JP2001259888A - 耐ピット及び耐ブローホール性能が優れた亜鉛メッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
耐ピット及び耐ブローホール性能が優れた亜鉛メッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤInfo
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Abstract
能が優れた亜鉛メッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤ
で、亜鉛メッキ層の厚さが厚い場合にも、溶接時に発生
するピットとブローホールの発生を最小化することが出
来る。 【解決手段】 フラックスの量を溶接用ワイヤの全体
重量の10〜20%、フラックスによって充填される外
皮を、ワイヤの全体重量の80〜90%とし、鉄分と脱
酸剤、及びアーク安定剤等のその他成分を残部とするフ
ラックスが充填される軟鋼製外皮からなる。上記軟鋼製
外皮内に充填されるフラックスは、ワイヤの全体重量に
対し、スラグ生成剤:2〜15%と、珪素酸化物:1.
0〜10%と、金属チタニウム又は金属マグネシウムと
その合金混合物の中から金属チタニウムを含めて少なく
とも2種以上を含む成分:0.4〜3%と、ナトリウム
フッ化物とカリウムフッ化物のいずれか1つのフッ化
物:0.1〜1%からなることを特徴とする。
Description
溶接に使用されるフラックス入りワイヤ(flux-cored wi
re)に関し、更に詳しくは、亜鉛メッキ鋼板の溶接時に
発生しやすいピット(pit)と、ブローホール(blow hole)
の形成を効果的に抑制するために、スラグ生成剤として
チタニウム酸化物、珪素酸化物、アルカリフッ化物等が
適当に含有されたフラックスを、軟鋼製外皮(sheath)内
にワイヤの全体重量に対し、10〜20%になるように
充填した耐ピット及びブローホール性能が優れた亜鉛メ
ッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤに関する。
る溶接法は、溶接材(電極又は溶加材)と被溶接材(母
材)との間に低電圧高電流の電源を印可して発生するア
ーク熱をもって上記両材料を熔融させ、母材と母材を結
合させるアーク溶接であって、アーク溶接は、大きく2
つの形式に分けられる。
図1に示しているように、溶接棒(11)を電極として
使用し、母材と電極との間で発生するアーク(12)熱
によって電極の役割を遂行する溶接棒と母材が熔融され
ながら溶接金属(13)、即ち、溶接部に形成されるビ
ード(bead)となる形態であり、被覆アーク溶接、サブマ
ジードアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接、ミグ溶接等が
あげられる。
溶接であって、図2に示しているように、電極(21)
は、ただアーク(22)を発生させる役割のみを遂行す
るため、溶接金属を得るためには別途の溶加材(23)
をアーク発生範囲内に入れて熔融させなければならな
い。かかる方法の代表的なものとしては、ティグ溶接と
原子水素溶接等があげられる。
を除く溶接法等は、溶接時アーク熱によって熔融された
液状の金属が形成されている溶融池の酸化を防止する
か、熔融金属の雰囲気調節のために不活性ガスや二酸化
炭素ガス等を溶融池の付近に供給し、熔融金属と空気と
の接触を遮断させることから、ガスシールドアーク溶接
(gas-shielded arc welding)ともいう。
方法であって、自動車、造船、建築等の多様な産業分野
で広く適用されており、かかる産業分野で広く使用され
ている鉄鋼材の溶接は極めて重要であるが、次のような
問題点がある。
た材料であるが、耐蝕性において、脆弱な特性を持って
いるので、耐蝕性向上のために鋼材の表面に純亜鉛や亜
鉛合金等をメッキして使用されている。
溶接時に形成される溶接部の欠陥の発生要因として作用
するようになる。
点、低沸点特性を有する亜鉛からなるため、アーク溶接
性が純粋鋼材に比して著しく劣り、溶接部に溶接欠陥が
発生しやすいところ、その原因は次のようである。
池、及び熱影響部の表面メッキ層の亜鉛が沸点以上に加
熱され、この際、蒸発される亜鉛ガスが溶融池の熔融金
属(molten metal又は、melt)の中に侵入するようにな
る。
池、及び熱影響部の表面メッキ層の亜鉛が沸点以上に加
熱され、この際、蒸発される亜鉛ガスが溶融池の熔融金
属の中に侵入するようになる。
内に侵入した亜鉛ガスは、熔融金属が凝固した以後にも
ビード内部に残留するようになることで、内部残留ガス
のある空間、即ち、ブローホールが形成され、上記の残
留ガスが熔融金属の凝固過程で完全に凝固されなかった
ビードの表面から突き出ながらビード表面に溝−ピット
を形成させるようになる。
によって形成されたブローホールやピットは、溶接部を
劣化させ、溶接鋼材の強度を低下させるか、割れ発生の
原因になるため、この発生を防止しなければならない。
ク溶接に使用されてきたフラックス入りワイヤは、メッ
キ層の厚さが普通20μm以下の自動車用、若しくは軽
量鉄骨用亜鉛メッキ鋼材に主に使用されてきた。
00μm程度になるメッキ鋼材や、メッキ層に溝のある
鋼管又は船舶の空調配管等、白管(亜鉛メッキ鋼管)の
溶接に使用する場合には、特に、上記のブローホールや
ピットが多量発生し、スパッタリング(spattering)が酷
く、飛散された溶接部の熔融金属がシールドガスの供給
ノズルを詰まらせてガスのシールド効率が低下し、連続
的溶接が困難になることもある。
部分のメッキ層を溶接前にグラインドして除去するか、
I-型突合せ溶接のルート(root)の間隔を大きくして気
化した亜鉛ガスが容易に放出されるようにするか、2回
以上の溶接を施すが、一次溶接時に予熱効果を高めてメ
ッキ層の亜鉛を予め気化させた後、2次以後の溶接で仕
上げする等の方法で溶接をしなければならないため、溶
接作業性が著しく低下する問題がある。
ろ、亜鉛メッキ鋼材の溶接時に問題となるピット、及び
ブローホールの発生を極力押さえることが出来、連続的
な溶接作業を遂行することが出来るように、溶接ヒュー
ムとスパッタリングを適切に制御出来る、溶接に最適化
されたフラックス成分からなるフラックス入りワイヤを
提供することを目的とする。
フラックスの量を溶接用ワイヤの全体重量の10〜20
%、フラックスによって充填される外皮を、ワイヤの全
体重量の80〜90%になるように構成し、上記フラッ
クスの中のその他成分として、鉄分と脱酸剤、及びアー
ク安定剤等を含有させるが、その他成分の総量をワイヤ
の全体重量の5〜15%になるようにした後、その他成
分まで含んだフラックスを軟鋼製外皮内に充填した亜鉛
メッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤによって達成さ
れる。
入りワイヤは、図4に示しているように、軟鋼製外皮
(41)内にフラックス(42)が充填された構造であ
り、充填フラックスを構成する成分は、ワイヤの全体重
量を基準として、スラグ生成剤:2〜15%と、珪素酸
化物:1.0〜10%と、金属チタニウム又は金属マグ
ネシウムとその合金混合物の中から金属チタニウムを含
んで少なくとも2種以上を含んだ成分:0.4〜3%
と、ナトリウムフッ化物とカリウムフッ化物のいずれか
1つのフッ化物:0.1〜1%と、その他成分を残部と
して含有する。
よる溶接性への影響は、次のとおりである。二酸化チタ
ニウムを主成分として構成されるスラグ生成剤は、その
含有量が2%未満の場合には、溶接時に形成されるアー
クが安定されず、溶接部ビード(bead)の形状が均一では
ないのみならず、溶融池熔融金属のスパッタ発生量が増
加し、飛散された熔融金属によってシールドガス供給ノ
ズルの詰まり現象が増加したり、15%を超えるように
なると、溶接部のビードにピットとブローホールが多量
に形成され得る。
の役割も遂行する成分であって、その含有量が1%未満
の場合には、溶接ビード部からのカラス質スラグの脱落
が困難になると同時に、ビード部の形状が盛り上がりす
ぎた形態に形成されやすく、10%を超えると、アーク
形成が不安定になり、スパッタリングの発生が多くな
る。
の合金混合物の中から、金属チタニウムを含んで少なく
とも2種以上の成分を添加するが、その総含有量が0.
4%未満であると、アーク形成が不安定になり、溶接部
のビードにピットとブローホールが多量に形成され、3
%を超えると、スパッタリングの増加により、均一な溶
接部のビードの形成が困難になる。
いずれか1つを添加するフッ化物の場合は、その含有量
が0.1%未満であると、アーク形成が不安定になり、
1%を超えるようになると、スパッタリング現象が発生
し過ぎて溶接ヒュームの発生量が多くなる。
ット及び耐ブローホール性能が優れた亜鉛メッキ鋼板溶
接用フラックス入りワイヤの技術的構成と、具体的な溶
接特性等に関する事項は、図面を参照した下記の詳細な
説明を通じて明確に理解されるだろう。
を調べるために実施した溶接作業方法の実施例を図3の
(a)乃至図3(c)に示した。
面上に同一形状の副母材(32)を垂直に溶接するため
に、溶接用ワイヤ(33)を供給するトーチ(34;to
rch)の角度は、主母材の表面との水平傾斜角(35)
は60〜70°、副母材の表面との垂直傾斜角(36)
は45°をなすようにし、溶接用ワイヤ(33)の先端
が副母材(32)の下端表面から離れる離隔距離(3
7)は、ワイヤ直径の1〜1.5倍になるようにし、2
回の溶接により一次ビード(38)上に二次ビード(3
9)を形成させた。
を1.2mmに製造して使用し、溶接電流は180〜28
0アンペア、溶接電圧は28〜32ボルトを適用し、シ
ールドガスとして二酸化炭素ガスを分当たり20リット
ルの量で供給しながら、炭酸ガスアーク溶接を溶接速度
が分当たり30cmになるように実施した。
9mm、幅100mm、長さ500mmのSS400(JIS
G 3101)の材質であって、メッキ厚さ100〜5
00μmになるように両面亜鉛メッキを施し、上記の亜
鉛メッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤの外皮は、冷
間圧延鋼帯であるSPWB材質を使用し、その重量構成
は、ワイヤ全体重量に対する重量比として上記の外皮が
80〜90%、外皮内に充填されたフラックスを10〜
20%とした。
の重要成分に対する含有量と耐気孔性及び作業性は、表
1のようである。
されたピットの数を、Bはビード内部に形成されたブロ
ーホールの数に対する評価であり、作業性はスパッタ発
生に伴う作業性を評価したものであって、溶接長さ50
0mmにピット及びブローホールの発生個数が無い場合
は、“◎”で、1〜2の場合は‘○’で、3〜5の場合
は‘△’で、6個以上の場合は‘X’で表示した。
にして相対評価し、総合評価は耐気孔性の2つの評価項
目と、作業性評価の3つの項目で1つ以上の‘X’があ
る場合は、‘X’と看做し、その他は相対評価を行っ
た。
グネシウムと金属チタニウムの含有量が0.4%に至ら
ないと、ピットとブローホールの形成が増加することが
分かり、0.4%になっても金属チタニウム無しに金属
マグネシウムのみ存在すると、ピットとブローホールの
形成を抑制し難くなることが比較例3と4から分かると
ころ、必ず金属チタニウムが含有されなければならない
ということが分かる。
響を与えるものであり、比較例1乃至3の場合、耐気孔
性は不良であるが、金属フッ化物がないためアークが不
安定ではあるが、却って、作業性においては、多少安定
的であることが分かる。
業性が不良であることが分かる。これは、全体的な各成
分の含有量は基準範囲にあるが、金属フッ化物の含有量
が基準値の最高値を有すると同時に、重要なスラグ生成
剤である二酸化チタニウムの含有量も少なくないため、
多量発生されるスラグがスパッタを助長した結果であ
る。
良であることが分かるが、これは金属マグネシウムと金
属チタニウムの総含有量が基準範囲から外れているため
である。
を測定したものが次の表2である。
Z 3111によって実施した。上記試験結果を察して
みると、実施例と比較例の試片の引張強度は比較例2と
3を除いてはほぼ等しいレベルを示しているが、伸率と
衝撃値においては、比較例の試片のいずれも懸隔な減少
を示している。
ーホールは、引張強度の低下よりは、特に伸率と衝撃値
を著しく減少させるところ、これは一般に、溶接部が急
冷によって硬化されるため、引張強度の側面での変化は
少ないが、硬化による脆性の増加と共に、ピットやブロ
ーホールが割れに対する伝播役割を遂行することで、ピ
ットやブローホールの存在は溶接部を更に脆弱にさせ
る。
キ鋼板溶接用フラックス入りワイヤは、メッキ層の厚さ
が厚い場合でも溶接時に発生するピットやブローホール
の発生を最小化することが出来るのみならず、溶接ヒュ
ームとスパッタの発生を制御することが出来て、溶接性
を向上させることが出来るため、連続溶接工程や自動化
された溶接工程により効果的に使用することが出来る。
す。
用した溶接作業を示す図であって、(a)は、斜視図で
あり、(b)は、側面図であり、(c)は、側端面図で
ある。
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】 フラックスと外皮からなる亜鉛メッキ鋼
板溶接用フラックス入りワイヤにおいて、 前記フラックスで充填される外皮の重量をワイヤの全体
重量の80〜90%とし、フラックスの量を10〜20
%として構成され、 前記フラックスは、ワイヤの全体重量に対し、スラグ生
成剤:2〜15%と、珪素酸化物:1.0〜10%と、
金属チタニウム又は金属マグネシウムとその合金混合物
の中から金属チタニウムを含んだ少なくとも2種以上か
らなる成分:0.4〜3%と、ナトリウムフッ化物とカ
リウムフッ化物のいずれか1つのフッ化物:0.1〜1
%と、鉄分・脱酸剤・アーク安定剤を残部として構成され
ることを特徴とする耐ピット及び耐ブローホール性能が
優れた亜鉛メッキ鋼板溶接用フラックス入りワイヤ。
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