JP3223259B2 - 亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤInfo
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Description
ラックス入りワイヤに関するもので、特に亜鉛または亜
鉛合金のめっき層が厚い鋼板または鋼管の溶接に使用す
るのに好適な亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤ
に関するものである。
りワイヤは、自動車に使用される亜鉛めっき鋼板、ある
いは住宅産業の軽量鉄骨に使用される亜鉛めっき鋼板等
の溶接に使用されているが、これらの亜鉛めっき鋼板の
めっき層の厚さは8〜16μm程度と薄いものである。
この従来の亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤ
を、例えば亜鉛めっき層厚さが100〜500μmであ
り、しかもその厚みにムラがある鋼管、例えば造船、空
調配管等に使用されている、いわゆる白ガス管(JIS
G−3452、SGP白管)の溶接に使用した場合、
亜鉛層により溶接金属の馴染み性が劣り、アークスタ
ート性も悪い、亜鉛の気化によりピット、ブローホー
ルが多発する、スパッタの発生が多く、これによりノ
ズルが閉塞してガスシールド性を不良にし、これにより
連続溶接やロボット化ができない、亜鉛の溶接金属へ
の侵入が懸念され、直接溶接が敬遠される、等の問題が
発生していた。このため次のような対策を施して上記問
題に対応している。溶接部及び開先部内の亜鉛めっき
層をグラインダー等の工具で除去してから溶接を行う。
突合せ溶接のルート間隔を大きくしたり、隙間を設け
るなど、気化した亜鉛ガスが逸散しやすい形状に加工す
る。2パス以上の溶接を行い、1パス目の溶接で予熱
効果を引出し、亜鉛を気化させ、2パス以降の溶接で仕
上げる。亜鉛めっき処理を施していない、いわゆる黒
管の状態で溶接をした後に亜鉛めっき処理を行い、めっ
き後に溶接する箇所を少なくする。
めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤを用いた上記従来
の溶接作業においては、ピット、ブローホールなどの溶
接欠陥の発生は幾分抑制できるものの、溶接作業前の処
理や溶接作業量の増加を招くという新たな問題が生じ、
その作業性は改善されていない。
になされたものであって、その目的は、鋼板、鋼管等に
施されている亜鉛または亜鉛合金のめっき層が厚くて
も、ピットやブローホール等の溶接欠陥の発生を抑制で
きると共に、溶接作業性を向上させることが可能な亜鉛
めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤを提供することに
ある。
っき鋼溶接用フラックス入りワイヤは、ワイヤ全体に対
する重量比で、スラグ生成剤を3.0〜12%含有する
と共に、金属チタンまたは金属チタンと金属ボロンとの
混合物を0.4〜2.0%含有し、さらに硅フッ化物、
硼フッ化物の少なくともいずれか一方を0.2〜1.0
%含有するフラックスを、鋼製外皮内に充填してなるこ
とを特徴としている。なおフラックスの量はワイヤ全体
に対する重量比で18〜20%とするのが好適である。
また上記成分以外に残部としてフラックス中に鉄粉、脱
酸剤、アーク安定剤を含有させるのが好ましく、その総
量はワイヤ全体に対する重量比で9〜15%とするのが
好適である。
において金属チタンまたは金属ボロンの総量を0.4〜
2.0%の範囲としたのは、次のような理由による。す
なわちワイヤ全体に対寸る重量比で、フラックス中の金
属チタンまたは金属ボロンの総量が0.4%よりも少な
いとピット及びブローホールが多発し、その総量が2.
0%よりも多いとスパッタか多発するためである。。な
お上記総量が0.4%以上であっても、金属チタンが含
有されていなければピット及びブローホールが多発した
ので、金属チタンは必ず含有させる必要がある。
2〜1.0%の範囲としたのは、その総量が0.2%よ
りも少ないと、ピット及びブローホールが多発し、また
その総量が1.0%よりも多いとスパッタが多発するた
めである。なおこれらはいずれか一方の化合物を含有し
ていればよい。
ス入りワイヤの具体的な実施例について、図面を参照し
つつ詳細に説明する。まず耐気孔性及び作業性を比較す
るための溶接試験を実施した。図1は重ね隅肉溶接継手
の形状、寸法(mm)及びトーチ角度を示す説明図であ
る。表1はフラックス中の特定成分の構成と、この構成
のフラックス入りワイヤを用いて溶接した結果を示して
いる。供試鋼板1、1の材質はSS400(JIS G
−3101)であり、寸法は厚さ10mm、幅100m
m、長さ500mmである。亜鉛めっきは両面に施さ
れ、その厚さはそれぞれ200〜500μmである。そ
して供試鋼板1、1を図1に示すように30mm重ねた
継手形状とした。また使用ワイヤは管状であり、その外
皮の材質はSPCC(JIS G−3141)である。
そしてその重量構成はワイヤ全体に対する重量比で、鋼
性外皮が80〜82%、その外皮内に充填されるフラッ
クスが18〜20%である。このフラックスは、スラグ
生成剤、表1の特定成分及びその他の成分(残部)から
成っており、その値はスラグ生成剤が約8%、残部が約
10%であり、特定成分は表1にそれぞれ示している値
である(いずれもワイヤ全体に対する重量比)。なお上
記残部とは、鉄粉、脱酸剤、アーク安定剤等であり、ス
ラグ生成剤とは、SiO2、Al2O3、TiO2、Z
rO2であるがこれらには限定されない。また表1の特
定成分中の硅フッ化物は、具体的にK2SiF6、Na
2SiF6等であり、硼フッ化物はNaBF4、KBF
4等であるが、これらの化合物にも限定はされない。
電流を180A、溶接電圧を26V、溶接速度を30c
m/min,、シールドガスをCO2(20l/mi
n.)とした炭酸ガスアーク溶接法によって行った。
た。それらの結果も表1に示す。なお同表中の評価基準
は次の通りである。まずピット及びブローホールの評価
は、溶接長500mm当りの上記欠陥の発生数が0個を
極めて良好として「◎」、1〜2個を良好として
「○」、3〜5個をやや不良として「△」、6個以上を
不良として「×」とした。またスパッタの評価は相対評
価で行った。総合評価は上記項目で1個以上「×」があ
る場合は「×」とし、その他は相対評価とした。表1よ
り次のことが明らかである。
を比較すると、金属チタンまたは金属ボロンの総量が
0.4%よりも下回るとピット及びブローホールが多発
していることがわかる。さらに実施例のNo.1と比較
例のNo.1を考慮すると、その総量が0.4%以上で
あっても金属チタンは必ず含有されていなければならな
いことがわかる。したがって金属チタンは必ず含有さ
れ、しかも金属チタンと金属ボロンとの総量は0.4%
以上とする必要かある。
較例のNo.7を比較すると、金属チタンまたは金属ボ
ロンの総量が2.0%を超えるとスパッタが多発してい
る。したがって金属チタンは必ず含有させ、しかも金属
チタンと金属ボロンとの総量は2.0%以下にする必要
がある。
o.9と比較例のNo.3、No.5及びNo.6を比
較すると、硅フッ化物と硼フッ化物との総量が0.2%
を下回るとピット及びブローホールが多発している。つ
まり硅フッ化物と硼フッ化物との総量は0.2%以上で
なければならないことがわかる。この場合、いずれか一
方の化合物だけであってもよい。
o.12と比較例のNo.4を比較すると、硅フッ化物
と硼フッ化物との総量が1.0%を上回るとスパッタが
多発している。したがって硅フッ化物と硼フッ化物との
総量は1.0%以下でなければならず、この場合、いず
れか一方の化合物を含有していればよい。
めに、表1の実施例のNo.6のワイヤを用いて溶接試
験を実施した。
−3101)の場合と、SS400(JIS G−3
101)に亜鉛めっき200〜500μmを施している
場合との2種類を採用し、ワイヤ径を1.2mm、溶接
電流を180A、溶接電圧を26V、シールトガスをC
O2、ガス流量を20l/min.、パス間温度を約1
50℃で炭酸ガスアーク溶接を行った。その結果、の
場合は引張強さは585N/mm2であった。なお溶接
方法及び試験方法は、JIS Z−3111に基づき、
試験片はA1号試験片を採用した。の場合の引張強さ
は503N/mm2であった。なお溶接方法及び試験方
法はJIS Z−3121に基づき、試験片は1号試験
片を採用した。上記結果から本発明の亜鉛めっき鋼溶接
用フラックス入りワイヤによれば、亜鉛めっきしていな
い鋼板の場合と同様の充分な引張強度が得られることが
わかる。
鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤにおいては、従
来では亜鉛または亜鉛合金めっき層の厚さが200〜5
00μmと厚い鋼板または鋼管を溶接する場合に実施し
ていた溶接前の処理を施さず、直接溶接しても溶接欠陥
であるピット及びブローホールの発生を僅少に抑え、ス
パッタの発生も抑制し得るので、その作業性を一段と向
上させることが可能になる。しかも継手部の引張強さも
充分なものが得られる。
説明したが、この発明は上記実施例に限定されるもので
はなく、この発明の範囲内で種々変更して実施すること
が可能である。例えば上記実施例においては、フラック
ス入りワイヤを管状としているが、鋼製の外皮がフラッ
クスを内包していればよく、ワイヤの形状や内包方法に
は限定されない。
接用フラックス入りワイヤでは、鋼板、鋼管等の亜鉛ま
たは亜鉛合金のめっき層が厚くても、ピット及びブロー
ホールの発生を抑えることができると共に、スパッタの
発生を抑制できるので、その作業性を向上させることが
できる。
を示す説明図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 ワイヤ全体に対する重量比で、スラグ生
成剤を3.0〜12%含有すると共に、金属チタンまた
は金属チタンと金属ボロンとの混合物を0.4〜2.0
%含有し、さらに硅フッ化物、硼フッ化物の少なくとも
いずれか一方を0.2〜1.0%含有するフラックス
を、鋼製外皮内に充填してなることを特徴とする亜鉛め
っき鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21196392A JP3223259B2 (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21196392A JP3223259B2 (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0615484A JPH0615484A (ja) | 1994-01-25 |
JP3223259B2 true JP3223259B2 (ja) | 2001-10-29 |
Family
ID=16614607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21196392A Expired - Lifetime JP3223259B2 (ja) | 1992-06-30 | 1992-06-30 | 亜鉛めっき鋼溶接用フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3223259B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100343750B1 (ko) * | 2000-03-03 | 2002-07-20 | 고려용접봉 주식회사 | 내피트 및 내블로우 홀 성능이 우수한 아연도금 강판용접용 플럭스 코어드 와이어 |
CN114193024B (zh) * | 2021-11-16 | 2022-12-09 | 西安理工大学 | 增强铜基药芯焊丝及低碳钢表面强化的方法 |
-
1992
- 1992-06-30 JP JP21196392A patent/JP3223259B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH0615484A (ja) | 1994-01-25 |
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