JP2007237575A - 電気光学装置、画像形成装置および電気光学装置の製造方法 - Google Patents

電気光学装置、画像形成装置および電気光学装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気光学装置と像担持体との位置関係を容易に調整する。
【解決手段】電気光学装置Dは、複数の電気光学素子Pが配列された電気光学パネル10と、集束性レンズアレイ20と、両者の間に介在して接触するガラススペーサ60とを備える。電気光学装置Dは、さらに、電気光学パネル10を支持する支持体40と、電気光学パネル10の基板11と支持体40との双方に接合されるスペーサ30とを備える。支持体40は、像担持体を所定の位置において保持する基準面Bに固定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機発光ダイオード素子などの電気光学素子が配列された電気光学パネルを有する電気光学装置、電気光学装置の製造方法、電気光学装置を用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置として、感光体ドラム等の像担持体と、この像担持体の感光面に電気光学素子から光を照射して潜像を形成する電気光学装置とを有するものがある。この電気光学装置は、複数の電気光学素子が配列された基板が像担持体の感光面(受光面)と対向するよう配置される。電気光学装置の基板と像担持体との距離(すなわち、電気光学素子から受光面までの距離)を調整する様々な技術が従来から提案されている。例えば、特許文献1には、感光ドラムの支持台と発光素子を支持するホルダとの位置関係を、ネジにより調整する技術が開示されている。
特許第3178623号公報
ところが、従来の技術では、電気光学装置および像担持体の設置後に、その設置の作業とは別個に、両者の相対的な位置関係を調整するという煩雑な作業が必要であるという問題があった。また、調整用のネジやこれが挿入されるホルダのネジ穴などが必要となるから、部品点数が増加するとともに構造が複雑化するという問題もある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、より簡易な構成によって電気光学装置と像担持体との位置関係の調整を簡単に行うことを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、電気エネルギに応じて光を出射する複数の電気光学素子が基板上に配列された電気光学パネルと、電気光学パネルを支持する支持体であって、基板における電気光学素子の配列面に垂直な方向に沿って基板に対向する対向面を含む支持体と、対向面と基板との間に介在して対向面と基板の表面とに接触するスペーサとを備える。本発明の電気光学装置によれば、スペーサが支持体と基板とに接触するから、支持体の対向面と基板との表面はスペーサの寸法に応じて規定される。したがって、スペーサの寸法を適宜に選定すれば、スペーサを配置した段階で支持体と基板との距離を所期値に設定することが可能である。したがって、調整が簡単である。理想的には、電気光学装置の組立後に支持体と基板との相対的な位置関係の調整を不要とすることができる。また、ネジやこれが挿入されるホルダのネジ穴などが不要なので、簡易な構成で最適な位置関係が実現される。
ここで、「電気光学素子」とは、電気エネルギの付与(例えば電流の供給や電圧の印加)によって輝度や透過率といった光学的な特性が変化する素子を意味する。電気光学素子としては、電気エネルギの付与によって自身が発光する発光素子(例えばエレクトロルミネセント素子やプラズマディスプレイ素子)、および、電気エネルギの付与によって透過率が変化する光変調素子(例えば液晶素子や電気泳動素子)がある。
上記電気光学装置の好ましい態様においては、スペーサは基板と支持体とに接合されてもよい。この構成によれば、スペーサが基板と支持体とに接合されない構成(例えばスペーサ以外の要素によって両者が固定される構成)と比較して、その固定を強固にすることが可能になる。
別の好ましい態様において、上記電気光学装置は、電気光学パネルからの出射光を集束させる集束性レンズを有する。この態様においては、電気光学パネルからの出射光の利用効率を集束性レンズによって向上させることができる。また、集束性レンズが電気光学パネルに固定された構成とすれば、集束性レンズの位置(より具体的には集束性レンズと被照射体との位置関係)がスペーサによって定まるので、調整が簡単である。理想的には、集束性レンズの位置の調整を不要とすることができる。
好ましくは、上記電気光学装置は、電気光学パネルと集束性レンズとの間に介在して双方に接触する光透過性の部材(例えば図2のガラススペーサ60)を有するようにしてもよい。この構成によれば、電気光学パネルと集束性レンズアレイとの距離が両者間の部材の寸法に応じて規定されるので、電気光学装置の製造段階において両者の相対的な位置関係を調整する工程が簡素化される。また、両者間に空気のみが介在する構成と比較して各電気光学素子からの光束の幅が狭まるので、光の利用効率が向上する。
さらに別の好ましい態様において、スペーサは、基板における電気光学素子の配列面に垂直な方向を厚さ方向として配置された板状(層状)の部材であってもよい。この場合、板状の部材は、異なる厚さの部材を複数重ね合わせることにより形成してもよいし、ある程度の厚みを有する部材を研磨して形成するようにしてもよい。この態様によれば、厚みが均一な板状の部材をスペーサとして用いることで、電気光学パネルを支持体の対向面に対して平行な状態に維持することが可能になる。
別の好ましい態様において、スペーサは、基板と支持体とを接合する接着剤に分散されたギャップ材であってもよい。このギャップ材は、球状、角材状、板状、棒状のいずれであってもよい。この態様によれば、基板と支持体とを接着すると同時に基板と支持体との距離を調整することが可能である。また、基板または支持体に対する接着剤の塗布によって両者間にギャップ材が配置されるから、板状のスペーサを基板と支持体との間隙に配置する場合と比較してスペーサの取扱いが容易となる。
好ましい態様において、スペーサは、電気光学素子の配列面に垂直な方向からみて複数の電気光学素子を囲む枠状の部材である。この構成によれば、内縁に沿って電気光学パネルが均一に保持されるので、経年変化により電気光学パネルが撓むといった事態も予防することができる。
他の態様において、スペーサは、電気光学素子の配列面に垂直な方向からみて複数の電気光学素子を囲む領域に相互に離間して配置された複数の部分を含む。この構成によれば、スペーサを枠状に加工するといった工程を省くことができる。また、電気光学パネルの大きさが異なる複数の電気光学装置間でも共通の部材として用いることが可能になる。つまり、スペーサの部材の汎用性が向上する。
なお、本発明に係る電気光学装置は各種の電子機器に利用される。電子機器の典型例は、電気光学装置を感光体ドラムなどの像担持体の露光に利用した画像形成装置である。この画像形成装置は、像担持体と、像担持体を帯電する帯電器と、像担持体の帯電された面に各電気光学素子からの出射光を照射して潜像を形成する電気光学装置と、潜像に対する現像剤の付着によって像担持体に顕像を形成する現像器と、顕像を像担持体から他の物体に転写する転写器とを備える。もっとも、電気光学装置の用途は露光に限定されない。例えば、スキャナなどの画像読取装置においては、本発明に係る電気光学装置を原稿の照明に利用することが可能である。この画像読取装置は、本発明の電気光学装置と、電気光学装置から出射して読取対象(原稿)で反射した光を電気信号に変換する受光装置(例えばCCD(Charge Coupled Device)素子などの受光素子)とを具備する。また、電気光学素子がマトリクス状に配列された電気光学装置は、各種の電子機器の表示装置として利用される。
本発明は、電気光学装置の製造方法としても特定される。この製造方法は、電気エネルギに応じた光を出射する複数の電気光学素子が基板上に配列された電気光学パネルと、基板のうち電気光学素子の配列面に垂直な方向に沿って基板に対向する対向面を含む支持体と、電気光学パネルに固定されて各電気光学素子からの出射光を集束させる集束性レンズとを含む電気光学装置を製造する方法であって、集束性レンズの作動距離を特定する第1工程と、作動距離に対応した寸法のスペーサを用意する第2工程と、作動距離に対応した寸法の方向が配列面に垂直な方向となるように支持体と基板との間にスペーサを配置し、スペーサが対向面と基板の表面とに接触した状態で電気光学パネルを支持体に固定する第3工程とを含む。この製造方法によれば、集束性レンズの作動距離に応じた寸法のスペーサが用意されて支持体と基板との間に配置されるので、スペーサを配置する第3工程において基板と支持体との距離、ひいては集束性レンズと被照射体との距離を所期値に調整することができる。したがって、電気光学装置の各部の位置の調整が簡素化され、製造工程の煩雑さが軽減される。理想的には、電気光学装置の組立後に位置の調整を不要とすることができる。また、各部の位置を調整するネジやネジ穴等といった部品が不要なので、より簡素化された製造工程が実現される。
上記製造方法の好ましい態様において、電気光学パネルおよび集束性レンズの双方に接触するように光透過性の部材を両者の間隙に配置する工程を含むようにしてもよい。適切な厚さの光透過性の部材を配置することにより、電気光学パネルと集束性パネルとの距離を簡易かつ高精度に所期値に定めることができる。また、電気光学パネルからの出射光の利用効率が向上する。
また、本発明は、電気エネルギに応じた光を出射する複数の電気光学素子が基板上に配列された電気光学パネルと、基板のうち電気光学素子の配列面に垂直な方向に沿って基板に対向する対向面を含む支持体とを含む電気光学装置の製造方法としても特定される。この電気光学装置の製造方法は、配列面に垂直な方向における電気光学パネルの目標位置を特定する第1工程と、目標位置に対応した寸法のスペーサを用意する第2工程と、目標位置に対応した寸法の方向が配列面に垂直な方向となるように支持体と基板との間にスペーサを配置し、スペーサが対向面と基板の表面とに接触した状態で電気光学パネルを支持体に固定する第3工程とを含む。この製造方法によれば、電気光学パネルの目標位置に応じた寸法のスペーサが電気光学装置と支持体との間に介在するから、電気光学パネルを、その組み立て段階において最適な位置に配置することが可能になる。
ところで、電気光学素子と被照射体(例えば画像形成装置における像担持体や画像読取装置における原稿)との最適な距離は、電気光学素子の特性に応じて定まる。そこで、上記製造方法の第1工程においては、各電気光学素子からの出射光が到達する被照射体と各電気光学素子との距離の目標値を特定し、第2工程においては、目標値に対応した寸法のスペーサを用意してもよい。この態様によれば、電気光学素子と被照射体との距離をスペーサの寸法に応じて容易に最適化することが可能である。
また、スペーサは基板と支持体との距離を規定するから、上記第1工程においては、基板の表面と支持体の対向面との距離の目標値を特定するようにしてもよい。そして、第2工程においては、目標値に対応した寸法のスペーサを用意する。
<電気光学装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る電気光学装置Dと周辺装置の構成を示す側面図である。この電気光学装置Dは、電子写真方式を利用した画像形成装置においてライン型の光ヘッドとして用いられ、像担持体である感光体ドラム50に光を照射して潜像を形成するための装置である。図1に示すように、感光体ドラム50における長手方向の両端から突出する回転軸51は軸受52a,52bに支持される。軸受52aおよび52bは、基端部が画像形成装置の筐体の特定の面(以下「基準面」という)Bに固定された支持棒53a,53bの先端部に設置される。この構成によって、感光体ドラム50は、電気光学装置Dの出光面(あるいは基準面B)に対して平行な姿勢を維持したまま回転するように、基準面Bから所定の距離だけ離間した位置に支持される。
図2は、図1に示す電気光学装置Dの構成を示す分解斜視図である。図2に示されるように、電気光学装置Dは、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20とガラススペーサ60とを備える。集束性レンズアレイ20は感光体ドラム50と電気光学パネル10との間隙に配置される。ガラススペーサ60は集束性レンズアレイ20と電気光学パネル10との間隙に配置される。
図3は、電気光学パネル10の平面図であり、図4は図1および図2のIV−IV線矢視断面図である。図3および図4に示されるように、電気光学パネル10には、基板11の一方の表面(以下、「配列面101」という)に、複数の電気光学素子Pが2列かつ千鳥状に配列されている。電気光学素子Pは、電気的な作用に応じて発光特性が変化する発光素子である。本実施形態の電気光学素子Pは、有機EL(Electro Luminescence)材料から形成された発光層とこの発光層を挟む陽極および陰極とを有する有機発光ダイオード素子であり、発光層に供給される電流に応じた輝度で発光する。
集束性レンズアレイ20は、棒状(直柱状)で中心軸から周辺方向に屈折率分布を有する集束性レンズ(屈折率分布型レンズ)が複数配列されたものである。各集束性レンズは、電気光学パネル10から進行する光を透過させて電気光学パネル10上の像に対する正立像を感光体ドラム50の表面に結像可能である。集束性レンズアレイ20としては、例えば、日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック\SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。
ガラススペーサ60は、例えば、ガラスなどの光透過性の部材であり、電気光学パネル10から出射される光を透過させる。図2および図4に示されるように、ガラススペーサ60は、その長辺および短辺の大きさが電気光学パネル10の基板11上に配列された複数の電気光学素子P全体を覆う寸法を有し、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20とに接触している。具体的には、ガラススペーサ60は、基板11における電気光学素子Pの配列面101(集束性レンズアレイ20に対向する面)と接触し、集束性レンズアレイ20における入光面201(電気光学パネル10に対向する面)と接触している。つまり、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との相対的な位置(電気光学素子Pと集束性レンズアレイの入光面201との距離)は、図4に示すようにガラススペーサ60の厚さd1によって規定される(以下、「厚さ」とは、基板11における電気光学素子Pの配列面101に対して垂直な方向における寸法である)。したがって、ガラススペーサ60の厚さd1は、電気光学パネル10上の像が集束性レンズアレイ20に対してほぼ焦点整合状態となるように、集束性レンズアレイ20の電気光学パネル10側の作動距離Lとガラススペーサ60の屈折率とに応じて決定される。
ここで、電気光学パネル10上の像が集束性レンズアレイ20に対して焦点整合状態となる距離(図1:作動距離L)、および集束性レンズアレイ20上の像が感光体ドラム50に対して焦点整合状態となる距離(作動距離L)は、集束性レンズの屈折率分布特性に応じて定まる。しかしながら、本実施形態のように、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20の入光面201との間にガラススペーサ60を介在させる場合には、電気光学素子Pからの出射光はガラススペーサ60の屈折率にも影響を受けるので、その屈折率を考慮に入れて電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間隔(つまり、ガラススペーサ60の厚みd1)を定める。
以上のように、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間にガラススペーサ60が介在する構成によれば、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間に空気のみが介在する構成と比較して、電気光学素子Pからの出射光の光束の幅が狭まる。よって、電気光学パネル10からの出射光のうち集束性レンズアレイ20に入射する光量の割合(光の利用効率)を増加させることができる。
図2および図4に示すように、電気光学装置Dは、支持体40とスペーサ30とをさらに備える。支持体40は、基準面Bに対して平行な長方形の板状の部分である上面部41と、上面部41の周縁から基準面Bに向けて垂直に伸びる枠状の側面部42とが一体に形成された部材であり、電気光学装置Dを支持する役割を担っている。電気光学装置Dが支持体40に支持された状態において、上面部41のうち側面部42側の表面401(以下「対向面401」という)は電気光学パネル10における基板11の配列面101に対向し、側面部42は基板11の側面をその全周にわたって包囲する。上面部41には開口部が設けられている。図4に示されるように、電気光学装置Dは、ガラススペーサ60がこの開口部の内側に入り込んだ状態で支持体40に支持される。したがって、集束性レンズアレイ20は、開口部から上方に向かって突出した状態で支持され、これにより、集束性レンズアレイ20から感光体ドラム50に向かって進行する光が支持体40に遮断されることなく感光体ドラム50まで到達することが可能になる。
また、支持体40は、その側面部42の底面43を基準面に接触させた状態で、基準面Bに接合されている。この接合は、例えば、熱硬化型接着剤または紫外線硬化型接着剤を用いた接着により行われる。
図4に示すように、充填材70は、集束性レンズアレイ20の出光面を露出させた状態で電気光学装置Dの各部を固定している。すなわち、集束性レンズアレイ20の周囲を全周にわたって囲むとともに、支持体40の上面部41の一部とガラススペーサ60の上面すべてを覆うことにより、各部の相対的な位置を固定している。
図2に示されるように、スペーサ30は長方形の枠状の部材である。このスペーサ30は、両面テープやプラスチック製シート、セラミックの板材等、厚みが均一な材料で形成され、支持体40の対向面401に対向する表面と電気光学パネル10の配列面101に対向する表面とが平行な板状になっている。
このスペーサ30は、基板11における電気光学素子Pの配列面101に対して垂直な方向を厚さ方向として基板11と支持体40の間に配置される。具体的には、スペーサ30のうち支持体40側の表面は、支持体40の上面部41の対向面401(図1にて斜線が付された領域401a)に接触する。また、スペーサ30のうち電気光学素子D側の表面は、基板11の配列面101(図1にて斜線が付された領域101a)に接触する。領域101aは、図3に示されるように、基板11上の電気光学素子Pが配置されていない領域のうち、電気光学素子Pの配列面101に垂直な方向からみて複数の電気光学素子Pを囲む部分である。また、図2および図4に示すように、ガラススペーサ60との関係においては、スペーサ30は、ガラススペーサ60の側面をその全周にわたって囲むように配置される。
本実施形態においては、対向面401および対向面101との接触面は、接着剤によって接合される。この接合には、例えば熱硬化性接着剤または紫外線硬化性接着剤が用いられる。
ここで、前述したように、支持体40の底面43は基準面Bに固定されているので、図4に示すように、支持体40の位置は、基準面Bを基準として固定的に定まる。また、スペーサ30の支持体40側の表面と電気光学パネル10側の表面は支持体40と電気光学パネル10の双方に接触しているので、支持体40と電気光学パネル10との間隔はスペーサ30の厚さd3によって規定される。したがって、基準面Bに対する電気光学パネル10の相対的な位置は、スペーサ30の厚さd3のみによって規定される。一方、感光体ドラム50についても、その支持棒53a,53bが基準面Bに固定されているので、基準面Bを基準として感光体ドラム50の受光面の位置は固定的に定まる。したがって、感光体ドラム50の受光面に対する電気光学パネル10の相対的な位置もスペーサ30の厚さd3のみによって規定される。つまり、スペーサ30の厚みd3が変化すると、電気光学素子Pの配列面101に垂直な方向に沿って、電気光学パネル10の感光体ドラム50に対する相対的な距離が増大または縮小する。すなわち、スペーサ30の厚さd3が増すと(図4:d3a→d3b)、電気光学パネル10と感光体ドラム50との距離が増大し(TCa→TCb)、逆に薄くなると(d3b→d3a)、電気光学パネル10は感光体ドラム50により接近する(TCb→TCa)。
また、集束性レンズアレイ20と電気光学パネル10との距離はガラススペーサ60の厚さに応じて固定されている。したがって、スペーサ30の厚さd3が変化すると、集束性レンズアレイ20と感光体ドラム50との距離も変化する。つまり、スペーサ30が厚くなると(d3a→d3b)、集束性レンズアレイ20と感光体ドラム50との距離は増大し(La→Lb)、逆に薄くなると(d3b→d3a)、集束性レンズアレイ20は感光体ドラム50により接近する(Lb→La)。このため、スペーサ30の厚さd3は、集束性レンズアレイ20の出光面と感光体ドラム50の受光面との距離が集束性レンズアレイ20の像側(感光体ドラム50側)の作動距離Lに一致するように(すなわち、電気光学パネル10上の像に対応する像が感光体ドラム50の表面にほぼ焦点整合状態で結ばれるように)決定される。
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置Dによれば、その組立段階において、ガラススペーサ60が電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間に双方に接触して介在することにより両者間の距離が規定され、スペーサ30が支持体40と電気光学パネル10との間に双方に接触して介在することにより両者間の距離が規定されるので、組立終了後に電気光学パネル10、集束性レンズアレイ20、感光体ドラム50の相対的位置を調節する必要がない。また、位置調節機構としてのネジや、ネジが挿入されるホルダのネジ穴を設ける必要がないので、より簡易な構成が実現される。
また、スペーサ30は、支持体40と電気光学パネル10とに対して接着剤で接合されているから、両者間の距離を規定するのみならず、両者を相互に固定する役割を担っている。このため、充填材70のみで各部の相対的な位置関係を固定とする場合と比較して、その固定を強固にすることが可能になる。さらに、前述したように、本実施形態では、感光体ドラム50は、その回転軸51が電気光学パネル10の配列面101(電気光学装置Dの出光面)に平行な状態で支持されている。したがって、厚みが均一な板材をスペーサ30として用いることで、電気光学パネル10が支持体40に対して平行な状態を常に維持することが可能になる。すなわち、各電気光学素子Pから感光体ドラム50の表面との距離が均一化された状態で固定されることになるから、感光体ドラム50の表面に高品位な潜像(ひいては顕像)を形成することが可能である。本実施形態においては、電気光学素子Pの配列を包囲する枠状のスペーサが利用されるから、経年変化により電気光学パネル10がその長手方向に沿って撓むといった事態も予防することができ、例えば複数のスペーサ30が分散的に配置される構成(図5)と比較して、この効果は特に顕著となる。
<電気光学装置の製造方法>
次に、上述した各種の電気光学装置の製造方法について説明する。この製造方法は、特に、ガラススペーサ60に関わる工程と、スペーサ30に関わる工程とを含む。前者は、電気光学パネル10から集束性レンズアレイ20の光の入口までの距離(作動距離L)を特定し、作動距離Lに対応した厚みのガラススペーサ60を用意し、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間隙に、用意したガラススペーサ60を配置して双方に接触させる工程である。後者は、集束性レンズアレイ20の光の出口から感光体ドラム50までの距離(すなわち、作動距離L)を特定し、作動距離Lに対応した厚みのスペーサ30を用意し、支持体40と電気光学パネル10との間に用意したスペーサ30を介在させて双方に接合させる工程である。
作動距離Lは、集束性レンズアレイ20を構成する各集束性レンズの屈折率分布特性に応じて定まる値であるが、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間にガラススペーサ60を介在させる場合には、ガラススペーサ60に用いるガラスの屈折率を考慮する必要がある。そこで、まず、集束性レンズの屈折率分布特性に基づいて作動距離Lを特定した後に、当該作動距離Lとガラススペーサ60に用いるガラスの屈折率とを考慮してガラススペーサ60の厚みd1を決定する。次に、厚みd1のガラススペーサ60を用意する。そして、用意したガラススペーサ60の電気光学パネル10側の面を、電気光学素子Pの配列面101に接触させ、集束性レンズアレイ20側の面を入光面201に接触させる。
次に、集束性レンズアレイ20の出光面から感光体ドラム50までの作動距離Lを特定する。前述したように、集束性レンズアレイ20と感光体ドラム50との間隔(作動距離L)は、スペーサ30の厚さd3によって規定されるから、特定した作動距離Lに基づいて集束性レンズアレイ20の目標位置を特定すると、この目標位置を実現するために必要な厚さd3を導き出すことが可能になる。さらには、電気光学パネル10の位置は、集束性レンズアレイ20の位置から電気光学素子Pの配列面101に垂直な方向に沿って、集束性レンズアレイ20の厚さZとガラススペーサ60の厚さd1分だけ基準面B方向に移動した位置であるので、集束性レンズアレイ20の目標位置を特定すると、電気光学パネル10の目標位置を特定することができる。よって、集束性レンズアレイ20の目標位置から電気光学パネル10の目標位置を特定し、この目標位置を実現するために必要な厚さd3のスペーサ30を用意する。具体的には、この厚さd3は、支持体40の対向面401から基板11の配列面101との距離の目標値を求めることによって特定される。以下の説明では、厚さd3が0.5mmであるスペーサ30が用意されるべきことが導き出されたとする。
本実施形態においては、0.1mm、0.2mm、0.3mmの3種類の厚さの枠状の部材が用意された場合を想定する。以上のように用意すべきスペーサ30の厚さは0.5mmであるから、厚さが0.2mmの部材1枚と厚さが0.3mmの部材1枚とを用意する。そして、これら2枚の部材を重ねて相互に接合し、厚み0.5mmのスペーサ30を形成する。この結果、厚さd3が0.5mmであるスペーサ30が用意される。
続いて、用意したスペーサ30の片面を電気光学パネル10の領域101aに接着剤で接合し、他方の面を支持体40の領域401aに接着剤で接合する。このようにして、電気光学パネル10が目標位置に固定されるとともに、集束レンズアレイ20も目標位置に固定される。
なお、実際には、作動距離LおよびLは、同一条件で複数の電気光学装置Dを製造するロット単位ではほぼ一定であると考えることができる。つまり、同一の集束性レンズアレイ20を備える複数の電気光学装置Dでは、同じ寸法のガラススペーサ60およびスペーサ30が用いられる。よって、複数の電気光学装置Dを製造する場合にはその総てについて以上の工程を経る必要はなく、所定の寸法のものを予め用意しておき、各電気光学パネル10、集束性レンズアレイ20、支持体40とに接触または接合させるだけでよい。
以上のようにして、電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20、ならびに支持体40の相対的位置関係がひとたび決定されると、続いて、充填材70が集束性レンズアレイ20の周囲を囲むように塗布される。具体的には、図4に示すように、集束性レンズアレイ20の出光面を残して、ガラススペーサ60の上面全体および支持体40の上面部41の一部に充填材70が塗布される。このようにして電気光学装置Dが製造される。
完成した電気光学装置Dは、画像形成装置の筐体の基準面Bに対して固定される。このとき、電気光学装置Dは、電気光学素子Pの配列方向と、感光体ドラム50の回転軸51とが平行となるように設置され、支持体40の底面43が基準面Bに固定される。
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置Dの製造方法によれば、装置の組立段階において、所望の寸法を有するガラススペーサ60とスペーサ30が用意され、ガラススペーサ60が電気光学パネル10と集束性レンズアレイ20との間に配置され、スペーサ30が電気光学パネル10と支持体40との間に配置される。したがって、組立が終了した後に、電気光学パネル10、集束性レンズアレイ20、支持体40、ひいては感光体ドラム50の相対的な位置関係を調節する必要がない。また、ネジやネジ穴を必要としないので、簡易な構成で電気光学装置Dの各部の相対的な位置を適正に配置可能である。
<変形例>
以上の形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)変形例1
以上の形態では、枠状のスペーサ30を例示したが、スペーサ30の具体的な形状は適宜変更される。
図5は、本変形例に係る電気光学パネル10の一例を示す図である。図5に示されるスペーサ31は、基板11の領域101a内に相互に離間して配置された複数の部分311から構成される。また、図示はしないが、領域101aの2つの短辺のみまたは2つの長辺のみを覆う形状のスペーサ30を利用することも可能である。要は、電気光学パネル10と支持体40との間に、必要とされる厚さの部材(その電気光学パネル10側の面と支持体40側の面が平行な部材)が介在すればよい。そして、この厚さによって規定される電気光学パネル10と支持体40との距離が、電気光学パネル30の配列面101全域に亙って均一になることが望ましい。もっとも、例えば、領域101aの2つの短辺のみを覆うサイズのスペーサ30を利用した場合には、電気光学パネル30が長手方向に沿って撓みやすいといった問題がある。このため、図5のように、領域101aの全周に亙って均等な間隔でスペーサ30を配置するか、あるいは、2つの長辺のみを覆うようなスペーサ30を用いる方が望ましい。
(2)変形例2
上述した実施形態では、スペーサ30として、各々の厚さが異なる複数種類のスペーサ30を適宜組み合わせて積層させることにより所望の厚みを実現する構成としていた。しかしながら、ある程度の厚みを有する部材を研磨することにより所望の厚みを実現してもよい。また、上記実施形態では、枠の短辺と長辺に対応する長さの長方形の部材を複数枚予め用意しておき、これらを繋合して枠状に整形する態様としてもよい。
また、上述した実施形態では、スペーサ30として板状部材を使用する例を示したが、図6に示すように、球状のギャップ材(スペーサボール)gf1を使用する態様としてもよい。このギャップ材gf1としては、支持体40と電気光学パネル10との距離の目標値に応じた直径のものが適宜に選定される。そして、支持体40と電気光学パネル10とを接合する接着剤に多数のギャップ材gf1を分散させて両者を接合することにより、両者間の距離は所期値に維持される。なお、このギャップ材は固体であれば、必ずしも球体である必要はなく、角材状、板状、棒状でもよい。また、支持体40と電気光学パネル10の間で圧縮されてもほとんど変形しない剛性を有すると好ましい。
(3)変形例3
上記実施形態では、感光体ドラム50は画像形成装置などの筐体の一部である基準面Bに対して固定されていた。しかしながら、感光体ドラム50を支持するための構成は任意である。
図7および図8は、本変形例に係る電気光学装置Dと感光体ドラム50との位置関係を示す図である。図7に示されるように、支持体40の上面部41に設置された支持棒53a,53bに感光体ドラム50が支持される構成としてもよい。支持棒53a,53bは、支持体40と一体に形成されてもよい。あるいは、図8に示されるように、画像形成装置の筐体における他の基準面Cから基準面Bに向けて垂直に伸びる支持棒52c,52dによって感光体ドラム50が支持される態様であってもよい。要は、感光体ドラム50の回転軸51と支持体40の対向面401が平行な状態で、感光体ドラム50の支持体40に対する相対的な位置が固定されていればよい。
(4)変形例4
上記実施形態においては、電気光学パネル10と感光体ドラム50との間に、集束性レンズアレイ20を介在させることにより、基板11上の電気光学素子Pから出射される光によって形成される光像を感光体ドラム50において結像させていた。しかしながら、集束性レンズアレイ20を介在させなくとも、感光体ドラム50の表面に適切な潜像が形成される場合には、集束性レンズアレイ20を介在させる必要はない。つまり、本実施形態の電気光学装置Dは、電気光学パネル10と、電気光学パネルを支持する支持体40と、両者の間に介在して双方に接触するスペーサ30とを備える構成とすることができる。
この場合、電気光学装置Dは、以下に述べるような工程を経て製造される。まず、基板11における電気光学素子Pの配列面101に垂直な方向における、電気光学パネル10の目標位置を特定する。つまり、電気光学素子Pの特性に応じて、各電気光学素子Pによる露光で感光体ドラム50の表面に適切な像(潜像)が形成されるようにスペーサ30の厚さd3が決定される。このようにして決定された厚さのスペーサ30は、その片面が配列面101に接合され、他の面が支持体40の対向面401に接合される。
<画像形成装置>
上述したように、上述した実施形態の電気光学装置Dは、電子写真方式を利用した画像形成装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いることが可能である。画像形成装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。
図9は、電気光学装置Dをライン型の光ヘッドとして用いた画像形成装置の一例を示す縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
この画像形成装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yは上述した実施形態の電気光学装置Dである。
図9に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のOLED素子14の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
図9の画像形成装置は、書き込み手段として有機ELアレイを有する電気光学装置Dを用いているので、上述した通り、電気光学パネル10の感光体ドラム50に対する相対的位置の調整が簡素化される。また、ネジやネジ穴が不要なので簡易な構成で最適な印刷結果を得ることが可能になる。
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施の形態について説明する。
図10は、上述した実施形態の電気光学装置Dをライン型の光ヘッドとして用いた他の画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図10に示す画像形成装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、有機ELアレイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、上述した実施形態の電気光学装置Dであり、複数のOLED素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
図10の画像形成装置は、書き込み手段として有機ELアレイを有する露光ヘッド167(電気光学装置D)を用いているので、上述した通り、電気光学パネル10の感光体ドラムに対する相対的位置の調整が簡素化される。また、ネジが不要な分簡易な構成で最適な画像を得ることが可能になる。
以上、上述した実施形態の電気光学装置Dを応用可能な画像形成装置を例示したが、他の電子写真方式の画像形成装置にも実施の形態の電気光学装置を応用することが可能であり、そのような画像形成装置は本発明の範囲内にある。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも電気光学装置を応用することが可能である。
<他の応用>
本発明に係る電気光学装置は、さらに各種の露光装置および照明装置に応用することが可能である。
上記の電気光学装置の電気光学パネルでは、与えられる電気的なエネルギを光学的エネルギに変換する発光素子として有機発光ダイオード素子が使用されているが、他の発光素子(例えば無機EL素子、プラズマディスプレイ素子)を使用してもよい。また、電気光学パネルは、トップエミッションでもボトムエミッションタイプでもよい。
また、上記の電気光学装置Dでは、電気光学素子Pを有する電気光学パネル10に集束性レンズアレイ20が取り付けられているが、多数のライトバルブ画素を有するライトバルブパネルに集束性レンズアレイ20を取り付けてもよい。ライトバルブ画素は、与えられる電気的エネルギにより光の透過率が変化する画素であり、例えば液晶の画素、エレクトロケミカルディスプレイの画素、電気泳動ディスプレイの画素、分散粒子配向型ディスプレイの画素が含まれる。これらは、いずれも別個の光源からの光の透過量を調整する。電気光学パネル10の代わりに、例えば液晶パネルのようなライトバルブパネルをマイクロレンズアレイに取り付けて、別個の光源からの光がライトバルブパネルと集束性レンズアレイを透過するようにすることが可能である。このような電気光学装置は、図9または図10に示された用途に使用することもできるし、スクリーンに画像を投射するプロジェクタに使用することも可能である。
本発明の一実施形態に係る電気光学装置と周辺装置の構成を示す側面図である。 電気光学装置の構成を示す分解斜視図である。 電気光学装置で使用される電気光学パネルの平面図である。 図1および図2のIV−IV線矢視断面図である。 変形例に係る電気光学パネルの平面図である。 変形例に係るギャップ材の断面図である。 変形例に係る電気光学装置と感光体ドラムとの位置関係の一例を示す図である。 変形例に係る電気光学装置と感光体ドラムとの位置関係の一例を示す図である。 実施形態の電気光学装置を用いた画像形成装置の一例を示す縦断面図である。 実施形態の電気光学装置を用いた画像形成装置の他の例を示す縦断面図である。
符号の説明
10…電気光学パネル、11…基板、101…配列面、101a…領域、20…集束性レンズアレイ、201…入光面、30,31…スペーサ、311…部分、40…支持体、41…上面部、42…側面部、43…底面、401…対向面、401a…領域、50…感光体ドラム、51…回転軸、52a,52b…軸受、53a,53b,53c,53d…支持棒、60…ガラススペーサ、70…充填材、110,165…感光体ドラム、10K,10C,10M,10Y,167…有機ELアレイ露光ヘッド(電気光学装置)、D…電気光学装置、P…電気光学素子、gf1…ギャップ材。

Claims (14)

  1. 電気エネルギに応じて光を出射する複数の電気光学素子が基板上に配列された電気光学パネルと、
    前記電気光学パネルを支持する支持体であって、前記基板における前記電気光学素子の配列面に垂直な方向に沿って前記基板に対向する対向面を含む支持体と、
    前記対向面と前記基板との間に介在して前記対向面と前記基板の表面とに接触するスペーサと
    を備える電気光学装置。
  2. 前記スペーサは、前記基板と前記支持体とに接合される
    請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記電気光学パネルからの出射光を集束させる集束性レンズを有する
    請求項1または請求項2に記載の電気光学装置。
  4. 前記電気光学パネルと前記集束性レンズとの間に介在して双方に接触する光透過性の部材を有する
    請求項3に記載の電気光学装置。
  5. 前記スペーサは、板状の部材である
    請求項1から請求項4の何れかに記載の電気光学装置。
  6. 前記スペーサは、前記基板と前記支持体とを接合する接着剤に分散されたギャップ材である
    請求項1から請求項4の何れかに記載の電気光学装置。
  7. 前記スペーサは、前記電気光学素子の配列面に垂直な方向からみて前記複数の電気光学素子を囲む枠状の部材である
    請求項1から請求項6の何れかに記載の電気光学装置。
  8. 前記スペーサは、前記電気光学素子の配列面に垂直な方向からみて前記複数の電気光学素子を囲む領域に相互に離間して配置された複数の部分を含む
    請求項1から請求項6の何れかに記載の電気光学装置。
  9. 像担持体と、
    前記像担持体を帯電する帯電器と、
    前記像担持体の帯電された面に各電気光学素子からの出射光を照射して潜像を形成する請求項1から請求項8の何れかに記載の電気光学装置と、
    前記潜像に対する現像剤の付着によって前記像担持体に顕像を形成する現像器と、
    前記顕像を前記像担持体から他の物体に転写する転写器と
    を備える画像形成装置。
  10. 電気光学装置の製造方法であって、
    前記電気光学装置は、電気エネルギに応じた光を出射する複数の電気光学素子が基板上に配列された電気光学パネルと、前記基板のうち前記電気光学素子の配列面に垂直な方向に沿って前記基板に対向する対向面を含む支持体と、前記電気光学パネルに固定されて前記各電気光学素子からの出射光を集束させる集束性レンズとを含み、
    前記集束性レンズの作動距離を特定する第1工程と、
    前記作動距離に対応した寸法のスペーサを用意する第2工程と、
    前記作動距離に対応した寸法の方向が前記配列面に垂直な方向となるように前記支持体と前記基板との間に前記スペーサを配置し、前記スペーサが前記対向面と前記基板の表面とに接触した状態で前記電気光学パネルを前記支持体に固定する第3工程と
    を含む電気光学装置の製造方法。
  11. 前記電気光学パネルおよび前記集束性レンズの双方に接触するように光透過性の部材を両者の間隙に配置する工程
    を含む請求項10に記載の電気光学装置の製造方法。
  12. 電気光学装置の製造方法であって、
    前記電気光学装置は、電気エネルギに応じた光を出射する複数の電気光学素子が基板上に配列された電気光学パネルと、前記基板のうち前記電気光学素子の配列面に垂直な方向に沿って前記基板に対向する対向面を含む支持体とを含み、
    前記配列面に垂直な方向における前記電気光学パネルの目標位置を特定する第1工程と、
    前記目標位置に対応した寸法のスペーサを用意する第2工程と、
    前記目標位置に対応した寸法の方向が前記配列面に垂直な方向となるように前記支持体と前記基板との間に前記スペーサを配置し、前記スペーサが前記対向面と前記基板の表面とに接触した状態で前記電気光学パネルを前記支持体に固定する第3工程と
    を含む電気光学装置の製造方法。
  13. 前記第1工程においては、前記各電気光学素子からの出射光が到達する被照射体と前記各電気光学素子との距離の目標値を特定し、
    前記第2工程においては、前記目標値に対応した寸法のスペーサを用意する
    請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。
  14. 前記第1工程においては、前記基板の表面と前記支持体の対向面との距離の目標値を特定し、
    前記第2工程においては、前記目標値に対応した寸法のスペーサを用意する
    請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。
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