JP2007245245A - 刃先交換式メタルソー - Google Patents

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Mitsuaki Noda
光昭 野田
Katsutoshi Yamane
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Abstract

【課題】クランプねじを締め込んでソー本体に設けた壁部を弾性変形させ、その壁部でチップ座に装着されたスローアウェイチップを押圧してクランプする刃先交換式メタルソーの加工性能の低下を防止するために、クランプねじの締め込みによるソー本体の幅方向への変形を起こり難くすることを課題としている。
【解決手段】クランプねじ11に設けられた切頭円錐形の楔部11aをクランプねじ取付孔4の楔孔4aに圧入して壁部7を弾性変形させ、その壁部7でチップ座3に装着されたスローアウェイチップ10をチップ座の主座面3aとの間に挟みつけてクランプする刃先交換式メタルソーにおいて、前記楔孔4aを、ソー周方向寸法よりもソー幅方向寸法が大となる形状の孔にし、楔部の圧入による押し広げ力が楔孔4aに対してソー幅方向には殆ど作用しない構造にした。
【選択図】図4

Description

この発明は、主として自動車部品などの溝入れ加工や切断加工に利用する刃先交換式メタルソーに関する。
首記の刃先交換式メタルソーの従来例として、例えば、下記特許文献1に開示されたスローアウェイ式サイドカッタがある。
その特許文献1に開示されたサイドカッタは、カッタ本体の外周のチップ取付座とクランプネジ取付座との間の壁部を、前記クランプネジ取付座のネジ孔にねじ込まれるクランプネジのテーパ頭部をクランプネジ取付座の入口の凹所に圧入することによって弾性変形させ、弾性変形したその壁部でチップ取付座に装着したスローアウェイチップをチップ取付座の主座面との間に挟みつけて固定するようにしている。
この特許文献1のサイドカッタは、カッタ本体の外周に設けた楔状の溝にスローアウェイチップを圧入してカッタ本体の弾性復元力でクランプする所謂セルフクランプ方式のカッタと比較すると、チップの保持安定性に優れ、クランプ面の摩耗による締付け保持力の低下も起こらない利点を有している。
ところが、その特許文献1のチップクランプ構造では、クランプネジの締め込みによって発生する押し広げ力がクランプネジを中心にして全ての方向(放射方向)に作用する。これに対し、凹所を取り巻く壁部のうちカッタ本体の両側面側にある部分は壁部を弾性変形可能となすための開口部が設けられてチップ取付座との間の壁部よりも変形し易い構造になっており、そのために、開口部の縁がカッタ本体の両側面から幅方向に出っ張るように変形し、出っ張った部分が加工面を傷つけるなどの事態が生じて加工性能が低下する可能性がある。
特開2004−90153号公報
この発明は、クランプねじを締め込んでソー本体に設けた壁部を弾性変形させ、その壁部でチップ座に装着されたスローアウェイチップを押圧して固定する刃先交換式メタルソーの加工性能の低下を防止するために、クランプねじの締め込みによるソー本体の幅方向への変形を起こり難くすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、ソー本体の外周に、チップ座と、ソー本体の中心側に向けてクランプねじをねじ込むクランプねじ取付孔と、このクランプねじ取付孔のすくなくとも入口側をソー周方向に2分するスリットを設け、前記クランプねじに設けられた切頭円錐形の楔部を前記クランプねじ取付孔の入口側に設けられた楔孔に圧入してその楔孔と前記チップ座との間にある壁部を弾性変形させ、その壁部で前記チップ座に装着されたスローアウェイチップを前記チップ座のチップ背面を支える主座面との間に挟みつけてクランプする刃先交換式メタルソーの前記楔孔を、ソー周方向寸法よりもソー幅方向寸法が大となる形状の孔にした。
この刃先交換式メタルソーの好ましい形態を以下に列挙する。
(1)前記楔孔を、その孔の中心と同心の第1の真円と、この第1の真円の中心から左右にずれた位置に中心をもつ第1の真円よりも直径の小さい2個の第2の真円を組み合わせて構成される楕円に近似した形状の孔にする。
(2)スローアウェイチップのすくい面側に設けられる被クランプ面を当該チップの背面に対してチップの内端側でチップ厚みが厚くなる方向に傾斜させ、その被クランプ面の傾斜に対応させて前記壁部のクランプ面を前記チップ座の主座面に対してソー本体の内径側に向かって主座面との間の離反量が大となる方向に傾斜させる。
(3)チップ座の主座面とその主座面で支えるスローアウェイチップの背面のいずれか一方にソー周方向に突出する山形断面の凸部を、他方に前記凸部に対応させた山形断面の凹部を設けてその凸部と凹部を互いに嵌合させる。
(4)前記凸部を、チップ座の底面付近からソー半径方向に延ばしてソー本体の外周に至らせる。
クランプねじの楔部が圧入される楔孔を、ソー周方向寸法よりもソー幅方向寸法が大となる形状の孔にすると、楔孔のソー幅方向両側では孔面に対してクランプねじの楔部が接触せず、そのために、楔部の圧入による押し広げ力はソー幅方向には殆ど作用せず、楔孔の周囲の壁部がソー本体の側面側に突出して加工面を傷つけることがなくなる。
なお、上記(1)のメタルソーは、加工しやすい真円の孔を組み合わせて楕円に近似した形状の楔孔を形成しているため、楔孔の加工性に優れる。また、楔孔の第1の真円で形成される円弧の孔面にクランプねじの楔部が面接触するので、楔部が線接触する孔に比べると楔孔の孔面がダメージを受け難い。
また、上記(2)のメタルソーは、傾斜したクランプ面の作用でスローアウェイチップをソー本体の内径側に引き込む力が生じるため、スローアウェイチップの固定が強固になる。また、スローアウェイチップがソー本体に対して蟻溝嵌合した状態になるので、遠心力によるチップの径方向シフトも効果的に防止される。
上記(3)のメタルソーは、スローアウェイチップの幅方向へのシフトも防止される。従って、上記の(2)、(3)の構造を併用すると好ましく、その併用を行ったものは、チップの固定、脱落防止の信頼性が向上して加工の安定性がより高まる。
以下、この発明の刃先交換式メタルソーの実施の形態を添付図面の図1〜図14に基づいて説明する。図1〜図9は第1実施形態である。この第1実施形態の刃先交換式メタルソーは、図1に示すように、ソー本体2と、ソー本体2の外周に装着するスローアウェイチップ(以下単にチップと言う)10と、このチップ10をソー本体2に固定するクランプねじ11を組み合わせて構成されている。
ソー本体2は、キー溝の付いた軸穴2aを中心に備えている。また、内径側に入り込んだチップ座3と、軸心が半径方向を向くクランプねじ取付孔4と、チップ座3のソー回転方向前方に弾性変形可能な壁部7を生じさせるソー半径方向に延びたスリット5、6と、切屑ポケット8を外周に備えている。
チップ座3は周方向に定ピッチで複数設けられている。そのチップ座3の各々に、クランプねじ取付孔4、スリット5、6、壁部7及び切屑ポケット8をソー回転方向前方に配置して付属させている。
チップ座3は、チップ10の背面10fを受け支える主座面3aと、座の底部に位置してチップ10を径方向に拘束する副座面3bを備えた座にしている。主座面3aは、ソー周方向に突出した山形断面の凸部9を設けてその凸部9の表面で形成している。
クランプねじ取付孔4は、切屑ポケット8のポケット面に開口する孔にしている。この
クランプねじ取付孔4は、その孔の入口側に設けられる楔孔4aとその楔孔4aの内端に連なるねじ孔4bとで構成される。楔孔4aは、図5に示すソー幅方向寸法wがソー周方向寸法xよりも大に設定された孔にしている。例示の楔孔4aは、3つの円を組み合わせた孔、即ち、図6に示すように、自己の中心O1と同心の第1の真円CL1と、この第1の真円の中心O1から左右にずれた位置にそれぞれ中心O2をもつ第1の真円よりも直径の小さい2個の第2の真円CL2を組み合わせて構成された楕円に近似した形状の孔にしており、加工性に優れる。
スリット5はクランプねじ取付孔4をソー周方向に2分する位置に設けられている。また、スリット6はチップ座3の副座面のコーナからソー中心側に向かって延びている。スリット6は壁部7を弾性変形し易くする好ましい要素であるが、必須ではない。
壁部7は、チップ座3の主座面3aと向き合う部分がクランプ面7aとして構成されている。そのクランプ面7aは、チップの被クランプ面10eの傾斜角に合わせて主座面3aに対する傾斜角θ2が調整される。
チップ10は、図7、図8に示すように、すくい面10aと外周逃げ面10bとの間の稜線及びすくい面10aと左右の横逃げ面10c、10cとの間の稜線を切れ刃10dとして機能させるものを用いている。このチップ10は、すくい面10a側に被クランプ面10eを有しており、また、背面10fが前述の凸部9に対応したV字状の凹部として構成されたものになっている。さらに、ここでは、被クランプ面10eが背面10fと平行で図4の傾斜角θ1が0°になるものを採用した。その傾斜角θ1と壁部7が自由状態にあるときの主座面3aに対するクランプ面7aの傾斜角θ2は、θ1≦θ2の関係が成立するようにしておくのがよく、その条件を満たしたものは、クランプ面7aのソー半径方向外端が被クランプ面10eに接触してチップの押圧が安定してなされる。
凸部9は、チップ座3の内端側からソー本体2の外周までソー半径方向に延びる形状にしており、そのため、チップ座3に対してチップ10をソー本体2の外周からソー半径方向に抜き差しすることができる。
このチップ10は、すくい面10aを被クランプ面10eよりもソーの回転方向前方に突出させると好ましく、そのようにしたものは、生成された切屑が壁部7のクランプ面7aとチップ10の被クランプ面間の界面に入口に向けて流れることが防止される。
クランプねじ11は、切頭円錐形の楔部11aとねじ部11bを有している。例示のクランプねじ11は、頭部を楔部11aとして構成しているが、楔部11aは、図10に示すように、独立したテーパ駒をねじの頭部に係合させて構成されるものであってもよい。
図4に示す楔部11aの楔角βと楔孔4aの楔角αは、α<βにすると好ましい。そのようにしたものは、楔孔4aの孔面に対する楔部11aの接触面積が小さくなるため、クランプねじ11の回転抵抗が小さくなってクランプねじ11の回転操作が楽になる。
楔孔4aよりもサイズの大きい楔部11aを楔孔4aに圧入することで壁部7を弾性変形させてチップ座3側に撓ませ、チップ座3に装着したチップ10を壁部7で押圧してこの壁部7とチップ座の主座面3aとの間にチップ10を挟み込んで保持する。
例示のメタルソーの楔孔4aは、上述したように、3つの円を組み合わせて構成される楕円に近似した形状の孔になっているので、クランプねじ11の楔部11aは図6の第1の真円(中心がO1の位置にある真円)CL1によって形成される孔面のみに接触し、第2の真円CL2によって形成される部分の孔面は逃げが生じて楔部11aから離反する。従って、クランプねじ11の締め込みによって発生する押し付け力はソー周方向のみに作用し、孔周りの壁部がソー幅方向に変形することがなくなってソー本体の幅方向に変形した部分が加工面を傷つけるなどの加工性能の低下につながる事態が回避される。
実施例のメタルソーは、図9に示すように、ソー周方向に突出した主座面3aとチップ10の背面10fがV字嵌合し、その嵌合部にチップ10をソー幅方向にセンタリングする力が作用するため、チップ10がソー幅方向ずれることがなく、加工の安定性にも優れる。なお、凸部9をチップ10の背面に、その凸部に対応させた凹部をチップ座側にそれぞれ形成してその両者を凹凸嵌合させる構造でも同じ効果が得られる。
図11〜図14は第2実施形態を表している。この第2実施形態の刃先交換式メタルソーは、図10に示すように、チップ10の被クランプ面10eを背面10fに対してチップ内端側でチップ厚みが厚くなる方向に傾斜させ、その被クランプ面10eの傾斜に対応させて壁部7のクランプ面7aをチップ座の主座面3aに対してソー本体2の内径側に向かって主座面との間の離反量が大となる方向に傾斜させたものであって、この点と、チップ10のすくい面に切屑処理性を高めるブレーカ溝10gを設けた点が第1実施形態と相違する。この発明を特徴づける楔孔4aの形状は第1実施形態と同様の構造になっており、楔孔4aの周りの壁部のソー幅方向への変形が回避されるものになっている。
この第2実施形態の刃先交換式メタルソーは、被クランプ面10eが傾斜しているため、被クランプ面10eに対するクランプ面7aの接触部にソー本体2の内径側に向かう分力が発生し、その分力でチップ10が図14に示すようにソー本体2の内径側に引き込まれてチップの内端が副座面3bに押圧され、そのためにチップの固定が強固になる。また、チップが座に蟻溝嵌合した状態になるため、メタルソー使用時の遠心力によるチップの半径方向外方へのシフトも確実に防止される。
なお、この第2実施形態の刃先交換式メタルソーも、先に述べた理由によって、図11に示す楔部11aの楔角βと楔孔4aの楔角αは、α<βにし、さらに、チップの被クランプ面10eの傾斜角θ1と壁部7に設けられるクランプ面7aの傾斜角θ2も、θ1≦θ2の関係が成立するようにしておくのがよい。
刃先交換式メタルソーの第1実施形態を示す側面図 図1のII−II線に沿った断面図 図1のメタルソーの外周面の一部を示す平面図 チップ座を拡大して示す部分破断側面図 チップ座とクランプねじ取付孔の詳細を示す拡大平面図 図5のクランプねじ取付孔に設けられた楔孔の詳細を示す拡大平面図 図1のメタルソーに採用したチップの斜視図 図7のチップの平面図 主座面に対するチップ背面の押圧状態を示す図 クランプねじの変形例を示す部分破断側面図 第2実施形態のチップ座を拡大して示す部分破断側面図 第2実施形態の側面の一部を示す図 図11のメタルソーに採用したチップの斜視図 図11のメタルソーのクランプ力の作用状態を示す図
符号の説明
1 刃先交換式メタルソー
2 ソー本体
2a 軸穴
3 チップ座
3a 主座面
3b 副座面
4 クランプねじ取付孔
4a 楔孔
4b ねじ孔
5、6 スリット
7 壁部
7a クランプ面
8 切屑ポケット
9 凸部
10 スローアウェイチップ
10a すくい面
10b 外周逃げ面
10c 横逃げ面
10d 切れ刃
10e 被クランプ面
10f 背面
10g ブレーカ溝
11 クランプねじ
11a 楔部
11b ねじ部
α、β 楔角
x ソー周方向寸法
w ソー幅方向寸法
CL1 第1の真円
CL2 第2の真円
θ1、θ2 傾斜角

Claims (5)

  1. ソー本体(2)の外周に、チップ座(3)と、ソー本体の中心側に向けてクランプねじ(11)をねじ込むクランプねじ取付孔(4)と、このクランプねじ取付孔(4)のすくなくとも入口側をソー周方向に2分するスリット(5)を設け、前記クランプねじに設けられた切頭円錐形の楔部(11a)を前記クランプねじ取付孔の入口側に設けられた楔孔(4a)に圧入してその楔孔と前記チップ座(3)との間にある壁部(7)を弾性変形させ、その壁部(7)で前記チップ座(3)に装着されたスローアウェイチップ(10)を前記チップ座のチップ背面を支える主座面(3a)との間に挟みつけてクランプする刃先交換式メタルソーにおいて、前記楔孔(4a)を、ソー周方向寸法(x)よりもソー幅方向寸法(w)が大となる形状の孔にしたことを特徴とする刃先交換式メタルソー。
  2. 前記楔孔(4a)を、その楔孔の中心と同心の第1の真円(CL1)と、この第1の真円の中心から左右にずれた位置に中心をもつ第1の真円よりも直径の小さい2個の第2の真円(CL2)を組み合わせて楕円に近似した形状の孔にした請求項1に記載の刃先交換式メタルソー。
  3. スローアウェイチップ(10)のすくい面側に設けられる被クランプ面(10e)を当該チップの背面(10f)に対してチップの内端側でチップ厚みが厚くなる方向に傾斜させ、その被クランプ面(10e)の傾斜に対応させて前記壁部(7)のクランプ面(7a)を前記チップ座の主座面(3a)に対してソー本体(2)の内径側に向かって主座面(3a)との間の離反量が大となる方向に傾斜させた請求項1又は2に記載の刃先交換式メタルソー。
  4. 前記チップ座の主座面(3a)とその主座面で支える前記スローアウェイチップの背面(10f)のいずれか一方をソー周方向に突出する山形断面の凸部(9)として形成し、他方を前記凸部に対応させた山形断面の凹部にして、その凸部と凹部を互いに嵌合させるようにした請求項1〜3のいずれかに記載の刃先交換式メタルソー。
  5. 前記凸部を、前記チップ座(3)の底部付近からソー半径方向に延ばしてソー本体(2)の外周に至らせた請求項4に記載の刃先交換式メタルソー。
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