JP2001064319A - 非複屈折性光学材料 - Google Patents

非複屈折性光学材料

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JP2001064319A
JP2001064319A JP24467699A JP24467699A JP2001064319A JP 2001064319 A JP2001064319 A JP 2001064319A JP 24467699 A JP24467699 A JP 24467699A JP 24467699 A JP24467699 A JP 24467699A JP 2001064319 A JP2001064319 A JP 2001064319A
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birefringent optical
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hiroshi Ishida
浩 石田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水添スチレン系樹脂材料の優れた特長である
透明性、高弾性率、高耐熱性、低吸水性等の性能を保持
したまま、欠点である高弾性係数を低くし、成形体の複
屈折性を実質ゼロに改善することを目的とする。 【解決の手段】 スチレン単量体およびそれと共重合可
能な単量体を重合あるいは共重合して得られるスチレン
系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水
添スチレン系重合体から実質的になり、下記(a)〜
(b)の特徴を有する非複屈折性光学材料。 (a)部分水添スチレン系重合体におけるスチレン結合
単位およびスチレン結合単位を水添して成る結合単位の
含率が80重量%以上、 (b)部分水添スチレン系重合体に含まれる芳香環の水
添率の割合が次の範囲、 完全水添芳香環 85〜96モル% 残存芳香環 15〜4モル% 部分水添芳香環 4〜0モル%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、低吸水性、
耐熱性に優れ、かつ極めて低複屈折性な光学材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、透明な光学材料としてはガラスが
広く利用されてきた。しかし、近年樹脂材料の成形加工
性、軽量性、耐衝撃性等の優れた特長を生かして、光学
レンズ、プリズム、ミラー、光ディスク、光ファイバ
ー、液晶ディスプレー用シート・フィルム、液晶表示装
置の導光板等の光学部品に透明樹脂材料が利用されるよ
うになってきた。
【0003】光学用に利用される透明樹脂材料として
は、ポリメタアクリル樹脂(以下PMMAと略称す
る。)およびポリカーボネート樹脂(以下PCと略称す
る。)が代表的である。しかし、これらはガラスに比較
して吸湿性が高いため光学部品の面精度が変化し易く、
信頼性に劣ることに大きな欠点がある。さらに、PMM
Aでは耐熱性が十分でなく、PCでは光学的ひずみであ
る複屈折が大きく光学特性が必ずしも十分ではなかっ
た。それ故、樹脂材料から成る光学部品の高性能化や高
信頼性の要求に対して、低吸湿性、低複屈折性、高耐熱
性を有する透明樹脂材料の開発への期待は非常に大き
い。
【0004】特に高度な光学性能が要求される光学材料
用途の一例に、光ディスクがある。レーザーを用いた光
学記録は高密度な情報の記録、保存および再生が可能で
あるため、その改良、開発が活発に進められている。光
ディスクは、透明な基板とその上にコートされた種々の
記録媒体とから、基本的に構成される。光ディスクの透
明基板には無色透明な合成樹脂を用いる場合が多い。そ
の代表的なものはPCおよびPMMAである。これらの
樹脂は優れた無色透明性と、樹脂材として優れた力学的
性能を有しており、光ディスクの基板として広く使用さ
れている。
【0005】しかし、PCはその芳香族環に起因する高
い複屈折あるいは短波長域の光透過率の低下の問題があ
り、また吸水性あるいは透水性においても問題がある。
一方、PMMAは耐熱性、吸水性および耐衝撃性におけ
る問題がある。PC、PMMAの吸水性および透水性
は、基板が環境中の水分を吸水(吸湿)して、膨張によ
るソリを引き起こす。また、基板を通しての水分の透過
は記録媒体の腐食を引き起こし、光りディスクの寿命を
縮める原因となる。
【0006】現状技術状況は、PCは複屈折が大きいの
で複屈折が小さくなる条件で光ディスクを成形し、比較
的複屈折の許容限度が緩やかなコンパクトディスク等に
用いられている。しかし、近年の記録情報の更なる高密
度化、レーザーの短波長化への対応には、PCの複屈折
および短波長域の光透過率では限界が指摘されている。
これらの光学材料への要求に対して、PMMAの耐熱
性、吸水性を改良するために側鎖に脂環式炭化水素基を
導入したもの、PCの複屈折を低減するために側鎖にフ
ェニル基を導入したもの等が検討されてきた。また、複
屈折を低減するために、側鎖にアリール基やフルオレニ
ル基を導入したポリエステル、複屈折の生じる向きが異
なるポリマーのブレンド、例えばPCとスチレン系樹脂
のポリマーアロイ、スチレン系樹脂をグラフト化したP
C等も検討されてきた。
【0007】一方、これらPC、PMMA等の従来型ポ
リマーの改良とは異なり、透明性、低複屈折性、低吸水
性、耐熱性を兼ね備えた非晶質シクロオレフィン系樹脂
(以下COPと略称する。)が開発されている。しか
し、COPは複屈折性に優れるものの、PMMAに比較
すると同等もしくは劣るものであり、要求性能レベルに
よっては更なる改良が求めらる。またCOPは重合触媒
として遷移金属触媒が用いられるが、遷移金属の残存は
着色や光透過性低下の原因となる。それ故に光学材料と
して用いるには重合体を合成後、遷移金属の脱灰が必要
になる。この脱灰工程はCOP製造コストの増大を来た
し、改善の求められる製造上の問題点である。
【0008】スチレン系重合体は安価に得られ、光透過
性に優れ、かつ吸水性がないとの特長を有している。ま
た、通常ラジカル重合によるスチレン系重合体は脱灰工
程が必要となる様な金属触媒を用いないとの特長もあ
る。しかし、複屈折が大きいとの致命的欠点があるた
め、光学材料としての使用は限定的である。これに対し
てスチレンの芳香環を水添した樹脂、即ちポリビニルシ
クロヘキサン樹脂は優れた光学特性を有している。
【0009】この種のポリビニルシクロヘキサン系樹脂
(水添スチレン系樹脂と同一)は古くから公知である。
例えば、特公昭45−11425号はポリビニルシクロ
ヘキサンの重合体組成物(配合物)に関するものであ
る。明細書中にはビニルシクロヘキサンのホモ重合体
が、その出願時点で既に公知であり、透明な硬質樹脂で
あると記載されている。また、その複屈折が小さいこと
は、その化学構造式とローレンツ−ローレンツの式等に
よって容易に計算、推定されるところである。即ち、ポ
リビニルシクロヘキサン系樹脂は物質として公知であ
り、その光学的特性も公知であった。
【0010】近年になって、ビニルシクロヘキサン系樹
脂の透明性と低複屈折等の公知の光学性能を利用し、用
途限定した提案がなされている。例えば、特開昭63−
43910号は光ディスク材料に関するもので、ビニル
シクロヘキサン系重合体の光ディスク基板への利用が開
示されている。特開平01−132603号は光学材料
に関するものである。ビニル芳香族炭化水素重合体の水
添物の光学材料への利用が開示されている。特許請求の
範囲はビニル芳香族炭化水素重合体の水添率は30%以
上に限定され、明細書中の記載によれば水添率は一般に
は高い方が好ましいとしている。
【0011】一般に、成形体の複屈折は材料性能と成形
条件の相互作用で決まる。さらに材料性能は固有複屈折
と光弾性係数で評価できる。水添スチレン系樹脂は優れ
た固有複屈折を有しているものの、光弾性率は特に優れ
るものではない。PMMA等の汎用的な光学材料と比較
して、光弾性係数の絶対値は同等もしくはやや大きなレ
ベルである。それ故、水添スチレン系樹脂は固有複屈折
が小さいにも関わらず、成形条件によっては成形体は高
い複屈折を示すことになる。しかも、一般に水添スチレ
ン系樹脂は脆いため、強度を高めるには高い分子量が求
められる。高い分子量は成形体に歪み応力や配向を残
し、結果として複屈折を来たし易い。それ故、固有複屈
折や光弾性率等の複屈折性能の更なる向上が求められ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する課題は、水添スチレン系樹脂材料の優れた特長であ
る透明性、高弾性率、高耐熱性、低吸水性等の性能を保
持したまま、欠点である高弾性係数を低くし、成形体の
複屈折性を実質ゼロに改善することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は水添スチレン
系樹脂材料の複屈折性能の改良について鋭意検討した結
果、本発明を達成した。即ち、特定構造の部分水添スチ
レン系樹脂材料から成る成形体が複屈折性能に優れ、し
かも光透過性および力学的性能にも優れることを見出
し、本発明を達成した。本発明の理解を促すために、具
体的例により本発明の光学材料の複屈折性能を説明す
る。本発明の範囲は特許請求の範囲に示すところであ
り、下記説明に限定されないことは当然である。
【0014】ポリスチレンの固有複屈折はマイナスの大
きな値を示す。また光弾性係数は常温においてはプラス
の小さな値、ガラス転移温度近辺から上の高温域ではマ
イナスの大きな値を示す。ポリスチレンの光学性能は固
有複屈折が大きいこと、高温での光弾性係数が大きいこ
とが最大の問題である。これに対して水添ポリスチレン
の固有複屈折は極めて小さい。しかし、光弾性係数は比
較的大きなプラス値を示し、弾性複屈折が成形体に発生
し易すい。水添ポリスチレンは光弾性係数が大きいこと
に問題があることが、検討の結果判明した。
【0015】水添ポリスチレンに一部芳香環を共存させ
ると、低い固有複屈折を維持し、成形加工温度における
光弾性係数を減らし、成形体の複屈折を顕著に低減する
ことができることを、本発明者は見出した。本発明は特
許請求の範囲にも示すところである。即ち、スチレン単
量体およびそれと共重合可能な単量体を重合あるいは共
重合して得られるスチレン系重合体の芳香族環を部分水
素添加して得られる部分水添スチレン系重合体から実質
的になり、下記(a)〜(g)の特徴を有する非複屈折
性光学材料。 (a)部分水添スチレン系重合体におけるスチレン結合
単位とスチレン結合単位を水添して成る結合単位の合計
含率が80重量%以上、(b)部分水添スチレン系重合
体に含まれる芳香環の水添率の割合が次の範囲、 完全水添芳香環 85〜96モル% 残存芳香環 15〜4モル% 部分水添芳香環 4〜0モル% (c)部分水添スチレン系重合体における残存芳香環と
水添芳香環の重合体連鎖中の結合分布が実質的にランダ
ム、(d)部分水添スチレン系重合体の重量平均分子量
が100,000〜1,000,000の範囲、(e)
非複屈折性光学材料の金属含有量が10ppm未満、
(f)非複屈折性光学材料の全光線透過率が85%以
上、(g)非複屈折性光学材料の100℃における光弾
性率が30×10-13cm2/dyne未満。
【0016】本発明の非複屈折性光学材料で用いられる
部分水添スチレン系重合体は、スチレン結合単位および
その水添結合単位を80重量%以上含まなければならな
い。好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95
%重量以上である。スチレン結合単位およびその水添結
合単位を80重量%以上含まなければ、水添芳香環に基
づく透明性、低複屈折性等の光学特性または樹脂材料と
しての力学的性能を十分発現できない。スチレン結合単
位およびその水添結合単位が100重量%のものも好ま
しい一例である。
【0017】本発明のスチレン系重合体における共重合
可能な単量体は、その重合方法によっても異なる。一般
にはスチレン以外のビニル芳香族単量体、共役ジエン単
量体、メタアクリル酸エステル、アクリル酸エステル等
の単量体等が挙げられる。ビニル芳香族単量体の例とし
てはα−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メ
チルスチレン、p−tertブチルスチレン、4−フェ
ニルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレ
ン等が挙げられる。共役ジエン単量体の例としては1,
3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,
3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキ
サジエン、1、3−シクロヘキサジエン等が挙げられ
る。
【0018】メタアクリル酸エステルの例としてはメタ
アクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリ
ル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸
2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、
メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸メチル
シクロヘキシル、メタアクリル酸t−ブチルシクロヘキ
シル、メタアクリル酸ボルニル、メタアクリル酸イソボ
ルニル、メタアクリル酸アダマンチル等のメタアクリル
酸シクロアルキルエステル、メタアクリル酸フェニル、
メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸ナフチル等の
メタアクリル酸芳香族エステル、メタアクリル酸フルオ
ロベンジル、メタアクリル酸クロロフェニル、メタアク
リル酸ブロモベンジル等のメタアクリル酸置換芳香族エ
ステル、メタアクリル酸フルオロメチル、メタアクリル
酸フルオロエチル、メタアクリル酸クロロエチル、メタ
アクリル酸ブロモエチル等のメタアクリル酸ハロゲン化
アルキルエステル、メタアクリル酸ヒドロキシアルキル
エステル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸
アミノアルキルエステル、メタアクリル酸シアノアルキ
ルエステル等が挙げられる。
【0019】アクリル酸エステルの例としてはアクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のア
クリル酸アルキルエステル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸t−
ブチルシクロヘキシル、アクリル酸ボルニル、アクリル
酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル等のアクリル
酸シクロアルキルエステル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸ナフチル等のアクリル酸芳
香族エステル、アクリル酸フルオロベンジル、アクリル
酸クロロフェニル、アクリル酸ブロモベンジル等のアク
リル酸置換芳香族エステル、アクリル酸フルオロメチ
ル、アクリル酸フルオロエチル、アクリル酸クロロエチ
ル、アクリル酸ブロモエチル等のアクリル酸ハロゲン化
アルキルエステル、アクリル酸ヒドロキシアルキルエス
テル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アミノアルキ
ルエステル、アクリル酸シアノアルキルエステル等が挙
げられる。
【0020】スチレン系重合体の重合方法は特に限定さ
れない。ラジカル開始剤を用いたラジカル重合あるいは
熱ラジカル重合、あるいは公知のアニオン重合触媒、カ
チオン重合触媒、チーグラー触媒、カミンスキー触媒に
よる重合が利用できる。最も好ましい重合方法は、金属
触媒を用いないラジカル重合法である。金属触媒の利用
は金属除去のための脱灰工程が必要になり、製造コスト
の増大をもたらすため好ましくない場合がある。通常、
単量体の重合は無溶媒もしくは溶媒を使用して行われ
る。使用できる重合溶媒は重合方法によっても異なる
が、一般的にはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン等の脂肪族系溶媒、塩化メチル、塩化メチレン、1,
2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、
1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水
素系溶媒等が使用できる。
【0021】重合温度は、一般には−100〜200
℃、さらに一般には0〜150℃の範囲で行われる。重
合時の圧力は、一般には系を液相に保つことのできる下
限圧以上で実施される。スチレン系重合体は重合後、水
素添加することによって部分水添スチレン系重合体にさ
れる。芳香環の水素添加能力を有する水素添加触媒の存
在下に、水素添加して制御された割合で部分水素添加す
ることが必要である。使用される水素添加触媒は特に限
定するものではない。例えばニッケル、コバルト、ルテ
ニウム、ロジウム、白金、パラジウム等の金属、または
その酸化物、塩、錯体およびこれらを活性炭、珪藻土、
アルミナ、シリカ等に担持したもの等が挙げられる。こ
れらの中でも特にロジウム、ルテニウム、白金等の白金
族金属のカーボン、アルミナ、シリカ担持触媒が触媒活
性、水添後の触媒除去の点で好ましい。
【0022】水素添加反応は、一般に常圧〜250kg
/cm2、50〜200℃の温度にて、溶媒としてシク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、デ
カリン、ナフサ等の飽和炭化水素系溶媒、あるいはTH
F等のエーテル系溶媒を用いて行う。また、水素添加反
応を行う場合、アルコールやエーテル化合物を少量添加
して反応性を高めることができる。そのような目的に使
用されるアルコールやエーテルの添加量は溶媒100重
量部に対して、0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重
量部である。
【0023】部分水添スチレン系重合体に含まれる芳香
環の完全水添率、即ちシクロヘキサン環の含有率は85
〜96モル%、好ましくは87〜95モル%、特に好ま
しくは89〜94モル%の範囲である。完全水添とは芳
香環がシクロヘキサン環にまで水添されることを意味す
る。部分水添スチレン系重合体に含まれる芳香環の残存
率は15〜4モル%、好ましくは13〜5モル%、特に
好ましくは11〜6モル%の範囲である。芳香環の残存
率が15モル%を越えると、残存芳香環に起因する配向
複屈折の増大や低波長領域での吸光が増大し、好ましく
ない。芳香環の残存率は5モル%未満では、光弾性係数
に起因する複屈折が増大して、やはり好ましくない。
【0024】部分水添芳香環とは芳香環が一部水添さ
れ、環構造中に二重結合がーつあるいは二つ残る構造を
意味する。部分水添芳香環の含率は4モル%以下、好ま
しくは2モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下、
特にこのましくは0.5モル%以下である。部分水添芳
香環の量が増大すると非複屈折性光学材料の耐熱性ある
いは耐候性の低下を来たし好ましくない。本発明の非複
屈折性光学材料の部分水添スチレン系重合体連鎖中にお
ける残存芳香環と水添芳香環の結合分布は実質的にラン
ダムであることが必要である。残存芳香環と水添芳香環
の重合体連鎖中の結合分布がブロック的あるいはホモポ
リマーの混合物であると、樹脂材料中のミクロ的な屈折
率の揺らぎにより光の散乱が生じて好ましくない。
【0025】本発明の非複屈折性光学材料の部分水添ス
チレン系重合体の重量平均分子量は100,000〜
1,000,000、好ましくは150,000〜50
0,000、さらに好ましくは200,000〜40
0,000の範囲である。部分水添スチレン系重合体の
重量平均分子量が100,000以下では、非複屈折性
光学材料の強度、耐衝撃性等の力学的性能が著しく低下
して好ましくない。また1,000,000以上では非
複屈折性光学材料の成形、加工性が著しく低下して好ま
しくない。
【0026】本発明の非複屈折性光学材料の金属含有量
が10ppm未満でなけらばならない。好ましくは5p
pm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。金属
含有量が10ppmを越えると光透過性が低下して好ま
しくない。特に光ディスク材料に用いた場合、記録情報
のビットエラーの原因となり、好ましくない。本発明の
非複屈折性光学材料の全光線透過率(JIS−K−67
14の方法)は85%以上でなければならない。好まし
くは88%以上、特に好ましくは90%以上である。全
光線透過率が85%未満では光学材料として十分な性能
を発現できない。
【0027】本発明の非複屈折性光学材料の光弾性率は
30×10-13cm2/dyne未満でなければならな
い。好ましくは20×10-13cm2/dyne未満、特
に好ましくは15×10-13cm2/dyne未満であ
る。光弾性係数が大きいと、成形体の歪みによる複屈折
が大きくなり好ましくない。さらに、本発明の非複屈折
性光学材料のガラス転移温度は好ましくは110℃以
上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは1
30℃以上である。ガラス転移温度は示差熱分析計(D
SC)で測定される。ガラス転移温度が110℃未満で
は光学材料としての耐熱性が用途によっては不足し、好
ましくない。
【0028】本発明の非複屈折性光学材料の弾性率、特
に曲げ弾性率は15,000Kg/cm2以上であるこ
とが好ましい。さらに好ましくは20,000Kg/c
2、特に好ましくは23,000Kg/cm2以上であ
る。弾性率が余りに低いと、外力よる変形や傷付きを受
けやすく、光学材料として利用し難い。本発明の非複屈
折性光学材料においては、本発明に規定しない公知の樹
脂添加物を添加しても構わない。例えば、安定剤、紫外
線吸収剤、可塑剤等を添加して、公知の作用効果を達成
することは当然できる。これらの樹脂添加剤の本発明の
非複屈折性光学材料への混合時期、方法は特に限定しな
い。重合製造時に溶液段階で混合することもできるし、
樹脂成分の混合時に、あるいは成形加工時に混合するこ
ともできる。
【0029】安定剤の例としては、ヒンダードフェノー
ル系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等が挙げら
れる。ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤の
併用が耐熱劣化性の向上の観点から好ましい。特に、光
ディスク基板に用いた場合には、情報の書き込み、消去
に使用するレーザー光の波長領域に光吸収のない安定剤
が好ましい。本発明で使用できるヒンダードフェノール
系安定剤の具体例としては、テトラキス[メチレン−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネートメタン、3,9−ビス[1,1,−
ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチ
ル]2,4,8,10−テトラオキサスプロ[5,5]
ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル−s−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げら
れる。
【0030】また、リン系安定剤の具体例としては、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4’−ビスフェニレンホスフォナイト、ビス(2,6−
ジ−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ル−ジ−ホスファイト等が挙げられる。安定剤の好適な
使用量は樹脂成分100重量部当たり、各0.001〜
1重量部である。また、無安定剤でも、本発明の非複屈
折性光学材料はそれなりの安定性は有しており、組成に
よっては無安定剤が好ましい場合もある。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に実施例および比較例を挙げ
て本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらの実施
例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例
および比較例における各種重合体構造および樹脂性能
は、次の方法により測定、評価したものである。 (1)水素添加率の測定: プロトンNMRスペクトル
に基づき解析した。 (2)分子量測定:各重合体の分子量はゲル・パーミエ
ーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、TH
Fを溶媒として測定した。 (3)複屈折:成形体中央部分の複屈折を、偏向顕微鏡
をにより測定した。測定樹脂温度は25℃。記載は絶対
値。 (1)全光線透過率:3mm厚板を用い、JIS K−
6714に準じて測定した。 (2)光弾性係数:光弾性測定装置(理研計器(株)P
A−150)を用い、水銀灯(波長=546nm)を光
源とし測定した。測定樹脂温度は100℃。記載は絶対
値 (3)ガラス転移温度 示差熱分析計(DSC)を用い
て測定した。
【0032】(7)曲げ弾性率 ASTM D790
(kg/cm2)に準じて測定した。
【0033】
【実施例1】窒素雰囲気下、スチレン単量体100重量
部をシクロヘキサン溶媒300重量部に混合し、AIB
N(アゾビスイソブチロニトリル)を開始剤として溶液
重合した。重合後終了後は、さらにシクロヘキサン30
0重量部で希釈し、水素圧をかけながらパラジウムのア
ルミナ担持触媒を充填したカラムを通して、加圧下に水
素添加した。水素添加後は混入したアルミナ担持触媒を
濾過して除いた後、重合体を乾燥、回収した。
【0034】分析の結果、重量平均分子量28万、水素
添加率94モル%であった。パラジウム金属残存率1p
pmであった。またガラス転移温度は142℃であっ
た。得られた重合体は射出成形機を用いて、金型温度9
0℃、樹脂温度240℃で120mm方形、厚さ1.2
mmのシートを成形し複屈折を測定した。また、全光線
透過率は3mm厚シートで測定した。重合体構造の解析
結果および樹脂性能の測定、評価結果を表1に示す。
【0035】
【実施例2、3および比較例1、2】市販ポリスチレン
樹脂(ポリスチレンG8259 エー・アンド・エム
スチレン(株)製。カタログ性能は、曲げ強さ(AST
M D790準拠)94MPa、曲げ弾性率(ASTM
D790準拠)3330MPa、ビカット軟化点(A
STM D1525準拠)107℃、MFR(ISO
R1133準拠)1.1g/10分)100重量部をシ
クロヘキサン溶媒500重量部に溶かした後、水素圧を
かけながら、パラジウムのアルミナ担持触媒を充填した
カラムを通して、加圧下に水素添加した。この時の水素
圧を調整することにより水添率を制御した。水添後は混
入したアルミナ担持触媒を濾過して除いた後、ポリマー
を乾燥、回収した。各重合体構造の解析結果および樹脂
性能の測定、評価結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明の部分水添スチレン系重合体から
実質的になる非複屈折性光学材料は、水添スチレン系重
合体の優れた特長である透明性、高弾性率、高耐熱性、
低水分吸水性等の性能を保持したまま、欠点である光弾
性係数を低くし、成形体の複屈折性を実質ゼロに改善す
るものである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AA20P AB00Q AB02P AB03Q AB04Q AB07Q AL03Q AL04Q AL08Q AL09Q AL10Q BA05Q BA30Q BA40Q BB01Q BB03Q BB07Q BB18Q BC04H BC04Q BC08Q BC09Q BC43Q BC49Q CA01 CA04 CA31 DA01 DA25 DA49 DA61 DA62 HA05 HB02 HB16 HB36 JA32

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン単量体およびそれと共重合可能
    な単量体を重合あるいは共重合して得られるスチレン系
    重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添
    スチレン系重合体から実質的になり、下記(a)〜
    (g)の特徴を有する非複屈折性光学材料。 (a)部分水添スチレン系重合体におけるスチレン結合
    単位とスチレン結合単位を水添して成る結合単位の合計
    含率が80重量%以上、(b)部分水添スチレン系重合
    体に含まれる芳香環の水添率の割合が次の範囲、 完全水添芳香環 85〜96モル% 残存芳香環 15〜4モル% 部分水添芳香環 4〜0モル% (c)部分水添スチレン系重合体における残存芳香環と
    水添芳香環の重合体連鎖中の結合分布が実質的にランダ
    ム、(d)部分水添スチレン系重合体の重量平均分子量
    が100,000〜1,000,000の範囲、(e)
    非複屈折性光学材料の金属含有量が10ppm未満、
    (f)非複屈折性光学材料の全光線透過率が85%以
    上、(g)非複屈折性光学材料の100℃における光弾
    性率が30×10-13cm2/dyne未満。
  2. 【請求項2】 スチレン系重合体がラジカル重合法によ
    り得られることを特徴とする請求項1記載の非複屈折性
    光学材料。
  3. 【請求項3】 スチレン系重合体の水素添加に白金族金
    属の担持触媒を用いて得られることを特徴とする請求項
    1および2記載の非複屈折性光学材料。
  4. 【請求項4】 ガラス転移温度100℃以上、弾性率1
    5,000Kg/cm 2以上であることを特徴とする請
    求項1ないし3記載の非複屈折性光学材料。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003076477A1 (fr) * 2002-03-13 2003-09-18 Zeon Corporation Materiau de moulage et composants electriques
JP2020152745A (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 三井化学株式会社 環状オレフィン系共重合体ペレット、成形体、及び、環状オレフィン系共重合体ペレットの製造方法
WO2023078998A1 (en) * 2021-11-03 2023-05-11 Sabic Global Technologies B.V. Improved hydrogenated poly(vinylcyclohexane) (pvch) polymer

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