JP2007247258A - 三次元噛み合いブロック - Google Patents

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Yutaka Kanatsuki
裕 金築
Teruo Kurahashi
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Abstract

【課題】ブロックを用いて強固な擁壁又は堤防を簡易且つ迅速に設置することを課題とする。
【解決手段】擁壁、堤防等に用いるブロックにおいて、外形が小星型十二面体形状であり、中空構造として、中空構造のブロック内部に流体物を注入して密閉可能にし、外力に対して弾力的に変形可能な材質又は構造にする。また流体と、該流体を収容保持する膜状の袋体とで構成されたブロックを用いることにより、ブロックを変形可能にすることもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に擁壁用のブロックに用いられるものであり、洪水により堤防が決壊した際には仮設堤防として利用できる三次元噛み合いブロックに関するものである。
擁壁に用いるブロックは、一般に盛土の側壁面に並べて擁壁とするため、並進対称性にすぐれた形状を有する。しかし、多量のブロックで構成される擁壁は、その形状が平面形状なすため壁面に垂直方向の荷重に対する強度が非常に低いという欠点がある。また、多数のブロックを盛土の側壁面に正確に位置決めして並べる必要があるため、設置にはある程度の精度が要求され、設置工事の時間も長くなる傾向がある。さらに、擁壁に用いるブロックは、盛土の土圧による崩壊を防ぐ目的から、それ単体で堤防の役割を果たすことができないものがほとんどである。
従来、擁壁の設置を容易にする技術として特許文献1に示されるような積層ブロックを立体的に噛み合わせる技術が公知となっている。また、壁面に垂直方向の荷重に対する擁壁の強度を高める技術として特許文献2に示されるような擁壁用ブロックをL字型にして壁面に垂直な荷重を分散させる技術が公知となっている。さらに、簡易に土手等を補強できるものとしてテトラポットが広く用いられている。
特開2005−054451号公報 特開2005−282216号公報
しかしながら、特許文献1に示された擁壁用ブロックを立体的に噛み合わせて設置を簡易化する技術は、上方に積上げる作業は簡易化されているが、前後左右に並べて設置する作業は従来の擁壁用ブロックと同様にある程度の精度を要求されるほか、壁面に垂直方向の荷重に対する強度が低い等の理由により洪水時の仮設堤防等には適さない。
また、特許文献2に示されたL字型の擁壁用ブロックも、設置に要する時間及び精度が求められるという問題は解決されていないため、堤防の決壊等の非常事態に対応することは不可能である。
なお、テトラポットは、集積するとテトラポット同士の間に大きな隙間ができるため消波作用はあるが、それ単体で堤防の役割を果たすことはできない。さらに、その集積作業には簡易とはいってもある程度の精度が要求され、無造作に置いただけでは補強の効果を期待することができない。
上記課題を解決するため本発明に関するブロックは、第1に外形が小星型十二面体形状であることを特徴としている。
第2に中空構造にしたことを特徴としている。
第3に中空構造のブロック内部に流体物を注入して密閉可能な構造にしたことを特徴としている。
第4に小星型十二面体を外力に対して弾力的に変形可能な材質又は構造としたことを特徴としている。
第5に流体と、該流体を収容保持する膜状の袋体とで構成されることを特徴としている。
上記のように構成される本発明のブロックによれば、ランダムに積重ねても互いが自然と三次元的に噛み合い強固に固定されるので、ブロックを用いた擁壁等はその側壁面に対する垂直方向の荷重に対しても高い強度を発揮するため、強固な擁壁や堤防を簡易かつ迅速に設置することができる。またブッロクを中空にして流体物を注入可能な構造にすることにより、ブロックが軽量化され自重調整もできるため、擁壁や堤防の設置作業の利便性がさらに向上する。なおブロックを積上げた擁壁等はブロック間に生じる隙間により通水性確保するが、ブロックを変形可能にすることにより上記隙間を埋めるように各ブロックが変形するので止水性を高めることも可能になる。
以下図示する本発明のブロックの実施形態につき説明する。
この発明の三次元噛み合いブロック1は図1に示すように小星型十二面体又はそれに近似した形状に成型されている。
小星型十二面体は各面が合同である正五角形からなる正十二面体を芯体とし、各面と合同の正五角形の底面を有する五角錐を各面に突出させたもので、五角錐の各面は底辺(正五角形の一辺)に対する他の2辺の比が1.618(黄金比)の二等辺三角形である。ブロック1はプレキャストコンクリート製品であり、緊急時に人手による応急的な築堤作業等を行う点を考慮し、20kg程度の重量であることが望ましい。内部には必要に応じて鉄筋を配筋する。
上記ブロック1は小星型十二面体であるから、ブロック1の各突起2の周面(三角面2a)が、隣接突起2の三角面2aとそれぞれ底辺2b(谷線)において交差するV字形の谷角をθとし、各突起2の隣接する三角面2a同士が稜線2cにおいて交差する外角(山角)をθとすると、θ=θ≒120°となる。2dは、隣接し合う各突起2の底辺2bと稜線2c及び底辺2b同士、稜線2c同士が交わる交点である。
また、1つの突起2の5個の底辺(谷線)2bより外方に星型に突出する5個12組の三角面2aは各組においてすべて同一平面上にある。したがってこの各組において星型に並んだ5個の三角面2aのうち、隣接し合う3個の三角面2aの中央の三角面2aの底辺2bと、その両端に延びるように接続する両側の三角面2aの稜線2cとは、2つの交点2dを介して全体として一直線状に接続する。
上記のように構成される多数のブロック1をランダムに積重ねると、部分的には例えば図2に示すように、隣接するブロック間で互いのブロック1の突起2同士の接触と係合、三角面2a同士の摺動案内、隣接突起2間の谷角θ部分と、他のブロック1の突起2の山角θ部分の嵌合及び互いのブロック1の三角面2a同士の重なり合い等の多様な挙動により、ブロック同士が互いに係合し合って一定の密度で重なり合うことになる。
そしてその積重ね状態はブロック自体の自重、積重ね時の衝撃や振動等によってブロック間の接触度合、ブロックの密度、接触面積、三次元的な噛合度合等が順次高められ、ブロック間に一定の間隙を残しながらも擁壁や仮設堤防等の集合体表面に対する垂直方向の荷重に対しても高い強度を発揮する。
上記ブロック1の応用例について説明する。
図3に示すように、山側斜面3に沿って設けられたコンクリートブロック擁壁4が土砂崩れにより決壊した場合に、その決壊部4aから山側斜面3そのものが崩壊する危険性があるため、その部分の補強を早急に行う必要がある。ブロック1はラムダムに積上げても互いが三次元的に噛み合って高い強度を発揮し、強固な補強擁壁6を簡易かつ迅速に設置でき、上記のような緊急時には特に有効である。
ちなみに補強擁壁は、通水性が低いと山側斜面の崩壊部3aに流れ込んだ雨水等を塞き止めて余分な荷重を受けるが、上記補強擁壁6はブロック間に生じた隙間により通水性が確保されているためこのような問題が生じない。
なお上記実施形態では通常のプレキャスト製コンクリートブロックの例につき説明したが、図1に仮想線で示すようにブロック1を中空に成型して周壁の一部に水等の流体の注入口7とこれを塞ぐ蓋8を設けることもできる。
このようにブロック1を中空構造にすることにより軽量化されるためその運搬及び設置が容易になり、擁壁や堤防の設置作業をさらに簡易かつ迅速に行うことができる。このため洪水により堤擁壁が決壊した際等の緊急時に対する対策が容易になる。またブロック内部に流体を注入するための注入口7と、これを塞ぐ蓋8を設けることにより、洪水現場等への搬送や取扱いが容易で現場での水の充填等が可能であるほか、流体の注入量によってブロックの自重調整が可能となるため、擁壁や堤防の設置作業の利便性がより高くなる。
さらに上記中空ブロック1を、可撓性又は弾力性を備えたプラスチック材等により袋状に形成し、内部に水その他の流体を充填封入することも可能である。
上記のように流体と、流体を収容保持する膜状の袋体とで構成されるブロック1を用いた擁壁や堤防等は、ブロックが積上げられるとブロック間の隙間を埋めるように各ブロック1が変形するため、止水性が高められる。上記ブロック1を用いることにより、堤防決壊現場に膜状の袋体のみを持って行き、決壊現場で川等の水を注入してブロック1を作り、それを積上げて仮設堤防を築堤する等の利便性の高い方法を採用することも可能になる。
本発明に関する小星型十二面体形状の三次元噛み合いブロックの正面図である。 本発明に関する小星型十二面体形状の三次元噛み合いブロックの三次元噛み合い構造を示す斜視図である。 本発明に関する小星型十二面体形状の三次元噛み合いブロックの一実施例を示す斜視図である。
符号の説明
1 ブロック
2 突起
2a 三角面(突起周面)
2b 谷線(底辺)
2c 稜線
2d 交点
3 山側斜面
4 コンクリートブロック擁壁
6 補強擁壁
7 注入口
8 蓋
θ 谷角
θ 山角

Claims (5)

  1. 外形が小星型十二面体形状である三次元噛み合いブロック。
  2. 中空構造にした請求項1の三次元噛み合いブロック。
  3. 中空構造のブロック内部に流体物を注入して密閉可能な構造にした請求項2の三次元噛み合いブロック
  4. 小星型十二面体を外力に対して弾力的に変形可能な材質又は構造とした請求項1,2又は3の三次元噛み合いブロック。
  5. 流体と、該流体を収容保持する膜状の袋体とで構成される請求項1,2,3又は4の三次元噛み合いブロック。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017197944A (ja) * 2016-04-26 2017-11-02 一般財団法人北海道河川財団 堤防締切用補助構造物およびこれを用いた堤防締切工法
KR102194036B1 (ko) * 2020-04-14 2020-12-22 구룡종합건설(주) 소파블록, 이를 이용한 해양 구조물
KR102194035B1 (ko) * 2020-04-14 2020-12-22 구룡종합건설(주) 소파블록, 이를 이용한 해양 구조물
KR20210002071A (ko) * 2017-12-27 2021-01-06 가부시키가이샤 에폭샤 용착성 비즈 완구

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