JP2007239977A - ビーターシートガスケットおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスベストを使用しない、高い耐熱性、耐水蒸気性やシール性、高強度の性能を合わせ持つ、ビーターシートガスケットに関するものである。
【解決手段】繊維状材料、充填材、結合剤樹脂を主成分として成るビーターシートガスケットにおいて、有機高分子重合体溶液を水系凝固液に導入して得られる非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドを繊維状材料の原料として含むビーターシートガスケットとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、種々のシール材として幅広く用いられるビーターシートガスケットに関し、耐熱性やシール性に優れた高強度のビーターシートガスケットを提供する。
ガスケットは、シール材として非常に広範な分野において用いられている。その基本組成は、繊維材料と充填材、ゴム材料などのマトリックス成分から成り、その製造方法からビーターシートとジョイントシートに分類される。
特に、工業プラント等に使用されるガスケットは、非常に高い耐熱性と、耐薬品性、シール性が求められており、これまでそういった用途には主に耐熱性や耐薬品性に優れ、また低コストであるアスベストを繊維材料として用いたガスケットが使用されていた。しかしながら、昨今のアスベストに対する人体の影響が社会問題となっていることを背景に、アスベスト全廃に向けた規制ができつつある。こういった中で、アスベストを用いず、且つ耐熱性や耐薬品性に優れたガスケットの開発が精力に行われている。
例えば、特公平4−5053号公報などでは、繊維材料にアスベストの代わりに芳香族ポリアミド繊維及び/又はフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維を用い、ゴム材料等のバインダー成分と充填材、ポリオレフィン重合体を含むことを特徴とするジョイントシートが開示されている。このジョイントシートは、アスベストを用いず、またポリオレフィン重合体を添加することで、芳香族ポリアミド繊維を繊維材料として用いた場合の欠点であったシール性の向上を達成しているが、一方で工業プラント等の配管で、例えば高圧蒸気のようなものにさらされた場合、ポリオレフィン重合体の他、ゴム材料が容易に劣化し、その結果強度やシール性、圧縮復元性等が大幅に低下する問題がある。
更に特開平7−233360号公報などでは、有機繊維材料、ゴム材料、充填材およびある特定量の膨張黒鉛からなるジョイントシートが開示されている。このジョイントシートは、膨張黒鉛を特定量添加することにより耐熱性や耐水蒸気性が向上するものの、膨張黒鉛のような粉体の量が多くなると、シートの強度は低下するという問題点があった。
このようにシートの強度と耐熱性、耐水蒸気性を両立させることは難しく、高い耐熱性やシール性、高強度を有するシール材の開発が強く望まれていた。
特公平4−5053号公報 特開平7−233360号公報
本発明は、アスベストを使用しない、高い耐熱性、耐水蒸気性やシール性、高強度の性能を合わせ持つ、ビーターシートガスケットに関するものである。
繊維状材料、充填材、結合剤樹脂を主成分として成るビーターシートガスケットにおいて、有機高分子重合体溶液を水系凝固液に導入して得られる非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドを繊維状材料の原料として含むビーターシートガスケットとする。
本発明者は、本目的達成のため鋭意検討を重ねた結果、まず繊維状材料として、パラ型全芳香族ポリアミド溶液を水系凝固液に導入して得られる非晶質含水成形物であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維フィブリッド(以後非晶質含水フィブリッドと略称する)を水に分散させたスラリーとし、抄造することにより得られたシート状物を乾燥・熱プレスすることにより、非常に高強度で、また平滑性に富んだ紙が得られることに着目した。これは、この非晶質含水フィブリッドが十分に結晶化が進行していないこと、またポリマー内部に大量の水を含んでいること、また元々この非晶質含水フィブリッドは幾分柔軟であるために、ゴム材料等のバインダー成分のようにバインダー性能を有する上、カレンダー等による熱プレスにより容易に表面が平滑になること、更に抄紙後、乾燥・熱プレスによりポリマー内部の水が除去されることにより結晶化が進行して強度が発現するものと推測される。そこで、一般的なビーターシートガスケットの配合物である、繊維材料、ゴム材料、充填材等に、この非晶質含水フィブリッドを加えたり、また繊維材料および/またはゴム材料などのバインダー成分の一部を非晶質含水フィブリッドで置き換えたりして、ビーターシートガスケットを作製したところ、耐熱性やシール性に優れた、高強度のシール材が得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、繊維状材料、充填材、結合剤樹脂を主成分として成るビーターシートガスケットにおいて、有機高分子重合体溶液を水系凝固液に導入して得られる非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドを繊維状材料の原料として含み、該非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドの水分率を10〜99%とすることを特徴とするビーターシートガスケットを提供するものであり、非常に耐熱性やシール性に優れた、高強度のビーターシートガスケットを簡便に製造する方法が提供される。
ビーターシートガスケットのシール性、引張強度や高圧水蒸気に対する耐久性が向上し、工業プラント等のように非常に高い耐熱性と、シール性、高強度などが求められる環境下で使用されるガスケットに用いる場合において特に有用である。
本発明における非晶質含水フィブリッドとは、例えば、WO2004/099476A1、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報などに記載されているような、有機系高分子重合体溶液を、該高分子重合体溶液の凝固液と剪断力とが存在する系において混合するなどの方法より作製される、微小のフィブリルを有する薄葉状、鱗片状の小片、ランダムにフィブリル化した微小短繊維、または粒状の粒子状物を指す。ここで非晶質とは一般に水素結合に基づく結晶構造を形成する前の構造物を指す。さらに非結晶構造中に水分が含まれたものを非晶質含水成形物と総称する。一般にポリマーは凝固後、乾燥や延伸することにより結晶化が進行するが、凝固ポリマー中にある程度の水を含むことによりその結晶化が抑制され、それゆえ該非晶質含水フィブリッドの結晶化度は含水率とある程度相関しているといえる。一概には言えないが、含水率が高いほど結晶化度は低く、含水率が低いほど結晶化度は高いと推定される。低結晶化度であるほど柔軟であり、かつ他の繊維材料との絡み合いにおいてバインダー的な特性を有するものとなり、乾燥プレス工程で結晶化が進むことにより、耐熱性のある高強度バインダーとなる。
一旦乾燥工程等を経て該非晶質含水フィブリッドの水が除去された場合、ポリマーの結晶化が進行することにより、再びポリマー中へ大量の水が存在することが困難となり、その結果、本発明で期待されるような、バインダー的な特性は示せず、高強度が発現しないため好ましくない。
以上により、該非晶質含水フィブリッドは一般には有機高分子重合体溶液を水系凝固液に導入後、急激な剪断力をかけて微小なフィブリッドとした後、水洗後/又は水洗することなく、かつ乾燥することなくして得ることが好ましい。また非晶質含水フィブリッドとしては、有機系高分子重合体溶液を、水系凝固液で凝固して作製された非晶質含水成形物を湿潤状態で粘状叩解用リファイナリーやビーターを使用して更にフィブリル化したものを乾燥工程等を経ることなく回収されたものでも良い。
さらに非晶質含水フィブリッド中に水分が存在することにより、ポリマーの結晶化が抑制されてポリマー自体があまり剛直にならずに柔軟であり、この状態で抄造等によりビーターシートガスケットの基となるシート状物を得た後、乾燥や熱プレスを行った場合、シート状物中の非晶質含水成形体有機繊維フィブリッドから水が除去されてポリマーの結晶化が進行し、且つその過程で平滑に変形するために、その結果として得られたビーターシートガスケットに高いシール性と高強度が発現するという効果も考えられる。
以上のことから、非晶質含水フィブリッドの水分率としては、10〜99%であることが必要で、10%未満では結晶化度が高くなり、本発明の高強度、高シール性は得られない。また99%以上であれば、水分が殆んどで効率が悪くなり好ましくない。好ましくは20%以上、最も好ましくは50%以上である。
また本発明における非晶質含水フィブリッドの配合量としては、1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。配合量が1重量%未満の場合、配合量が少なすぎるために、このような非晶質含水フィブリッドを添加することによる明確な効果は得られない。一方、配合量が50重量%を超える場合、一般に非晶質含水フィブリッドは、微小のフィブリルを有する薄葉状等の細かい形態を有しているために、スラリーを抄造する際に、ワイヤーメッシュに目詰まりが起こる、濾水時間が長くなる等、作業効率が低下して生産性が悪化するために好ましくない。
本発明における非晶質含水フィブリッドに使用するポリマーとしては、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドに代表されるパラ型全芳香族ポリアミドや、その共重合体、メタ型全芳香族ポリアミド、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ホモポリマーなど、ポリマーの種類や、ポリマーの構造や重合度などは特に限定されるものではなく、前記工程で作製される非晶質含水フィブリッドであれば特に差し支えないが、ポリマー自身の耐熱性や製造工程などを考慮するとパラ型全芳香族ポリアミドの非晶質含水フィブリッドが最も好ましい。
本発明における繊維材料としては、ガラス繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ロックウール、炭素繊維、スチール繊維などの無機繊維や、パラ型全芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、セルロース繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、芳香族ポリエステル繊維などの有機繊維の短繊維や高度にフィブリル化したパルプ状繊維、好ましくはパラ型全芳香族ポリアミド繊維の高度にフィブリル化したアラミドパルプが挙げられる。また単一または複数種組み合わせて用いることができ、その種類や組合せ、配合比率等は特に限定されるものではなく、その配合量としては、1〜70重量%、好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。
本発明における結合剤樹脂としては、ゴム材料が好ましく、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、天然ゴムなど一般に公知のゴムのラテックスを、単一または適宜複数組み合わせて用いることができ、その種類や組合せ、配合比率等は特に限定されるものではなく、その配合量としては、5〜40重量%、好ましくは7〜30重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。また、このようなゴムを加硫させるために、硫黄やイソシアネート、過酸化物などの加硫剤を適宜適量使用することができる。また、フッ素樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂などの樹脂エマルションを用いることもできる。
本発明における充填材としては、クレイ、カーボンブラック、タルク、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、グラファイト、膨張黒鉛、ウォラストナイトなど一般に公知の充填材を単一または複数種組み合わせて用いることができ、その種類や粒径、形状、組合せ、配合比率等は特に限定されるものではなく、その配合量としては、20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。またシートを着色する目的で各種顔料を適宜適量添加することもできる。
本発明におけるビーターシートガスケットの製造工程として、まず原料のスラリーを調製する。このスラリーの水への投入順序等に特に規定はなく、繊維材料や非晶質含水フィブリッド、結合剤樹脂であるゴム材料や樹脂などのエマルジョン、充填材などを水へ投入し、例えばナイアガラビーターやディスクリファイナーなどの公知の叩解機を用いることができる。なお、叩解により形状が変わるなどの支障がある材料の場合は、繊維材料等を予め叩解した後に添加しても特に差し支えない。
次に、このスラリーに叩解時に添加しなかった材料を投入し混合する。混合は、パルパーなどの公知のミキサーを用いることができる。これらの工程で、混合や叩解の際、気泡の発生を抑制する目的で、一般の抄造の際に用いられる公知の消泡剤を用いることができる。また、ゴム材料や充填材の繊維材料への定着率を向上させる目的で、スラリーのpHを調整したり、必要に応じて一般の抄造の際に用いられる定着剤を適宜用いたりすることができる。
次に、このスラリーを抄造し、シート状物を得る。抄造は、長網抄紙機や丸網抄紙機といった連続抄紙機や、TAPPI箱型抄紙機など公知の抄造装置を用いて抄造することができ、また抄造後、連続抄紙機の場合はそのまま乾燥工程を経てローラーへ巻き取る。箱型抄紙機などのバッチ式での抄紙機の場合は、抄造後の紙を金枠等に保持し、乾燥機などで乾燥する。乾燥温度は、水が十分に除去できる温度であれば特に制限は無いが、原料の劣化等を考慮すると、80℃〜150℃が好ましいが、この温度に限定されるものではない。その後、必要に応じて熱プレスを行う。熱プレスの圧力や温度は、特に限定されるものではなく、原料の種類や最終製品の厚みなどにより適宜調節することができ、カレンダーなどの公知の熱プレス機を用いることができる。なお乾燥と熱プレスを同時に行っても特に差し支えは無い。この乾燥および熱プレス工程において、該非晶質含水フィブリッドは、ポリマー中から水が除去され、シートの平滑性や高強度が発現するものと考えられる。さらに必要に応じて任意の大きさや形状に裁断し、ビーターシートガスケットを得る。
このように本発明により、結合剤樹脂及び/又は繊維材料の代わりに、非晶質含水フィブリッドを適量配合物に加えることにより、耐熱性、シール性、強度面などに優れたビーターシートガスケットを簡便に作製することができる。
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。尚、実施例においては下記の測定方法に従って各種の物性測定を実施した。
1)引張強度、伸度
下記条件により引張強度および破断伸度を測定した。この測定結果を表2に示す。
温度:室温
試験機:INSTRON 5565型(INSTRON社製)を用い、平板形状のチャックに試験片を挟み引張試験を行った。
試験片:80mm×10mmに裁断したしたものを試験片として用いた。なお、試験片はカレンダー方向(MD)ついて測定した。
チャック間距離:60mm
2)応力緩和試験
下記条件で試験片を処理した際の、処理前後の厚み変化の変化率を測定した。この測定結果を表2に示す。
装置:Klinger Tester
温度:200℃
荷重:50MPa
時間:16時間
3)耐熱劣化試験
200℃で、300時間で熱処理を行った後、1.と同じ方法で引張強度および破断伸度を測定した。この測定結果を表2に示す。
4)耐水蒸気劣化試験
150℃の飽和水蒸気下で、100時間処理を行った後、1.と同じ方法で引張強度および破断伸度を測定した。この測定結果を表2に示す。
5)ガス透過性評価
下記条件で試験片のガス透過性を評価した。この測定結果を表2に示す。
装置:ガス透過率測定器((株)クリエテック製)
温度:20℃
試験片:65mm角に裁断したものを評価に用いた
締め付け圧:5MPa
ガス:窒素
窒素ガス圧力:0.05MPa
6)水分率(%)
JIS L1013に準拠して測定し下記の式で算出した。
(W0−W)/W0×100 W0は乾燥前重量 Wは乾燥後重量
7)厚さ
寸法測定器:ST−022ゲージスタンド((株)小野測器製)を用いて測定した。
[実施例1]
WO2004/099476A1の実施例1に準拠し、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを作製した。なお得られた非晶質含水フィブリッドの長さ加重平均繊維長は0.81mm、水分率は91.5%であった。
その他、繊維材料の内、有機繊維としてポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維を高度にフィブリル化させたアラミドパルプ(商品名「トワロン1094」、帝人トワロン製、長さ加重平均繊維長:0.91mm 以下アラミドパルプと略称)を、無機繊維としてはガラス繊維チョップドファイバー(旭ファイバーグラス製)およびロックウール(商品名「ラピナス ロックフィル ロクサル1000」、LAPINUS FIBRES BV製)をそれぞれ用い、結合剤樹脂としては、NBRゴムラテックス(商品名「Nipol 1571H」、日本ゼオン製)、充填材としてはクレイ、硫酸バリウム、カーボンブラックを、それぞれ表1のような組成で、ビーターシートガスケットを次のような工程を経て作製した。
まず、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドとアラミドパルプ、およびNBRゴムラテックスを水に分散させ、定着剤、消泡剤、pH調製剤を添加した後、ナイアガラビーター(熊谷理機製)で叩解した。その後、そのスラリーに各種充填材を添加し、パルパーにて混合した。そして、抄紙機を用いて抄造した後、カレンダーを用いて乾燥・熱プレスを行ってビーターシートガスケットを得た。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.80mmであった。ガスケットの物性を表2に示す。この結果、比較例1や2に比べ、伸度は小さくなるものの、引張強度は高くなった。また、応力緩和、耐熱劣化試験や耐水蒸気劣化試験においても、強度低下も小さく、またゴム硬化に伴う劣化により伸度が小さくなる現象も小さくなった。これは、ゴムラテックスの量を耐熱性の高いポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドで置き換えたことにより劣化成分が減少したこともあるが、非晶質含水フィブリッドを使用することにより、脱水、乾燥、加熱プレスにより熱及び水蒸気処理に対して安定なバインダーとして機能していることを示している。更に、ガス透過性についても比較例1、2に比べ高く、これは該フィブリッドが乾燥・熱プレス工程で平滑に変形し、シール性が向上したことが一因と考えられる。
[実施例2]
実施例1と同様に作製した非晶質含水フィブリッドを、アラミドパルプの一部と置き換え、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.79mmであった。物性を表2に示す。この結果、熱処理後、水蒸気処理後の引張強度維持率がより改善され、非晶質含水フィブリッドの量に依存している。このことは非晶質含水フィブリッドが乾燥、加熱プレスによりアラミドパルプのバインダーとして機能していることを意味している。
[実施例3]
実施例1と同様に作製したポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを、NBRゴムラテックスの一部と置き換え、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.80mmであった。この結果、引張強度が向上し、耐熱性、耐水蒸気性も向上している。この結果は非晶質含水フィブリッドがバインダーとして、ガスケット引張強度に強く寄与していることを示している。また非晶質含水フィブリッドはシール性にも大きく寄与していることを示している。
[実施例4]
実施例1と同様に作製したポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを、アラミドパルプおよびNBRゴムラテックスの一部と置き換え、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.82mmであった。この結果、引張強度やシール性共に高いものが得られ、また熱処理や水蒸気処理に対しても効果も高く、非晶質含水フィブリッドの添加量に依存していることを示している。このことは非晶質含水フィブリッドはゴムラテックスのようなバインダー性能やシール性と、パルプのような繊維材料の補強性能の両方を併せ持つ特性を有していると考えられる。
[実施例5]
実施例1と同様に作製したポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを、アラミドパルプおよびNBRゴムラテックスの一部と置き換え、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.79mmであった。この結果、引張強度やシール性共に非常に高いものが得られ、また熱処理や水蒸気処理に対しても効果が最も高く、非晶質含水フィブリッドの量に依存していることを示している。このことは非晶質含水フィブリッドはゴムラテックスのようなバインダー性能やシール性と、パルプのような繊維材料の補強性能の両方を併せ持つ特性を有していると考えられる。
[実施例6]
実施例1と同様に作製したポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを適度に乾燥し、その水分率を24.2%とし、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.81mmであった。この結果、引張強度が向上し、耐熱性、耐水蒸気性も向上している。これは、非晶質含水フィブリッドの水分率が実施例1の場合に比べ低かったにもかかわらず、同様にバインダー性能を有し、ガスケットの引張強度やシール性にも十分寄与していることを示している。
[比較例1]
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを全く使用せず、この全量を有機繊維のポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維を高度にフィブリル化させたパルプで置き換え、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.81mmであった。得られた物性を表2に示す。この結果熱処理、水蒸気処理により大幅に物性が低下し、実用性に劣るものであった。
[比較例2]
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを全く使用せず、この全量をNBRゴムラテックスで置き換え、配合量をそれぞれ表1のように調節したこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.78mmであった。得られた物性を表2に示す。この結果熱処理、水蒸気処理により大幅に物性が低下し、実用性に劣るものであった。
[比較例3]
実施例1と同様に作製したポリ−p−フェニレンテレフタルアミドの非晶質含水フィブリッドを適度に乾燥し、その水分率を6.5%としたこと以外は、実施例1と同じ処方でビーターシートガスケットを作製した。得られたビーターシートガスケットの厚みは0.79mmであった。得られた物性を表2に示す。この結果熱処理、水蒸気処理により大幅に物性が低下し、実用性に劣るものであった。これは、非晶質含水フィブリッドのポリマー中の水が脱水したことにより、ポリマーの結晶化が促進され、これを抄造に用いたことにより、開繊性が著しく低かったこと、もはやバインダー性能を有していなかったこと、変形しないために高い平滑性が得られなかったことなどが原因として考えられる。
Figure 2007239977
Figure 2007239977
このように、非晶質含水フィブリッドを適量添加することにより、高い耐熱性やシール性、高強度を有するビーターシートガスケットを作製できるので、工業プラント等の配管に用いられるシール材として特に有用である。

Claims (8)

  1. 繊維状材料、充填材、結合剤樹脂を主成分として成るビーターシートガスケットにおいて、有機高分子重合体溶液を水系凝固液に導入して得られる非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドを繊維状材料の原料として含み、該非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドの水分率が10〜99%であることを特徴とするビーターシートガスケット。
  2. 該非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドの水分率が20〜99%である請求項1記載のビーターシートガスケット。
  3. 該非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドが、熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体溶液を水系凝固液に導入して得られた非晶質含水成形物からなる有機繊維フィブリッドである請求項1〜2記載のビーターシートガスケット。
  4. 該熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体がパラ型全芳香族ポリアミド及び/又はメタ型全芳香族ポリアミドである請求項1〜3記載のビーターシートガスケット。
  5. 該繊維状材料が熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体からなる高度にフィブリル化されたパルプ状有機繊維を含む請求項1〜4記載のビーターシートガスケット。
  6. 該熱分解開始温度が350℃以上である有機高分子重合体がパラ型全芳香族ポリアミド及び/又はメタ型全芳香族ポリアミドである請求項1〜5記載のビーターシートガスケット。
  7. 繊維状材料、充填材、結合剤樹脂のエマルジョンを水系スラリーとして叩解や混合し、湿式抄造されたシート状物である請求項1〜6記載のビーターシートガスケット。
  8. 該シート状物を乾燥及び/又は加熱プレスしたものである請求項1〜7記載のビーターシートガスケット。
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