以下、本発明の第1実施形態に係る電動機について図1〜図10を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る電動機10は、図1〜図3に示すように、この電動機10の回転軸線を中心に回転可能に設けられた略円環状の内周側回転子11と、この内周側回転子11に対してその径方向外側に同軸の回転軸線を中心に回転可能に設けられ、しかも回転軸線方向の位置を合わせて設けられた略円環状の外周側回転子12と、内周側回転子11および外周側回転子12を回転させる回転磁界を発生する複数相の図1に示す固定子巻線13aを有する固定子13と、内周側回転子11および外周側回転子12に接続されるとともに非圧縮性流体である作動油(作動流体)の油圧(流体圧)で内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更する回動機構(回動手段)14と、回動機構14への油圧を制御する図示略の油圧制御装置とを備えたブラシレスDCモータである。この電動機10は、例えばハイブリッド車両や電動車両等の車両に駆動源として搭載されることになり、その際に、その出力軸(回動軸)16はトランスミッション(図示略)の入力軸に接続され、電動機10の駆動力がトランスミッションを介して車両の駆動輪(図示略)に伝達されるようになっている。
なお、車両の減速時に駆動輪側から電動機10に駆動力が伝達されると、電動機10は発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギー(回生エネルギー)として回収する。さらに、例えばハイブリッド車両においては、この電動機10の回転軸線が内燃機関(図示略)のクランクシャフトに連結されており、内燃機関の出力が電動機10に伝達された場合にも電動機10は発電機として機能して発電エネルギーを発生する。
内周側回転子11は、その回転軸線が電動機10の回転軸線と同軸となるように配置されるもので、図2に示すように、略円筒状の内周側ロータ鉄心21を有しており、この内周側ロータ鉄心21には、その外周側の部分に周方向に所定の等ピッチで複数(具体的には16箇所)の内周側磁石装着部23,…,23が設けられている。また、内周側ロータ鉄心21の外周面21A上には、周方向で隣り合う内周側磁石装着部23,23のすべての間位置に、回転軸線に平行に伸びる凹溝21aが半径方向に凹むように形成されている。この内周側ロータ鉄心21は、例えば焼結等により形成される。
各内周側磁石装着部23,…,23は、内周側ロータ鉄心21を回転軸線に平行に貫通する一対の磁石装着孔23a,23aをそれぞれ備えている。一対の磁石装着孔23a,23aは回転軸線に平行な方向に対する断面が略長方形状に形成されており、互いにセンターリブ23bを介して周方向で隣り合うように同一平面内に配置されている。なお、この平面はセンターリブ23bと回転軸線とを結んだ半径線に対し直交する。各磁石装着孔23a,23aには回転軸線に平行に伸びる略板状の永久磁石11aがそれぞれ装着されている。
磁石装着孔23a,…,23aにそれぞれ装着される永久磁石11aは、すべて厚さ方向(つまり各回転子11,12の径方向)に同様に磁化されており、同一の内周側磁石装着部23に設けられた一対の磁石装着孔23a,23aに装着される一対の永久磁石11a,11aは、互いに磁化方向が同方向となるように設定されている。そして、すべての内周側磁石装着部23,…,23において、周方向で隣り合う内周側磁石装着部23,23同士は、一方に装着される一対の永久磁石11a,11aおよび他方に装着される一対の永久磁石11a,11aが、互いに磁化方向が異方向となるように設定される。すなわち外周側がN極とされた一対の永久磁石11a,11aが装着された内周側磁石装着部23には、外周側がS極とされた一対の永久磁石11a,11aが装着された内周側磁石装着部23が、凹溝21aを介して周方向で隣接するようになっている。
以上により、内周側回転子11は、周方向に沿って配置された複数の永久磁石11a,…,11aを具備している。
外周側回転子12も、回転軸線が電動機10の回転軸線と同軸となるように配置されるもので、略円筒状の外周側ロータ鉄心22を有しており、この外周側ロータ鉄心22には、その外周側の部分に周方向に所定の等ピッチで、上記した内周側磁石装着部23,…,23と同数の外周側磁石装着部24,…,24が設けられている。また、外周側ロータ鉄心22の外周面22A上には、周方向で隣り合う外周側磁石装着部24,24のすべての間位置に、回転軸線に平行に伸びる凹溝22aが半径方向に凹むように形成されている。さらに、外周側ロータ鉄心22の各凹溝22a,…,22aの各内径側つまり外周側磁石装着部24,…,24の隣り合うもの同士の各間位置には、それぞれ図1に示すネジ穴22bが軸線方向に沿って貫通形成されている。この外周側ロータ鉄心22も、例えば焼結等により形成される。
各外周側磁石装着部24,…,24は、回転軸線に平行に貫通する一対の磁石装着孔24a,24aをそれぞれ備えている。一対の磁石装着孔24a,24aは回転軸線に平行な方向に対する断面が略長方形状に形成されており、互いにセンターリブ24bを介して周方向で隣り合うように同一平面内に配置されている。なお、この平面はセンターリブ24bと回転軸線とを結んだ半径線に対し直交する。各磁石装着孔24a,24aには回転軸線に平行に伸びる略板状の永久磁石12aがそれぞれ装着されている。
各磁石装着孔24a,…,24aにそれぞれ装着される永久磁石12aは、すべて厚さ方向(つまり各回転子11,12の径方向)に同様に磁化されており、同一の外周側磁石装着部24に設けられた一対の磁石装着孔24a,24aに装着される一対の永久磁石12a,12aは、互いに磁化方向が同方向となるように設定されている。そして、すべての外周側磁石装着部24,…,24において、周方向で隣り合う外周側磁石装着部24,24同士は、一方に装着される一対の永久磁石12a,12aおよび他方に装着される一対の永久磁石12a,12aが、互いに磁化方向が異方向となるように設定される。すなわち外周側がN極とされた一対の永久磁石12a,12aが装着された外周側磁石装着部24には、外周側がS極とされた一対の永久磁石12a,12aが装着された外周側磁石装着部24が、凹溝22aを介して周方向で隣接するようになっている。
以上により、外周側回転子12も、周方向に沿って配置された複数の永久磁石12a,…,12aを具備している。
そして、内周側回転子11の各内周側磁石装着部23,…,23と外周側回転子12の各外周側磁石装着部24,…,24とは、各回転子11,12の径方向で互いに対向配置可能となるように配置されている。この対向配置状態のとき、すべての一対の永久磁石11a,11aが、いずれか対応する一対の永久磁石12a,12aと一対一で回転方向の位相を合わせる状態となる。また、内周側回転子11の各凹溝21a,…,21aと外周側回転子12の各凹溝22a,…,22aとについても、すべての凹溝21a,…,21aが、いずれか対応する凹溝22aと一対一で回転方向の位相を合わせる状態となる。
これにより、内周側回転子11と外周側回転子12との回転軸線周りの相対位置に応じて、電動機10の状態を、内周側回転子11のすべての永久磁石11a,…,11aと外周側回転子12のすべての永久磁石12a,…,12aとにおいて、対をなす永久磁石11a,11aと対をなす永久磁石12a,12aとの同極の磁極同士が対向配置(つまり、対をなす永久磁石11a,11aと対をなす永久磁石12a,12aとが対極配置)されて界磁が最も弱められる図2に示す弱め界磁状態から、対をなす永久磁石11a,11aと対をなす永久磁石12a,12aとの異極の磁極同士が対向配置(つまり、対をなす永久磁石11a,11aと対をなす永久磁石12a,12aとが同極配置)されて界磁が最も強められる図4に示す強め界磁状態に亘る適宜の状態に設定可能とされている。
ここで、図1に示す固定子13は、外周側回転子12の外周部に対向配置される略円筒状に形成され、例えば車両のトランスミッションのハウジング(図示略)等に固定されている。
次に、上記のような内周側回転子11と外周側回転子12との相対的な位相変更を行う回動機構14について説明する。
第1実施形態の回動機構14は、図1および図3に示すように、外周側回転子12の軸線方向両側に外周側回転子12の内側の空間を覆うように固定される円板状の一対のドライブプレート(端板)31,31と、これらドライブプレート31,31で挟持されることで外周側回転子12の内側に一体に設けられるベーンロータ(第1部材)32と、内周側回転子11の内側に一体に固定されてこの内周側回転子11とともにベーンロータ32、外周側回転子12およびドライブプレート31,31の間に配置されるハウジング(第2部材)33とを有している。ベーンロータ32およびハウジング33は、例えば焼結等により形成される。
一対のドライブプレート31,31には、それぞれの外周側の部分に、軸線方向に貫通する複数(ネジ穴22bと同数)のボルト挿入穴31a,…,31aが、同一円周上で等間隔をあけるように形成されており、これらボルト挿入穴31a,…,31aよりも内側には軸線方向に凹む図1に示す環状溝31bが一側に形成されている。また、ドライブプレート31には、環状溝31bよりも内側に、軸線方向に貫通する複数のボルト挿入穴31c,…,31cが、同一円周上で等間隔をあけるように形成されており、これらボルト挿入穴31c,…,31cよりも内側にも、軸線方向に貫通する図3に示すボルト挿入穴31d,…,31dが、同一円周上で等間隔をあけるようにボルト挿入穴31c,…,31cと同数形成されている。ここで、すべてのボルト挿入穴31c,…,31cにおいて、円周方向に隣り合うボルト挿入穴31c,31c同士の各中央位置に内側のボルト挿入穴31dが形成されている。さらに、内側のボルト挿入穴31d,…,31dの内側であるドライブプレート31の中心位置には軸線方向に貫通する嵌合穴31eが形成されている。
ベーンロータ32は、円筒状のボス部35と、このボス部35の外周面における円周方向の等間隔位置から半径方向外側に延出する複数(上記したボルト挿入穴31cと同数(具体的には6箇所))の羽根部36,…,36とを有している。
ボス部35は、外周側にあって羽根部36,…,36と同じ軸線方向長さの挟持ベース部37と、この挟持ベース部37の内周側から軸線方向両側に突出する円筒状の一対の嵌合部38とを有する段差状をなしている。挟持ベース部37には、軸線方向に貫通する複数(上記したボルト挿入穴31dと同数)のネジ穴35aが隣り合う羽根部36,36同士の中央位置にそれぞれ形成されている。また、ボス部35の内径側には、その軸線方向一側に図1に示す連結用スプライン35bが形成されており、軸線方向他側に、図2に示すように各羽根部36,…,36の位置の内周側から最も近い羽根部36の基端の回転方向における同じ一側にそれぞれ貫通する通路穴35c,…,35cと、各羽根部36,…,36の位置の内周側から最も近い羽根部36の基端の回転方向における同じ逆側にそれぞれ貫通する通路穴35d,…,35dとが、図1に示すように軸線方向の位置を異ならせて形成されている。
このベーンロータ32の内径側に、外周側回転子12の駆動力が伝達される出力軸16が取り付けられることになる。この出力軸16にはボス部35の連結用スプライン35bに結合される連結用スプライン16aと、連結用スプライン16aで結合された状態でボス部35のすべての通路穴35cを連通させる環状の連通溝16bと、同状態ですべての通路穴35dを連通させる環状の連通溝16cと、これら連通溝16b,16cの間位置および両外側位置に形成されたシール溝16d,16d,16dとを有しており、これらのシール溝16d,16d,16dにはベーンロータ32との隙間をシールする図示略のシールリングがそれぞれ配設される。また、この出力軸16には、その内部を通って連通溝16bに対し作動油を給排するための通路穴16eと、連通溝16cに対し作動油を給排するための通路穴16fとが形成されている。なお、この出力軸16には、ドライブプレート31,31よりも軸線方向外側に突出する部分に、例えば車両のトランスミッションのハウジングに保持される一対のベアリング42,42を嵌合させるベアリング嵌合部16gがそれぞれ形成されている。
各羽根部36,…36は、略板状をなしており、図2に示すように、中間位置に軸線方向に貫通するネジ穴36aがそれぞれ形成されている。また、円周方向の両側面には、それぞれ、ネジ穴36aの形成位置よりも外周側に一対の凹状部36b,36bが軸線方向の全長に亘って形成されており、ネジ穴36aの形成位置よりも内側にも凹状部36c,36cが軸線方向の全長に亘って形成されている。さらに、各羽根部36,…36のそれぞれの外周面には、外周面から中心側に向けて凹むシール保持溝36dが軸線方向の全長に亘って形成されている。これらシール保持部36d,…,36dには、ハウジング33との隙間をシールするスプリングシール44がそれぞれ配置される。各スプリングシール44,…,44は、外側に設けられてハウジング33に摺接するシール44aと、内側に設けられてシール44aを半径方向外方のハウジング33側に押圧するスプリング44bとで構成されている。
内周側回転子11の内側に所定の位相関係となるように一体に嵌合されるハウジング33は、径方向厚さの薄い円筒状のベース部46と、このベース部46の内周面における円周方向の等間隔位置から半径方向内側に突出する、羽根部36と同数の突出部47,…,47とを有している。ここで、ベース部46は、図1に示すように、突出部47よりも軸線方向両側に全周にわたって突出している。各突出部47,…,47は、図2に示すように、それぞれ、軸線方向視で先細の略二等辺三角形状をなしており、すべての突出部47,…,47において、円周方向に隣り合う突出部47,47同士の各間に上記したベーンロータ32の羽根部36を配置可能な凹部48が形成される。各突出部47,…,47には、軸線方向の両面から所定の等深さ凹む一対の肉抜き穴47a,47aが形成されており、また、それぞれの内端面に、外径側に向けて凹むシール保持溝47bが軸線方向の全長に亘って形成されている。これらシール保持部47b,…,47bには、ベーンロータ32のボス部35の外周面との隙間をシールするスプリングシール50がそれぞれ配置される。これらのスプリングシール50,…,50は、内周側に設けられてベーンロータ32のボス部35に摺接するシール50aと、外径側に設けられてシール50aをベーンロータ32側に押圧するシールスプリング50bとで構成されている。なお、ハウジング33を内周側回転子11にボルト等の締結で一体に連結しても良い。
上記の各部品を組み立てる場合、例えば、一方のドライブプレート31に外周側回転子12を合わせた状態で、このドライブプレート31の各ボルト挿入穴31a,…,31aにそれぞれボルト52を挿入し、各ボルト52,…,52をそれぞれ外周側回転子12のネジ穴22bに螺合させる。また、このドライブプレート31にベーンロータ32を、その一方の嵌合部38を嵌合穴31eに嵌合させることにより合わせた状態で、このドライブプレート31の各ボルト挿入穴31d,…,31dに図示略のボルトをそれぞれ挿入し、各ボルトをそれぞれベーンロータ32のボス部35のネジ穴35aに螺合させる。さらに、このドライブプレート31の各ボルト挿入穴31c,…,31cにそれぞれボルト54を挿入し、各ボルト54,…,54をそれぞれベーンロータ32の羽根部36のネジ穴36aに螺合させる。そして、ベーンロータ32の各羽根部36,…,36にそれぞれスプリングシール44を取り付けた状態で、各羽根部36,…,36をそれぞれ一対一で対応する凹部48に入れるようにして、予め内側にハウジング33が圧入された内周側回転子11を、スプリングシール50,…,50を取り付けた状態で挿入する。
そして、他方のドライブプレート31を、ベーンロータ32の他方の嵌合部38を嵌合穴31eに嵌合させることにより反対側から合わせて、このドライブプレート31の各ボルト挿入穴31a,…,31aにそれぞれボルト52を挿入し、各ボルト52,…,52をそれぞれ外周側回転子12のネジ穴22bに螺合させる。また、このドライブプレート31の各ボルト挿入穴31d,…,31dに図示略のボルトを挿入し、各ボルトをそれぞれベーンロータ32のボス部35のネジ穴35aに螺合させ、さらに、各ボルト挿入穴31c,…,31cにそれぞれボルト54を挿入し、各ボルト54,…,54をそれぞれベーンロータ32の羽根部36のネジ穴36aに螺合させる。その結果、外周側回転子12の軸線方向両端面に固定されたドライブプレート31,31が、それぞれベーンロータ32の各羽根部36,…,36とボルト54,…,54で一体に固定され、ボス部35と図示略のボルトで一体に固定される。なお、羽根部36,…,36をドライブプレート31に固定するボルト54,…,54は、外周側回転子12をドライブプレート31に固定するボルト52,…,52よりも本数は少なく、かつサイズは大きいものが用いられている。
その後、出力軸16がベーンロータ32の内側に嵌合され、その際に、連結スプライン16aおよび連結スプライン35bが結合される。その結果、出力軸16がベーンロータ32に一体に固定された状態となる。勿論、上記の組み立て手順は一例であり、上記とは異なる手順で組み立てることも可能である。
以上によって、ハウジング33と一体とされた内周側回転子11が、外周側回転子12の内側且つベーンロータ32の外側であってドライブプレート31,31の間の空間58に設けられることになり、ドライブプレート31,31の環状溝31b,31bに入り込むベース部46の軸線方向両側部分で回転可能に保持されることになる。さらに、ハウジング33の凹部48,…,48それぞれに一枚ずつベーンロータ32の羽根部36が配置される。また、ベーンロータ32にスプライン結合される出力軸16は、外周側回転子12、ドライブプレート31,31およびベーンロータ32と一体回転可能となり、具体的には一体に固定される。
ここで、外周側回転子12の永久磁石12a,…,12aと内周側回転子11の永久磁石11a,…,11aとが異極同士を対向させる強め界磁状態のとき、図4に示すようにすべての羽根車36,…,36がそれぞれ対応する凹部48内で回転方向における同じ一側に隣り合う突出部47に当接することになり、当接する突出部47との間に第1圧力室56を形成するとともに、それぞれが回転方向における同じ逆側に隣り合う突出部47との間に第1圧力室56よりも広い第2圧力室57を形成することになる(言い換えれば、凹部48,…,48および凹部48,…,48に収容される羽根車36,…,36で第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57が形成される)。その結果、これらの第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57は、内周側回転子11の内側に画成される。
逆に、外周側回転子12の永久磁石12a,…,12aと内周側回転子11の永久磁石11a,…,11aとが同極同士を対向させる弱め界磁状態のとき、図2に示すように、すべての羽根車36,…,36がそれぞれ対応する凹部48内で回転方向における同じ上記逆側に隣り合う突出部47に当接して第2圧力室57を縮小することになり、それぞれが回転方向における同じ上記一側に隣り合う突出部47との間の第1圧力室56を拡大することになる。なお、各第1圧力室56,…,56にベーンロータ32の各通路穴35c,…,35cが一対一で常時開口するように設けられ、各第2圧力室57,…,57にベーンロータ32の各通路穴35d,…,35dが一対一で常時開口するように設けられている。
ここで、外周側回転子12および内周側回転子11は、永久磁石12a,…,12aおよび永久磁石11a,…,11aが互いに異なる極性で対向し吸引し合う図4に示す強め界磁の位置を、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57が実質的に作動油圧を受けないときの原点位置に設定している。なお、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57は作動油圧を受けない状態でも作動油で満たされている。そして、この原点位置にある状態から、各第1圧力室56,…,56に各通路穴35c,…,35cを介して作動油を導入する(つまり第1圧力室56,…,56に作動油圧を導入する)と同時に各第2圧力室57,…,57から各通路穴35d,…,35dを介して作動油を排出させると、外周側回転子12および内周側回転子11は、磁力に反して相対回転し、弱め界磁状態となる。逆に、各第2圧力室57,…,57に各通路穴35d,…,35dを介して作動油を導入すると同時に各第1圧力室56,…,56から各通路穴35c,…,35cを介して作動油を排出させると、外周側回転子12および内周側回転子11は、原点位置に戻って強め界磁状態となるが、このときは、外周側回転子12の永久磁石12a,…,12aと内周側回転子11の永久磁石11a,…,11aとが磁力で吸引し合うことになるため、各第2圧力室57,…,57に導入する作動油の圧力は、弱め界磁状態に位相変更する場合に必要な圧力よりも低くて済み、場合によっては油圧を導入しなくても作動油の給排のみで済む。
また、電動機10は、内周側回転子11が、外周側回転子12に対して永久磁石12a,…,12aおよび永久磁石11a,…,11aを互いに同じ極性を対向させた弱め状態から原点位置に戻る際の回転方向と、減速回転時に生じる慣性モーメントの方向とを一致させている。つまり、電動機10は、車両の前進走行時に外周側回転子12および内周側回転子11を、図2および図4における時計回り方向に回転させるように設定されており、図2に示す弱め界磁状態から外周側回転子12が減速するとフローティング状態にある内周側回転子11に図4に示す強め界磁状態に戻ろうとする慣性モーメントが生じるのである。
ここで、作動油が非圧縮性であることから、上記のような強め界磁状態および弱め界磁状態の両限界端への位相の変更は勿論、これら両限界端の間の中間位置であっても、図示略の油圧制御装置が、例えば、図示略の開閉弁の遮断ですべての第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57からの作動油の給排を停止させることで、外周側回転子12および内周側回転子11はその時点での位相関係を維持することになり、任意の界磁状態で位相変更を停止させることができる。
以上により、上記したベーンロータ32は、外周側回転子12に対して一体に固定されて一体回転可能となり、内周側回転子11の内側に配置されることになる。しかも、ベーンロータ32は、外周側回転子12および内周側回転子11の軸線方向の両端面を覆うように外周側回転子12に固定されたドライブプレート31,31を介して外周側回転子12に一体に固定され、外周側回転子12の駆動力を出力する出力軸16にも一体に設けられている。また、上記したハウジング33は、内周側回転子11に対して一体に嵌合されて一体回転可能となり、その凹部48がベーンロータ32とで第1圧力室56および第2圧力室57を内周側回転子11の内側に画成する。さらに、これら第1圧力室56および第2圧力室57への作動油の給排つまり作動油圧の導入制御で、ハウジング33に対するベーンロータ32の相対的な位相を変更し、その結果、内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更することになる。ここで、内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相は、少なくとも電気角の180°だけ進角側または遅角側に変化可能となり、電動機10の状態は、内周側回転子11の永久磁石11aと外周側回転子12の永久磁石12aとの同極の磁極同士が対向配置される弱め界磁状態と、内周側回転子11の永久磁石11aと外周側回転子12の永久磁石12aとの異極の磁極同士が対向配置される強め界磁状態との間の適宜の状態に設定可能となる。
加えて、外周側回転子12の駆動力を出力軸16に伝達するドライブプレート31が外周側回転子12およびベーンロータ32の軸線方向両端面にそれぞれ固定されることで形成されるこれら外周側回転子12、ベーンロータ32および両ドライブプレート31,31の間の図2に示す空間58に、一体とされた内周側回転子11およびハウジング33が、周方向に回転可能に配置されている。なお、内周側回転子11およびハウジング33の一体品は、空間58内にフローティング状態で回転自在に設けられている(つまり、ドライブプレート31,31および出力軸16には固定されていない)。
なお、例えば図5(a)に示すように内周側回転子11の永久磁石11aと外周側回転子12の永久磁石12aとが同極配置とされる強め界磁状態と、例えば図5(b)に示すように内周側回転子11の永久磁石11aと外周側回転子12の永久磁石12aとが対極配置とされる弱め界磁状態とにおいては、例えば図6に示すように、誘起電圧の大きさが変化することから、電動機10の状態を強め界磁状態と弱め界磁状態との間で変化させることにより誘起電圧定数Keが変更されることになる。
この誘起電圧定数Keは、例えば各回転子11,12の回転により固定子巻線13aの巻線端に誘起される誘起電圧の回転数比であって、さらに、極対数pと、モータ外径Rと、モータ積厚Lと、磁束密度Bと、ターン数Tとの積により、Ke=8×p×R×L×B×T×πとして記述可能である。これにより、電動機10の状態を強め界磁状態と弱め界磁状態との間で変化させることにより、内周側回転子11の永久磁石11aと外周側回転子12の永久磁石12aとによる界磁磁束の磁束密度Bの大きさが変化し、誘起電圧定数Keが変更されることになる。
ここで、例えば図7(a)に示すように、電動機10のトルクは誘起電圧定数Keと固定子巻線13aに通電される電流との積に比例(トルク∝(Ke×電流))する。
また、例えば図7(b)に示すように、電動機10の界磁弱め損失は誘起電圧定数Keと回転数との積に比例(界磁弱め損失∝(Ke×回転数))することから、電動機10の許容回転数は誘起電圧定数Keと回転数との積の逆数に比例(許容回転数∝(1/(Ke×回転数)))する。
つまり、例えば図8に示すように、誘起電圧定数Keが相対的に大きい電動機10では、運転可能な回転数は相対的に低下するものの、相対的に大きなトルクを出力可能となり、一方、誘起電圧定数Keが相対的に小さい電動機10では、出力可能なトルクは相対的に低下するものの、相対的に高い回転数まで運転可能となり、誘起電圧定数Keに応じてトルクおよび回転数に対する運転可能領域が変化する。
このため、例えば図9(a)に示す実施例のように、電動機10の回転数が増大することに伴い誘起電圧定数Keが低下傾向に変化(例えば、順次、A、B(<A)、C(<B)へと変化)するように設定することにより、誘起電圧定数Keを変化させない場合(例えば、第1〜第3比較例)に比べて、トルクおよび回転数に対する運転可能領域が拡大する。
また、電動機10の出力は、誘起電圧定数Keと固定子巻線13aに通電される電流と回転数との積から界磁弱め損失および他の損失を減算して得た値に比例(出力∝(Ke×電流×回転数−界磁弱め損失−他の損失))する。つまり、例えば図9(b)に示すように、誘起電圧定数Keが相対的に大きい電動機10では、運転可能な回転数は相対的に低下するものの、相対的に低い回転数領域での出力が増大し、一方、誘起電圧定数Keが相対的に小さい電動機10では、相対的に低い回転数領域での出力が低下するものの、相対的に高い回転数まで運転可能になると共に相対的に高い回転数での出力が増大し、誘起電圧定数Keに応じて出力および回転数に対する運転可能領域が変化する。このため、電動機10の回転数が増大することに伴い誘起電圧定数Keが低下傾向に変化(例えば、順次、A、B(<A)、C(<B)へと変化)するように設定することにより、誘起電圧定数Keを変化させない場合(例えば、第1〜第3比較例)に比べて、出力および回転数に対する運転可能領域が拡大する。
また、電動機10の効率は、固定子巻線13aに対する入力電力から銅損および界磁弱め損失および他の損失を減算して得た値を入力電力で除算して得た値に比例(効率∝((入力電力−銅損−界磁弱め損失−他の損失)/入力電力))する。
このため、相対的に低い回転数領域から中回転数領域においては、相対的に大きな誘起電圧定数Keを選択することにより、所望のトルクを出力させるために必要とされる電流が低減し、銅損が低減する。
そして、中回転数領域から相対的に高い回転数領域においては、相対的に小さな誘起電圧定数Keを選択することにより、界磁弱め電流が低減し、界磁弱め損失が低減する。
これにより、例えば図10(a)に示す実施例のように、電動機10の回転数が増大することに伴い誘起電圧定数Keが低下傾向に変化するように設定することにより、誘起電圧定数Keを変化させない場合(例えば、図10(b)に示す第2比較例)に比べて、回転数および回転数に対する運転可能領域が拡大すると共に、電動機10の効率が所定効率以上となる高効率領域Eが拡大し、さらに、到達可能な最高効率の値が増大する。
上述したように、第1実施形態によれば、先ず、内周側回転子11および外周側回転子12には周方向に沿って永久磁石11aおよび永久磁石12aが配置されることにより、例えば外周側回転子12の永久磁石12aによる界磁磁束が固定子巻線13aを鎖交する鎖交磁束量を、内周側回転子11の永久磁石11aによる界磁磁束によって効率よく増大あるいは低減させることができる。そして、界磁強め状態では、電動機10のトルク定数(つまり、トルク/相電流)を相対的に高い値に設定することができ、電動機運転時の電流損失を低減すること無しに、または、固定子巻線13aへの通電を制御するインバータの出力電流の最大値を変更すること無しに、電動機10が出力する最大トルク値を増大させることができる。
しかも、回動機構14は、外周側回転子12に対して一体回転可能に設けられたベーンロータ32と内周側回転子11に対して一体回転可能に設けられたハウジング33とで内周側回転子11の内側に画成された第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57に作動油を給排することによって、内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更するものであるため、電動機10が複雑化することを抑制しつつ、容易かつ適切に、しかも所望のタイミングで誘起電圧定数を可変とすることができ、その結果、運転可能な回転数範囲およびトルク範囲を拡大し、運転効率を向上させると共に高効率での運転可能範囲を拡大することが可能となる。
さらに、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57への作動油の供給量を制御することで内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相を界磁弱め状態と界磁強め状態との間の電気角180°の範囲内で無段階に変更することができる。
加えて、ベーンロータ32およびハウジング33が第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57を内周側回転子11の内側に画成するため、電動機10の特に軸線方向の厚さの増大を抑えることができ、小型化が図れる。
具体的に、ベーンロータ32の羽根部36,…,36とハウジング33の凹部48,…,48とで画成された第1圧力室56,…,56に作動油を供給しつつ第2圧力室57,…,57から作動油を排出させると、第1圧力室56,…,56が拡大する方向にハウジング33とベーンロータ32との間の相対的な位相を変更することになり、その結果、ハウジング33の外側に一体に設けられた内周側回転子11と、ベーンロータ32に一体に設けられた外周側回転子12との間の相対的な位相を変更することになり、弱め界磁状態となる。一方、逆に、第2圧力室57,…,57に作動油を供給しつつ第1圧力室56,…,56から作動油を排出させると、第2圧力室57,…,57が拡大する方向にハウジング33とベーンロータ32との間の相対的な位相を変更することになり、その結果、内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更することになって、強め界磁状態となる。このように回動機構14としてベーンロータ32とハウジング33とを有する簡素なベーンアクチュエータ機構を用いるため、電動機10が複雑化することを確実に抑制しつつ、容易かつ適切に、しかも所望のタイミングで誘起電圧定数を可変とすることができる。
加えて、ベーンロータ32が軸線方向の端面を覆うように外周側回転子12に固定されたドライブプレート31,31を介して外周側回転子12に一体に設けられ、しかも、外周側回転子12の駆動力を出力する出力軸16にも一体に設けられているため、外周側回転子12の回転を直結で出力軸16に伝達することができる一方、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57へ導入される作動油の圧力は、内周側回転子11の内側に一体に設けられたハウジング33とベーンロータ32との間の相対的な位相、つまり内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相の変更のために主として用いられる。したがって、作動油で発生させる必要がある圧力を低く抑えることができる。
さらに、作動油がベーンロータ32を経由して第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57に対し給排されるため、作動油の流路形成に伴う軸線方向の厚さの増大を抑制できる。
加えて、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57が内周側回転子11に圧入されたハウジング33で画成されるため、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57の作動油がハウジング33を介して内周側回転子11の熱を奪い、これを冷却することになる。さらに、第1圧力室56,…,56および第2圧力室57,…,57の作動油は、外周側回転子12および内周側回転子11の回転による遠心力で外側に移動しようとすることになり、特別なシール構造を採用しなければ、一対のドライブプレート31,31と、ハウジング33、内周側回転子11および外周側回転子12との間の隙間を介して外側に漏れることになるが、隙間の通過中に内周側回転子11および外周側回転子12から熱を奪いこれを冷却することになる。さらに、漏れた作動油は遠心力で固定子13の主に固定子巻線13aにかかって固定子13をも冷却することになる。
次に、本発明の第2実施形態に係る電動機について主に図11および図12を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第2実施形態では、第1実施形態に対して回動機構14の一部を変更している。先ず、図11に示すように、一方のドライブプレート31は、第1実施形態と同様に、外周側回転子12にボルト52,…,52で固定されるとともにベーンロータ32のボス部35に図示略のボルトで固定され、さらにベーンロータ32の羽根部36にボルト54,…,で固定されることになる。
これに対して、このドライブプレート31に対し軸線方向逆側には、外周側回転子12と内周側回転子76の外周側の一部とを覆うように円環状のドライブプレート61が配置されている。このドライブプレート61には、軸線方向に貫通するボルト挿入穴61a,…,61aが、同一円周上で等間隔をあけるようにネジ穴22bと同数形成されており、また、内周縁部には、軸線方向に段差状をなす環状の段差部61bが形成されている。このドライブプレート61は、そのボルト挿入穴61a,…,61aにそれぞれボルト52が挿入され、各ボルト52,…,52がそれぞれ外周側回転子12のネジ穴22bに螺合されることで外周側回転子12に一体回転可能に固定されることになる。
第2実施形態のベーンロータ32は、第1実施形態のベーンロータ32に対して、各羽根部36,…,36に形成されたネジ穴36a,…,36aが一方のドライブプレート31側の端面から中間位置まで形成されており、いずれも羽根部36を貫通していない点が相違しており、軸線方向の一方側端面を覆うように外周側回転子12に固定されたドライブプレート31を介して外周側回転子12に一体に設けられている。また、第2実施形態のベーンロータ32の内径側には、第1実施形態の出力軸16と同様の連通溝16b,16c、シール溝16d,16d,16d、通路穴16e,16fおよび一方のベアリング嵌合部16gが形成された油圧導入軸63が嵌合されている。この油圧導入軸63はベーンロータ32からドライブプレート61側には突出していない。
第2実施形態のハウジング33は、図12に示すように、各突出部47,…,47に、第1実施形態の肉抜き穴47a,47aが形成されておらず、各突出部47,…,47には、それぞれ軸線方向に沿ってネジ穴47cが、図11に示すように一方のドライブプレート31とは反対側の端面から中間位置まで形成されている。
第2実施形態では、ベーンロータ32ではなく、内周側回転子11に一体に圧入されたハウジング33に出力軸(回動軸)65が一体回転可能に設けられている。つまり、出力軸65は、軸部66と、軸部66の一端側から径方向に延出する円板状のフランジ部67とを有しており、フランジ部67には、軸線方向に貫通するボルト挿入穴67a,…,67aが、同一円周上で等間隔をあけるようにネジ穴47c,…,47cと同数形成されている。そして、フランジ部67の外周縁部をドライブプレート61の段差部61bとハウジング33との隙間に挿入した状態で、各ボルト挿入穴67a,…,67aに挿入された各ボルト68をそれぞれネジ穴47cに螺合させることで、出力軸65がハウジング33に固定される。なお、出力軸65の軸部66には、ベアリング42を嵌合させるベアリング嵌合部66aが形成されている。これにより、外周側回転子12の駆動力を出力する出力軸65は、ドライブプレート31とは反対の軸線方向の他方側から内周側回転子11およびハウジング33に一体に設けられている。
このような第2実施形態によれば、ベーンロータ32が、軸線方向の一方側端面を覆うように外周側回転子12に固定されたドライブプレート31を介して外周側回転子12に一体に設けられ、この外周側回転子12の駆動力を出力する出力軸65が、軸線方向の他方側から内周側回転子11およびハウジング33と一体に設けられているため、外周側回転子12と出力軸72との間で、駆動力を第1圧力室56,…,56または第2圧力室57,…,57の作動油を介して伝達することになる。このように作動油を介して駆動力を伝達するため、発生する振動を作動油で吸収することができ、静粛性を向上させることができる。なお、このとき必要な作動油の圧力は電動機10のトルクと、内周側回転子11および外周側回転子12の位相を変化させるのに必要なトルクの合力となる。
次に、本発明の第3実施形態に係る電動機について主に図13を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第3実施形態では、第1実施形態に対し異なる回動機構70が用いられている。
第3実施形態の回動機構70は、外周側回転子12の軸線方向両側に外周側回転子12の内側の空間を覆うように固定される円環状の一対のドライブプレート(第1部材)71,71と、一方のドライブプレート71に一体に設けられて電動機10の出力軸72に支持される支持部材73と、他方のドライブプレート71に一体に設けられて出力軸72に支持される支持部材(第1部材,ドライブプレート)74と、第1実施形態の内周側回転子11と同様の構成の内周側回転子本体75と、内周側回転子本体75の内側に一体に圧入固定されて内周側回転子本体75とで内周側回転子76を構成する内側部材77と、この内側部材77と支持部材73,74との間に配置されるリングギア(第2部材)78とを有している。
外周側回転子12には、第1実施形態のネジ穴22b,…,22bと同じ位置に、ボルト挿入穴22c,…,22cが形成されている。
一対のドライブプレート71,71には、それぞれの外周側の部分に、軸線方向に貫通する複数(ボルト挿入穴22cと同数)のボルト挿入穴71a,…,71aが、同一円周上で等間隔をあけるように形成されており、ボルト挿入穴71a,…,71aよりも中心側にも、軸線方向に貫通する複数のボルト挿入穴71b,…,71bが、同一円周上で等間隔をあけるように形成されている。これら一対のドライブプレート71,71は、外周側回転子12の軸線方向両側に合わせられた状態で一方のドライブプレート71のボルト挿入穴71a、ボルト挿入穴22cおよび他方のドライブプレート71のボルト挿入穴71aに挿入されるボルト79とこのボルト79に螺合されるナット80とで外周側回転子12に固定される。
一方の支持部材73は、円筒部(回動軸)81と、この円筒部81の軸線方向一側から径方向外側に円板状に延出するフランジ部(第1部材、ドライブプレート)82とを有しており、フランジ部82の外周側には、軸線方向において円筒部81の側に段差状をなす環状の段差部82aが形成されている。また、この段差部82aの位置には、軸線方向に貫通する複数(ボルト挿入穴71bと同数)のネジ穴82bが、同一円周上で等間隔をあけるように形成されている。また、支持部材73の円筒部81の外周側にはヘリカルスプライン81aが形成されており、内周側には連結用スプライン81bが形成されている。さらに、円筒部81のフランジ部82との境界位置には内外周を径方向に貫通する複数の通路穴81c,…,81cが、一部フランジ部82まで延在して放射状に形成されている。このような支持部材73は、一方のドライブプレート71の内側に段差部82aにおいて合わせられ、この状態でボルト挿入穴71b,…,71bに挿入された各ボルト84がそれぞれネジ穴82bに螺合されることで一方のドライブプレート71に固定される。
他方の支持部材74は、円環状をなしており、その外周側に、軸線方向において段差状をなす環状の段差部74aが形成されている。また、この段差部74aの位置には、軸線方向に貫通する複数(ボルト挿入穴71bと同数)のネジ穴74bが、同一円周上で等間隔をあけるように形成されている。また、支持部材74には、段差部74aとは反対側の端面に内周側から一部を削って径方向に延出する半穴状の複数の通路溝74c,…,74cが放射状に形成されている。このような支持部材74は、他方のドライブプレート71の内側に段差部74aにおいて合わせられ、この状態でボルト挿入穴71b,…,71bに挿入された各ボルト84がそれぞれネジ穴84bに螺合されることで他方のドライブプレート71に固定される。なお、支持部材74は、取付状態で支持部材73の円筒部81の先端面に当接する。
上記した支持部材73および支持部材74の内径側には、電動機10の出力軸72が取り付けられることになる。この出力軸72には支持部材73の連結スプライン81bに結合される連結スプライン72aと、連結スプライン72aで支持部材73に結合された状態で支持部材73のすべての通路穴81c,…,81cを連通させる環状の連通溝72bと、連通溝72bの両外側位置に形成されたシール溝72c,72cと、内部を通って連通溝72bに対し作動油を給排するための通路穴72dとを有しており、シール溝72c,72cにはそれぞれ支持部材73との隙間をシールする図示略のシールリングが配設される。
また、出力軸72には、連結スプライン72aで支持部材73に結合された状態で支持部材74のすべての通路溝74c,…,74cを連通させる環状の連通溝72eと、連通溝72eの両側に形成されたシール溝72f,72fと、内部を通って連通溝72eに対し作動油を給排するための通路穴72gとを有しており、シール溝72f,72fには支持部材74との隙間をシールする図示略のシールリングが配設される。なお、出力軸72に形成された通路穴72d,72gは互いに出力軸72の軸線方向逆側に開口している。
なお、出力軸72には、支持部材73および支持部材74よりも軸線方向外側に突出する両側部分にベアリング42をそれぞれ嵌合させるベアリング嵌合部72h,72hが形成されており、一方のベアリング嵌合部72hの軸線方向の内側には回転力を伝達するギア88がスプライン結合されている。
内周側回転子本体75の内側に一体に圧入される内側部材77は、径方向厚さの薄い円筒状のベース部90と、このベース部90の内周面における軸線方向の中間位置から中心軸線側に突出する環状突出部91とを有している。環状突出部91の内周面には、上記したヘリカルスプライン81aとは逆方向に捩られたヘリカルスプライン91aが形成されている。
リングギア78は、円環状の基板部93と、基板部93の内周部から軸線方向一側に突出する内円筒部94と、基板部93の外周部から軸線方向両側に突出する外円筒部95と、外円筒部95の軸線方向の内円筒部94とは反対の端部から径方向外側に環状に突出する環状突出部96とを有している。そして、内円筒部94の内周面には、上記した支持部材73のヘリカルスプライン81aに摺動可能に結合されるヘリカルスプライン94aが形成されており、外円筒部95の外周面には、上記した内側部材77のヘリカルスプライン91aに摺動可能に結合されるヘリカルスプライン95aが形成されている。さらに、環状突出部96の外周面には、中心側に凹む環状のシール溝96aが形成されており、このシール溝96aには内側部材77との隙間をシールする図示略のシールリングが配設される。
そして、リングギア78と支持部材73のフランジ部82との間に、出力軸72の通路穴72dおよび連通溝72bと支持部材73の通路穴81c,…,81cとを介して作動油が給排される第1圧力室101が形成されることになり、リングギア78と支持部材74との間に、出力軸72の通路穴72gおよび連通溝72eと支持部材74の通路溝74c,…,74cとを介して作動油が給排される第2圧力室102が形成されることになる。これらの第1圧力室101および第2圧力室102は、内周側回転子76の内側に画成される。なお、第1圧力室101および第2圧力室102は作動油圧を受けない状態でも作動油で満たされている。
ここで、第3実施形態において、第1圧力室101に作動油を導入すると同時に第2圧力室102から作動油を排出させると、リングギア78が支持部材74の図示略のストッパ部に当接することになり、第2圧力室102を狭く第1圧力室101を広くすることになる。このとき、例えば、外周側回転子12の永久磁石12aと内周側回転子76の永久磁石11aとが弱め界磁状態となる。他方、第2圧力室102に作動油を導入すると同時に第1圧力室101から作動油を排出させると、リングギア78が軸線方向に移動して支持部材73のフランジ部82に当接することになり、第1圧力室101を狭く第2圧力室102を広くすることになる。このとき、互いに噛み合うヘリカルスプライン81a,94aの捩れで、外周側回転子12および出力軸72と一体の支持部材73の円筒部81に対しリングギア78が回転しつつ、互いに噛み合うヘリカルスプライン95a,91aの捩れで内周側回転子76を同じ方向にさらに回転させる。これにより、例えば、外周側回転子12の永久磁石12aと内周側回転子76の永久磁石11aとが、上記弱め界磁状態に対し電気角の180°位相が変わって、強め界磁状態となる。このとき、外周側回転子12の永久磁石12aと内周側回転子76の永久磁石11aとが磁力で吸引し合うことになり、各第2圧力室102,…,102に導入する作動油の圧力は、弱め界磁状態に位相変更する場合に必要な圧力よりも低くて済み、場合によっては油圧を導入しなくても作動油の給排のみで済む。このように、第1圧力室101および第2圧力室102への作動油の給排で内周側回転子76と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更することになる。ここで、第3実施形態においても、上記のような両限界端への位相の変更は勿論、両限界端の中間位置で、図示略の油圧制御装置が、例えば、図示略の開閉弁の遮断で第1圧力室101および第2圧力室102からの作動油の給排を停止させることで、外周側回転子12および内周側回転子76はその時点での位相関係を維持することになる。
以上により、ドライブプレート71,71および支持部材73,74が、外周側回転子12に対して一体回転可能であって、内周側回転子76および外周側回転子12の両端面を覆うように外周側回転子12および出力軸72に一体に設けられて回転力を出力軸72に伝達することになる。また、リングギア78は、内周側回転子76と支持部材73の円筒部81との間に配置されて、円筒部81のヘリカルスプライン81aおよび内周側回転子76のヘリカルスプライン91aにヘリカルスプライン94a,95aで連結される。さらに、リングギア78は、ドライブプレート71,71および支持部材73,74とで内周側回転子76の内側に第1圧力室101および第2圧力室102を画成してこれら第1圧力室101および第2圧力室102への作動油の給排で軸線方向に移動する。つまり、リングギア78は、内周側回転子76に対して一体回転可能に連結されるとともに、軸線方向に移動することで相対回転も可能となっている。
以上に述べた第3実施形態においては、回動機構70が、外周側回転子12に対して一体回転可能に設けられて駆動力を伝達するドライブプレート71,71および支持部材73,74と、内周側回転子76に対して一体回転可能に設けられたリングギア78とで内周側回転子76の内側に画成された第1圧力室101および第2圧力室102に対して、作動油を給排することによって、内周側回転子76と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更するものであるため、電動機10が複雑化することを抑制しつつ、容易かつ適切に、しかも所望のタイミングで誘起電圧定数を可変とすることができ、その結果、運転可能な回転数範囲およびトルク範囲を拡大し、運転効率を向上させると共に高効率での運転可能範囲を拡大することが可能となる。
さらに、第1圧力室101および第2圧力室102への作動油の供給量を制御することで内周側回転子76と外周側回転子12との間の相対的な位相を界磁弱め状態と界磁強め状態との間の電気角180°の範囲内で無段階に変更することができる。
加えて、ドライブプレート71,71および支持部材73,74と、リングギア78とが第1圧力室101および第2圧力室102を内周側回転子76の内側に画成するため、特に回転軸線の延在方向の厚さの増大を抑えることができ、小型化が図れる。
ドライブプレート71,71および支持部材73,74とリングギア78とで形成された第1圧力室101および第2圧力室102に対して作動油を給排すると、リングギア78が、ドライブプレート71,71、支持部材73,74および外周側回転子12に対し軸線方向に相対的に移動することになるが、リングギア78は、支持部材73の円筒部81と内周側回転子76との間に配置されて、円筒部81のヘリカルスプライン81aおよび内周側回転子76のヘリカルスプライン91aにヘリカルスプライン94a,95aで連結されるため、軸線方向の移動で内周側回転子76と、出力軸72、ドライブプレート71,71、支持部材73,74および外周側回転子12との間の相対的な位相を変更することになる。このように回動機構70としてヘリカルスプライン94a,95aを有するリングギア78を軸線方向に移動させる簡素なアクチュエータ機構を用いるため、電動機10が複雑化することを確実に抑制しつつ、容易かつ適切に、しかも所望のタイミングで誘起電圧定数を可変とすることができる。
次に、本発明の第4実施形態に係る電動機について主に図14を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第4実施形態も、第1実施形態に対し異なる回動機構105を用いている。
第4実施形態の回動機構105は、外周側回転子12の軸線方向両側に一体回転可能に固定される一対のドライブプレート106(図14において一方のみ図示)と、これらドライブプレート106の間に一体回転可能に固定されるハウジング(第1部材)107と、ハウジング107に摺動可能に支持される複数(具体的には4個)のピストン(第2部材)108,…,108と、第1実施形態の内周側回転子11と同様の内周側回転子本体109と、内周側回転子本体109の内側に一体回転可能に圧入されて内周側回転子本体109とで内周側回転子110を構成する内側部材111とを有している。
ハウジング107には、中央に出力軸(回動軸)114を一体に取り付けるための取付穴107aが貫通形成されており、両ドライブプレート106をボルト止めするための複数のネジ穴107b,…,107bが、取付穴107aの周囲において同一円周上で等間隔をあけるように形成されている。ここで、取付穴107aには、上記した出力軸114がスプライン結合で一体に連結されることになり、これにより、ハウジング107は、外周側回転子12および外周側回転子12の駆動力が伝達される出力軸114に一体に設けられる。
また、ハウジング107には、互いに直交する一対の軸線にそれぞれ平行となるように一対の穴部107c,107dが取付穴107aの軸線と直交する方向に沿って形成されており、このような一対の穴部107c,107dが取付穴107aを挟んだ対称位置に二対形成されている。また、ハウジング107には、各対で回転方向の同じ一側に開口する穴部107c,107cのそれぞれの底側に連通する図示略の通路穴と、各対で回転方向の同じ逆側に開口する穴部107d,107dのそれぞれの底側に連通する通路穴107e,107eとが取付穴107aから形成されており、連通穴107e,107eおよび図示略の連通穴は、出力軸114の図示略の個別の連通溝および通路穴に連通している。
そして、ハウジング107に形成された各穴部107c,107c,107d,107dにそれぞれ上記したピストン108が摺動可能に嵌合されている。回転方向の同じ一側に開口する穴部107c,107cにそれぞれ挿入されたピストン108は、穴部107cとの間に図示略の通路穴に連通する第1圧力室116をそれぞれ画成することになり、回転方向の同じ逆側に開口する穴部107d,107dにそれぞれ挿入されたピストン108は、穴部107dとの間に通路穴107eに連通する第2圧力室117をそれぞれ画成することになる。なお、第1圧力室116,116および第2圧力室117,117は作動油圧を受けない状態でも作動油で満たされている。
内側部材111は、内周側回転子本体109の内側に嵌合される円筒状のベース部119と、ベース部119の内周側の対向位置から中心側に突出する一対の突出部120,120とを有しており、突出部120,120には、それぞれ対向する穴部107cに挿入されたピストン108を当接させる壁面120aと、対向する穴部107dに挿入されたピストン108を当接させる壁面120bとが形成されている。すべてのピストン108,…,108は壁面120a,120bの対向するものに当接した状態では内周側回転子110に対して一体回転可能となる。
ここで、第4実施形態において、第1圧力室116,116に作動油を導入すると同時に第2圧力室117,117から作動油を排出させると、第2圧力室117,117を狭く第1圧力室116,116を広くすることになり、第1圧力室116,116を画成する回転方向において同じ一側に向く穴部107c,107cに設けられたピストン108,108が内周側回転子110の壁面120a,120aを押圧することになり、第2圧力室117,117を画成する回転方向において同じ逆側に向く穴部107d,107dに設けられたピストン108,108が内周側回転子111の壁面120b,120bの押圧を解除することになって、内周側回転子110を外周側回転子12に対して相対的に回動させる。このとき、例えば、外周側回転子12の永久磁石12aと内周側回転子110の永久磁石11bとが弱め界磁状態となる。
他方、第2圧力室117,117に作動油を導入すると同時に第1圧力室116,116から作動油を排出させると、第1圧力室116,116を狭く第2圧力室117,117を広くすることになり、第2圧力室117,117を画成する回転方向において同じ一側に向く穴部107d,107dに設けられたピストン108,108が内周側回転子110の壁面120b,120bを押圧することになり、第1圧力室116,116を画成する回転方向において同じ逆側に向く穴部107c,107cに設けられたピストン108,108が内周側回転子111の壁面120a,120aの押圧を解除することになって、内周側回転子110を外周側回転子12に対して相対的に上記とは逆に回動させる。これにより、例えば、外周側回転子12の永久磁石12aと内周側回転子110の永久磁石11aとが、上記弱め界磁状態に対し電気角の180°位相が変わって、強め界磁状態となる。このとき、外周側回転子12の永久磁石12aと内周側回転子110の永久磁石11aとが磁力で吸引し合うことになり、第2圧力室117,117に導入する作動油の圧力は弱め界磁状態に位相変更する場合に必要な圧力よりも低くて済み、場合によっては油圧を導入しなくても作動油の給排のみで済む。以上により、第1圧力室116,116および第2圧力室117,117への作動油の給排で内周側回転子110と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更することになる。ここで、第4実施形態においても、上記のような両限界端への位相の変更後は勿論、両限界端の中間位置で、図示略の油圧制御装置が、例えば、図示略の開閉弁の遮断で第1圧力室116,116および第2圧力室117,117からの作動油の給排を停止させることで、外周側回転子12および内周側回転子110はその時点での位相関係を維持することになる。
以上により、ハウジング107が、外周側回転子12に対して一体回転可能であって、外周側回転子12および外周側回転子12の駆動力が伝達される出力軸114に一体に設けられることになる。また、ピストン108が、内周側回転子110に対して一体回転可能に設けられるとともにハウジング107に形成された穴部107cあるいは穴部107dに挿入されて第1圧力室116あるいは第2圧力室117を内周側回転子110の内側に画成し、さらに内周側回転子110の壁面120aあるいは壁面120bに当接する。
以上に述べた第4実施形態においては、回動機構105が、外周側回転子12に対して一体回転可能に設けられたハウジング107と内周側回転子110に対して一体回転可能に設けられたピストン108,…,108とで内周側回転子110の内側に画成された第1圧力室116,116および第2圧力室117,117に対して、作動油を給排することによって、内周側回転子110と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更するものであるため、電動機10が複雑化することを抑制しつつ、容易かつ適切に、しかも所望のタイミングで誘起電圧定数を可変とすることができ、その結果、運転可能な回転数範囲およびトルク範囲を拡大し、運転効率を向上させると共に高効率での運転可能範囲を拡大することが可能となる。
さらに、第1圧力室116,116および第2圧力室117,117への作動油の供給量を制御することで内周側回転子110と外周側回転子12との間の相対的な位相を界磁弱め状態と界磁強め状態との間の電気角180°の範囲内で無段階に変更することができる。
加えて、ハウジング107と、ピストン108とが第1圧力室116,116および第2圧力室117,117を内周側回転子110の内側に画成するため、特に回転軸線方向の厚さの増大を抑えることができ、小型化が図れる。
また、ハウジング107とピストン108とで形成された第1圧力室116,116および第2圧力室117,117に対して作動油を給排すると、第1圧力室116,116を画成するピストン108,108が突出量を増大させたり、逆に第2圧力室117,117を画成するピストン108,108が突出量を増大させたりすることになる。その結果、ピストン108,…,108を壁面120a,120aあるいは壁面120b,120bに当接させる内周側回転子110と、一体に設けられたハウジング107、外周側回転子12および出力軸114との間の相対的な位相を変更することになる。このように回動機構105としてピストン108,…,108を有する簡素なアクチュエータを用いるため、電動機10が複雑化することを確実に抑制しつつ、容易かつ適切に、しかも所望のタイミングで誘起電圧定数を可変とすることができる。
なお、回動機構は、作動流体圧によって少なくとも内周側回転子11および外周側回転子12のいずれか一方を回転軸線周りに回動させるで内周側回転子11と外周側回転子12との間の相対的な位相を変更可能なものであれば他の種々のものを適用可能である。