JP2007238901A - 黒色材料と黒色遮光膜、黒色微粒子分散液及び黒色遮光膜付き基材並びに黒色遮光膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の黒色材料は、核となるSn微粒子2が、AgSn合金、Ag及びAgSn合金のいずれか1種からなる緻密な外殻層3により被覆され、かつ、平均粒子径が1nm以上かつ300nm以下のコアシェル粒子1からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
これらの黒色材料は、黒色光遮蔽性フイルム、黒色光遮蔽性ガラス、黒色紙、黒色布、黒色インキ、プラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)のブラックマトリックス材料、ブラックシール材、ブラックマスク材等に黒色や光遮蔽性を付与する材料として利用されている。
さらに、感光材料の分野では、鮮鋭性を向上させ、裏面から露光された光学情報を適切な濃度で記録し、かつ現像処理時の赤外線検出特性が改良された写真用の感光材料として、水性ゼラチン中に黒色コロイド銀を分散した黒色コロイド銀分散物が提案されている(特許文献3参照)。
これらの黒色材料を白色基材上に黒色の線を描く記録材として用いた場合、光遮蔽性が弱いために下地の白色基材との境界線部分がぼやけてしまい、シャープな線を描くことができないという問題点があった。
これらの黒色材料を光遮蔽材料として用いた場合、光遮蔽性を高めるためには材料中の黒色材料の体積比を多くする必要があり、相対的にバインダーの含有量が減少することになる。したがって、これらの黒色材料を用いて黒色塗膜を作製した場合、塗膜の強度が低下し、信頼性を維持することができないという問題点があった。
また、写真フイルム等に用いられている臭化銀を還元することにより生成される銀粒子は、黒色度及び光遮蔽性に優れているが、銀自体が貴金属で、しかも高価であることから、一部の高額な製品は別として、一般に汎用製品の黒色材料として用いられることはない。
さらに、銀コロイドを用いて黒色塗膜を形成する場合では、遮光性には優れるものの、メタリック色を帯びるために、優れた黒色度を発現することができない。
前記外殻層は、緻密であることが好ましい。
前記外殻層は、銀錫合金微粒子、銀及び銀錫合金微粒子のいずれか1種からなることが好ましい。
本発明の黒色微粒子分散液は、本発明の黒色材料を含有してなることを特徴とする。
本発明の黒色遮光膜付き基材は、基材上に、本発明の黒色遮光膜を備えてなることを特徴とする。
本発明の黒色遮光膜の製造方法は、基材上に本発明の黒色微粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、次いで、この塗膜に乾燥処理または熱処理を施すことを特徴とする。
また、外殻層を銀錫合金、銀及び銀錫合金のいずれかにより構成したので、錫粒子と比較して耐熱性及び耐食性を向上させることができる。
また、核の主成分を錫としたので、銀粒子と比較して安価である。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
また、外殻層にAgSn合金、Ag及びAgSn合金のいずれか1種を用いたことにより、Sn粒子に比べて耐熱性に優れたものとなり、機械的強度も高く、摩耗し難い。
ここで、Agの含有率を30重量%以上かつ80重量%以下と限定した理由は、Agの含有率が30重量%未満であると、Snを主成分とする核を、AgSn合金、またはAg及びAgSn合金により充分に被覆することができず、熱的安定性に乏しいSn粒子が酸化し易くなり、変色等が生じ易くなり、したがって、黒色度の低下、遮光性の低下を生じる虞があるからであり、一方、Agの含有率が80重量%を越えると、遮光性は優れるものの、材料自体が金属色を帯びるようになり、反射率が高くなるという問題が生じるからである。
図1は、本実施形態のコアシェル粒子の断面構造を示す模式図であり、図において、1は平均粒子径が1nm以上かつ300nm以下のコアシェル粒子であり、核となるSn微粒子2が、AgSn合金、Ag及びAgSn合金のいずれか1種からなる緻密な外殻層3により被覆された構造である。
図2は、本実施形態のコアシェル粒子の断面構造の他の例を示す模式図であり、このコアシェル粒子11が図1のコアシェル粒子1と異なる点は、核となるSn微粒子2が、AgSn合金、Ag及びAgSn合金のいずれか1種からなる微粒子12が密に集合した外殻層13により被覆された点である。
また、用途に応じて基材を選択し、この基材上に本実施形態の黒色遮光膜を成膜することにより、本実施形態の黒色遮光膜付き基材を作製することができる。
また、核をSn微粒子とし、外殻層をAgSn合金、Ag及びAgSn合金のいずれか1種により構成したコアシェル構造を有するので、耐熱性及び耐食性を向上させることができる。
また、核をSn微粒子としたので、Ag粒子と比較して安価である。
以上により、黒色度が高く、遮光性及び耐熱性に優れ、しかも、環境負荷が小さく、安価な黒色材料を容易に提供することができる。
錫コロイド(平均粒子径:30nm、固形分:10重量%、住友大阪セメント社製)を10g分取し、これに純水を加え、全容量が300mlのA液を作製した。
また、ぶどう糖23gと酒石酸2.0gとエタノール40gに純水を加え、全重量が500gのB液を作製した。
また、硝酸銀15gに濃アンモニア水(NH3:28%)を50ml加え、さらに純水を加え、全重量が500gのC液を作製した。
次いで、この溶液をマグネチックスターラを用いて10分間攪拌し、その後、遠心分離により洗浄を行い、固形分が15%のE液を作製した。
また、このE液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、実施例1の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
図3は、実施例1の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図であり、図中、○印はSnの回折線、×印はAgの回折線、△印はAg4Sn合金相またはAg3Sn合金相の回折線である。
この粉末X線回折図形と上記の合成手順により、E液中の粒子は、核となるSn粒子の表面をAg・Sn合金微粒子で覆ったコアシェル構造であることが分かった。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色塗膜付きガラス基板を250℃にて乾燥し、黒色遮光膜付きガラス基板を作製した。
また、粉末X線回折に用いた粉末試料の元素分析を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて行い、粉末試料のAg含有率を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
実施例1にてA液に加えたD液の量を100gとした以外は、実施例1に準じて固形分が15%のF液を作製した。
このF液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が70〜90nmの表面が滑らかな粒子であった。
また、このF液から実施例1と同様にして実施例2の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
この粉末X線回折図形と上記の合成手順により、F液中の粒子は、核となるSn粒子の表面をAg及びAg・Sn合金からなる緻密な層で覆ったコアシェル構造であることが分かった。
これらの測定結果を表1に示す。
実施例1にてA液に加えたD液の量を10gとした以外は、実施例1に準じて固形分が15%のG液を作製した。
次いで、このG液を用いて、実施例1と同様にして塗膜の厚みが0.5μmの黒色膜付きガラス基板を作製し、実施例1と同様にして黒色膜の膜厚、光学濃度(OD)、反射率及びAg含有率を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
銀ナノ粒子(住友大阪セメント製)に、銀ナノ粒子:PVA=25:75の体積比となるようにPVA水溶液を加え、実施例1と同様に分散処理、塗布、乾燥を行い、塗膜の厚みが0.5μmの黒色膜付きガラス基板を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、この黒色膜の膜厚、光学濃度(OD)、反射率を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
カーボンブラック HA3(東海カーボン社製)に、カーボンブラック:PVA=25:75の体積比となるようにPVA水溶液を加え、実施例1と同様に分散処理、塗布、乾燥を行い、塗膜の厚みが0.5μmの黒色膜付きガラス基板を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、この黒色膜の膜厚、光学濃度(OD)、反射率を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
一方、比較例1、3の黒色膜は、光学濃度が低く、実施例1、2の黒色遮光膜と比べて遮光性が劣っていることが分かった。
また、比較例2の黒色膜は、実施例1、2の黒色遮光膜とほぼ同等の遮光性が得られるものの、膜の反射率が高く、色調に問題があった。
2 Sn微粒子
3、13 外殻層
12 微粒子
Claims (8)
- 錫を主成分とする核を、銀錫合金、銀及び銀錫合金のいずれか1種からなる外殻層により被覆してなるコアシェル粒子からなり、かつ、このコアシェル粒子の平均粒子径は1nm以上かつ300nm以下であることを特徴とする黒色材料。
- 前記コアシェル粒子は、銀を30重量%以上かつ80重量%以下含有してなることを特徴とする請求項1記載の黒色材料。
- 前記外殻層は、緻密であることを特徴とする請求項1または2記載の黒色材料。
- 前記外殻層は、銀錫合金微粒子、銀及び銀錫合金微粒子のいずれか1種からなることを特徴とする請求項1、2または3記載の黒色材料。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載の黒色材料を含有してなることを特徴とする黒色遮光膜。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載の黒色材料を含有してなることを特徴とする黒色微粒子分散液。
- 基材上に、請求項5記載の黒色遮光膜を備えてなることを特徴とする黒色遮光膜付き基材。
- 基材上に請求項6記載の黒色微粒子分散液を塗布して塗膜を形成し、次いで、この塗膜に乾燥処理、熱処理、紫外線照射または赤外線照射を施すことを特徴とする黒色遮光膜の製造方法。
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