偏差ΔDo(=Do−D)を算出して絶対値演算器36に入力する。
絶対値演算器36は、デューティ偏差ΔDoの絶対値|ΔDo|を算出し、これを飽和判定結果の情報として積分入力切替えスイッチ31に入力する。
このとき、デューティ偏差の絶対値|ΔDo|が「0」の場合には、「非飽和」(設定範囲内)の状態であって、飽和判定結果は「偽(NO)」の論理情報として表現される。
一方、デューティ偏差の絶対値|ΔDo|が「0」でない場合には、「飽和」(設定範囲外)の状態であって、飽和判定結果は「真(YES)」の論理情報として表現される。
以上の構成からなる制御装置5Aにおいて、上記[条件1]〜[条件3]を満たすために、電圧制御演算器22A内の積分部32Aおよび比例部34の各係数パラメータKiv、Apvは、適切な値に設定される。
すなわち、各係数パラメータKiv、Apvの値は、前述の式(1)で示される周波数伝達特性Gvp(s)(スイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの伝達特性)を格納した電圧変換器出力電圧特性モデル26Aに基づき、所定手続きにより設定される。
次に、図7のフローチャートを参照しながら、電圧変換器出力電圧特性モデル26Aに基づく係数パラメータKiv、Apvの設定手続きについて説明する。
図7において、ステップS100〜S109は、各係数パラメータの設定手続きを示している。
まず、図7の設定手続きが開始すると(ステップS100)、制御装置5Aは、電圧変換装置1Aの動作時における昇圧比率BRの上限BRULIMを算出し(ステップS101)、続いて、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLと、昇圧比率BRが「1.0」での共振周波数ωpHとを算出する(ステップS102)。
次に、積分部32Aの係数パラメータKivを、昇圧比率BR=1.0での共振周波数ωpHを用いて、以下のように設定する(ステップS103)。
Kiv=10×ωpH
続いて、昇圧比率BRが「1.0」から昇圧比率上限BRULIMまでの範囲で、前述の式(1)で表される周波数伝達特性Gvp(s)の最大振幅値|Gvp_max|と、最大振幅値|Gvp_max|となるときの周波数ωp_gvp_maxとを算出する(ステップS104)。
次に、最大振幅値|Gvp_max|および共振振幅閾値Gaに関して、周波数ωp_gvp_maxにおける電圧制御演算器22Aの振幅値|Gcv|が以下の関係を満たすように、比例部34の係数パラメータApvを設定する(ステップS105)。
ここで、共振振幅閾値Gaは、前述の[条件2]における負の所定閾値に相当し、以下の式(7)の関係を満たす。
Figure 2007252144
これにより、電圧制御演算器22Aの第2の周波数伝達特性Gcv(s)と、制御対象の第1の周波数伝達特性Gvp(s)と、を直列接続した一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の共振周波数帯でのピーク振幅値は、共振振幅閾値Ga以下となるように制約される。
次に、一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の振幅値が、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLよりも低周波数域で、正から負に変化して0dBと交差しているか否かを判定する(ステップS106)。
ステップS106において、一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の振幅値が0dBと交差していない(すなわち、NO)と判定されれば、比例部34の係数パラメータApvを刻み量Δaだけ漸減して、「Apv←Apv−Δa」として再設定し(ステップS107)、再び判定ステップS106を実行する。
一方、ステップS106において、一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の振幅値が0dBと交差している(すなわち、YES)と判定されれば、設定した係数パラメータApv、Kivを用いて前述の制御動作を実行し(ステップS108)、図7の処理ルーチンを終了する(ステップS109)。
上記ステップS106〜S108において、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLよりも低周波数域で0dBと交差するように係数パラメータApvを調整することは、上記[条件3]を満たすように制御ゲインを設定することに相当する。
以上の各係数パラメータKiv、Apvの設定手続きにより、[条件2]、[条件3]が満たされることになる。
また、残る[条件1]については、範囲制限後のスイッチングデューティDを帰還し、積分部32Aの係数として(1−D)を乗算し、PI制御器からなる電圧制御演算器22Aの折点周波数ωpi(=Kiv・(1−D))が、スイッチングデューティDに応じて変化する形態とすることによって満たされる。
すなわち、前述の式(1)で示される第1の周波数伝達特性Gvp(s)(スイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの伝達特性)は、「1/(1−D)」を係数として、スイッチングデューティDにより変動するので、この係数「1/(1−D)」を補償するように折点周波数ωpiを変化させればよいことになる。
次に、図8〜図10を参照しながら、この発明の実施の形態1による電圧変換器出力電圧特性モデル26Aおよび電圧制御演算器22Aを適用した場合の出力特性について説明する。
ここで、図9および図10は、前述の図4および図5にそれぞれ対応している。
図8は電圧制御演算器22Aの周波数伝達特性Gcv(s)(目標出力電圧Vout_refからスイッチングデューティDまでの伝達特性)を示す説明図であり、図8(a)はゲイン特性、図8(b)は位相特性を示している。
図8(a)のゲイン特性図において、横軸は周波数ω[rad/sec]、縦軸は振幅[dB]であり、図8(b)の位相特性図において、横軸は周波数、縦軸は位相[度]である。
図8(a)、(b)において、実線、1点鎖線および破線で示す3本の特性線は、前述と同様に、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
また、図8においては、電圧変換装置1Aの動作時の昇圧比率上限BRULIMを「5.0」として、係数パラメータを設定している。
前述のように、電圧制御演算器22A(PI制御器)の折点周波数ωpiは、スイッチングデューティDに応じて変化し、また、昇圧比率BRもスイッチングデューティDに応じて変化するので、図8(a)のゲイン特性図のように、昇圧比率BRによって折点周波数ωpiは変化する。
また、図8(a)から明らかなように、振幅値|Gcv|は、折点周波数ωpiよりも低周波数域では、昇圧比率BRによって異なる値となるが、高周波数域では昇圧比率BRによらず均一値となる。
このとき、電圧制御演算器22Aの周波数伝達特性Gcv(s)と、制御対象の周波数伝達特性Gvp(s)と、を直列接続した一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)は、図9のように表される。
図9は一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)を示す説明図であり、図9(a)はゲイン特性、図9(b)の位相特性を示している。
図9(a)のゲイン特性図において、縦軸は振幅であり、図9(b)の位相特性図において、縦軸は位相である。
図9(a)、(b)において、実線、1点鎖線および破線で示す3本の特性線は、前述と同様に、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
図9(a)のゲイン特性図から明らかなように、各特性線の共振ピークの振幅は、負の所定の共振振幅閾値Ga[dB]以下である。
また、図9(a)において、いずれの特性線も、共振周波数ωpよりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差している。
さらに、共振周波数ωpよりも低周波数域においては、昇圧比率BRの値によらず均一の特性となり、振幅値が0dBと交差する周波数ωvc1も単一の値となる。
以上のことから、上記[条件1]〜[条件3]のすべてを満たしていることが分かる。
また、この場合の出力電圧Vout[V]の時間応答特性は、図10のようになる。
図10は出力電圧Voutの時間応答特性を示す説明図であり、前述の図5と同様に、目標出力電圧Vout_refがステップ状に変化した場合の、出力電圧Voutの追従特性を示している。
図10(a)の特性線BV’5は、目標出力電圧Vout_refが、昇圧比率BR=1.0の相当値からBR=5.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
図10(b)の特性線BV’3は、目標出力電圧Vout_refがBR=1.0の相当値からBR=3.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
図10(c)の特性線BV’1は、目標出力電圧Vout_refがBR=2.0の相当値からBR=1.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
図10(a)〜(c)において、各特性線BV’5、BV’3、BV’1の出力電圧波形が定常水準の90[%]に達するまでの時間t1’は、昇圧比率BRが異なるにもかかわらず同一値となる。
また、いずれの昇圧比率BRであっても、振動的とならず、均一で良好な応答波形となる。
以下、電圧変換装置1Aは、スイッチングデューティDに基づくスイッチング信号Swにより電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bをON/OFFさせ、直流電源2の出力電圧を昇圧して電気負荷3に供給する。
このとき、前述のように、電圧変換器4のスイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの間の周波数伝達特性Gvp(s)には、2次要素が含まれており共振点が存在するが、制御装置5A内の電圧制御演算器22Aは、周波数伝達特性Gvp(s)を式表現した電圧変換器出力電圧特性モデル26Aに基づく上記設定手続きにより、出力電圧Voutのフィードバック制御用の係数パラメータKiv、Apvを、通過帯域内での特性が昇圧比率BRによって変化することなく一律となるように、また、共振の影響を回避するように設定する。
したがって、この発明の実施の形態1による電圧変換装置1Aによれば、図1および図6の構成で、図7の処理動作および設定手続きを実行することにより、実験的データ算出による多大な工数を要することなく、電圧変換装置1Aの第1の周波数伝達特性Gvp(s)(トランジスタ6a、6bのスイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの伝達特性)を表すモデル式に基づいて、出力電圧Voutを制御するので、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように出力電圧Vout(図10参照)を制御することができる。
また、電圧制御演算器22Aとして、簡易なPI制御器を用いて実装し、スイッチング信号SwのデューティDに基づいて折点周波数ωpiを調整するようにしたので、演算負荷量を軽減しつつ、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように出力電圧制御を行う電圧変換装置1Aを低コストで実現することができる。
なお、ここでは、電圧制御演算器22AとしてPI制御器を適用したが、別の制御器を適用してもよい。
また、スイッチングデューティDoの飽和判定ロジックに基づく飽和判定部24の判定結果を用いて、積分入力切替えスイッチ31を切り替えたが、飽和判定ロジックとして別の様態を適用してもよい。
たとえば、リミッタ23において、スイッチングデューティDoが設定範囲外となって範囲制限処置を実行したか否かを示す判別情報を生成し、この判別情報を積分入力切替えスイッチ31に入力して切り替えることもできる。
さらに、動作として特に不都合が生じないならば、出力電圧Voutの制御の応答特性を昇圧比率BRによって変化することなく一律としたまま、飽和判定部24および積分入力切替えスイッチ31を省略してアンチワインドアップ処理を実行せずに、制御装置5Aを低コストに構成してもよい。
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1、図6)では、電圧変換器4の出力電圧特性モデルに関連する電気負荷量Rldを一定値として周波数伝達特性Gvp(s)を求めたが、図11および図12に示すように、出力電圧Voutおよび出力電流ioutの各検出値に基づいて、逐次変化する電気負荷量Rld_imdを算出する電気負荷量算出手段37Bを設け、実際の電気負荷量Rld_imdに基づいて周波数伝達特性Gvp(s)を求めてもよい。
以下、図11〜図22を参照しながら、この発明の実施の形態2について説明する。
まず、図11〜図15を参照しながら、基本的な構成および動作について説明する。
図11はこの発明の実施の形態2に係る電圧変換装置1Bを含むシステム全体の構成を一部回路図で示すブロック図である。
図11において、前述(図1)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付して、詳述を省略する。
この場合、電圧変換装置1Bは、出力端子Nでの出力電流ioutを検出して制御装置5Bに入力する出力電流検出器13を有する点と、制御装置5Bの機能が一部異なる点とを除けば、前述の制御装置5Aと同様である。
図12はこの発明の実施の形態2に係る制御装置5Bの具体的な機能構成を示すブロック図である。
図12において、制御装置5Bは、電気負荷量算出手段37Bを備えており、電気負荷量算出手段37Bは、出力電圧Voutと出力電流ioutとの比を電気負荷量Rld_imd(=Vout/iout)として算出し、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bに入力する。
電圧変換器出力電圧特性モデル26Bは、前述の入力電圧Vinの検出値などに加えて、逐次算出される電気負荷量Rld_imdを用いて、第1の周波数伝達特性Gvp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む前述の式(2)で表現する。
ただし、前述のように、式(2)において、2次遅れ要素の共振周波数ωp、2次遅れ要素の固有周波数ωoおよびQ値は、以下のように表される。
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld_imd/L、
ωo=(1−D)/√(L×C)、
Q=(1−D)×Rld_imd×√(C/L)、
これにより、第1の周波数伝達特性Gvp(s)は、逐次算出される電気負荷量Rld_imdの変化を反映して逐次更新される。
また、電圧制御演算器22A(PI制御器)は、第1の周波数伝達特性Gvp(s)と、目標出力電圧Vout_refからスイッチングデューティDまでの第2の周波数伝達特性Gcv(s)と、の直列接続で表される一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)が、前述の3つの[条件1]〜[条件3]をすべて満たす制御ゲイン(係数パラメータKiv、Apv)を有する。
このように、[条件1]〜[条件3]を満たすように電圧制御演算器22Aの構造および制御ゲインを設定するとともに、電圧変換装置1Bの出力電圧Voutおよび出力電流ioutから電気負荷量Rld_imdを算出し、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bに格納される第1の周波数伝達特性Gvp(s)に対して、逐次算出される電気負荷量Rld_imdの変化を反映させる。
これにより、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因して周波数変動する共振の影響を回避して、出力電圧Voutが振動的となるのを防止するように制御するようになっている。
この目的を達成するため、図11において、まず、出力電流検出器13は、電圧変換装置1Bの出力電流ioutを検出する。
出力電流検出器13の具体例としては、たとえば、電流経路に抵抗値が既知の抵抗を挿入し、この抵抗の両端の電位差を測定して電流量を測定するシャント抵抗方式が考えられる。
また、電流経路に流れる電流によって発生する磁束を検出し、磁束量の検出値に基づいて電流量を測定するホール素子方式などが考えられる。
図11においては、出力電流検出器13としてホール素子方式を適用し、低電位母線側の出力端子Nに流れる電流により発生する磁束を非接触センサ部で検出し、磁束情報を電流情報に変換して出力電流ioutとする場合を示している。
出力電流検出器13で検出された出力電流ioutは、図12に示すように、制御装置5B内の電気負荷量算出手段37Bに入力される。
出力電流ioutは、出力電圧検出器12で検出された出力電圧Voutとともに、電気負荷量算出手段37Bに入力され、電気負荷量算出手段37Bは、出力電圧Voutと出力電流ioutの比(Vout/iout)を、電気負荷量Rld_imdとして算出して電圧変換器出力電圧特性モデル26Bに入力する。
以下、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bは、前述の式(2)で表される周波数伝達特性Gvp(s)を格納し、電圧制御演算器22Aは、前述と同様の出力電圧制御を行う。
まず、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bは、式(2)に電気負荷量Rld_imdを反映させ、実際の検出値に応じた値に逐次更新する。
電気負荷量Rld_imdが変化した場合には、式(2)で示される周波数伝達特性Gvp(s)も変化するので、電圧制御演算器22Aの係数パラメータKiv、Apvを固定すると、上記[条件1]〜[条件3]を満たさない場合が生じ得る。
したがって、上記条件を満たすか否かを判定し、条件を満たさない場合には、各係数パラメータKiv、Apvが適切値となるように逐次修正する。
このとき、係数パラメータKiv、Apvの修正動作は、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bと、所定の設定手続きとに基づいて、図13のように実行される。
図13はこの発明の実施の形態2による設定手続きを示すフローチャートであり、ステップS200〜S212の処理動作からなる。
なお、図13においては、電圧制御演算器22Aの係数パラメータKiv、Apvのうち、比例部34の算出係数パラメータApvを適切値に更新設定する場合を示しているが、少なくともいずれか一方の係数パラメータを更新設定すればよい。
図13において、設定手続きの実行が初回の場合は、まず、ステップS200から処理を開始し、定格電気負荷量Rld_rtにおける周波数伝達特性に対して、定格係数パラメータApv_rt、Kiv_rtを設定する(ステップS201)。
なお、ステップS201は、前述(図7)の手続き(ステップS100〜S108)にしたがって実行される。
次に、算出係数パラメータApv_imdおよび係数パラメータKivとして、それぞれ、ステップS201で求めた定格係数パラメータApv_rt、Kiv_rtを設定し、また、前回電気負荷量Rld_oldとして、ステップS201で求めた定格電気負荷量Rld_rtを設定して(ステップS202)、後述の判定ステップS205に進む。
一方、設定手続きの実行が初回ではなく2度目以降の場合には、ステップS203から処理を開始する。
この場合、まず、前回電気負荷量Rld_oldとして、前回の設定手続き実行周期時の電気負荷量Rld_imdを設定し(ステップS204)、判定ステップS205に進む。
ステップS205においては、電気負荷量算出手段37Bから現在出力される電気負荷量Rld_imdの値が前回電気負荷量Rld_old以下であるか否かを判定する。
ステップS205において、Rld_imd>Rld_old(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに係数補正手段の処理(ステップS207、S208)に進む。
一方、ステップS205において、Rld_imd≦Rld_old(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、制御応答速度を上げる必要があるか否かを判定する(ステップS206)。
なお、式(2)より、電気負荷量Rld_imdが減少すると、周波数伝達特性Gvp(s)のQ値も減少して、共振周波数ωpでの振幅値|Gvp|も減少するので、[条件2]を満たすように設定される係数パラメータApvの値を増大させて、制御応答速度を上げることも可能となる。
ステップS206において、制御応答速度を上げる必要がない(すなわち、NO)と判定されれば、直ちに制御処理(ステップS211)に進む。
一方、ステップS206において、制御応答速度を上げる必要がある(すなわち、YES)と判定されれば、係数補正手段の処理に進む。
係数補正手段においては、まず、現在の電気負荷量Rld_imdに関して、昇圧比率BRが「1.0」から動作時の昇圧比率上限BRULIMまでの範囲で、式(2)の周波数伝達特性Gvp(s)の最大振幅値|Gvp_max_imd|と、最大振幅となるときの周波数ωp_gvp_max_imdとを算出する(ステップS207)。
続いて、最大振幅値|Gvp_max_imd|および共振振幅閾値Gaに関し、最大振幅となる周波数ωp_gvp_max_imdでの電圧制御演算器22Aの振幅値|Gcv|が、以下の式(8)の関係を満たすように、比例部34の算出係数パラメータApv_imdを更新設定する(ステップS208)。
Figure 2007252144
このことは、上記[条件2]を満たすように、電気負荷量Rld_imdの変化に対応して算出係数パラメータApv_imdを操作し、最大振幅となる周波数での電圧制御演算器22Aの振幅値|Gcv|を決定することに相当する。
次に、最大振幅となる電圧制御演算器22Aと制御対象とを直列接続した場合の一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の振幅値が、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLよりも低周波数域で、正から負に変化して0dBと交差しているか否かを判定する(ステップS209)。
ステップS209において、一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の振幅値が0dBと交差していない(すなわち、NO)と判定されれば、比例部34の算出係数パラメータApv_imdを刻み量Δaだけ漸減して、「Apv_imd←Apv_imd−Δa」として再設定し(ステップS210)、再び判定ステップS209を実行する。
一方、ステップS209において、一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)の振幅値が0dBと交差している(すなわち、YES)と判定されれば、係数パラメータApvとして算出係数パラメータApv_imdを設定し、設定後の係数パラメータApv、Kivを用いて制御演算を行い(ステップS211)、図13の処理ルーチンを終了する(ステップS212)。
このように、図13の設定手続きに基づいて、電圧変換装置1Bの動作時の電気負荷量Rld_imdを算出し、逐次変化する電気負荷量Rld_imdに対応して、電圧制御演算器22Aの係数パラメータApvを逐次再設計するように動作が行われる。
以上の係数補正処理は、比例部34の係数パラメータApvに限らず、積分部32Aの係数パラメータKivに対する場合でも同様に実行され得る。
これにより、逐次変化する電気負荷量Rld_imdに対しても、上記[条件1]〜[条件3]を満たす出力電圧特性を実現することができる。
ただし、電圧制御演算器22Aの係数パラメータKiv、Apvの再設計に要する演算量が多い場合には、単位時間内に設定手続きの演算が処理し切れなくなって安定動作を損なう可能性がある。
また、単位時間内に設定手続き処理を終了させるために演算能力を高くすると、装置のコストが増加するというデメリットが生じる。
そこで、図13内の係数補正手段(ステップS207、S208)の処理を、図14のように置き換えることも考えられる。
図14はこの発明の実施の形態2による係数補正手段の他の構成例を示すフローチャートであり、図13内のステップS207、S208を、ステップS213、214に置き換えた設定手続きを示している。
図14において、ステップS213は、図13内の判定ステップS205、S206に続いて実行され、ステップS214に続いて、図13内の判定ステップS209が実行される。
また、図15は図14内のステップS213の具体的処理を説明するための機能ブロック図である。
図15において、ステップS213は、除算器38と、補正係数テーブル39とにより構成される。
除算器38は、現在の電気負荷量Rld_imdを定格電気負荷量Rld_rtで除算し、電気負荷比率RR(=Rld_imd/Rld_rt)を算出して補正係数テーブル39に入力する。
補正係数テーブル39は、電気負荷比率RRに基づいて、定格係数パラメータApv_rtを基準とする補正係数Capを一義的に定め、次の演算処理(ステップS214)に送る。
図14において、まず、除算器38により電気負荷比率RRを求め、補正係数テーブル39を参照して、電気負荷比率RRから補正係数Capを取得する(ステップS213)。
このとき、除算器38は、現在の電気負荷量Rld_imdを分子とし、定格電気負荷量Rld_rtを分母として、電気負荷比率RRを算出し、補正係数テーブル39に入力する。
補正係数テーブル39は、図15に示すように、電気負荷比率RRを横軸にとり、電気負荷比率RRに基づいて変化する最大振幅値|Gvp_max_imd|に対応するように、定格電気負荷量Rld_rtでの定格係数パラメータApv_rtに対する補正係数Capを、設定要素(縦軸)として格納している。
すなわち、動作時の電気負荷量Rld_imdが定格電気負荷量Rld_rtから変化する場合に、周波数伝達特性Gvp(s)の最大振幅値の算出過程(ステップS207)と、前述の式(8)を満たす算出係数パラメータApv_imdの算出過程(ステップS208)とを省略し、これらの算出過程に代えて、定格係数パラメータApv_rtを基準として、電気負荷量Rld_imdの変化に対する算出係数パラメータApv_imdの変化を対応付けて記憶することにより、演算を省略している。
補正係数テーブル39は、定格電気負荷量Rld_rtに対する現在の電気負荷量Rld_imdの電気負荷比率RRから、補正係数テーブルを参照して、補正係数Capを決定する。
図14に戻り、ステップS213に続いて、係数補正手段は、定格電気負荷量Rld_rtにおける定格係数パラメータApv_rtに補正係数Capを乗算し、算出係数パラメータApv_imdとして、以下のように設定し(ステップS214)、図13内のステップS209に進む。
Apv_imd=Cap×Apv_rt
なお、図15のような補正係数テーブル39は、所定の昇圧比率BRに対して1つ定まる特性のみが格納されているものとする。
したがって、実用的には、図15と同様の補正係数テーブルを昇圧比率BRの変化範囲に対して複数準備し、昇圧比率BRの値に応じて、参照する補正係数テーブルが切り替えられることになる。
以上の設定手続きおよび処理動作により、電気負荷量Rld_imdの変動にも対応して、上記[条件1]〜[条件3]を満たす電圧制御演算器22Aの係数パラメータApv、Kivが設定される。
なお、図12に示す制御装置5Bにおいて、減算器21、電圧制御演算器22A、リミッタ23、飽和判定部24、PWM生成部25は、前述(図6参照)と同様に動作し、制御装置5Bからは、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bを動作させるためのスイッチング信号Swが出力される。
ここで、図16〜図22を参照しながら、電気負荷量Rld_imdの変動に対応して電圧制御演算器22Aの係数パラメータKiv、Apvを逐次適切値に更新設定することによる効果について、さらに具体的に説明する。
図16〜図18は、前述の図2〜図4と同様に、それぞれ、ゲイン特性および位相特性を示す説明図であり、図19は、前述の図5と同様に、出力電圧Vout[V]の時間応答特性を示す説明図である。
また、図20および図21は、前述の図8および図9と同様に、それぞれ、ゲイン特性および位相特性を示す説明図であり、図22は、前述の図10と同様に、出力電圧Vout[V]の時間応答特性を示す説明図である。
図16(a)、(b)は、インダクタンス値L、容量値C、昇圧比率BRが固定値の場合における周波数伝達特性Gvp(s)について、横軸に周波数ω、縦軸に振幅、位相をとって示している。
図16(a)のゲイン特性図および図16(b)の位相特性図において、3本の特性線(実線、1点鎖線、破線参照)は、それぞれ電気負荷比率RRが「0.5」、「1.0」、「3.0」の場合を示している。
図16(a)のゲイン特性図に示すように、電気負荷比率RRが高い(電気負荷量Rld_imdが大きい)ほど、Q値が大きくなるので、共振による振幅の盛り上がりが目立つ特性となる。一方、図16(b)の位相特性図においては、電気負荷比率RRが高いほど、Q値の増大に応じて位相の変化が急となる。
また、図16(a)から明らかなように、共振周波数ωpよりも低い周波数帯では、電気負荷比率RRによる振幅の差がほとんど生じないが、共振周波数ωpよりも高い周波数帯では、電気負荷比率RRが高いほど、振幅は小さくなる。
このように、インダクタンス値L、容量値C、昇圧比率BRが固定値であって変動しない場合でも、周波数伝達特性Gvp(s)は電気負荷量Rldによって変化する。
よって、周波数伝達特性Gvp(s)を制御対象とする制御装置5Bは、電気負荷量Rld_imdの変動に関して、適切な構造および制御ゲイン(フィードバック制御用の係数パラメータ)を有していなければならず、そうでない場合には、出力電圧制御の応答特性がばらついてしまうことになる。
いま、電気負荷比率RRが「1.0」(定格電気負荷量Rld_rt)に関して、前述(図7)の設定手続きにしたがい、定格係数パラメータApv_rt、Kiv_rtを定めたとする。
このとき、定格時の第2の周波数伝達特性Gcv_rt(s)(電圧制御演算器22Aの周波数伝達特性)は、図17のように表される。
また、定格時の第2の周波数伝達特性Gcv_rt(s)と、第1の周波数伝達特性Gvp(s)(制御対象の周波数伝達特性)と、を直列接続した一巡伝達特性Gcv_rt(s)・Gvp(s)は、図18のように表される。
図18(a)のゲイン特性図から明らかなように、一巡伝達特性Gcv_rt(s)・Gvp(s)において、電気負荷比率RRが「3.0」(破線参照)の場合には、共振周波数帯ωpでの振幅の盛り上がりが目立ち、振幅が約0dBまで達する。
なぜなら、係数パラメータの設定に際し、上記[条件2]を満たすように一巡伝達特性の振幅最大値が所定の共振振幅閾値Gaと等しくなるように設定したにもかかわらず、電気負荷比率RRが増加することから、制御対象の周波数伝達特性Gvp(s)の振幅最大値が大きくなるからである。
図19(a)〜(c)は、目標出力電圧Vout_refが、昇圧比率BR=1.0の相当値(Vin×1)からBR=3.0の相当値(Vin×3)にステップ状に変化した場合の、それぞれ異なる電気負荷比率RRに対する出力電圧Voutの追従特性を示している。
すなわち、図19(a)の特性線BVR05は、電気負荷比率RRが「0.5」の場合、図19(b)の特性線BVR10は、電気負荷比率RRが「1.0」の場合、図19(c)の特性線BVR30は、電気負荷比率RRが「3.0」の場合での出力電圧Voutの波形を示している。
図18(a)のゲイン特性図においては、電気負荷比率RRがいずれの値であっても、同一の周波数ωvc2で振幅値が0dBと交差する。
このことに対応して、図19(a)〜(c)においては、出力応答波形(特性線BVR05、BVR10、BVR30)が定常水準の90[%]に達するまでの時間t2は、いずれも同一値となる。
ただし、図19(a)、(b)(電気負荷比率RRが低い場合)の特性線BVR10、BVR05は、振動的でなく比較的良好な波形であるが、図19(c)(電気負荷比率RRが高い場合)の特性線BVR30は、振動的な波形となっている。
このことは、電気負荷量Rld_imdの増加によって、係数パラメータApvが上記[条件2]を満たさなくなったことに対応する。
一方、図13の設定手続きにしたがい、電気負荷比率RRが「3.0」まで変動した場合に適応して、係数パラメータApv、Kivを設定したとすると、このときの電圧制御演算器22A(PI制御器)の周波数伝達特性Gcv_imd(s)は、図20のように表される。
図20(a)、(b)は、図17(a)、(b)と同様に、ゲイン特性図および位相特性図として、横軸に周波数ω、縦軸に振幅および位相をとって示している。
図20においては、昇圧比率BRを固定値として係数パラメータを設定しているので、積分部32Aの係数パラメータKivは図17の場合と同一値であり、折点周波数ωpiも同一周波数となる。
しかし、電気負荷比率RRが「3.0」まで増加した場合にも[条件2]を満たすように算出係数パラメータApv_imdを調整し、調整後の算出係数パラメータApv_imdを比例部34の係数パラメータApvとして代入しているので、係数パラメータApvは、図17の場合の定格係数パラメータApv_rtよりも小さい値に設定される。
図21(a)、(b)は、図18(a)、(b)と同様に、一巡伝達特性Gcv_imd(s)・Gvp(s)をゲイン特性図および位相特性図として、横軸に周波数、縦軸に振幅および位相をとって示している。
図21(a)、(b)のゲイン特性図および位相特性図において、3本(実線、1点鎖線、破線)の特性線は、それぞれ、電気負荷比率RR(=Rld_imd/Rld_rt)が、それぞれ「0.5」、「1.0」、「3.0」の場合を示している。
ここで、比例部34の係数パラメータApvは、定格係数パラメータApv_rtよりも小さい値に設定されているので、図21(a)のゲイン特性図において、振幅値が0dBと交差する周波数ωvc3は、図18(a)内の周波数ωvc2よりも低い値となる。
しかし、図21(a)において、共振周波数ωpの帯域での振幅の最大値は、所定の共振振幅閾値Ga(共振ピーク≦Ga)となり、[条件2]を満たす。
図22は出力電圧Voutの時間応答特性を示す説明図であり、図19と同様に、目標出力電圧Vout_refが昇圧比率BR=1.0の相当値(Vin×1)から、BR=3.0相当値(Vin×3)にステップ状に変化した場合の、出力電圧Voutの追従特性を示している。
すなわち、図22(a)の特性線BVR’05は、電気負荷比率RR=0.5の場合、図22(b)の特性線BVR’10はRR=1.0の場合、図22(c)の特性線BVR’30は電気負荷比率RR=3.0の場合での出力電圧Voutの波形を示している。
図22(a)〜(c)において、出力応答波形が定常水準の90[%]に達するまでの時間t3は、いずれも同一値となる。
ここで、図22での時間t3と前述の図19での時間t2との関係は、振幅値が0dBと交差する周波数ωvc3(図21参照)とωvc2(図18参照)との関係「ωvc3<ωvc2」に対応して、t2<t3となる。
しかし、図22(c)の特性線BVR’30は、図19(c)の特性線BVR30に比べて、共振による特性劣化が大幅に抑制されており、電気負荷量Rld_imdが変動しても振動的とはならず、比較的均一で良好な応答波形を実現している。
以上のように、この発明の実施の形態2による電力変換装置1Bによれば、図11および図12の構成で図13の処理動作および設定手続きを実行し、電圧変換装置1Bの動作時に逐次変化する電気負荷量Rld_imdを算出して第1の周波数伝達特性Gvp(s)を表すモデル式に逐次反映させるとともに、モデル式に基づいて出力電圧制御用の電圧制御演算器22Aの係数パラメータKiv、Apvを逐次補正することにより、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因した共振の影響(周波数や振幅の変動)を回避し、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、出力電圧Voutが振動的となるのを防止した出力電圧制御を実現することができる。
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2では、電気負荷3(電気負荷量)の具体的構成について言及しなかったが、図23に示すように、電気機械変換装置51で構成してもよい。
以下、図23〜図25を参照しながら、この発明の実施の形態3について説明する。
図23はこの発明の実施の形態3に係る電圧変換装置1Cを含むシステム全体を一部回路図で示すブロック図であり、前述(図11参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「C」を付して詳述を省略する。
この場合、電圧変換装置1Cに接続される電気負荷として、交流電動機53および電動機制御器54を有する電気機械変換装置51が設けられており、電圧変換装置1Cは、制御装置5Cの一部機能が前述と異なる。
電圧変換装置1Cの電気負荷3として電気機械変換装置51を適用した場合、交流電動機53の動作状態の変化や、交流電動機53に対するフィードバック制御方式の違いにより、制御応答性に相違が生じる。
したがって、電動機制御器54は、交流電動機53の制御応答性の相違に対しても良好な出力電圧制御を実現するために、電気機械変換装置51への実際の供給電流を逐次算出して、電圧変換装置1C内の制御装置5Cに入力するように構成されている。
図23において、電気機械変換装置51は、電圧変換器4の出力端子P、Nに接続されたインバータ52と、インバータ52の3相出力端子U、V、Wに接続された交流電動機53と、インバータ52を制御するためのスイッチング信号Swiを生成する電動機制御器54と、交流電動機53の電機子巻線に流れる電動機電流iacを検出して電動機制御器54に入力する電動機電流検出器55と、交流電動機53の回転角度θを検出して電動機制御器54に入力する回転角検出器56とを備えている。
インバータ52は、電力変換半導体からなる6個の第2のパワー素子(以下、単に「パワー素子」という)からなり、トランジスタ61a〜61fと、各トランジスタ61a〜61fに逆並列接続されたフライホイールダイオード62a〜62fとを備えている。
インバータ52は、各トランジスタ61a〜61fがスイッチング信号SwiでON/OFF制御されることにより、直流電力と交流電力とを相互に変換して出力する。
公知構成からなるインバータ52において、各トランジスタ61a〜61fは、フライホイールダイオード62a〜62fが逆並列接続されて1単位のパワー素子を構成しており、2つのパワー素子が直列接続された3相のアームの中間点は、3相の交流電動機53のU、V、Wの各相電力線の端子に個別に接続されている。
また、インバータ52内の各アームの一端は、電圧変換装置1Cの高電位側の出力端子Pに接続され、各アームの他端は低電位側の出力端子Nに接続されている。
なお、U、V、Wの各相別に、かつ高電位H、低電位Lの接続電位別に順序付ければ、6個のトランジスタ61a〜61fおよびフライホールダイオード62a〜62fは、それぞれ、UH、UL、VH、VL、WH、WLの順序に対応する。
電動機制御器54は、電圧変換器4の出力電圧Vout、電動機電流iacおよび回転角度θに基づいて、交流電動機53に対する制御演算を行い、スイッチング信号Swiを生成してトランジスタ61a〜61fのON/OFFを制御するとともに、インバータ52に流入するインバータ入力電流i_invを算出して制御装置5Cに入力する。
図24は制御装置5Cおよび電動機制御器54の具体的構成を示すブロック図であり、前述(図12参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「C」を付して詳述を省略する。
制御装置5Cは、電気負荷量算出手段37Cにインバータ入力電流i_invが入力されている点を除けば、前述と同一構成である。
図24において、電動機制御器54は、インバータ入力電流i_invを算出して電気負荷量算出手段37Cに入力するインバータ入力電流算出手段63と、電動機電流iacおよび回転角度θに基づいて交流電動機53の制御演算を行う電動機制御演算部64と、電動機制御演算部64からの目標電動機電圧Vac_ref(交流電動機53に対する印加電圧指令)に基づいてスイッチング信号Swiを生成するPWM生成部65とを備えている。
電動機制御器54内において、インバータ入力電流算出手段63は、電圧変換器4の出力電圧Vout、目標電動機電圧Vac_ref、電動機電流iacおよび回転角度θに基づいて、インバータ52の直流側端子でのインバータ入力電流i_invを算出する。
一方、制御装置5C内において、電気負荷量算出手段37Cは、出力電圧Voutと出力電流ioutとの比(=Vout/iout)、または、出力電圧Voutとインバータ入力電流i_invとの比(=Vout/i_inv)、のいずれか一方を電気負荷量Rld_imdとして算出する。
図25はインバータ入力電流算出手段63の具体的構成を示すブロック図である。
図25において、インバータ入力電流算出手段63は、電圧値の処理に関する第1座標変換手段66、第1逆正接算出器67および電圧実効値算出手段68と、電流値の処理に関する第2座標変換手段69、第2逆正接算出器70および電流実効値算出手段71と、第1逆正接算出器67および第2逆正接算出器70からの各角度α、βがなす力率角ψを算出する減算器72と、力率角ψの余弦値cosψを算出する余弦算出器73と、余弦値cosψ、電圧実効値Vac_rmsおよび電流実効値iac_rmsを乗算する乗算器74と、乗算器74の乗算結果を出力電圧Voutで除算してインバータ入力電流i_invを算出する除算器75とを備えている。
インバータ入力電流算出手段63への入力情報のうち、目標電動機電圧Vac_refは第1座標変換手段66に伝達され、電動機電流iacは第2座標変換手段69に伝達され、回転角度θは第1座標変換手段66および第2座標変換手段69に伝達され、出力電圧Voutは除算器75に伝達される。
次に、この発明の実施の形態3による電気機械変換装置51の電動機制御動作について説明する。
まず、図23において、電動機電流検出器55は、交流電動機53の3相の電力線に流れる電動機電流iacの瞬時量を検出して電動機制御器54に入力する。
また、回転角検出器56は、交流電動機53の回転角度θを検出して電動機制御器54に入力する。
電動機制御器54は、以下に述べるような公知の手法(たとえば、ベクトル制御法)にしたがって制御演算を行う。
すなわち、電動機制御器54は、交流電動機53内の電機子巻線に流れる交流の電動機電流iacを、交流電動機53内の回転子が発生する回転磁束に平行な成分と直交する成分とに分解し、各成分が、交流電動機53の出力トルクの目標量から換算される目標電動機電流のうちの、回転磁束に平行な目標電動機電流成分と直交する目標電動機電流成分とに一致するように、インバータ52内のトランジスタ61a〜61fのON(導通)、OFF(開放)をスイッチング制御し、交流電動機53の端子への印加電圧を調整する。
このとき、交流電動機53の回転磁束と同期して回転する直交座標を想定して、回転磁束と平行な座標軸をd軸、回転磁束と直交する座標軸をq軸と称し、電動機電流iacのうち、回転磁束と平行な電流成分をd軸電流、直交する電流成分をq軸電流と称する。
図24において、電動機電流iacおよび回転角度θは、それぞれ、電動機制御器54内のインバータ入力電流算出手段63および電動機制御演算部64に入力される。
電動機制御演算部64は、上記ベクトル制御法にしたがう制御演算を以下のように行う。
まず、電動機制御演算部64は、電動機電流iacおよび回転角度θに基づく座標変換を行い、電動機電流iacからd軸電流idおよびq軸電流iqを算出する。
続いて、電動機制御演算部64は、比例積分(PI)演算などのフィードバック制御演算により、d軸電流idおよびq軸電流iqが、それぞれ対応する電動機電流の目標値であるd軸目標電流id_refおよびq軸目標電流iq_refと一致するように、d軸目標電圧Vd_refおよびq軸目標電圧Vq_refを求める。
最後に、電動機制御演算部64は、逆座標変換を行い、d軸目標電圧Vd_refおよびq軸目標電圧Vq_refから、3相の目標電圧Vu_ref、Vv_refおよびVw_refを算出してPWM生成部65に入力する。
次に、PWM生成部65は、電動機制御演算部64からの3相目標電圧Vu_ref、Vv_ref、Vw_refを搬送波と大小比較し、その大小関係で信号レベルが表現されるパルス幅変調(PWM)によって、トランジスタ61a〜61fをON/OFF動作させるためのスイッチング信号Swiを生成し、電動機制御器54の出力信号とする。
インバータ52内のトランジスタ61a〜61fは、スイッチング信号SwiにしたがってON(導通)動作およびOFF(開放)動作を行い、これにより、交流電動機53の3相電力線の線間への印加電圧が操作される。
このとき、スイッチング信号Swiは、PWMによりほぼ正弦波状にデューティが変化するので、交流電動機53の線間印加電圧もほぼ正弦波状となり、3相電力線に流れる電動機電流iacは、目標電動機電流と振幅および位相が一致するように調整され、交流電動機53は適正に制御されることになる。
ここで、線間印加電圧に対する電動機電流iacの流れ方(応答)は、前述のように、交流電動機53の動作状態によって変化し、また、交流電動機53のフィードバック制御の方式の違いにより目標電動機電流の変化が実際の3相電力線線間電圧の調整結果として現れるまでの周波数伝達特性が異なることから、電気負荷3と見なされる電気機械変換装置51は、電気負荷量Rld_imdが頻繁に変化する特性を有することになる。
したがって、電気負荷量Rld_imdを特定し易くするために、インバータ入力電流算出手段63は、電動機制御器54の内部情報を用いて、インバータ52に流入するインバータ入力電流i_invを算出する。
まず、インバータ52の入力電力Pdcおよび出力電力Pacは、以下の式(9)、式(10)のように表現することができる。
Figure 2007252144
ただし、式(9)、式(10)において、電圧変換装置1Cの出力電圧Voutは、インバータ52の入力電圧に相当する。
また、電圧実効値Vac_rmsは、電動機電圧の実効値に相当し、電流実効値iac_rmsは、電動機電流iacの実効値に相当する。
さらに、余弦値cosψは力率に相当する。
ここで、インバータ52における電力損失が微小であって、インバータ52への入力電力Pdcがそのまま出力電力Pacとして交流電動機53に供給されると見なせる場合、インバータ入力電流i_invは、式(9)、式(10)から、以下の式(11)のように表すことができる。
Figure 2007252144
このように、インバータ入力電流算出手段63は、式(11)からインバータ入力電流i_invを算出する。
次に、インバータ入力電流i_invの算出処理について、さらに詳細に説明する。
図25において、まず、第1座標変換手段66は、目標電動機電圧Vac_refおよび回転角度θから、公知の3相−dq座標変換演算に基づき、目標電動機電圧Vac_refを、回転子が発生する回転磁束に平行な成分と直交する成分とに分解し、d軸電圧指令Vd_refとq軸電圧指令Vq_refとを出力する。
続いて、第1逆正接算出器67は、目標電動機電圧Vac_refのベクトルがq軸との間になす角度αを、以下の式から算出して減算器72に入力する。
α=arctan(Vd_ref/Vq_ref)
また、電圧実効値算出手段68は、電圧実効値Vac_rmsを、以下の式(12)から算出して乗算器74に入力する。
Figure 2007252144
一方、第2座標変換手段69は、電動機電流iacおよび回転角度θから、3相−dq座標変換演算に基づき、d軸電流idおよびq軸電流iqを算出する。
続いて、第2逆正接算出器70は、電動機電流iacのベクトルがq軸との間になす角度βを、以下の式から算出して減算器72に入力する。
β=arctan(id/iq)
また、電流実効値算出手段71は、電流実効値iac_rmsを、以下の式(13)から算出して乗算器74に入力する。
Figure 2007252144
次に、減算器72は、第1逆正接算出器67の演算結果である角度αから第2逆正接算出器70の演算結果である角度βを減算し、目標電動機電圧Vac_refのベクトルと電動機電流iacのベクトルとがなす力率角ψを算出する。
さらに、余弦算出器73は、力率角ψの余弦値cosψ(力率)を演算して乗算器74に入力する。
乗算器74は、電圧実効値Vac_rms、電流実効値iac_rmsおよび余弦値cosψを掛け合わせた値(=Vac_rms×iac_rms×cosψ)を、乗算結果として除算器75に入力する。
最後に、除算器75は、乗算結果Vac_rms×iac_rms×cosψを分子とし、出力電圧Voutを分母として除算を行い、前述の式(11)にしたがって、インバータ入力電流i_invを算出する。
図24に戻り、インバータ入力電流i_invは、制御装置5C内の電気負荷量算出手段37Cに入力される。
電気負荷量算出手段37Cは、出力電圧Voutとインバータ入力電流i_invの比(=Vout/i_inv)、または、出力電圧Voutと出力電流ioutの比(=Vout/iout)のいずれかを選択し、電気負荷量Rld_imdとして算出する。
以下、前述の実施の形態2と同様に、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bは、式(2)内の共振周波数ωp、Q値の項に電気負荷量Rld_imdを反映させて逐次更新し、[条件1]〜[条件3]を満たす電圧制御演算器22Aの係数パラメータApv、Kivを設定する。
また、電圧制御演算器22Aは、[条件1]〜[条件3]を満たす係数パラメータApv、Kivを用いて演算を行い、リミッタ23、飽和判定部24およびPWM生成部25を介したスイッチング信号Swにより出力電圧制御を行う。
なお、電気負荷量算出手段37Cは、常に出力電圧Voutとインバータ入力電流i_invとの比(=Vout/i_inv)を電気負荷量Rld_imdとして算出してもよい。
なぜなら、図23のように電気負荷3として電気機械変換装置51を適用する場合、トランジスタ61a〜61fのスイッチング動作によって電動機電流iacが調整および制御されることから、スイッチングに起因して出力電流ioutにリップル成分が多く含まれることになるので、出力電流ioutに代えてインバータ入力電流i_invを用いて電気負荷量Rld_imdを算出する方が信頼性が向上する可能性があるからである。
この場合、制御装置5C内の出力電流検出器13を省略することができる。
以上のように、電気負荷3として電気機械変換装置51を適用した場合、電気機械変換装置51内の電動機制御器54は、インバータ入力電流算出手段63を有し、出力電圧Voutと、交流電動機53に対する印加電圧指令である目標電動機電圧Vac_refと、電動機電流iacと回転角度θとに基づいて、インバータ52の直流側端子のインバータ入力電流i_invを算出する。
また、制御装置5C内の電気負荷量算出手段37Cは、出力電圧Voutと出力電流ioutとの比、または出力電圧Voutとインバータ入力電流i_invとの比、のいずれかを電気負荷量Rld_imdとして算出する。
これにより、電気負荷量算出手段37Cは、電気機械変換装置51内の交流電動機53の動作状態の変化やフィードバック制御方式の違いに起因した制御応答性の相違にも対応して、電圧変換装置1Cの動作時の電気負荷量Rld_imdを逐次算出し、パワー素子のスイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの電圧変換装置1Cの周波数伝達特性Gvp(s)を表すモデル式に電気負荷量Rld_imdを反映させることができる。
また、電圧変換器出力電圧特性モデル26Bは、電気負荷量Rld_imdが逐次反映されたモデル式に基づいて、出力電圧制御を行う電圧制御演算器22Aの係数パラメータApv、Kivを逐次補正する。
したがって、電圧制御演算器22Aは、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因して周波数や振幅が変動する共振の影響を回避して、出力電圧Voutが振動的となるのを防止するように出力電圧制御を行うことができる。
すなわち、この発明の実施の形態3に係る電圧変換装置1Cによれば、インバータ52および交流電動機53が組み合わされた電気機械変換装置51を電気負荷3として適用した場合に、周波数伝達特性Gvp(s)のモデルを式表現して保有するとともに、動作時における電気負荷量Rld_imdを算出してモデル式に逐次反映させることにより、制御応答性の相違にも対応して、昇圧比率BRによる変化を回避した一律の特性で、出力電圧制御を行うことができる。
なお、上記説明では、インバータ入力電流i_invを得るために、目標電動機電圧Vac_refおよび電動機電流iacを、3相−dq座標変換に基づきd軸成分およびq軸成分に分解した後、目標電動機電圧Vac_refがq軸となす角度α、電動機電流iacがq軸となす角度βを求めて両者の差分(=α−β)により力率角ψを求め、さらに余弦値cosψを算出して力率cosψを算出したが、他の方法で求めてもよい。
たとえば、電動機制御器54内の電動機制御演算部64において、既にd軸電圧指令Vd_ref、q軸電圧指令Vq_ref、d軸電流idおよびq軸電流iqが算出されていれば、インバータ入力電流算出手段63内の第1座標変換手段66および第2座標変換手段69(図25参照)の演算を省略することができる。
また、交流電動機53が発生する機械力と電圧変換装置1Cの出力電圧Voutとに基づき、インバータ入力電流i_invを推定により求めてもよい。
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1〜3では、制御装置5A〜5C内に電圧制御演算器22Aのみを設けたが、図26に示すように、制御装置5D内に、電圧制御演算器22Dと電圧制御演算器22Dに直列接続された電流制御演算器82とを設けてもよい。
以下、図26〜図34を参照しながら、この発明の実施の形態4について説明する。
図26はこの発明の実施の形態4に係る制御装置5Dの具体的構成を示すブロック図であり、前述(図6、図12参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「D」を付して詳述を省略する。
また、制御装置5Dは、たとえば図11に示した電圧変換装置1B内の制御装置5Bに代えて適用される。
図26において、制御装置5Dは、目標出力電圧Vout_refおよび出力電圧Voutに基づいて範囲制限前の目標出力電流iout_refoを算出する電圧制御演算器22Dと、範囲制限後の目標出力電流iout_refおよび出力電流ioutに基づいて範囲制限前のスイッチングデューティDoを算出する電流制御演算器82と、スイッチング信号SwのデューティDから出力電流ioutまでの第1の周波数伝達特性Gcp(s)を表現する電圧変換器出力電流特性モデル26Dとを備えている。
電圧変換器出力電流特性モデル26Dは、入力電圧Vinと、スイッチング信号SwのデューティDと、電圧変換器(図11内の4参照)を構成するリアクトル8のインダクタンス値Lと、電圧変換器を構成する平滑コンデンサ9の容量値Cと、電圧変換器に接続される電気負荷量Rldと、ラプラス演算子sとを用いて、第1の周波数伝達特性Gcp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む前述の式(3)で表現する。
ただし、共振周波数ωp、固有周波数ωoおよびQ値は、前述と同様に以下のように表される。
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld/L
ωo=(1−D)/√(L×C)
Q=(1−D)×Rld×√(C/L)
また、電流制御演算器22Dは、第1の周波数伝達特性Gcp(s)と、目標出力電流iout_refからスイッチングデューティDまでの第2の周波数伝達特性(電流制御演算器82の周波数伝達特性Gcc(s))と、の直列接続で表される一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)が、前述の[条件1]〜[条件3]をすべて満たす制御ゲインを有する。
この場合、制御装置5Dは、出力電流ioutおよび出力電圧Voutの両方を帰還するとともに、電圧制御演算器82を含む出力電流制御系をマイナーループとし、この出力電流制御系と電圧制御演算器22Dを含む出力電圧制御系とを多重ループとして構成し、電圧変換装置(図11内の1B参照)内の電力供給経路の過電流による損壊を容易に防止できるように動作する。
また、式(3)の周波数伝達特性を表すモデル式に基づいて、上記3つの条件を満たすように各制御演算器22D、82の構造、制御ゲイン(制御器の係数パラメータ)を設定することにより、出力電圧Voutの応答性のばらつきおよび振動性を回避し、一律の特性で、かつ、安定となるように動作するようになっている。
具体的には、図26に示す制御装置5Dは、減算器21、電圧制御演算器22D、リミッタ23、飽和判定部24、PWM生成部25および電圧変換器出力電流特性モデル26Dに加えて、電圧制御演算器22Dの出力側に挿入された第2リミッタ88および第2飽和判定部89と、第2リミッタ88の出力側に挿入された減算器81と、減算器81とリミッタ23との間に挿入された電流制御演算器82とを備えている。
電圧制御演算器22Dは、加算器33および比例部34に加えて、前述と異なる積分部32Dを有する。
電流制御演算器82は、電圧制御演算器22Dと同様に、積分入力切替えスイッチ83、積分部84、加算器85および比例部86を有する。
第2飽和判定部89は、飽和判定部24と同様に、減算器90および絶対値演算器91を有する。
制御装置5Dへの入力情報のうち、目標出力電圧Vout_refは、減算器21の加算端子(+)に伝達され、出力電圧Voutは、減算器21の減算端子(−)に伝達され、出力電流ioutは、減算器81の減算端子(−)に伝達され、入力電圧Vinは電圧変換器出力電流特性モデル26Dに伝達される。
制御装置5Dは、出力電流iout、出力電圧Voutおよび目標出力電圧Vout_refに基づいて、出力電流制御および出力電圧制御の演算を行い、電圧変換器4(たとえば、図11参照)内のトランジスタ6a、6bをON/OFF動作させるためのスイッチング信号Swを出力する。
上記動作手順について、まず、マイナーループである出力電流制御系(減算器81、電流制御演算器82およびリミッタ23を含む)の動作から説明する。
出力電流制御系は、出力電流ioutが、出力電圧制御系(減算器21、電圧制御演算器22Dおよび第2リミッタ88を含む)から生成される目標出力電流iout_refと一致するように、出力電流ioutを帰還して制御演算を行い、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6b(図11参照)を動作させるためのスイッチング信号Swを出力する。
すなわち、出力電流制御系の減算器81は、出力電圧制御系内の第2リミッタ88からの目標出力電流iout_refから、出力電流検出器13からの出力電流ioutを減算し、電流偏差Δierr(=iout_ref−iout)を算出して電流制御演算器82に入力する。
続いて、電流制御演算器82は、PI(比例積分)演算動作を実行するために、まず、電流偏差Δierrを積分入力切替えスイッチ83および加算器85に伝達する。
積分入力切替えスイッチ83は、飽和判定部24によるスイッチングデューティDoの飽和判定結果に基づき、電流偏差Δierrまたは固定値「0」を選択して積分部84に入力する。
すなわち、積分入力切替えスイッチ81は、飽和判定結果が、スイッチングデューティDoの飽和状態(実動可能な設定範囲から逸脱した状態)を示すときには、固定値「0」を選択して出力し、スイッチングデューティDoの非飽和状態(設定範囲内の状態)を示すときには、電流偏差Δierrを選択して出力する。
積分部84は、積分入力切替えスイッチ83からの入力値を積分演算して加算器85に入力する。
ここで、積分部84の係数Kic・(1−D)は、スイッチングデューティDに応じて変化する値である。
続いて、加算器85は、電流偏差Δierrと積分部84の出力値との加算値を比例部86に入力し、比例部86は、加算器85からの加算値にさらに係数パラメータApcを乗算し、範囲制限前のスイッチングデューティDoとして出力する。
範囲制限前のスイッチングデューティDoは、リミッタ23および飽和判定部24に入力される。
リミッタ23は、上限値を「1.0」、下限値を「0.0」として、上下限値内に値が収まるように、範囲制限前のスイッチングデューティDoを制限して、最終的なスイッチングデューティDを出力する。
最後に、PWM生成部25は、スイッチングデューティDに基づいて、トランジスタ6a、6bを動作させるためのスイッチング信号Swを生成し、制御装置5Dの出力信号とする。
一方、飽和判定部24内において、減算器35は、リミッタ23の入出力値(各スイッチングデューティDo、D)の減算結果をデューティ偏差ΔDo(=Do−D)として絶対値演算器36に入力する。
絶対値演算器36は、デューティ偏差ΔDoの絶対値を算出し、飽和判定結果の情報として積分入力切替えスイッチ83に入力する。
このとき、電流制御演算器82、リミッタ23および飽和判定部24は、スイッチングデューティが「飽和」を示すときに、積分部84への入力値を「0」に設定して電流偏差Δierrの蓄積を停止するアンチワインドアップ処理を施すよう構成されており、電流偏差Δierrの極性が反転して「飽和」状態を離脱する際も、速やかに反応することができる。
次に、アウターループである出力電圧制御系(減算器21、電圧制御演算器22Dおよび第2リミッタ88を含む)の動作について説明する。
出力電圧制御系は、出力電圧Voutが目標出力電圧Vout_refと一致するように、出力電圧Voutを帰還して制御演算を行い、目標出力電流iout_refを生成して出力電流制御系の減算器81に入力する。
出力電圧制御系において、まず、減算器21は、目標出力電圧Vout_refから出力電圧Voutを減算し、電圧偏差ΔVerr(=Vout_ref−Vout)を算出して電圧制御演算器22Dに入力する。
電圧制御演算器22Dは、PI(比例積分)演算を実行するために、まず、減算器21からの電圧偏差ΔVerrを積分入力切替えスイッチ31および加算器33に伝達する。
積分入力切替えスイッチ31は、第2飽和判定部89による出力電流の過電流制限判定結果に基づき、電圧偏差ΔVerrまたは固定値「0」を選択して積分部32Dに入力する。
すなわち、積分入力切替えスイッチ31は、過電流制限判定結果が、目標出力電流iout_refoの「過電流制限状態」(設定閾値ioutLMTを超過した状態)を示すときには、固定値「0」を選択して出力し、目標出力電流iout_refの「非制限状態」(設定閾値ioutLMT以下の状態)を示すときには、電圧偏差ΔVerrを選択して出力する。
積分部32Dは、積分入力切替えスイッチ31からの入力値を積分演算し、係数パラメータKivを乗算して加算器33に入力する。
続いて、加算器33は、電圧偏差ΔVerrと積分部32Dの出力値との加算値を比例部34に入力する。
比例部34は、加算器33からの加算値にさらに係数パラメータApvを乗算し、範囲制限前の目標出力電流iout_refoとして第2リミッタ88および第2飽和判定部89に入力する。
第2リミッタ88は、電圧変換器4が過電流状態となって損壊しないように、範囲制限前の目標出力電流iout_refoが設定閾値ioutLMTを超える場合には、「過電流制限状態」と見なし、設定閾値ioutLMTに固定設定した値を、範囲制限後の目標出力電流iout_refとして出力する。
また、範囲制限前の目標出力電流iout_refoが設定閾値ioutLMT以下の場合には、変更しない値を、そのまま範囲制限後の目標出力電流iout_refとして出力する。
一方、第2飽和判定部89において、減算器90は、第2リミッタ88の入出力値(各目標出力電流iout_refo、iout_ref)の減算結果を目標出力電流偏差Δioとして絶対値演算器91に入力する。
絶対値演算器91は、目標出力電流偏差Δioの絶対値|Δio|を算出し、過電流制限判定結果の情報として積分入力切替えスイッチ31に入力する。
以上のように、制御装置5Dは、出力電流制御および出力電圧制御の動作を行うが、上記[条件1]〜[条件3]を満たすために、電流制御演算器82内の積分部84の係数パラメータKicおよび比例部86の係数パラメータApcと、電圧制御演算器22D内の積分部32Dの係数パラメータKivおよび比例部34の係数パラメータApvとを適切な値に設定する。
なお、各係数パラメータ値の設定は、前述の式(3)で示されるスイッチングデューティDから出力電流ioutまでの第1の周波数伝達特性Gcp(s)を格納した電圧変換器出力電流特性モデル26Dと、所定の設定手続きとに基づいて行われる。
図27は各係数パラメータの設定手続き(ステップS300〜S311)を示すフローチャートである。
ここで、図27に示したこの発明の実施の形態4による所定の設定手続きの説明に先立って、図28を参照しながら、スイッチングデューティDから出力電流ioutまでの第1の周波数伝達特性Gcp(s)について説明する。
図28は式(3)の周波数伝達特性Gcp(s)の特性を示す説明図であり、インダクタンス値L、容量値C、電気負荷量Rldを固定値としたときのゲイン特性および位相特性を、横軸に周波数、縦軸に振幅および位相をとって示している。
図28(a)のゲイン特性図および図28(b)の位相特性図において、実線、1点鎖線および破線で示す3本の特性線は、前述の図2(a)、(b)に示した周波数伝達特性Gvp(s)と同様に、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」および「5.0」の場合に対応している。
図28(a)のゲイン特性図において、共振周波数ωpの近傍の周波数帯を除けば、昇圧比率BRが低い場合(BR=1.0)の特性線(実線参照)の方が、昇圧比率BRが高い場合(BR=5.0)の特性線(破線参照)よりも振幅が小さくなる。
しかし、共振周波数ωpの近傍においては、昇圧比率BRが低い場合の特性線(実線参照)の方が、昇圧比率BRが高い場合の特性線(破線参照)よりもQ値が大きく、共振による振幅の盛り上がりが目立つ特性となる。
また、共振周波数ωpは、昇圧比率BRが高くなるにつれて、より低い周波数帯に推移する。
このように、インダクタンス値L、容量値Cおよび電気負荷量Rldが固定値で変動しない場合であっても、周波数伝達特性Gcp(s)の特性は、昇圧比率BRによって変化することになる。
したがって、前述(図6参照)の実施の形態1における電圧制御演算器22Aの場合と同様に、周波数伝達特性Gcp(s)を制御対象とする電流制御演算器82の場合も、昇圧比率BRにより変化する特性に対応して、適切な構造および制御ゲイン(係数パラメータApc、Kic)を備えている必要がある。
もし、そうでなければ、出力電流制御の応答がばらついてしまい、オーバーシュートやアンダーシュート、または振動などの不都合が生じてしまう。
そこで、これらの不都合を回避するために、上記[条件1]〜[条件3]を満たすように、式(3)の周波数伝達特性と上記設定手続きとに基づいて、係数パラメータKic、Apc、Kiv、Apvが設定される。
以下、図27を参照しながら、この発明の実施の形態4による係数パラメータの設定手続きについて説明する。
図27において、ステップ301〜S307は、設定対象となる制御器が電圧制御演算器22Aから電流制御演算器82に変更された点を除けば、前述(図7参照)のステップS101〜S107と同様の処理である。
まず、設定手続きを開始すると(ステップS300)、電圧変換装置の動作時における昇圧比率BRの上限BRULIMを算出し(ステップS301)、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLと昇圧比率BR=1.0での共振周波数ωpHとを算出する(ステップS302)。
続いて、電流制御演算器82内の積分部84の係数パラメータKicを、以下のように設定する(ステップS303)。
Kic=10×ωpH
また、昇圧比率BRが「1.0」から上限BRULIMまでの範囲で、式(3)に示す周波数伝達特性Gcp(s)の最大振幅値|Gcp_max|と、最大振幅となるときの周波数ωp_gcp_maxとを算出する(ステップS304)。
次に、最大振幅値|Gcp_max|および共振振幅閾値Gaに関し、最大振幅周波数ωp_gcp_maxにおける電流制御演算器82の振幅値|Gcc|が以下の式(14)の関係を満たすように、電流制御演算器82内の比例部86の係数パラメータApcを設定する(ステップS305)。
Figure 2007252144
ただし、式(14)において、共振振幅閾値Gaは、上記[条件2]における負の所定閾値に相当する。
式(14)を満たすことにより、電流制御演算器82の周波数伝達特性Gcc(s)と制御対象の周波数伝達特性Gcp(s)と、を直列接続した一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の共振周波数帯でのピーク振幅値は、共振振幅閾値Ga以下となるように制約される。
次に、一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の振幅値が、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLよりも低周波数域で、0dBと交差(正から負に変化)しているか否かを判定する(ステップS306)。
ステップS306において、一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の振幅値が0dBと交差していない(すなわち、NO)と判定されれば、電流制御演算器82内の比例部86の係数パラメータApcを刻み量Δaだけ漸減し、「Apc←Apc−Δa」として再設定し(ステップS307)、再びステップS306に進む。
一方、ステップS306において、一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の振幅値が正から負に変化して0dBと交差している(すなわち、YES)と判定されれば、0dBと交差する際の周波数ωccを用いて、電圧制御演算器22D内の積分部32Dの係数パラメータKivを以下のように設定する(ステップS308)。
Kiv=ωcc
続いて、出力電流制御系の閉ループ周波数伝達特性に電気負荷Rldを乗算した特性(目標出力電流iout_refから出力電圧Voutまでの周波数伝達特性)を制御対象とし、これに電圧制御演算器22Dの周波数伝達特性Gcv(s)を直列接続した一巡伝達特性の振幅値が、周波数ωcc/M(M=2〜10)で0dBと交差するように、電圧制御演算器22D内の比例部34の係数パラメータApvを定める(ステップS309)。
ここで、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLよりも低周波数域で、0dBと交差するように係数パラメータApcを調整することは、上記[条件3]を満たすように係数パラメータApcを設定することに相当する。
最後に、設定した係数パラメータApc、Kic、Apv、Kivを用いて、前述の制御動作を実行し(ステップS310)、図27の処理ルーチンを終了する(ステップS311)。
以上の設定手続きにより、[条件2]、[条件3]が満たされることになる。
また、残る[条件1]については、スイッチングデューティDを帰還して、電流制御演算器82内の積分部84の係数パラメータKicに「1−D」を乗算し、電流制御演算器82(PI制御器)の折点周波数ωpi_c(=Kic・(1−D))が、スイッチングデューティDに応じて変化するように構成することで満たされる。
すなわち、式(3)に示されるスイッチングデューティDから出力電流ioutまでの周波数伝達特性Gcp(s)は、「1/(1−D)」を係数として、スイッチングデューティDに応じて変動するので、この変動特性を相殺補償するように折点周波数ωpi_cを変化させればよい。
また、電圧制御演算器22D内の係数パラメータApv、Kivについても、上記設定手続きを用いることにより、目標出力電圧Vout_refから出力電圧Voutまでの周波数伝達特性に関し、2次遅れ要素に起因して内在する共周波数帯でのピーク振幅値が負の所定閾値以下となる。
また、共振周波数よりも低周波数域において振幅値が0dBと交差することから、出力電圧Voutの応答性がばらつくことや振動的となるということがなく一律の特性で、かつ、安定となるように動作させることができる。
なお、制御装置5Dの一部機能を除けば、他の構成要素(電圧変換器4、入力電圧検出器11、出力電圧検出器12、出力電流検出器13)の動作および働きは、前述の実施の形態1の場合と同様である。
次に、図29〜図34を参照しながら、この発明の実施の形態4による電流制御演算器82および電圧制御演算器22Dを適用した場合の特性および作用について、さらに詳細に説明する。
まず、図29および図30を用いて、出力電流制御系に関する特性について説明する。
図29は電流制御演算器82の周波数伝達特性Gcc(s)を示す説明図であり、横軸に周波数をとり、縦軸に、図29(a)のゲイン特性では振幅、図29(b)の位相特性では位相をとって示している。
図29(a)、(b)の各特性図における3本の特性線は、前述と同様に、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示しており、動作時の昇圧比率上限BRULIMを「5.0」として係数パラメータを設定している。
図29(a)のゲイン特性図において、電流制御演算器82(PI制御器)の折点周波数ωpi_cは、スイッチングデューティDに応じて変化し、また、昇圧比率BRもスイッチングデューティDに応じて変化するので、昇圧比率BRによって折点周波数ωpi_cは変化する。
また、図29(a)から明らかなように、振幅値|Gcc|は、折点周波数ωpi_cよりも低周波数域では、昇圧比率BRによって異なる値となるが、折点周波数ωpi_cよりも高周波数域では、昇圧比率BRによらず均一の振幅値となる。
このとき、電流制御演算器82の周波数伝達特性Gcc(s)と、制御対象の周波数伝達特性Gcp(s)と、を直列接続した一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)は、図30に示されるようになる。
図30(a)、(b)は、前述と同様に、ゲイン特性図および位相特性図を示す説明図であり、それぞれ、横軸に周波数、縦軸に振幅および位相をとっている。
また、図30(a)、(b)の各特性図における3本の特性線は、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
図30(a)のゲイン特性図において、共振ピークの振幅は、昇圧比率BRの値によらず、負の所定閾値Ga[dB]以下であり、いずれも共振周波数ωpよりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差している。
また、共振周波数ωpよりも低周波数域においては、昇圧比率BRの値によらず、均一の特性となり、振幅値が0dBと交差する周波数ωccも単一の値である。
以上により、上記[条件1]〜[条件3]のすべてを満たしていることが分かる。
次に、図31〜図34を用いて、出力電圧制御系の制御対象である目標出力電流iout_refから出力電圧Voutまでの周波数伝達特性について説明する。
図31は制御対象の周波数伝達特性Gvp(s)を示す説明図であり、この特性は、図30に示した出力電流制御系の一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)に対して閉ループ構成としたうえで、電気負荷量Rldを乗算した特性に相当している。
図31(a)、(b)のゲイン特性図および位相特性図において、3本の特性線は、前述と同様に、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
図31(a)のゲイン特性図から明らかなように、共振周波数ωpの近傍周波数帯よりも高周波数域では、昇圧比率BRが低い場合の特性線(実線参照)の方が、昇圧比率BRが高い場合の特性線(破線参照)よりも振幅が小さく、共振周波数ωpの近傍周波数帯よりも低周波数域では、昇圧比率BRによらず振幅は一定となる。
また、共振周波数ωpの近傍では、昇圧比率BRが低い場合の特性線(実線参照)の方が、昇圧比率BRが高い場合の特性線(破線参照)よりもQ値が大きく、共振による振幅の盛り上がりが目立つ。また、昇圧比率BRが高くなるにつれて、共振周波数ωpは、より低い周波数帯に推移する。
また、図31(b)の位相特性図では、図28(b)の位相特性図に比べて、全体に位相の遅れ量が大きく、低周波数域から共振周波数ωpにかけて、0[度]〜−90[度]の遅れ量を有し、また、共振周波数ωpにおいては、−270[度]よりもさらに大きく遅れている。
図31の特性を有する制御対象に対し、この発明の実施の形態4による電圧制御演算器22Dの特性は、図32のようになる。
図32(a)、(b)は電圧制御演算器22Dの周波数伝達特性Gcv(s)を示す説明図であり、横軸に周波数、縦軸に振幅および位相をとっている。
図32において、電圧制御演算器22D(PI制御器)の折点周波数ωpi_vは、固定値(=ωcc)となる。
また、図32(a)のゲイン特性図から明らかなように、振幅についても、係数パラメータApv、Kivをともに固定値とすることから、昇圧比率BRやスイッチングデューティDによらず変化しない。
図33は一巡伝達特性Gcv(s)・Gvp(s)を示す説明図であり、図32に示す電圧制御演算器22Dの特性Gcv(s)と、図31に示す制御対象の特性Gvp(s)と、を直列接続した特性を示している。
図33(a)、(b)のゲイン特性図および位相特性図においては、前述と同様に、横軸に周波数、縦軸に振幅および位相をとっており、各3本の特性線は、それぞれ、昇圧比率BRが「1.0」、「3.0」、「5.0」の場合を示している。
図33(a)のゲイン特性図において、出力電圧制御系の一巡伝達関数Gcv(s)・Gvp(s)に関しても、共振ピークの振幅は負の所定閾値Ga[dB]以下であり、いずれも共振周波数ωpよりも低周波数域で振幅値が0dBと交差している。
また、共振周波数ωpよりも低周波数域では、昇圧比率BRの値によらず均一の特性となり、振幅値が0dBと交差する周波数ωvc4も単一の値である。
図34(a)〜(c)は前述の図10(a)〜(c)と同様に時間応答特性を示す説明図であり目標出力電圧Vout_refがステップ状に変化した場合に、出力電圧Voutが追従するときの挙動を示している。
図34(a)の特性線BC5は、目標出力電圧Vout_refが、昇圧比率BR=1.0の相当値からBR=5.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
また、図34(b)の特性線BC3は、目標出力電圧Vout_refが、昇圧比率BR=1.0の相当値からBR=3.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示し、図34(c)の特性線BC1は、目標出力電圧Vout_refが、昇圧比率BR=2.0の相当値からBR=1.0の相当値に変化した場合の出力電圧Voutの波形を示す。
図34(a)〜(c)において、各特性線BC5、BC3、BC1の出力電圧波形が定常水準の90[%]に達するまでの時間t4は、昇圧比率BRが異なるにもかかわらず同一値となる。また、いずれの昇圧比率BRであっても、振動的とならず、均一で良好な応答波形となる。
以上のように、この発明の実施の形態4による制御装置5Dは、出力電圧Voutが目標出力電圧Vout_refと一致するように出力電圧Voutおよび出力電流ioutを帰還制御し、電圧変換器4内のパワー素子の各トランジスタ6a、6bに対するスイッチング信号Swを出力するために、目標出力電流iout_refを算出する電圧制御演算器22Dと、スイッチングデューティDを算出する電流制御演算器82と、式(3)の周波数伝達特性Gcp(s)を表現する電圧変換器出力電流特性モデル26Dとを備え、電流制御演算器82は、周波数伝達特性Gcp(s)と、第2の周波数伝達特性Gcc(s)と、の直列接続で表される一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)が、[条件1]〜[条件3]のすべてを満たす制御ゲインを有する。
これにより、実験的データ算出による多大な工数を要さずに、出力電圧Voutおよび出力電流ioutを帰還する出力電流制御系および出力電圧制御系を多重ループ構成とすることができ、出力電圧制御が破綻することなく出力電流ioutを上限内に制限して、電圧変換装置内の電力供給経路の過電流による損壊の防止を容易とすることができる。
また、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように、出力電流制御および出力電圧制御を行うことができる。
さらに、電流制御演算器82は、スイッチングデューティDに基づいて折点周波数ωpi_cを調整するPI制御器により構成されていることから、電圧制御演算器22Dと同様に、簡易なPI制御器を用いて実装することができるので、低コストで演算負荷量を軽減しつつ、昇圧比率によって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように出力電流制御、および、出力電圧制御を行う電圧変換装置を実現することができる。
実施の形態5.
なお、上記実施の形態4では、電圧変換器4の出力電流特性モデルに関連する電気負荷量Rldを一定値として周波数伝達特性Gcp(s)を求めたが、図35に示すように、出力電圧Voutおよび出力電流ioutの各検出値に基づいて、逐次変化する電気負荷量Rld_imdを算出する電気負荷量算出手段37Bを設け、実際の電気負荷量Rld_imdに基づいて周波数伝達特性Gcp(s)を求めてもよい。
以下、図35および図36を参照しながら、この発明の実施の形態5について説明する。
図35はこの発明の実施の形態5に係る制御装置5Eの具体的構成を示すブロック図であり、前述(図12参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「E」を付して詳述を省略する。
図35において、制御装置5Eは、たとえば図11に示した電圧変換装置1B内の制御装置5Bに代えて適用される。
図35の構成は、上記実施の形態4(図26)の構成に、前述(図12)と同様の電気負荷量算出手段37Bを挿入したものであり、電圧変換器出力電流特性モデル26Eは、式(3)ではなく、前述の式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)を格納している。
図35において、出力電流ioutおよび出力電圧Voutを帰還し、出力電流制御系をマイナーループとして、出力電流制御系および出力電圧制御系の多重ループ構成とし、電圧変換装置内の電力供給経路の過電流による損壊を容易に防止し、[条件1]〜[条件3]を満たすように制御器の構造および制御ゲイン(係数パラメータ)を設定する点は、上記実施の形態4と同様である。
すなわち、減算器81、電流制御演算器82、リミッタ23および飽和判定部24からなる出力電流制御系と、減算器21、電圧制御演算器22D、第2リミッタ88および第2飽和判定部89からなる出力電圧制御系とは、前述と同様に動作し、出力電流制御系をマイナーループとする多重ループ構成の制御演算によりスイッチングデューティDを算出し、PWM生成部25でのパルス幅変調(PWM)により、電圧変換器4内のトランジスタ6a、6bを動作させるスイッチング信号Swを生成する。
ただし、この場合、電気負荷量算出手段37Bを設けることにより、電圧変換装置の出力電圧Voutと出力電流ioutに基づいて電気負荷量Rld_imdを算出し、電圧変換器出力電流特性モデル26Eに格納される周波数伝達特性Gcp(s)(スイッチングデューティから出力電圧までの周波数伝達特性)に対して、逐次算出される電気負荷量Rld_imdの変化を反映させている。
これにより、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因した周波数変動による共振の影響を回避して、出力電圧Voutが振動的となるのを防止した出力電圧制御を実現している。
図35内の制御装置5Eは、前述と同様の電圧制御演算器22Dおよび電流制御演算器82に加えて、出力電圧Voutと出力電流ioutとの比を電気負荷量Rld_imdとして算出する電気負荷量算出手段37Bと、スイッチングデューティDから出力電流ioutまでの第1の周波数伝達特性Gcp(s)を表現する電圧変換器出力電流特性モデル26Eとを備えている。
電圧変換器出力電流特性モデル26Eは、入力電圧Vinと、スイッチングデューティDと、電圧変換器4(図11参照)を構成するリアクトル8のインダクタンス値Lと、電圧変換器4を構成する平滑コンデンサ9の容量値Cと、電圧変換器4に接続される電気負荷量Rld_imdと、ラプラス演算子sとを用いて、第1の周波数伝達特性Gcp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む前述の式(4)で表現する。
ただし、共振周波数ωp、固有周波数ωoおよびQ値は、前述と同様に以下のように表される。
ωp=(1−D)×(1−D)×Rld_imd/L
ωo=(1−D)/√(L×C)、
Q=(1−D)×Rld_imd×√(C/L)
式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)は、逐次算出される電気負荷量Rld_imdの変化を反映して逐次更新され、電流制御演算器82は、式(4)の周波数伝達特性Gvp(s)と、目標出力電流iout_refからスイッチングデューティDまでの第2の周波数伝達特性Gcc(s)と、の直列接続で表される一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)が、[条件1]〜[条件3]のすべてを満たす制御ゲインを有する。
前述と同様に、電気負荷量Rld_imdが変化すると、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)も変化するので、電流制御演算器82の係数パラメータKic、Apcや、電圧制御演算器22Dの係数パラメータKiv、Apvが固定値のままでは、[条件1]〜[条件3]を満たさない場合が生じ得る。
よって、電気負荷量Rld_imdの変化に応じて係数パラメータKic、Apc、Kiv、Apvの設定値を更新する必要がある。
次に、図11を参照しながら、図35に示したこの発明の実施の形態5による動作について説明する。
まず、出力電流検出器13からの出力電流ioutは、出力電圧検出器12からの出力電圧Voutとともに、電気負荷量算出手段37Bに入力される。
電気負荷量算出手段37Bは、出力電圧Voutと出力電流ioutとの比(=Vout/iout)を電気負荷量Rld_imdとして算出し、電圧変換器出力電流特性モデル26Eに入力する。
電圧変換器出力電流特性モデル26Eは、式(4)に電気負荷量Rld_imdを反映させて、周波数伝達特性Gcp(s)を逐次更新する。
すなわち、電気負荷量Rld_imdが変化した場合には、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)も変化することから、電流制御演算器82の係数パラメータKic、Apcを固定値にすると[条件1]〜[条件3]を満たさない場合が生じ得るので、各条件を満たすか否かを判定し、満たさない場合には適切値となるように逐次修正する。
各係数パラメータの修正動作は、電圧変換器出力電流特性モデル26Eと、所定の設定手続きとに基づいて、図36のように実行される。
次に、図36を参照しながら、この発明の実施の形態5による動作について、さらに詳細に説明する。
図36はこの発明の実施の形態5による設定手続きを示すフローチャートであり、各処理手順をステップS400〜S415で示している。
また、ステップ408およびS409は、前述(図13参照)のステップS207およびS208と同様に、係数補正手段を構成している。
図36において、まず、設定手続きの実行が初回の場合には、ステップS400から処理を開始し、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)に対して、定格電気負荷量Rld_rtにおける定格係数パラメータApc_rt、Kic_rt、Apv_rt、Kiv_rtを設定する(ステップS401)。
なお、ステップS401は、前述(図27)の手続き(ステップS300〜S309)にしたがって実行される。
次に、算出係数パラメータApc_imd、係数パラメータKic、算出係数パラメータApv_imdおよびKiv_imdとして、ぞれぞれ、ステップS401で求めた定格係数パラメータApc_rt、Kic_rt、Apv_rt、Kiv_rtを設定し、また、前回電気負荷量Rld_oldとして、ステップS401で求めた定格電気負荷量Rld_rtを設定して(ステップS402)、後述のステップS405に進む。
一方、設定手続きの実行が初回ではなく2度目以降の場合には、ステップS403から処理を開始する。
この場合、まず、前回電気負荷量Rld_oldとして、前回の設定手続き実行周期時の電気負荷量Rld_imdを設定し(ステップS404)、ステップS405に進む。
ステップS405においては、現在の電気負荷量Rld_imdと、前回の設定手続き実行周期時の電気負荷量Rld_oldとの比率(=Rld_imd/Rld_old)を算出し、算出係数パラメータApc_imdを、「Apc_imd←Apc_imd×(Rld_imd/Rld_old)」として更新設定する。
次に、電気負荷量算出手段37Bが逐次出力する現在の電気負荷量Rld_imdが前回値Rld_old以下であるか否かを判定し(ステップS406)、Rld_imd>Rld_old(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS408(係数補正手段)に進む。
一方、ステップS406において、Rld_imd≦Rld_old(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、制御応答速度を上げる必要が有るか否かを判定し(ステップS407)、制御応答速度を上げる必要が有る(すなわち、YES)と判定されれば、ステップS408(係数補正手段)に進み、制御応答速度を上げる必要がない(すなわち、NO)と判定されれば、後述のステップS412に進む。
すなわち、式(4)において、電気負荷量Rld_imdが減少すると、周波数伝達特性Gcp(s)のQ値も減少し、共振周波数ωpにおける振幅値|Gcp|も減少するので、[条件2]を満たすように設定される比例部86の係数パラメータApcの値を増大させて制御応答速度を上げることも可能となる。
そこで、上記のように、制御応答速度の増大の要否を判定し、必要であればステップS408に進み、必要でなければステップS412に進む。
ステップS408においては、現在の電気負荷量Rld_imdに関し、昇圧比率BRが「1.0」から動作時の昇圧比率上限BRULIMまでの範囲で、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)の最大振幅値|Gcp_max_imd|と、最大振幅となるときの周波数ωp_gcp_max_imdとを算出する。
続いて、最大振幅値|Gcp_max_imd|および共振振幅閾値Gaに関して、最大振幅周波数ωp_gcp_max_imdでの電流制御演算器82の振幅値|Gcc|が、以下の式(15)の関係を満たすように、比例部86の算出係数パラメータApc_imdを更新設定する(ステップS409)。
Figure 2007252144
このことは、[条件2]を満たすように、電気負荷量Rld_imdの変化に対応して算出係数パラメータApc_imdを操作し、最大振幅となる周波数での電圧制御演算器22Dの振幅値|Gcc|を決定することに相当する。
次に、電流制御演算器82と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の振幅値が、昇圧比率上限BRULIMでの共振周波数ωpLよりも低周波数域で、正から負に変化して0dBと交差しているか否かを判定する(ステップS410)。
ステップS410において、一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の振幅値が共振周波数ωpLよりも低周波数域で0dBと交差していない(すなわち、NO)と判定されれば、算出係数パラメータApc_imdを刻み量Δaだけ漸減して、「Apc_imd←Apc_imd−Δa」として再設定し(ステップS411)、再びS410に進む。
一方、ステップS410において、一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)の振幅値が共振周波数ωpLよりも低周波数域で0dBと交差している(すなわち、YES)と判定されれば、0dBと交差する際の周波数ωcc_imdを用いて、電圧制御演算器22Dの積分部32Dの算出係数パラメータKiv_imdを、以下のように設定する(ステップS412)。
Kiv_imd=ωcc_imd
続いて、出力電流制御系の閉ループ周波数伝達特性に電気負荷量Rld_imdを乗算した特性(目標出力電流iout_refから出力電圧Voutまでの周波数伝達特性)を制御対象とし、これに電圧制御演算器周波数伝達特性Gcvを直列接続した一巡伝達特性の振幅値が、周波数ωcc_imd/M(M=2〜10)にて0dBと交差するように、電圧制御演算器22D内の比例部34の算出係数パラメータApv_imdを定める(ステップS413)。
最後に、各係数パラメータApc、ApvおよびKivを、それぞれ、算出係数パラメータApc_imd、Apv_imdおよびKiv_imdと設定し、最終設定された係数パラメータApc、Kic、Apv、Kivを用いて制御演算を行い(ステップS414)、図36の処理ルーチンを終了する(ステップS415)。
以上の設定手続きにより、[条件2]および[条件3]が満たされる。
また、残る[条件1]については、スイッチングデューティDを帰還して電流制御演算器82内の積分部84の係数パラメータKicに(1−D)を乗算することにより満たされる。
なお、上記係数パラメータの設定手続きのうち、ステップS408およびS409については、前述(図14参照)のステップS213およびS214と同様の考え方を導入することにより、演算を省略化することもできる。
すなわち、定格電気負荷量Rld_rtに対する現在の電気負荷量Rld_imdの比率に基づき、変化する最大振幅値|Gcp_max_imd|に対応して、定格係数パラメータApc_rtに対する補正係数を格納した補正係数テーブルをあらかじめ設定し、現在の電気負荷量Rld_imdに対応した補正係数を定格係数パラメータApc_rtに乗算して、算出係数パラメータApc_imdとすればよい。
以上のように、この発明の実施の形態5による制御装置5Eは、出力電圧Voutが目標出力電圧Vout_refと一致するように出力電圧Voutおよび出力電流ioutを帰還制御し、電圧変換器4内のパワー素子の各トランジスタ6a、6bに対するスイッチング信号Swを出力するために、電気負荷量Rld_imdを算出する電気負荷量算出手段37Bと、目標出力電流iout_refを算出する電圧制御演算器22Dと、スイッチングデューティDを算出する電流制御演算器82と、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)を表現する電圧変換器出力電流特性モデル26Eとを備えている。
電圧変換器出力電流特性モデル26Eは、スイッチングデューティDから出力電流ioutまでの電圧変換装置1B(図11参照)の周波数伝達特性Gcp(s)のモデルを式表現して保有しており、電気負荷量算出手段37Bは、電圧変換装置1Bの動作時における電気負荷量Rld_imdを算出して式表現のモデルに逐次反映させる。
すなわち、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)は、逐次算出される電気負荷量Rld_imdの変化を反映して逐次更新される。
また、電流制御演算器82は、式(4)の周波数伝達特性Gcp(s)と、目標出力電流iout_refからスイッチングデューティDまでの第2の周波数伝達特性Gcc(s)と、の直列接続で表される一巡伝達特性Gcc(s)・Gcp(s)が、[条件1]〜[条件3]のすべてを満たす制御ゲインを有する。
これにより、実験的データ算出による多大な工数を要さずに、出力電圧Voutと出力電流ioutを帰還し、出力電流制御系および出力電圧制御系を多重ループ構成とすることができ、出力電圧制御が破綻することなく出力電流ioutを上限内に制限して、電圧変換装置内の電力供給経路の過電流による損壊を容易に防止することができる。
また、動作時の電気負荷量Rld_imdを周波数伝達特性Gcp(s)のモデル式に反映させるとともに、このモデル式に基づいて出力電流制御および出力電圧制御を行う各制御演算器22D、82の係数パラメータKiv、Apv、Kic、Apcを逐次補正することにより、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように出力電圧制御を行うことができる。
さらに、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因した周波数変動による共振の影響を回避して、出力電圧Voutが振動的となるのを防止するように出力電流制御および出力電圧制御を行う電圧変換装置を提供することができる。
実施の形態6.
なお、上記実施の形態5では、電気負荷量Rld_imdの具体例について言及しなかったが、前述の図23に示すように、電気機械変換装置51で構成してもよい。
以下、図23とともに図37を参照しながら、この発明の実施の形態6について説明する。
図37はこの発明の実施の形態6に係る制御装置5Fを示すブロック図であり、前述(図24、図35参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「F」を付して詳述を省略する。
なお、電圧変換装置を含むシステム全体の構成は、図23内の制御装置5Cに代えて制御装置5Fを設けた点を除けば、前述(図23)と同様である。
また、制御装置5Fは、図35内の電気負荷量算出手段37Bに代えて、電気負荷量算出手段37Cを設けた点を除けば、前述(図37)と同様である。
この場合、電圧変換装置に接続される電気負荷として、図23に示す電気機械変換装置51が設けられており、制御装置5Fの一部機能が前述(図35)と異なる。
すなわち、図23に示すように、電気負荷量Rld_imdを発生する電気負荷は、電気機械変換装置51により構成され、電気機械変換装置51は、インバータ52と、交流電動機53と、回転角検出器56と、電動機電流検出器55と、電動機制御器54とを備えている。
図37において、電動機制御器54は、前述と同様に、インバータ入力電流算出手段63を含み、インバータ入力電流算出手段63は、出力電圧Vout、目標電動機電圧Vac_ref、電動機電流iacおよび回転角度θに基づいて、インバータ入力電流i_invを算出する。
また、制御装置5F内の電気負荷量算出手段37Cは、出力電圧と出力電流との比、または出力電圧とインバータ入力電流との比、のいずれかを電気負荷量Rld_imdとして算出する。
さらに、前述のように、交流電動機53の動作状態やフィードバック制御方式の違いにより生じる制御応答性の相違に対応して良好な出力電圧制御を実現するために、実際のインバータ入力電流i_invを逐次算出して、電圧変換装置内の制御装置5Fに入力している。
電動機制御器54は、前述の式(11)からインバータ入力電流i_invを算出して制御装置5Fに入力する。
電気負荷量算出手段37Cは、出力電圧Vout、出力電流iout、インバータ入力電流i_invを入力情報として、出力電圧Voutとインバータ入力電流i_invとの比(=Vout/i_inv)、または、出力電圧Voutと出力電流ioutとの比(=Vout/iout)のいずれかを選択し、電気負荷量Rld_imdとして算出する。
電圧変換器出力電流特性モデル26Eは、前述の式(4)に電気負荷量Rld_imdを反映させる。
以下、上記実施の形態5と同様の設定手続きにより、[条件1]〜[条件3]を満たす電流制御演算器82の係数パラメータApc、Kicを逐次更新して設定し、さらに、アウターループである電圧制御演算器22Dの係数パラメータApv、Kivを逐次更新して設定し、これらの係数パラメータを用いて制御演算を行う。
以上のように、この発明の実施の形態6による電圧変換装置は、電気負荷として電気機械変換装置51を適用した場合に、交流電動機53の動作状態の変化や交流電動機53のフィードバック制御方式の違いによって生じる制御応答性の相違にも対応し、動作時における電気負荷量Rld_imdに応じて、出力電圧制御を行う各制御演算器22D、82の係数パラメータを逐次補正する。
これにより、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因した周波数や振幅の変動による共振の影響を回避して、出力電圧Voutが振動的となるのを防止した出力電圧制御を実現することができる。
また、出力電圧Voutおよび出力電流ioutを帰還するとともに、出力電流制御系および出力電圧制御系を多重ループ構成とすることにより、出力電圧制御が破綻することなく出力電流ioutを上限内に制限して、電圧変換装置内の電力供給経路の過電流による損壊を容易に防止することができる。
なお、上記実施の形態1〜6は、この発明の好適な実施の形態として例示したものであり、必ずしも上記形態通りの構成、動作、設定手続きに限定されるものではなく、この発明の範囲内に属する他の構成、動作、設定手続きによって実現されてもよい。
この発明によれば、従来例のような実験的データ算出による多大な工数を要さずに、パワー素子のスイッチングデューティDから出力電圧Voutまでの電圧変換装置1A、1B、1Cの周波数伝達特性を表すモデル式に基づいて、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、電力変換系の共振による応答性の劣化を回避するように、出力電圧制御を行う電圧変換装置を提供することができる。
また、電圧制御演算器22A、22Dとして簡易なPI制御器を用いることにより、演算負荷量を軽減した低コスト製品で電圧変換装置を提供することができる。
また、動作時における電気負荷量Rld_imdを算出して上記モデル式に逐次反映させることにより、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因した周波数や振幅の変動による共振の影響を回避し、出力電圧Voutが振動的となるのを防止するように出力電圧制御を行う電圧変換装置を提供することができる。
さらに、電気負荷3として、インバータ52と交流電動機53が組合された電気機械変換装置51を適用した場合にも、電気機械変換装置51の動作原理に基づいて、動作時における電気負荷量Rld_imdを算出して上記式表現のモデルに逐次反映させることにより、交流電動機53の動作状態の変化やフィードバック制御方式の違いによって生じる制御応答性の相違にも対応して、昇圧比率BRによって変化することなく一律の特性で、かつ、昇圧比率BRの変化や電気負荷量Rld_imdの変化に起因した周波数の変動による共振の影響を回避して、出力電圧Voutが振動的となるのを防止するように出力電圧制御を行う電圧変換装置を提供することができる。
また、出力電圧Voutおよび出力電流ioutを帰還するとともに、制御系を出力電流制御系および出力電圧制御系の多重ループ構成とし、また、スイッチングデューティDから出力電流ioutまでの電圧変換装置の周波数伝達特性を表すモデル式に基づいて各制御演算器22D、82を構成することにより、出力電圧制御が破綻することなく出力電流ioutを上限内に制限して、電圧変換装置内の電力供給経路の過電流による損壊を容易に防止しつつ、上記各種効果を有する電圧変換装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1に係る電圧変換装置を含むシステム全体構成を一部回路図で示すブロック図である。 この発明の実施の形態1に係る電圧変換装置による式(1)の周波数伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による係数パラメータを固定とした電圧制御演算器の特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る電圧制御演算器と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る電圧制御演算器を用いた場合の出力電圧の時間応答波形を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る制御装置の詳細構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による係数パラメータの設定手続きを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による所定の設定手続きにしたがい係数パラメータが設定された電圧制御演算器の特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る電圧制御演算器と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る電圧制御演算器を用いた場合の出力電圧の時間応答波形を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電圧変換装置を含むシステム全体構成を一部回路図で示すブロック図である。 この発明の実施の形態2に係る制御装置の詳細構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2による係数パラメータの設定手続きを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による係数パラメータの設定手続きの他の例を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による係数パラメータの設定手続きの動作を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電圧変換装置による式(2)の周波数伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態2による定格電気負荷量に対して係数パラメータを設定した電圧制御演算器の特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電圧制御演算器と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電圧制御演算器を用いた場合の出力電圧の時間応答波形を示す説明図である。 この発明の実施の形態2による所定の設定手続きにしたがい係数パラメータが設定された電圧制御演算器の特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電圧制御演算器と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電圧制御演算器を用いた場合の出力電圧の時間応答波形を示す説明図である。 この発明の実施の形態3に係る電圧変換装置を含むシステム全体構成を一部回路図で示すブロック図である。 この発明の実施の形態3に係る制御装置および電動機制御器の詳細構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3によるインバータ入力電流算出手段の詳細構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4に係る制御装置の詳細構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4による係数パラメータの設定手続きを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態4に係る電圧変換装置による式(3)の周波数伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態4による所定の設定手続きにしたがい係数パラメータが設定された電流制御演算器の特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態4に係る電流制御演算器と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態4による目標出力電流から出力電圧までの周波数伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態4による所定の設定手続きにしたがい係数パラメータが設定された電圧制御演算器の特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態4に係る電圧制御演算器と制御対象とを直列接続した一巡伝達特性を示す説明図である。 この発明の実施の形態4に係る電流制御演算器および電圧制御演算器を用いた場合の出力電圧の時間応答波形を示す説明図である。 この発明の実施の形態5に係る制御装置の詳細構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態5による係数パラメータの設定手続きを示すフローチャートである。 この発明の実施の形態6に係る制御装置および電動機制御器の詳細構成を示すブロック図である。
符号の説明
1A〜1C 電圧変換装置、3 電気負荷、4 電圧変換器、5A〜5F 制御装置、6a、6b トランジスタ、7a、7b フライホイールダイオード、8 リアクトル、9 平滑コンデンサ、11 入力電圧検出器、12 出力電圧検出器、13 出力電流検出器、21 減算器、22A、22D 電圧制御演算器、23 リミッタ、24 飽和判定部、25 PWM生成部、26A、26B 電圧変換器出力電圧特性モデル、26D、26E 電圧変換器出力電流特性モデル、31 積分入力切替えスイッチ、32A、32D 積分部、33 加算器、34 比例部、35 減算器、36 絶対値演算器、37B、37C 電気負荷量算出手段、51 電気機械変換装置、52 インバータ、53 交流電動機、54 電動機制御器、55 電動機電流検出器、56 回転角検出器、61a〜61f トランジスタ、62a〜62f フライホイールダイオード、63 インバータ入力電流算出手段、64 電動機制御演算部、65 PWM生成部、81 減算器、82 電流制御演算器、83 積分入力切替えスイッチ、84 積分部、85 加算器、86 比例部、88 第2リミッタ、89 第2飽和判定部、90 減算器、91 絶対値演算器。

Claims (8)

  1. 直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
    前記出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
    前記入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
    電力変換半導体からなるパワー素子を有し、前記パワー素子のスイッチングにより前記入力端子と前記出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
    前記出力電圧が前記目標出力電圧と一致するように前記出力電圧を帰還制御し、前記パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記目標出力電圧と前記出力電圧との電圧偏差に基づいて前記スイッチング信号のデューティを算出する電圧制御演算器と、
    前記スイッチング信号のデューティから前記出力電圧までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電圧特性モデルとを備え、
    前記電圧変換器出力電圧特性モデルは、前記入力電圧Vinと、前記スイッチング信号のデューティDと、前記電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、前記電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、前記電圧変換器に接続される電気負荷量Rldと、ラプラス演算子sとを用いて、前記第1の周波数伝達特性Gvp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
    Figure 2007252144
    ただし、
    ωp=(1−D)×(1−D)×Rld/L、
    ωo=(1−D)/√(L×C)、
    Q=(1−D)×Rld×√(C/L)、
    で表現し、
    前記電圧制御演算器は、前記第1の周波数伝達特性と、前記目標出力電圧から前記スイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
    [条件1]前記目標出力電圧が変動する周波数領域において、前記入力電圧と前記出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
    [条件2]前記2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
    [条件3]前記2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
    をすべて満たす制御ゲインを有することを特徴とする電圧変換装置。
  2. 前記電圧制御演算器は、前記スイッチング信号のデューティに基づいて折点周波数を調整するPI制御器により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電圧変換装置。
  3. 直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
    前記出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
    前記入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
    前記出力端子での出力電流を検出する出力電流検出器と、
    電力変換半導体からなるパワー素子を有し、前記パワー素子のスイッチングにより前記入力端子と前記出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
    前記出力電圧が前記目標出力電圧と一致するように前記出力電圧を帰還制御し、前記パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記出力電圧と前記出力電流との比を電気負荷量として算出する電気負荷量算出手段と、
    前記目標出力電圧と前記出力電圧との電圧偏差に基づいて前記スイッチング信号のデューティを算出する電圧制御演算器と、
    前記スイッチング信号のデューティから前記出力電圧までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電圧特性モデルとを備え、
    前記電圧変換器出力電圧特性モデルは、前記入力電圧Vinと、前記スイッチング信号のデューティDと、前記電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、前記電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、前記電圧変換器に接続される電気負荷量Rld_imdと、ラプラス演算子sとを用いて、前記第1の周波数伝達特性Gvp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
    Figure 2007252144
    ただし、
    ωp=(1−D)×(1−D)×Rld_imd/L、
    ωo=(1−D)/√(L×C)、
    Q=(1−D)×Rld_imd×√(C/L)、
    で表現し、
    前記第1の周波数伝達特性は、逐次算出される前記電気負荷量の変化を反映して逐次更新され、
    前記電圧制御演算器は、前記第1の周波数伝達特性と、前記目標出力電圧から前記スイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
    [条件1]前記目標出力電圧が変動する周波数領域において、前記入力電圧と前記出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
    [条件2]前記2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
    [条件3]前記2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
    をすべて満たす制御ゲインを有することを特徴とする電圧変換装置。
  4. 前記電気負荷量は、電気機械変換装置により構成され、
    前記電気機械変換装置は、
    電力変換半導体からなる第2のパワー素子を有し、前記第2のパワー素子のスイッチングにより直流電力と交流電力とを相互に変換して出力するインバータと、
    前記インバータに接続された交流電動機と、
    前記交流電動機の回転角度を検出する回転角検出器と、
    前記交流電動機の電機子巻線に流れる電動機電流を検出する電動機電流検出器と、
    前記交流電動機に対する制御演算に基づいて前記第2のパワー素子のスイッチングを制御する電動機制御器とを備え、
    前記電動機制御器は、インバータ入力電流算出手段を含み、
    前記インバータ入力電流算出手段は、前記出力電圧、前記交流電動機に対する印加電圧指令、前記電動機電流および前記回転角度に基づいて、前記インバータの直流側端子のインバータ入力電流を算出し、
    前記制御装置内の電気負荷量算出手段は、前記出力電圧と前記出力電流との比、または前記出力電圧と前記インバータ入力電流との比、のいずれかを前記電気負荷量として算出することを特徴とする請求項3に記載の電圧変換装置。
  5. 直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
    前記出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
    前記入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
    前記出力端子での出力電流を検出する出力電流検出器と、
    電力変換半導体からなるパワー素子を有し、前記パワー素子のスイッチングにより前記入力端子と前記出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
    前記出力電圧が前記目標出力電圧と一致するように前記出力電圧および前記出力電流を帰還制御し、前記パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記目標出力電圧および前記出力電圧に基づいて目標出力電流を算出する電圧制御演算器と、
    前記目標出力電流および前記出力電流に基づいて前記スイッチング信号のデューティを算出する電流制御演算器と、
    前記スイッチング信号のデューティから前記出力電流までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電流特性モデルとを備え、
    前記電圧変換器出力電流特性モデルは、前記入力電圧Vinと、前記スイッチング信号のデューティDと、前記電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、前記電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、前記電圧変換器に接続される電気負荷量Rldと、ラプラス演算子sとを用いて、前記第1の周波数伝達特性Gcp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
    Figure 2007252144
    ただし、
    ωp=(1−D)×(1−D)×Rld/L
    ωo=(1−D)/√(L×C)
    Q=(1−D)×Rld×√(C/L)
    で表現し、
    前記電流制御演算器は、前記第1の周波数伝達特性と、前記目標出力電流から前記スイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
    [条件1]前記目標出力電圧が変動する周波数領域において、前記入力電圧と前記出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
    [条件2]前記2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
    [条件3]前記2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
    をすべて満たす制御ゲインを有することを特徴とする電圧変換装置。
  6. 前記電流制御演算器は、前記スイッチング信号のデューティに基づいて折点周波数を調整するPI制御器により構成されたことを特徴とする請求項5に記載の電圧変換装置。
  7. 直流電源から入力端子に印加される入力電圧を、所望の目標出力電圧と一致するように電圧変換し、出力電圧として出力端子から生成する電圧変換装置であって、
    前記出力電圧を検出する出力電圧検出器と、
    前記入力電圧を検出する入力電圧検出器と、
    前記出力端子での出力電流を検出する出力電流検出器と、
    電力変換半導体からなるパワー素子を有し、前記パワー素子のスイッチングにより前記入力端子と前記出力端子との間で電圧変換を行う電圧変換器と、
    前記出力電圧が前記目標出力電圧と一致するように前記出力電圧および前記出力電流を帰還制御し、前記パワー素子に対するスイッチング信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記出力電圧と前記出力電流との比を電気負荷量として算出する電気負荷量算出手段と、
    前記目標出力電圧および前記出力電圧に基づいて目標出力電流を算出する電圧制御演算器と、
    前記目標出力電流および前記出力電流に基づいて前記スイッチング信号のデューティを算出する電流制御演算器と、
    前記スイッチング信号のデューティから前記出力電流までの第1の周波数伝達特性を表現する電圧変換器出力電流特性モデルとを備え、
    前記電圧変換器出力電流特性モデルは、前記入力電圧Vinと、前記スイッチング信号のデューティDと、前記電圧変換器を構成するリアクトルのインダクタンス値Lと、前記電圧変換器を構成する平滑コンデンサの容量値Cと、前記電圧変換器に接続される電気負荷量Rld_imdと、ラプラス演算子sとを用いて、前記第1の周波数伝達特性Gcp(s)を、2次遅れ要素の共振周波数ωpおよび固有周波数ωoを含む次式、
    Figure 2007252144
    ただし、
    ωp=(1−D)×(1−D)×Rld_imd/L
    ωo=(1−D)/√(L×C)、
    Q=(1−D)×Rld_imd×√(C/L)
    で表現し、
    前記第1の周波数伝達特性は、逐次算出される前記電気負荷量の変化を反映して逐次更新され、
    前記電流制御演算器は、前記第1の周波数伝達特性と、前記目標出力電流から前記スイッチング信号のデューティまでの第2の周波数伝達特性と、の直列接続で表される一巡伝達特性が、次の3つの条件、
    [条件1]前記目標出力電圧が変動する周波数領域において、前記入力電圧と前記出力電圧との昇圧比率によって変化することなく一律となること、
    [条件2]前記2次遅れ要素の共振周波数における振幅値が負の所定閾値以下となること、
    [条件3]前記2次遅れ要素の共振周波数よりも低周波数域において、振幅値が0dBと交差すること、
    をすべて満たす制御ゲインを有することを特徴とする電圧変換装置。
  8. 前記電気負荷量は、電気機械変換装置により構成され、
    前記電気機械変換装置は、
    電力変換半導体からなる第2のパワー素子を有し、前記第2のパワー素子のスイッチングにより直流電力と交流電力とを相互に変換して出力するインバータと、
    前記インバータに接続された交流電動機と、
    前記交流電動機の回転角度を検出する回転角検出器と、
    前記交流電動機の電機子巻線に流れる電動機電流を検出する電動機電流検出器と、
    前記交流電動機に対する制御演算に基づいて前記第2のパワー素子のスイッチングを制御する電動機制御器とを備え、
    前記電動機制御器は、インバータ入力電流算出手段を含み、
    前記インバータ入力電流算出手段は、前記出力電圧、前記交流電動機に対する印加電圧指令、前記電動機電流および前記回転角度に基づいて、前記インバータの直流側端子のインバータ入力電流を算出し、
    前記制御装置内の電気負荷量算出手段は、前記出力電圧と前記出力電流との比、または前記出力電圧と前記インバータ入力電流との比、のいずれかを前記電気負荷量として算出することを特徴とする請求項7に記載の電圧変換装置。
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