JP2007246992A - 焼結方法及び焼結装置 - Google Patents

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浩史 松村
Norio Nakao
昇生 中尾
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Abstract

【課題】効率よく複雑な表面形状を有する製品を造型することができる焼結方法及び焼結装置を提供する
【構成】材料粉末3にはパンチ5aによって加えられる矢印X方向の圧縮力と、パンチ5b、ダイス下縁部2aによって加えられる矢印Y方向の圧縮力がその全体に均一に加えられた状態で目標とする最終形状まで圧縮・焼結して焼結体となすと共にパンチの成形表面の表面形状を焼結体に形状転写する工程後に第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型し、係る離型は焼結工程完了直後に焼結体の温度降下に伴う収縮率が製造目標となる製品形状と焼結体形状の寸法誤差が0.2%以内である時間内に行われ、例えばパンチを介して粉末に加えられる圧力が減圧される過程で離型が行われるようにするので、熱膨張差によるパンチの破損を防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の加圧手段の加圧力によって成形空間に収納された粉末を圧縮し、焼結して焼結体となす焼結方法及び焼結装置に関する。
金属粉末に通電しその抵抗により発生するジュール熱により加熱し、加圧装置で加圧する焼結方法及び焼結装置が用いられている。図13はこのような焼結装置の基本構成を示す。図に示される様に内部に材料粉末3を入れる空間を有する円筒状のダイス2には、材料粉末3に電流と圧力を伝達するパンチ5a,5bが嵌合している。パンチ5a,5bを挟んで電極10a,10bが設けられ、電源装置8に接続している。上部電極10aの上部には油圧装置が設けられ、電極10a,10b、パンチ5a,5bを介して材料粉末3を加圧するようになっている。ダイス2やパンチ5a,5bは高温強度に優れ、材料粉末3が着きにくい黒鉛で構成されている。なお、ダイス2、パンチ5a,5b、電極10a,10b等は真空チャンバ14内に設けられ、焼結作業は、真空、不活性ガスや還元ガス等の非酸化雰囲気で行われる。
このような態様の焼結方法は通電加熱焼結方法とも呼称され、係る通電加熱焼結方法及び通電加熱焼結装置を適用して例えばアルミニウムダイカスト金型等を製造する場合、予め必要な量の金属粉末をジュール熱により、短時間に焼結して製品が得られることから、きわめて効率よく精度の高いアルミニウムダイカスト金型の製造が可能となることが期待されている。
係る通電加熱焼結方法及び通電加熱焼結装置に関し、特許文献1には試料の温度を精度よく制御するという課題の下に、図14に示す様に、ダイス2に粉末状の材料粉末3を入れこの材料粉末3の上下に設けた電極10a,10bにより通電する焼結装置の材料粉末3の上下のいずれかと電極10a,10bの間に材料粉末3より大きな抵抗の発熱体9を設けるという通電加熱焼結方法及び通電加熱焼結装置が開示された。
しかし、以上の特許文献1に開示された通電加熱焼結方法若しくは通電加熱焼結装置やその他の従来の焼結方法及び焼結装置では、ただ単にパンチ5a,5bから材料粉末3に加圧力を加えて材料粉末3に対する加圧、圧縮を行うのみであり、この手法では焼結体が特に凹凸のない基本的な円盤若しくは円柱形状である場合にはほぼ全体として均一密度の焼結体を製造することができる。しかし、焼結体がコップ状の凹凸のある焼結体(リブ付き焼結体)である場合には、パンチ5a,5b側に段差を設け、焼結体の側壁と底面を同時に成形するため、得られる焼結体の底面部分は十分に圧縮することができるとしても、側壁部分は十分に圧縮することはできない。その結果、底面部はほぼ100%近い相対密度となったとしても、側壁部はせいぜい60〜70%の密度しか得られない結果となる。
すなわち特許文献1に記載の従来の通電加熱焼結方法若しくは通電加熱焼結装置ではリブ等を有する複雑形状の焼結体を製造する場合には一軸の加圧である結果として、材料粉末3内の圧力分布を均一とすることはできず、凹部を形成し圧縮量の多い材料粉末3は当然に高密度となり、リブ部分等の凸部分となる圧縮量の少ない材料粉末3は不可避的に低密度となっていた。
すなわち従来の焼結法及び焼結装置では、一軸の加圧による単純な加圧しかできないため、局所的に密度の低い部分ができるなど、均一な密度の焼結体を得ることができず、複雑な形状、例えば高低差の大きい焼結体を均一な高密度に仕上げると言うことは困難であった
さらに特に高精度高機能製品であるアルミニウムダイカスト金型についてはこれを通電加熱焼結方法で制作する場合には材料粉末3を直接加圧して金型の造型表面を造型するための母型となるパンチ5a,5bには黒鉛を主成分とするグラファイトマスタが適用される。
一方、アルミニウムダイカスト金型自体は金型としての高強度が必要であることから材料粉末3として主としてSKD61等の熱間工具鋼が用いられなければならない。
したがって黒鉛を主成分とするグラファイトマスタと材料粉末3を焼結後に得られる焼結体とには熱膨張率に大きな差異が存し、この熱膨張率の違いという問題に起因して特許文献1に開示された通電加熱焼結方法若しくは通電加熱焼結装置を適用してアルミニウムダイカスト金型等の金属材料製品を製造する場合には、焼結後にグラファイトマスタとして反復使用が期待されるパンチ5a,5bが破損し、これが生産効率の低下と生産コスト増加の原因となるだけでなく、上述した通電加熱焼結方法を適用してアルミニウムダイカスト金型等を製造する利益が失われるという問題がある。
特開2000−73103号公報
本発明は、以上の従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、効率よく複雑な表面形状を有する製品を造型することができる焼結方法及び焼結装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成する本発明の焼結方法は以下の工程より成ることを特徴とする。
(1)第一の加圧手段によって成形空間に収納された粉末を加圧する第1工程
(2)第1工程で成形空間に収納された粉末を第二の加圧手段によって加圧する第2工程
(3)第一の加圧手段の加圧力と第二の加圧手段の加圧力によって成形空間に収納された粉末を圧縮し、焼結して焼結体となす第3工程
(4)第一の加圧手段および/または第二の加圧手段と焼結体とを離型する第4工程
本発明の焼結方法では、粉末を収納する成形空間を形成するダイスの成形空間において対抗する第一のパンチと第二のパンチ間に粉末を収納し、前記第一の加圧手段である第一のパンチによってダイスの成形空間に収納された粉末に加圧し、前記第二の加圧手段であるダイスおよび/または第二のパンチによって前記ダイスの成形空間に収納された粉末に加圧するようにすることができる。
以上の本発明の焼結法で、前記第一の加圧手段である第一のパンチと第二の加圧手段であるダイスおよび/または第二のパンチとの加圧力は例えば、第一のパンチ及び第二のパンチの現在位置と単位時間辺りの移動量計測手段と、目標とする最終形状との関係で必要な加圧力を設定する様にすることができる。
また焼結初期と焼結後期では必要な加圧力が異なることから、焼結初期には前記第一の加圧手段である第一のパンチによる加圧のみを行うようにして焼結効率を向上することもできる。
前記第1工程においてダイスの成形空間に収納された粉末及び第一のパンチ及び第二のパンチよりも大きな抵抗の発熱体に通電して発熱させるようにしてもよい。
以上の本発明の焼結方法では第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程は第3工程完了直後に行われる。
以上の本発明の焼結方法では第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程が第3工程後の焼結体の温度降下に伴う焼結体の熱収縮力がパンチの成形表面の強度限界以内である時間内に行われる。
ここで、パンチの成形表面の強度限界はパンチの材質と表面形状に応じて決定され、パンチの材質特性から算出し、予め設定される。
また以上の本発明の焼結方法では第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程が第3工程後の焼結体の温度降下に伴う収縮率が製造目標となる製品形状と焼結体形状の寸法誤差が0.2%以内である時間内に行われる。
ここで、製造目標となる製品形状と焼結体形状の寸法誤差は焼結時に温度センサから得られる測定温度によって計測される様にすることができる。
また製造目標となる製品形状と焼結体形状の寸法誤差が0.2%以内である時間はコンピュータシュミレーション等の方法を用いて焼結体の材質等のデータに基づき予め設定することができる。
以上の本発明の焼結方法では第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程において焼結体がダイスに保持される。
また以上の課題を達成する本発明の焼結装置は 成形空間に収納された粉末に加圧する第一の加圧手段及び第二の加圧手段と、前記第一の加圧手段の加圧力と第二の加圧手段の加圧力を設定する加圧力設定手段が設けられてなることを特徴とする。
前記加圧力設定手段は、第一の加圧手段及び第二の加圧手段の現在位置と単位時間辺りの移動量計測手段と、目標とする最終形状との関係で必要な加圧力の算出手段と、その算出された加圧力の値に基づき第一の加圧手段の加圧力と第二の加圧手段の加圧力を制御する制御手段を備える。
以上の本発明の焼結装置は前記第一の加圧手段が粉末を収納する成形空間を形成するダイスの当該成形空間に配置される第一のパンチであり、前記第二の加圧手段がダイスおよび/または第一のパンチに対抗してダイスの成形空間に配置される第二のパンチとすることができる。
さらに本発明の焼結装置は前記第一の加圧手段が粉末を収納する成形空間を形成するダイスの成形空間に配置される第一のパンチであり、前記第二の加圧手段が前記第一のパンチと対抗して配置される第二のパンチおよび/またはダイスであって、前記第一のパンチと前記第二のパンチの少なくともいずれか一方に伝熱可能に配置される発熱体と、発熱体に通電するための電極装置とを備えてなるようにすることができる。
前記成形空間で成形された焼結体と前記第一のパンチ及び第二のパンチの少なくともいずれか一方とを離型するための離型機構を設けることができる。
以上の本発明の焼結装置では、前記離型機構は、電極と発熱体とパンチを着脱可能に相互に取り付けるカップリングを有して成り、そのカップリングによって電極を引き離すと共に発熱体及びパンチを焼結体から離型させる。
以上の本発明の焼結装置では、前記離型機構は、パンチによって加えられる加圧力に抗して型開き方向へ付勢する離型付勢手段を有してなり、ダイスの成形空間に収納された粉末を加圧し、焼結して焼結体となす過程ではパンチによって加えられる加圧力が前記離型付勢手段による付勢力よりも大なる加圧力に設定されてなる。
また前記ダイスには前記成形空間で成形された焼結体を保持するための保持機構を設けることができる。
前記保持機構は、前記ダイスに前記成形空間に開口するように設けられた離型補助孔と、前記成形空間に突出する態様で離型補助孔に装着される離型補助ピンとより構成することができる。
また前記ダイスは複数のダイス要素を組み合わせて成り、複数のダイス要素を組み合わせてダイスの粉末成形空間に形成される接合線が通過するように粉末成形空間に開口する離型穴が設けられてなるようにすることができる。
また前記ダイスには前記成形空間に開口する離型補助穴が設けられ、この離型補助穴を通過する分離線によって前記ダイスが分離可能にされてなるようにすることができる。
以上の本発明の焼結装置では、ダイスの成形空間を介して加圧方向に沿って対抗する様に前記パンチを複数配置し、前記発熱体が複数配置されたそれぞれのパンチに対して伝熱可能に配置されるようにすることができる。
以上の本発明の焼結装置では、前記パンチは成形空間に収納された粉末に転写する表面形状の成形表面を備えたグラファイトマスタである。
[作用]
以上の本発明の焼結方法及びその装置によればダイスの成形空間に収納された粉末を加圧し、焼結して焼結体となす過程で焼結の進行状況に合わせて加圧することによって、効率よく必要な部位に圧力を加え、均一な密度の焼結体の製造を促進することができる。また複数の加圧軸を配置し、複合的に協調動作させた場合には、複雑形状の焼結体の作成を効率よく行うことができる。
またそれと共に焼結工程後に第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型し、係る離型は焼結工程完了直後に焼結体の温度降下に伴う収縮率が製造目標となる製品形状と焼結体形状の寸法誤差が0.2%以内である時間内に行われ、例えばパンチを介して粉末に加えられる圧力が減圧される過程で離型が行われるようにするので、熱膨張差によるパンチの破損を防止することができる。
また、以上の本発明の焼結方法では第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する工程において焼結体がダイスに保持されるので、効率よく離型を行うことができる。
以上説明したように、本発明によれば、部位によって大きな高低差のある焼結体も、複数の加圧軸を配置し、複合的に協調動作させることによって均一な密度に作成することができ、しかもグラファイトマスタとして構成されるパンチを反復使用可能にして経済的に焼結方法を適用して精密な表面形状を有する製品を造型することができる。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1の焼結装置を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は本発明の実施の形態に係る焼結装置の概略構成図である。
図1に示すように、焼結装置1はグラファイトによって構成されている円筒状のダイス2を備え、このダイス2は材料粉末3を加圧成形するための成形空間4を有する。このダイス2の成型空間4に材料粉末3が充填された状態でダイス2内側には上下方向からパンチ5a,5bがはまり込んでいる。
パンチ5a,5bの上下には円柱形状の発熱体9が設けられている。すなわちパンチ5aの上側面に伝熱可能に接して上側発熱体9aが配置され、パンチ5aとの間でこの上側発熱体9aを狭持する様に電極10aが配置される。一方、パンチ5bの下側面に伝熱可能に接して下側発熱体9bが配置され、パンチ5bとの間でこの下側発熱体9bを狭持する様に電極10bが設けられる。発熱体9の外周は円筒状断熱材11で拘束されこれによって外部への熱放射が防止される。
前記電極10aと電極10bは共に良導体であり、また電極10a,10bには油圧装置1aが取り付けられており、この油圧装置1aによって電極10a,10b、発熱体9a,9b、パンチ5a,5bを介して材料粉末3が上下方向から加圧される。また、電極10a,10bには電源装置8と制御装置7が接続されており、電源装置8には、商用電源、或いは直流電源を用いることができる。
制御装置7の制御に応じて電源装置8から電極10a,10bに通電され、これにより電極10a,10bの端面に接触して配置された上側発熱体9a及び下側発熱体9bを介して、パンチ5a,5b、ダイス2、材料粉末3という通電回路が形成される。これによりその回路上の上側発熱体9a及び下側発熱体9bから発生するジュール熱によってパンチ5a,5bを介してダイス2、材料粉末3が加熱されて焼結が進行する。なお、ダイス2には温度センサ6が取り付けられており、この温度センサ6によって検知される温度に基づき制御装置7によって電源装置8をコントロールして、ダイス2、材料粉末3に加えられる熱量が制御される。また、ダイス2にはパンチ5b外側方に突出するダイス下縁部2aが設けられており、したがって成型空間4はダイス2の本体部分とダイス下縁部2a及びパンチ5a,5bによって形成される。さらにダイス2にはアタッチメント2cが装着され、このアタッチメント2cを介してダイス2にはダイス加圧手段2bによって油圧装置1aの油圧が加えられる。
さらに制御装置7には電極10a,10b、発熱体9a,9b、パンチ5a,5bを加圧する油圧装置1aから常時パンチ5a,5bの位置情報が入力されており、他方、制御装置7からは油圧装置1aに電極10a,10b、発熱体9a,9b、パンチ5a,5bに対する加圧の程度・速度等の制御情報が入力される。
ダイス2の外側には断熱材12、金属サポート13が設けられる。金属サポート13はダイス2外径よりも大なる内側部直径を有する2つ割りの円筒状に形成される。断熱材12をダイス2外側を取り巻く様に配置した状態でその断熱材12外側に金属サポート13が配置されると共に2つ割りの各部が締結されて、内側の断熱材12を介してダイス2が外部から均一に加圧されて、焼結中のダイス2の破損が防止される。
また、断熱材12は金属サポート13とダイス2間に配置されて、焼結時にダイス2から発生する熱の放出を遮断して金属サポート13が熱により軟化するのを防止する。このように、断熱材12を介して金属サポート13によってダイス2を外部から均一に加圧保持して強度を補完することにより、ダイス2自体を薄肉化その熱容量を低減することができるため、焼結に必要な熱量を減らすことができる。換言すれば発熱体9によって発生される熱が効率的に材料粉末3に加えられる様にすることができる。
なお、図示される様に電極10a,10b、上側発熱体9a及び下側発熱体9b、パンチ5a,5b、ダイス2は、真空チャンバ14内に収容される。
前記ダイス2の材料としては、高温時の強度が高く、且つ材料粉末3等が付着し難いグラファイトが一般に用いられている。
一方、前記上側発熱体9a及び下側発熱体9bには、前記ダイス2を構成している黒鉛に対して高い電気抵抗を有する炭化珪素(SiC)発熱体が用いられる。この上側発熱体9a及び下側発熱体9bは大きな電気抵抗を有し、大型の焼結体を製造するために径を大きくしたパンチ5aとパンチ5bを用いても、材料粉末3を速やかに昇温させるに足る十分なジュール熱を得ることができる。
ここで、上側発熱体9a及び下側発熱体9bにおける発熱量は、電源装置8からの電流値が等しければ、直列回路全体の抵抗を高くすることによって総発熱量を高くすることができる。したがって炭化珪素(SiC)を用いることによって抵抗値を大きくした上側発熱体9a及び下側発熱体9bからの発熱量は高電圧を印加して低電流値を維持することによって高くすることができる。換言すれば抵抗値を大きくした炭化珪素発熱体を用いることによって高電圧・低電流によって高い発熱量を得ることが可能となる。すなわち、一般的な放電プラズマ焼結装置を用いるよりも、本実施形態の炭化珪素発熱体9a,9bを用いる方が高電圧・低電流によって発熱量を大きくすることができる。
したがって発熱体9a,9bは、パンチ5a及びパンチ5b以上の電気抵抗を有している必要があり、上述した炭化珪素の他に窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、ムライト等の材料が用いられる。
また、前記発熱体9a,9bによって発生される熱は、パンチ5a,5bの伝熱により材料粉末3に伝えられ、材料粉末3を均一に加熱することができる。
更に、上記パンチ5a,5bは、ダイス2の成形空間4に密に嵌合する形状を有していて、材料粉末3が上側発熱体9a及び下側発熱体9bとダイス2との間に材料粉末3が侵入するのを防止するようにしており、このために、前記パンチ5a,5bは黒鉛にて形成されているダイスと略同等の熱膨張率を有する構成にする。
次に本発明の焼結装置における離型機構について説明する。
図2〜図4は材料粉末3を焼結後に得られる焼結体15からパンチ5a,5bをばねを利用して押し離す仕組みの離型機構の詳細を示す。
図2〜図4に示される方式では、パンチ5a,5b、発熱体9、電極10a,10bは連結されておらず、電極10a,10bによる加圧によって接触状態を保っている。パンチ5a,5bには発熱体9に接触する部分にそれぞれパンチ鍔部16a,16bが設けられている。
離型機構はフランジ17a,17bと金属サポート13の外側に金属サポート13から張りだす態様で設けられたサポート部13aとフランジ17a,17b−サポート部13a間に設けられたスプリング23とより構成される。
フランジ17a,17b内側には、パンチ5a,5bを挿通するパンチ孔部18a,18bが設けられ、そのパンチ孔部18a,18b内側にはパンチ係合段部19a,19bが設けられて、そのパンチ係合段部19a,19bにパンチ5a,5bのパンチ鍔部16a,16bが係合する。
フランジ17a,17bとサポート部13aには相互に対応する位置に中心を共通にしてフランジ孔部20a,20b及びサポート部孔部21a,21bが設けられる。このフランジ孔部20aにはストッパー22の軸部22aが挿通され、ストッパー22はその先端22bがサポート部孔部21aに螺合されると共に基端部22cがフランジ17a外側面に保持される。
このようにストッパー22で連結することでフランジ17a,17b−サポート部13aすなわち金属サポート13間の最大幅を制限している。また、フランジ17a,17b−金属サポート13のサポート部13a間にはスプリング23が設けられており、フランジ17a,17bと金属サポート13のサポート部13a間がスプリング23の長さよりも狭くなった場合、フランジ17a,17bは常にスプリング23によって型開き方向へ加圧される。このとき、スプリング23はストッパー22をガイドとしてストッパー22の軸方向のみに弾性的に伸縮し、したがって金属サポート13のサポート部13aとフランジ17a,17bとの間隔を増減させる方向にのみスプリング23による弾性的付勢が行われる。
図2〜図4に示されるように、フランジ17aの両側面のフランジ孔部20aの開口部周縁及びフランジ17bの両側面のフランジ孔部20bの開口部周縁には絶縁体25が設けられ、これによって上下のフランジ17a,17bとストッパー22及びスプリング23間が絶縁される。これによりフランジ17a,17bとストッパー22、スプリング23間での直接的な通電及び放電が防止され、フランジ17a,17bと金属サポート13とは電気的に絶縁される。
絶縁体25は留め金24によってフランジ20に固定される。具体的には絶縁体25はワッシャー形状をしたマイカ板で、ストッパー22基端部22cの首下(下面)とフランジ孔部20aの間に狭持される。したがって留め金24によって絶縁体25はフランジ17a外側面に保持され、フランジ17aが下方に位置してその外側面がストッパー22の基端部22cから離隔している状態でもストッパー22の軸部22aをフランジ孔部20a,20bの中心付近に拘束して位置決めする。
なお、フランジ17a,17b、ストッパー22及び金属サポート13間の抵抗はパンチ5a,5b、ダイス2の電気抵抗値と同等、あるいはそれ以下であり、抵抗値に大きな差異がないことから、上下のフランジ17a,17bとストッパー22及びスプリング23間が短絡し若しくは通電が発生した場合、パンチ5a,5b、ダイス2によって構成される通電回路の電流が不足し、上側発熱体9aと下側発熱体9bにおける発熱量が不十分となり、焼結に必要な熱量が不足して焼結不良が発生する原因となる。
ダイス2のパンチ5a,5bによる加圧方向の中心付近であってパンチ5a,5bが挿入されて材料粉末3を加圧成形するための成形空間4を形成する領域には離型補助孔26が設けられる。この離型補助孔26はダイス2の内側から外側に向けてパンチ5a,5bによる加圧方向と垂直方向に延出して開口し、さらに断熱材12に設けられる貫通孔26aと連通する。また金属サポート13にはその内側からサポート部13aに向けて貫通する貫通孔26bが設けられ、ダイス2、断熱材12及び金属サポート13は離型補助孔26、貫通孔26a及び貫通孔26bが連通する位置関係で配置されて組み付けられる。
そのように離型補助孔26、貫通孔26a及び貫通孔26bが連通する位置関係でダイス2、断熱材12及び金属サポート13を配置した状態で離型補助孔26、貫通孔26a及び貫通孔26bには離型補助ピン27が挿通される。その離型補助ピン27の補助ピン先端27aはダイス2内側にパンチ5a,5bが挿入されて形成される成形空間4に突出する。
次に図6〜図9を参照して以上の本発明の実施の形態1の焼結装置を用いて行われる焼結方法につき説明する。
まず、ダイス2の成形空間4に下側発熱体9bを挿入してパンチ5b及び下側発熱体9bを電極10bによって支持した状態において、金属やセラミック等の材料粉末3を上方から前記成形空間4内に供給する(Step1)。そして、成形空間4に上方からパンチ5a及び上側発熱体9aを挿入する(Step2)。
この状態において上側発熱体9a及び下側発熱体9b、パンチ5a,5b及びダイス2を収納した真空チャンバ14内を真空状態、または不活性ガス雰囲気、あるいは水素ガス等の還元ガス雰囲気とする(Step3)。
この状態で、電極10a、上側発熱体9a、パンチ5aを図示しない油圧装置1aによって図1上矢印Xで示す方向に移動して材料粉末3に対する加圧を行う(Step4)。
また、図6に示す様に電源装置8を用いて、上側発熱体9aと下側発熱体9bの間に電圧を印加することにより、上側発熱体9aと下側発熱体9bを通してパンチ5a,5b及びダイス2内の材料粉末3に電流を流し、該電流によって、上側発熱体9a及び下側発熱体9bのジュール発熱、更には材料粉末3自身のジュール発熱により、材料粉末3を高温に加熱する(Step5)。これにより、材料粉末3は加圧されるとともに高温に加熱されて結合し易い状態となり、焼結されて加圧焼結体となる。
以上の材料粉末3を高温に加熱すると共に加圧するStep5の焼結過程においては本発明の焼結方法では次の様にして加圧力の設定が行われる。
図7に示す様に、Step5の焼結過程における加圧開始後、パンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の現在位置を計測(Step5−1)し、パンチ5a及びパンチ5b及びダイス2のStep5の焼結過程における移動開始時から現在までの時間に基づきパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の単位時間辺りの移動量を算出する(Step5−2)。その単位時間辺りのパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の移動量に基づき、焼結が終了する時点として設定された時点におけるパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の位置を算出して焼結が終了する時点までに到達する形状を算出する(Step5−3)。
次いでパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の単位時間辺りの移動量に基づき算出された焼結が終了する時点までに到達する形状と目標とする最終形状との誤差に基づき、パンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の単位時間辺りの移動量の修正に必要な加圧力を算出する(Step5−4)。その算出された加圧力に基づきパンチ5b及びダイス下縁部2aによって加える必要のある加圧力を設定し、電極10b、下側発熱体9b、パンチ5bを図上矢印Yで示す方向に移動する(Step5−5)。
これによってパンチ5b及びダイス2による加圧を開始して材料粉末3に対する加圧を行う。
以上の加圧過程では制御装置7からの制御信号に基づき油圧装置1aによって、電極10a,10b、発熱体9a,9bを介してパンチ5a,5bが加圧され、それと同時にパンチ5a,5bのパンチ鍔部16a,16bに係合するパンチ係合段部19a,19bを介してフランジ17a,17bも材料粉末3の加圧方向に加圧される。
その様にフランジ17a,17bが加圧される結果、フランジ17a,17bとサポート部13a間に配設されるスプリング23が圧縮され、スプリング23によってフランジ17a,17bとサポート部13a間を広げる方向の反発力が生じる。しかし、このスプリング23の反発力に上回る加圧力が油圧装置1aによって電極10a,10b、上側発熱体9a及び下側発熱体9b、パンチ5a,5b、ダイス2に加えられて材料粉末3にパンチ5a,5b、ダイス2によって十分な圧力を加えることができ、十分な加圧焼結を行うことができる。
ここでダイス2にはアタッチメント2cが装着され、このアタッチメント2cを介してダイス加圧手段2bによって油圧装置1aの油圧が加えられる。またダイス2にはパンチ5b外側方に突出するダイス下縁部2aが設けられており、スプリング23の反発力に上回る加圧力が油圧装置1aによって電極10b、下側発熱体9b、パンチ5b、ダイス下縁部2aに加えられる。その結果、材料粉末3にはパンチ5aによって加えられる矢印X方向の圧縮力と、パンチ5bによって加えられる矢印Y方向の圧縮力(y1)が加えられ、それと同時にダイス下縁部2aによって加えられる矢印Y方向の圧縮力(y2)が加えられる。
これによって、材料粉末3はパンチ5a,5b間の加圧(X,y1)とパンチ5a,ダイス下縁部2a間の加圧(X,y2)が加えられた状態で目標とする最終形状まで焼結過程で圧縮され、最終形状に到達する。
以上の図7に示す材料粉末3の焼結・加圧過程において、パンチ5aによって加えられる矢印X方向の圧縮力は材料粉末3の上部全面に対する加圧力であるのに対し、パンチ5bによって加えられる矢印Y方向の圧縮力(y1)は材料粉末3の下面部中央部分に対する加圧力であり、さらにダイス下縁部2aによって加えられる矢印Y方向の圧縮力(y2)は材料粉末3の下面部外縁部分に対する加圧力とされる。したがって以上の実施の形態の焼結方法による加圧の態様は、目標とする最終形状に応じて相互に異なる3方向からの3軸加圧として構成される。
以上の焼結過程では、前述の如く、電源装置8により電極10a,10bに電圧を印加すると、上側発熱体9a、パンチ5a、材料粉末3、ダイス2、パンチ5b、下側発熱体9bという経路で電流が流れる。
このとき上述したように、大きなジュール熱が上側発熱体9a及び下側発熱体9bで得られるので、材料粉末3の容積が大きくても十分にこの材料粉末3を加熱することができる。また、前記上側発熱体9a及び下側発熱体9bからの熱がパンチ5a,5bによって径方向に分散されることにより、材料粉末3を均一に加熱することができる。
またその際、パンチ5a,5bの材料粉末3を直接加圧する表面には金型としての表面形状が造型されており、その表面形状が材料粉末3の加熱加圧焼結よって得られる焼結体15に転写され、焼結体15はパンチ5a,5bの金型としての表面形状が転写された精密形状を有する焼結体となる(Step6)。
焼結終了後の冷却過程では、油圧装置1aによって電極10a,10b、上側発熱体9a及び下側発熱体9b、パンチ5a,5bに加えられる加圧力を下げて行き、この加圧力がスプリング23の反発力よりも小さくなった時点で、フランジ17a,17b、パンチ5a,5b、発熱体9a,9b、電極10a,10bがスプリング23の反発力によって材料粉末3に対する加圧方向とは逆方向である型開き方向へ加圧される(Step7)。次に、焼結体15とパンチ5a,5bとの離型の際の離型抵抗及び油圧装置1aによって電極10a,10bに加えられる加圧力よりもスプリング23の反発力が大きくなった時点で、焼結体15とパンチ5a,5bの離型が行われる(Step8)。
なお、スプリング23の反発力はフランジ17a,17bとサポート部13a間における圧縮量によって変化するため、焼結時のスプリング23圧縮量と電極10a,10bの加圧力及び焼結体15とパンチ5a,5bとの離型抵抗に応じてスプリング23の反発力すなわち弾性係数等の弾性的性質は適切に設定する必要がある。
以上の焼結後の離型過程において本発明の焼結装置によれば上述した様に、離型補助孔26、断熱材12に設けられる貫通孔26a、貫通孔26b、離型補助ピン27によって構成される焼結体15の保持機構によって離型過程における焼結体15の保持が行われる。
具体的には、上述した様に材料粉末3の焼結過程において離型補助ピン27の補助ピン先端27aはダイス2内側にパンチ5a,5bが挿入されて形成される成形空間4に突出しており、その結果、材料粉末3の焼結過程において補助ピン先端27aが焼結体15中に突設して配置された状態となり、離型補助ピン27の補助ピン先端27aによって焼結体15がダイス2内側に保持された状態となる。その様に焼結体15をダイス2内側に保持することで焼結体15とパンチ5a,5bとの離型を確実に行うことができる。また図5に模式的に示す様に離型後は離型補助ピン27を離型補助孔26から引き抜いて焼結体15をダイス2から簡単に取り外すことができる。
このように焼結体15がダイス2内側に固定されていない場合、焼結体15からの離型の際に上側パンチ5aと下側パンチ5bのうちで離型抵抗のより大きい側に焼結体15が付着した状態で焼結後の離型過程が進行し、上側パンチ5aと下側パンチ5bのうちいずれか一方の離型ができなくなる。
次いで以上の様に焼結体15とパンチ5a,5bの離型が行われるた状態で必要に応じて焼結体15を取り出し、さらに真空チャンバ14内の真空状態を解除し(Step9)、上側パンチ5aを引き出し(Step10)、焼結工程を終了する。
図8は以上の焼結過程におけるダイス2内側における温度を上側パンチ5aと下側パンチ5bに加わる加圧力と真空チャンバ14内の真空度の変化を示すタイムチャートである。図8に示される様にダイス2の成形空間4に下側発熱体9bを挿入してパンチ5b及び下側発熱体9bを電極10bによって支持した状態において、金属やセラミック等の材料粉末3を上方から前記成形空間4内に供給し(Step1)、成形空間4に上方からパンチ5a及び上側発熱体9aを挿入した(Step2)状態で真空チャンバ14が減圧されて真空チャンバ14内の真空度が上昇し、十分な真空度が得られた状態で材料粉末3に対する加圧が開始される(Step4)。
次に材料粉末3に対して十分な加圧が行われた状態で、電源装置8による上側発熱体9aと下側発熱体9b間の電圧印加を開始し、上側発熱体9a及び下側発熱体9bのジュール発熱により、材料粉末3を高温に加熱して(Step5)一定時間保持し、焼結が終了して冷却が開始すると共に離型機構が作動して(Step7)焼結体15に対するパンチ5a,5bによる加圧力が解除される。
次に、焼結体15とパンチ5a,5bとの離型の際の離型抵抗及び油圧装置1aによって電極10a,10bに加えられる加圧力よりもスプリング23の反発力が大きくなった時点で、焼結体15とパンチ5a,5bの離型が行われる(Step9、Step10)。その後ダイス2内側温度が250〜300℃程度に降下した時点で、真空チャンバ14内の真空状態が解除されパンチ5a,5b(グラファイト型)と共に焼結体15が取り出されて所定の熱処理工程に供される。
以上の図8に示されるタイムチャートの態様では焼結体15とパンチ5a,5b等の取り扱い上の安全性の観点と高温状態で真空チャンバ14内の真空解除を行うと、パンチ5a,5b(グラファイト型)の酸化、真空チャンバ14の熱による劣化が発生し、これを防止する必要があることから焼結体15とパンチ5a,5bの取り出し温度が250〜300℃とされている。
従って、焼結体15の劣化の防止と高精度化を実現するという目的で焼結直後に焼結体15に熱処理を行う場合には図9のタイムチャートに示される焼結工程が実施される。
図9のタイムチャートに示される焼結工程では前述の図8に示されるタイムチャートの態様とは異なり、焼結体15に対するパンチ5a,5bによる加圧力が解除されると同時にダイス2内側温度が800〜900℃程度の高温である時点で焼結体15の取り出し及び設処理工程への移送が行われ、一方、真空チャンバ14内の真空状態は可能な範囲で維持されて、その後ダイス2内側温度が250〜300℃程度に降下した時点で、真空チャンバ14内の真空状態が解除される。
これにより焼結体15が真空チャンバ14内にダイス2内側温度が250〜300℃程度まで降下するまで保持されることによる特性の劣化を可及的に防止すると共に高温状態で真空チャンバ14内の真空が解除されることによるパンチ5a,5b(グラファイト型)の酸化、真空チャンバ14の熱による劣化が防止される。
以上の実施の形態の焼結装置によれば、特に、リブ付き焼結体15を製造する場合には底面を加圧するパンチ5a,5bとリブ付き焼結体15の側壁部分を加圧するダイス下縁部2aとによってそれぞれ独立して粉末を加圧することができる結果、このパンチ5a,5bとダイス下縁部2aの相対位置関係、すなわちパンチ5a,5bとダイス下縁部2aのそれぞれによって加えられる加圧力を適切に制御することによって全体として均一な密度のリブ付き焼結体15を製造することができる。
[実施の形態2]
図10は本発明の実施の形態2としてダイス2内側にパンチ5a,5bが挿入されて形成される成形空間4の領域でダイス2が上下の部分に分割される様にすると共に、その分割部分のダイス2の内側部に保持凹部28が形成される様にした焼結体15の保持機構についての概念図を示す。
この保持機構によれば、焼結体15に保持凹部28に突出する保持突部15aが形成され、この保持突部15aがダイス2の保持凹部28に係合した状態で焼結体15からのパンチ5a,5bの離型が行われるので、焼結体15からのパンチ5a,5bの離型を確実に行うことができる。また離型後はダイス2を上下の部分に分割して焼結体15をダイス2から取り外すことができる。
[実施の形態3]
図11及び図12は本発明の実施の形態3の焼結装置を示す。この実施の形態3の焼結装置は、上下電極10a,10bとパンチ5a,5bをカップリング29によって組み付けることにより、焼結体15とパンチ5a,5bの離型を可能としている。
実施の形態3の焼結装置では、図に示す様に電極10a,10bの端部に電極鍔部30a,30bが設けられ、一方パンチ5a,5bの端部には電極鍔部30a,30bとほぼ同径のパンチ鍔部31a,31bが設けられる。その電極鍔部30a,30bとパンチ鍔部31a,31bとの間に発熱体9a,9bを配置し、電極鍔部30a,30bとパンチ鍔部31a,31bをカップリング29によって挟み込み、電極鍔部30a,30bとパンチ鍔部31a,31bとの間に発熱体9a,9bを挟持した状態で電極10a,10bと発熱体9a,9bとパンチ5a,5bとがカップリング29によって組み付けられて一体化される。
従ってその様に組み付けられた状態では、油圧装置1aによって電極10a,10bが昇降されると電極10a,10bと一体となって発熱体9a,9bとパンチ5a,5bとが昇降し、油圧装置1aによる電極10a,10bの昇降によって材料粉末3の加圧焼結及び焼結体15からのパンチ5a,5bの離型が行われる。すなわち電極10a,10bを油圧装置1aによって型開き方向に引き離す動きに伴い上側発熱体9a及び下側発熱体9b、パンチ5a,5bを型開き方向に移動させ、これによってパンチ5a,5bを焼結体15から離型させることができる。
以上の実施の形態3の焼結装置では電極10a,10bとカップリング29、パンチ5a,5bとカップリング29との間には絶縁体25が配置されて、その間が短絡して発熱体9a,9bへの通電が阻害されることを防止している。この場合に絶縁処理したカップリング29を設ける様にすることもできる。
なおこの実施の形態3の焼結装置でも実施の形態1、実施の形態2の焼結装置と同様に、離型補助孔26、断熱材12に設けられる貫通孔26a、貫通孔26b、離型補助ピン27によって構成される焼結体15の保持機構によって離型過程における焼結体15の保持が行われる。
具体的には、上述した様に材料粉末3の焼結過程において離型補助ピン27の補助ピン先端27aはダイス2内側にパンチ5a,5bが挿入されて形成される成形空間4に突出しており、その結果、材料粉末3の焼結過程において補助ピン先端27aが焼結体15中に突設して配置された状態となり、離型補助ピン27の補助ピン先端27aによって焼結体15がダイス2内側に保持された状態となる。その様に焼結体15をダイス2内側に保持することで焼結体15とパンチ5a,5bとの離型を確実に行うことができる。また図10に模式的に示す様に離型後は離型補助ピン27を離型補助孔26から引き抜いて焼結体15をダイス2から簡単に取り外すことができる。
また、この実施の形態3の焼結装置でも実施の形態1、実施の形態2の焼結装置と同様に、電極10a、上側発熱体9a、パンチ5aを図示しない油圧装置1aによって図11上矢印Xで示す方向に移動して材料粉末3に対する加圧を行い(Step4)、それと共に材料粉末3を高温に加熱する(Step5)。次いで図7に示す様に、Step5の焼結過程における加圧開始後、パンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の現在位置を計測(Step5−1)し、パンチ5a及びパンチ5b及びダイス2のStep5の焼結過程における移動開始時から現在までの時間に基づきパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の単位時間辺りの移動量を算出する(Step5−2)。
その単位時間辺りのパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の移動量に基づき、焼結が終了する時点として設定された時点におけるパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の位置を算出して焼結が終了する時点までに到達する形状を算出する(Step5−3)。 次いでパンチ5a及びパンチ5b及びダイス2の単位時間辺りの移動量に基づき算出された焼結が終了する時点までに到達する形状と目標とする最終形状との誤差に基づき、パンチ5b及びダイス下縁部2aによって加える必要のある加圧力を設定し、電極10b、下側発熱体9b、パンチ5b及びダイス加圧手段2を図上矢印Yで示す方向に移動する(Step5−5)。
これによってパンチ5b及びダイス下縁部2aによる加圧を開始して材料粉末3に対する加圧を行い、その結果、材料粉末3にはパンチ5aによって加えられる矢印X方向の圧縮力と、パンチ5bによって加えられる矢印Y方向の圧縮力(y1)が加えられ、それと同時にダイス下縁部2aによって加えられる矢印Y方向の圧縮力(y2)が加えられる。
したがって以上の実施の形態の焼結方法による焼結過程における加圧の態様も目標とする最終形状に応じて相互に異なる3方向からの3軸加圧として構成される。
本発明の焼結方法及び焼結装置は例えばアルミニウムダイカスト金型の焼結に好適に適用できる。
本発明の実施の形態に係る焼結装置の概略構成図である。 図1B−B断面図である。 図1A−A断面図である。 図1に示す焼結装置の部分拡大図である。 図1に示す焼結装置の動作を示す模式図である。 図1に示す焼結装置を用いて行う本発明の実施の形態に係る焼結方法のフローチャートである。 図6に示すフローチャートをさらに詳細に展開したフローチャートである。 図1に示す焼結装置を用いて行う本発明の実施の形態に係る焼結方法のタイムチャートである。 図1に示す焼結装置を用いて行う本発明の実施の形態に係る焼結方法の他のタイムチャートである。 本発明の他の実施の形態に係る焼結装置の模式図である。 本発明の他の実施の形態に係る焼結装置の概略構成図である。 図11に示す焼結装置の部分拡大図である。 従来の焼結装置の概略構成図である。 従来の焼結装置の概略構成図である。
符号の説明
1・・・焼結装置、2・・・ダイス、2a・・・ダイス下縁部、2b・・・ダイス加圧手段、3・・・材料粉末、4・・・成形空間、5・・・パンチ、6・・・温度センサ、7・・・制御装置 、8・・・電源装置、9・・・発熱体、10・・・電極、11・・・円筒状断熱材、12・・・断熱材、13・・・金属サポート、14・・・真空チャンバ、15・・・焼結体、16・・・パンチ鍔部、17・・・フランジ、18・・・パンチ孔部、19・・・パンチ係合段部段部、20・・・フランジ孔部、21・・・サポート部孔部、22・・・ストッパー、23・・・スプリング・・・、24・・・留め金、25・・・絶縁体 、26・・・離型補助孔、27・・・離型補助ピン、28・・・保持凹部、29・・・カップリング、30・・・電極鍔部、31・・・パンチ鍔部。

Claims (19)

  1. 以下の工程より成ることを特徴とする焼結方法。
    (1)第一の加圧手段によって成形空間に収納された粉末を加圧する第1工程
    (2)第二の加圧手段によって成形空間に収納された粉末を加圧する第2工程
    (3)第一の加圧手段の加圧力と第二の加圧手段の加圧力によって成形空間に収納された粉末を圧縮し、焼結して焼結体となす第3工程
    (4)第一の加圧手段および/または第二の加圧手段と焼結体とを離型する第4工程
  2. 粉末を収納する成形空間を形成するダイスの成形空間において対抗する第一のパンチと第二のパンチ間に粉末を収納し、前記第一の加圧手段である第一のパンチによってダイスの成形空間に収納された粉末に加圧し、前記第二の加圧手段であるダイスおよび/または第二のパンチによって前記ダイスの成形空間に収納された粉末に加圧する請求項1記載の焼結方法。
  3. 前記第1工程においてダイスの成形空間に収納された粉末及び第一のパンチ及び第二のパンチよりも大きな抵抗の発熱体に通電して発熱させる請求項2記載の焼結方法。
  4. 第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程が第3工程完了直後に行われる請求項2記載の焼結方法。
  5. 第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程が第3工程後の焼結体の温度降下に伴う焼結体の熱収縮力がパンチの成形表面の強度限界以内である時間内に行われる請求項2記載の焼結方法。
  6. 第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程が第3工程後の焼結体の温度降下に伴う収縮率が製造目標となる製品形状と焼結体形状の寸法誤差が0.2%以内である時間内に行われる請求項2記載の焼結方法。
  7. 第一のパンチおよび/または第二のパンチと焼結体とを離型する第4工程において焼結体がダイスに保持される請求項2乃至請求項6のいずれか一に記載の焼結方法。
  8. 成形空間に収納された粉末に加圧する第一の加圧手段及び第二の加圧手段と、前記第一の加圧手段の加圧力と第二の加圧手段の加圧力を設定する加圧力設定手段が設けられ、前記加圧力設定手段は、第一の加圧手段及び第二の加圧手段の現在位置と単位時間辺りの移動量計測手段と、目標とする最終形状との関係で必要な加圧力の算出手段と、その算出された加圧力の値に基づき第一の加圧手段の加圧力と第二の加圧手段の加圧力とを制御する制御手段とより成る請求項8に記載の焼結装置。
  9. 前記第一の加圧手段が粉末を収納する成形空間を形成するダイスの当該成形空間に配置される第一のパンチであり、前記第二の加圧手段がダイスおよび/または第一のパンチに対抗してダイスの成形空間に配置される第二のパンチである請求項8に記載の焼結装置。
  10. 前記第一の加圧手段が粉末を収納する成形空間を形成するダイスの成形空間に配置される第一のパンチであり、前記第二の加圧手段が前記第一のパンチと対抗して配置される第二のパンチおよび/またはダイスであって、前記第一のパンチと前記第二のパンチの少なくともいずれか一方に伝熱可能に配置される発熱体と、発熱体に通電するための電極装置とを備えてなる請求項8に記載の焼結装置。
  11. 前記成形空間で成形された焼結体と前記第一のパンチ及び第二のパンチの少なくともいずれか一方とを離型するための離型機構が設けられてなる請求項10に記載の焼結装置。
  12. 前記離型機構は、電極と発熱体とパンチを着脱可能に相互に取り付けるカップリングを有して成り、そのカップリングによって電極を引き離すと共に発熱体及びパンチを焼結体から離型させる請求項11に記載の焼結装置。
  13. 前記離型機構は、パンチによって加えられる加圧力に抗して型開き方向へ付勢する離型付勢手段を有してなり、ダイスの成形空間に収納された粉末を加圧し、焼結して焼結体となす過程ではパンチによって加えられる加圧力が前記離型付勢手段による付勢力よりも大なる加圧力に設定されてなる請求項11または請求項12に記載の焼結装置。
  14. 前記ダイスには前記成形空間で成形された焼結体を保持するための保持機構が設けられる請求項9に記載の焼結装置。
  15. 前記保持機構は、前記ダイスに前記成形空間に開口するように設けられた離型補助孔と、前記成形空間に突出する態様で離型補助孔に装着される離型補助ピンとよりなる請求項14に記載の焼結装置。
  16. 前記ダイスは複数のダイス要素を組み合わせて成り、複数のダイス要素を組み合わせてダイスの粉末成形空間に形成される接合線が通過するように粉末成形空間に開口する離型穴が設けられてなる請求項9に記載の焼結装置。
  17. 前記ダイスには前記成形空間に開口する離型補助穴が設けられ、この離型補助穴を通過する分離線によって前記ダイスが分離可能にされてなる請求項9に記載の焼結装置。
  18. ダイスの成形空間を介して加圧方向に沿って対抗する様に前記パンチを複数配置し、前記発熱体が複数配置されたそれぞれのパンチに対して伝熱可能に配置される請求項11ないし請求項17のいずれか一に記載の焼結装置。
  19. 前記パンチが成形空間に収納された粉末に転写する表面形状の成形表面を備えたグラファイトマスタである請求項11ないし請求項18のいずれか一に記載の焼結装置。
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