JP2007250787A - コイル部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】フェライトコアに対する密着強度が高く、しかも、はんだ食われ現象を殆ど生じない端子電極膜を有する高信頼度のコイル部品を提供すること。
【解決手段】フェライトコア4は、コイル6の巻軸方向の両端部に、コイル6の端末が接続された端子電極膜5、5を有している。端子電極膜5、5は、第1の電極膜51と第2の電極膜52とを有している。第1の電極膜51は、フェライトコア4に直接に付着されている。この第1の電極膜51はFe、Cr及びNiを含有する合金でなる。第1の電極膜51の上に付着された第2の電極膜52の上に、金属端子7がはんだ付け53されている。
【選択図】図1
【解決手段】フェライトコア4は、コイル6の巻軸方向の両端部に、コイル6の端末が接続された端子電極膜5、5を有している。端子電極膜5、5は、第1の電極膜51と第2の電極膜52とを有している。第1の電極膜51は、フェライトコア4に直接に付着されている。この第1の電極膜51はFe、Cr及びNiを含有する合金でなる。第1の電極膜51の上に付着された第2の電極膜52の上に、金属端子7がはんだ付け53されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、チョークコイルやインダクタなどのコイル部品に関する。
この種のコイル部品としては、従来より種々のタイプのものが提案され、実用に供されている。そのうちの一つとして、ドラム型のフェライトコアを用い、そのつば部の端面に端子電極膜を付着させ、フェライトコアの巻芯部に巻きつけたコイル(線材)の端末を、端子電極膜に接続するとともに、リードフレームから切り取られた金属端子を、端子電極膜にはんだ付けしたコイル部品が知られている。
このコイル部品は、コイルを巻きつけたフェライトコアを、リードフレーム工程に付し、フェライトコアを、コイルの端末とともに、リードフレームに切り起こされている金属端子間に挟み込み、リードフレーム上で、コイル端末継線処理工程や樹脂成形工程などを実行し、最後に端子切断工程などを経て製造される。
上述したリードフレームを利用する工程は、量産性に優れたものであり、その利点を損なわないようにするため、端子電極膜についても、例えば特許文献1に開示されているように、真空蒸着又はスパッタリングなどの薄膜形成方法により、Cu、Sn、Niなどの金属又はそれらの合金の薄膜を、フェライトコアの表面に付着させる工程をとるのが一般的である。
しかし、上述した薄膜形成方法によって得られた端子電極膜は、フェライトコアに対する密着強度が不十分である。このため、例えば、リードフレーム上でコイル端末継線処理工程を実行した後、樹脂成形工程に到るまでの搬送工程において、搬送時に発生する振動、衝撃により、端子電極膜がフェライトコアから剥離し、フェライトコアが落下してしまう危険があった。特に最近は、生産合理化のために、リードフレームの搬送速度が高速化され、リードフレーム上にあるフェライトコアに対して加わる振動、衝撃などの機械的ストレスが増大しているので、上述した問題点が生じ易い環境にある。
また、端子電極膜をCu等によって構成した場合には、金属端子を接合するはんだにより、Cuのはんだ食われ現象が発生し、それにより、端子電極膜の密着強度の低下や、剥離を招き、同様の問題を惹起する危険がある。
特開平11−288815号公報
本発明の課題は、フェライトコアに対する密着強度が高く、しかも、はんだ食われ現象を殆ど生じない端子電極膜を有する高信頼度のコイル部品を提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明に係るコイル部品は、コイルと、フェライトコアと、金属端子とを含む。前記コイルは、前記フェライトコアに巻かれている。前記フェライトコアは、前記コイルの巻軸方向の両端部に、前記コイルの端末が接続された端子電極膜を有している。前記端子電極膜は、前記フェライトコアに直接に付着された電極膜を含む。この電極膜はFe、Cr及びNiを含有する合金である。前記金属端子は、前記端子電極膜にはんだ付けされている。
上述したように、フェライトコアに直接に付着された電極膜が、Fe、Cr及びNiを含有する合金であると、フェライトコアに対する電極膜の密着強度が従来よりも著しく高くなることが解った。これは、電極膜がFeを含有するため、同じくFeを含有するフェライトコアとの間に強い金属的結合が生じるためではないかと推測される。
しかも、Fe、Cr及びNiを含有する合金の電極膜は、Cu等を用いた場合と異なって、はんだ食われ現象を極めて生じにくい。このため、端子電極膜に金属端子をはんだ付けした場合でも、端子電極膜のはんだ食われ現象による密着強度の低下、剥離、及び、信頼性の低下を生じることがない。
一つの態様として、フェライトコアは、巻芯部の両端につば部を有するドラム状として形成される。この場合、前記電極膜は、前記つば部の外面に付着されることになる。
別の態様として、フェライトコアは、コイルの巻軸方向の両端に、凹部を有していてもよい。この場合、端子電極膜は前記凹部の内部に形成される。凹部を有する場合、コイルの端末は、凹部の4箇所の角部で折り曲げられ、凹部の内壁面に沿って配置されていることが好ましい。このような折り曲げ部分があると、コイルの端末を、凹部内に安定的に配置し、確実にはんだ付けすることができる。
端子電極膜は、その具体的な膜構造として、Fe、Cr及びNiを含有する合金の電極膜を第1の電極膜とし、その上に、第2の電極膜を付着させた膜構造を採用することができる。金属端子は、第2の電極膜の上にはんだ付けされる。この膜構造の場合は、第2の電極膜を、たとえば、Cu等の電気抵抗の低い金属材料によって構成し、端子電極膜全体としての電気抵抗を下げ、損失を低減できる。
しかも、第2の電極膜が、仮に、はんだ食われを生じたとしても、その下に、はんだ食われの生じにくい第1の電極膜が存在するので、端子電極膜の密着強度の低下、剥離、及び、信頼性の低下などを招くことなく、金属端子を、端子電極膜に確実にはんだ付けすることができる。
以上述べたように、本発明によれば、フェライトコアに対する密着強度が高く、しかも、はんだ食われ現象を殆ど生じない端子電極膜を有する高信頼度のコイル部品を提供することができる。
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照して、更に詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲がこれらの図示実施例に限定されないことは言うまでもない。
図1は本発明に係るコイル部品の正面断面図、図2は、図1のコイル部品において、フェライトコアの部分だけを示す側面図である。図1、図2に図示するように、本発明に係るコイル部品は、コイル6と、フェライトコア4と、金属端子7とを含む。フェライトコア4は、巻芯部41の両端につば部42、43を有するドラム状である。つば部42、43の間にある巻芯部41には、線材でなるコイル6が単層又は複数層となるように巻かれている。巻芯部41は、断面四角形、断面円形状の何れであってもよい。また、つば部42、43の外形も、四角形、円形状のいずれであってもよい。
更に、フェライトコア4は、コイル6の巻軸方向の両端部に、端子電極膜5、5を有している。図示実施例において、端子電極膜5、5のそれぞれは、第1及び第2の電極膜52、52を有している。第1の電極膜51は、フェライトコア4に直接に付着されており、その上に、例えば、Cuなどでなる第2の電極膜52が付着されている。第1の電極膜51は、マスクを用いた蒸着又はスパッタリングにより、例えば、0.05〜0.1μmの膜厚として形成される。第2の電極膜52も、マスクを用いた蒸着又はスパッタリングにより形成される。その膜厚は、金属端子7のはんだ付け53を考慮し、例えば、0.5〜1μmの膜厚とし、第1の電極膜51よりも厚く形成するのが好ましい。上述した膜厚の差を考慮すると、第1の電極膜51は、第2の電極膜52の下地膜として機能しているともいえる。図示は省略するが、第1の電極膜51と第2の電極膜52との間に、第3の電極膜を設けてもよい。
第2の電極膜52の表面には、コイル6の端末61、62及び金属端子7がはんだ付け53されている。そして、全体が、例えば、熱硬化性樹脂などでなる外装体8によって被覆されている。金属端子7は、リードフレームから切り離されたものである。
コイル6は、Cu等で成る導線を、自己融着性絶縁材料で被覆したタイプのものが適している。このようなコイル線材は、市販されているので、市販品の中から選択使用すればよい。
本発明は、上述した構造において、フェライトコア4に直接に付着された第1の電極膜51を、Fe、Cr及びNiを含有する合金によって構成した点に特徴がある。この特徴的構成によると、フェライトコア4に対する第1の電極膜51の密着強度が従来よりも著しく高くなることが解った。これは、第1の電極膜51がFeを含有するため、同じくFeを含有するフェライトコア4との間で、強い金属的結合が生じるためではないかと推測される。
実験によると、第1の電極膜51を、Cr及びNiを含有する合金(Feを含まず)で構成し、その上にCuでなる第2の電極膜52を形成したところ、フェライトコア4と第2の電極膜52との間の密着強度は0.1kgであった。これに対して、第1の電極膜51を、Fe、Cr及びNiを含有する合金で構成し、その上にCuでなる第2の電極膜52を形成した本発明の場合、フェライトコア4と第2の電極膜52との間の密着強度は0.2kgとなり、約2倍の密着強度が得られることが確認された。
しかも、実施例の場合、Fe、Cr及びNiを含有する合金でなる第1の電極膜51の上に、Cuでなる第2の電極膜52が付着されており、金属端子7は、第2の電極膜52の上にはんだ付け53される。この膜構造の場合は、Cuでなる第2の電極膜52により、金属端子7とコイル6との間の電気抵抗を下げ、損失を低減できる。
また、第2の電極膜52が、仮にはんだ食われを生じたとしても、その下に、はんだ食われの生じにくいFe、Cr及びNiを含有する合金の第1の電極膜51が存在するので、端子電極膜5、5の全体としての密着強度の低下、剥離、及び、信頼性の低下などを招くことなく、金属端子7を、第2の電極膜52に確実にはんだ付け53することができる。更に、Cuでなる第2の電極膜52は、はんだ付け性が良好であるから、第2の電極膜52に対して金属端子7を確実にはんだ付け53することができる。
更に、図示の実施例において、フェライトコア4は、コイル6の巻軸方向の両端に、凹部44、45を有しており、第1及び第2の電極膜52、52は凹部44、45の内部に形成されている。第1及び第2の電極膜52、52は、既に述べたように、蒸着又はスパッタリングによって形成されるものであるので、凹部44、45の底面のみならず、内側面にも付着される。
また、コイル6の端末61、62は、凹部44、45を横切って配置され、凹部44、45の4箇所の角部で折り曲げられ、圧接されている。このような折り曲げ圧接部分A〜Dがあると、コイル6の端末61、62を、凹部44、45内に安定的に配置し、確実にはんだ付け53することができる。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
4 フェライトコア
41 巻芯部
42、43 つば部
51 第1の電極膜
52 第2の電極膜
7 金属端子
41 巻芯部
42、43 つば部
51 第1の電極膜
52 第2の電極膜
7 金属端子
Claims (5)
- コイルと、フェライトコアと、金属端子とを含むコイル部品であって、
前記コイルは、前記フェライトコアに巻かれており、
前記フェライトコアは、前記コイルの巻軸方向の両端部に、前記コイルの端末が接続された端子電極膜を有しており、
前記端子電極膜は、前記フェライトコアに直接に付着された電極膜を含み、前記電極膜はFe、Cr及びNiを含有する合金であり、
前記金属端子は、前記端子電極膜にはんだ付けされている、
コイル部品。 - 請求項1に記載されたコイル部品であって、
前記フェライトコアは、巻芯部の両端につば部を有するドラム状であり、
前記電極膜は、前記つば部の外面に付着されている、
コイル部品。 - 請求項1又は2に記載されたコイル部品であって、前記フェライトコアは、前記コイルの巻軸方向の両端に、凹部を有しており、前記端子電極膜は前記凹部の内部に形成されている、コイル部品。
- 請求項3に記載されたコイル部品であって、前記コイルの端末は、前記凹部を横切って配置され、前記凹部の4箇所で折り曲げられている、コイル部品。
- 請求項1乃至4の何れかに記載されたコイル部品であって、
前記端子電極膜は、第2の電極膜を含んでおり、前記第2の電極膜は前記電極膜の上に付着されており、
前記金属端子は、前記第2の電極膜の上にはんだ付けされている、
コイル部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006071474A JP2007250787A (ja) | 2006-03-15 | 2006-03-15 | コイル部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006071474A JP2007250787A (ja) | 2006-03-15 | 2006-03-15 | コイル部品 |
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ID=38594762
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JP2006071474A Pending JP2007250787A (ja) | 2006-03-15 | 2006-03-15 | コイル部品 |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015230968A (ja) * | 2014-06-05 | 2015-12-21 | Tdk株式会社 | コイル部品及びその製造方法 |
JP2017022372A (ja) * | 2015-07-10 | 2017-01-26 | Tdk株式会社 | コイル部品及びその製造方法 |
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2006
- 2006-03-15 JP JP2006071474A patent/JP2007250787A/ja active Pending
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