JP2007239051A - 加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼およびその製造方法 - Google Patents

加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】約1200MPa級の引張強度を有しているにもかかわらず、延性とのバランスに優れ、しかも、耐遅れ破壊特性も高められた超高強度鋼を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.1〜1.0%、Si:2%以下(0%を含まない)、Mn:0.5〜3%、Cu:1.5〜5%、残部:Feおよび不可避不純物を満足し、旧オーステナイトの平均粒径は7μm以下であり、組織は、焼戻マルテンサイトを主体として含有し、前記組織中に、平均粒径1.5〜50nmのCu粒子が分散していると共に、XAFS(X−ray absorption Fine Structure)法によりCuの蛍光X線スペクトルを測定したとき、K吸収端近傍の8.98keVのピーク高さは、規格化した蛍光収量で0.340〜0.38の範囲内にある超高強度鋼である。
【選択図】なし

Description

本発明は、加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼に関し、詳細には、約1200MPa以上の引張強度を有しているにもかかわらず延性とのバランスに優れ、しかも、耐遅れ破壊特性も良好な超高強度鋼に関するものである。本発明の超高強度鋼は、例えば、建築材料や、自動車の構造用部品や補強部材などに好適に用いられる。
近年、建築物の耐震性能や、自動車の軽量化、衝突安全性などに対する要求が益々強まるにつれ、例えば、引張強度780MPaを超える超高強度鋼板の適用が拡大している。また、リサイクル事業の普及に伴い、これまでは除去不能であったCuを再利用して高強度鋼を開発する試みも活発に行われている。
このような背景のもと、本願出願人は、先に、Cu添加高強度鋼に関する技術を提案している(特許文献1)。ここでは、高転位密度のマルテンサイト組織(焼戻マルテンサイト)中にナノメートルレベルのCu(ナノCu)を分散、析出させることにより、強度と延性とのバランスに著しく優れた高強度鋼を開示している。特許文献1によれば、引張強度が約1000MPa以上で、延性(全伸び特性)とのバランスに優れた鋼が得られる。
特開2005−264176号公報
引張強度に対する要求は益々高くなり、例えば、約1200MPa級の引張強度においても延性とのバランスに優れた超高強度鋼の提供が求められている。一方、強度が高くなると、遅れ破壊が生じ易くなる。遅れ破壊は、高強度鋼において、腐食環境または雰囲気から発生した水素が、転位、空孔、粒界などの欠陥部へ拡散して材料を脆化させ、応力が付与された状態で破壊を生じる現象であり、破壊までの時間(遅れ破壊時間)は応力が大きいほど、また水素量が多いほど、短くなる。
しかしながら、前述した特許文献1では、遅れ破壊の防止については何も考慮されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、約1200MPa級の引張強度を有しているにもかかわらず、延性とのバランスに優れ、しかも、耐遅れ破壊特性も高められた超高強度鋼、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼は、鋼中成分は、質量%で、C:0.1〜1.0%、Si:2%以下(0%を含まない)、Mn:0.5〜3%、Cu:1.5〜5%、残部:Feおよび不可避不純物を満足し、旧オーステナイトの平均粒径は7μm以下であり、組織は、焼戻マルテンサイトを主体として含有し、前記組織中に、平均粒径1.5〜50nmのCu粒子が分散していると共に、XAFS(X−ray absorption Fine Structure)法により測定された蛍光X線スペクトルK吸収端近傍の8.98keVのピーク高さは、規格化した蛍光収量で0.340〜0.38の範囲内にあることに要旨を有している。
上記課題を解決することのできた本発明に係る加工性および耐遅れ破壊特性に優れた他の超高強度鋼は、鋼中成分は、質量%で、C:0.3%超〜1.0%、Si:2%以下(0%を含まない)、Mn:0.5〜3%、Cu:1.5〜5%、残部:Feおよび不可避不純物を満足し、旧オーステナイトの平均粒径は10μm以下であり、組織は、焼戻マルテンサイトを主体として含有し、前記組織中に、平均粒径1.5〜50nmのCu粒子が分散していると共に、XAFS法によりCuの蛍光X線スペクトルを測定したとき、K吸収端近傍の8.98keVのピーク高さは、規格化した蛍光収量で0.340〜0.38の範囲内にあることに要旨を有している。
また、上記課題を解決することのできた本発明に係る加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼の製造方法は、上記の超高強度鋼を製造する方法であって、前記鋼中成分を満足する鋼を圧延する工程(a)と、圧延後に焼入れする工程(b)と、焼入れ後に時効する工程(c)と、を包含し、前記工程(b)は、825℃以上850℃未満の加熱温度で焼入れする工程(b−1)、または850℃以上900℃以下の加熱温度で焼入れする工程を2回以上行う工程(b−2)を含み、前記工程(c)は、400〜600℃の温度を下式(1)によって定められる時間の範囲で時効する工程を含むことに要旨を有している。
{(768-20.3×[Cu])-T}/(4.9×[Cu]+46.2)≦ln(t)≦{(705-7×[Cu])-T}/(1.1×[Cu]+35.5)・・・(1)
式中、[Cu]は、Cuの含有量(質量%)、
tは、時効時間(min)、
Tは、時効温度(℃)である。
本発明の超高強度鋼は、上記のように構成されているため、約1200MPa級の引張強度を有しているにもかかわらず、延性とのバランスに優れ、しかも、耐遅れ破壊特性も高められた超高強度鋼を提供することができた。
本発明者は、引張強度と延性とのバランスに優れ、耐遅れ破壊特性も高められた超高強度鋼を開発するため、前述した特許文献1に記載のナノCu技術をベースに検討を重ねてきた。具体的には、所望の耐遅れ破壊特性を確保するためには、ナノCuの構造を、遅れ破壊の原因である水素のトラップサイトが充分高められるような構造(面心立法格子、fcc)に制御して非整合界面(鉄マトリックスおよびナノCu粒子の結晶格子の連続性が全くない界面)の割合を多くし、且つ、旧オーステナイト(旧γ)の平均粒径を微細化すれば良いという考えに基づき、検討をした。その結果、特に、圧延後の焼入れ処理の加熱工程、および焼入れ後の時効工程を所定範囲に制御すれば、耐遅れ破壊特性に適した鋼が得られること、このような鋼は、XAFS法によりCuの蛍光X線スペクトルを測定したとき、K吸収端近傍の8.98keVのピーク高さが所定範囲を満足していることを見出し、本発明を完成した。
本明細書において、「超高強度」とは、引張強度(TS)が約1200MPa以上(好ましくは1300MPa以上、より好ましくは1350MPa以上)であることを意味する。
また、「加工性」の指標は、TSとEl(全伸びのこと)との積(TS×El)とし、TSが約1200〜1350MPaのレベルでは、TS×Elが17000以上(好ましくは18000以上)を満足していること、一方、TSが約1350MPa以上のレベルでは、TS×Elが15000以上(好ましくは15500以上)を満足していることを意味する。
また、本明細書において、「耐遅れ破壊特性に優れた」とは、後記する実施例に記載の方法によって測定された遅れ破壊水素量が約0.20ppm以上(好ましくは0.30ppm以上)であることを意味する。
以下、本発明の超高強度鋼について説明する。
前述したように、本発明では、焼戻マルテンサイト中にナノメートルレベルのCu(ナノCu)を分散、析出させることによって強度と延性とのバランスを図ると共に、XAFS法により測定された蛍光X線スペクトルK吸収端近傍の8.98keVのピーク高さを所定範囲に制御し、且つ、旧オーステナイトの平均粒径を所定範囲に制御することによって耐遅れ破壊特性の向上を図っている。
本発明において、組織は、焼戻マルテンサイトを主体として含有している。
ここで、「焼戻マルテンサイトを主体とする」とは、全組織に対する焼戻マルテンサイトの比率(面積率)が約85%以上であり、初析フェライトを実質的に含まないことを意味する。転位密度の高い焼戻マルテンサイトを母相組織とし、この母相組織中に後記するナノCuを分散、析出させることにより、焼戻マルテンサイト組織による強度向上(炭化物による強化および転位強化)とナノCuによる強度向上とが有効に発揮され、強度と延性とのバランスが著しく高められる。更に、本発明では、耐遅れ破壊特性の向上を図るため、初析フェライトの生成が抑制されている。初析フェライトが生成すると、応力負荷時の変形が初析フェライトに集中しやすいため、遅れ破壊が生じ易くなるためである。初析フェライトは、できるだけ少ない方が良く、最大でも、5面積%であることが好ましく、0面積%であることが最も好ましい。焼戻マルテンサイトの面積比率は高ければ高いほど良く、例えば、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。焼戻マルテンサイト以外の組織(残部)としては、例えば、ベイナイト、残留オーステナイトなどが挙げられる。
本発明では、上記の組織中に、平均粒径1.5〜50nmのCu粒子が分散しており、これにより、ナノCuによる強度向上作用が有効に発揮される。Cu粒子の平均粒径が上記範囲を外れると、所望とする強度と延性とのバランスを確保することができない。Cu粒子の平均粒径の下限は2.0nmが好ましく、その上限は40nmが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。特に、耐遅れ破壊特性の向上を考慮すると、2.5nm以上20nm以下であることが推奨される。
Cu粒子の平均粒径は、3次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡(3DAP、CAMECA社製OTAP)を用い、鋼の断面形状に応じて以下のように測定する。
板材の場合はt/4(t=板厚)、線材や棒鋼の場合は4/D(D=直径)の位置から針状サンプル(先端の曲率半径<100nm)を作製し、約10nm×10nm×100nmの領域からイオンを採取し、Cuイオンの空間分布マップを作成する。上記の分布マップにおいて、Cuが濃化した領域(Cuイオンに相当するドットの密度が高い領域)をCu粒子とみなしてCu粒子の粒径を観察し、その平均値を「Cu粒子の平均粒径」とする。上記Cu粒子の測定方法は、例えば、M.K.Miller著「Atom Probe Tomography」(Kluwer Academic社,2000年)の文献などに記載されている。
本明細書において、「Cu粒子が分散している」とは、例えば、観察視野9×10−23中に、上記粒径のCu粒子が、おおむね、20〜200個程度存在していることを意味する。
本発明の超高強度鋼において、旧オーステナイトの平均粒径は、7μm以下(Cを0.1〜1.0%含有する場合)または10μm以下(Cを0.3%超〜1.0%含有する場合)に抑制されている。遅れ破壊は、旧オーステナイトの粒界から発生することが多いため、旧オーステナイトの粒径を上記のように微細化することにより耐遅れ破壊特性が高められる。ここで、鋼中に含まれるC量の範囲によって旧オーステナイトの平均粒径の上限が異なるのは、旧オーステナイトの平均粒径のバラツキを考慮したためである。遅れ破壊は、組織的に最も弱いところから起こるため、旧オーステナイトの粒径にバラツキがある場合、本来ならば、旧オーステナイトの最大粒径を規定することが好ましい。しかし、旧オーステナイトの最大粒径を測定することは困難であるため、ここでは、便宜的に、旧オーステナイトの平均粒径によって耐遅れ破壊特性を制御することとし、旧オーステナイトの粒径のバラツキが生じ易い低C量(おおむね、C:0.3%以下)を含む鋼(C:0.1〜1.0%)の場合は、旧オーステナイトの平均粒径の上限を7μm以下と小さくし、粗大な旧オーステナイトの比率をできるだけ抑えるようにした。
旧オーステナイトの平均粒径は小さいほど良い。Cを0.1〜1.0%含有する場合は、5.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。一方、Cを0.3%超〜1.0%含有する場合は、7μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることが更に好ましい。
旧オーステナイトの平均粒径は、以下のようにして測定される。
JIS G0551に規定された方法に基づいて焼入れおよび時効処理を行った後、表面を研磨仕上げし、ピクリン酸のアルコール溶液で腐食した試験片(サイズ:被顕面積約10mm×10mm)を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察して写真撮影を行う。観察視野10視野(1.35mm×1.80mm/視野)について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」を用いて画像解析を行い、視野中に観察される旧オーステナイトの粒径を測定し、観察視野10視野の平均値を「旧オーステナイトの平均粒径」とする。
更に、本発明の超高強度鋼において、XAFS法によりCuの蛍光X線スペクトルを測定したとき、K吸収端近傍の8.98keVのピーク高さは、規格化した蛍光収量で0.340〜0.38の範囲内にある。これにより、強度と延性とのバランスに優れ、且つ、耐遅れ破壊特性も高められた超高強度鋼が得られる。
ここで、XAFS法について説明する。
XAFSとは、X−ray Absorption Fine Structure(X線吸収微細構造)の略であり、X線吸収分光法による状態解析の一種である。一般に、分光結晶を用いてステップスキャンによりX線のエネルギーを増加させながら材料の吸収係数を測定すると、材料の吸収係数は、X線のエネルギーの増加に対応して減少するが、相互作用の大きい領域では急激に増加する。このX線のエネルギー領域はX線吸収端と呼ばれている。ここでは、X線の吸収によって発生した光電子の一部が隣接する原子と衝突し、散乱された光電子の一部と干渉を起こすなどの現象が見られ、X線の吸収係数に変調を及ぼし、微細構造として現われる。このため、この領域に現れる吸収係数上の微細構造を分光することにより、原子の微視的構造に関する情報が得られることが知られている。X線の吸収端付近±50eV程度の領域をXANES(X−ray absorption Near Edge Structure、X線吸収端微細構造)と呼び、それよりも高エネルギー側1000eV程度にわたるゆっくりと振動する構造が存在する領域をEXAFS(Extend X−ray absorption Fine Structure)と呼ぶ。XANESからは、原子の配置の対称性や電子状態などに関する情報が、EXAFSからは、原子の周りの動径分布や配位数などの情報が得られる。
本発明者は、耐遅れ破壊特性の指標である水素トラップ能力は、Cu粒子のfcc構造の増加に伴って増加することに着目し、Cu粒子のfcc構造を上記XAFS法に基づいて測定することにした。前述したように、水素トラップ能力は、鉄マトリックスとナノCu粒子との非整合界面の増加に伴って上昇するが、この非整合界面の割合は、Cu粒子の結晶構造が安定なfcc構造の増加に伴って増加するからである。
図1を参照しながら、XAFS法による測定方法の詳細を説明する。ここでは、後記する実施例の表2のNo.1(本発明例)を用いて説明する。
まず、(財)高輝度光科学研究センター大型放射光実験施設SPring−8の産業用専用ビームライン(SUNBEAM)のBL38B1XAFS実験測定装置を用い、蛍光法により、常温にて、CuのK吸収端近傍(XANES部分)の蛍光X線(Kα線)スペクトルを測定した。測定には、Si(III)結晶分光器を用いた。CuのK吸収端前後でステップスキャンによりエネルギーをずらしながら、各エネルギー点で発生するCuのKα蛍光線を7素子のSDD検出器により検出した。
次に、XANES部分のうち8.98keVのスペクトル強度(ピーク高さ)を算出するために、「規格化した蛍光収量」に補正した。補正は、CuのK吸収端の前後でバックグラウンド吸収に相当する部分を多項式関数でそれぞれフィットし、生スペクトルから差し引いた後、吸収端全体のジャンプ量(エッジジャンプ)を1に規格化して行った。
その結果を図1に示す。
図1に示すように、No.1の「規格化した蛍光収量」は0.365であり、本発明の範囲(0.340〜0.38)を満足しているため、耐遅れ破壊特性に極めて優れている(後記する実施例の表2を参照)。
所望とする耐遅れ破壊特性および強度を確保するためには、上記のようにして算出された規格化した蛍光収量は、0.340〜0.38の範囲内にあることが必要である。0.340未満では、水素トラップ能力が小さいため、耐遅れ破壊特性が低下し、一方、0.38を超えると、ナノCu粒子の平均粒径が大きくなり、強度が低下する(後記する実施例を参照)。規格化した蛍光収量は、0.345以上0.370以下であることが好ましく、0.350以上0.360以下であることがより好ましい。
次に、本発明鋼の鋼中成分を説明する。鋼中成分は、すべて、質量%で表される。
C:0.1〜1.0%
Cは、マルテンサイト変態時に高密度の転位を導入して焼戻マルテンサイトを生成させ、時効過程においてナノCu粒子を均一に分散させることによって所望の強度を確保するために必要な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Cを0.1%以上添加する。ただし、過剰に添加しても上記作用が飽和し、経済的に無駄であるため、Cの上限を1.0%とした。Cは、0.13%以上0.80%以下であることが好ましく、0.15%以上0.60%以下であることがより好ましい。なお、約1300〜1400MPa程度の極めて高い超高強度鋼を得るためには、Cを0.3%超とすることが好ましい。
Si:2%以下(0%を含まない)
Siは、脱酸および固溶強化に有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Siを0.01%以上添加することが好ましく、0.02%以上添加することがより好ましい。ただし、Siを過剰に添加すると、靭性が劣化するため、上限を2%とする。Siの上限は1.8%であることが好ましく、1.5%であることがより好ましい。
Mn:0.5〜3%
Mnは、鋼の焼入れ性を確保してマルテンサイト組織を得るために必須の元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Mnを0.5%以上添加する。ただし、Mnを、3%を超えて過剰に添加しても、上記作用が飽和してしまい、経済的に無駄であるため、その上限を3%とした。Mnは、0.6%以上2.0%以下であることが好ましく、0.7%以上1.5%以下であることがより好ましい。
Cu:1.5〜5%
Cuは、所望とするナノCu粒子を分散させるために極めて重要な元素である。Cuの添加量が1.5%未満の場合、析出するナノCuの量が不十分となり、所望の効果が得られない。一方、Cuを、5%を超えて過剰に添加してもナノCuによる作用が飽和し、経済的に無駄であるため、Cuの上限を5%とする。Cuは、1.8%以上4%以下であることが好ましく、2.0%以上3.5%以下であることがより好ましい。
本発明の鋼は、上記成分を含有し、残部:Feおよび不可避不純物である。
例えば、不可避不純物であるPおよびSは、いずれも、含有量が多くなると靭性や加工性が劣化するため、Pを0.08%以下、Sを0.01%以下に抑制することが好ましい。
また、不可避的不純物であるsol.AlおよびNは、それぞれ、0.1%以下、0.007%以下に抑制することが好ましい。
次に、前述した本発明の超高強度鋼を製造する方法を説明する。
本発明の製造方法は、前述した鋼中成分を満足する鋼を圧延する工程(a)と、圧延後に焼入れする工程(b)と、焼入れ後に時効する工程(c)と、を包含し、前記工程(a)は、Ar3変態点以上の温度で仕上圧延を行う工程を含み、前記工程(b)は、825℃以上850℃未満の加熱温度で焼入れする工程(b−1)、または850℃以上900℃以下の加熱温度で焼入れする工程を2回以上行う工程(b−2)を含み、前記工程(c)は、400〜600℃の温度を下式(1)によって定められる時間の範囲で時効する工程を含むことを特徴とする。
{(768-20.3×[Cu])-T}/(4.9×[Cu]+46.2)≦ln(t)≦{(705-7×[Cu])-T}/(1.1×[Cu]+35.5)・・・(1)
式中、[Cu]は、Cuの含有量(質量%)、
tは、時効時間(min)、
Tは、時効温度(℃)である。
まず、所定の成分を含有する鋼を鋳造した後、熱間圧延を行う(工程(a))。
加熱温度は、特に限定されず、例えば、約1100〜1300℃の範囲内とする。
仕上げ圧延工程は、所望とする加工性や耐遅れ破壊特性などを確保するために重要であり、Ar3変態点以上の温度で仕上圧延を行うことが好ましい。
仕上げ圧延後に冷却する。本発明では、後に詳しく説明するように、主に、熱間圧延後の焼入れ工程(工程(b))および時効工程(工程(c))において、所望とするマルテンサイトを確保しているため、熱間圧延後の熱履歴(冷却速度や冷却停止温度など)は、特に限定されないが、例えば、約200℃までの温度(冷却停止温度)を、約0.5℃/sec以上の平均冷却速度で冷却することが好ましい。
上記の熱間圧延後に、必要に応じて、酸洗または冷間圧延を行っても良い。冷延率は、特に限定されないが、例えば、約20〜70%の範囲内であることが好ましい。
次に、焼入れ工程を行う(工程(b))。
焼入れ工程(b)では、下記(b−1)または(b−2)に示す工程(オーステナイト化処理)を行う。これにより、旧オーステナイトの平均粒径を微細化することができ、所望とする焼戻マルテンサイトが多く生成するため、耐遅れ破壊特性が向上する。(b−1)工程と(b−2)工程とは、主に、オーステナイト化処理の加熱温度(焼入れ温度)の範囲が相違しており、設定される加熱温度に応じて、いずれかのパターンを選択することができるが、作業効率などを考慮すると、(b−1)工程を選択することが好ましい。
(b−1):825℃以上850℃未満の加熱温度で焼入れする方法
上記の加熱温度が825℃未満の場合、初析フェライトが生成し、耐遅れ破壊特性が低下し、一方、850℃以上の場合、旧オーステナイトの平均粒径が粗大化してしまう(後記する実施例を参照)。加熱温度は、830℃以上845℃以下であることが好ましい。また加熱時間は、おおむね、10分間以上2時間以下であることが好ましい。
加熱後の冷却条件は、特に、所定面積のマルテンサイトを確保するという観点から、約250℃までの温度を約10〜200℃/secの平均冷却速度で急冷することが好ましい。
(b−2):850℃以上900℃以下の加熱温度で焼入れする工程を2回以上行う方法
オーステナイト化処理の加熱温度を前記(b−1)工程よりも高く設定する場合は、主に、旧オーステナイトの結晶粒を微細化するという観点から、焼入れする工程を2回以上行う。具体的には、850℃以上900℃以下(好ましくは850℃以上880℃以下)の加熱温度で、おおむね、1〜10分間保持した後、約250℃までの温度を約10〜200℃/secの平均冷却速度で急冷する焼入れ処理を2回以上行うことが好ましい。加熱温度が850℃未満の場合、均一に加熱されない恐れがあり、一方、加熱温度が900℃を超えると、旧オーステナイトの結晶粒が微細化されない恐れがある。また、上記の焼入れ処理を2回以上繰り返さないと、旧オーステナイトの結晶粒が微細化されないなどの問題がある。焼入れ処理の回数は多い程良く、例えば、3回以上であることが好ましい。その上限は、特に限定されないが、実操業上、5回であることが好ましい。
なお、各焼入れ処理における加熱温度は、上記の範囲を満足する限り、同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、後記する実施例に示すように、1回目の焼入れ処理時の加熱温度を880℃と高くし、2回目の焼入れ処理時の加熱温度を850℃と低くしてもよい。
次に、時効処理を行う(工程(c))。時効処理を行う前に、必要に応じて、冷間圧延などの冷間加工を行ってもよい。
具体的には、時効処理は、400〜600℃の温度を下式(1)によって定められる時間の範囲で行う。
{(768-20.3×[Cu])-T}/(4.9×[Cu]+46.2)≦ln(t)≦{(705-7×[Cu])-T}/(1.1×[Cu]+35.5)・・・(1)
式中、[Cu]は、Cuの含有量(質量%)、
tは、時効時間(min)、
Tは、時効温度(℃)である。
ここでは、前述した方法によって得られたマルテンサイト組織中に、Cu粒子を均一にナノメートルレベルで微細に分散させると共に、マルテンサイト組織を適度に焼戻して焼戻マルテンサイトを得るため、所定の時効処理を行っている。
時効温度(T)は400〜600℃とする。400℃未満では、ナノCuの析出が不十分となり、良好な強度−延性のバランスが得られない。一方、600℃を超えて時効を行うと、析出するCu粒子が極端に粗大化すると共に、マルテンサイト組織も過剰に焼戻され、強度の低下が著しくなる。時効温度の下限は420℃が好ましく、一方、その上限は550℃が好ましく、520℃以下がより好ましい。
時効時間(t)は、上式(1)で表される範囲内で行う。上式(1)は、Cu粒子の析出速度を制御して粗大化を防止すると共に、水素トラップ能力を高めて耐遅れ破壊特性を改善するための最適な時効時間(t)を、時効温度(T)とCuの含有量([Cu])との関係で表したものであり、本発明者による多くの基礎実験を通じて設定されたものである。
時効時間が上式(1)の下限を下回ると水素トラップ能力が低下し、上記のようにして算出される蛍光収量も所定範囲を下回り、耐遅れ破壊特性が劣化する。一方、上式(1)の上限を超えるとCu粒子が粗大化し、所望の強度が得られないほか、蛍光収量も所定範囲を超えてしまう。時効時間は、下式(2)を満足することが好ましく、下式(3)を満足することがより好ましい。
{(768-20.3×[Cu])-T}/(3.9×[Cu]+43.2)≦ln(t)≦{(705-7×[Cu])-T}/(1.1×[Cu]+35.5)・・・(2)
{(768-20.3×[Cu])-T}/(3.9×[Cu]+43.2)≦ln(t)≦{(715-7×[Cu])-T}/(1.1×[Cu]+45.5)・・・(3)
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
まず、表1に示す組成の鋼材A〜E(残部はFeおよび不可避不純物である。)を溶製した後、1200℃に加熱し、仕上圧延温度950℃で熱間圧延を行った。上記の鋼材A〜Eのうち、A、B、Eは、本発明で規定する鋼中成分を満足する例であり、CはCu量が低い比較例、DはCuを含まない比較例である。
次に、表2に示す条件で焼入れおよび時効処理を行った。
詳細な焼入れ条件は、以下のとおりである。
(表2のNo.1〜2、4、6〜16)
これらは、前述した工程(b−1)で焼入れを行った例であり、表2に示す種々の温度で加熱し、30分間時間保持した後、水冷した。
(表2のNo.5)
No.5は、前述した工程(b−2)で焼入れを行った例である。まず、表2に示すように880℃に加熱し、30分間保持した後、水冷した(1回目の焼入れ処理)。次に、表2に示すように850℃に加熱し、1回目の焼入れ処理と同様に30分間保持した後、水冷した(2回目の焼入れ処理)。
(表2のNo.3)
No.3は、焼入れ工程を行わなかった例であり、熱間圧延後、直ちに時効処理を行った。
このようにして得られた各供試材を用い、前述した方法に基づいてCu粒子の平均粒径、旧オーステナイトの平均粒径、および規格化した蛍光収量を測定すると共に、以下のようにして、組織および各特性を測定した。
(1)組織の観察方法
フェライト組織を除く組織について、板材の場合はt/4(t=板厚)、線材や棒鋼の場合はD/4(断面の直径)の位置で圧延方向と平行な面の組織を光学顕微鏡観察(倍率1500倍)で観察し、その面積率を測定した。
フェライト組織については、上記面を研磨仕上げし、ナイタール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡観察(倍率1500倍)で観察し、その面積率を測定した。
(2)引張強度および伸び
圧延方向に垂直な横断面からJIS5号試験片を採取して引張試験を行い、引張強度(TS)および伸び[全伸びのこと(El)]を測定した。引張試験のクロスヘッドスピードは1mm/secとした。
ここでは、TS≧1200MPa、El≧10.0%を合格とする。加工性の指標である「TS×El」は、TSのレベルに応じて、以下のように判定する。
TSが1200〜1350MPaの場合、TS×El≧17000を合格。
TSが1350MPa以上の場合、TS×El≧15000を合格。
(3)耐遅れ破壊特性
図2に示す試験片を用意し、以下に示す水素チャージ条件下でSSRT試験(Slow Strain Rate Test、低歪速度引張試験)を行い、そのときに侵入する水素量を以下のようにして測定した。
(水素チャージ条件)
電解液:HSO水溶液(KSCNを0.01mol/L含有、pH=3)
電解電流密度:4〜10mA/cm
プレチャージ時間:16時間
SSRT中連続チャージ
(SSRT条件)
クロスヘッドスピード:2μm/min
(歪み速度:1×10-6-1
(水素量の測定)
水素チャージ後の水素量は、日立東京エレクトロン(株)製超高感度ガス分析装置UG−240APNに、試料の昇温機構として真空理工(株)製E410−7101型赤外線イメージ炉を組付けた大気圧イオン化質量分析(Atmospheric Pressure Ionization Mass Spectrometer、API−MS)を用いて測定した。具体的には、キャリガスとして流量8000mL/minのArガスを使用し、12℃/minの昇温速度で室温〜200℃まで加熱し、その間に検出される水素量(積算放出量)を求めた。
(遅れ破壊水素量の測定)
次に、電解電流密度を変えることによって水素量(水素チャージ量)を種々変化させ、水素チャージ前の引張強度(TS0)と水素チャージ後の引張強度(TS1)の比(TS1/TS0)が0.6になる水素量を求め、この水素量を遅れ破壊水素量と定義した。
遅れ破壊水素量が多い試験片は、耐遅れ破壊特性に有害な水素を吸収しやすいことを意味する。ここでは、遅れ破壊水素量が0.20ppm以上の試験片を本発明例(合格)とした。
これらの結果を表2に併記する。表2の母材の欄において、Mは焼戻マルテンサイト組織、Fはフェライト組織、Pはパーライト組織を、それぞれ、意味する。例えば、表2中、「M」は、焼戻マルテンサイトが100面積%で、フェライトは0%であることを意味する。表2において、本発明に規定する要件を外れる例に下線を付した。
Figure 2007239051
Figure 2007239051
表2中、No.1、5、6、8、13、16、および17は、いずれも、本発明で規定する要件を満足する本発明例であり、高強度を有し、加工性および耐遅れ破壊特性に優れている。
これに対し、以下の比較例は、それぞれ、以下の理由により、耐遅れ破壊特性が低下した。なお、TSが著しく低下したNo.3、7、10、11、14、TSは高いがEl及びTS×Elが低いNo.15では、遅れ破壊試験を行わなかった。
No.2は焼入れ温度が高いため、旧オーステナイトの粒径が粗大化した。
No.3は、焼入れ処理を行わなかったため、熱間圧延後の組織(フェライト+パーライトの混合組織)がそのまま残り、所望とする焼戻マルテンサイト組織が得られなかった。その結果、引張強度も著しく低下した。
No.4は焼入れ温度が低いため、焼戻マルテンサイトのほかに約10%のフェライトが鋼中に生成した。
No.7は、低い温度で時効処理を短時間行ったため、Cu粒子が微細化し、所望とする蛍光収量が得られなかった。また、引張強度も著しく低下した。
No.9は、時効時間が短いため、Cu粒子が微細化し、所望とする蛍光収量が得られなかった。
No.10は、時効処理を長時間行ったため、Cu粒子が粗大化し、所望とする蛍光収量が得られなかった。また、引張強度も著しく低下した。
No.11は、高温で時効処理を長時間行ったため、Cu粒子が粗大化し、所望とする蛍光収量が得られなかった。また、引張強度も著しく低下した。
No.12は焼入れ温度が高いため、旧オーステナイト粒径が粗大化し、耐遅れ破壊特性が低下した。また、加工性も低下した。
No.14は、Cu含有量が少ない鋼材Cを用い、短時間の時効処理しか行わなかった例であり、Cu粒子が微細化し過ぎると共に、旧オーステナイトの平均粒径が粗大化し、所望とする蛍光収量が得られなかった。また、引張強度も著しく低下した。
No.15は、Cuを添加しない鋼材Dを用いた例である。ここでは、低い温度で時効処理を行ったため、所望とする焼戻マルテンサイトが生成して所定の強度は確保できたものの、伸びが著しく低下した。そのため、蛍光収量の測定、および遅れ破壊試験は行わなかった。
No.18は、焼入れ温度が高い例であり、旧オーステナイトの平均粒径が大きくなった。
No.19は、時効処理を短時間しか行わなかったため、所望とする蛍光収量が得られなかった。
図1は、実施例の表2のNo.1(本発明例)について、規格化した蛍光収量と光子エネルギーとの関係を示すグラフである。 図2は、実施例に供した遅れ破壊試験片を示す概略平面図である。

Claims (3)

  1. 鋼中成分は、質量%で、
    C :0.1〜1.0%、
    Si:2%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.5〜3%、
    Cu:1.5〜5%、
    残部:Feおよび不可避不純物
    を満足し、
    旧オーステナイトの平均粒径は7μm以下であり、
    組織は、焼戻マルテンサイトを主体として含有し、
    前記組織中に、平均粒径1.5〜50nmのCu粒子が分散していると共に、
    XAFS(X−ray absorption Fine Structure)法によりCuの蛍光X線スペクトルを測定したとき、K吸収端近傍の8.98keVのピーク高さは、規格化した蛍光収量で0.340〜0.38の範囲内にあることを特徴とする加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼。
  2. 鋼中成分は、質量%で、
    C :0.3%超〜1.0%、
    Si:2%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.5〜3%、
    Cu:1.5〜5%、
    残部:Feおよび不可避不純物
    を満足し、
    旧オーステナイトの平均粒径は10μm以下であり、
    組織は、初析フェライトを含まない焼戻マルテンサイトを主体として含有し、
    前記組織中に、平均粒径1.5〜50nmのCu粒子が分散していると共に、
    XAFS(X−ray absorption Fine Structure)法によりCuの蛍光X線スペクトルを測定したとき、K吸収端近傍の8.98keVのピーク高さは、規格化した蛍光収量で0.340〜0.38の範囲内にあることを特徴とする加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼。
  3. 請求項1または2に記載の超高強度鋼を製造する方法であって、
    前記鋼中成分を満足する鋼を圧延する工程(a)と、
    圧延後に焼入れする工程(b)と、
    焼入れ後に時効する工程(c)と、を包含し、
    前記工程(b)は、825℃以上850℃未満の加熱温度で焼入れする工程(b−1)、または850℃以上900℃以下の加熱温度で焼入れする工程を2回以上行う工程(b−2)を含み、
    前記工程(c)は、400〜600℃の温度を下式(1)によって定められる時間の範囲で時効する工程を含むことを特徴とする、加工性および耐遅れ破壊特性に優れた超高強度鋼の製造方法。
    {(768-20.3×[Cu])-T}/(4.9×[Cu]+46.2)≦ln(t)≦{(705-7×[Cu])-T}/(1.1×[Cu]+35.5)・・・(1)
    式中、[Cu]は、Cuの含有量(質量%)、
    tは、時効時間(min)、
    Tは、時効温度(℃)である。
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