JP2007237716A - 半導体装置、インクカートリッジ及び電子機器 - Google Patents

半導体装置、インクカートリッジ及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】インクカートリッジ内のインク情報を簡易な構成で正確かつ確実に検出及び管理することができ、インクの無駄遣いを防止してユーザーの満足度を向上させることのできる半導体装置、インクカートリッジ及び電子機器を提供する。
【解決手段】半導体基板10と、インクに接液することでインクの残量を検出する接液電極12,12と、インクの残量を記憶するEEPROMと、プリンタ本体側の第1のアンテナとの間で情報の授受を行う第2のアンテナ3と、接液電極12,12、第2のアンテナ3及びEEPROMを制御するコントローラとを有してなり、接液電極12,12は半導体基板10の裏面10b側に設けられるとともに貫通電極9,9を介して能動素子形成面10a側の素子電極11,11と電気的に接続され、第2のアンテナ3は半導体基板10の能動素子形成面10a及び裏面10bのいずれか一方に設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置、インクカートリッジ及び電子機器に関するものである。
従来、インクによって記録を行うプリンタ等におけるインクカートリッジのインク消費の管理方法としては、記録ヘッドでのインク滴の吐出数やメンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウェアにより積算してインク消費を計算により管理する方法などがある。
しかしながら、ソフトウェアによりインク消費を計算上管理する上記の方法には、次のような問題がある。ヘッドの中には吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。このインク滴の重量バラツキは画質に影響を与えることはないものの、バラツキによるインク消費量の誤差がインクカートリッジ内に累積してしまう。そのため、計算上で得られたインク残量と実際のインク残量とが異なり、インク残量がゼロと表示された場合にも、実際には、インクカートリッジ内にインクが余っているという問題があり、インクの無駄遣いが発生しユーザーが問題意識を持つ場合があった。
上記の課題を解決すべく、特許文献1には、圧電装置を用いてインクカートリッジ内のインク残量を監視する技術が開示されている。この方法によれば、圧電装置の振動部の残留振動に起因して発生する残留振動信号の共振周波数が変化することを利用して、インクカートリッジ内のインク残量を監視することができる。
特開2002−283586号公報
しかし、この特許文献1は、センサ構造が複雑で、それに伴いシステムも複雑化していることから製造コストが掛かってしまっていた。また、圧電装置に接続された電極端子は、カートリッジをホルダ内にセットした際に、ホルダ内に設けられた接触端子に接触することにより電気的に接続されるようになっている。そのため、インクカートリッジと本体機器との電気的接点の信頼性が問われることもあった。
さらに、従来技術においては、インク情報を検出する検出電極とインク情報を記憶する記憶回路とがそれぞれ独立したシステムで本体機器を介してインク検出情報を記憶回路に記憶させるシステムとなっていることが多く、双方の情報を統合し、例えばプリンタ本体にインクカートリッジをセットしない状態で機能させることができないなど簡便で詳細な情報管理は難しいものとなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクカートリッジ内のインク情報を簡易な構成で正確かつ確実に検出及び管理することができ、インクの無駄遣いを防止してユーザーの満足度を向上させることのできる半導体装置、インクカートリッジ及び電子機器を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、アンテナを備えた電子機器本体に用いられるインクカートリッジに設けられ、インクカートリッジ筐体の収容部に収容されるインクの残量を検出する半導体装置であって、半導体基板と、インクに接液することで該インクの残量を検出する検出電極と、インクの残量を記憶する記憶回路と、電子機器本体側のアンテナとの間で情報の授受を行うアンテナと、検出電極、アンテナ及び記憶回路を制御する制御回路と、を有してなり、検出電極は、半導体基板の能動素子形成面とは反対側の裏面側に設けられるとともに貫通電極を介して能動素子形成面側の電極と電気的に接続され、アンテナは、半導体基板の能動素子形成面及び裏面のいずれか一方に設けられることを特徴とする。
一般的に強アルカリ性であるインクは化学的な腐食性が強いが、この構造によれば、インクに接液する検出電極を半導体基板の裏面側に形成することにより、能動素子形成面(表面)に設けられる能動素子へのインクの影響を防ぐことができる。また、接液電極がインクに接液による、接液電極間の抵抗・電流変化を測定することで収容部内のインクの残量(実量)等を検出できることからインクカートリッジ内のインクの有無を確実に把握することができ、これにより、インクを収容部に残すことなくインクカートリッジを交換することが可能となるのでユーザーのインクに掛かるコストを削減することができるようになり、ユーザーの満足度を向上させることができる。このことは、以下に説明するすべての作用効果にも共通する重要な内容である。
また、アンテナを用いることで電子機器本体とインクカートリッジとの間の無線伝送が可能となるため、インクカートリッジが電子機器本体にセットされていない状態であっても、記憶回路の内容情報の参照や該記憶回路への書き込み等を非接触で容易に行うことができる。これにより、インク情報の管理コストを削減することが可能となる。このアンテナは、半導体基板の表裏いずれかに設けてもよいことから、実施する形態に応じて、製造の容易性やアンテナ特性向上等の面から適宜選択して形成される。
このような半導体装置は、電子機器本体側からのインク情報(例えば、色、液滴カウント数等)と、検出電極からのインク情報(例えば、残量,実量等)と、を統合して記憶回路に記憶させることができるので、インクに対する幅広い情報管理が可能となる。
また本発明の半導体装置は、貫通電極の一部を検出電極として利用することも好ましい。
この構成によれば、さらに、貫通電極を検出電極として利用することによって、配線を引き回すことなく半導体基板の表裏を良好に導通させることができる。このように、半導体装置に必要な電極を利用することができるので、製造工程を簡略化できてコスト削減を図ることができる。
また、貫通電極の一部を裏面から突出させ、その突出部分を検出電極として利用することも好ましい。
この構成によれば、インクに検出電極が十分に接液することができるので、誤った検出信号の検出を防止できるとともに、正確なインク情報を得ることができる。
また、半導体基板の裏面側に、パッシベーションを介して形成される導電層と、該導電層を覆うようにして形成される保護膜と、該保護膜に形成され且つ導電層の少なくとも一部を露出させる開口部と、を備え、開口部から露出する導電層の一部を検出電極とすることも好ましい。
この構成によれば、開口部から露出する導電層の一部を検出電極としているため、例えば、隣り合う検出電極間のピッチを広げることができる。また、開口部の大きさによって検出電極の大きさが決定されるため、検出電極を所望の大きさ(範囲)で形成することができる。
また、半導体基板の裏面側に、パッシベーションを介して形成される導電層と、該導電層を覆うようにして形成される保護膜と、該保護膜に形成され且つ導電層の少なくとも一部を露出させる開口部と、を備え、開口部より露出した導電層上にバンプを形成し、該バンプを検出電極とすることも好ましい。
この構成によれば、導電層上にパンプを形成することにより、能動素子形成面と検出電極との距離、つまり、相互間における半導体素子の厚さ方向における距離を稼ぐことができるので、能動素子形成面に対するインクの影響を防止することができる。
また、検出電極の下層側に絶縁体層が形成されていることも好ましい。
この構成によれば、検出電極の下層側に絶縁体層を形成することによって、半導体基板からの検出電極の距離を稼ぐことができるので能動素子に対するインクによるダメージを防止することができる。
また、アンテナ及び検出電極が、半導体基板上の能動素子を構成する導電材料と同一の導電材料によって能動素子形成面或いは裏面上に直接形成されていることも好ましい。
この構成によれば、能動素子からなる集積回路、情報授受部及び検出電極を一度に形成することができるので、製造が容易となる。
また、検出電極の表面にメッキ膜が形成されていることも好ましい。
この構成によれば、インクに接触する検出電極を、耐薬品性に優れた金属によってめっきすることにより、検出電極の腐食が防止され、内部へのインクの浸入を防止することができ、能動素子に対するインクの影響を防止することができる。また、インクは、強アルカリ性を有するものが殆どであるため、めっき材料に耐薬品性の金属を用いることにより、インクの浸入を確実に阻止することができる。
また、アンテナの下層側に誘電体層が形成されていることも好ましい。
この構成によれば、接液電極の下層側に誘電体層を形成することによって、能動素子形成面からの検出電極の距離を稼ぐことができるので能動素子に対するインクのダメージを防止することができる。また、アンテナの下層側に誘電体層を形成することによって、アンテナ特性を向上させることができる。
本発明の半導体装置は検出電極が、3つ以上形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、仮に2つの検出電極間に気泡やごみが存在して、検出電極による検出精度が低下しても、それ以外の検出電極間で検出精度を補うことができ、正確なインクの有無情報を得ることができる。
また、インク情報を検出及び管理する液センサの機能を果たす上記請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置を少なくとも一つ有し、該半導体装置の検出電極がインクを収容する収容部内に露出するようにインクカートリッジ筐体内に設けたことも好ましい。
この構成によれば、検出電極、制御回路、記憶回路及びアンテナとを一体化した半導体装置を具備することにより、電子機器本体側のインク情報(例えば、色、液滴カウント数等)と検出電極側のインク情報(例えば、残量,実量等)とを統合して記憶回路に記憶させることができるので、インクに対する幅広い情報管理が可能となる。よって、きめ細かい情報管理が行えることでユーザーに有益な情報を正確に伝達することができる。
また、インクの無駄遣いを防止してユーザーの満足度を向上させることができる。そして、半導体装置の検出電極をインクカートリッジ筐体の収容部内に露出させるようにして設けることで、検出電極がインクに直接接することになり収容部内のインクの残量(有無)を確実に検出することができる。また、検出電極以外の半導体装置の他の部分をインクカートリッジ内に埋設させるようにしたので、他の部分に形成された能動素子に対するインクのダメージを阻止することができるとともに不用意なインク液漏れを防止できるのでユーザー満足度も向上する。
加えて、インクカートリッジが電子機器本体にセットされていない状態であっても、記憶回路の内容情報の参照や該記憶回路への書き込み等を行うことができる他、検出電極からのインク情報を電子機器本体を通さずに記録手段に記録させることができる。例えば記憶回路に、インク充填の有無、インクの充填日、インクの終了日及びインク充填回数等のインク情報を、予め記憶させておくことで、上記したインク情報とともにインクに関する詳細な情報を一括管理することができる。
さらに、検出電極と記憶回路とを同一基板上に設けていることからインクカートリッジ単体でインク情報を検出及び管理することも可能となり、インクカートリッジの汎用性を高めることができる。このようにして、インクカートリッジ側に管理検出機能を持たせることができるため、電子機器本体側の配線数が減り、構造を簡易なものとすることができ、電子機器本体の設計レイアウトの自由度向上を実現することができるようになる。これらにより、インクを収容部内に残すことなくインクカートリッジを交換することが可能となる。
本発明のインクカートリッジは、半導体装置の検出電極が収容部の深さ方向に沿って複数設けられ、検出電極が収容部の底面に沿うようにして配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、インク量の低下に伴って、上方の検出電極間から順に、インク無しの情報(液位)が検出され、底面に沿った検出電極でインク無しの情報が検出されると、インクカートリッジから完全にインクがなくなったという情報も得ることができるので、正確なインクの有無情報のみならず、次第に減少するインク量の情報を経時的に的確に得ることができる。このような構成をとることによって、特にユーザー側で気になるインク残量小の領域で、タイムリーなインク残量情報を得ることができるから、ユーザー満足度は大いに向上する。
また、半導体装置が収容部の深さ方向に沿って複数設けられ、複数の半導体装置のうちの少なくとも一つの半導体装置の検出電極が収容部の底面に沿うようにして配置されていることも好ましい。
この構成によれば、収容部の深さ方向に沿って複数の半導体装置を設けることにより、インクの液位を検出することができ、インク残量を正確に把握することができる。また、少なくとも一つの半導体装置の検出電極を収容部の底面に沿うようにして設けることにより、インクの有無を確実に検出することができる。このような構成をとることによっても、特にユーザー側で気になるインク残量小の領域で、タイムリーなインク残量情報を得ることができるから、ユーザー満足度は大いに向上する。
本発明の電子機器は、上記インクカートリッジと、電子機器本体と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、上記したようなインクの情報を確実に検出、管理することができるため、例えば、インクカートリッジの適正な交換時期を決定することができる。そのため収容部にインクを余すことなくインクカートリッジを交換できるので、インクカートリッジの交換サイクルが延長されてインクに掛かるコストダウンが図れるようになり、インクの無駄遣いを防止してユーザーの満足度を向上させることができる。このことは、その他すべての作用効果にも共通する重要な内容である。このように、インクの詳細な情報管理を実現することによって、効率的で無駄のないインクカートリッジのリサイクルが可能となり、ユーザに対するサービスに欠かすこともできない機能となり得る。また、例えば、インク充填回数の情報から、インクカートリッジのリサイクル回数を決定することができるなど、ユーザー側にとってのサービスに欠かすことのできない機能となり得るだけでなく、リサイクルを推進する環境側面からも有益な情報となる。当然、高信頼性、高品質の製品を提供することもできる。
以下、本発明の半導体装置、インクカートリッジ及び電子機器の実施の形態を、図1から図15を参照して説明する。以下に説明する半導体装置1,41は、後述する、第1のアンテナ22を備えたプリンタ本体23(電子機器本体)に装着されるインクカートリッジ7に内蔵されるものである。
[半導体装置]
図1は本発明に係るインクジェット式プリンタの概念を示すブロック図であり、図2は本発明の半導体装置の第1の実施形態を示す断面図であり、図3は本発明の半導体装置の第1実施形態を示す外観図であり、これらの図において符号1は、ウエハレベルCSP(W−CSP)構造の半導体装置である。この半導体装置1は、矩形状の半導体基板10上に、インクの残量を検出する接液電極12,12(検出電極)と、プリンタ本体23側の第1のアンテナ22との間で情報の授受を行う第2のアンテナ3と、インクの情報を記憶するEEPROM4(記憶回路)と、これら接液電極12,12、第2のアンテナ3及びEEPROM4を一括して制御するコントローラ5(制御回路)と、を有して構成されている。
半導体基板10は、シリコンからなっており、能動素子形成面10a(表面)上にトランジスタ等の能動素子から構成されるコントローラ5及びEEPROM4を有する集積回路(不図示)が形成されている。集積回路は、少なくとも配線パターンが形成されており、EEPROM4やコントローラ5(制御回路)、その他のアクティブコンポーネントを相互に接続する配線等によって構成されている。
本実施形態においては、記憶回路として、読み出し書き込み可能な記憶媒体であるEEPROM(不揮発性メモリ)4が用いられている。また、コントローラ5は、インクタンク6に残っているインク残量に基づいて、EEPROM4の記憶するインク情報の更新などを行うものである。
一方、半導体基板10における能動素子形成面10aの周縁部には、集積回路を導通させるための一対の素子電極11,11が形成されている。これら素子電極11,11は、半導体基板10の前記集積回路に直接導通して形成されたもので、矩形状の半導体基板10の周縁部に一対配列して設けられている。素子電極11は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、あるいは、これらを含む合金等によって形成することができるが、本実施形態ではアルミニウム(Al)で形成している。
また、能動素子形成面10a上に形成された素子電極11,11は、半導体基板10を貫通する一対のスルーホール24,24を介して、該半導体基板10の裏面10b側に引き出されている。スルーホール24,24は、半導体基板10の能動素子形成面10aから裏面10b側に向かって貫通しており、例えば、フォトリソグラフィー法等の公知の手法を用いて所定の孔径に形成されている。そして、印刷法によりスルーホール24,24の内部まで導電性ペーストを埋め込んだ、いわゆるコンタクトプラグを形成することにより貫通電極9,9としている。導電性ペーストとしては、例えばCu(銅)やW(タングステン)等の電気抵抗が低いものを好適に採用できる。このように、スルーホール24,24内部に導電性ペーストを充填することで貫通電極9,9を形成することにより安定した接続を行うことが可能となる。図2に示すようにこれら貫通電極9,9は、裏面10bから、後述するパッシベーション膜14の膜厚を大きく上回る突出量を有して形成されている。
図2に示すように、各スルーホール24,24は、各素子電極11,11の直下に形成されていることが好ましい。素子電極11の直下には、通常、能動素子が存在していないことが多いため、このようにすることにより、スルーホール24,24を形成するためだけの半導体基板10の面積を割り振る必要がなく、半導体基板10の面積を最小限の大きさに抑えることができる。このような方法を採用することにより、半導体装置1に不可欠な電極を採用することができるので、半導体装置1をカスタム設計することなく、汎用タイプを流用することができる。
そして、能動素子形成面10aの素子電極11,11は、該能動素子形成面10a上に形成されるパッシベーション膜14によって覆われて保護されている。また、裏面10b上にもパッシベーション膜14が形成されており、貫通電極9,9を除いた裏面10b全体が覆われている。これらパッシベーション膜14は電気絶縁性材料からなるものであって、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)等により形成されている。または、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(Si)等の無機絶縁材料によって形成することもできる。本実施形態においては、ポリイミド樹脂を用いて形成されている。
半導体基板10の能動素子形成面10aにおけるパッシベーション膜14上には、前記素子電極11を避けた位置、本実施形態では半導体基板10の中央部に、絶縁樹脂からなる誘電体層15が形成されている。この誘電体層15は、図1に示すように、その断面が略台形状となっている。誘電体層15を形成する材料としては、感光性ポリイミド樹脂、シリコン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂等から構成される。能動素子形成面10a上に誘電体層15を形成することにより、能動素子(集積回路)の熱ストレスが緩和され、信頼性寿命が著しく向上することになる。
そして、能動素子形成面10a側のパッシベーション膜14には、各素子電極11上に開口部14a,14aが形成されており、これら開口部14a,14a内にて素子電極11,11が外側に露出した状態となっている。このような素子電極11には、前記パッシベーション膜14の開口部14a内にて再配置配線16(導電層)が電気的に接続されている。この再配置配線16は、前記集積回路の素子電極11の再配置を行うためのもので、半導体基板10の周辺部に配置された素子電極11から半導体基板10の中央部側に延びて形成され、さらに誘電体層15上にまで引き回されて形成されたものである。
また、半導体基板10上に形成された集積回路には、素子電極11以外に、図5に示すように、該素子電極11と同様の材料を用いて形成される電極20a,20bが形成されている。そして、素子電極11の場合と同じく、この電極20a,20bに再配置配線19(導電層)が接続されている。この再配置配線19は、電極20a,20bから中央部に延びて形成されるとともに誘電体層15上にまで引き回されて形成されている。誘電体層15上まで引き回された再配置配線19は、前記再配置配線16(図2参照)とは干渉しない位置に配置され、前記プリンタ本体23側の第1のアンテナ22と通信を行う第2のアンテナ3となっている。
この第2のアンテナ3は、半導体基板10の略中央部に位置し、平面型インダクタ素子(スパイラルインダクタ素子)から構成されている。図6に示すように、誘電体層15の表面に形成された配線は、側面視において同一平面上に、図5に示す平面図において渦巻き状(スパイラル状)に形成されている。
第2のアンテナ3は、半導体基板10の電極20aから電極20bに亘って配設される再配置配線19で形成され、図6に示すように、誘電体層15の下側に配設される下層配線25と、誘電体層15の上側に配設される上層配線26とを有して構成されている。これら下層配線25と上層配線26とは、誘電体層15に形成された孔15a内にCuを埋め込んでなる接続部27を介して接続されている。これにより、上層配線26は、パッシベーション膜14上に形成された下層配線25と短絡しないように配置されている。
また、下層配線25及び上層配線26のうち、半導体基板10から相対的に離間している上層配線26によって、図5に示すようなスパイラル部28が形成されている。そのため、スパイラル部28と半導体基板10との間に誘電体層15が存在することになり、スパイラル部28と半導体基板10とをより離間させることができる。この第2のアンテナ3の内側端部は、再配置配線19の下層配線25を介して電極20aに連結されている。一方、外側端部は、上層配線26を介して電極20bに連結されている。
このようにして誘電体層15上に第2のアンテナ3(スパイラル部28)を形成することにより、電磁波吸収体である半導体基板10とのクリアランスを取れるので、第2のアンテナ3からの漏れ電流は少なくなり伝送効率が向上する。このように、第2のアンテナ3を誘電体層15上に形成することによってアンテナ特性を向上させている。また、誘電体層15の誘電率を上げると、狭面積で短い長さの第2のアンテナ3を形成することができるので、半導体装置1の小型化を促進できる他、製造コストの削減にも繋がる。
これら再配置配線16及び再配置配線19は、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)等の単層膜や複層膜、その合金膜を用いることができるが、本実施形態では、Cu膜で形成している。
なお、図6に示すように、第2のアンテナ3の下側に、Cuからなるスパッタ層21が存在するが、このスパッタ層21は、第2のアンテナ3を形成する際のメッキ時に用いられるものである。
そして、半導体基板10の能動素子形成面10a側には、図2に示すように、再配置配線16(第2のアンテナ3)、誘電体層15、パッシベーション膜14を覆ってソルダーレジストからなる耐熱性の保護層17が形成されている。この保護層17を形成するための樹脂としては、例えば、耐アルカリ性を有する樹脂として、ポリイミド樹脂、PPS、PE等が用いられる。或いは、SiN、SiO2、SiON等を用いて無機膜としてもよい。保護層17は、インクが減少したときにその表面にインクが残留して接液電極12,12間の抵抗値を下げないように(接液センサーのS/N比を向上させるために)、インクに対して發液性を有しているものを採用することが好ましい。本実施形態においては、ポリイミド樹脂が用いられる。また、保護層17は、表面がフッ化処理やシリコーン処理等の發液加工されていてもよく、そうすれば保護層17全体がインクに対して發液性を有していなくとも良く、樹脂選択の幅が広がる。また、保護層17は半導体装置1の側面を覆うようにしても良い。こうすれば、半導体装置1がインクによってダメージを受けることは皆無となる。
一方、裏面10b側のパッシベーション膜14にも開口部14bが形成されており、このような構成によって、貫通電極9,9の先端部が前記開口部14b,14bから外側に突出した状態となっている。本実施形態においては、開口部から突出する貫通電極9,9の先端部がインク情報を検出する検出電極として機能する接液電極12,12となっている。このように、貫通電極9,9を検出電極として利用することにより、裏面10b側の配線数が減り簡易な構成とすることができる。接液電極12,12間の抵抗や電流を測定することによって、インクの有無を検出することができる。例えば、一つの接液電極12は、コントローラ回路のトランジスタゲートに接続され、もう一つの接液電極12は、電源に接続されるようにすると、インクの有の時にONになっていたトランジスタは、インク無しの時にOFFとなる。これを検出すれば、インクの有無を検出することができる。インク組成物の電気分解による劣化を防止するために、接液電極12,12間に流れる電流はなるべく少なく、しかもパルス状であることが好ましい。
これら一対の接液電極12,12は、インクに接液することになるため、その表面にAuメッキ膜18が成膜された構成となっている。メッキ膜としては、強アルカリ性のインク成分による影響を受けることのない耐薬品性に優れた金属が好ましく、Auメッキ膜の他、例えば、Ptメッキ膜、Ni−pメッキ膜等を用いてもよい。
このようにして構成される半導体装置1は、接液電極12,12を半導体基板10の裏面10bに設けることによって、能動素子形成面10a側にインクが浸入する虞はなくなり、能動素子に対するインクの影響を確実に阻止することができる。
また、再配置配線16と再配置配線19とを同一面上に同層をなすよう形成できることから双方を同時に形成することができる。これにより、製造工程を削減できて製造コストが削減される。
図3には、図2の断面図で示される本発明の半導体装置1の外観図の一例を示す。この例では、検出電極は一組2つの接液電極12,12で構成され、この間の抵抗や電流を測定することによって、インクの有無を検出することができる。また、図4には、図2の断面図で示される本発明の半導体装置1の外観図の別の一例を示す。この例では、接液電極12が、6つ形成されている。こうすれば、仮に一組の接液電極12,12間に気泡やごみが存在して、接液電極12,12による検出精度が低下しても、それ以外の組の接液電極12,12間で検出精度を補うことができ、正確なインクの有無情報を得ることができる。この場合、1組2つ以上の接液電極12,12で精度低下は防止することができ、接液電極12が多いほど検出精度を向上させることができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図7を参照して説明する。図7において、図1〜図6の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
符号40は、本実施形態の半導体装置を示すもので、基本構成は上記実施形態と同様の構成をなしている。上記第1実施形態と異なる点は、誘電体層15を設けることなく、パッシベーション膜14上に第2のアンテナ3を直接形成したことである。本実施形態においては、半導体基板10の能動素子形成面10aとは反対側の裏面10b側に接液電極12,12が設けられていることから、能動素子形成面10a側にインクが浸入する虞はないため、誘電体層15で半導体基板10の厚さ方向の距離を稼ぐ必要はなく、この誘電体層15の形成を省くことにより製造工程が削減されるので製造効率を向上させることができる。さらに、平坦な能動素子形成面10a上つまり同一平面上に全配線(再配置配線16,19)を形成することができるので、第2のアンテナ3の形成が容易となる。このとき、第2のアンテナ3を能動素子形成面10a上に集積回路を形成する際に使用される配線、例えば、AI、Cu等で形成することで同一工程で形成できるとともに他の材料を別途用意する必要がなくなるので製造に掛かる時間やコストを抑えることができる。
上述した第1,2実施形態では、貫通電極9,9を検出電極として利用する例を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。以下に示す実施形態では、貫通電極9,9を検出電極として機能させるのではなく、貫通電極9,9に接続される再配置配線を利用して検出電極としたものである。この構成によれば、上記第1,2実施形態のように、貫通電極9,9を裏面10bから突出させて形成する必要はない。しかしながら、検出電極を半導体基板10の能動素子形成面10a側ではなく裏面10b側に設けるという基本的な構成は、上記第1,2実施形態と同様である。これらのことを前提とする他の実施形態について以下に述べる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態について図8を参照して説明する。
符号41は、本実施形態の半導体装置を示すもので、上記第1,2実施形態と異なる点は、半導体基板10の裏面10b側に再配置配線16を利用した接液電極46,46(検出電極)及び第2のアンテナ3を設けたことである。図8において、図1〜図6の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
本実施形態の半導体装置は、半導体基板10の能動素子形成面10a側に、該能動素子形成面10a上に形成されたコントロール55及びEEPROM4を有する集積回路及び一対の素子電極11,11を覆うようにしてパッシベーション膜14が形成されている。本実施形態においては、図8に示すように、パッシベーション膜14に形成されている開口部14a内において素子電極11が露出した構成となっているが、例えば、パッシベーション膜14に開口部14aを形成することなく、素子電極11を含めた能動素子形成面10a上の一面を覆うようにしてパッシベーション膜14を形成してもよい。そして、パッシベーション膜14上には、開口部14aから露出する素子電極11を覆うようにして保護層17が形成され能動素子形成面10a上を保護している。
そして、半導体基板10の裏面10b上に形成されたパッシベーション膜14上に、半導体基板10の厚さ方向を貫通するようにして該半導体基板10の周辺部に位置する一対の貫通電極9,9を避けた位置、図8に示すように、半導体基板10の中央部に誘電体層15が形成されている。そして貫通電極9,9には、パッシベーション膜14の開口部14b内にて再配置配線16が電気的に接続され、裏面10bにおける貫通電極9,9の再配置が行われている。再配置配線16は、貫通電極9,9から半導体基板10の中央部に延在するとともに誘電体層15上にまで引き回され、後述する接液電極46,46との間を配線することから一般的には再配置配線と呼ばれ、微細設計されることの多い半導体基板10の素子電極11の位置と、ラフピッチの接液電極46,46との物理的な位置をずらして配置するための重要な手段である。
また、半導体基板10の裏面10b上には、素子電極11,11以外に該素子電極11と同様の材料を用いて形成される電極20a,20bが形成されている(図5参照)。なお、図5においては第2のアンテナ3を能動素子形成面10a上に形成した図が示されているが、ここでは第2のアンテナ3の構成のみを参照するものとする。
そして、貫通電極9,9の場合と同じくして、これら電極20a,20bにも再配置配線19がそれぞれ接続されている。再配置配線19は、電極20a,20bから中央部に延びて形成されるとともに誘電体層15上にまで引き回されて形成されたものである。誘電体層15上まで引き回された再配置配線19は、前記再配置配線16とは干渉しない位置に配置され、前記プリンタ本体23側の第1のアンテナ22と通信を行う第2のアンテナ3を形成している。この第2のアンテナ3は、上記実施形態と同様の構成となっている。
そして、第2のアンテナ3、パッシベーション膜14、再配置配線16及び誘電体層15を覆うようにして、裏面10b上に保護層17が形成されている。この保護層17には、前記誘電体層15の各再配置配線19上にそれぞれ開口部17aが形成されている。このような構成によって、前記開口部17a内より露出する再配置配線19の一部が接液電極46,46(検出電極)となっている。これら接液電極46,46はインクに接液することから、上述したように耐アルカリ性を有する金属によりメッキが施され、不図示のメッキ層が形成されている。
このように、再配置配線16の一部を接液電極46とするともに接液電極46と半導体基板10との間に誘電体層15を介在させることによって、半導体基板10に対するインクの影響を確実に阻止することができる。
本実施形態によれば、半導体基板10の能動素子形成面10aとは反対側の裏面10b側に接液電極46,46及び第2のアンテナ3を設けたことから、再配置配線16及び第2のアンテナ3(再配置配線19)を同時に形成することができるとともに、同一面上に同層をなすようにして形成されることから製造工程を削減できて製造コストを削減できる。
また、接液電極46,46と第2のアンテナ3との下方に誘電体層15を形成しておくことが好ましく、こうすることにより、半導体基板10との距離を稼ぐことができてアンテナ特性が向上するとともに、半導体基板10からの接液電極46,46の距離を確保することができるのでインクが半導体装置40内へと浸入することが防止される。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について図9を参照して説明する。図9において、図1〜図6の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
符号42は、本実施形態の半導体装置を示すもので、上記第3実施形態と異なる点は、裏面10b上に形成された保護層17の開口部17aから露出する再配置配線16上にバンプを形成し、該バンプを接液電極47(検出電極)としていることである。
図9に示すように、保護層17の開口部17aから露出する再配置配線16上には、高速メッキ可能なCuで形成されたコアの表面にAuメッキ膜18(メッキ層)が成膜されてなるバンプが形成されており、このようなバンプがインクに接液することによってインク情報を検出する接液電極47として機能する。Cuコア表面にAuメッキ膜18を形成しておくことにより、半導体基板10へのインクの浸入を確実に阻止することができる。また、これら接液電極47,47の下方に誘電体層15が既存していることから、半導体基板10からの距離を稼ぐことができるので、半導体基板10に対するインクの影響をさらに防止することができる。
上述した第3,4実施形態では、接液電極が形成される裏面10bに第2のアンテナ3を設ける構成としたが、以下に示す実施形態においては、能動素子形成面10a側に第2のアンテナ3を設けた構成となっている。なお、その他基本的な構成においては上記各実施形態と同様である。
[第5の実施形態]
まず、第5の実施形態について図10を参照して説明する。図10において、図1〜図6の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
符号43は、本実施形態の半導体装置を示すもので、半導体基板10の能動素子形成面10a側に第2のアンテナ3を設け、裏面10bに接液電極48,48を設けて構成したものである。本実施形態においては、図10に示すように、能動素子形成面10a側のパッシベーション膜14上に再配置配線16及び再配置配線19から形成される第2のアンテナ3を直接形成するとともに、裏面10b側のパッシベーション膜14上に貫通電極9,9に接続する再配置配線51を直接形成する。そして、裏面10b側に形成される保護層17の開口部17aから露出する前記再配置配線51上に、上記実施形態と同様の方法で形成されるバンプを設けることによって接液電極48,48を形成している。このバンプからなる接液電極48,48がインク情報を検出する検出電極として機能するようになっている。
このように、誘電体層15や絶縁体層15’を設けることなくパッシベーション膜14上に直接、再配置配線19,51を敷設することによって構成が簡素化されて製造が容易となるとともに作業効率が向上する。
[第6の実施形態]
次に、第6の実施形態について図11を参照して説明する。図11において、図1〜図6、図10の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
符号44は、本実施形態の半導体装置を示すもので、上記第5実施形態と異なる点は、接液電極の下層側に絶縁性の樹脂からなる絶縁体層15’を有して構成したことである。
本実施形態における半導体装置は、半導体基板10の裏面10b側中央部にパッシベーション膜14を介して側断面視略台形状の絶縁体層15’が設けられている。このような絶縁体層15’上に、貫通電極9,9に接続する再配置配線51を引き回すことにより、必然的に、裏面10bから接液電極48,48を遠ざけることができる。このようにして、裏面10bと接液電極48,48との距離を稼ぐことにより、裏面10bに対するインクの影響をさらに阻止することができる。
なお、本実施形態及び上記第5実施形態に限っては、パッシベーション膜14上に第2のアンテナ3を構成する全ての再配置配線19が同一面上に形成されるものとし、また、図10,11の側断面図で示された形態に限らず、その他の形態で形成されるとしてもよい。
[第7の実施形態]
次に、第7の実施形態について図12を参照して説明する。図12において、図1〜図6、図10,11の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
符号45は、本実施形態の半導体装置を示すもので、基本とする構成は上記第5,6実施形態と同様である。本実施形態が上記第5,6実施形態と異なる点は、半導体基板の裏面10b側に絶縁体層15’を形成するだけでなく、能動素子形成面10a側にも誘電体層15を形成したことである。
半導体装置45は、能動素子形成面10aの中央部にパッシベーション膜14を介して誘電体層15が形成されているとともに、裏面10bの中央部には、パッシベーション膜14を介して絶縁体層15’が形成されている。このように、第2のアンテナ3の下層側に誘電体層15を有する構成にすることによってアンテナ特性を向上させることができる。また、接液電極48,48の下層側に絶縁体層15’を形成することによって上記実施形態同様、裏面10bからの接液電極48,48の距離を稼ぐことができるので半導体基板10に対するインクの影響を防止できる。
なお、絶縁体層15’は、誘電体層15と同様の材料により形成されることが好ましく、これにより同様の製造工程を施すことができる。
上記した第3〜7実施形態における接液電極46,47,48(接液電極)は、何れもインクに接液することによってインク情報を検出する構成となっているため、第1,2実施形態同様、それらの表面に上記した耐薬品性を有する金属によるメッキが施され、メッキ膜18が形成されているということは勿論のことである。(図8の接液電極46,46上に形成されるメッキ膜は不図示)Auメッキ膜18を形成しておくことによって該開口部17aから半導体装置41〜45内にインクが浸入することが防止されるため、各実施形態における半導体装置41〜45の能動素子形成面10a上の能動素子(集積回路)、あるいはこれを含めた半導体基板10全体にインクの影響が及ぶことを阻止する上で必要なことである。
なお、半導体基板10は、シリコンの他、ガラス、石英、水晶等から構成してもよい。また、EEPROM4として、EEPROMではなく、Flush MEMORY等他の記憶素子を用いることも可能である。さらに、第2のアンテナ3は、再配置配線16の位置に干渉せず、したがって設計自由度を損なわない位置であれば、電極20a,20bから再配置配線によって任意の位置にまで引き回して配置し、再配置配線19や電極20a,20bとは別に、パッドなどによって第2のアンテナ3を形成してもよい。また、第2のアンテナ3を再配置配線19で形成するのではなく、集積回路形成時に使用される配線(Al,Cu)等で形成してもよい。これは、再配置配線16にも言えることである。
また、上記実施例では、第2のアンテナ3と接液電極12,46〜48とが半導体基板10上に形成された半導体装置1,40〜45について説明してきたが、例えば、さらに第2のアンテナ単体の性能を向上させたい場合は、半導体装置1,40〜45を高性能な別体のアンテナ上に実装した一体型モジュール構造の半導体装置であっても良く、また中継用のアンテナと一体型モジュール構造の半導体装置であっても良い。
[インクカートリッジ]
次に、本実施形態におけるインクカートリッジ7について、図1,2、図13,14を参照して説明する。インクカートリッジ7は、上述した半導体装置1,40〜45の何れかを内蔵しており、後述する、第1のアンテナ22を備えたプリンタ本体23(電子機器本体)に装着されるものである。内蔵される半導体装置1,40〜45は、インクカートリッジ7内のインク情報を管理及び検出する液センサの機能を果たす。本実施形態においては、半導体装置1を内蔵した場合について説明する。
インクカートリッジ7は、インクを収容するインクタンク6を備えたインクカートリッジ筐体8内に上記半導体装置1を内蔵すべく、例えば、樹脂の射出成形により一体形成されている。この半導体装置1は、一対の接液電極12,12をインクが収容されたインクタンク6内に露出させるようにして、接液電極12,12以外の半導体装置1の他の部分をインクカートリッジ筐体8内に埋設され、このとき、一対の接液電極12,12がインクタンク6の底面に沿うようにインクカートリッジ筐体8の壁部下方に設けられる。
また、この半導体装置1は、裏面10b側に設けられている接液電極12,12をインクタンク6内へ露出させることから、必然的に能動素子形成面10a側がプリンタ本体23側へと向くように内蔵される。これにより、能動素子形成面10a上に設けられている第2のアンテナ3がプリンタ本体23側の第1のアンテナ22と対向することになるので、電磁波吸収体である半導体基板10を通さずにプリンタ本体23へと直接伝送することができるので、伝送距離が短縮されてノイズが入り込み難くなる。
そして、インクカートリッジ7のインクタンク6内には、所定のインクが収容されており、該インクカートリッジ7の所定箇所からインクを導出できるようになっている。
このような構成によれば、半導体装置1の接液電極12,12をインクカートリッジ筐体8のインクタンク6内に露出させるようにして設けることで、接液電極12,12がインクに直接接することになりインクタンク6内のインクの残量(有無)を確実に検出することができる。また、接液電極12,12以外の半導体装置1の他の部分をインクカートリッジ7内に埋設させるようにしたので、他の部分に形成された能動素子に対するインクのダメージを阻止することができるとともに不用意なインク液漏れを防止できれば、ユーザー満足度も向上する。加えて、接液電極12,12とEEPROM4とを同一基板上に備えた半導体装置1を具備することから、インクカートリッジ7がプリンタ本体23にセットされていない状態であってもコントローラ5の内容情報の参照や該EEPROM4への書き込み等を行うことができる他、接液電極12,12からのインク情報をプリンタ本体23を通さずにEEPROM4に記録させることができる。例えば、インクカートリッジ7の製造時に、インクカートリッジ7の一梱包単位毎にインク製造情報等の授受を一括して行うことができるようになる。また、EEPROM4に、インク充填の有無、インクの充填日、インクの終了日及びインク充填回数等のインク情報を、例えば、工場出荷時に予め記憶させておくことで上記したインク情報とともにインクに関する詳細な情報を一括管理することができる。これらにより、インクをインクタンク6内に残すことなくインクカートリッジ7を交換することが可能となる。
なお、インクカートリッジ7は、半導体装置1を複数内蔵したものとして構成してもよく、この場合、例えば、インクカートリッジ筐体8の壁部に、インクタンク6の深さ方向に沿って所定の間隔をおいて接液電極12,12が並ぶように連設させる。これにより、インクの液位を検出することができ、インク残量や消費経過を正確に把握することができる。このとき、少なくとも一つの半導体装置1の接液電極12,12をインクタンク6の底面に沿うようにして設けることにより、インクの有無を確実に検出することもできるようにすることもできる。
また、インクカートリッジ7の形成後に半導体装置1を、インクカートリッジ7内に接着するようにしても良い。
本実施例では、第2のアンテナ3とインクエンドセンサーの機能を果たす半導体装置1が半導体基板10上に一体に形成された構成について説明してきたが、例えば、さらに第2のアンテナ単体の性能を向上させる心配がある心配がある場合は、さらに中継用のアンテナを配設し、一体型モジュール構造としても良い。
図15には、本発明の別のインクカートリッジ7の例を示す。ここで、用いられる半導体装置1は、図4に示すように接液電極12,12が3組設けられている。インクカートリッジ筐体8の内壁部の底部付近に、インクタンク6の深さ方向に沿って半導体装置1を配置する。接液電極12,12が、3組(この場合は6つ)あるので、どの組の接液電極12,12にインクが接しているかを測定すれば、インクの液位を検出することができ、インク残量や消費経過を正確に把握することができる。またこのとき、少なくとも一組の接液電極12,12をインクタンク6の底面に沿うようにして設けることにより、インクの有無を確実に検出することもできるようにすることもできる。こうすれば、1つの半導体装置1で上記の情報を検出でき、簡略な構成で高性能な検出を行うことができる。なお、接液電極9,9を3組以上設けても良く、これにより詳細なインク情報を得ることができる。
次に、プリンタ本体について図1,2、図13,14を参照して説明する。
プリンタ本体23は、図13に示すように、上記インクカートリッジ7を着脱可能に複数備えるとともに、各インクカートリッジ7からのインクの供給を受ける記録ヘッドと、記録用紙13を記録ヘッドに対して相対的に移送させる紙送り手段と、を備えており、印刷データに基づいて記録ヘッドを移動させながら記録用紙13にインクを吐出させることで記録を行うものである。このプリンタ本体23は、図14に示すように、各インクカートリッジ7に設けられている第2のアンテナ3と通信を行う第1のアンテナ22を有しており、第2のアンテナ3と対向するように配置されている。また、インクカートリッジ7から吐出されるインク滴をカウントして、インクの消費量からインクの残量を算出する吐出液滴カウンタ部(不図示)をさらに備えて構成されているものとする。
このようなプリンタ本体23には、図13に示すように、複数のインクカートリッジ7が並列状態に装着されることになるが、各インクカートリッジ7に収容されているインクの種類によって予め決められた配列にしたがって装着されることになる。
そして、プリンタ本体23及びインクカートリッジ7間におけるインク情報の授受は、第1のアンテナ22と第2のアンテナ3との間の無線通信により行われる。アンテナを用いることで、インクカートリッジ7とプリンタ本体23との間で非接触により情報の授受が行われる。これにより、従来のようにプリンタ本体23とインクカートリッジ7との電気的接点が心配される虞がなくなるので通信信頼性が向上し、ユーザー満足度も向上する。よって情報管理コストを削減することが可能となる。
プリンタ本体23側の第1のアンテナ22は、インクカートリッジ7に等しい個数を配設するようにしても良いし、プリンタ本体23側の第1のアンテナ22の個数を減らすために、後述するキャリッジ31の移動毎に個々のインクカートリッジ7の情報授受を行うように一つ以上の第1のアンテナ22を配設するようにしてもよい。
本実施形態のインクカートリッジ7は、プリンタ本体23に装着されると、半導体装置1の駆動電源として、プリンタ本体23の第1のアンテナ22から出力されるインク情報の搬送波として利用する電磁波から必要な電力を取り出すように構成されていることが好ましい。このようにすれば、第2のアンテナ3は、情報授受機能と電力受信機能とを兼ねることができる。また、インクカートリッジ7側の第1のアンテナ22と第2のアンテナ3との通信を利用してプリンタ本体23にインクカートリッジ7が正確に装着されたか否かを判断することができ、このとき、例えばインクカートリッジ7がプリンタ本体23に正確に装着されていない場合には、その旨、表示部或いはコンピュータに表示されるようになっている。
また、射出成形することで半導体装置1をインクカートリッジ7内に一体に組み込んだため、インクタンク6に収容されたインクとインクカートリッジ7の外部との気密が確保される。これにより、半導体装置1を埋め込んだ部分からインクが漏れ出すことはなく、インクカートリッジ7からのインク漏れは回避される。また、埋設させることで接液電極12,12間が樹脂で覆われることになるので、インク残量が少なくなったときの誤判定を防止することができる。
このように、接液電極12、コントローラ5、EEPROM4及び第2のアンテナ3とを一体化した半導体装置1を具備するインクカートリッジ7により、プリンタ本体23側のインク情報(例えば、色、液滴カウント数等)と接液電極12,12側のインク情報(例えば、残量,実量等)とを統合してEEPROM4に記憶させることができるので、インクに対する幅広い情報管理が可能となる。
インクカートリッジ7のEEPROM4に格納されたインク情報は、プリンタ本体23の電源を切ったり、プリンタ本体23からインクカートリッジ7を取り外したりしたとしてもその格納情報は保持されるため、インクカートリッジ単体でインク情報を検出及び管理することも可能となってインクカートリッジ7の汎用性を高めることができる。上記半導体装置1を具備させてインクカートリッジ7側にインクの管理検出機能を持たせることにより、プリンタ本体23側の配線数が減って構造を簡易なものとすることができるので、プリンタ本体23の設計レイアウトの自由度向上を実現することができるようになる。
上記、説明してきたように、本発明の適用によって、インクに係わるきめ細かい情報提供をすることができるようになり、ユーザーの満足度を著しく向上させることができる。このことは、以下に説明する、電子機器でも同様である。
なお、インクカートリッジ7に表示部を設け、EEPROM4に格納されたインク情報を表示部に反映させるようにしてもよい。
また、色毎等に独立したインクカートリッジ7を用いる場合は、独立したインクカートリッジ7毎の情報をやり取りするように、インクカートリッジ7毎に半導体装置1が組み込まれていることが好ましい。プリンタ本体23側の第1のアンテナ22は、インクカートリッジ7毎の個数を配設するとしてもよいし、プリンタ本体23側の第1のアンテナ22の数を減らすために、後述するようにキャリッジ31の移動ごとに個々のインクカートリッジ7の情報授受を行うように一つ以上の第1のアンテナ22を配設するようにしても良い。
このような構成をとることにより、接液電極12,12からのアナログの接液信号は、コントローラ5を介してデジタル信号として第2のアンテナ3から直接出力することができ、機械的な接続接点を減らすことができるとともに、ノイズの載りやすい不安定なアナログ信号ではなく、安定したデジタル信号で出力することができる。
[電子機器]
次に、本発明に係るインクジェット式プリンタ30(電子機器)の主要構成について、図13に示す実施の形態に基づいて説明する。このインクジェット式プリンタ30は、プリンタ本体23に複数のインクカートリッジ7を着脱可能に備えたインクジェット式プリンタ30である。図13において符号31はキャリッジであり、このキャリッジ31は、キャリッジモータ32により駆動されるタイミングベルト33を介し、ガイドロッド34に案内されてプラテン35の軸方向に往復移動されるように構成されている。
前記キャリッジ31が走査される走査領域には、記録用紙13が配置され、この記録用紙13はキャリッジ31の走査方向に直交するように搬送されるように構成されている。そして、キャリッジ31における前記記録用紙13と対向する面には、記録ヘッドが設けられ、またその上部には前記記録ヘッドにインクを供給するブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各インクがそれぞれ貯留されたインクカートリッジ7B,7Y,7C,7Mが着脱可能となるように装着されている。
また、非印字領域外であるホームポジションには、キャッピング手段36が配置されており、このキャッピング手段36は、キャリッジ31がホームポジション側へ移動した場合、キャリッジ31の移動に伴い、キャリッジ31に搭載された記録ヘッドのノズル形成面を封止できるように構成されている。ここで、ホームポジション上にある場所に対応した、各インクカートリッジ7の個々の第2のアンテナ3上に対応したプリンタ本体対向部上に第1のアンテナ22が配置されていると、インクカートリッジ7がホームポジションに戻る度にインク情報の授受をプリンタ本体23側とやり取りできる。また、本実施例によれば、通信手段を無線で行うこととしたので、必ずしも前述の設計である必要はなく、個々の第2のアンテナ3上に対応しないプリンタ本体対向部上に第1のアンテナ22が配置されていてもよく、本体設計の自由度も向上させることができる。
また前記キャッピング手段36は、前記キャリッジ31が印字領域側へ移動するに伴って降下し、記録ヘッドの封止状態を解くことができるように構成されている。そして、前記キャッピング手段36の下方には、キャッピング手段36の内部空間に対して負圧を与えるための吸引ポンプ37が配置されている。
前記キャッピング手段36は、インクジェット式プリンタ30の休止期間中における記録ヘッドのノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する他、記録ヘッドに印刷とは関係のない駆動信号を印加してインク滴を吐出させるフラッシング動作時のインク受けとして機能し、さらに前記吸引ポンプ37からの負圧を記録ヘッドに作用させて、記録ヘッドよりインクを吸引排出させるクリーニング手段としての機能も兼ね備えている。
そして、キャッピング手段36の印字領域側に隣接して、ゴムなどの弾性板からなるワイピング部材38が配置されていて、キャリッジ31がキャッピング手段36側に往復移動する際に、必要に応じて記録ヘッドのノズル形成面を払拭して清掃するワイピング動作がなされるように構成されている。
インクジェット式プリンタ30は、各インクカートリッジ7からのインクの供給を受けるインクジェット式記録ヘッドに対して記録用紙13を相対的に移送させるようになっており、印刷データに基づいて記録ヘッドを移動させながら、記録用紙13にインク滴を吐出させることで記録を行うように構成されている。
このようにして構成されるインクジェット式プリンタ30は、まず図16に示すようにステップS1において、インクカートリッジ7がプリンタ本体23にセットされると、装着されたインクカートリッジ7が使用可能か否かを検出するようにしており、これには、第1のアンテナ22及び第2のアンテナ3間の信号の授受が利用される。そして、第1のアンテナ22からの信号によりプリンタ本体23側から電力が供給されることによって半導体装置1のICが起動し、接液電極12,12に所定の電圧が印加される。すると、インクタンク6内にインクが収容されている場合には、接液電極12,12に接しているインクを通じて接液電極12,12間に電流が流れる。このような接液電極12,12により検出された信号(電気的値)はコントローラ5へと出力される。コントローラ5は、接液電極12,12により検出された信号が、接液電極12,12間で通電するという場合にはインク有りと判定し、この判定結果に基づくインク情報(インクの有無)をEEPROM4へと格納する。そして、インクカートリッジ7が使用可能であることが判明すると、その情報がプリンタ本体23に送信され、プリンタ本体23は印字待機状態に入り、印字信号を受け次第、ステップS2に示すように、印字データの記録を実行する。
一方、接液電極12,12による検出信号が接液電極12,12間で通電しないという信号の場合には、コントローラ5はインク無し(インクエンド状態)と判定する。そして、この判定結果に基づくインク情報(インクの有無)をEEPROM4へと格納し、ステップS6に移行して、インクカートリッジ7の交換を促す信号をプリンタ本体23へと出力する。
このように、接液電極12,12間の通電状態を検知することでインクタンク6内のインクの有無を確認し、インクカートリッジ7の使用可否を判定する。
プリンタ本体23を駆動して印字を実行している際、インクカートリッジ7は、ステップS3に示すように、これら接液電極12,12間の通電状態を所定時間毎に検出する。接液電極12,12により検出された検出信号(電気的値)はコントローラ5へと出力される。このインク情報の検出周期は適宜設定される。コントローラ5は、この判定結果に基づいてEEPROM4のインク情報を随時更新する。このようにしてインク残量(インクの有無)の管理が行われる。そして、EEPROM4に格納されたインク情報は、コントローラ5により第2のアンテナ3を介してプリンタ本体23側へ出力され、表示部或いはコンピュータからユーザーへと提供される。
一方、プリンタ本体23側では、ステップS3に示すように、インク滴の吐出液滴カウント数やメンテナンスにより使用されたインク量をソフトウェアにより積算して、インクの消費量を計算する。その結果が所定時間毎に第1のアンテナ22を介してインクカートリッジ7のEEPROM4へと伝送され、該EEPROM4においてインク残量(消費量)の管理が行われる。このように、プリンタ本体23の第1のアンテナ22より出力された出力信号に基づいて、EEPROM4のインクに関する情報が随時更新される。そして、EEPROM4に格納されたインク情報は、EEPROM4から第2のアンテナ3を介してプリンタ本体23側の表示部或いはコンピュータへと出力されてユーザーへ提供される。これによりユーザーは、インクの消費経過を監視したり、インク残量等を確認したりすることができる。
印字をスタートしてしばらくすると、例えば、コントローラ5に、プリンタ本体23側からインク残量がゼロとなった計算結果が送られてくる。しかしながら、ステップS4に示すように、接液電極12,12による検出信号がインク有りの信号、つまり、接液電極12,12間が通電状態である場合には、インクタンク6内にインクが残留していることが明らかであるため、この時点ではインクタンク6内のインクが無くなったという判断はなされず、ステップS2に戻って、印字データの記録が続行される。
その後、インクカートリッジ7側において、接液電極12,12により接液電極12,12間で通電しなくなったという信号が検出されると、ステップS4において、コントローラ5がその信号に基づいてインクエンドの判定を行い、EEPROM4のインク情報を更新する。一対の接液電極12,12は、それぞれインクタンク6の底面に沿って設けられていることから、接液電極12,12間で通電しなくなったということはインクタンク6内にインクがなくなったことを意味する。これは、吐出液滴カウンタ部において計算で算出されるインク残量よりも確かであるため、コントローラ5では、あくまでもインクに接液している接液電極12,12からの信号を優先して制御する。
その理由は、吐出液滴カウンタ部から得られるインク残量と実際にインクタンク6に存在するインクの実量との間で生じる差は、インク滴の重量バラツキや、製造時のインク注入量のバラツキに起因して貯留するものであって通常よく起こりうる現象であることから、吐出液滴カウンタ部によるインク残量がゼロになった時点でインクカートリッジ7をインクエンド状態と判断した場合、実際にはインクタンク6内にインクが累積しているにも関わらず、インクカートリッジ7の交換の指示がなされるという問題を避けるためである。
接液電極12,12の信号に基づいてインクエンドの判定を行ったコントローラ5は、ステップS5において、インクカートリッジ7の交換を促す信号を第2のアンテナ3を介してプリンタ本体23側へと出力し、プリンタ本体23の表示部(不図示)或いはコンピュータを通じてユーザーへと警告する。これによりユーザーは、インクカートリッジ7を交換する適正な時期を知ることができる。そして、ステップS6に示すように、インクエンド状態となったインクカートリッジ7はプリンタ本体23から取り外され、新たなインクカートリッジ7と交換される。
ここで、例えば、インクカートリッジ7の接液電極12,12によってインクタンク6内がインクエンド状態であることが判明しているにも関わらず、プリンタ本体23側の吐出液滴カウンタ部によって算出されるインク残量がインク有りとされているとするならば、プリンタ本体23側の異常とみられるため、プリンタ本体23の表示部或いはコンピュータに、異常内容を示すエラーメッセージが表示されるようになっている。
また、プリンタ本体23側でインク残量ゼロと算出された時点で、インクカートリッジ7内に残留しているインクの量が、インク滴の重量バラツキから生じるインク残量よりもはるかに多いと判定される場合、通常吐出されるインク滴の量よりも少ない量で吐出されていると考えられるため、例えばインク吐出ヘッドのクリーニング等を促すメッセージを表示部或いはコンピュータに出力させるようにする。
このように、プリンタ本体23側のインク情報と、インクカートリッジ7の接液電極12,12によって検出されたインク情報とを、EEPROM4において統合管理を行うことにより、双方を比較することでプリンタ本体23及びインクカートリッジ7における異常が検出される。
本実施形態のインクジェット式プリンタ30によれば、インクの情報を簡易な構成で確実に検出及び管理することができるため、例えば、インクカートリッジ7の適正な交換時期を決定することができる。そのため、インクを余すことなくインクカートリッジ7を交換することができるので、インクカートリッジ7の交換サイクルが延長されインクに掛かるコストダウンを図ることができる。このように、インクの詳細な情報管理を実現することにより、効率的で無駄のないインクカートリッジ7のリサイクルが可能となる。このことは、ユーザー側にとってのサービスに欠かすことのできない機能となり得る。また、例えば、インク充填回数の情報から、インクカートリッジ7のリサイクル回数を決定することができるなど、ユーザーだけでなくリサイクル業者(製造者)側にとっても有益な情報となる。
よって、インクカートリッジ内のインク情報を簡易な構成で正確かつ確実に検出及び管理することを可能にした、高信頼性、高品質の製品を提供することができる。
本発明の一例に係るインクジェット式プリンタの概念を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体装置の外観を示す平面図である。 半導体装置の他の実施形態における外観を示す平面図である。 第2のアンテナの概略構成を示す平面図である。 第2のアンテナの概略構成を示す側断面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第7実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。 半導体装置を内蔵したインクカートリッジをプリンタ本体に適用したインクジェット式プリンタの主要構成を示す斜視図である。 図13のA−A断面図である。 インクカートリッジの一変形例を示す平面図である。 インクジェット式プリンタのシステムを示すフローチャートである。
符号の説明
1,40,42,43,44,45…半導体装置、3…第2のアンテナ、4…EEPROM(記憶回路)、5…コントローラ(制御回路)、6…インクタンク(収容部)7…インクカートリッジ、8…インクカートリッジ筐体、9…貫通電極(検出電極)、10…半導体基板、10a…能動素子形成面、11…素子電極、12,46,47,48…接液電極(検出電極)、14…パッシベーション膜、15…誘電体層、15’…絶縁体層、16,19,51…再配置配線(導電層)、17…保護層、20a,20b…電極、22…第1のアンテナ、23…プリンタ本体(電子機器本体)、25…下層配線、26…上層配線、27…接続部、28…スパイラル部、30…インクジェット式プリンタ(電子機器)、31…キャリッジ、32…キャリッジモータ

Claims (14)

  1. アンテナを備えた電子機器本体に用いられるインクカートリッジに設けられ、インクカートリッジ筐体の収容部に収容されるインクの残量を検出する半導体装置であって、
    半導体基板と、
    前記インクに接液することで該インクの残量を検出する検出電極と、
    前記インクの残量を記憶する記憶回路と、
    前記電子機器本体側の前記アンテナとの間で情報の授受を行うアンテナと、
    前記検出電極、前記アンテナ及び前記記憶回路を制御する制御回路と、を有してなり、
    前記検出電極は、前記半導体基板の能動素子形成面とは反対側の裏面側に設けられるとともに前記貫通電極を介して前記能動素子形成面側の電極と電気的に接続され、前記アンテナは、前記半導体基板の能動素子形成面及び裏面のいずれか一方に設けられることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記貫通電極の一部を前記検出電極として利用することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記貫通電極の一部を前記裏面から突出させ、その突出部分を前記検出電極として利用することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記半導体基板の裏面側に、パッシベーションを介して形成される導電層と、
    該導電層を覆うようにして形成される保護膜と、
    該保護膜に形成され且つ前記導電層の少なくとも一部を露出させる開口部と、を備え、
    前記開口部から露出する前記導電層の一部を前記検出電極とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 前記半導体基板の裏面側に、パッシベーションを介して形成される導電層と、
    該導電層を覆うようにして形成される保護膜と、
    該保護膜に形成され且つ前記導電層の少なくとも一部を露出させる開口部と、を備え、
    前記開口部より露出した前記導電層上にバンプを形成し、該バンプを前記検出電極とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  6. 前記検出電極の下層側に絶縁体層が形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
  7. 前記アンテナ及び前記検出電極が、前記半導体基板上の能動素子を構成する導電材料と同一の導電材料によって能動素子形成面或いは裏面上に直接形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置。
  8. 前記検出電極の表面にメッキ膜が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
  9. 前記アンテナの下層側に誘電体層が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
  10. 前記検出電極が、3つ以上形成されていることを特徴とする請求項1から9に記載の半導体装置。
  11. インク情報を検出及び管理する液センサの機能を果たす上記請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体装置を少なくとも一つ有し、該半導体装置の検出電極がインクを収容する収容部内に露出するようにインクカートリッジ筐体内に設けたことを特徴とするインクカートリッジ。
  12. 前記半導体装置の前記検出電極が前記収容部の深さ方向に沿って複数設けられ、前記検出電極が前記収容部の底面に沿うようにして配置されていることを特徴とする請求項11に記載のインクカートリッジ。
  13. 前記半導体装置が前記収容部の深さ方向に沿って複数設けられ、前記複数の半導体装置のうちの少なくとも一つの半導体装置の検出電極が前記収容部の底面に沿うようにして配置されていることを特徴とする請求項12に記載のインクカートリッジ。
  14. 上記請求項11から13に記載のインクカートリッジと、
    アンテナを備えた電子機器本体と、を備えることを特徴とする電子機器。
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