JP2007246552A - グラフト変性ノルボルネン系樹脂。 - Google Patents

グラフト変性ノルボルネン系樹脂。 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率、低吸水性のグラフト変性ノルボルネン系樹脂を提供する。
【解決手段】1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンなどのノルボルネン誘導体モノマーを開環重合し、次いで水素化してノルボルネン系樹脂を得る。該ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率よりも0.07以上大きい屈折率を有する単独重合体を与えるビニル炭化水素単量体、例えばビニルナフタレンで、該ノルボルネン系樹脂をグラフト変性して、吸水率が0.20重量%以下であるグラフト変性ノルボルネン系樹脂を得る。
【選択図】なし。

Description

本発明はグラフト変性ノルボルネン系樹脂に関する。さらに詳しくは高屈折率、低吸水性のグラフト変性ノルボルネン系樹脂に関する。
ノルボルネン誘導体モノマーの開環重合体水素化物や、ノルボルネン誘導体モノマーとエチレンとの付加型共重合体及び水素化物などのノルボルネン系樹脂は、低複屈折性、耐湿性、耐熱性を示す高分子材料として知られており、光学レンズ、光ディスク基板、光学レンズ等の光学材料として利用されている。
レンズ用の高屈折率を有するノルボルネン系樹脂として、特許文献1や特許文献2に、芳香環構造を有するノルボルネン系単量体を重合してなる樹脂が開示されている。この樹脂の屈折率は1.58程度である。しかし、高性能のレンズを得るためにはより高い屈折率が要求される。
ところで、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を改質するためにグラフト変性することが知られている。例えば、特許文献3によれば、耐熱性、耐薬品性及び成形加工性を向上させるために、極性基を有するノルボルネン系開環重合体水素化物にビニル系単量体をグラフト重合させることが提案されている。
特許文献4には、ノルボルネン系樹脂を、該ノルボルネン系樹脂の示す固有複屈折値の正負符号と反対の正負符号の固有複屈折値を与えるビニル炭化水素単量体(具体的には、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、又はスチレン)でグラフト変性させることにより、複屈折性を下げることが提案されている。
特許文献5には、極性基を有するノルボルネン系重合体にアニオンリビング状態の芳香族ビニルポリマーを反応させて、当該極性基にスチレンやメチルスチレンなどの芳香族ビニルポリマーを結合させた変性ノルボルネン系重合体が低複屈折性に優れていると記載されている。
特開平8−151435号公報 特開2005−330465号公報 特開平5−051421号公報 特開2001−316432号公報 特開2005−097397号公報
本発明の目的は、高屈折率、低吸水性のグラフト変性ノルボルネン系樹脂を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために、特許文献3〜4に記載されている技術に注目し、鋭意検討を重ねたところ、ノルボルネン系樹脂をグラフト変性させる化合物として、該ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率よりも0.07以上大きい屈折率を有する単独重合体を与えるビニル炭化水素単量体を用いることによって、高屈折率、低吸水性のグラフト変性ノルボルネン系樹脂が得られることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明は、
(1) ノルボルネン誘導体モノマーを重合し、次いで水素化して得られるノルボルネン系樹脂に、該ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率よりも0.07以上大きい屈折率を有する単独重合体を与えるビニル炭化水素単量体を、グラフト反応させてなる、吸水率が0.20重量%以下であるグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
(2) ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率が1.53以上のものである前記(1)のグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
(3) ビニル炭化水素単量体が炭素数9〜18のビニル芳香族単量体である前記(1)のグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
(4) ビニル炭化水素単量体が芳香環を2以上有するビニル芳香族単量体である前記(1)のグラフト変性ノルボルネン系樹脂。である。
本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、高い屈折率と、低い吸水率を示すものである。このような特性を有する本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、成形性に優れ、無色透明な光学レンズなどの光学部材用の材料として好適である。
本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン誘導体モノマーを重合し、次いで水素化して得られるノルボルネン系樹脂を、該ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率よりも0.07以上大きい屈折率を有する単独重合体を与えるビニル炭化水素単量体でグラフト変性してなる、吸水率が0.20重量%以下のものである。
幹樹脂となるノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン誘導体モノマーを重合し、次いで水素化して得られるものである。
ノルボルネン誘導体モノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン又は1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらモノマーの環に置換基を有するものなどが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などが例示でき、上記ノルボルネン誘導体モノマーは、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン誘導体モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
幹樹脂となるノルボルネン系樹脂は、25℃、d線における屈折率(以下、単に屈折率と言った場合は、25℃、d線の条件下での屈折率を意味する)によって格別な制限はないが、高性能の光学レンズ等の材料に適用するために、できるだけ屈折率が高いものが好ましい。具体的には、1.53以上の屈折率を持つものが好ましい。
高屈折率のノルボルネン系樹脂を得るためには、芳香環構造を含有するノルボルネン誘導体モノマーやフッ素原子を有するノルボルネン誘導体モノマーを重合成分として用いることが好ましい。芳香環構造を含有するノルボルネン誘導体モノマーやフッ素原子を有するノルボルネン誘導体モノマーを重合して得られるノルボルネン系樹脂は、屈折率が、高くても1.58程度である。
ノルボルネン誘導体モノマーの重合には、開環重合と、付加重合とがある。
ノルボルネン誘導体モノマーの開環重合は、ノルボルネン誘導体モノマーを単独で開環重合してもよいし、ノルボルネン誘導体モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとを開環重合してもよい。
ノルボルネン誘導体モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。ノルボルネン誘導体モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
開環重合は公知の開環重合触媒の存在下で行うことができる。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を挙げることができる。
ノルボルネン誘導体モノマーの付加重合は、ノルボルネン誘導体モノマーを単独で付加重合してもよいし、ノルボルネン誘導体モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加重合してもよい。
ノルボルネン誘導体モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。ノルボルネン誘導体モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン誘導体モノマーとこれと付加共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加重合体中のノルボルネン誘導体モノマー由来の構造単位と付加共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
付加重合は、公知の付加重合触媒を用いることによって行うことができる。付加重合触媒としては、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。
次にノルボルネン誘導体モノマーの重合によって得られたもの水素化する。水素化は、通常、上記重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、水素ガスを接触させることによって行うことができる。この水素化によって炭素−炭素不飽和結合等が水素化される。
水素化反応は、水素化前の重合体中の、脂肪族性の炭素−炭素二重結合が、モル当量換で通常80%以上、好ましくは90%が水素化されるまで行う。
ノルボルネン系樹脂は、その重量平均分子量によって特に制限されず、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜250,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。分子量がこの範囲であると、樹脂の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好ましい。本発明において重量平均分子量は、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン又はテトラヒドロフラン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した単分散ポリイソプレン(シクロヘキサン溶液)又は単分散ポリスチレン(トルエン又はテトラヒドロフラン溶液)換算の値である。
ノルボルネン系樹脂はASTM D570で測定した吸水率が0.3%以下、好ましくは0.2%以下であるのもが好ましい。
本発明に用いられるビニル炭化水素単量体は、当該ノルボルネン系樹脂が有する屈折率よりも、0.07以上、好ましくは0.1以上大きい屈折率を有する単独重合体を与える単量体である。ビニル炭化水素の単独重合体の屈折率とノルボルネン系樹脂の屈折率との差が小さいと、低複屈折率化に関する十分な効果を得るためには、大量のビニル炭化水素をノルボルネン系樹脂にグラフトさせなければならなくなる。グラフトさせるビニル炭化水素の量が多いと、グラフト変性後の樹脂の粘度が増大し、成形性を低下させることになる。この観点から、ビニル炭化水素の単独重合体の屈折率は、ノルボルネン系樹脂の屈折率より、最低でも0.07は大きいものを選択する必要がある。
例えば、原料ノルボルネン系樹脂の屈折率が1.53程度を示す場合には、1.60以上の屈折率を示す単独重合体を与えるビニル炭化水素単量体が使用される。
ビニル炭化水素単量体としては、グラフト変性ノルボルネン系樹脂の吸水率を0.20重量%以下に抑えることができるという観点から、極性基を持たない単量体が好ましく、特にビニル芳香族単量体が好ましい。
また、このビニル芳香族単量体は、グラフト反応性や製造が容易であるという観点から、炭素数9〜18の単量体が好ましく、芳香環を2以上有する単量体がより好ましい。
ビニル芳香族単量体としては、ジフェニルエチレン(1.63)やビニルナフタレン(1.68)、ビニルインデン(1.67)、ビニルアズレン(1.67)、ビニルビフェニレン(1.69)、ビニルフェナレン(1.69)等の二環式化合物、ビニルアントラセン(1.69)、ビニルフェナントレン(1.69)、ビニルフルオレン(1.69)等の三環式化合物等が好ましい単量体として挙げられる。尚、単量体名の後ろの括弧内の数値は、その単量体を単独重合して得られる重合体の屈折率(理論値)である。
ビニル炭化水素単量体は、ノルボルネン系樹脂100重量部に対して2〜100重量部、特に5〜50重量部の割合で使用することが好ましい。ビニル炭化水素単量体が少ないとグラフト変性効果が不足し、屈折率を高める効果が小さい傾向にある。他方、ビニル炭化水素単量体の割合が多いと、ノルボルネン系樹脂に変性されずに遊離したビニル炭化水素単量体の単独重合体が増え、所望の特性を有する成形体を得ることが困難になる場合がある上、不経済となる傾向にある。
グラフト反応は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、ノルボルネン系樹脂とビニル炭化水素単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下に、反応させることによって行うことができる。このグラフト反応によって、ノルボルネン系樹脂にビニル炭化水素単量体又はビニル炭化水素単量体の重合体が結合した、いわゆるグラフト変性樹脂が得られる。
グラフト反応に用いられるラジカル重合開始剤は、10時間半減期分解温度が好ましくは40〜170℃、より好ましくは60〜130℃のものである。ここで、10時間半減期分解温度とは、ラジカル重合開始剤をトルエン又はベンゼン1リットル中に0.05又は0.1モル/リットルの濃度で溶解し、このトルエン又はベンゼン溶液を一定温度で加熱して10時間経過した時のラジカル重合開始剤の分解率が50%となるその温度である。
そのようなラジカル重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジクミルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クミルパーオキシオクトエート、アセチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなどを挙げることができる。
グラフト反応において、ラジカル重合開始剤は、ビニル炭化水素単量体100重量部に対して、0.01〜100重量部、特に0.05〜50重量部の割合で用いることが好ましい。ビニル炭化水素単量体の割合が少ないとグラフト変性量が十分でなく、他方、多すぎるとゲル分(架橋生成物)が増大する。
グラフト反応において、ビニル炭化水素単量体から作られる枝重合体の分子量を調節するために公知の分子量調節剤を用いることができる。好適な分子量調節剤としては、有機硫黄化合物を挙げることができる。そのような有機硫黄化合物としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の脂肪族メルカプタン;芳香族メルカプタン;チオグリコール酸及びそのエステル、エチレンチオグリコール酸及びそのエステル、エチレンチオグリコール等が挙げられる。これら有機硫黄化合物は単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。分子量調節剤は、ノルボルネン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の割合で用いることができる。
グラフト反応は、その手法によって特に制限されず、溶液重合法、溶融混練重合法、含浸重合法などを採用して行うことができる。
溶液重合法は、通常、ノルボルネン系樹脂、ビニル炭化水素単量体及びラジカル重合開始剤を反応溶媒に溶解し、この溶液を、ラジカル重合開始剤の分解開始温度(ラジカル重合開始剤の分解が開始する温度)以上の温度に加熱することによって反応させる方法である。
反応溶媒は、ノルボルネン系樹脂とビニル炭化水素単量体を溶解し、かつ所望のラジカル反応を妨げない溶媒が使用される。そのような反応溶媒としては、クロロベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ノルボルネン系樹脂、ビニル炭化水素単量体及びラジカル重合開始剤を反応溶媒に溶解させる方法は特に限定されないが、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に生じない温度以下で攪拌して溶解させることが好ましい。
ノルボルネン系樹脂、ビニル炭化水素単量体及びラジカル重合開始剤を同時に反応溶媒に添加して溶解させてもよいし;ラジカル重合開始剤の一部と、ノルボルネン系樹脂とを反応溶媒に添加し10分〜1時間攪拌して溶解させ、この溶液にラジカル重合開始剤の残部とビニル炭化水素単量体とを好ましくは30分〜5時間、より好ましくは1時間〜3時間かけて添加し溶解させてもよい。
グラフト反応開始時のノルボルネン系樹脂の濃度は、5〜80重量%であることが好まし、10〜50重量%であることがより好ましい。ノルボルネン系樹脂の濃度が低いと反応速度が低くなる、逆に濃度が高いと、ビニル炭化水素単量体の遊離重合体などの副生成物量が増える傾向にある。
溶液重合法におけるグラフト反応は、ラジカル重合開始剤の10時間半減期分解温度よりも5〜40℃高い温度で行うことが好ましく、10〜30℃高い温度で行うことがより好ましい。反応時間は、好ましくは3時間〜12時間、より好ましくは5時間〜10時間である。ビニル炭化水素単量体の重合率が低い場合はラジカル重合開始剤を反応途中に追加してもよい。
これら反応溶液の調製、グラフト化反応等の操作は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応終了後、反応液を濃縮することによって、又はメタノール、2−プロパノール、アセトン、ヘキサン等の貧溶媒で析出させろ過することにより、溶媒を除去する。残った樹脂固形物は、必要に応じて、室温あるいは加温条件下で、メタノール、2−プロパノール、アセトン等の溶媒で洗浄され、未反応ビニル炭化水素単量体やビニル炭化水素単量体の遊離単独重合体が取り除かれる。
溶融混練重合法は、通常、ノルボルネン系樹脂とビニル炭化水素単量体とラジカル重合開始剤とをドライブレンドし、この混合物をラジカル重合開始剤の分解開始温度以上の温度で、溶融混練することにより反応させる方法である。
ドライブレンドはラジカル重合開始剤の分解が進行しない温度において行うことが好ましい。
溶融混練重合法における反応時間(溶融混練時間)は、好ましくは3分〜20分であり、より好ましくは5分〜15分である。得られた樹脂は、必要に応じて、室温あるいは加温条件下で、メタノール、2−プロパノール、アセトン等の溶媒で洗浄され、未反応ビニル炭化水素単量体やビニル炭化水素単量体の遊離単独重合体が取り除かれる。
含浸重合法は、ノルボルネン系樹脂とビニル炭化水素単量体とラジカル重合開始剤とを水性媒体に懸濁し、この懸濁液をラジカル重合開始剤は実質的に分解しない温度以下で加熱して、ビニル炭化水素単量体及びラジカル重合開始剤をノルボルネン系樹脂に含浸させ、次いで、その懸濁液をラジカル重合開始剤の分解開始温度以上の温度に加熱することによって反応させる方法である。懸濁液の調製及びグラフト反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
ノルボルネン系樹脂とビニル炭化水素単量体とラジカル重合開始剤とを水性媒体に懸濁させる方法は、特に制限されず、例えば、懸濁剤を含有する水性媒体に先ずノルボルネン系樹脂を懸濁させ、次いでこの懸濁液にビニル炭化水素単量体とラジカル重合開始剤とを添加し懸濁させることができる。懸濁させる際に用いる懸濁剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースなどの水溶性ポリマー、リン酸カルシウム、酸化マグネシウムなどの難水溶性無機塩などを挙げることができる。
水性懸濁液中の反応性成分(ノルボルネン系樹脂、ビニル炭化水素単量体及びラジカル重合開始剤)の総濃度は、水100重量部に対して2〜100重量部であることが好ましく、10〜100重量部であることがより好ましい。反応性成分の割合が少ないと反応速度が低下するか又は生産効率が低下する傾向にあり、逆に反応性成分の割合が多いと攪拌不良となる傾向にある。含浸法により得られた樹脂は、水性媒体を除去した後、室温あるいは加温条件下で、メタノール、2−プロパノール、アセトン等の溶媒で洗浄され、未反応ビニル炭化水素単量体やビニル炭化水素単量体の遊離単独重合体が取り除かれる。
上記の溶液重合法、溶融混練重合法、及び含浸重合法は、適宜操作を組み合わせてグラフト反応させることができる。例えば、含浸重合法と同様に樹脂に単量体及び開始剤を含浸させ、次いで溶融混練重合法と同様に溶融混練してグラフト反応させてもよいし;溶液重合法と同様にして樹脂と単量体と開始剤との溶液を得、これを溶融混練してグラフト反応させてもよい。
本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、2〜100%のグラフト変性量を有することが好ましい。グラフト変性量が2%未満では、グラフト変性効果が小さく、配向複屈折値の低下が少ない傾向になる。他方、グラフト変性量が100%を越えると、グラフト変性効果が飽和し、グラフト変性されないビニル炭化水素単量体の遊離単独重合体の量が増え、所望の特性を有する成形体を得ることが困難になる場合がある上、不経済となる傾向にある。グラフト変性量は、5〜50%であることがより好ましい。
なお、本明細書において、グラフト変性量は、ノルボルネン系樹脂100重量部に対するグラフト変性後のノルボルネン系樹脂の重量増分(%)(すなわち、(グラフト変性ノルボルネン系樹脂の重量−原料ノルボルネン系樹脂の重量)×100/原料ノルボルネン系樹脂の重量)として定義される。
本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、好ましくは約10,000〜400,000、より好ましくは20,000〜300,000の数平均分子量を有する。
また、本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂の吸水率は、0.20%以下、好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.05%以下である。吸水率が高いと光学性能の環境依存性が高くなり安定した複屈折率性などが得られなくなる。
本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、屈折率が高く、透明性に優れているので、光学用フィルム又はシート、偏光板用保護フィルム、液晶表示用フィルム、液晶表示用基板、光ディスク、光学用レンズなどの成形体を得る材料として有用である。
これらの成形体を得るに当たり、グラフト変性ノルボルネン系樹脂には、必要に応じてその他の高分子材料、各種添加剤などを配合し、成形材料とすることができる。その他の高分子材料としては、ゴム質重合体、熱可塑性エラストマー、その他の熱可塑性樹脂等が挙げられる。その他の配合剤としては、例えば、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、有機又は無機の充填剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、難燃剤、難燃助剤、相溶化剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤などが挙げられる。
以下、参考例、実施例、比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(1)重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布
テトラヒドロフランを溶剤とするゲルパーミエーションクロマトグラフ法によりポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(MwD)を算出した。
(2)屈折率
精密屈折計(島津製作所社製;製品名「KPR−200」、光源=Heランプ(587.6nm))で厚さ5mmの成形体を用いて25℃における屈折率(nd)を求めた。
(3)吸水率
JIS K7209に準拠して、厚さ5mmの成形体を用いて、23℃の蒸留水に24時間浸漬させた後の重量変化を測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
常温から30℃/分で200℃まで昇温した後、5分間保持し、10℃/分で0℃まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線から求めた。
(5)グラフト変性量
原料ノルボルネン系樹脂100重量部に対するグラフト変性ノルボルネン系樹脂の重量増加分を原料ノルボルネン系樹脂重量で除算して求めた。すなわち、グラフト変性ノルボルネン系樹脂の重量−原料ノルボルネン系樹脂の重量)×100/原料ノルボルネン系樹脂の重量 により算出した。
(6)成形性
フレネルレンズを射出成形により100個作成し、樹脂の金型への充填不良の有無を観察し、以下の基準で評価した。得られたフレネルレンズは、大きさ250mm×250mmの正方形であり、厚さは1mm、レンズ部分は、最外周の直径が350mmで球状局面を250分割したレンズである。尚、充填不良の生じたものについては、その数も表に合わせて記載した(表中の括弧内の数字)。
◎:充填不良品が、100個中0個。
○:充填不良品が、100個中1〜9個。
×:充填不良品が、100個中10個以上。
参考例
窒素置換した撹拌器付きオートクレーブに、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFということがある)33重量部、シクロヘキサン80重量部、1−ヘキセン0.15重量部を仕込み、45℃に加温した。重合触媒としてトリイソブチルアルミニウムの15%トルエン溶液3.5重量部、イソブチルアルコール0.03重量部、ジイソプロピルエーテル0.04重量部、及び塩化タングステンの20%シクロヘキサン溶液42重量部を添加して開環重合を開始した。反応液の温度を45℃に保ったまま1時間反応させた時点でイソプロピルアルコール0.1重量部を添加して反応を停止させ、MTF開環重合体を得た。MTF開環重合体の数平均分子量(Mn)は16,600、重量平均分子量(Mw)は28,200、分子量分布(MwD)は1.7であった。
得られたMTF開環重合体20重量部をトルエン80重量部に溶解した溶液、及びシリカに担持されたパラジウムからなる水素化触媒0.1重量部を撹拌器付きオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブの気体部分を水素で置換した。水素圧力3MPa、温度180℃で4時間水素化反応を行った。反応液をポアサイズ2μmの濾紙で濾過して水素化触媒を除去した。濾液を強く撹拌したイソプロピルアルコール500重量部中に注いで樹脂分を析出、沈澱させ、濾別した。
得られた樹脂固形分を、1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥機中に24時間放置し乾燥させて、18重量部のMTF開環重合体の水素化物を得た。得られたMTF開環重合体水素化物を、180℃でプレス成形し、厚さ5mmの成形体を作製した。屈折率、吸水率及びガラス転移温度の評価結果を表1に示す。
実施例1
キシレン250重量部に、参考例1で得られたMTF開環重合体水素化物100重量部、2−ビニルナフタレン30重量部およびジクミルパーオキシド(日本油脂製;製品名「パークミルD」)3重量部を溶解し、窒素雰囲気下130℃で3時間反応させた。この反応液をアセトン中に投入し、樹脂分を析出させ、濾別した。濾別された樹脂分をアセトンで洗浄し、1mmHg以下に減圧した100℃の真空乾燥機中に24時間乾燥させ、2−ビニルナフタレングラフト変性ノルボルネン系樹脂115重量部を得た。屈折率、吸水率及びガラス転移温度の評価結果を表1に示す。
この2−ビニルナフタレングラフト変性ノルボルネン系樹脂17重量部に0.008重量部の老化防止剤(チバガイギー社製;製品名「イルガノックス1010」)を添加し、2軸押出機(東芝機械社製;製品名「TEM−35B」、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度270℃、フィードレート10kg/時間)で押し出し、ペレタイザーでカットし、樹脂ペレットを得た。
この樹脂ペレットを、シリンダー温度300℃、金型温度70℃,射出速度45cm/秒、射出圧1,000kg/cm、保圧800kgf/cm、背圧70kgf/cmの条件で、フレネルレンズ金型に射出成形して、フレネルレンズを得た。フレネルレンズ金型は、250mm×250mm×厚さ1mmの直方体状で、レンズ部の最外周の直径が200mmで球状局面を250分割したレンズを得ることができるものを使用した。
この射出成形で得られたフレネルレンズの成形性及び色調を評価した結果を表1に示す。
実施例2
2−ビニルナフタレンの量を60重量部に、ジクミルパーオキシドの量を10重量部に変えた以外は、実施例1と同様にしてグラフト変性ノルボルネン系樹脂及びフレネルレンズを得た。樹脂の屈折率、吸水率及びガラス転移温度の評価結果及びフレネルレンズの成形性及び色調を評価した結果を表1に示す。
実施例3
2−ビニルナフタレン30重量部を9−ビニルアントラセン40重量部に変えた以外は、実施例1と同様にしてグラフト変性ノルボルネン系樹脂及びフレネルレンズを得た。樹脂の屈折率、吸水率及びガラス転移温度の評価結果及びフレネルレンズの成形性及び色調を評価した結果を表1に示す。
比較例1
2−ビニルナフタレン30重量部をスチレン21重量部に変えた以外は、実施例1と同様にしてグラフト変性ノルボルネン系樹脂及びフレネルレンズを得た。樹脂の屈折率、吸水率及びガラス転移温度の評価結果及びフレネルレンズの成形性及び色調を評価した結果を表1に示す。
比較例2
2−ビニルナフタレン30重量部を9−ビニルカルバゾール38重量部に変えた以外は、実施例1と同様にしてグラフト変性ノルボルネン系樹脂及びフレネルレンズを得た。樹脂の屈折率、吸水率及びガラス転移温度の評価結果及びフレネルレンズの成形性及び色調を評価した結果を表1に示す。
Figure 2007246552

Claims (4)

  1. ノルボルネン誘導体モノマーを重合し、次いで水素化して得られるノルボルネン系樹脂に、該ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率よりも0.07以上大きい屈折率を有する単独重合体を与えるビニル炭化水素単量体を、グラフト反応させてなる、吸水率が0.20重量%以下であるグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
  2. ノルボルネン系樹脂の25℃、d線における屈折率が1.53以上のものである請求項1記載のグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
  3. ビニル炭化水素単量体が炭素数9〜18のビニル芳香族単量体である請求項1記載のグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
  4. ビニル炭化水素単量体が芳香環を2以上有するビニル芳香族単量体である請求項1記載のグラフト変性ノルボルネン系樹脂。
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