しかしながら、上記各文献に開示された方法には次の難点があった。
文献1及び2の方法では、いずれもフランジはパイプの全周に亘って形成されたものであるため、フランジ付パイプの重量が増大するという難点があった。さらに、文献2の方法では、フランジのパイプへの接合方法が複雑であるため、製造コストがかかるという難点があった。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、低コストで製作することができ、また軽量化を図ることができる取付け片付パイプ及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 他の部材に取り付けられる取付け片がパイプの外側に突出した状態にパイプに接合された取付け片付パイプであって、
取付け片の基端部に、該取付け片に対して屈曲した基板部が一体に設けられており、
パイプが補強リング内に挿通された状態で、パイプの補強リング内への挿通部分及びその近傍部分のうち少なくとも一方の周壁部がエキスパンド加工されることにより、補強リングがパイプに接合されるとともに、
取付け片の基板部がパイプと補強リングとの間に挟着されることにより、取付け片がパイプに接合されていることを特徴とする取付け片付パイプ。
[2] 補強リングの内周面に、取付け片の基板部が嵌合される嵌合凹部が設けられており、
取付け片の基板部が嵌合凹部内に嵌合された状態でパイプと補強リングとの間に挟着されている前項1記載の取付け片付パイプ。
[3] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも小さく設定されており、
取付け板の基板部が補強リングの内周面よりも内側にはみ出した状態に嵌合凹部内に嵌合されており、
パイプの周壁部が取付け片の基板部のはみ出し部と周方向に係合している前項2記載の取付け片付パイプ。
[4] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも大きく設定されており、
取付け板の基板部が補強リングの内周面に対して窪んだ状態に嵌合凹部内に嵌合されており、
パイプの周壁部が補強リングの内周面の窪み部と周方向に係合している前項2記載の取付け片付パイプ。
[5] 補強リングの外周面における、嵌合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されている前項2〜4のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[6] パイプの周壁部が補強リングの内周面に設けられた第1係合凹部と周方向に係合している前項1〜5のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[7] 補強リングの外周面における、第1係合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されている前項6記載の取付け片付パイプ。
[8] 補強リングの内周面に、取付け片の基板部が嵌合される複数個の嵌合凹部が、周方向に並んで設けられており、
取付け片の基板部が、複数個の嵌合凹部のうち少なくとも1個の嵌合凹部を残してその他の嵌合凹部内に嵌合された状態でパイプと補強リングとの間に挟着されており、
パイプの周壁部が残った嵌合凹部と周方向に係合している前項1記載の取付け片付パイプ。
[9] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも小さく設定されており、
取付け板の基板部が補強リングの内周面よりも内側にはみ出した状態に嵌合凹部内に嵌合されており、
パイプの周壁部が取付け片の基板部のはみ出し部と周方向に係合している前項8記載の取付け片付パイプ。
[10] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも大きく設定されており、
取付け板の基板部が補強リングの内周面に対して窪んだ状態に嵌合凹部内に嵌合されており、
パイプの周壁部が補強リングの内周面の窪み部と周方向に係合している前項8記載の取付け片付パイプ。
[11] 補強リングの外周面における、嵌合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されている前項8〜10のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[12] パイプの周壁部が補強リングの内周面に設けられた第1係合凸部と周方向に係合している前項1〜11のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[13] 取付け片の基板部が補強リングの内周面に設けられた第2係合凹部と軸方向に係合している前項1〜12のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[14] 取付け片の基板部とパイプの周壁部が第2係合凹部と軸方向に係合している前項13記載の取付け片付パイプ。
[15] 取付け片の基板部が補強リングの内周面に設けられた第2係合凸部と軸方向に係合している前項1〜14のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[16] 取付け片の基板部とパイプの周壁部が第2係合凸部と軸方向に係合している前項15記載の取付け片付パイプ。
[17] 取付け片の基板部の先端部に係止爪が設けられており、
係止爪が補強リングの側縁部に係止されている前項1〜16のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[18] 取付け片に、該取付け片の剛性を高める補強部が形成されている前項1〜17のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[19] 取付け片に、該取付け片を倒れ阻止状態に支持する支持板部が設けられている前項1〜18のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[20] 取付け片が突出方向において捻れた状態に形成されている前項1〜19のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[21] パイプの周壁部が、取付け片の基板部のパイプとの当接面に設けられた第3係合凸部と係合している前項1〜20のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[22] パイプの周壁部が、取付け片の基板部のパイプとの当接面に設けられた第3係合凹部と係合している前項1〜21のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[23] パイプの外周面の断面形状が多角形状であり、
補強リングの内周面の断面形状が、パイプの外周面の断面形状に対応した多角形状である前項1〜22のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[24] パイプの中空部を縦に仕切る、軸方向に延びた仕切り壁部がパイプに設けられている前項1〜23のいずれかに記載の取付け片付パイプ。
[25] 他の部材に取り付けられる取付け片をパイプの外側に突出した状態にパイプに接合する取付け片付パイプの製造方法であって、
取付け片の基端部に、該取付け片に対して屈曲した基板部が一体に設けられており、
パイプを補強リング内に挿通し且つ取付け片の基板部をパイプと補強リングとの間に配置した状態で、パイプの補強リング内への挿通部分及びその近傍部分のうち少なくとも一方の周壁部をエキスパンド加工することにより、取付け片をパイプに接合することを特徴とする取付け片付パイプの製造方法。
[26] 補強リングの内周面に、取付け片の基板部が嵌合される嵌合凹部が設けられており、
取付け片の基板部を嵌合凹部内に嵌合した状態でパイプと補強リングとの間に配置し、この状態で、パイプの周壁部をエキスパンド加工する前項25記載の取付け片付パイプの製造方法。
[27] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも小さく設定されており、
取付け板の基板部を補強リングの内周面よりも内側にはみ出させた状態に嵌合凹部内に嵌合する前項26記載の取付け片付パイプの製造方法。
[28] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも大きく設定されており、
取付け板の基板部を補強リングの内周面に対して窪んだ状態に嵌合凹部内に嵌合する前項26記載の取付け片付パイプの製造方法。
[29] 補強リングの外周面における、嵌合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されている前項26〜28のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[30] 補強リングの内周面に、パイプの周壁部が周方向に係合する第1係合凹部が設けられている前項25〜29のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[31] 補強リングの外周面における、第1係合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されている前項30記載の取付け片付パイプの製造方法。
[32] 補強リングの内周面に、取付け片の基板部が嵌合される複数個の嵌合凹部が、周方向に並んで設けられており、
取付け片の基板部を、複数個の嵌合凹部のうち少なくとも1個の嵌合凹部を残してその他の嵌合凹部内に嵌合した状態でパイプと補強リングとの間に配置する前項25記載の取付け片付パイプの製造方法。
[33] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも小さく設定されており、
取付け板の基板部を補強リングの内周面よりも内側にはみ出させた状態に嵌合凹部内に嵌合する前項32記載の取付け片付パイプの製造方法。
[34] 嵌合凹部の深さは、取付け片の基板部の肉厚よりも大きく設定されており、
取付け板の基板部を補強リングの内周面に対して窪んだ状態に嵌合凹部内に嵌合する前項32記載の取付け片付パイプの製造方法。
[35] 補強リングの外周面における、嵌合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されている前項32〜34のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[36] 補強リングの内周面に、パイプの周壁部が周方向に係合する第1係合凸部が設けられている前項25〜35のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[37] 補強リングの内周面に、取付け片の基板部が軸方向に係合する第2係合凹部が設けられている前項25〜36のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[38] 第2係合凹部は、取付け片と基板部とパイプの周壁部とが軸方向に係合するものである前項37記載の取付け片付パイプの製造方法。
[39] 補強リングの内周面に、取付け片の基板部が軸方向に係合する第2係合凸部が設けられている前項25〜38のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[40] 第2係合凸部は、取付け片の基板部とパイプの周壁部とが軸方向に係合するものである前項39記載の取付け片付パイプの製造方法。
[41] 取付け片の基板部の先端部に、補強リングの側縁部に係止する係止爪が設けられている前項25〜40のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[42] 取付け片に、該取付け片の剛性を高める補強部が形成されている前項25〜41のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[43] 取付け片に、該取付け片を倒れ阻止状態に支持する支持板部が設けられている前項25〜42のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[44] 取付け片が突出方向に対して捻れた状態に形成されている前項25〜43のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[45] 取付け片の基板部のパイプとの当接面に、パイプの周壁部が係合する第3係合凸部が設けられている前項25〜44のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[46] 取付け片の基板部のパイプとの当接面に、パイプの周壁部が係合する第3係合凹部が設けられている前項25〜45のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[47] パイプの外周面の断面形状が多角形状であり、
補強リングの内周面の断面形状が、パイプの外周面の断面形状に対応した多角形状である前項25〜46のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[48] パイプの中空部を縦に仕切る、軸方向に延びた仕切り壁部がパイプに設けられている前項25〜47のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
[49] エキスパンド加工を、液圧を圧力媒体とするエキスパンド加工法、ゴムを圧力媒体とするエキスパンド加工法、成形ロールによるエキスパンド加工法又は金型によるエキスパンド加工法により行う前項25〜48のいずれかに記載の取付け片付パイプの製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
[1]の発明では、エキスパンド加工時にパイプを補強リングによって補強することができる。さらに、取付け片のパイプへの接合作業を容易に行うことができ、もって低コストで取付け片付パイプを製造できる。
さらに、パイプに接合する取付け片の個数や取付け片の幅を、必要に応じて任意に選択又は決定することができるので、取付け片付パイプの軽量化を図ることができる。
[2]の発明では、 取付け片の基板部が嵌合凹部内に嵌合された状態でパイプと補強リングとの間に挟着されているので、パイプの周方向における取付け片の位置ずれを確実に防止できる。
[3]の発明では、パイプの周壁部が取付け片の基板部のはみ出し部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する取付け片の接合強度を増大できる。
[4]の発明では、パイプの周壁部が補強リングの内周面の窪み部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する補強リングの接合強度を増大できる。
[5]の発明では、補強リングの外周面における、嵌合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されているので、補強リングの嵌合凹部の位置における強度を向上させることができる。
[6]の発明では、パイプの周壁部が補強リングの内周面に設けられた第1係合凹部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する補強リングの接合強度を増大できる。
[7]の発明では、補強リングの外周面における、第1係合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されているので、補強リングの第1係合凹部の位置における強度を向上させることができる。
[8]の発明では、取付け片の基板部が、複数個の嵌合凹部のうち少なくとも1個の嵌合凹部を残してその他の嵌合凹部内に嵌合された状態でパイプと補強リングとの間に挟着されているので、パイプの周方向における取付け片の位置ずれを確実に防止できる。
さらに、パイプの周壁部が残った嵌合凹部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する補強リングの接合強度を増大できる。
さらに、補強リングの複数個の嵌合凹部のなかから、所望する位置の嵌合凹部を選択することができるし、補強リングの共通化を図ることができる。
[9]の発明では、パイプの周壁部が取付け片の基板部のはみ出し部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する取付け片の接合強度を増大できる。
[10]の発明では、パイプの周壁部が補強リングの内周面の窪み部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する補強リングの接合強度を増大できる。
[11]の発明では、補強リングの外周面における、嵌合凹部とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部が形成されているので、補強リングの嵌合凹部の位置における強度を向上させることができる。
[12]の発明では、パイプの周壁部が補強リングの内周面に設けられた第1係合凸部と周方向に係合しているので、パイプの周方向の荷重に対する補強リングの接合強度を増大できる。
[13]の発明では、取付け片の基板部が補強リングの内周面に設けられた第2係合凹部と軸方向に係合しているので、取付け片の基板部がパイプと補強リングとの間から抜出する不具合を確実に防止できる。
[14]の発明では、取付け片の基板部とパイプの周壁部が第2係合凹部と軸方向に係合しているので、取付け片の基板部がパイプと補強リングとの間から抜出する不具合を確実に防止できる上、更に、パイプの軸方向の荷重に対する取付け片の接合強度と補強リングの接合強度とを共に増大できる。
[15]の発明では、取付け片の基板部が補強リングの内周面に設けられた第2係合凸部と軸方向に係合しているので、取付け片の基板部がパイプと補強リングとの間から抜出する不具合を確実に防止できる。
[16]の発明では、取付け片の基板部とパイプの周壁部が第2係合凸部と軸方向に係合しているので、取付け片の基板部がパイプと補強リングとの間から抜出する不具合を確実に防止できる上、更に、パイプの軸方向の荷重に対する取付け片の接合強度と補強リングの接合強度とを共に増大できる。
[17]の発明では、取付け片の基板部の先端部に係止爪が設けられており、係止爪が補強リングの側縁部に係止されているので、取付け片の基板部がパイプと補強リングとの間から抜出する不具合を確実に防止できる。
[18]の発明では、取付け片の剛性を補強部(例:補強ビード、補強リブ)によって高めることができる。
[19]の発明では、取付け片の倒れを支持板部によって防止できる。
[20]の発明では、取付け片の向きを変更できる。
[21]の発明では、パイプの周壁部が、取付け片の基板部のパイプとの当接面に設けられた第3係合凸部と係合しているので、取付け片の接合強度を増大できる。
[22]の発明では、パイプの周壁部が、取付け片の基板部のパイプとの当接面に設けられた第3係合凹部と係合しているので、取付け片の接合強度を増大できる。
[23]の発明では、補強リングがパイプの周方向に回転する不具合を確実に防止できる。
[24]の発明では、パイプが仕切り壁部によって補強されるため、取付け片付パイプの剛性を向上させることができる。
[25]〜[48]の発明は、それぞれ、上記[1]〜[24]の発明の効果と同じ効果を奏する。
[49]の発明では、エキスパンド加工を確実に行うことができる。
次に、本発明の幾つかの好ましい実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜図7は、本発明の第1実施形態を説明するための図である。本第1実施形態に係る取付け片付パイプ(P1)は、図1に示すように、補強リング(10)と、少なくとも1個の取付け片(20)とを有している。補強リング(10)は、パイプ(詳述するとパイプ本体)(1)を補強するものである。取付け片(20)は、他の部材(図示せず)に取り付けられるものである。本第1実施形態では、図2に示すように取付け片(20)の個数は複数個であり、詳述すると8個である。
パイプ(1)は、丸パイプであり、即ちこのパイプ(1)の内周面及び外周面の断面形状は、それぞれ円形状である。
このパイプ(1)は、組成変形可能な材料からなり、詳述すると金属製であり、更に詳述するとアルミニウム又はアルミニウム合金製である。
ただし本発明では、パイプ(1)の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であることに限定されない。パイプ(1)の材料として、その他に、例えば、鋼材、マグネシウム合金、樹脂(プラスチックを含む)等が用いられる。
パイプ(1)の長さは、例えば200〜1500mmの範囲に設定されている。パイプ(1)の外径は、例えば25〜100mmの範囲に設定されている。パイプ(1)の肉厚は、例えば2〜5mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、パイプ(1)の長さ、外径及び肉厚はそれぞれ上記の範囲であることに限定されない。
補強リング(10)は、短筒状であり、詳述すると短円筒状であり、即ちこの補強リング(10)の内周面及び外周面の断面形状は、基本的にはそれぞれ円形状である。したがって、この補強リング(10)の内周面の断面形状は、パイプ(1)の外周面の断面形状に対応した形状である。
補強リング(10)は、ヤング率が高く且つ密度が小さい材料からなることが、取付け片付パイプ(P1)の軽量化を図れる点で望ましい。本第実施形態では、補強リング(10)は金属製であり、詳述するとアルミニウム又はアルミニウム合金製である。特に、補強リング(10)は、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出材からなることが、補強リング(10)を能率良く且つコスト的に有利に製作できる点で望ましい。
ただし本発明では、補強リング(10)の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であることに限定されない。補強リング(10)の材料として、その他に、例えば、鋼材、マグネシウム合金、樹脂(プラスチックを含む)、複合樹脂(例:炭素繊維強化プラスチック、FRP樹脂)等が用いられる。
補強リング(10)の肉厚は、パイプ(1)のエキスパンド加工時に補強リング(10)に加わる荷重に耐え得る肉厚に設定されている。この補強リング(10)のサイズを具体的に例示すると、次のとおりである。
補強リング(10)の幅(即ち、補強リング(10)の軸方向の長さ)は、例えば5〜20mmの範囲に設定されている。補強リング(10)の内径は、パイプ(1)の外径に対して1.005〜1.02倍の範囲に設定されている。補強リング(10)の肉厚は、例えば2〜10mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、補強リング(10)の幅、内径及び肉厚はそれぞれ上記の範囲であることに限定されない。
8個の取付け片(20)は、図1及び図2に示すように、パイプ(1)の外側において該パイプ(1)の径方向外向きに突出した状態に、パイプ(1)の周方向に等間隔に並んでパイプ(1)に接合されている。これらの取付け片(20)は互いに同一形状である。なお、(20a)は、取付け片(20)の先端部に設けられた取付け孔であり、本第1実施形態ではこの取付け孔(20a)は例えばボルト挿通孔からなる。
取付け片(20)は、平面視略長方形状のものである。図6に示すように、取付け片(20)の基端部には、該取付け片(20)に対して略直角(直角)をなして屈曲した基板部(21)が一体形成されている。したがって、基板部(21)は、取付け片(20)に対して断面略L字状(L字状)になるように取付け片(20)の基端部に一体形成されている。
取付け片(20)は、金属製であり、詳述するとアルミニウム又はアルミニウム合金製である。
ただし本発明では、取付け片(20)の材料がアルミニウム又はアルミニウム合金であることに限定されない。取付け片(20)の材料として、その他に、例えば、鋼材、マグネシウム合金、樹脂(プラスチックを含む)等が用いられる。また本発明では、取付け片(20)と基板部(21)との間の角度が略直角(直角)であることに限定されるものではなく、その他に、例えば10〜80°の範囲内に設定される。
本第1実施形態では、取付け片(20)はプレス成形により製作されたものであり、即ち一枚の板材をプレス成形することにより製作されたものである。
ただし本発明では、取付け片(20)はプレス成形により製作されたものであることに限定されるものではなく、その他に、例えば、押出加工により製作されたものであっても良いし、ダイカストにより製作されたものであっても良い。
取付け片(20)と基板部(21)の肉厚は、互いに同寸であり、例えば2〜5mmの範囲に設定されている。取付け片(20)の長さ(即ち、取付け片(20)の突出方向の長さ)は、例えば30〜100mmの範囲に設定されている。基板部(21)の長さ(即ち、基板部(21)のパイプ(1)軸方向の長さ)は、例えば5〜20mmの範囲に設定されている。取付け片(20)の幅(即ち、取付け片(20)のパイプ(1)周方向の長さ)は、パイプ(1)の外周長さよりも小さく設定されており、詳述するとパイプ(1)の外周長さの半分の長さ未満に設定されており、例えば10〜30mmの範囲に設定されている。また、基板部(21)の幅(即ち、基板部(21)のパイプ(1)周方向の長さ)は、パイプ(1)の外周長さよりも小さく設定されており、詳述するとパイプ(1)の外周長さの半分の長さ未満に設定されており、例えば10〜30mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、取付け片(20)と基板部(21)の肉厚、取付け片(20)の長さ、基板部(21)の長さ、取付け片(20)の幅、及び、基板部(21)の幅は、それぞれ上記の範囲であることに限定されない。
この取付け片付パイプ(P1)の構成を簡単に説明すると次のとおりである。
すなわち、この取付け片付パイプ(P1)では、図1〜図5に示すように、パイプ(1)は補強リング(10)内に挿通されている。そして、この状態で、図2〜図5に示すように、パイプ(1)の補強リング(10)内への挿通部分の周壁部(2a)と該挿通部分の軸方向両側近傍部分の周壁部(2b)(2b)とが、エキスパンド加工予定部(2)として、それぞれエキスパンド加工されることによって、補強リング(10)の内周面にパイプ(1)の少なくとも周壁部(2a)が圧接される結果、補強リング(10)がパイプ(1)に接合されている。さらに、8個の取付け片(20)の基板部(21)が、パイプ(1)の周方向に等間隔に並んでパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されることにより、取付け片(20)がパイプ(1)に接合されている。
この取付け片付パイプ(P1)の構成を詳細に説明すると次のとおりである。
取付け片(20)の基板部(21)は、図3及び図6に示すように、パイプ(1)の外周面に対応して湾曲している。これにより、取付け片(20)の基板部(21)のパイプ(1)との当接面(21b)は、パイプ(1)の外周面に対応した曲面に形成されて、パイプ(1)の外周面に面接触状態に当接している。また、取付け片(20)の基板部(21)の当接面(21a)とは反対側の面についても曲面に形成されている。
また、図4及び図6に示すように、取付け片(20)の基板部(21)の先端部には、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間から抜出する不具合を防止するための、基板部(21)に対して略直角(直角)をなして屈曲した係止爪(22)が一体形成されている。そして、この係止爪(22)は、図4に示すように、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着された状態で、補強リング(10)の軸方向両側の側縁部のうち一方の側縁部に係止されている。
補強リング(10)の内周面には、図2及び図3に示すように、各取付け片(20)の基板部(21)が嵌合される、軸方向に延びた8個の嵌合凹部(11)が、周方向に等間隔に並んで設けられている。嵌合凹部(11)の断面形状は略コ字状(コ字状)である。嵌合凹部(11)の底面は、取付け片(20)の基板部(21)のパイプ(1)との当接面(21b)とは反対側の面に対応した曲面に形成されている。また、嵌合凹部(11)の幅(即ち、嵌合凹部(11)の補強リング(10)周方向の長さ)は、取付け片(20)の基板部(21)の幅に対応した幅に設定されている。そして、取付け片(20)の基板部(21)が、この嵌合凹部(11)内に幅方向において適合状態に嵌合された状態でパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されている。
さらに、図3に示すように、嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tよりも小さく設定されている(即ち、d<t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)が補強リング(10)の内周面よりも内側(即ちパイプ(1)側)にはみ出した状態にこの嵌合凹部(11)内に嵌合されている。(21a)は、補強リング(10)の内周面よりも内側にはみ出した、取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部である。さらに、パイプ(1)の周壁部(2a)が取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部(21a)と周方向に係合している。このはみ出し部(21a)のはみ出し高さは例えば1〜4mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、はみ出し高さは上記の範囲であることに限定されるものではない。
また、補強リング(10)の外周面における、嵌合凹部(11)とは反対側の部分には、補強リング(10)の肉厚が周方向に略一定(一定)になるように、径方向外側に膨出した膨出部(12)が一体形成されている。この膨出部(12)の膨出高さhは、嵌合凹部(11)の深さdと同じである(即ち、h=d)。
次に、この取付け片付パイプ(P1)の製造方法について以下に説明する。
まず、パイプ(1)を補強リング(10)内に挿通するとともに、補強リング(10)の各嵌合凹部(11)内に取付け片(20)の基板部(21)を1個ずつ嵌合した状態で、8個の取付け片(20)の基板部(21)をパイプ(1)と補強リング(10)との間に周方向に等間隔に並べて配置する(挟む)。この状態において、各取付け片(20)の基板部(21)は補強リング(10)の内周面よりも内側にはみ出した状態に嵌合凹部(11)内に嵌合されている。さらに、取付け片(20)の基板部(21)の係止爪(22)を補強リング(10)の側縁部に係止する。
次いで、図7に示すように、パイプ(1)の補強リング(10)内への挿通部分の周壁部(2a)と該挿通部分の軸方向両側近傍部分の周壁部(2b)(2b)とを、例えば、液圧を圧力媒体とするエキスパンド加工法によって、同時にエキスパンド加工する。これにより、パイプ(1)のエキスパンド加工予定部(2)としての周壁部(2a)(2b)(2b)が径方向外側へ拡がるように塑性変形される結果、補強リング(10)がパイプ(1)に接合されるとともに、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されることで、取付け片(20)がパイプ(1)に接合される。さらに、このエキスパンド加工によって、図2及び図3に示すように、パイプ(1)の補強リング(10)内への挿通部分の周壁部(2a)が、取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部(21a)と該はみ出し部(21a)の周方向両側における補強リング(10)の内周面との間の段部に向かって膨出し、これにより、パイプ(1)の周壁部(2a)がはみ出し部(21a)と周方向に係合する。
本第1実施形態で用いた、液圧を圧力媒体とするエキスパンド加工法(液圧拡管法とも呼ばれる)は、公知の方法であり、この加工法を簡単に説明すると次のとおりである。
まず、図7に示すように、パイプ(1)の周壁部全体のうち、エキスパンド加工予定部(2)以外の部位、即ちパイプ(1)のエキスパンド加工しない部位(非エキスパンド加工部)を、その外側からエキスパンド加工装置(30)の拘束金型(31)(31)で拘束する。また、パイプ(1)の両端をシール具(図示せず)で液密状態にシールするとともに、パイプ(1)の内部に圧力媒体として水等の液を注入する。次いで、この状態で、液に圧力(P)を加えることによって、パイプ(1)のエキスパンド加工予定部(2)を径方向外側に拡管(膨出)する。このようにしてエキスパンド加工が行われる。なお、図7において(Q)は、パイプ(1)の中心軸である。
ここで本発明では、エキスパンド加工法は、パイプ(1)のエキスパンド加工予定部(2)をエキスパンド加工する方法であれば、上述した液圧を圧力媒体とするエキスパンド加工法であることに限定されるものではなく、その他に、例えば、ゴムを圧力媒体とするエキスパンド加工法(ゴム拡管法とも呼ばれる)、成形ロールによるエキスパンド加工法、金型によるエキスパンド加工法であっても良い。
なお、その他のエキスパンド加工法もまた、いずれも公知の方法であり、この加工法を簡単に説明すると次のとおりである。
ゴムを圧力媒体とするエキスパンド加工法とは、上述した液圧を圧力媒体とするエキスパンド加工法における圧力媒体として水等の液の代わりにゴムを用いた方法である。
成形ロールによるエキスパンド加工法とは、パイプ(1)の内部に配置された複数個のロール(成形ロール)をパイプ(1)の半径方向外向きに移動させることにより、パイプ(1)のエキスパンド加工予定部(2)をエキスパンド加工する方法である。
金型によるエキスパンド加工法とは、パイプ(1)の内部に配置された複数個に分割された金型をパイプ(1)の半径方向外向きに移動させることにより、パイプ(1)のエキスパンド加工予定部(2)をエキスパンド加工する方法である。
以上の手順により、図1に示した所望する取付け片付パイプ(P1)を製作できる。
この取付け片付パイプ(P1)を他の部材に連結する方法は次のとおりである。すなわち、取付け片(20)の先端部の取付け孔(ボルト挿通孔)(20a)と他の部材のボルト挿通孔(図示せず)とに締結具としてボルト(図示せず)を挿通する。そして、このボルトにナット(図示せず)を螺合させることにより、パイプ(1)が取付け片(20)を介して他の部材に連結される。
而して、この取付け片付パイプ(P1)には、次の利点がある。
すなわち、パイプ(1)が補強リング(10)内に挿通された状態で、パイプ(1)の補強リング(10)内への挿通部分の周壁部(2a)及び該挿通部分の軸方向両側近傍部分の周壁部(2b)(2b)がエキスパンド加工されることにより、補強リング(10)がパイプ(1)に接合されている。したがって、エキスパンド加工時にパイプ(1)を補強リング(10)によって補強することができる。
さらに、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されることにより、取付け片(20)がパイプ(1)に接合されている。したがって、エキスパンド加工の際に、予め、取付け片(20)の基板部(21)をパイプ(1)と補強リング(10)との間に配置しておき、この状態で、パイプ(1)の周壁部(2a)(2b)(2b)をエキスパンド加工することにより、取付け片(20)をパイプ(1)に接合することができる。そのため、取付け片(20)のパイプ(1)への接合作業を容易に行うことができ、もって低コストで取付け片付パイプ(P1)を製造できる。
さらに、後述するようにパイプ(1)に接合する取付け片(20)の個数や取付け片(20)の幅を、必要に応じて任意に選択又は決定することができるので、取付け片付パイプ(P1)の軽量化を図ることができる。
また、取付け片(20)の基板部(21)は、補強リング(10)の嵌合凹部(11)内に嵌合された状態でパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されているので、パイプ(1)の周方向における取付け片(20)の位置ずれを確実に防止できる。
また、嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tよりも小さく設定されており、パイプ(1)の周壁部(2a)が取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部(21a)と周方向に係合しているので、パイプ(1)の周方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度を増大できる。
また、補強リング(10)の外周面における、各嵌合凹部(11)とは反対側の部分に、径方向外側に膨出した膨出部(12)が形成されているので、補強リング(10)の嵌合凹部(11)の位置における強度を向上させることができる。
また、取付け片(20)の基板部(21)の係止爪(22)が補強リング(10)の側縁部に係止されているので、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間から抜出する不具合を確実に防止できる。
而して、上記第1実施形態の取付け片付パイプ(P1)は、図8に示すように、パイプ(1)に接合する取付け片(20)の個数を、必要に応じて任意に変更することができる。図8では、パイプ(1)に接合する取付け片(20)の個数が4個の場合を例に挙げて示している。ただし本発明では、パイプ(1)に接合する取付け片(20)の個数は4個であることに限定されるものではなく、その他に、例えば、1個であっても良いし、2個、3個、5個、6個又は7個であっても良い。
図8に示した取付け片付パイプ(P1)では、4個の取付け片(20)の基板部(21)が、補強リング(10)の8個の嵌合凹部(11)のうち4個の嵌合凹部(11)を残してその他の4個の嵌合凹部(11)内にそれぞれ1個ずつ嵌合されるとともに、この状態で、パイプ(1)の周壁部(2a)がエキスパンド加工されることにより、4個の取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着され、これにより、4個の取付け片(20)がパイプ(1)に接合されている。
さらに、パイプ(1)の周壁部(2a)がエキスパンド加工されることによって、パイプ(1)の周壁部(2a)が残った各嵌合凹部(11)(即ち、取付け片(20)の基板部(21)が嵌合されていない嵌合凹部)内に膨出しており、これにより、パイプ(1)の周壁部(2a)が残った各嵌合凹部(11)と周方向に係合している。この残った嵌合凹部(11)は、パイプ(1)の周壁部(2a)が周方向に係合する第1係合凹部(14)に対応している。さらに、パイプ(1)の周壁部(2a)が取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部(21a)と周方向に係合している。
この取付け片付パイプ(P1)の他の構成は、上記第1実施形態のものと同じである。
この取付け片付パイプ(P1)では、取付け片(20)の基板部(21)が、8個の嵌合凹部(11)のうち4個の嵌合凹部(11)を残してその他の4個の嵌合凹部(11)内に嵌合された状態でパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されているので、パイプ(1)の周方向における取付け片(20)の位置ずれを確実に防止できることはもとより、その上、パイプ(1)の周壁部(2a)が残った嵌合凹部(11)(即ち第1係合凹部(14))と周方向に係合しているので、パイプ(1)の周方向の荷重に対する補強リング(10)の接合強度を増大できる。
このように、この取付け片付パイプ(P1)では、補強リング(10)の8個の嵌合凹部(11)のなかから、所望する位置の嵌合凹部(11)を任意に選択することができるし、補強リング(10)の共通化を図ることができる。
而して、上記第1実施形態の取付け片付パイプ(P1)では、補強リング(10)の嵌合凹部(11)の底面は上述したように曲面に形成されているが(図3参照)、本発明では、図9に示すように嵌合凹部(11)の底面は平坦状に形成されていても良いし、その他の形状に形成されていても良い。また本発明では、膨出部(12)の外面は平坦状に形成されていても良いし、その他の形状に形成されていても良い。
次に、本発明の他の幾つかの実施形態に係る取付け片付パイプについて、図10〜図29に基づいて以下に説明する。なお、これらの図には、第1実施形態の取付け片付パイプ(P1)の要素と同一の要素には同一の符号が付されている。
図10及び図11は、本発明の第2実施形態に係る取付け片付パイプ(P2)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P2)では、補強リング(10)の嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tと同じに設定されている(即ち、d=t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)がこの嵌合凹部(11)内に嵌合されている。したがって、この取付け片付パイプ(P2)では、取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部は存在していない。そのため、取付け片(20)がパイプ(1)に接合された状態のもとで、パイプ(1)の周壁部(2a)は取付け片(20)の基板部(21)と周方向には係合していない。
この取付け片付パイプ(P2)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
図12及び図13は、本発明の第3実施形態に係る取付け片付パイプ(P3)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P3)では、補強リング(10)の嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tよりも大きく設定されている(即ち、d>t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)が補強リング(10)の内周面に対して窪んだ状態にこの嵌合凹部(11)内に嵌合されている。すなわち、取付け片(20)の基板部(21)が嵌合凹部(11)内に嵌合された状態において、補強リング(10)の内周面における嵌合凹部(11)の位置には、嵌合凹部(11)の深さdと取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tとの差(即ち、d−t)に対応した窪み部(13)が形成されている。そして、パイプ(1)の周壁部(2a)がエキスパンド加工されることによって、パイプ(1)の周壁部(2a)がこの窪み部(13)内に膨出しており、これにより、パイプ(1)の周壁部(2a)が窪み部(13)と周方向に係合している。
この取付け片付パイプ(P3)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P3)では、パイプ(1)の周壁部(2a)が補強リング(10)の内周面の窪み部(13)と周方向に係合しているので、パイプ(1)の周方向の荷重に対する補強リング(10)の接合強度を増大できる。
図14及び図15は、本発明の第4実施形態に係る取付け片付パイプ(P4)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P4)では、補強リング(10)の内周面に嵌合凹部は設けられていない。また、補強リング(10)の外周面に膨出部は設けられていない。
この取付け片付パイプ(P4)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
図16は、本発明の第5実施形態に係る取付け片付パイプ(P5)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P5)では、補強リング(10)の嵌合凹部(11)の深さdは、上記第2実施形態のもの(P2)(図10及び図11参照)と同様に、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tと同じに設定されている(即ち、d=t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)がこの嵌合凹部(11)内に嵌合されている。したがって、この取付け片付パイプ(P5)では、取付け片(20)の基板部(21)のはみ出し部は存在していない。そのため、パイプ(1)の周壁部(2a)は、取付け片(20)の基板部(21)と周方向には係合していない。また、補強リング(10)の外周面における、嵌合凹部(11)とは反対側の部分には、膨出部は設けられていない。
さらに、補強リング(10)の内周面には、複数個(本実施形態では8個)の軸方向に延びる第1係合凸部(15)が周方向に等間隔に並んで一体形成されている。補強リング(10)の内周面における各第1係合凸部(15)の位置は、互いに隣り合う2個の嵌合凹部(11)(11)の間の位置である。そして、パイプ(1)の周壁部(2a)が第1係合凸部(15)と周方向に係合している。第1係合凸部(15)の突出高さは例えば1〜5mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、第1係合凸部(15)の突出高さは上記の範囲であることに限定されるものではない。
この取付け片付パイプ(P5)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P5)では、パイプ(1)の周壁部(2a)が補強リング(10)の内周面の第1係合凸部(15)と周方向に係合しているので、パイプ(1)の周方向の荷重に対する補強リング(10)の接合強度を増大できる。
なお本発明では、補強リング(10)の内周面に、第1係合凸部(15)の代わりに第1係合凹部(14)(図8参照)が設けられていても良い。この場合、パイプ(1)の周壁部(2a)は第1係合凹部(14)と周方向に係合することとなる。また、補強リング(10)の内周面に、第1係合凸部(15)と第1係合凹部(14)とが設けられていても良い。
図17は、本発明の第6実施形態に係る取付け片付パイプ(P6)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P6)では、補強リング(10)の内周面の軸方向中間部に、周方向に延びた断面略円弧状の第2係合凹部(16)が設けられている。この第2係合凹部(16)は、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)とが軸方向に係合するものであり、補強リング(16)の内周面に全周に亘って延びて設けられている。第2係合凹部(16)の深さは例えば2〜5mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、第2係合凹部(16)の深さは上記の範囲であることに限定されるものではない。
この取付け片付パイプ(P6)の製造方法は次のとおりである。すなわち、補強リング(10)内にパイプ(1)を挿通し且つ取付け片(20)の基板部(21)をパイプ(1)と補強リング(10)との間に配置する。次いで、この状態で、パイプ(1)の補強リング(1)内への挿通部分の周壁部(2a)と該挿通部分の軸方向両側近傍部分の周壁部(2b)(2b)とを、エキスパンド加工予定部(2)として、エキスパンド加工する。これにより、補強リング(10)がパイプ(1)に接合されるとともに、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間に挟着されることにより、取付け片(20)がパイプ(1)に接合される。さらに、エキスパンド加工によって、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)とが第2係合凹部(16)内に膨出し、これにより、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)とが互いに重合状態で第2係合凹部(16)と軸方向に係合する。
この取付け片付パイプ(P6)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P6)では、取付け片(20)の基板部(21)が補強リング(10)の第2係合凹部(16)と軸方向に係合しているので、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間から抜出する不具合を確実に防止できる。
さらに、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)が第2係合凹部(16)と軸方向に係合しているので、パイプ(1)の軸方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度と補強リング(10)の接合強度とを共に増大できる。
図18は、本発明の第7実施形態に係る取付け片付パイプ(P7)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P7)は、パイプ(1)の補強リング(10)内への挿通部分の周壁部(2a)だけがエキスパンド加工されていること以外は、図17に示した上記第6実施形態のもの(P6)と同じ構成である。
図19は、本発明の第8実施形態に係る取付け片付パイプ(P8)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P8)では、取付け片(20)に、該取付け片(20)が軸方向の一方側に倒れないように該取付け片(20)を支持する支持板部(23)が、パイプ(1)の軸方向の一方側に突出して一体形成されている。そして、取付け片(20)がパイプ(1)に接合された状態のもとで、この支持板部(23)の側縁部がパイプ(1)の外周面に当接している。そのため、取付け片(20)はこの支持板部(23)によって支持されおり、取付け片(20)のパイプ(1)軸方向への倒れが阻止されている。
この取付け片付パイプ(P8)の他の構成は、図18に示した上記第7実施形態のもの(P7)と同じである。
図20は、本発明の第9実施形態に係る取付け片付パイプ(P9)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P9)では、補強リング(10)の内周面の軸方向中間部に、周方向に延びた断面略山形状の第2係合凸部(17)が設けられている。この第2係合凸部(17)は、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)とが軸方向に係合するものであり、補強リング(10)の内周面に全周に亘って延びて設けられている。第2係合凸部(17)の高さは例えば2〜5mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、第2係合凸部(17)の高さは上記の範囲であることに限定されるものではない。
この取付け片付パイプ(P9)では、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)とが互いに重合状態で第2係合凸部(17)と軸方向に係合している。なお、同図において、一点鎖線は、エキスパンド加工前のパイプ(1)の周壁部を表している。
この取付け片付パイプ(P9)では、取付け片(20)の基板部(21)が補強リング(10)の第2係合凸部(17)と軸方向に係合しているので、取付け片(20)の基板部(21)がパイプ(1)と補強リング(10)との間から抜出する不具合を確実に防止できる。
さらに、取付け片(20)の基板部(21)とパイプ(1)の周壁部(2a)が第2係合凸部(17)と軸方向に係合しているので、パイプ(1)の軸方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度と補強リング(10)の接合強度とを共に増大できる。
図21は、本発明の第10実施形態に係る取付け片付パイプ(P10)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P10)では、パイプ(1)の外周面の断面形状は多角形状であり、詳述すると略四角形状である。補強リング(10)の内周面の断面形状は、パイプ(1)の外周面の断面形状に対応した多角形状であり、詳述すると略四角形状である。また、補強リング(10)の外周面の断面形状は円形状である。
また、補強リング(10)の内周面には嵌合凹部は設けられていない。また、8個の取付け片(20)のうち4個の取付け片(20)の長さと残りの4個の取付け片(20)の長さは互いに異なっている。
この取付け片付パイプ(P1)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P1)では、パイプ(1)の外周面の断面形状が四角形状であり、補強リング(10)の内周面の断面形状がパイプ(1)の外周面の断面形状に対応した四角形状であるから、補強リング(10)がパイプ(1)の周方向に回転する不具合を確実に防止できる。
図22は、本発明の第11実施形態に係る取付け片付パイプ(P11)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P11)は、補強リング(10)の外周面の断面形状が略四角形状であること以外は、図21に示した上記第10実施形態のもの(P10)と同じ構成である。
図23は、本発明の第12実施形態に係る取付け片付パイプ(P12)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P12)では、パイプ(1)は押出材からなり、更に、パイプ(1)の中空部を縦に仕切る、軸方向に延びた仕切り壁部(3)がパイプ(1)に一体形成されている。また、このパイプ(1)の外周面の断面形状は略四角形状である。補強リング(10)の内周面の断面形状は、パイプ(1)の外周面の断面形状に対応した多角形状であり、詳述すると略四角形状である。また、補強リング(10)の外周面の断面形状は円形状である。
また、補強リング(10)の内周面には6個の嵌合凹部(11)が設けられている。この嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tよりも小さく設定されている(即ち、d<t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)が補強リング(10)の内周面よりも内側にはみ出した状態に各嵌合凹部(11)内に嵌合されている。
この取付け片付パイプ(P12)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P12)では、パイプ(1)が仕切り壁部(3)によって補強されるため、取付け片付パイプ(P12)の剛性を向上させることができる。
なお本発明では、パイプ(1)の外周面の断面形状は円形状や四角形状であることに限定されるものではなく、その他に、例えば、三角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であっても良いし、楕円形状であっても良い。
また本発明では、補強リング(10)の外周面の断面形状は円形状や四角形状であることに限定されるものではなく、その他に、例えば、三角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であっても良いし、楕円形状であっても良い。
図24及び図25は、本発明の第13実施形態に係る取付け片付パイプ(P13)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P13)では、取付け片(20)は、図24に示すように、平面視略三角形状のものであり、取付け片(20)の基端部から先端部に進む方向(即ち突出方向)において取付け片(20)の幅が漸次狭くなるように形成されている。さらに、図25に示すように、この取付け片(20)の基端部には、該取付け片(20)に対して略直角(直角)をなして屈曲した基板部(21)が一体形成されている。さらに、この基板部(21)のパイプ(1)との当接面(21b)の幅方向中間部には、パイプ(1)の軸方向に延びた第3係合凸部(25)が一体形成されている。この第3係合凸部(25)は、パイプ(1)の周壁部(2a)が周方向に係合するものである。この取付け片(20)はダイカストにより製作されたものである。第3係合凸部(25)の高さは例えば1〜5mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、第3係合凸部(25)の高さは上記の範囲であることに限定されるものではない。
また、図24に示すように、補強リング(10)の内周面には、2個の嵌合凹部(11)が設けられている。この嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tと同じに設定されている(即ち、d=t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)がこの各嵌合凹部(11)内に嵌合されている。したがって、この嵌合状態において、取付け片(20)の基板部(21)の第3係合凸部(25)は補強リング(10)の内周面よりも内側に突出している。そして、パイプ(1)の周壁部(2a)がエキスパンド加工されることによって、パイプ(1)の周壁部(2a)が第3係合凸部(25)と周方向に係合している。なお、補強リング(10)の外周面における、嵌合凹部(11)とは反対側の部分には、膨出部は設けられていない。
この取付け片付パイプ(P13)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P13)では、パイプ(1)の周壁部(2a)が取付け片(20)の基板部(21)の第3係合凸部(25)と周方向に係合しているので、パイプ(1)の周方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度を増大できる。
なお本発明では、第3係合凸部(25)は、パイプ(1)の周壁部(2a)が軸方向に係合するものであっても良い。この場合、第3係合凸部(25)は、取付け片(20)の基板部(21)のパイプ(1)との当接面(21a)に幅方向(即ちパイプ(1)の周方向)に延びて設けられる。これにより、パイプ(1)の軸方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度を増大できる。また本発明では、第3係合凸部(25)は、パイプ(1)の周壁部(2a)が周方向と軸方向との両方向に係合するものであっても良い。
図26及び図27は、本発明の第14実施形態に係る取付け片付パイプ(P14)を説明する図である。
この取付け片付パイプ(P1)では、取付け片(20)は、図27に示すように、基本的には上記第13実施形態の取付け片付パイプ(P13)の取付け片と同じ構成であるが、第3係合凸部(25)の代わりに2個の第3係合凹部(26)が、取付け片(20)の基板部(21)のパイプ(1)との当接面(21b)に設けられている。この第3係合凹部(26)は、取付け片(20)の基板部(21)の所定部位が局部的に切り欠かれることによって形成されたものである。この第3係合凹部(26)は、パイプ(1)の軸方向に延びたものであり、パイプ(1)の周壁部(2a)が周方向に係合するものである。また、この取付け片(20)はプレス成形により製作されたものである。第3係合凹部(26)の当接面(21b)からの深さは例えば1〜5mmの範囲に設定されている。ただし本発明では、第3係合凹部(26)の深さは上記の範囲であることに限定されるものではない。
また、図26に示すように、補強リング(10)の内周面には、2個の嵌合凹部(11)が設けられている。この嵌合凹部(11)の深さdは、取付け片(20)の基板部(21)の肉厚tと同じに設定されている(即ち、d=t)。そして、取付け片(20)の基板部(21)がこの各嵌合凹部(11)内に嵌合されている。したがって、この嵌合状態において、取付け片(20)の基板部(21)の第3係合凹部(26)は補強リング(10)の内周面に対して凹んでいる。そして、パイプ(1)の周壁部(2a)がエキスパンド加工されることによって、パイプ(1)の周壁部(2a)が第3係合凹部(26)と周方向に係合している。なお、補強リング(10)の外周面における、嵌合凹部(11)とは反対側の部分には、膨出部は設けられていない。
この取付け片付パイプ(P14)の他の構成は、上記第1実施形態のもの(P1)と同じである。
この取付け片付パイプ(P14)では、パイプ(1)の周壁部(2a)が取付け片(20)の基板部(21)の第3係合凹部(26)と周方向に係合しているので、パイプ(1)の周方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度を増大できる。
なお本発明では、第3係合凹部(26)は、パイプ(1)の周壁部(2a)が軸方向に係合するものであっても良い。この場合、第3係合凹部(26)は、取付け片(20)の基板部(21)のパイプ(1)との当接面(21a)に幅方向(即ちパイプ(1)の周方向)に延びて設けられる。これにより、パイプ(1)の軸方向の荷重に対する取付け片(20)の接合強度を増大できる。また本発明では、第3係合凹部(26)は、パイプ(1)の周壁部(2a)が周方向及び軸方向との両方向に係合するものであっても良い。
本発明では、取付け片(20)は上記実施形態で示したものであることに限定されるものではなく、その他に、例えば、図28及び図29に示したものであっても良い。
図28に示した取付け片(20)には、その突出方向に延びた補強部としての補強ビード(24)が形成されている。
この取付け片(20)では、補強ビード(24)によって取付け片(20)の剛性が高められている。
なお本発明では、取付け片(20)には、補強部として、補強ビード(24)の代わりに補強リブが設けられていても良いし、補強ビード(24)と補強リブとが設けられていても良いし、その他の補強部が設けられていても良い。
図29に示した取付け片(20)は、その突出方向において例えば90°捻れた状態に形成されている。したがって、取付け片(20)の先端部の取付け孔(20a)(例:ボルト挿通孔)は、パイプ(1)の軸に平行な方向ではなく、パイプ(1)の軸に直交する方向に向けられている。
この取付け片(20)では、取付け片(20)の向き、詳述すると取付け片(20)の先端部の取付け孔(20a)の向きを、該取付け片(20)が取り付けられる他の部材に対応させて変更することができる。
以上で本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
例えば、本発明の取付け片付パイプの構造は、上記第1〜第14実施形態の取付け片付パイプ(P1〜P14)の構造のうち2つ以上を組み合わせた構造であっても良い。
また、本発明の取付け片付パイプは、例えば、図6、図25、図27、図28及び図29に示した取付け片(10)のうち2種以上が混在してパイプ(1)に接合されていても良い。