JP2007241022A - 集束性レンズアレイの固定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成の複雑化を伴なうことなく集束性レンズアレイを所期の形状に矯正する。
【解決手段】固定前の集束性レンズアレイ20は、その中心線L1上の所定点Aが、当該集束線レンズアレイ20の両端面20aと中心線L1との各交点Cを通過する直線である基準線L0から離間した位置P1に変位した第1状態にある。工程1においては、基準線L0を挟んで位置P1とは反対側の位置P2に所定点Aが変位した第2状態となるように外力によって集束性レンズアレイ20を変形させる。工程2においては、集束性レンズアレイ20を第2状態に維持したままスペーサ部材31に固定する。工程3においては、外力を除去するとともに集束性レンズアレイ20を弾性的な復元力によって変形させることで中心線L1を基準線L0に接近させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機発光ダイオード素子などの発光素子による出射光を集束する集束性レンズアレイを固定する技術に関する。
多数の発光素子が配列された発光パネルを感光体の露光用のヘッド(以下「露光ヘッド」という)として採用した電子写真方式の画像形成装置が従来から提案されている。発光パネルと感光体との間隙には、各発光素子からの出射光を集束させる集束性レンズアレイが配置される。集束性レンズアレイは、各々の光軸を発光素子に向けた状態で配列する複数の屈折率分布型レンズを具備する。
集束性レンズアレイは、これが設置される段階において所期の形状(設計上の形状)とは相違する形状に変形している場合がある。このような変形を矯正することなく集束性レンズを設置した場合には、各発光素子と各屈折率分布型レンズとの相対的な位置に誤差が発生し、これによって出力画像の解像度が低下するという問題がある。この問題を解決するために、例えば特許文献1には、集束性レンズアレイを支持する支持部材に形成されたバネ部による押圧で集束性レンズアレイを所期の形状に矯正する構成が開示されている。
特許第3178625号公報
しかしながら、特許文献1の技術においては、バネ部の形成によって支持部材の構成が複雑化するから、支持部材の製造コストが増大するとともにバネ部の分だけ露光ヘッドが大型化するという問題がある。このような事情に鑑みて、本発明は、構成を複雑化することなく集束性レンズアレイを所期の形状に矯正するという課題の解決を目的としている。
本発明に係る固定方法は、複数の発光素子からの出射光を集束する複数のレンズ(例えば図3の屈折率分布型レンズ22)が配列された集束性レンズアレイを他の物体(以下「取付体」という)に固定する方法である。固定前の集束性レンズアレイは、所期の形状から変形した状態(以下「第1状態」という)にある。第1状態は、集束性レンズアレイの中心線(例えば図4の中心線L1)上の所定点(例えば図4の所定点A)が、当該集束性レンズアレイの両端面(例えば図4の端面20a)と中心線との各交点(例えば図4の交点C)を通過する直線である基準線(例えば図4の基準線L0)から離間した第1位置(例えば図4の位置P1)にある状態である。
本発明に係る固定方法は、第1状態にある集束性レンズアレイを、基準線を挟んで第1位置とは反対側の第2位置(例えば図4の位置P2)に所定点が変位した第2状態となるように外力によって変形させる第1過程(例えば図4の工程1)と、集束性レンズアレイを第2状態に維持したまま取付体に固定する第2過程(例えば図4の工程2)と、外力を除去するとともに集束性レンズアレイを弾性的な復元力によって変形させることで中心線を基準線に接近させる第3過程(例えば図4の工程3)とを含む。
以上の方法においては、基準線を挟んで第1状態の変形とは逆方向に変形させられた第2状態の集束性レンズアレイが取付体に固定され、外力の除去後に集束性レンズアレイが弾性的に復元することで最終的な集束性レンズアレイの形状(各レンズの位置)が決定されるから、集束性レンズアレイの矯正に専用される部材を要することなく、各レンズを高い精度で所期の位置に配列させることが可能である。もっとも、固定後に集束性レンズを押圧する部材が配置された構成に本発明を適用することを除外する趣旨ではない。
本発明の好適な態様に係る第1過程においては、集束性レンズアレイの側面(例えば図4の側面20b)に対向する複数の押圧体(例えば図4の押圧体511・512)の各々によって押圧することで集束性レンズアレイを第2状態に変形させる。この態様によれば、押圧体を適宜に操作することで、第1状態における形状に応じて集束性レンズアレイを多様な形状に変形させることが可能である。なお、この態様の具体例は第1実施形態として後述される。
また、第1過程においては、第2状態にある集束性レンズアレイの側面の形状に対応した曲面を有する治具(例えば図7の治具52)によって、曲面を側面に接触させた状態で当該側面を押圧することで、集束性レンズアレイを第2状態に変形させてもよい。この態様によれば、集束性レンズアレイを確実に第2状態に変形させるとともにその形状を安定的に維持することができる。なお、この態様の具体例は第3実施形態として後述される。
第1過程においては、例えば、第2位置と基準線との距離(例えば図4の距離Δ2)が、第1位置と基準線との距離(例えば図4の距離Δ1)に応じた距離となるように、集束性レンズアレイを変形させる。さらに好適には、第3過程にて中心線が基準線と合致するように集束性レンズアレイを変形させる。この態様によれば、集束性レンズアレイの各レンズを基準線の近傍(理想的には基準線上)に配列させることができる。
本発明の好適な態様においては、第1過程にて、第1状態における中心線の形状と複数の発光素子の配列の態様とに応じて、集束性レンズアレイを第2状態に変形させる。この態様によれば、例えば発光素子の位置に誤差がある場合であっても、各発光素子と集束性レンズアレイの各レンズとの相対的な位置関係を均一化することが可能である。なお、この態様の具体例は第4実施形態として後述される。
本発明の好適な態様において、取付体には、第2状態にある集束性レンズアレイの形状に対応した溝部(例えば図5および図6の溝部321)が形成され、第2過程では、集束性レンズアレイを第2状態に維持したまま溝部に嵌め込む。この態様によれば、集束性レンズアレイを取付体に対して強固に固定することができる。
なお、発光パネルの固定先となる取付体の性質や形状は任意である。本発明の好適な態様における取付体は、各発光素子と集束性レンズアレイとの間に介在する光透過性のスペーサ部材(図2のスペーサ部材31や図5のスペーサ部材32)である。この態様によれば、各発光素子と集束性レンズアレイとの間隙に光透過性のスペーサ部材が介在するから、発光パネルからの出射光のうち集束性レンズアレイに入射する光量の割合を増加させることが可能である。
なお、本発明の方法によって固定された集束性レンズアレイを具備する発光装置は各種の電子機器に利用される。電子機器の典型例は、発光装置を感光体ドラムなどの像担持体の露光に利用した画像形成装置である。この画像形成装置は、露光によって潜像が形成される像担持体(例えば図10の感光体ドラム70)と、本発明の固定方法によって製造された発光装置(例えば図1の露光ヘッドH)と、像担持体の潜像に対する現像剤(例えばトナー)の付着によって顕像を形成する現像器とを含む。もっとも、発光装置の用途は像担持体の露光に限定されない。例えば、スキャナなどの画像読取装置においては、本発明で製造された露光ヘッドを原稿の照明に利用することが可能である。この画像読取装置は、露光ヘッドと、露光ヘッドから出射して読取対象(原稿)で反射した光を電気信号に変換する受光装置(例えばCCD(Charge Coupled Device)素子などの受光素子)とを具備する。また、発光素子がマトリクス状に配列された発光装置は、各種の電子機器の表示装置として利用される。
<A:第1実施形態>
<A−1:露光ヘッドの構成>
まず、本発明に係る方法(集束性レンズアレイの固定方法)が適用される装置の具体例として露光ヘッド(ラインヘッド)を例示する。図1は、露光ヘッドを利用した電子写真方式の画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。同図に示すように、画像形成装置は、露光ヘッドHと感光体ドラム70とを含む。感光体ドラム70は、主走査方向に延在する回転軸に支持され、外周面を露光ヘッドHに対向させた状態で回転する。
図2は、図1のII−II線からみた断面図である。ただし、図1と図2とでは上下が逆転している。図1および図2に示すように、露光ヘッドHは、発光パネル10と集束性レンズアレイ20とスペーサ部材31とを含む。集束性レンズアレイ20は発光パネル10と感光体ドラム70との間隙に配置される。スペーサ部材31は発光パネル10と集束性レンズアレイ20との間隙に配置される。
図1および図2に示すように、発光パネル10は、主走査方向を長手とする姿勢に設置された長方形状の基板11を具備する。基板11は、ガラスやプラスチックといった適切な材料からなる光透過性の板材である。図2に示すように、基板11のうち感光体ドラム70とは反対側の表面には多数の発光素子Eが形成される。各発光素子Eは、電気エネルギの供給によって光学的な性状(輝度や透過率)が変化する要素である。本実施形態の発光素子Eは、有機EL(ElectroLuminescent)材料からなる発光層を陽極と陰極との間隙に介在させた有機発光ダイオード素子であり、発光層に供給される電流に応じた輝度に発光する。複数の発光素子Eは基板11の長手方向(主走査方向)に沿って2列かつ千鳥状に配列する。
基板11のうち各発光素子Eが形成された表面には封止体15が接合される。封止体15は、基板11と協働して各発光素子Eを封止(外気から遮断)する略長方形の板材である。これによって外気や水分の付着に起因した発光素子Eの劣化が抑制される。
集束性レンズアレイ20は、長手方向が主走査方向に沿った姿勢に配置される長尺状の部材であり、各発光素子Eからの出射光を集束させる手段として機能する。図3は、集束性レンズアレイ20の構造を示す斜視図である。同図に示すように、集束性レンズアレイ20は、複数の屈折率分布型レンズ22を含む。
各屈折率分布型レンズ22(グレーデッドインデックス光ファイバ)は、中心軸(光軸)から周縁に向かって離間した位置ほど屈折率が低くなるように横断面内にて屈折率が分布する円柱状の透明部材である。図3に示すように、複数の屈折率分布型レンズ22は、各々の中心軸を発光素子Eに向けた姿勢で、主走査方向(集束性レンズアレイの長手方向)に沿って2列かつ千鳥状に配列する。なお、発光素子Eや屈折率分布型レンズ22の配列のパターンは任意であり、例えば単列または3列以上であってもよいし他の適切なパターンであってもよい。集束性レンズアレイ24としては、例えば日本板硝子株式会社から入手できるSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。
スペーサ部材31は、ガラスやプラスチックといった光透過性の材料によって形成された板材である。スペーサ部材31は、基板11のうち各発光素子Eとは反対側の表面と集束性レンズアレイ20の入光面との間に介在して両者に接合される。スペーサ部材31と発光パネル10および集束性レンズアレイ20との接合には光透過性の接着剤が利用される。
各発光素子Eからの出射光は基板11とスペーサ部材31とを透過して集束性レンズアレイ20に入射し、各屈折率分布型レンズ22によって集光されたうえで感光体ドラム70の表面に到達する。これによって感光体ドラム70の表面には、発光パネル10上の像に対応した正立像が結像される。本実施形態においては発光パネル10と集束性レンズアレイ20との間隙にスペーサ部材31が介在するから、発光パネル10と集束性レンズアレイ20との間隙に空気のみが介在する構成と比較して、集束性レンズアレイ20に向かう各発光素子Eからの光束が狭まる。したがって、発光パネル10からの出射光のうち集束性レンズアレイ20に入射する光量の割合(光の利用効率)を増加させることができる。
<A−2:集束性レンズアレイ20の固定方法>
次に、図4を参照して、露光ヘッドHを製造する工程のうち集束性レンズアレイ20をスペーサ部材31に固定する手順について説明する。なお、図4においては、屈折率分布型レンズ22の図示が便宜的に省略され、各屈折率分布型レンズ22の中心軸の方向からみた集束性レンズアレイ20の外形のみが図示されている。
図4の部分(a)には、スペーサ部材31に固定される前の集束性レンズアレイ20が図示されている。同図に示すように、集束性レンズアレイ20の長手方向の任意の位置における幅方向の中点を相互に連結した線L1を以下では「中心線」と表記する。また、集束性レンズアレイ20の長手方向における両側の端面20aと中心線L1との各交点Cを通過する直線L0を以下では「基準線」と表記する。
図4の部分(a)に示すように、本実施形態にける固定前の集束性レンズアレイ20は、各屈折率分布型レンズ22の光軸に垂直な平面内にて湾曲した状態(以下「第1状態」という)にある。したがって、本来ならば中心線L1は基準線L0に合致した直線となるべき(すなわち各屈折率分布型レンズ22は基準線L0に沿って直線状に配列すべき)であるにも拘わらず、実際の中心線L1は弧状の曲線となる。すなわち、第1状態にある集束性レンズアレイにおいて各屈折率分布型レンズ22は直線状には配列しない。図4の部分(a)に示すように、中心線L1上の所定点(以下では集束性レンズアレイ20の長手方向における中点)は基準線L0から距離Δ1だけ離間した位置P1に変位している。
以上のように初期的に変形した集束性レンズアレイ20は以下の手順でスペーサ部材31に固定される。まず、図4の部分(b)に示すように、基準線L0を挟んで位置P1とは反対側の位置P2に所定点Aが変位した状態(以下「第2状態」という)となるように集束性レンズアレイ20が外力によって弾性的に変形させられる(工程1)。第2状態における所定点Aと基準線L0との距離Δ2は、第1状態における所定点Aと基準線L0との距離Δ1に応じて決定される。例えば、距離Δ1が大きいほど距離Δ2は大きい数値に設定される。図4の部分(b)には、第2状態における中心線L1が基準線L0に関して第1状態での中心線L1と線対称となるように(すなわち基準線L0に関して第1状態とは線対称な形状となるように)、集束性レンズアレイ20を変形させた場合(Δ1=Δ2)が例示されている。
本実施形態の工程1においては、治具51を利用した押圧によって集束性レンズアレイ20が変形させられる。図4の部分(b)に示すように、治具51は、集束性レンズアレイ20の長手方向に沿って配列する3組の支持対51Aを備える。ひとつの支持対51Aは、相互に間隔(集束性レンズアレイ20の幅寸法に略一致する間隔)をあけて対向する2個の押圧体511・512を含む。各支持対51Aの2個の押圧体511・512が集束性レンズアレイ20の側面20bに対向する(集束性レンズアレイ20を幅方向に挟む)ように第1状態の集束性レンズアレイ20が設置される。そして、少なくともひとつの支持対51Aを第1状態における中心線L1の態様に応じて集束性レンズアレイ20の幅方向に変位させることで、集束性レンズアレイ20は第2状態に矯正される。例えば図4の部分(b)においては、両端の各支持対51Aを固定したまま中央の支持対51Aを同図の下方に変位させた場合が例示されている。
工程1においては第1状態における変形の程度に応じて集束性レンズアレイ20が変形させられるから、工程1に先立って集束性レンズアレイ20の変形の態様(中心線L1の形状)が特定される。第1状態における中心線L1の形状は、例えば、ダイヤメータなどの計測器を利用した計測や各種の顕微鏡を利用した観察によって特定される。そして、ここで特定された中心線L1の形状に応じて、工程1で集束性レンズアレイ20を如何に変形させるか(より具体的には変形量Δ2)が決定される。
以上の工程1に続き、図4の部分(c)に示すように、治具51(押圧体511・512)による押圧によって集束性レンズアレイ20が第2状態に維持されたまま、集束性レンズアレイ20とスペーサ部材31とが接着剤によって接合される(工程2)。集束性レンズアレイ20は、接着剤が硬化するまで、治具51による押圧によって第2状態に維持される。
接着剤が硬化して集束性レンズアレイ20とスペーサ部材31とが接合されると、図4の部分(d)に示すように、治具51による押圧が解除される(工程3)。以上のように外力が除去されると、集束性レンズアレイ20は、第2状態における形状から第1状態における形状に近づくように弾性的な復元力によって変形していく。すなわち中心線L1は基準線L0に接近していく。ただし、この段階において集束性レンズアレイ20にはスペーサ部材31が接合されているから、集束性レンズアレイ20の形状が第1状態まで変形することはない。集束性レンズアレイ20は弾性力による復元によって第1状態の形状に近づき、スペーサ部材31は集束性レンズアレイ20から作用する力によって弾性的に変形する。したがって、図4の部分(d)に示すように、集束性レンズアレイ20の応力とスペーサ部材31の応力とが釣り合った段階で両者の変形は停止する。この結果として集束性レンズアレイ20は第1状態と第2状態との中間の形状に維持される。
工程3においては、中心線L1と基準線L0とが合致した段階(複数の屈折率分布型レンズ22が直線状に配列した段階)で集束性レンズアレイ20の変形が停止することが理想的である。工程3で集束性レンズアレイ20が変形する程度は工程1における集束性レンズアレイ20の変形の程度(変形量Δ2)に応じて変化する。例えば、工程1での変形量Δ2が大きいほど第2状態に近い時点で集束性レンズアレイ20の変形が停止する。したがって、工程1における変形の程度は、工程3において中心線L1と基準線L0とが合致した時点で変形が停止するように実験的または統計的に決定される。
以上の手順によって集束性レンズアレイ20がスペーサ部材31に固定されると、スペーサ部材31のうち集束性レンズアレイ20とは反対側の表面と接触するように発光パネル10が固定される。ただし、発光パネル10をスペーサ部材31に接合してから集束性レンズアレイ20をスペーサ部材31に固定してもよい。
以上に説明したように、本実施形態においては、基準線L0を挟んで第1状態とは逆方向に変形させられた第2状態の集束性レンズアレイ20がスペーサ部材31に固定され、外力の除去後に集束性レンズアレイ20の形状が弾性的に復元することで各屈折率分布型レンズ22の位置が決定される。この方法によれば、集束性レンズアレイ20の矯正に専用される部材を露光ヘッドHに形成することなく各屈折率分布型レンズ22を高い精度で所期の位置(基準線L0上)に配列させることが可能である。
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る露光ヘッドHの構成を説明する。なお、以下の各形態のうち第1実施形態と共通する要素については以上と同様の符号を付してその詳細な説明を適宜に省略する。
図5は、本実施形態に係る露光ヘッドHの構成を示す断面図(図2に対応する断面図)である。図5に示すように、発光パネル10と集束性レンズアレイ20との間隙にはスペーサ部材32が介在する。図6は、集束性レンズアレイ20が固定される前のスペーサ部材32の構成を示す平面図である。図5および図6に示すように、スペーサ部材32のうち集束性レンズアレイ20に対向する表面には、集束性レンズアレイ20の外形(底面の形状)に対応した形状の溝部321が形成される。
本実施形態における集束性レンズアレイ20は、工程1にて第1実施形態と同様の第2状態(図4の部分(b)に図示された形状)に変形させられる。図6においては、第2状態にある集束性レンズアレイ20の外形が二点差線によって図示されている。図6に示すように、集束性レンズアレイ20の固定前におけるスペーサ部材32の溝部321は、第2状態にある集束性レンズアレイ20が僅かな間隔をあけて嵌まり込む形状となっている。すなわち、溝部321の平面的な形状は第2状態にある集束性レンズアレイ20の形状と相似(略同形状)である。
工程2においては、溝部321の内側に接着剤が塗布されたうえで、治具51によって第2状態に維持された集束性レンズアレイ20が溝部321に嵌め込まれる。なお、第1状態における集束性レンズアレイ20の形状は製造時の条件や各部の特性のバラツキに応じて区々であるから、第2状態にある集束性レンズアレイ20の形状も個体ごとに相違する。したがって、複数の露光ヘッドHを作成する場合には、各々の溝部321の形状が相違する複数種のスペーサ部材32が予め用意され、第1状態(または第2形状)における集束性レンズアレイ20の形状に応じて選択されたスペーサ部材32が工程2に使用される。もっとも、第1状態における形状が複数の集束性レンズアレイ20について略一定であれば、ひとつのスペーサ部材32を作成しておけば足りる。
接着剤の硬化後の工程3においては、治具51による加圧が第1実施形態と同様に解除される。この外力の解放によって集束性レンズアレイ20は弾性的な復元によって第1状態の形状に近づき、スペーサ部材32は集束性レンズアレイ20から作用する力によって弾性的に変形する。したがって、図4の部分(d)に示したように、集束性レンズアレイ20の応力とスペーサ部材32の応力とが釣り合った段階で両者の変形は停止する。本実施形態において、工程1における変形の程度(変形量Δ2)は、工程3において中心線L1と基準線L0とが合致するように実験的または統計的に決定される。
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果が奏される。さらに、本実施形態においては集束性レンズアレイ20がスペーサ部材32の溝部321に嵌め込まれるから、集束性レンズアレイ20とスペーサ部材32との相対的な位置関係を容易かつ強固に確定することが可能である。また、工程3で集束性レンズアレイ20およびスペーサ部材32が変形するときに両者の接合が破損する可能性を低減することができる。
<C:第3実施形態>
以上の各形態においては複数の押圧体511・512によって集束性レンズアレイ20が変形させられる構成を例示したが、集束性レンズアレイ20に外力を作用させる方法や構成は、以下に例示するように適宜に変更される。
図7は、本実施形態の工程1で使用される治具52の構成を示す平面図である。治具52は、相互に対向する第1部材521と第2部材522とを含む。第1部材521および第2部材522は、両者が接近・離間する方向に移動可能である。工程1において集束性レンズアレイ20は第1部材521と第2部材522との間隙に配置される。
図7に示すように、第1部材521における第2部材522との対向面S1および第2部材522における第1部材521との対向面S2は、工程1にて集束性レンズアレイ20を変形させるべき形状に対応した曲面となっている。すなわち、第1部材521の対向面S1は、第2状態に変形したときの集束性レンズアレイ20のひとつの側面20bの形状に対応した凸面となっている。また、第2部材522の対向面S2は、第2状態に変形したときの集束性レンズアレイ20の他方の側面20bの形状に対応した凹面となっている。
工程1においては、第1部材521と第2部材522とを各側面20bに接触させた状態で両者を接近させることで集束性レンズアレイ20を押圧する。この加圧によって、集束性レンズアレイ20は、図7に示すように、第1部材521の対向面S1と第2部材522の対向面S2とに沿った形状(第2状態)に変形する。工程2および工程3の内容は第1実施形態や第2実施形態と同様である。
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果が奏される。さらに、本実施形態においては、第1部材521と第2部材522とを面接触させた状態で集束性レンズアレイ20を変形させるから、工程1および工程2において集束性レンズアレイ20の形状を安定的に第2状態に維持することが可能である。
<D:第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図8の部分(a)は、本実施形態の発光パネル10において各発光素子Eが配列する様子を示す概念図である。なお、実際には各発光素子Eは2列に配列されるが、ここでは説明の便宜のために1列のみが図示されている。
以上の各形態においては各発光素子Eが直線状に配列する場合を想定した。しかしながら、発光パネル10の構造上の理由(例えば発光パネル10を構成する要素の非対称性)や製造技術上の理由から、実際には、図8の部分(a)に示すように各発光素子Eが所期の位置からズレた位置に配置される場合がある。図8においては、複数の発光素子Eの配列のうち区間T1の各発光素子Eが所期の位置(直線L2上)から離間した位置にある場合が想定されている。
いま、図8の部分(b)に示すように、集束性レンズアレイ20が第1状態において図面の下方に湾曲している場合を想定する。図8の部分(c)に破線で示されるように、工程1にて集束性レンズアレイ20を第1状態とは反対側に湾曲した形状となるように変形させれば、以上の各形態にて説明したように集束性レンズアレイ20を直線状に矯正する(各屈折率分布型レンズ22を基準線L0上に配列させる)ことが可能である。しかしながら、図8の部分(a)のように区間T1の各発光素子Eが直線状に配列していないにも拘わらず各屈折率分布型レンズ22を直線状に配列した場合には、各発光素子Eと各屈折率分布型レンズ22との位置関係が区間T1とそれ以外の区間とで相違し、この結果として出力画像にムラが発生する可能性がある。
以上の問題を解消するために、本実施形態の工程1においては、第1状態での中心線L1の形状と複数の発光素子Eの配列の態様とに応じて集束性レンズアレイ20を変形させる。すなわち、図8の部分(c)に実線で示されるように、工程1においては、第1状態での中心線L1に応じた変形に加え、集束性レンズアレイ20を各発光素子Eの位置の誤差に応じた距離だけ変形させる。例えば、各発光素子Eが図8の部分(a)のように配列する場合には、集束性レンズアレイ20のうち区間T1に対応する部分を、第1状態に応じて決定された形状(図8の部分(c)の破線)から、さらに当該区間T1の各発光素子Eの位置の誤差の大小に応じて変位させた形状(第2状態)に変形させる。
以上に説明した形態によれば、固定後の集束性レンズアレイ20が発光素子Eの配列に応じた形状に維持されるから、発光素子Eの位置に初期的な誤差がある場合であっても、各発光素子Eと各屈折率分布型レンズ22との相対的な位置関係は露光ヘッドHの主走査方向に沿った全域にわたって均一化される。したがって、各発光素子Eと各屈折率分布型レンズ22との位置関係の相違に起因した画像のムラを抑制することができる。
<E:第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、以上の各形態に説明した方法を装置(露光ヘッドHの製造装置)として実現した形態である。
図9は、本実施形態に係る製造装置Dの構成を示すブロック図である。入力部81は、第1状態にある集束性レンズアレイ20の変形の程度を入力する手段である。本実施形態の入力部81は、作業者が変位量Δ1の入力のために操作する操作子である。記憶部82は、入力部81から入力され得る複数の変位量Δ1と工程1で集束性レンズアレイ20の変形の目標となる変位量Δ2とを対応付けて記憶する手段である。
図9の制御部83は、入力部81から入力された変位量Δ1に対応付けられた変位量Δ2を記憶部82から読み出し、この変位量Δ2に応じて治具51(あるいは第3実施形態の治具52)を制御する手段である。すなわち、制御部83は、所定点Aと基準線L0との距離が、記憶部82から読み出した変位量Δ2となるように、各押圧体511・512(第3実施形態においては第1部材521および第2部材522)を駆動する。作業者は、以上の制御によって第2状態とされた集束性レンズアレイ20にスペーサ部材31を接合する。
以上のように、本実施形態においては、制御部83による制御によって集束性レンズアレイ20が第2状態に変形するから、変位量Δ1を測定した結果に応じて治具51を操作するといった煩雑な作業は不要である。また、集束性レンズアレイ20の形状(各屈折率分布型レンズ22の位置)が均一化された複数の露光ヘッドHを作業者の熟練の程度に拘わらず作成することが可能となる。
なお、本実施形態を第2実施形態に適用する場合には、各々の溝部321の形状が相違する複数のスペーサ部材32のうち変位量Δ1に応じたスペーサ部材32を、制御部83が作業者に指示する構成も採用される。また、複数のスペーサ部材32の何れかを選択して治具51まで搬送する搬送機構に対し、制御部83が、変位量Δ1に応じたスペーサ部材32を指示する構成としてもよい。
<F:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)変形例1
以上の各形態においては集束性レンズアレイ20がスペーサ部材31に固定される構成を例示したが、集束性レンズアレイ20の取付先は適宜に変更される。例えば、集束性レンズアレイ20が発光パネル10の基板11(トップエミッション型の発光パネル10にあっては封止体15)に固定される構成の露光ヘッドHにも以上の各形態を適用することが可能である。また、例えば集束性レンズアレイ20と感光体ドラム70との間隙に光透過性の部材が介挿された構成においては、この部材に集束性レンズアレイ20を固定してもよい。
(2)変形例2
以上の各形態においては、各屈折率分布型レンズ22の光軸に垂直な平面内にて集束性レンズアレイ20が変形する場合を例示したが、集束性レンズアレイ20が変形する方向は任意である。例えば、各屈折率分布型レンズ22の光軸に平行な平面内にて集束性レンズアレイ20が変形する場合にも以上の各形態と同様の方法が採用される。
(3)変形例3
以上の各形態においては発光素子Eとして有機発光ダイオード素子を例示したが、これ以外の発光素子Eを利用した発光パネルにも本発明は適用される。例えば、無機EL材料からなる発光層を含む発光素子Eや発光ダイオード素子、電界放出(FE:Field Emission)素子、表面導電型電子放出(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子など様々な発光素子Eを備えた発光パネルに本発明を適用することができる。
<G:応用例>
次に、以上の各形態に係る露光ヘッドHを利用した画像形成装置の構成を説明する。
図10は、以上の各形態に係る露光ヘッドHを採用した画像形成装置の構成を示す断面図である。画像形成装置は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であり、以上の形態に係る4個の露光ヘッドH(HK,HC,HM,HY)と、各露光ヘッドHに対応する4個の感光体ドラム70(70K,70C,70M,70Y)とを具備する。ひとつの露光ヘッドHは、これに対応した感光体ドラム70の像形成面(外周面)と対向するように配置される。なお、各符号の添字「K」「C」「M」「Y」は、黒(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各顕像の形成に利用されることを意味している。
図10に示すように、駆動ローラ711と従動ローラ712とには無端の中間転写ベルト72が巻回される。4個の感光体ドラム70は、相互に所定の間隔をあけて中間転写ベルト72の周囲に配置される。各感光体ドラム70は、中間転写ベルト72の駆動に同期して回転する。
各感光体ドラム70の周囲には、露光ヘッドHのほかにコロナ帯電器731(731K,731C,731M,731Y)と現像器732(732K,732C,732M,732Y)とが配置される。コロナ帯電器731は、これに対応する感光体ドラム70の像形成面を一様に帯電させる。この帯電した像形成面を各露光ヘッドHが露光することで静電潜像が形成される。各現像器732は、静電潜像に現像剤(トナー)を付着させることで感光体ドラム70に顕像(可視像)を形成する。
以上のように感光体ドラム70に形成された各色(黒・シアン・マゼンタ・イエロー)の顕像が中間転写ベルト72の表面に順次に転写(一次転写)されることでフルカラーの顕像が形成される。中間転写ベルト72の内側には4個の一次転写コロトロン(転写器)74(74K,74C,74M,74Y)が配置される。各一次転写コロトロン74は、これに対応する感光体ドラム70から顕像を静電的に吸引することによって、感光体ドラム70と一次転写コロトロン74との間隙を通過する中間転写ベルト72に顕像を転写する。
シート(記録材)75は、ピックアップローラ761によって給紙カセット762から1枚ずつ給送され、中間転写ベルト72と二次転写ローラ77との間のニップに搬送される。中間転写ベルト72の表面に形成されたフルカラーの顕像は、二次転写ローラ77によってシート75の片面に転写(二次転写)され、定着ローラ対78を通過することでシート75に定着される。排紙ローラ対79は、以上の工程を経て顕像が定着されたシート75を排出する。
以上に例示した画像形成装置は有機発光ダイオード素子を光源(露光手段)として利用しているので、レーザ走査光学系を利用した構成よりも装置が小型化される。なお、以上に例示した以外の構成の画像形成装置にも露光ヘッドHを適用することができる。例えば、ロータリ現像式の画像形成装置や、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置、あるいはモノクロの画像を形成する画像形成装置にも露光ヘッドHを利用することが可能である。
なお、露光ヘッドHの用途は像担持体の露光に限定されない。例えば、露光ヘッドHは、原稿などの読取対象に光を照射する照明装置として画像読取装置に採用される。この種の画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファクシミリの読取部分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元画像コードを読む二次元画像コードリーダがある。
また、本発明の方法によって固定された発光パネルを具備する発光装置は、各種の電子機器の表示装置としても利用される。この電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
第1実施形態に係る画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。 図1におけるII−II線からみた断面図である。 集束性レンズアレイの構造を示す斜視図である。 集束性レンズアレイを固定する方法を説明するための概念図である。 第2実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す断面図である。 スペーサ部材の構成を示す平面図である。 第3実施形態に係る治具の構成を示す平面図である。 第4実施形態における集束性レンズアレイの変形の態様を説明するための概念図である。 発光パネルを固定する装置の構成を説明するブロック図である。 画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
符号の説明
H……露光ヘッド、E……発光素子、10……発光パネル、11……基板、15……封止体、20……集束性レンズアレイ、20a……端面、20b……側面、22……屈折率分布型レンズ22、31,32……スペーサ部材、321……溝部、70……感光体ドラム、51,52……治具、511,512……押圧体、L0……基準線、L1……中心線、D……製造装置、81……入力部、82……記憶部、83……制御部。

Claims (8)

  1. 複数の発光素子からの出射光を集束する複数のレンズが配列された集束性レンズアレイを取付体に固定する方法であって、
    前記集束性レンズアレイの中心線上の所定点が、当該集束性レンズアレイの両端面と前記中心線との各交点を通過する直線である基準線から離間した第1位置にある第1状態の前記集束性レンズアレイを、前記基準線を挟んで前記第1位置とは反対側の第2位置に前記所定点が変位した第2状態となるように外力によって変形させる第1過程と、
    前記集束性レンズアレイを前記第2状態に維持したまま前記取付体に固定する第2過程と、
    前記外力を除去するとともに前記集束性レンズアレイを弾性的な復元力によって変形させることで前記中心線を前記基準線に接近させる第3過程と
    を有する集束性レンズアレイの固定方法。
  2. 前記第1過程においては、前記集束性レンズアレイの側面に対向する複数の押圧体の各々によって押圧することで前記集束性レンズアレイを変形させる
    請求項1に記載の集束性レンズアレイの固定方法。
  3. 前記第1過程においては、前記第2状態にある前記集束性レンズアレイの側面の形状に対応した曲面を有する治具によって、前記曲面を前記側面に接触させた状態で当該側面を押圧することで当該集束性レンズアレイを変形させる
    請求項1に記載の集束性レンズアレイの固定方法。
  4. 前記第1過程においては、前記第2位置と前記基準線との距離が、前記第1位置と前記基準線との距離に応じた距離となるように、前記集束性レンズアレイを前記第2状態に変形させる
    請求項1から請求項3の何れかに記載の集束性レンズアレイの固定方法。
  5. 前記第1過程においては、前記第1状態における前記中心線の形状と前記複数の発光素子の配列の態様とに応じて、前記集束性レンズアレイを前記第2状態に変形させる
    請求項1から請求項4の何れかに記載の集束性レンズアレイの固定方法。
  6. 前記第3過程においては、前記中心線が前記基準線と合致するように前記集束性レンズアレイを変形させる
    請求項1から請求項5の何れかに記載の集束性レンズアレイの固定方法。
  7. 前記取付体には、前記第2状態にある前記集束性レンズアレイの形状に対応した溝部が形成され、
    前記第2過程では、前記集束性レンズアレイを前記第2状態に維持したまま前記溝部に嵌め込む
    請求項1から請求項6の何れかに記載の集束性レンズアレイの固定方法。
  8. 前記取付体は、各発光素子と前記集束性レンズアレイとの間に介在する光透過性の部材である
    請求項1から請求項7の何れかに記載の集束性レンズアレイの固定方法。


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