JP2007230170A - インクカートリッジ、インク情報制御システム及び電子機器 - Google Patents

インクカートリッジ、インク情報制御システム及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】インクカートリッジ内のインク情報を簡易な構成で正確かつ確実に検出及び管理することができ、インクの無駄遣いを防止しユーザーの満足度を向上させることのできるインクカートリッジ、インク情報制御システム及び電子機器を提供する。
【解決手段】第1のアンテナ20を備えたプリンタ本体21に用いられるインクカートリッジ1であって、インクを収容するインクタンク2を有するインクカートリッジ筐体3と、インクの残量を検出する検出手段7と、プリンタ本体21側の第2のアンテナ20との間で情報の授受を行う第1のアンテナ8と、インクの情報を記憶する記憶手段6と、検出手段7、アンテナ8,21及び記憶手段6を制御するコントローラ5と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクカートリッジ、インク情報制御システム及び電子機器に関するものである。
従来、インクによって記録を行うプリンタ等におけるインクカートリッジのインク消費量の管理方法としては、記憶ヘッドでのインク滴の吐出数やメンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウェアにより積算してインク消費量を計算により管理する方法などがある。
しかしながら、ソフトウェアによりインク消費を計算上管理する上記の方法には、次のような問題がある。ヘッドの中には吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。このインク滴の重量バラツキは印刷物の画質に影響を与えることはないものの、バラツキによるインク消費量の誤差がインクカートリッジ内に累積してしまう。そのため、計算上で得られたインク残量と実際のインク残量とが異なり、インク残量がゼロと表示された場合にも、実際には、インクカートリッジ内にインクが余っているという問題があり、インクの無駄遣いが発生しユーザーが問題意識を持つ場合があった。
上記の課題を解決すべく、特許文献1には、圧電装置を用いてインクカートリッジ内のインク残量を監視する技術が開示されている。この方法によれば、圧電装置の振動部の残留振動に起因して発生する残留振動信号の共振周波数が変化することを利用して、インクカートリッジ内のインク残量を監視することができる。
特開2002−283586号公報
しかし、この特許文献1は、センサ構造が複雑で、それに伴いシステムも複雑化していることから製造コストが掛かってしまっていた。また、圧電装置に接続された電極端子は、カートリッジをホルダ内にセットした際に、ホルダ内に設けられた接触端子に接触することにより電気的に接続されるようになっている。そのため、インクカートリッジと本体機器との機械的接点の信頼性が問われることもあった。
さらに、従来技術においては、インク情報を検出する検出手段とインク情報を記憶する記憶手段とがそれぞれ独立したシステムで本体機器を介してインク検出情報を記憶手段に記憶させるシステムとなっていることが多く、双方の情報を統合し、例えば本体にセットしない状態で機能させることができないなど簡便で詳細な情報管理は難しいものとなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクカートリッジ内のインク情報を簡易な構成で正確かつ確実に検出及び管理することができ、インクの無駄遣いを防止しユーザーの満足度を向上させることのできるインクカートリッジ、インク情報制御システム及び電子機器を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために、情報授受手段を備えた電子機器本体に用いられるインクカートリッジであって、インクを収容する収容部を有するインクカートリッジ筐体と、インクの残量を検出する検出手段と、電子機器本体側の情報授受手段との間で情報の授受を行う情報授受手段と、インクの情報を記憶する記憶手段と、検出手段、情報授受手段及び記憶手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、一つの制御手段により一括して情報が制御されるため、インクカートリッジが電子機器本体にセットされていない状態であっても、記憶手段の内容情報の参照や該記憶手段への書き込み等を行うことができる。つまり、制御手段に、何らかの方法で各信号を送信することさえできれば、インクカートリッジ単体でもインク情報を検出及び管理することが可能となり、インクカートリッジとしての汎用性が高められる。また、電子機器本体側から情報授受手段を介して得られるインク情報(例えば、吐出液滴カウント数等)と、カートリッジ側の検出手段から得られるインク情報(例えば、インクの残量,実量等)と、を統合して記憶手段に記憶させることができるので、インクに対する幅広い情報管理が可能となる。また、検出手段により、インクの残量を検出することによって、例えば、収容部内のインクの有無を確実に把握することができる。これにより、インクを収容部に残すことなく交換できたり、或いはインクを充填することが可能となるので、インクに掛かるコストを削減することができ、ユーザーの立場からはインクの無駄遣いを防止しユーザーの満足度を向上させることができる。このことは、以下に説明するすべての作用効果にも共通する重要な内容である。
さらに、インクカートリッジ側に管理検出機能を持たせたことにより、電子機器本体側の配線数が減り、構造を簡易なものとすることができる。そのため、電子機器本体の設計レイアウトの自由度向上を実現することができるとともに、作業工程の削減によるコストダウンを図ることも可能である。
また本発明のインクカートリッジは、検出手段、情報授受手段、制御手段及び記憶手段が同一の半導体装置に設けられ、インクカートリッジ筐体は、半導体装置を備えることも好ましい。
この構成によれば、検出手段、情報授受手段、制御手段及び記憶手段を統合して一体型の半導体装置としたことにより、インクカートリッジに組み込む際にも手間が掛からず製造が容易となるとともに製造コストが削減できる。
また、検出手段が接液電極で構成されていることも好ましい。
この構成によれば、検出手段が、インクに接触する接液電極で構成されていることから、インクの情報を簡易な構成で正確且つ確実に検出することができる。
また、半導体装置は、検出手段が収容部内に露出するようにしてインクカートリッジ筐体内に埋設されることも好ましい。
この構成によれば、検出手段を収容部内に露出させるようにして設けることで、インクに直接接することになり、収容部内のインクの情報(残量等)を確実に検出することができる。また、検出手段以外の半導体装置の他の部分をインクカートリッジ内に埋設させることにより、他の部分に形成された能動素子に対するインクのダメージを阻止することができる。また、不用意なインク液漏れを防止できれば、ユーザー満足度も向上する。
また、情報授受手段としてアンテナを用いることも好ましい。
この構成によれば、情報授受手段としてアンテナを用いることで電子機器本体とインクカートリッジとの間の無線伝送が可能となり、インクカートリッジが電子機器本体にセットされていない状態であっても、記憶手段の内容情報の参照や該記憶手段への書き込み等を非接触で容易に行うことができる。これにより、従来のように電子機器本体とインクカートリッジとの機械的接点が心配される虞がなくなるので、信頼性が向上する。このように、非接触で情報の授受を行うことにより、情報管理コストを削減することが可能となる。また、通信信頼性向上により、ユーザー満足度も向上する。
また本発明のインク情報制御システムは、本発明のインクカートリッジと、情報授受手段を備えた電子機器本体と、を備えることも好ましい。
このシステムによれば、記憶手段及び検出手段が同一のシステムとなっているので、双方の情報を統合した情報管理が実現できる。例えば、インク残量情報、インク有無情報、インク充填の有無、インクの充填日、インクの終了日及びインク充填回数など、インクに関する詳細な情報を一括管理することができる。また、システムが一つになったことにより、システムが簡略化され、管理コストの上昇を抑えることが可能となった。さらに、インク情報をもとにして、インクの誤充填を防止できるとともに電子機器の異常等を検出することも可能となるので、印字品質の向上に繋がる。このように、きめ細かい情報管理が行えるとユーザーに有益な情報をユーザーにきめ細かく伝達するシステムを組むことができる。
また本発明の電子機器は、上記インク情報制御システムを備えることも好ましい。
この構成によれば、上記したようなインクの情報を確実に検出、管理することができるため、例えば、インクカートリッジの適正な交換時期を決定することができる。そのため、インクを余すことなくインクカートリッジを交換することができるので、カートリッジの交換サイクルが延長され、ユーザーのコストダウンを図ることができる。インクの詳細な情報管理を実現することにより、効率的で無駄のないインクカートリッジのリサイクルが可能となる。このことは、ユーザー側にとってのサービスに欠かすことのできない機能となり得る。また、例えば、インク充填回数の情報から、カートリッジのリサイクル回数を決定することができるなど、ユーザーだけでなく、生産者側にとっても有益な情報となる。よって、高信頼性、高品質の製品を提供することができる。
以下、本発明のインクカートリッジ、インク情報制御システム及び電子機器の実施の形態を、図1から図3を参照して説明する。
[インクカートリッジ]
図1は、本実施形態におけるインク情報システムのブロック図を示すものであり、この図において符号1は、インクカートリッジである。このインクカートリッジ1は、後述する、第1のアンテナ20(情報授受手段)を備えたプリンタ本体21(電子機器本体)に装着される。
また、このインクカートリッジ1は、インクを収容するインクタンク2(収容部)を備えたインクカートリッジ筐体3内に半導体装置4を内蔵してなるもので、樹脂の射出成形により形成されている。この半導体装置4は、例えば、ウエハレベルCSP(W−CSP)構造の半導体装置4であって、半導体基板に、トランジスタ等の能動素子から構成されるコントローラ5(制御手段)と記憶手段6とを有した集積回路が設けられ、さらに、インクの残量を検出する検出手段7と、プリンタ本体21側の第1のアンテナ20と通信を行う第2のアンテナ8(情報授受手段)と、が備えられている。
上記検出手段7は、一対の接液電極10,10から構成されており、インクに接液することによってインク情報を検出するものである。詳細には、これら一対の接液電極10,10は、電圧が印可されるとインクを通じて通電する構成となっており、接液電極10,10間の通電状態からインク残量、つまり、インクの有無が検出されるようになっている。
記憶手段6は、読み出し書き込み可能な記憶媒体であって、ここでは不揮発性メモリ(EEPROM)が用いられている。この記憶手段6は、プリンタ本体21側から第1のアンテナ20を介して得られるインク情報と、検出手段7によって検出されたインク情報とを統括して管理するものである。プリンタ本体21側からのインク情報としては、例えば吐出液滴カウント数や、インクカートリッジ1の使用可否等が挙げられ、検出手段7からのインク情報としては、インク残量(インクの有無)等が挙げられる。なお、当該記憶手段6には、インクの種類(色)、インクの使用期限、インクの充填日、インクの充填回数(履歴情報)等が、工場出荷時に予め書き込まれていることが好ましい。
なお、記憶手段6として、EEPROMではなく、Flush MEMORY等他の記憶素子を用いてもよい。
制御手段は、検出手段7、記憶手段6及び第2のアンテナ8を一括制御するコントローラ5からなるもので、例えば、検出手段7により検出された検出信号に基づいて記憶手段6のインク情報の書き換えを行い、プリンタ本体21側から第2のアンテナ8に送られてきた信号に基づいて記憶手段6のインク情報の書き換えを行うとともに、記憶手段6に格納されているインク情報を第2のアンテナ8からプリンタ本体21へと伝達できるように構成されている。
そして、半導体装置4は、その接液電極10,10をインクが収容されるインクタンク2内に露出させるようにして、接液電極10,10以外の他の半導体装置4の他の部分がインクカートリッジ筐体3内に埋設されている。このとき、一対の接液電極10,10がインクタンク2の底面に沿うように、インクカートリッジ筐体3の壁部下方に配置されている。
このようなインクカートリッジ1は、半導体装置4の駆動電源として、プリンタ本体21の第1のアンテナ20から出力されるインク情報の搬送波として利用する電磁波から必要な電力を取り出すように構成されていることが好ましい。このようにすれば、アンテナ8は、情報授受手段と電力受信手段を兼ねることができる。
次に、プリンタ本体について図1及び図3を参照して説明する。
プリンタ本体21は、上記インクカートリッジ1を着脱可能に複数備えるもので、上述したように、インクカートリッジ1に設けられている第2のアンテナ8と通信を行う第1のアンテナ20を有して構成されている。このプリンタ本体21は、各インクカートリッジ1からのインクの供給を受ける記録ヘッドと、記録用紙16を記録ヘッドに対して相対的に移送させる紙送り手段と、を備えており、印刷データに基づいて記録ヘッドを移動させながら記録用紙16にインクを吐出させることで記録を行うものである。そして、インクカートリッジ1から吐出されるインク滴をカウントして、インクの消費量からインクの残量を算出する吐出液滴カウンタ部(不図示)をさらに備えて構成されているものとする。
そして、プリンタ本体21及びインクカートリッジ1間におけるインク情報の授受は、第1のアンテナ20と第2のアンテナ8との間の無線通信により行われる。情報授受手段としてアンテナを用いることで、インクカートリッジ1とプリンタ本体21との間で非接触により情報の授受が行われる。色毎等に独立したインクカートリッジ1を用いる場合は、独立したインクカートリッジ1毎の情報をやり取りするように、インクカートリッジ1毎に本願システムが組み込まれていることが好ましく、プリンタ本体21側の第1のアンテナ20も、インクカートリッジ1毎の個数を配設するシステムとしてもよいし、プリンタ本体21側(第1のアンテナ20)システムの数を減らすために、後述するようにキャリッジ31の移動ごとに個々のインクカートリッジ1の情報授受を行うように一つ以上のアンテナを配設するようにしても良い。
上述したような構成のインクカートリッジ1によれば、一つのコントローラ5により一括して情報が制御されるため、当該インクカートリッジ1がプリンタ本体21にセットされていない状態であっても、記憶手段6の内容情報の参照や該記憶手段6への書き込み等を行うことができる。つまり、コントローラ5に情報の書き込み或いは読み出しの信号等を送信することさえできれば、インクカートリッジ単体でもインク情報を検出及び管理することが可能となる。そのため、インクカートリッジ1としての汎用性が今まで以上に高められる。また、プリンタ本体21側から第2のアンテナ8を介して取得するインク情報(例えば、吐出液滴カウント数等)と、インクカートリッジ1側の検出手段7から得られるインク情報(例えば、インクの残量、実量等)と、を統合して記憶手段6に記憶させることができるので、双方の情報を比較することにより異常等を検知することもできるようになり、インクに対する幅広い情報管理が可能となる。また、検出手段7により、インクの残量(実量)を検出することで、例えば、インクタンク2内のインクの有無を確実に把握することができる。これにより、インクをインクタンク2に残すことなく交換できたり、或いはインクを充填することが可能となるので、インクに掛かるコストを削減することができる。当然、このようにきめ細かい情報管理が行えるとユーザーに有益な情報をユーザーにきめ細かく伝達するシステムを組むことができる。
さらに、インクカートリッジ1側に管理検出機能を持たせたことにより、プリンタ本体21側の配線数が減り、構造を簡易なものとすることができる。そのため、プリンタ本体21の設計レイアウトの自由度向上を実現することができるとともに、作業工程の削減によるコストダウンを図ることも可能である。
そして、検出手段7、第2のアンテナ8、コントローラ5及び記憶手段6を統合して一体型の半導体装置4としたことにより、インクカートリッジ1に組み込む際にも手間が掛からず製造が容易となるとともに製造コストが削減できる。
また、検出手段7が、インクに接触する接液電極10,10で構成されていることから、インクの情報を簡易な構成で正確且つ確実に検出することができる。そして、この検出手段7をインクタンク2内に露出させるようにして設けることで、インクに直接接するため、インクタンク2内のインクの情報(残量等)を確実に検出することができる。また、検出手段7以外の半導体装置4の他の部分をインクカートリッジ1内に埋設させることにより、他の部分に形成されたコントローラ5及び記憶手段6(能動素子)に対するインクによるダメージを阻止することができる。加えて、インクカートリッジ1内に半導体装置4を、例えば、射出成形により一体に組み込むと、インクタンク2に収容されたインクとインクカートリッジ1の外部との気密が確保される。これにより、半導体装置4を埋め込んだ部分からインクが漏れ出すことはなく、インクカートリッジ1のインク漏れは回避される。インクカートリッジ1の形成後に、半導体装置4をインクカートリッジ1内に接着するようにしても良い。不用意なインク液漏れを防止できれば、当然ユーザー満足度も向上する。
また、情報授受手段としてアンテナ8,20を用いることで、プリンタ本体21とインクカートリッジ1との間の無線伝送が可能となり、インクカートリッジ1がプリンタ本体21にセットされていない状態であっても、記憶手段6の内容情報の参照や該記憶手段6への書き込み等を非接触で容易に行うことができる。例えば、インクカートリッジ1の製造時に、インクカートリッジ1の一梱包単位毎にインク製造情報等の授受を一括して行うことができるようになる。これにより、従来のようにプリンタ本体21とインクカートリッジ1との機械的接点が心配される虞がなくなるので、接続の信頼性が向上する。このように、非接触で情報の授受を行うことにより、情報管理コストを削減することが可能となる。また、通信信頼性向上により、ユーザー満足度も向上する。
なお、インクカートリッジ1は、半導体装置4を複数内蔵したものとして構成してもよく、この場合、例えば、インクカートリッジ筐体3の壁部に、インクタンク2の深さ方向に沿って所定の間隔をおいて接液電極10,10が並ぶように連設させる。これにより、インクの液位を検出することができ、インク残量や消費経過を正確に把握することができる。また、少なくとも一つの半導体装置4の検出手段7をインクタンク2の底面に沿うようにして設けることにより、インクの有無を確実に検出することもできるようにすることもできる。
本実施例では、第2のアンテナ8と接液電極10,10が半導体装置4上に一体に形成されたシステムについて説明してきたが、例えば、さらにアンテナ単体の性能を向上させたい場合は、本半導体装置4を高性能な別体のアンテナ上に実装した一体型モジュール構造のシステムであっても良く、また中継用のアンテナと一体型モジュール構造のシステムであっても良い。
[インク情報制御システム]
次に、インク情報制御システムについて説明する。
本実施形態のインク情報制御システムは、複数のインクカートリッジ1と、これら複数のインクカートリッジ1を備えるとともに、各インクカートリッジ1の記憶手段6に格納されているインク情報を取得するための第1のアンテナ20を有するインクジェット方式のプリンタ本体21と、を備えている。
図2に示すように、上述したインクカートリッジ1がプリンタ本体21にセットされると、まず、ステップS1において、装着されたインクカートリッジ1が使用可能か否かを検出するようにしており、これには、第1のアンテナ20及び第2のアンテナ8間の信号の授受が利用される。そして、第1のアンテナ20からの信号によりプリンタ本体21側から電力が供給されることによって半導体装置4のICが起動し、検出手段7に所定の電圧が印加される。すると、インクタンク2内にインクが収容されている場合には、接液電極10,10に接しているインクを通じて接液電極10,10間に電流が流れる。検出手段7により検出された信号(電流値)はコントローラ5へと出力される。コントローラ5は、検出手段7により、接液電極10,10間で通電することが検出されるとインク有りと判定し、この判定結果に基づくインク情報(インクの有無)を記憶手段へと格納する。そして、インクカートリッジ1が使用可能であることが判明すると、その情報がプリンタ本体21に送信され、プリンタ本体21は印字待機状態に入り、印字信号を受け次第、ステップS2に移行し、印字データの記録を実行する。
一方、検出手段7により、接液電極10,10間で通電しないことが検出されるとコントローラ5はインク無し(インクエンド状態)と判定する。そして、この判定結果に基づくインク情報(インクの有無)を記憶手段へと格納し、ステップS6に移行して、インクカートリッジ1の交換を促す信号をプリンタ本体21へと出力する。
このように、接液電極10,10間の通電状態を検知することでインクタンク2内のインクの有無を確認し、インクカートリッジ1の使用可否を判定する。
プリンタ本体21を駆動して印字を実行している際、インクカートリッジ1は、ステップS3に示すように、これら接液電極10,10間の通電状態を所定時間毎に検出する。検出手段7により検出された検出信号(電流値)はコントローラ5へと出力される。このインク情報の検出周期は適宜設定される。コントローラ5は、この判定結果に基づいて記憶手段6のインク情報を随時更新する。このようにしてインク残量(インクの有無)の管理が行われる。そして、記憶手段6に格納されたインク情報は、コントローラ5により第2のアンテナ8を介してプリンタ本体21側へ出力され、表示部或いはコンピュータからユーザーへと提供される。
一方、プリンタ本体21側では、インク滴の吐出液滴カウント数やメンテナンスにより使用されたインク量をソフトウェアにより積算して、インクの消費量を計算する。その結果を所定時間毎に第1のアンテナ20を介してインクカートリッジ1の記憶手段6へと伝送し、該記憶手段6においてインク残量(消費量)の管理が行われる。このように、プリンタ本体21の第1のアンテナ20より出力された出力信号に基づいて、記憶手段6のインクに関する情報が随時更新される。そして、記憶手段6に格納されたインク情報は、記憶手段6から第2のアンテナ8を介してプリンタ本体21側の表示部或いはコンピュータへと出力されてユーザーへ提供される。これによりユーザーは、インクの消費経過を監視したり、インク残量等を確認したりすることができる。
印字をスタートしてしばらくすると、ステップS4に示すように、例えば、コントローラ5に、プリンタ本体21側からインク残量がゼロとなった計算結果が送られてくる。しかしながら、検出手段7による検出信号がインク有りの信号、つまり、接液電極10,10間が通電状態である場合には、インクタンク2内にインクが残留していることが明らかであるため、この時点ではインクタンク2内のインクが無くなったという判断はなされず、ステップS2に戻って印字データの記録が続行される。ここで、吐出液滴カウンタ部から得られるインク残量と、実際にインクタンク2に存在するインクの実量との間で生じる差は、インク滴の重量バラツキや、製造時のインク注入量のバラツキに起因するものである。
その後、インクカートリッジ1側において、検出手段7により接液電極10,10間で通電しなくなったという信号が検出されると、ステップS4に示すように、コントローラ5がその信号に基づいてインクエンド(インク無し)の判定を行い、記憶手段6のインク情報を更新する。一対の接液電極10,10は、それぞれインクタンク2の底面に沿って設けられていることから、接液電極10,10間で通電しなくなったということはインクタンク2内にインクがなくなったことを意味する。これは、吐出液滴カウンタ部において計算で算出されるインク残量よりも確かであるため、コントローラ5では、あくまでもインクに接液している接液電極10,10からの信号を優先して制御する。検出手段7の信号に基づいてインクエンドの判定を行ったコントローラ5は、ステップS5に示すように、インクカートリッジ1の交換を促す信号を第2のアンテナ8を介してプリンタ本体21側へと出力し、プリンタ本体21の表示部(不図示)或いはコンピュータを通じてユーザーへと警告する。これによりユーザーは、インクカートリッジ1を交換する時期を知ることができる。
そして、ステップS6に至ると、インクエンド状態となったインクカートリッジ1はプリンタ本体21から取り外され、新たなインクカートリッジ1と交換される。
ここで、例えば、インクカートリッジ1の検出手段7によってインクタンク2内がインクエンド状態であることが判明しているにも拘らず、プリンタ本体21側の吐出液滴カウンタ部によって算出されるインク残量がインク有りとされているとするならば、プリンタ本体21側の異常とみられるため、プリンタ本体21の表示部或いはコンピュータに、異常内容を示すエラーメッセージが表示される。
また、プリンタ本体21側でインク残量ゼロと算出された時点で、インクカートリッジ1内に残留しているインクの量が、インク滴の重量バラツキから生じるインク残量よりもはるかに多いと判断される場合、通常吐出されるインク滴の量よりも少ない量で吐出されていると考えられるため、例えばインク吐出ヘッドのクリーニング等を促すメッセージを表示部或いはコンピュータに出力させるようにする。
このように、プリンタ本体21側のインク情報と、インクカートリッジ1の検出手段7によって検出されたインク情報とを、記憶手段6において統合管理を行うことにより、双方を比較することでプリンタ本体21及びインクカートリッジ1における異常が検出される。
また、インクカートリッジ1の記憶手段6に格納されたインク情報は、プリンタ本体21の電源を切ったり、プリンタ本体21からインクカートリッジ1を取り外したりしたとしてもその格納情報は保持される。そのため、インクカートリッジ単体であってもインク情報が管理される。なお、インクカートリッジ1に表示部を設け、記憶手段6に格納されたインク情報を表示部に反映させるようにしてもよい。
このようなインク情報制御システムによれば、記憶手段6及び検出手段7が同一のシステムとなっているので、双方の情報を統合した情報管理が実現できる。例えば、インク残量情報、インク有無情報、インク充填の有無、インクの充填日、インクの終了日及びインク充填回数など、インクに関する詳細な情報を一括管理することができる。また、システムが一つになったことにより、システムが簡略化され、管理コストの上昇を抑えることが可能となった。さらに、インク情報をもとにして、インクの誤充填を防止できるとともにプリンタ本体21の異常等を検出することも可能となるので、印字品質の向上に繋がる。上記、説明してきたように、本発明の適用によって、インクに係わるきめ細かい情報提供をすることができるようになり、ユーザーの満足度を著しく向上させることができる。このことは、以下に説明する、電子機器でも同様である。
[電子機器]
次に、本発明に係るインクジェット式プリンタ30(電子機器)の主要構成について、図3に示す実施の形態に基づいて説明する。このインクジェット式プリンタ30は、プリンタ本体21に複数のインクカートリッジ1を着脱可能に備えたプリンタであって、上述したインク情報制御システムを有するものである。
図3において符号31はキャリッジであり、このキャリッジ31は、キャリッジモータ32により駆動されるタイミングベルト33を介し、ガイドロッド34に案内されてプラテン35の軸方向に往復移動されるように構成されている。
前記キャリッジ31が走査される走査領域には、記録用紙16が配置され、この記録用紙16はキャリッジ31の走査方向に直交するように搬送されるように構成されている。そして、キャリッジ31における前記記録用紙16と対向する面には、記録ヘッドが設けられ、またその上部には前記記録ヘッドにインクを供給するブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各インクがそれぞれ貯留されたインクカートリッジ1B,1Y,1C,1Mが着脱可能となるように装着されている。
また、非印字領域外であるホームポジションには、キャッピング手段36が配置されており、このキャッピング手段36は、キャリッジ31がホームポジション側へ移動した場合、キャリッジ31の移動に伴い、キャリッジ31に搭載された記録ヘッドのノズル形成面を封止できるように構成されている。ホームポジション上にある場所に対応した、インクカートリッジ1の有する個々の第2のアンテナ8上に対応したプリンタ本体対向部上に第1のアンテナ20が配置されていると、インクカートリッジ1がホームポジションに戻る度にインク情報の授受が、プリンタ本体21側とやり取りできる。また、本実施例によれば、通信手段を無線としたので、必ずしも前述の設計である必要はなく、個々の第2のアンテナ8上に対応しないプリンタ本体対向部上に第1のアンテナ20が配置されていてもよく、本体設計の自由度も向上させることができる。
また前記キャッピング手段36は、前記キャリッジ31が印字領域側へ移動するに伴って降下し、記録ヘッドの封止状態を解くことができるように構成されている。そして、前記キャッピング手段36の下方には、キャッピング手段36の内部空間に対して負圧を与えるための吸引ポンプ37が配置されている。
前記キャッピング手段36は、インクジェット式プリンタ30の休止期間中における記録ヘッドのノズル開口の乾燥を防止する蓋体として機能する他、記録ヘッドに印刷とは関係のない駆動信号を印加してインク滴を吐出させるフラッシング動作時のインク受けとして機能し、さらに前記吸引ポンプ37からの負圧を記録ヘッドに作用させて、記録ヘッドよりインクを吸引排出させるクリーニング手段としての機能も兼ね備えている。
そして、キャッピング手段36の印字領域側に隣接して、ゴムなどの弾性板からなるワイピング部材38が配置されていて、キャリッジ31がキャッピング手段36側に往復移動する際に、必要に応じて記録ヘッドのノズル形成面を払拭して清掃するワイピング動作がなされるように構成されている。
このように、インクジェット式プリンタ30は、各インクカートリッジ1からのインクの供給を受ける記録ヘッドに対して記録用紙を相対的に移送させるようになっており、印刷データに基づいて記録ヘッドを移動させながら、記録用紙にインク滴を吐出させることで記録を行うように構成されている。
そして、インクカートリッジ1内のインクが消費されると、プリンタ本体21に設けられた表示部やコンピュータにインクカートリッジ1の交換の表示がなされる。
このような構成のインクジェット式プリンタ30によれば、インク情報制御システムによって、インクタンク2内のインクの情報を確実に検出、管理することができる。これにより、例えば、インクカートリッジ1の適正な交換時期を決定することができる。よって、インクを余すことなくインクカートリッジ1を交換することができるので、インクカートリッジ1の交換サイクルが延長され、ユーザーのコストダウンを図ることができる。インクの詳細な情報管理を実現することにより、効率的で無駄のないインクカートリッジ1のリサイクルが可能となる。また、例えば、インク充填回数の情報から、インクカートリッジ1のリサイクル回数を決定することができるなど、ユーザーだけでなく、生産者側にとっても有益な情報となる。よって、高信頼性、高品質の製品を提供することができる。
また、以上の本実施例によれば、通信手段を無線とした例を説明してきたが、本発明の本質はインクの残量検出手段と記憶手段、制御手段が一体のシステムで組まれている所にあるので、通信手段が無線でない、接続ピン等を用いた有線であってもまったく構わない。
本発明の一例に係るインク情報制御システムのブロック図である。 本発明の一例に係るインク情報制御システムのフローチャートである。 本発明の一例に係るインク情報制御システムを適用したインクジェット式プリンタの主要構成を示す斜視図である。
符号の説明
1…インクカートリッジ、2…インクタンク(収容部)、3…インクカートリッジ筐体、4…半導体装置、5…コントローラ(制御手段)、6…記憶手段、7…検出手段、8…第2のアンテナ(情報授受手段)、10…接液電極、20…第1のアンテナ(情報授受手段)、21…プリンタ本体(電子機器本体)、30…インクジェット式プリンタ(電子機器)

Claims (7)

  1. 情報授受手段を備えた電子機器本体に用いられるインクカートリッジであって、
    インクを収容する収容部を有するインクカートリッジ筐体と、
    前記インクの残量を検出する検出手段と、
    前記電子機器本体側の前記情報授受手段との間で情報の授受を行う情報授受手段と、
    前記インクの情報を記憶する記憶手段と、
    前記検出手段、前記情報授受手段及び前記記憶手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とするインクカートリッジ。
  2. 前記検出手段、前記情報授受手段、前記制御手段及び前記記憶手段が同一の半導体装置に設けられ、
    前記インクカートリッジ筐体は、前記半導体装置を備えることを特徴とする請求項1記載のインクカートリッジ。
  3. 前記検出手段が接液電極で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクカートリッジ。
  4. 前記半導体装置は、前記検出手段が前記収容部内に露出するようにして前記インクカートリッジ筐体内に埋設されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のインクカートリッジ。
  5. 前記情報授受手段としてアンテナを用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のインクカートリッジ。
  6. 上記請求項1から5のいずれか一項に記載のインクカートリッジと、
    情報授受手段を備えた電子機器本体と、を備えることを特徴とするインク情報制御システム。
  7. 上記請求項6記載のインク情報制御システムを備えたことを特徴とする電子機器。
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