JP5023519B2 - 水素化されたポリマーの製造方法 - Google Patents

水素化されたポリマーの製造方法 Download PDF

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本発明は芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリレートとの共重合体を、エステル化合物とアルコール化合物との混合溶媒中、触媒の存在下で水素化する工程を含む、芳香環が水素化された(以下、核水素化されたということがある)ポリマーを製造する方法に関する。
近年、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂をはじめとする非晶性プラスチックは様々な用途で用いられており、特にその光学的特徴を生かして、光学レンズ、光ディスク基盤等の光学材料としての需要が多い。この種の光学材料においては高い透明性のみならず、高耐熱性、低吸水性、機械物性等のバランスに優れた高度な性能が要求されている。
従来用いられてきた材料ではこれらの要件を全て備えているわけではなく、解決すべき問題点をそれぞれ有している。例えば、ポリスチレンは力学的に脆い、複屈折が大きい、透明性が劣るという欠点がある。ポリカーボネートは耐熱性に優れるが、これも複屈折率が大きく、透明性もポリスチレンとほぼ同等である。ポリメタクリル酸メチルは、透明性は高いが吸水率が極めて高いため寸法安定性に乏しく耐熱性が低いことが問題である。ポリスチレンを核水素化したポリビニルシクロヘキサンは透明性に優れるが、機械強度が弱い、耐熱安定性に乏しい、他材料との接着性にも乏しいという問題がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、メタクリル酸メチル(以下、MMAと称する)とスチレンとの共重合体(以下、MS樹脂と称する)は高透明性を有し、かつ寸法安定性、剛性、比重等のバランスに優れた樹脂であるが、複屈折が大きいという問題がある。
核水素化されたMS樹脂(以下、MSHと称する)、特に、MMAの共重合率50モル%以上のMSHは、MS樹脂と比べ、複屈折が大幅に低減されており、透明性、耐熱性、機械物性のバランスに優れていることが確認されている。
芳香族ポリマーの核水素化は既に知られているが、透明性を出すには核水素化率を上げる必要があり、これまでほぼ100%の核水素化率でないと高透明性の樹脂が得られないとされてきた。これは、核水素化率が低い場合、ブロック体を形成し全光線透過率が低下するためである。高分子量であることから反応しにくく、触媒の細孔構造の工夫がされているが(例えば、特許文献4参照)、核水素化率100%に到達することは難しく、それ以下の領域で十分な透明性が得られることが望まれている。
高分子反応のため核水素化反応には溶媒の寄与が大きく、これまで一般的に炭化水素、アルコール、エーテル、エステルなど多くのものが反応溶媒として用いられているが、炭化水素やアルコールは樹脂溶解度が低い、エーテル類は例えば1,4−ジオキサンは発火点が低い、テトラヒドロフランは開環反応が起こりやすく不安定という問題がある。エステルは核水素化率によっては樹脂の白濁化が起こる問題があり、安全、安定かつ速やかに透明度の高い核水素化された芳香族系ポリマーを得る方法が見出されていない。エーテル溶媒にアルコールや水を添加することにより低核水素化率でも高透明性を維持する方法が開示されているが(例えば、特許文献5参照)、光学材料に要求される高い透明性を満足することはできない。
特開2003−138078号公報 特許3094555号公報 特開2004−149549号公報 特表平11−504959号公報 特許2890748号公報
本発明は、核水素化率が低くても透明度の高い核水素化された芳香族ポリマーを速やかに製造することができる、安全かつ安定な方法を提供する。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリレートとの共重合体を触媒存在下で水素化するに際し、エステル化合物とアルコール化合物との混合溶媒を用いることで安全、安定で、かつ速やかに、透明度の高い核水素化されたポリマーが得られることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は以下の通りである。
1. 芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリレートとの共重合体を触媒存在下、エステル化合物とアルコール化合物との混合溶媒を用いて水素化することを特徴とする水素化されたポリマーの製造方法。
2. 前記混合溶媒の構成割合がエステル化合物100重量部に対してアルコール化合物0.5〜20重量部である第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
3. 前記エステル化合物が一般式(1)で示される化合物であって、Rが炭素数1〜6のアルキル基、Rが炭素数1〜4のアルキル基である第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
COOR (1)
4. 前記アルコール化合物が一般式(2)で示される化合物であって、Rが水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
CHOH (2)
5. 前記共重合体の重量平均分子量が10,000〜1,000,000である第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
6. 前記共重合体の構成単位のモル比((メタ)アクリレートモノマー/芳香族ビニルモノマー)が0.25〜4である第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
7. 前記共重合体がスチレンとメチルメタクリレートとの共重合体である第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
8. 前記触媒がパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムまたはニッケルである第1項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
9. 前記触媒の担体として、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたは珪藻土を用いる第8項記載の水素化されたポリマーの製造方法。
10. 第1項〜第9項のいずれかに記載の方法によって得られるポリマー。
11. 3.2mm厚の成型品の全光線透過率が90%以上である第10項記載のポリマー。
12. 第10項または第11項記載のポリマーを含む光学材料組成物。
本発明により得られる核水素化されたポリマーは、高透明性、低複屈折、高耐熱性、高表面硬度、低吸水、低比重、高転写性、優れた離型性を示す。特に光学材料として優れた特性を有しており、光学レンズ、光導光板、光拡散板、光ディスク基板材料、前面パネル等の広範な用途に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いる芳香族ビニル化合物とは、具体的にはスチレン、α―メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられるが、スチレンを用いることが好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリレートとは、具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、(メタ)アクリル酸(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)などの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;(メタ)アクリル酸(2−メトキシエチル)、(メタ)アクリル酸(2−エトキシエチル)などの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アラールキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;および2−(メタ)アクロイルオキシエチルホスホリルコリンなどのリン脂質類似官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができるが、得られる水素化ポリマーの物性面のバランスから、メタクリル酸アルキルを単独で用いるか、またはメタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルを併用することが好ましい。併用する場合、メタクリル酸アルキル80〜99.9モル%およびアクリル酸アルキル0.1〜20モル%を用いることが好ましい。用いるアクリル酸アルキルのうち、特に好ましいものはアクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルである。
なお、本明細書においては、「アクリル酸」と「メタクリル酸」を総称して(メタ)アクリル酸といい、「アクリレート」と「メタクリレート」を総称して(メタ)アクリレートという。
上記の芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリレートを含むモノマーを重合する方法は公知の方法を用いることができるが、工業的にはラジカル重合による方法が簡便でよい。ラジカル重合は塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法など公知の方法を適宜選択することができる。例えば、塊状重合法や溶液重合法の例としては、モノマーと連鎖移動剤、重合開始剤を配合したモノマー組成物を完全混合槽に連続的にフィードし、100〜180℃で重合する連続重合法などがある。溶液重合法ではトルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノールやイソプロパノールなどのアルコール系溶媒などをモノマー組成物と共にフィードする。重合後の反応液は重合槽から抜き出して、脱揮押出機や減圧脱揮槽に導入することで揮発分を脱揮して樹脂を得ることができる。
本発明における共重合体のようなビニル共重合体の場合、共重合体の構成単位の組成は仕込んだモノマーの組成とは必ずしも一致せず、重合反応によって実際にポリマーに取り込まれたモノマーの量によって決定される。共重合体の構成単位の比は、重合率が100%であれば仕込みモノマー組成比と一致するが、実際には50〜80%の重合率で製造する場合が多く、反応性の高いモノマーほどポリマーに取り込まれ易いため、モノマーの仕込み組成と共重合体の構成単位の組成にズレが生じるので、仕込みモノマーの組成比を適宜調整する必要がある。
本発明において水素化反応に用いる共重合体の構成単位のモル比((メタ)アクリレートモノマー単位/芳香族ビニルモノマー単位)は、0.25〜4が好ましい。0.25以上であると実用上十分な機械強度が得られる。4.0以下であると、水素化される芳香環の数が十分であり、水素化反応によるガラス転移温度の向上などの性能向上効果が得られる。物性バランスの面からさらに好ましい範囲を例示するならば0.25〜2.5、特に好ましい範囲は0.25〜2である。
本発明において水素化に用いる共重合体の重量平均分子量としては、10,000以上1,000,000以下が好ましく、50,000以上700,000以下がさらに好ましく、特に好ましい範囲は100,000以上500,000以下である。10,000未満または1,000,000を超える共重合体も本発明の方法によって核水素化することができるが、上記範囲内であると、粘度などの点で取り扱いが容易であり、実用上十分な機械強度を有する核水素化ポリマーが得られる。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、THFを溶媒として標準ポリスチレンで検量して求めた。
本発明で用いる芳香族ビニル化合物−(メタ)アクリレート共重合体は、適当な溶媒に溶解して水素化反応を行なうが、溶媒選定の際に考慮する点として、水素化反応前後の共重合体の溶解性及び水素の溶解性が良好であり、水素化される部位を持たないものが好ましく、かつ反応が速やかに行なわれることも加味する必要がある。また、反応後の溶媒成分の脱揮を想定した場合、溶媒の発火点が高いことが重要となる。これらの要件を全て満たす溶媒としてエステル化合物とアルコール化合物との混合溶媒を用いる。
該エステル化合物としては、下記一般式(1):
COOR (1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の脂肪族エステル化合物が好適である。例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸‐n‐ブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸‐n‐プロピル、プロピオン酸‐n‐ブチル、n‐酪酸メチル、イソ酪酸メチル、n‐酪酸‐n‐ブチル、n‐吉草酸メチル、n‐ヘキサン酸メチルなどが用いられるが、特にイソ酪酸メチルが好適に用いられる。
また、アルコール化合物としては、下記一般式(2):
CHOH (2)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコール化合物が好適である。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが用いられるが、特にメタノールやn−プロパノールが好適に用いられる。
エステル化合物とアルコール化合物との混合溶媒の構成割合は、エステル化合物100重量部に対してアルコール化合物0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
核水素化されたポリマーは未核水素化の芳香環を有しており、しばしば白濁の原因となる。該原因の一つは核水素化された部位と未核水素化の部位がブロック体を形成する場合であり、もう一つは低分子が優先的に核水素化され、高分子量未核水素化部が存在する場合である。すなわち、低分子と高分子で核水素化の速度が異なり、低分子のみが優先的に核水素化されると、ポリマーは白濁しやすくなる。しかし、高分子量未核水素化部の発生を抑制し、全体の相溶性を上げるとドメインがなくなり、高い透明性を有する核水素化ポリマーが得られる。本発明における混合溶媒を用いることによってこれが達成される。
水素化反応時の溶液中における共重合体の濃度は通常1〜50重量%であり、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。上記範囲内であると、反応速度や溶液粘性が適度であり、生産性、経済性の面から好ましい。
本発明における水素化反応に用いる触媒としては公知の触媒を使用することができるが、溶媒が水素化等の反応を受けないようなものを選定する必要がある。具体的には、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)などの金属、または該金属の酸化物、塩、錯体などの化合物を活性炭、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、シリカ−アルミナ(SiO−Al)、珪藻土などの一般的な多孔性担体に担持した固体触媒が挙げられる。この場合、担体上の上記金属の担持量は、通常0.01〜50重量%の範囲であり、好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。懸濁床で反応を行なう場合、担体粒径は通常0.1〜1,000μmの範囲であり、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜200μmである。上記範囲内であると、水素化反応後の触媒分離が容易であり、反応速度の低下を防ぐことができる。担体の孔径は担持金属の分散度や水素化能の向上という観点から、20〜3,000Åの孔を多く持つものが好ましく、その比表面積は5m/g以上であることが好ましい。触媒の使用量は、芳香族ビニル化合物−(メタ)アクリレート共重合体100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましい。
本発明における水素化反応は上述した懸濁床、または固定床での反応いずれでもよく、バッチ式反応や連続流通式反応など公知の手法を用いることができる。好ましい反応条件は、60〜250℃の温度、3〜30MPaの水素圧、3〜48hrの反応時間である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなり、反応温度が高すぎると重合体の分解が生じるため好ましくない。また、水素圧が低い場合には反応速度が遅く、水素圧を高くしようとすると高耐圧の反応器を要するため、経済的に好ましくない。
該水素化反応後は、濾過または遠心分離などの公知の手法で触媒の除去を行なうことができる。着色、機械物性への影響などを考慮すると、ポリマー内の残留触媒金属濃度は出来るだけ少なくする必要があり、10ppm以下が好ましく、さらに好ましくは1ppm以下である。
該水素化反応後に得られたポリマー溶液から溶媒を除去してポリマーを精製する方法としては、1)ポリマー溶液から溶媒を連続的に除去して濃縮液とし、溶融状態で押し出すことによりペレット化する方法、2)ポリマー溶液から溶媒を蒸発させて塊状物を得た後ペレット化する方法、3)ポリマー溶液を貧溶媒に加える、またはポリマー溶液に貧溶媒を加えて沈殿させた後ペレット化する方法、4)熱水と接触させて塊状物を得た後ペレット化する方法などの公知の方法を用いることができる。
本発明の方法によって得られる核水素化されたポリマーは、可視光領域の光線を良好に透過するため、外観は透明である。3.2mm厚の成型品の全光線透過率は90%以上であることが好ましい。成型品表面の反射による損失が免れないため、この全光線透過率の上限は屈折率に依存するが、光学材料として使用される場合にはさらに高度な透明性が要求される場合があり、さらに好ましくは91%以上、最も好ましくは92%以上である。このような高い透明性は、ポリマー内の芳香環を均一に水素化することにより達成される。
本発明の方法によって得られるポリマーを含む組成物は、熱可塑性を有しているため、押し出し成型や射出成型、シート成型体の二次加工成型など、種々の熱成型によって容易に精密成型品を製造することが可能である。該水素化ポリマーは光学的物性に優れているので、その成型品は各種導光版や導光体、ディスプレイ前面パネル、プラスチックレンズ基板、光学フィルター、光学フィルム、照明カバー、照明看板などに利用される。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により特に限定されるものではない。なお、水素化ポリマーの評価方法は次の通りである。
(1)核水素化率は水素化反応前後のUVスペクトル測定における260nmの吸収減少率で評価した。
(2)電動射出成形機(ファナック製AUTOSHOT−100B)により、核水素化ポリマーを計量条件、保圧条件を種々変更しながらシリンダ温度260℃で成型した。ヒケのない成型品が安定して得られるようになった後に、50mm×50mm、厚さ3.2mmの平板試験片を金型温度90℃、冷却時間40秒の条件で作製した。この平板試験片について、全光線透過率を日本電色工業製色度・濁度測定器COH−300Aを用いて透過法で測定した。
実施例1
重量平均分子量17万のMMAとスチレンからなる共重合体(新日鐵化学社製、MS600(MMA/スチレン=6/4モル比))5gをイソ酪酸メチル(以下、IBMと称する)42.75gとn−プロパノール2.25gとの混合溶媒に溶解し、10重量%Pd/C(NEケムキャット製 PEタイプ)0.1gと共に200mlオートクレーブに仕込み、水素圧9MPa、温度200℃の条件にて6時間水素化反応を行なった。反応後は濾過により触媒を除去し、過剰のメタノール中に反応液を滴下してポリマーを回収した。このポリマーの核水素化率は91.8%であり、加熱成型品の全光線透過率は92%であった。
実施例2
n−プロパノール2.25gをメタノール2.25gに代え、反応時間を24時間とした以外は実施例1と同様に水素化反応を行なった。その結果、核水素化率93.5%、加熱成型品の全光線透過率が92%のポリマーを得た。
実施例3
n−プロパノール2.25gをn−ブタノール2.25gとした以外は実施例1と同様に水素化反応を行なった。その結果、核水素化率84.3%、加熱成型品の全光線透過率が92%のポリマーを得た。
比較例1
溶媒をIBM45gのみ、触媒量を0.2gとした以外は実施例1と同様に水素化反応を行なった。その結果、核水素化率97.9%、加熱成型品の全光線透過率が85%のポリマーを得た。
比較例2
n−プロパノール2.25gをシクロヘキサン2.25gとした以外は実施例1と同様に核水素化反応を行なった。その結果、核水素化率96.0%、加熱成型品の全光線透過率が84%のポリマーを得た。
比較例3
n−プロパノール2.25gをn−ブチルエーテル2.25gとした以外は実施例1と同様に水素化反応を行なった。その結果、核水素化率90.8%、加熱成型品の全光線透過率が85%のポリマーを得た。
比較例4
実施例1に記載の共重合体を25g、溶媒を酢酸エチル225gのみとし、10wt%Pd/C(NEケムキャット製 PEタイプ)0.5gと共に500mlオートクレーブに仕込み、水素圧13MPa、温度200℃の条件にて15時間水素化反応を行なった。実施例1と同様の方法によって回収したポリマーの核水素化率は94.6%、加熱成型品の全光線透過率は85%であった。
比較例5
実施例1に記載の共重合体を10g、溶媒を酢酸メチル90gのみとし、10wt%Pd/C(NEケムキャット製 PEタイプ)0.2gと共に200mlオートクレーブに仕込み、水素圧13MPa、温度200℃の条件にて15時間水素化反応を行なった。実施例1と同様の方法によって回収したポリマーの核水素化率は96.4%、加熱成型品の全光線透過率は84%であった。
比較例6
混合溶媒の代わりに45gのn−プロパノールを用いた以外は実施例1と同様にして水素化反応を試みた。しかし、MMAとスチレンからなる共重合体はn−プロパノールにほとんど溶解せず、水素化を続行することは困難であった。

Claims (9)

  1. 芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリレートとの共重合体を触媒存在下、エステル化合
    物とアルコール化合物との混合溶媒を用いて水素化することを特徴とする水素化されたポ
    リマーの製造方法。
  2. 前記混合溶媒の構成割合がエステル化合物100重量部に対してアルコール化合物0.
    5〜20重量部である請求項1記載の水素化されたポリマーの製造方法。
  3. 前記エステル化合物が一般式(1)で示される化合物であって、Rが炭素数1〜6の
    アルキル基、Rが炭素数1〜4のアルキル基である請求項1記載の水素化されたポリマ
    ーの製造方法。
    COOR (1)
  4. 前記アルコール化合物が一般式(2)で示される化合物であって、Rが水素原子また
    は炭素数1〜6のアルキル基である請求項1記載の水素化されたポリマーの製造方法。
    CHOH (2)
  5. 前記共重合体の重量平均分子量が10,000〜1,000,000である請求項1記
    載の水素化されたポリマーの製造方法。
  6. 前記共重合体の構成単位のモル比((メタ)アクリレートモノマー/芳香族ビニルモノ
    マー)が0.25〜4である請求項1記載の水素化されたポリマーの製造方法。
  7. 前記共重合体がスチレンとメチルメタクリレートとの共重合体である請求項1記載の水
    素化されたポリマーの製造方法。
  8. 前記触媒がパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムまたはニッケルである請求項1記
    載の水素化されたポリマーの製造方法。
  9. 前記触媒の担体として、活性炭、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたは珪藻土を
    用いる請求項8記載の水素化されたポリマーの製造方法。
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