JP2007237227A - Mag溶接方法及びこれに用いるシールドガス - Google Patents

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勝則 和田
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Abstract

【課題】亜鉛めっき鋼板を溶接する場合においてもブローホールやピットの発生を確実に防止して好適な溶接金属を形成可能なMAG溶接方法及びこれに用いるシールドガスを提供する。
【解決手段】溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させ、シールドガスを供給しながら溶接金属を形成するステンレス鋼ワイヤを用いたMAG溶接方法において、シールドガスが、酸素と二酸化炭素と不活性ガスの混合ガスとされ、酸素の体積をY%、二酸化炭素の体積をX%としたときに、酸素と二酸化炭素の混合割合を、−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Yとなるように調整して、残体積を不活性ガスとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、亜鉛めっき鋼板を溶接するMAG溶接方法及びこれに用いるシールドガスに関する。
従来、自動車、建築、電気機器などに用いられる鋼材(鋼板)には、その耐食性に優れる点から、鋼板表面に純亜鉛や亜鉛合金を溶融めっき又は電気めっきした亜鉛めっき鋼板が多用されている。そして、この亜鉛めっき鋼板の溶接には、溶接効率に優れる点からMAG(Metal Active Gas)溶接が採用されている。MAG溶接は、溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと鋼板との間にアークを発生させ、アーク熱により溶接ワイヤを溶融するとともに鋼板を溶融し、互いが混ざり合った溶接金属(溶接ビード)を形成することによって、例えば鋼板同士を接合する。
ここで、溶接直後など未硬化状態の溶接金属に大気が接触すると、大量の窒素が溶接金属中に溶け込み、この状態で溶接金属が凝固すると、窒素が一気に泡となって析出しそのまま溶接金属中に包含されてブローホールやピットなどの溶接欠陥が生じ、溶接部分の著しい機械的強度の低下を招いてしまう。このため、一般に、溶接時には、溶接ワイヤとともに溶接トーチの先端から、例えば炭酸ガスや、アルゴンガス、ヘリウムガスなどのシールドガスを供給し、アークによって溶融した溶融池をこのシールドガスで覆って大気から遮断するようにしている。
この一方で、亜鉛めっき鋼板をアーク溶接する場合には、鋼板表面を被覆する亜鉛が低融点、低沸点であるために、アーク熱で気化し、この気化した亜鉛蒸気が溶接金属中に溶け込んで、シールドガスを供給しながら溶接を行なっても溶接金属にブローホールやピットなどの溶接欠陥を生じさせる場合があった。この際、手直しのために再度溶接する必要があるため、手間とコストが増大するという問題があった。また、亜鉛蒸気に起因した溶接欠陥を回避するために、アーク熱の熱影響を受ける溶接部の亜鉛めっきを例えばグラインダーなどで予め機械的に除去することもあるが、やはり手間が掛かり溶接作業の作業効率を著しく低下させるという問題があった。
これに対し、例えば特許文献1に開示されるような、鋼板の組成成分と略同等の成分である炭素(C)と珪素(Si)とマンガン(Mn)とリン(P)と硫黄(S)を主成分とした溶接ワイヤ(鉄系溶接ワイヤ)を用いることによって、亜鉛蒸気に起因したブローホールやピットの発生を抑制するアーク溶接方法がある。すなわち、溶接ワイヤを、充分なCを確保した状態で低Si、高Mnとすることによって、溶接直後の溶接金属の粘性を低下させる。これにより、内部に取り込まれた亜鉛蒸気を、溶接金属が凝固する前に外部に放出するようにしている。また、C量を多くすることで、溶接金属の粘性をより低下させることができ、ブローホールやピットの発生をさらに抑止することが可能になる。
特開平7−232294号公報
しかしながら、上記の鉄系溶接ワイヤを用いた場合においても、亜鉛蒸気が溶接金属内に溶け込むことには変わりがなく、溶接金属の粘性を低下させても、溶け込んだ亜鉛蒸気を充分に放出できない場合もあり、この場合には、やはりブローホールやピットが発生し、充分な効果を得ることができないという問題があった。このため、より確実に亜鉛蒸気に起因したブローホールやピットの発生を抑止できる対策が強く望まれていた。
本発明は、上記事情を鑑み、亜鉛めっき鋼板を溶接する場合においてもブローホールやピットの発生を確実に抑止して好適な溶接金属を形成可能なMAG溶接方法及びこれに用いるシールドガスを提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のMAG溶接方法は、溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させて溶接金属を形成するMAG溶接方法であって、前記溶接ワイヤとしてステンレス鋼ワイヤを用いることを特徴とする。
また、本発明のMAG溶接方法においては、前記ステンレス鋼ワイヤは、クロムが、重量比で12%〜35%含有されていることが望ましい。
さらに、本発明のMAG溶接方法は、溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させ、シールドガスを供給しながら溶接金属を形成するMAG溶接方法において、前記シールドガスが、酸素と二酸化炭素と不活性ガスの混合ガスとされ、前記酸素の体積をY%、前記二酸化炭素の体積をX%としたときに、前記酸素と前記二酸化炭素の混合割合が、
−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
となるように調整されて、残体積が前記不活性ガスとされていることを特徴とする。
また、本発明のシールドガスは、溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させて溶接金属を形成する際に、前記溶接金属の表面を覆うように供給されるシールドガスであって、酸素と二酸化炭素と不活性ガスの混合ガスとされ、前記酸素の体積をY%、前記二酸化炭素の体積をX%としたときに、前記酸素と前記二酸化炭素の混合割合が、
−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
となるように調整され、残体積が前記不活性ガスとされていることを特徴とする。
本発明のMAG溶接方法によれば、溶接ワイヤとしてステンレス鋼ワイヤを用いることによって、すなわち炭素量が少なく、ニッケル、クロムが含有されている溶接ワイヤを用いることによって、溶接直後の溶接金属の粘性を高めることができ、この粘性に起因して亜鉛蒸気が溶融金属内に溶け込むことを阻止することができる。これにより、溶接金属に亜鉛蒸気に起因したブローホールやピットが形成されることを抑止でき、好適な溶接金属を形成することが可能になる。また、ステンレス鋼ワイヤに、クロムが、重量比で12%〜35%含有されていることによって、確実に上記の効果を得ることができる。
また、本発明のMAG溶接方法及びこれに用いるシールドガスによれば、シールドガスの酸素の体積をY%、二酸化炭素の体積をX%としたときに、酸素と二酸化炭素の混合割合が、
−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
となるように調整され、残体積が不活性ガスとされていることによって、ブローホールやピットの発生を抑止することができ、かつ好適にアークを形成できるとともに、溶接直後の溶融した溶接金属の溶滴移行が好適に行なわれてスパッタの発生をも防止できる。これにより、好適な溶接金属を形成することが可能になる。
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るMAG(Metal Active Gas)溶接方法及びこれに用いるシールドガスについて説明する。本実施形態は、亜鉛めっき鋼板のMAG溶接方法及びこれに用いるシールドガスに関するものである。
本実施形態において、溶接に使用するアーク溶接装置(MAG溶接装置)は、図1及び図2に示すように、ステンレス鋼ワイヤ(溶接ワイヤ)1を通電させるためのコンタクトチップ2a及びシールドガスを溶接部3に供給するためのガスノズル2bを先端側に備えた溶接トーチ2と、亜鉛めっき鋼板(母材)4とコンタクトチップ2aに電気的に接続され、コンタクトチップ2aに電力を供給する溶接機5と、ドラム6aに巻かれたステンレス鋼ワイヤ1を溶接トーチ2に供給する送給装置6と、溶接トーチ2のガスノズル2bにシールドガスを供給するシールドガス供給装置7とから構成される。ここで、溶接部3とは、亜鉛めっき鋼板4の溶接に伴う熱により影響を受ける部分を示している。
溶接トーチ2は、図2に示すように、その先端側に備えたガスノズル2bが略円筒状に形成されており、その内部に略円筒状のコンタクトチップ2aが、互いの軸線O1が同軸上に配されるようにして収容されている。また、溶接トーチ2は、送給装置6から送られたステンレス鋼ワイヤ1が、コンタクトチップ2aの内孔に挿通し溶接トーチ2の先端から外側に向けて送給可能とされている。さらに、ガスノズル2bは、その内孔に本実施形態のシールドガスがシールドガス供給装置7から供給され、シールドガスをその先端、すなわち溶接トーチ2の先端から外側に噴射するように形成されている。
ここで、本実施形態のステンレス鋼ワイヤ1は、炭素量が少なく、ニッケル、クロムが含有され、例えばクロムが、重量比で12%〜35%含有されたものであり、JIS Z 3321Y308、JIS Z 3321Y308 LSi、JIS Z 3321Y309、JIS Z 3321Y309 LSi、JIS Z 3321Y316 LSiを適用することができる。
一方、本実施形態のシールドガスは、酸素と二酸化炭素とアルゴン(Ar)(不活性ガス)の混合ガスとされ、酸素の体積をY%、二酸化炭素の体積をX%としたときに、酸素と二酸化炭素の混合割合(組成成分割合)が、
−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
となるように調整され、残体積がアルゴンガスで占められている。
ついで、上記の構成からなるアーク溶接装置を用いてMAG溶接を行なう方法について説明し、本実施形態のMAG溶接方法及びシールドガスの作用及び効果について説明する。
本実施形態において、亜鉛めっき鋼板4に溶接を施す際には、はじめに、溶接機5からコンタクトチップ2aに電力を供給可能な状態にするとともに、送給装置6及びシールドガス供給装置7からステンレス鋼ワイヤ1及びシールドガスを供給可能な状態にする。ついで、溶接作業者は、溶接トーチ2の先端を所定の位置に向け、例えば溶接トーチ2のレバー2cを操作し、コンタクトチップ2aに電力を供給しつつ溶接トーチ2の先端からステンレス鋼ワイヤ1及びシールドガスの供給を開始する。これにより、溶接トーチ2の先端から送り出されたステンレス鋼ワイヤ1の先端と亜鉛めっき鋼板4の間にアーク10が発生し、継続して送り出されるステンレス鋼ワイヤ1を順次溶融させてゆくとともに、亜鉛めっき鋼板4を溶融させてゆく。そして、溶接作業者が、溶接トーチ2を溶接方向Tに移動させることにより、順次溶融するステンレス鋼ワイヤ2と亜鉛めっき鋼板4とが、溶滴状態で亜鉛めっき鋼板4上を移行しながら混合されて溶接金属11が形成されてゆく。また、このとき、溶接直後の溶融池12の溶接金属11は、その表面がガスノズル2bの先端から噴射した本実施形態のシールドガスで覆われて、大気との接触が遮断される。
ここで、上記のように亜鉛めっき鋼板4を溶接する場合には、鋼板4表面を被覆する亜鉛が低融点で、低沸点の金属であるために、アーク熱で気化してしまい、この気化した亜鉛蒸気が溶接金属11中に溶け込み、シールドガスを用いて溶接を行なっても溶接金属11にブローホールやピットなどの溶接欠陥を生じさせるという問題があった。
これに対し、本実施形態においては、溶接ワイヤにステンレス鋼ワイヤ1を用いているため、すなわち炭素量が少なく、ニッケルやクロムを含む溶接ワイヤを用いているため、溶接直後の溶接金属11の粘性が高くなり、この粘性によって亜鉛蒸気の溶融金属11内への溶け込みが阻止されて、亜鉛蒸気に起因したブローホールやピットの溶接欠陥が生じることが抑止される。これにより、亜鉛めっき鋼板4を溶接する場合においても、溶接欠陥のない好適な溶接金属11を形成することが可能になる。
また、本実施形態においては、シールドガスの酸素(Y%)と二酸化炭素(X%)の混合割合が、
−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
となるように調整され、残体積がアルゴンガスとされていることによって、ブローホールやピットの発生を抑止することができ、かつ好適なアーク10の形成及び溶接直後の溶滴移行が好適に行なわれ、スパッタの発生を防止できる。
すなわち、上記の範囲よりも酸素量が多い場合には、溶接金属11がシールドガス中の酸素によって大きく酸化されてしまう。このため、溶接金属11のなじみが悪くなり溶接金属11が大きな凸状を示すように形成され、溶接金属11の靭性が悪化する。
一方、−X+1≦Yの範囲を外れた場合には、シールドガスの酸化作用が不足して、安定したアーク10が形成できなくなってしまう。さらに、X≦30の範囲を外れた場合には、溶接直後の溶融した溶接金属11の溶滴移行において、例えば液滴が大きくなりすぎるなど不安定な溶滴形状での移行が発生しやすくなり、アーク10で溶接金属11が飛び散ってスパッタ発生量の増大を招いてしまう。
したがって、本実施形態のMAG溶接方法によれば、溶接ワイヤとしてステンレス鋼ワイヤ1を用いることによって、溶接金属11に亜鉛蒸気に起因したブローホールやピットが形成されることを防止でき、好適な溶接金属11を形成することが可能になる。また、このとき、ステンレス鋼ワイヤ1に、クロムが重量比で12%〜35%含有されていることにより、上記効果を確実に得ることができる。
また、本実施形態のシールドガスを用いてMAG溶接を行なうことによって、ブローホールやピットの発生を抑止することができるとともに、アーク10の形成や溶接直後の溶融した溶接金属11の溶滴移行を円滑に行なえ、スパッタの発生をも防止して、好適な溶接金属11を形成することが可能になる。
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、シールドガスの酸素と二酸化炭素の少なくとも一方を除いた残体積を占める不活性ガスが、アルゴンガスであるものとして説明を行なったが、不活性ガスは、特にアルゴンガスに限定する必要はなく、例えばヘリウムガスや、ヘリウムガスとアルゴンガスの混合ガスを不活性ガスとして用いてもよい。よって、本発明のシールドガスは、任意の不活性ガスを用いて構成されてもよいものである。
以下に、図1及び図2を参照し、本発明の実施例1を具体的に説明する。
本実施例は、亜鉛めっき鋼板4を、本発明に係るMAG溶接方法で用いるステンレス鋼ワイヤ1と、炭素鋼ワイヤとでそれぞれ溶接し、形成した溶接金属11のピットの数を比較することによって、ステンレス鋼ワイヤ1を用いるMAG溶接方法の優位性を明らかにしたものである。
本発明の実施例1において、溶接する亜鉛めっき鋼板4は、厚さ2.3mmとされ、ステンレス鋼の表面に45g/mの目付量で亜鉛めっきを施して形成されている。そして、溶接は、溶接トーチ2のトーチ角θを亜鉛めっき鋼板4の溶接側の上面に直交する垂直面に対し20度傾斜させた下向きの溶接姿勢で行う重ね隅肉溶接としている。また、溶接方向Tは一方向として前後の進退を行なっていない。さらに、溶接トーチ2のコンタクトチップ2aと亜鉛めっき鋼板4との離間を15mmとして、溶接長を200mmとした。また、溶接時には、溶接トーチ2の先端から溶接部3に向けて、流量20リットル/minでシールドガスを供給している。
さらに、本実施例では、ステンレス鋼ワイヤ1に、直径1.2mmのSUS309L ステンレス鋼(JIS Z 3321Y309 LSi)製のソリッドワイヤを用いている。炭素鋼ワイヤには、直径1.2mmの炭素鋼ソリッドワイヤ(JIS Z 3312YGW12)を用いている。
また、本実施例では、上記の溶接条件に加えて、溶接ワイヤ(ステンレス鋼ワイヤ、炭素鋼ワイヤ)1に印加する電圧及び溶接ワイヤ1を流れる電流、溶接方向Tに溶接トーチ2を移動させる速度、すなわち溶接速度を変化させた3ケースで溶接を行っている。そして、ステンレス鋼ワイヤと炭素鋼ワイヤのそれぞれを用い、各ケースで形成した溶接金属11のピットの数を比較することによって、その評価を行なっている。ここで、Case1では、溶接ワイヤ1に20Vの電圧を印加して電流を160Aとし、溶接速度を50cm/minとしている。Case2では、電圧23V、電流230Aとし、溶接速度を100cm/minとしている。また、Case3では、電圧25V、電流300Aとし、溶接速度を150cm/minとしている。
上記の溶接条件で、ステンレス鋼ワイヤと炭素鋼ワイヤのそれぞれの溶接ワイヤ1を用いて形成した溶接金属11のピットの検出結果を表1に示す。
この結果、炭素鋼ワイヤを用いた場合には、Case1で2個、Case2で15個、Case3で3個のピットを溶接金属11に検出したのに対し、ステンレス鋼ワイヤを用いた場合には、Case1及びCase3で全くピットが検出されず、Case2において僅かに1個のピットが検出される結果となった。これは、炭素鋼ワイヤに比べ、ステンレス鋼ワイヤは、炭素量が少なく、ニッケル、クロムが含有され、このうちクロムが重量比で12%〜35%の範囲内で含有されていることに基づくものであり、このステンレス鋼ワイヤで形成した溶接直後の溶接金属11は、その粘性が高くなって、アーク熱で気化した亜鉛蒸気が粘性により内部に溶け込まない。
Figure 2007237227
以上の結果から、溶接ワイヤ1としてステンレス鋼ワイヤを用いることによって、溶接直後の溶接金属11の粘性を高め、亜鉛蒸気の溶融金属11への溶け込みを阻止し、溶接金属11にピット(ピットやブローホール)が形成されることを抑止できることが実証された。
ついで、以下に、図1から図3を参照し、本発明の実施例2について具体的に説明する。本実施例は、溶接を行う際に、酸素と二酸化炭素とアルゴン(不活性ガス)の混合割合(組成成分割合)を段階的に変化させた各シールドガスをそれぞれ供給して、好適な溶接金属11を形成可能なシールドガスの混合割合を特定したものである。
本実施例では、溶接ワイヤ1に実施例1のステンレス鋼ワイヤを用い、溶接条件を実施例1と同様にしている。また、本実施例では、はじめに、酸素を含まず、二酸化炭素の体積を0.5%、1%、20%、30%、35%と段階的に変化させ、残体積をアルゴンガス(不活性ガス)が占めるシールドガスを用いて溶接を行なっている。ついで、二酸化炭素を含まず、酸素の体積を0.5%、1%、10%、13%と段階的に変化させ、同じく残体積をアルゴンガスが占めるシールドガスを用いて溶接を行なっている。さらに、二酸化炭素と酸素の体積を、それぞれ30%と2.5%、30%と5%、20%と5%、20%と8%、10%と7.5%、10%と10%とし、残体積をアルゴンガスが占めるシールドガスを用いて溶接を行なっている。
そして、各シールドガスを用いて形成した溶接金属(ビード)11に対し、スパッタの発生状況、ビード表面の酸化状況、ビード止端のぬれ性、ビード止端の蛇行の有無、ピット発生の有無を観察し、各観察結果の良否によって各シールドガスの評価を行なっている。ここで、ビード止端とは、一方向に溶接トーチ2を移動させながら形成した溶接金属11の溶接方向T後端側を示している。
ついで、酸素を含まず、二酸化炭素の体積を段階的に変化させたシールドガスを用いた結果を表2に示す。この結果、二酸化炭素の体積を0.5%とした場合には、ビード止端の蛇行が確認され、かつピットの発生が確認された。また、二酸化炭素の体積を35%とした場合には、ビード止端の蛇行やピットの発生は確認されない反面、スパッタが多く発生するとともに、ビード表面の酸化が多く、かつビード止端のぬれ性が悪いという結果となった。一方、二酸化炭素の体積を1%、20%、30%とした場合には、スパッタの発生やビード表面の酸化が少なく、ビード止端のぬれ性も良好で、かつビード止端の蛇行やピットの発生がないことが確認された。
Figure 2007237227
これにより、酸素を含まないシールドガスの場合には、二酸化炭素を1%〜30%の範囲に調整することで、好適な溶接金属11を形成することが可能であることが確認された。
ついで、二酸化炭素を含まず、酸素の体積を段階的に変化させたシールドガスを用いた結果を表3に示す。この結果、酸素の体積を0.5%とした場合には、ビード止端の蛇行とピットの発生が確認された。また、酸素の体積を13%とした場合には、ビード止端の蛇行やピットの発生が確認されず、かつスパッタの発生が少ない反面、ビード表面の酸化が多く、ビード止端のぬれ性が悪いという結果となった。これに対し、酸素の体積を1%、10%とした場合には、スパッタの発生やビード表面の酸化が少なく、ビード止端のぬれ性も良好で、かつビード止端の蛇行やピットの発生もないことが確認された。
Figure 2007237227
これにより、二酸化炭素を含まないシールドガスの場合には、酸素を1%〜10%の範囲に調整することで、好適な溶接金属11を形成することが可能であることが確認された。
ついで、二酸化炭素と酸素の体積を、それぞれ30%と2.5%、30%と5%、20%と5%、20%と8%、10%と7.5%、10%と10%とし、残体積をアルゴンガスが占めるシールドガスを用いた結果を表4に示す。この結果、二酸化炭素と酸素の体積を、それぞれ30%と5%、20%と8%、10%と10%にした場合には、ともにビード表面の酸化が多く、ビード止端のぬれ性が悪くなることが確認された。一方、二酸化炭素と酸素の体積を、それぞれ30%と2.5%、20%と5%、10%と7.5%にした場合には、各観察結果が良好で、好適な溶接金属11を形成できることが確認された。
Figure 2007237227
以上の結果をまとめて図3に示す。ここで、図3において、縦軸Yは、酸素の体積割合(%)を示し、横軸Xは、二酸化炭素の体積割合(%)を示している。
上記の結果から、良好な溶接金属11が形成される範囲は、Y=−0.25X+10の直線Aと、Y=−X+1の直線Bと、X=30の直線Cで囲まれた領域S1になる。すなわち、領域S1内の組成成分割合を示すシールドガスを用いることによって、亜鉛めっき鋼板4を溶接した場合においても、亜鉛蒸気に起因した溶接欠陥などが生じることがない。また、図3において、直線Aよりも酸素の体積割合が多い領域S2(直線Aよりも上側に相当する領域S2)のシールドガスを用いて溶接を行なった場合には、酸素量が多いために、酸素ガスの酸化作用が大きくなり、ビードの酸化が顕著となる。そして、この場合には、ビードの酸化に伴ってビードのなじみが悪くなり、ビードが極端な凸状に形成され、結果として溶接金属の靭性の悪化を招くことになる。
また、直線Bよりも酸素の体積割合が少ない領域S3(直線Bよりも下側に相当する領域S3)のシールドガスを用いて溶接を行った場合には、酸化作用が不足して、安定したアークを得ることができなくなってしまう。さらに、直線Cよりも二酸化炭素の体積割合が多い領域S4(直線Cよりも右側に相当する領域S4)のシールドガスを用いて溶接を行った場合には、溶滴移行において、不安定な溶滴形状での移行が発生しやすくなり、ビード止端のぬれ性の悪化や、スパッタ発生量の増大を招くことになる。
したがって、シールドガスの組成成分割合を、−X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Yとなるように調整し、残体積を不活性ガスで占めるようにすることにより、亜鉛めっき鋼板を溶接する場合においても、アーク熱で気化した亜鉛蒸気が溶接金属11の高粘性によってその内部に溶け込むことがなく、ブローホールやピットの発生を確実に防止して好適な溶接金属11を形成することが可能になることが実証された。
なお、本実施例では、亜鉛めっき鋼板4間での溶接を行なったが、亜鉛めっき鋼板4とめっきをしていない炭素鋼板の溶接においても、本発明に係るMAG溶接方法及びこれに用いるシールドガスは有効である。
本発明の一実施形態に係るアーク溶接装置を示す図である。 図1のアーク溶接装置で亜鉛めっき鋼板を溶接している状態を示す図である。 実施例2の結果をもとに、好適な溶接金属を形成可能なシールドガスの組成割合を示した図である。
符号の説明
1 溶接ワイヤ(ステンレス鋼ワイヤ)
2 溶接トーチ
3 溶接部
4 亜鉛めっき鋼板
7 シールドガス供給装置
10 アーク
11 溶接金属(ビード)
12 溶融池
S1 領域(好適な溶接金属が形成される領域)
S2 領域(ビード酸化が多く、ビード形状が悪化する領域)
S3 領域(アーク不安定領域)
S4 領域(スパッタ増大領域)
A 直線(Y=−0.25X+10)
B 直線(Y=−X+1)
C 直線(X=30)

Claims (4)

  1. 溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させて溶接金属を形成するMAG溶接方法であって、
    前記溶接ワイヤとしてステンレス鋼ワイヤを用いることを特徴とするMAG溶接方法。
  2. 請求項1記載のMAG溶接方法において、
    前記ステンレス鋼ワイヤは、クロムが、重量比で12%〜35%含有されていることを特徴とするMAG溶接方法。
  3. 溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させ、シールドガスを供給しながら溶接金属を形成するMAG溶接方法において、
    前記シールドガスが、酸素と二酸化炭素と不活性ガスの混合ガスとされ、前記酸素の体積をY%、前記二酸化炭素の体積をX%としたときに、前記酸素と前記二酸化炭素の混合割合が、
    −X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
    となるように調整されて、残体積が前記不活性ガスとされていることを特徴とするMAG溶接方法。
  4. 溶接トーチの先端から送り出される溶接ワイヤと亜鉛めっき鋼板の間にアークを発生させて溶接金属を形成する際に、前記溶接金属の表面を覆うように供給されるシールドガスであって、
    酸素と二酸化炭素と不活性ガスの混合ガスとされ、前記酸素の体積をY%、前記二酸化炭素の体積をX%としたときに、前記酸素と前記二酸化炭素の混合割合が、
    −X+1≦Y≦−0.25X+10、0≦X≦30、且つ0≦Y
    となるように調整され、残体積が前記不活性ガスとされていることを特徴とするシールドガス。

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