JPH08309582A - ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 - Google Patents
２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法Info
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- JPH08309582A JPH08309582A JP13742295A JP13742295A JPH08309582A JP H08309582 A JPH08309582 A JP H08309582A JP 13742295 A JP13742295 A JP 13742295A JP 13742295 A JP13742295 A JP 13742295A JP H08309582 A JPH08309582 A JP H08309582A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 プライマー塗布鋼板の高速水平すみ肉溶接に
おいて、特に耐プライマー性を改善し、かつ良好なビー
ド形成ができる高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接
方法を提供する。 【構成】 ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶
接方法において、Ｃ：０．０７ｗｔ％以下、Ｓｉ：０．
２０〜１．１５ｗｔ％、Ｍｎ：０．６０〜２．５０ｗｔ
％からなる鋼製外皮内に、ＴｉＯ2 を１．８〜６．５ｗ
ｔ％含有するフラックス入りワイヤを少なくとも１電極
に用いて、１プールを形成して行う。
おいて、特に耐プライマー性を改善し、かつ良好なビー
ド形成ができる高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接
方法を提供する。 【構成】 ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶
接方法において、Ｃ：０．０７ｗｔ％以下、Ｓｉ：０．
２０〜１．１５ｗｔ％、Ｍｎ：０．６０〜２．５０ｗｔ
％からなる鋼製外皮内に、ＴｉＯ2 を１．８〜６．５ｗ
ｔ％含有するフラックス入りワイヤを少なくとも１電極
に用いて、１プールを形成して行う。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明はプライマー塗布鋼板の高
速水平すみ肉溶接において、特に耐プライマー性を改善
し、かつ良好なビード形成ができる高速水平すみ肉ガス
シールドアーク溶接方法に関する。
速水平すみ肉溶接において、特に耐プライマー性を改善
し、かつ良好なビード形成ができる高速水平すみ肉ガス
シールドアーク溶接方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、造船や橋梁分野では溶接コスト低
減のために水平すみ肉溶接の高速化の要求が強い。これ
に対し、特開昭６３−２３５０７７号公報、特開平２−
２８０９６８号公報等による高速水平すみ肉ガスシール
ドアーク溶接方法が提案されている。これらは目標脚長
の確保のためにフラックス入りワイヤの高溶着性を利用
し、また良好なビード形状を得るために１プールを形成
して溶接するものである。
減のために水平すみ肉溶接の高速化の要求が強い。これ
に対し、特開昭６３−２３５０７７号公報、特開平２−
２８０９６８号公報等による高速水平すみ肉ガスシール
ドアーク溶接方法が提案されている。これらは目標脚長
の確保のためにフラックス入りワイヤの高溶着性を利用
し、また良好なビード形状を得るために１プールを形成
して溶接するものである。
【０００３】しかるに、施工現場においては溶接構造物
の製作期間中の防錆および仕上がり後の塗装性のために
一般にショッププライマー塗装鋼板が使用されており、
高速化にともないビード表面欠陥であるピットが発生し
やすくなる。特に水素ポテンシャルの比較的高い種類の
プライマーを使用したり、塗装膜厚にむらがある鋼板に
対してのピットの発生は極めて敏感であり、溶接部の品
質を損なうばかりか手直し補修に長時間を要し能率が低
下する。
の製作期間中の防錆および仕上がり後の塗装性のために
一般にショッププライマー塗装鋼板が使用されており、
高速化にともないビード表面欠陥であるピットが発生し
やすくなる。特に水素ポテンシャルの比較的高い種類の
プライマーを使用したり、塗装膜厚にむらがある鋼板に
対してのピットの発生は極めて敏感であり、溶接部の品
質を損なうばかりか手直し補修に長時間を要し能率が低
下する。
【０００４】これまでにも耐プライマー性改善対策は種
々検討され、例えば特開昭６２−１１０８７３号公報は
多電極溶接においてプライマー燃焼電極を先行させるこ
とを提案しているが、燃焼電極の設置は装置を複雑にす
るので実用性に欠ける。また前記特開平２−２８０９６
８号公報においてはピット防止に有効な成分を添加した
フラックス入りワイヤを用いることを提案し実用的にも
効果を得ているが、プライマーの種類、膜厚の管理状態
によってはピット発生が問題になる。
々検討され、例えば特開昭６２−１１０８７３号公報は
多電極溶接においてプライマー燃焼電極を先行させるこ
とを提案しているが、燃焼電極の設置は装置を複雑にす
るので実用性に欠ける。また前記特開平２−２８０９６
８号公報においてはピット防止に有効な成分を添加した
フラックス入りワイヤを用いることを提案し実用的にも
効果を得ているが、プライマーの種類、膜厚の管理状態
によってはピット発生が問題になる。
【０００５】さらに装置的に簡便で広く適用されている
２電極溶接で行う場合、溶接速度１．５ｍ／ｍｉｎ以上
になると必要溶着量が大きくなり高電流の溶接条件とな
るので、ビードの凸状化やアンダーカットが発生しやす
くなるという問題がある。
２電極溶接で行う場合、溶接速度１．５ｍ／ｍｉｎ以上
になると必要溶着量が大きくなり高電流の溶接条件とな
るので、ビードの凸状化やアンダーカットが発生しやす
くなるという問題がある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】本発明はプライマー塗
装鋼板の水平すみ肉溶接において、高速化にともない問
題となるピット、アンダーカット等の溶接欠陥がなく形
状が良好なビードを、装置的にも簡便な２電極溶接で安
定して得られる高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接
方法の提供を目的とする。
装鋼板の水平すみ肉溶接において、高速化にともない問
題となるピット、アンダーカット等の溶接欠陥がなく形
状が良好なビードを、装置的にも簡便な２電極溶接で安
定して得られる高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接
方法の提供を目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、２電極高速水平すみ肉ガスシールド
アーク溶接方法において、Ｃ：０．０７ｗｔ％以下、Ｓ
ｉ：０．２０〜１．１５ｗｔ％、Ｍｎ：０．６０〜２．
５０ｗｔ％、その他不可避的不純物からなる鋼製外皮内
に、ＴｉＯ2 を１．８〜６．５ｗｔ％含有するフラック
ス入りワイヤを少なくとも１電極に用いて、１プールを
形成して行うことを特徴とする２電極高速水平すみ肉ガ
スシールドアーク溶接方法である。
するものであって、２電極高速水平すみ肉ガスシールド
アーク溶接方法において、Ｃ：０．０７ｗｔ％以下、Ｓ
ｉ：０．２０〜１．１５ｗｔ％、Ｍｎ：０．６０〜２．
５０ｗｔ％、その他不可避的不純物からなる鋼製外皮内
に、ＴｉＯ2 を１．８〜６．５ｗｔ％含有するフラック
ス入りワイヤを少なくとも１電極に用いて、１プールを
形成して行うことを特徴とする２電極高速水平すみ肉ガ
スシールドアーク溶接方法である。
【０００８】
【作用】溶接速度１．５ｍ／ｍｉｎ以上の高速で造船等
で一般的に要求する脚長４〜５ｍｍ以上を確保するため
にはフラックス入りワイヤによる２電極溶接とし、また
平滑なビード形状を得るために溶融プールを１プールに
し２電極間に安定した湯溜まりを形成するように両電極
を配置して溶接する。この２電極１プール溶接でプライ
マー種類を同じにしほぼ一定膜厚の場合、先行電極によ
る立板と下板のコーナー部の溶け込みが大きいほどピッ
トは発生しやすく、また後行電極の電流が高すぎて溶融
プールが不安定になった場合にも発生しやすくなる。し
かしギャップを大きくした場合にはピットはほとんど発
生しない。これらの実験結果から高速水平すみ肉溶接に
おけるピット発生の主要因は鋼板に塗装されたプライマ
ーが溶接中に燃焼、あるいは熱分解して発生するガスに
あることは明かで、ピット防止のためにはできるだけプ
ライマーからのガス発生量を少なくすること、つまりコ
ーナー部の溶け込みをあまり大きくしないようにし、か
つ安定した溶融プール状態にして溶接する必要がある。
で一般的に要求する脚長４〜５ｍｍ以上を確保するため
にはフラックス入りワイヤによる２電極溶接とし、また
平滑なビード形状を得るために溶融プールを１プールに
し２電極間に安定した湯溜まりを形成するように両電極
を配置して溶接する。この２電極１プール溶接でプライ
マー種類を同じにしほぼ一定膜厚の場合、先行電極によ
る立板と下板のコーナー部の溶け込みが大きいほどピッ
トは発生しやすく、また後行電極の電流が高すぎて溶融
プールが不安定になった場合にも発生しやすくなる。し
かしギャップを大きくした場合にはピットはほとんど発
生しない。これらの実験結果から高速水平すみ肉溶接に
おけるピット発生の主要因は鋼板に塗装されたプライマ
ーが溶接中に燃焼、あるいは熱分解して発生するガスに
あることは明かで、ピット防止のためにはできるだけプ
ライマーからのガス発生量を少なくすること、つまりコ
ーナー部の溶け込みをあまり大きくしないようにし、か
つ安定した溶融プール状態にして溶接する必要がある。
【０００９】本発明者らは特願平６−６３７９０号の提
案にあるような合金外皮によるフラックス入りワイヤの
溶融特性に着目し、種々の試作ワイヤにより検討した。
その結果、前記の鋼製外皮組成としてＣ，Ｓｉ，Ｍｎ含
有量を限定したＴｉＯ2 系フラックス入りワイヤ（以
下、合金外皮ワイヤという）を少なくとも１電極に用い
ることにより高速水平すみ肉溶接の耐プライマー性およ
びビード形成性を大幅に改善できることを見いだした。
案にあるような合金外皮によるフラックス入りワイヤの
溶融特性に着目し、種々の試作ワイヤにより検討した。
その結果、前記の鋼製外皮組成としてＣ，Ｓｉ，Ｍｎ含
有量を限定したＴｉＯ2 系フラックス入りワイヤ（以
下、合金外皮ワイヤという）を少なくとも１電極に用い
ることにより高速水平すみ肉溶接の耐プライマー性およ
びビード形成性を大幅に改善できることを見いだした。
【００１０】図１に本発明による溶接状況の一例を示
す。２電極１プール溶接において高速で良好な水平すみ
肉ビードを形成させるためには、先行電極１と後行電極
２との間に形成される湯溜まり３の安定化が必要であ
る。すなわち２電極１プール溶接の特徴は、先行電極に
より生じた溶融金属４が先行電極のアーク力により後方
に流されすぎないように、後行電極のアークにより前向
きの力を作用させ両極間に適度の湯溜まりを形成し、後
行電極後方への溶融プールの後退を抑制することにより
ビードの凸状化およびアンダーカットの発生を防止する
ことにある。なお図中５はアーク、６はプライマー塗装
鋼板、７は溶接金属、８は凝固したスラグである。
す。２電極１プール溶接において高速で良好な水平すみ
肉ビードを形成させるためには、先行電極１と後行電極
２との間に形成される湯溜まり３の安定化が必要であ
る。すなわち２電極１プール溶接の特徴は、先行電極に
より生じた溶融金属４が先行電極のアーク力により後方
に流されすぎないように、後行電極のアークにより前向
きの力を作用させ両極間に適度の湯溜まりを形成し、後
行電極後方への溶融プールの後退を抑制することにより
ビードの凸状化およびアンダーカットの発生を防止する
ことにある。なお図中５はアーク、６はプライマー塗装
鋼板、７は溶接金属、８は凝固したスラグである。
【００１１】このような２電極１プール溶接において高
速溶接を行う場合、目標脚長に見合った溶着量を確保す
るために溶接電流は必然的に高く設定される。これに従
来一般的なＳｉおよびＭｎ含有量の低い軟鋼外皮による
フラックス入りワイヤ（以下、軟鋼外皮ワイヤという）
を用いた場合、アークの拡がりがなくなり集中したアー
ク状態になり、アークによるコーナー部の掘り下げ力が
強く、また先行電極および後行電極のアーク力が増大す
るため電極間の湯溜まりが不安定になる。
速溶接を行う場合、目標脚長に見合った溶着量を確保す
るために溶接電流は必然的に高く設定される。これに従
来一般的なＳｉおよびＭｎ含有量の低い軟鋼外皮による
フラックス入りワイヤ（以下、軟鋼外皮ワイヤという）
を用いた場合、アークの拡がりがなくなり集中したアー
ク状態になり、アークによるコーナー部の掘り下げ力が
強く、また先行電極および後行電極のアーク力が増大す
るため電極間の湯溜まりが不安定になる。
【００１２】これに対し、先行電極にＳｉ，Ｍｎの高い
外皮によるフラックス入りワイヤ（以下、合金外皮ワイ
ヤという）を用いた場合、軟鋼外皮ワイヤを用いた場合
に比較してコーナー部の溶け込みを小さくし、また上記
湯溜まりを安定化させることができる。合金外皮ワイヤ
によるこの効果は、軟鋼外皮ワイヤに比べ電気抵抗が大
きいのでワイヤの抵抗発熱によりワイヤ溶融速度が速
く、あまり電流を高くしなくとも必要溶着量が得られる
ことに加えて、合金外皮ワイヤが持つ独特のワイヤ溶融
特性による。つまり合金外皮ワイヤを高電流で溶接した
場合、軟鋼外皮ワイヤに比較してアーク長がやや長く拡
がりのあるアーク状態が観察できる。この拡がりのある
アークはコーナー部の溶け込みを適度に抑え、また溶融
金属を後方に流すアーク力も弱いので安定した湯溜まり
を形成する。この結果、プライマーの燃焼ガス発生量が
少なくなるとともに、さらに溶融プールの安定化は侵入
したガスの浮上と外部への放出を促進するのでピットが
発生しにくくなる。
外皮によるフラックス入りワイヤ（以下、合金外皮ワイ
ヤという）を用いた場合、軟鋼外皮ワイヤを用いた場合
に比較してコーナー部の溶け込みを小さくし、また上記
湯溜まりを安定化させることができる。合金外皮ワイヤ
によるこの効果は、軟鋼外皮ワイヤに比べ電気抵抗が大
きいのでワイヤの抵抗発熱によりワイヤ溶融速度が速
く、あまり電流を高くしなくとも必要溶着量が得られる
ことに加えて、合金外皮ワイヤが持つ独特のワイヤ溶融
特性による。つまり合金外皮ワイヤを高電流で溶接した
場合、軟鋼外皮ワイヤに比較してアーク長がやや長く拡
がりのあるアーク状態が観察できる。この拡がりのある
アークはコーナー部の溶け込みを適度に抑え、また溶融
金属を後方に流すアーク力も弱いので安定した湯溜まり
を形成する。この結果、プライマーの燃焼ガス発生量が
少なくなるとともに、さらに溶融プールの安定化は侵入
したガスの浮上と外部への放出を促進するのでピットが
発生しにくくなる。
【００１３】なお、安定した湯溜まりの形成は上記のよ
うにビードの凸状化、アンダーカットの発生を防止す
る。また施工現場では溶接部材にギャップのばらつきや
立板端面に丸みを持つ形状のものがあり、軟鋼外皮ワイ
ヤを用いた場合はその隙間にアークが集中しアークが不
安定でスパッタ多発やビード形状が劣化しやすい。この
ような問題に対しても、合金外皮ワイヤの溶融特性は軟
鋼外皮ワイヤよりも鈍感に作用し安定した溶接ができ
る。
うにビードの凸状化、アンダーカットの発生を防止す
る。また施工現場では溶接部材にギャップのばらつきや
立板端面に丸みを持つ形状のものがあり、軟鋼外皮ワイ
ヤを用いた場合はその隙間にアークが集中しアークが不
安定でスパッタ多発やビード形状が劣化しやすい。この
ような問題に対しても、合金外皮ワイヤの溶融特性は軟
鋼外皮ワイヤよりも鈍感に作用し安定した溶接ができ
る。
【００１４】後行電極に合金外皮ワイヤを用いた場合
は、アーク力による溶融プールの掘り下げが緩和され、
またアークの拡がりにより湯溜まりの保持力が増し同様
に安定した湯溜まりを形成できる。さらにアークの拡が
りは後行電極直下の溶融プール面を拡大し溶融金属中の
ガスの速やかな浮上と外部への放出を促しピットの発生
防止に有効に作用する。なお、先行および後行の２電極
に合金外皮ワイヤを用いることは上記効果を相乗的に発
揮し高速化ができる。
は、アーク力による溶融プールの掘り下げが緩和され、
またアークの拡がりにより湯溜まりの保持力が増し同様
に安定した湯溜まりを形成できる。さらにアークの拡が
りは後行電極直下の溶融プール面を拡大し溶融金属中の
ガスの速やかな浮上と外部への放出を促しピットの発生
防止に有効に作用する。なお、先行および後行の２電極
に合金外皮ワイヤを用いることは上記効果を相乗的に発
揮し高速化ができる。
【００１５】次に本発明に用いる合金外皮ワイヤの成分
限定理由を説明する。鋼製外皮のＣはワイヤ溶融速度を
向上させる成分であるが、含有量が高すぎるとアークの
集中性が増しアーク力が強くなりコーナー部の溶け込み
を増大させ耐プライマー性が劣化する。Ｃ量の過剰はま
たスパッタが多発するようになり、連続溶接ではノズル
に付着し問題となる。さらに溶接金属の強度、靱性や耐
割れ性、ワイヤ製造時における伸線性に問題が生じるの
で、Ｃ量は０．０７ｗｔ％以下に限定した。
限定理由を説明する。鋼製外皮のＣはワイヤ溶融速度を
向上させる成分であるが、含有量が高すぎるとアークの
集中性が増しアーク力が強くなりコーナー部の溶け込み
を増大させ耐プライマー性が劣化する。Ｃ量の過剰はま
たスパッタが多発するようになり、連続溶接ではノズル
に付着し問題となる。さらに溶接金属の強度、靱性や耐
割れ性、ワイヤ製造時における伸線性に問題が生じるの
で、Ｃ量は０．０７ｗｔ％以下に限定した。
【００１６】ＳｉおよびＭｎも合金剤および脱酸剤とし
ての作用以外に、ワイヤの電気抵抗を高めワイヤ溶融速
度を向上させる成分である。本発明においては前記ワイ
ヤ溶融特性を有効に発揮させる必要があり、このために
Ｓｉ量を０．２０ｗｔ％以上、Ｍｎ量を０．６０ｗｔ％
以上含有させる必要がある。しかし、逆に両成分とも高
すぎると溶接金属の強度が高くなり靱性の低下やワイヤ
の伸線時に断線が発生しやすくなるのでそれぞれ上限は
Ｓｉ量は１．１５ｗｔ％、Ｍｎ量は２．５０ｗｔ％に限
定した。なおＳｉ量が高すぎるとビード表面にスラグが
焼き付き外観が不良となる。
ての作用以外に、ワイヤの電気抵抗を高めワイヤ溶融速
度を向上させる成分である。本発明においては前記ワイ
ヤ溶融特性を有効に発揮させる必要があり、このために
Ｓｉ量を０．２０ｗｔ％以上、Ｍｎ量を０．６０ｗｔ％
以上含有させる必要がある。しかし、逆に両成分とも高
すぎると溶接金属の強度が高くなり靱性の低下やワイヤ
の伸線時に断線が発生しやすくなるのでそれぞれ上限は
Ｓｉ量は１．１５ｗｔ％、Ｍｎ量は２．５０ｗｔ％に限
定した。なおＳｉ量が高すぎるとビード表面にスラグが
焼き付き外観が不良となる。
【００１７】鋼製外皮のその他の化学成分としては溶解
製造に伴なうＰ，Ｓ等の不可避不純物以外に、少量のＴ
ｉ，Ａｌ，Ｚｒ等の脱酸剤を溶接金属の性能を劣化させ
ない範囲で含有してもよい。
製造に伴なうＰ，Ｓ等の不可避不純物以外に、少量のＴ
ｉ，Ａｌ，Ｚｒ等の脱酸剤を溶接金属の性能を劣化させ
ない範囲で含有してもよい。
【００１８】充填フラックス組成についてはビード形成
性の面からスラグ形成剤成分を必要とし、良好なアーク
安定性やビード形状、外観を得るためにＴｉＯ2 をワイ
ヤ全重量に対し１．８〜６．５ｗｔ％含有させる。Ｔｉ
Ｏ2 量をこの範囲にした組成のＴｉＯ2 系のフラックス
入りワイヤは安定したアークが持続するとともに、流動
性の良好なスラグがビード全体を均一に被包しビード形
状を整えることができる。ＴｉＯ2 量が１．８ｗｔ％未
満ではこの効果が得られず、６．５ｗｔ％を超えるとス
ラグ被包性、ビード形状は良好になるが、スラグ粘性が
高く、スラグ生成量も多くなりすぎるためプライマーに
起因し溶融プールに侵入したガスの外部への放出が阻害
されてピットやガス溝が発生しやすくなる。
性の面からスラグ形成剤成分を必要とし、良好なアーク
安定性やビード形状、外観を得るためにＴｉＯ2 をワイ
ヤ全重量に対し１．８〜６．５ｗｔ％含有させる。Ｔｉ
Ｏ2 量をこの範囲にした組成のＴｉＯ2 系のフラックス
入りワイヤは安定したアークが持続するとともに、流動
性の良好なスラグがビード全体を均一に被包しビード形
状を整えることができる。ＴｉＯ2 量が１．８ｗｔ％未
満ではこの効果が得られず、６．５ｗｔ％を超えるとス
ラグ被包性、ビード形状は良好になるが、スラグ粘性が
高く、スラグ生成量も多くなりすぎるためプライマーに
起因し溶融プールに侵入したガスの外部への放出が阻害
されてピットやガス溝が発生しやすくなる。
【００１９】なお、本発明に用いる合金外皮ワイヤの充
填フラックスのその他の成分としては、ＴｉＯ2 系フラ
ックス入りワイヤに通常含有されているＳｉＯ2 ，Ａｌ
2 Ｏ3 ，ＭｇＯ，ＺｒＯ2 ，ＦｅＯ，Ｆｅ2 Ｏ3 等のス
ラグ形成剤、Ｋ2 Ｏ，Ｎａ2Ｏ等のアーク安定剤、Ｃ，
Ｓｉ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｔｉ，Ｍｇ等の合金剤または脱酸
剤、耐ピット性向上のための弗化物（Ｆ量で０．０５〜
０．５ｗｔ％）をそれぞれ含有させることができる。ま
た、Ｎｉ，Ｃｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｃｕ等の合金成分は鋼製外
皮あるいは充填フラックス成分として適用目的に応じて
適宜添加してよい。鉄粉をフラックス中に１０〜７０％
含有させることは、溶着速度の向上とともにアーク安定
性を改善しビード形状改善に効果がある。フラックス充
填率はワイヤ全重量に対し８〜２５ｗｔ％の範囲が溶着
量確保およびワイヤ伸線性の面から好ましい。
填フラックスのその他の成分としては、ＴｉＯ2 系フラ
ックス入りワイヤに通常含有されているＳｉＯ2 ，Ａｌ
2 Ｏ3 ，ＭｇＯ，ＺｒＯ2 ，ＦｅＯ，Ｆｅ2 Ｏ3 等のス
ラグ形成剤、Ｋ2 Ｏ，Ｎａ2Ｏ等のアーク安定剤、Ｃ，
Ｓｉ，Ｍｎ，Ａｌ，Ｔｉ，Ｍｇ等の合金剤または脱酸
剤、耐ピット性向上のための弗化物（Ｆ量で０．０５〜
０．５ｗｔ％）をそれぞれ含有させることができる。ま
た、Ｎｉ，Ｃｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｃｕ等の合金成分は鋼製外
皮あるいは充填フラックス成分として適用目的に応じて
適宜添加してよい。鉄粉をフラックス中に１０〜７０％
含有させることは、溶着速度の向上とともにアーク安定
性を改善しビード形状改善に効果がある。フラックス充
填率はワイヤ全重量に対し８〜２５ｗｔ％の範囲が溶着
量確保およびワイヤ伸線性の面から好ましい。
【００２０】本発明において用いる合金外皮ワイヤの径
は１．２〜２．４ｍｍのものが好ましい。すなわちワイ
ヤ径が１．２ｍｍ未満では目標脚長（一例として４〜５
ｍｍ以上）を得るためにはかなりの高速でワイヤ送給を
しなくてはならず、ワイヤ送給機が高価な上にワイヤの
狙い位置が極端に狭くなり安定した湯溜まりが形成され
ない。一方２．４ｍｍを超えるとワイヤの剛性が高くな
ってワイヤの安定送給のために装置が大型化し汎用性に
欠ける。異なるワイヤ径を組み合わせることは可能であ
るが、先行電極のワイヤ径を後行電極のワイヤ径より小
さくするか同じにすることが好ましい。先行電極径より
も後行電極のワイヤ径が小さい場合は、湯溜まりを保持
するのが困難で安定しない。ワイヤ断面形状についても
特に限定するものでないが、外皮部に隙間があるものよ
りも隙間のないシームレスタイプのものは耐吸湿性以外
にも、溶接中のワイヤ振れが少なく狙い位置が一定にな
るので安定したビード形成ができる。シールドガスは安
価なＣＯ2 ガスが一般的であるが、ＡｒガスおよびＡｒ
−ＣＯ2 混合ガス、その他一般的なガスシールドアーク
溶接用ガスを使用できる。
は１．２〜２．４ｍｍのものが好ましい。すなわちワイ
ヤ径が１．２ｍｍ未満では目標脚長（一例として４〜５
ｍｍ以上）を得るためにはかなりの高速でワイヤ送給を
しなくてはならず、ワイヤ送給機が高価な上にワイヤの
狙い位置が極端に狭くなり安定した湯溜まりが形成され
ない。一方２．４ｍｍを超えるとワイヤの剛性が高くな
ってワイヤの安定送給のために装置が大型化し汎用性に
欠ける。異なるワイヤ径を組み合わせることは可能であ
るが、先行電極のワイヤ径を後行電極のワイヤ径より小
さくするか同じにすることが好ましい。先行電極径より
も後行電極のワイヤ径が小さい場合は、湯溜まりを保持
するのが困難で安定しない。ワイヤ断面形状についても
特に限定するものでないが、外皮部に隙間があるものよ
りも隙間のないシームレスタイプのものは耐吸湿性以外
にも、溶接中のワイヤ振れが少なく狙い位置が一定にな
るので安定したビード形成ができる。シールドガスは安
価なＣＯ2 ガスが一般的であるが、ＡｒガスおよびＡｒ
−ＣＯ2 混合ガス、その他一般的なガスシールドアーク
溶接用ガスを使用できる。
【００２１】
【実施例】以下に本発明の効果を実施例により具体的に
説明する。表１に示す試作フラックス入りワイヤ（ワイ
ヤ径１．６ｍｍおよび１．４ｍｍ、シームレスタイプ、
ＣＯ2 用）を用いて、図２に示す形状のＴ型水平すみ肉
試験体（ＳＭ−４９０Ｂ、板厚１２×２００×２０００
ｍｍ、無機ジンクプライマー塗装、膜厚２０〜２５μ
ｍ、ギャップ０．２ｍｍ以下）を表２に示す試験条件で
両側同時溶接（左右のシフトなし、左右とも同一試験条
件で１プール溶接）を行った。図中９は下板、１０は立
板、１１は無機ジンクプライマーである。図３はトーチ
角度とワイヤ狙い位置を示す図で（ａ）は正面図、
（ｂ）は側面図であり、図中の寸法の単位はｍｍであ
る。
説明する。表１に示す試作フラックス入りワイヤ（ワイ
ヤ径１．６ｍｍおよび１．４ｍｍ、シームレスタイプ、
ＣＯ2 用）を用いて、図２に示す形状のＴ型水平すみ肉
試験体（ＳＭ−４９０Ｂ、板厚１２×２００×２０００
ｍｍ、無機ジンクプライマー塗装、膜厚２０〜２５μ
ｍ、ギャップ０．２ｍｍ以下）を表２に示す試験条件で
両側同時溶接（左右のシフトなし、左右とも同一試験条
件で１プール溶接）を行った。図中９は下板、１０は立
板、１１は無機ジンクプライマーである。図３はトーチ
角度とワイヤ狙い位置を示す図で（ａ）は正面図、
（ｂ）は側面図であり、図中の寸法の単位はｍｍであ
る。
【００２２】
【表１】
【００２３】
【表２】
【００２４】表３ないし表５に溶接試験結果をまとめて
示す。表３ないし表５で、脚長確保の可否は目標脚長
（たとえば５ｍｍ）以上であったものを可、それ未満を
否とした。また試験条件において記載した電流、電圧、
速度以外については表２の通りである。試験Ｎｏ．１〜
９は本発明によるもので、試験Ｎｏ．１０〜１６は比較
例である。
示す。表３ないし表５で、脚長確保の可否は目標脚長
（たとえば５ｍｍ）以上であったものを可、それ未満を
否とした。また試験条件において記載した電流、電圧、
速度以外については表２の通りである。試験Ｎｏ．１〜
９は本発明によるもので、試験Ｎｏ．１０〜１６は比較
例である。
【００２５】
【表３】
【００２６】
【表４】
【００２７】
【表５】
【００２８】試験Ｎｏ．１〜７は両電極に合金外皮ワイ
ヤを用いた場合で、それぞれの目標脚長に対し１．５ｍ
／ｍｉｎ以上の高速で安定した溶接ができ、耐プライマ
ー性、ビード形成性とも良好である。またＮｏ．８は先
行極に合金外皮ワイヤを用いた場合、Ｎｏ．９は後行極
に合金外皮ワイヤを用いた場合で、同様に耐プライマー
性、ビード形成性とも良好である。
ヤを用いた場合で、それぞれの目標脚長に対し１．５ｍ
／ｍｉｎ以上の高速で安定した溶接ができ、耐プライマ
ー性、ビード形成性とも良好である。またＮｏ．８は先
行極に合金外皮ワイヤを用いた場合、Ｎｏ．９は後行極
に合金外皮ワイヤを用いた場合で、同様に耐プライマー
性、ビード形成性とも良好である。
【００２９】Ｎｏ．１０，Ｎｏ．１５，Ｎｏ．１６は両
電極に軟鋼外皮ワイヤを用いた場合で、溶接速度１．５
ｍ／ｍｉｎ以上ではアークが強く湯溜まりが安定せず、
ビードは凸状でアンダーカットが発生し、またピットも
発生した。
電極に軟鋼外皮ワイヤを用いた場合で、溶接速度１．５
ｍ／ｍｉｎ以上ではアークが強く湯溜まりが安定せず、
ビードは凸状でアンダーカットが発生し、またピットも
発生した。
【００３０】Ｎｏ．１１は用いた合金外皮ワイヤのＣ量
およびＭｎ量が高すぎるので、スパッタが多発し、ビー
ドに割れおよびピットが発生した。またＮｏ．１２は用
いた合金外皮ワイヤのＳｉ量が高すぎるので、ビード表
面にスラグ焼き付きと一部割れが発生した。
およびＭｎ量が高すぎるので、スパッタが多発し、ビー
ドに割れおよびピットが発生した。またＮｏ．１２は用
いた合金外皮ワイヤのＳｉ量が高すぎるので、ビード表
面にスラグ焼き付きと一部割れが発生した。
【００３１】Ｎｏ．１３は用いた合金外皮ワイヤのＴｉ
Ｏ2 量が低すぎるために湯溜まりがうまく形成できず、
ビードの凸状化による脚長不足とアンダーカットの発生
等ビード形成が不良となった。Ｎｏ．１４は用いた合金
外皮ワイヤのＴｉＯ2 量が高すぎるためにスラグが過剰
に生成され湯溜まりが不安定でビードが乱れ、またピッ
トとともにガス溝が多発した。
Ｏ2 量が低すぎるために湯溜まりがうまく形成できず、
ビードの凸状化による脚長不足とアンダーカットの発生
等ビード形成が不良となった。Ｎｏ．１４は用いた合金
外皮ワイヤのＴｉＯ2 量が高すぎるためにスラグが過剰
に生成され湯溜まりが不安定でビードが乱れ、またピッ
トとともにガス溝が多発した。
【００３２】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、Ｃ，Ｓ
ｉおよびＭｎの含有量を特定した鋼製外皮によるＴｉＯ
2 系フラックス入りワイヤを用いることにより、プライ
マー塗布鋼板の高速水平すみ肉溶接において、耐プライ
マー性およびビード形成性が良好な２電極１プール方式
の高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法を提供す
るものであり、溶接の高速化、高能率化に大きく貢献で
きる。
ｉおよびＭｎの含有量を特定した鋼製外皮によるＴｉＯ
2 系フラックス入りワイヤを用いることにより、プライ
マー塗布鋼板の高速水平すみ肉溶接において、耐プライ
マー性およびビード形成性が良好な２電極１プール方式
の高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法を提供す
るものであり、溶接の高速化、高能率化に大きく貢献で
きる。
【図１】本発明による溶接状況を説明する図
【図２】実施例に用いた試験板形状を示す図
【図３】実施例におけるワイヤ狙い位置を示す、（ａ）
正面図と、（ｂ）側面図
正面図と、（ｂ）側面図
１ 先行電極 ２ 後行電極 ３ 湯溜まり ４ 溶融金属 ５ アーク ６ プライマー塗装鋼板 ７ 溶接金属 ８ 凝固したスラグ ９ 下板 １０ 立板 １１ 無機ジンクプライマー
Claims (1)
- 【請求項１】 ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアー
ク溶接方法において、Ｃ：０．０７ｗｔ％以下、Ｓｉ：
０．２０〜１．１５ｗｔ％、Ｍｎ：０．６０〜２．５０
ｗｔ％、その他不可避的不純物からなる鋼製外皮内に、
ＴｉＯ2 を１．８〜６．５ｗｔ％含有するフラックス入
りワイヤを少なくとも１電極に用いて、１プールを形成
して行うことを特徴とする２電極高速水平すみ肉ガスシ
ールドアーク溶接方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13742295A JPH08309582A (ja) | 1995-05-12 | 1995-05-12 | ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13742295A JPH08309582A (ja) | 1995-05-12 | 1995-05-12 | ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08309582A true JPH08309582A (ja) | 1996-11-26 |
Family
ID=15198267
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13742295A Withdrawn JPH08309582A (ja) | 1995-05-12 | 1995-05-12 | ２電極高速水平すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08309582A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009190042A (ja) * | 2008-02-12 | 2009-08-27 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | ２電極すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
| EP2193869A1 (en) * | 2008-12-02 | 2010-06-09 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Method of gas-shield arc welding with multielectrodes oriented with particular angles |
-
1995
- 1995-05-12 JP JP13742295A patent/JPH08309582A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009190042A (ja) * | 2008-02-12 | 2009-08-27 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | ２電極すみ肉ガスシールドアーク溶接方法 |
| EP2193869A1 (en) * | 2008-12-02 | 2010-06-09 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Method of gas-shield arc welding with multielectrodes oriented with particular angles |
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Legal Events
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|---|---|---|---|
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