JP2009197440A - フィルダムの止水構造および造成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎岩盤1上に造成されたダム堤体2の厚さ方向中央部に止水ゾーン3が設けられており、この止水ゾーン3の厚さ方向中央部に、この止水ゾーン3の高さ方向および幅方向に沿うようにして止水鉄板壁5が立設されていることを特徴とするフィルダムの止水構造。また、このようなフィルダムを造成する方法。このような解決手段によれば、止水鉄板壁によって、止水ゾーンの止水機能を受け持つことができることとなり、止水性を向上させることができる。さらに、止水鉄板壁で止水ゾーンの止水機能を受け持つことによって、止水ゾーンを構築する材料が高品質である必要がなくなる。
【選択図】図1
Description
基礎岩盤上に盛り立てられたダム堤体は、透水性の異なる各種材料によってゾーン状に構成される。ダム堤体のほぼ中央には止水ゾーンが設けられ、その上下流にそれぞれフィルターゾーンが設けられ、さらに、このフィルターゾーンの上下流にそれぞれロックゾーンが設けられている。この場合、湛水池からの漏水等を防ぐ止水機能を受け持つのは止水ゾーンであり、ダム堤体自体の強度を負担するのは主にロックゾーンとなっている。
しかしながら、このように周囲の環境に配慮しながら高品質材料を確保するためには、材料を遠方から取り寄せたり、新たな開発事業を行ったり、盛り立てる前の材料を保管する場所を確保しなければならず、コストが増加してしまうという問題があった。
この止水ゾーンの厚さ方向中央部に、この止水ゾーンの高さ方向および幅方向に沿うようにして止水鉄板壁が立設されていることを特徴とする。
この波状鉄板は、長さ方向に直交する方向に沿って、かつ厚さ方向の一方および他方に向かって交互に折り曲げられてなることを特徴とする。
前記十字部の中央交差部には、この中央交差部の一面側に、厚さ方向の一方側から他方側に向かって正四角錐状に窪むように形成される複数の第1窪みが並列配置されるとともに、この中央交差部の他面側に、厚さ方向の他方側から一方側に向かって正四角錐状に窪むように形成される複数の第2窪みが並列配置されており、
これら第1窪みおよび第2窪みは、前記中央交差部の厚さ方向の一面側および他面側から噛み合うようにして互いに隣接していることを特徴とする。
これら止水ゾーンおよびロックゾーンの第1層を盛り立てるに際し、
予め、前記一定の層厚に盛り立てられる止水ゾーンの幅方向に沿うとともに、この一定層厚の止水ゾーンに応じた高さに形成された止水鉄板壁を、この止水ゾーンの厚さ方向中央部に位置するように立設しておき、
その後、複数の上層部を、前記第1層の上方に一定の層厚ごとに盛り立てる度に、これに先行して、前記止水鉄板壁を上方に立ち上げる工程を繰り返して、前記ダム堤体を造成することを特徴とする。
さらに、止水鉄板壁で止水ゾーンの止水機能を受け持つことによって、止水ゾーンを構築する材料が高品質である必要がなくなるので、従来とは異なり、材料を遠方から取り寄せたり、新たな開発事業を行ったりする必要がなくなる。また、止水ゾーンとロックゾーンとの間にフィルターゾーンを設けたり、盛り立て前の材料を保管する場所を確保する必要もなくなる。これによって、高品質材料の確保に係るコストを確実かつ格段に低減することが可能となる。
また、前記止水ゾーン3の上流側および下流側にはロックゾーン4が設けられており、さらに上流側が湛水池11となっている。
また、前記ロックゾーン4は、岩塊等を材料としてなり、材料を盛り立てた後に十分に転圧され、前記ダム堤体2の強度を負担している。
なお、本実施の形態においては2枚の止水鉄板壁5が設けられるとしたが、これに限るものではなく、1枚でもよいし、3枚でもよい。すなわち、ダムの規模に応じて変更することが望ましい。
また、この止水鉄板壁5は、水や空気等の影響による腐食代を考慮した厚さとするとともに、その他、水圧や土質、水質等を考慮した材質のものを用いることが好ましい。
また、前記波状鉄板8は、長さ方向に直交する方向に沿って、かつ厚さ方向の一方および他方に向かって交互に折り曲げられてなる。すなわち、断面視ジグザグ波状に形成されているので、長さ方向に直交する方向に弾力性を有していることとなる。
これによって、前記ダム堤体2が水圧等による水平方向の変位力を受けても、この波状鉄板8によって変形力を吸収することができるので、前記平板鉄板6の亀裂が生じたり、前記平板鉄板6と波状鉄板7との接合部分に亀裂が生じたりすることを確実に防ぐことが可能となる。
本実施の形態においては、各頂点どうしの交点の関係から、前記第1窪み8bが、前記中央交差部8aに9つ並列配置されていることとなる。
すなわち、例えば、頂点T3と頂点t3との交点は、厚さ方向一方側に向かって窪んでおり、この頂点T3と頂点t3との交点の周囲に配置された4つの交点(頂点T2と頂点t2との交点、頂点T2と頂点t4との交点、頂点T4と頂点t2との交点、頂点T4と頂点t4との交点)は、厚さ方向の他方側に向かって突出していることとなる。したがって、前記頂点T3と頂点t3との交点が四角錐状の第2窪み8cの頂点となっており、周囲4つの交点をつないだ部分が四角錐の底面に該当する部分となる。
本実施の形態においては、各頂点どうしの交点の関係から、前記第2窪み8cが、前記中央交差部8aに4つ並列配置されていることとなる。
したがって、これら第1窪み8bおよび第2窪み8cは、前記中央交差部8aの厚さ方向の一面側および他面側から噛み合うようにして互いに隣接している。
一方、前記波状鉄板7の直線部9には、多くても、この直線部9の幅方向一方の側縁部および他方の側縁部に、前記平板鉄板6の端縁が接合されるだけなので、前記ダム堤体2が受ける水圧等による水平方向の変位力を受けても、前記十字部8に比して影響が小さく済む。したがって、この直線部9と前記平板鉄板6との接合部分や、この直線部9と前記十字部8との接合部分に亀裂が生じることを確実に防ぐことが可能となる。
そこで、このように止水材10bを注入するための注入パイプ10が、前記止水鉄板壁5の表面に沿って止水ゾーン3に埋設されている。
また、前記複数の平板鉄板6に限られず、前記波状鉄板7に沿って前記注入パイプ10を配管するようにしてもよい。
また、図4中で示す矢印は、この注入パイプ10の内部から、前記注入孔10aを通じて外部へと噴出する止水材10bの流れを示している。
なお、この止水鉄板壁5aが、前記止水ゾーン3の厚さ方向中央部に位置するように、前記平板鉄板6および波状鉄板7を、前記基礎部1aに埋め込むようにする。
つまり、前記所定の高さに設定された止水鉄板壁5aは、一定の層厚に盛り立てられる止水ゾーン3の幅方向に沿うとともに、この一定の層厚の止水ゾーン3(第1層2a)に応じた高さに形成されていることとなる。
すなわち、複数の上層部2b,2c,2d,2eを、前記第1層2aの上方に一定の層厚ごとに盛り立てる度に、これに先行して、前記止水鉄板壁5a,5b,5c,5d,5eを上方に立ち上げる工程を繰り返して、前記ダム堤体2を造成していく。
また、前記止水ゾーン3に雨水が溜まるなどして影響を受けないように雨養生することで、降雨時でも前記ダム堤体2を造成することができるので、工期の短縮を図ることができる。
さらに、前記止水鉄板壁5で止水ゾーン3の止水機能を受け持つことによって、前記止水ゾーン3を構築する材料が高品質である必要がなくなるので、従来とは異なり、材料を遠方から取り寄せたり、新たな開発事業を行ったりする必要がなくなる。また、前記止水ゾーン3とロックゾーン4との間にフィルターゾーンを設けたり、盛り立て前の材料を保管する場所を確保する必要もなくなる。これによって、高品質材料の確保に係るコストを確実かつ格段に低減することが可能となる。
2 ダム堤体
3 止水ゾーン
5 止水鉄板壁
6 平板鉄板
7 波状鉄板
Claims (6)
- 基礎岩盤上に造成されたダム堤体の厚さ方向中央部に止水ゾーンが設けられており、
この止水ゾーンの厚さ方向中央部に、この止水ゾーンの高さ方向および幅方向に沿うようにして止水鉄板壁が立設されていることを特徴とするフィルダムの止水構造。 - 前記止水鉄板壁は、高さ方向および幅方向に隣り合う複数の平板鉄板と、これら複数の平板鉄板間に介在して設けられる波状鉄板とを接合することによって形成されており、
この波状鉄板は、長さ方向に直交する方向に沿って、かつ厚さ方向の一方および他方に向かって交互に折り曲げられてなることを特徴とする請求項1に記載のフィルダムの止水構造。 - 前記波状鉄板は、十字状に形成されるとともに、前記複数の平板鉄板の角部に接合される十字部と、この十字部の端部に連続して設けられるとともに、前記複数の平板鉄板の端縁に接合される直線部とを備えており、
前記十字部の中央交差部には、この中央交差部の一面側に、厚さ方向の一方側から他方側に向かって正四角錐状に窪むように形成される複数の第1窪みが並列配置されるとともに、この中央交差部の他面側に、厚さ方向の他方側から一方側に向かって正四角錐状に窪むように形成される複数の第2窪みが並列配置されており、
これら第1窪みおよび第2窪みは、前記中央交差部の厚さ方向の一面側および他面側から噛み合うようにして互いに隣接していることを特徴とする請求項2に記載のフィルダムの止水構造。 - 前記止水鉄板壁は、前記基礎岩盤中に埋設された基礎部から上方に突出するようにして立設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルダムの止水構造。
- 前記止水ゾーンには、この止水ゾーン内に止水材を注入するための注入パイプが、前記止水鉄板壁の表面に沿って埋設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルダムの止水構造。
- ダム堤体の厚さ方向中央部に設けられる止水ゾーンと、この止水ゾーンの上流側および下流側に設けられるロックゾーンとを、一定の層厚ごとに盛り立ててダム堤体を造成するフィルダムの造成方法であって、
これら止水ゾーンおよびロックゾーンの第1層を盛り立てるに際し、
予め、前記一定の層厚に盛り立てられる止水ゾーンの幅方向に沿うとともに、この一定層厚の止水ゾーンに応じた高さに形成された止水鉄板壁を、この止水ゾーンの厚さ方向中央部に位置するように立設しておき、
その後、複数の上層部を、前記第1層の上方に一定の層厚ごとに盛り立てる度に、これに先行して、前記止水鉄板壁を上方に立ち上げる工程を繰り返して、前記ダム堤体を造成することを特徴とするフィルダムの造成方法。
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