JP2007235371A - Ponシステムに使用する端末装置とその送信タイミングの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 局側装置1と、この局側装置1に接続された光ファイバ5から光カプラ6を介して複数の光ファイバ7,8,9に分岐した構成を成す光ファイバ網10と、その分岐した各光ファイバ7,8,9の終端にそれぞれ接続された複数の端末装置2,3,4とを含み、各端末装置2,3,4から局側装置1へ向かう上り通信が時分割多重されるPONシステムにおいて、下り信号の制御フレームに含まれるタイムスタンプTSが送られてきた時点での当該タイムスタンプTSとの時間的ずれが小さくなるように端末装置2,3,4のPONカウンタのドリフト調整を行い、調整が行われたPONカウンタに基づいて上り信号の送信タイミングを決定する。
【選択図】 図1
Description
上記PONシステムでは、局側装置から各端末装置に送信される下り信号については、各端末装置向けの信号を整列させて伝送するTDM(Time Division Multiplexing)方式が採用され、各端末装置から局側装置に送信される上り信号については、互いの信号が衝突しないような正しいタイミングで光信号を送出するTDMA(Time Division Multiple Access)方式が採用されている。このTDMA方式での信号送出のタイミングを正確に行うには、端末装置の時計と局側装置の時計が正確に同期している必要がある。
しかし、特にレートを経時的に切替えるTDMマルチレートPONにおいては、端末装置によって伝送速度が異なっていて下り方向の伝送レートが一定しないため、下り伝送信号に内包されるクロックをカウントすることによって作られる時計は速くなったり遅くなったりする。従って、このような時計に基づいて送信許可を決定することは困難である。
また、複数のレートの信号を波長多重し、端末装置は所望の波長およびレートの信号を選択的に受信するWDM(Wavelength Division Multiplexing)マルチレートPONにおいては、局側装置がすべてのレートの伝送クロックをローカルクロックに同期させて生成することは、経済的でない。局側装置のローカルクロックに同期しない伝送信号から再生したクロックに基づく端末装置のPONカウンタは、局側装置のPONカウンタに同期しない。
本発明の端末装置において、前記上り信号の伝送クロックが、前記送信タイミングを決定する元となる基本クロックに基づいて生成されるものである場合には、前記ドリフト調整部は、下り信号の制御フレームに含まれるタイムスタンプが送られてきた時点での当該タイムスタンプとの時間的ずれが小さくなるように前記基本クロックの調整を行うものとすることが好ましい。
もっとも、PONシステムの制御フレームに記載されているタイムスタンプは、局側装置の実装に際して若干のぶれが生じ易く、規約上においても所定範囲のぶれ(例えばGE−PONのONUにおいては、分解能16nsに対して12単位のぶれ)が認められている。従って、そのようなぶれが想定されているタイムスタンプに依拠して基本クロックを調整しても、タイムスタンプの精度以上に基本クロックを高精度化することができない。
この場合、送信開始タイミングが正確になることは同様である上、伝送クロックがタイムスタンプを参照しない上記した個別の伝送クロック発生器によって生成されることから、タイムスタンプのジッタに影響されない綺麗な伝送クロックが得られ、より受信エラーが生じにくい上り信号を送信することができる。
この場合、タイムスタンプとPONカウンタのずれの履歴を考慮するため、大きなぶれが生じていている直近のタイムスタンプを無視する等のロジックを採用することで、基準とすべきタイムスタンプをより正確に決定することができる。このため、タイムスタンプに基づいて決定されるPONカウンタや基本クロックもより正確になり、上り信号をより稠密に時分割多重することができる。
図1は本発明が想定するマルチレートPONシステムの概略構成図である。
図1において、局側装置(OLT)1は、複数の端末装置(ONU)2,3,4に対する集約局として電話局等に設置されており、各端末装置2,3,4は、それぞれPONシステムの加入者宅に設置されている。局側装置1には1本の光ファイバ(幹線)5が接続されている。この光ファイバ5は光カプラ6を介して複数の光ファイバ(支線)7,8,9に分岐した構成になっており、これによって光ファイバ網10が構成されている。分岐した各光ファイバ7,8,9の終端にはそれぞれ前記端末装置2,3,4が接続されている。また、局側装置1は上位ネットワーク11と接続され、各端末装置2,3,4はそれぞれのユーザネットワーク12,13,14と接続されている。
このPONシステムでは、下りの光波長と上りの光波長を分けて波長分割多重(WDM)している。すなわち、局側装置1と端末装置2,3,4間の上り方向通信には単一の波長λ1のレーザ光が使用され、下り方向通信にはその波長λ1とは異なる単一の波長λ2のレーザ光が使用されている。
このPONシステムは下り方向の所定の単一波長を使って、マルチレートで送信が行われるTDMマルチレートPONシステムであって、各端末装置2,3,4への下り方向の伝送レートが互いに異なっている。図1の例では、各端末装置2,3,4の情報通信レートはそれぞれ1G、2G及び10Gbpsであり、1GbpsのGE−PONをベースとして、2Gbpsの信号及び10Gbpsの信号が時分割多重化されたマルチレート信号を、局側装置1が各端末装置に送信するようになっている。
図2に示すように、このマルチレートPONでは、情報通信レート1Gbps/伝送レート1.25GbpsのGE-PONをベース(基準レート)とし、これに情報通信レート2Gbpsの信号および情報通信レート10Gbpsの信号がTDMされている。情報通信レート1Gbpsの期間(以下、これを「1G期間」と表記する。2G、10Gについても同様。)においては、基本的にGE-PONの伝送方式に則る。すなわち、通信情報1オクテットが8B10B変換によって10ビットの伝送情報に変換され、さらにシリアル化された10ビット列が1.25GbpsのNRZ信号およびそれに対応した光のオンオフ信号として伝送される。
PONにおいては、下り信号はすべての端末装置2,3,4が受信するが、受信回路の構成によっては想定外のレート(この場合は2Gや10G)から想定内のレート(この場合は1G)に切り替わった場合、改めて行われる同期に時間がかかる。そこで、図2に示す下り信号フレームでは、予め規定できないような超高速信号をマルチレートPONに将来共存させることを担保するために、局側装置1が端末装置2,3,4にレートの変更を予告するようになっている。
Ca/Cbはレート予告の特殊シーケンスが始まることと、レートの種別を表す特殊符合である。Lh/Llはレートが変更される期間を表す。この通信手順においては、1G期間を基本として、1G以外のレート期間の後は一旦1G期間に戻すものとしている。すなわち、すべての端末装置2,3,4が少なくとも1G信号の受信能力を有することを前提としている。
本実施形態の端末装置ONU1は、所定の基準レート(情報通信レートで1G)の伝送能力を有する図1の端末装置2として使用されるものであるが、基準レート以外の伝送も行われる図1に示すマルチレートPONに加入することができる端末装置である。
PONから受信した光信号は受信器16によって電気信号に変換され、マスク回路17に入力される。マスク回路17は、当該端末装置2が受信対象としないレートの信号(この場合は、2G及び10Gの信号)をマスクする。マスク回路2の出力は、その後段のCDR(Clock Data Recovery)18に入力され、クロックとデータが復元される。
このマスクはCDR18が想定外の信号を受けて誤動作することを防ぐためのものである。すなわち、マスク回路17は想定外の超高速信号によりCDR18の内部状態が異常になり、想定内の信号に切り替わった後の再同期時間が長くなることを防ぐためのものである。
この第一実施形態に係るPONインターフェースの送信部の基本となるクロックは、例えばVCXOよりなる電圧制御型水晶発振器25によって生成される。GE-PONにおいては、PONカウンタは16ビット時間(=16ns)の分解能をもつ32ビットの情報であることから、本実施形態においては、VCXO25は125MHzを中心周波数としている。
更新されたPONカウンタの情報は、それぞれドリフト判定回路26と送信制御回路27に送られる。ドリフト判定回路26は、タイプスタンプTSが送られてきた時点で、タイプスタンプTSと更新前のPONカウンタのずれを判定し、想定外のずれはPONシステムの異常としてアラームを出力する。また、ドリフト判定回路26は、想定内のずれに対しては、そのずれが小さくなる方向に前記VCXO25の可変周波数を補正し、VCXO25によって生成される基本クロックを調整する。なお、一般的なVCXO25の周波数制御は、制御入力のアナログ電圧レベルを変更することによって行う。
送信器30は送信制御回路27からの発光指示信号に基づき、入力されるNZR信号を光のオンオフ信号に変換する。本実施形態における上り伝送信号はGE−PONに基づく1.25Gbpsの信号のみである。
そこで、基本クロックを逓倍させて伝送クロックを生成するのではなく、図3に破線で示すように、基本クロックの発生器であるVCXO25とは個別に設けた伝送クロック発生器32により、基本クロックとは無関係に生成した端末装置2固有の伝送クロックを採用することにしてもよい。
また、同様の理由から、ドリフト判定回路26に、過去のタイムスタンプTSのずれの履歴に基づいて基準とすべきタイムスタンプTSを決定する機能を付加することが好ましい。
同様にPONカウンタの更新においても、そのときのタイムスタンプTSをそのまま用いるのではなく、タイムスタンプTSとPONカウンタのずれの履歴に基づかせるのでもよい。或いは、PONカウンタの更新やVCXO25の周波数制御において、一定範囲のずれや特異なずれを無視してもよい。
また、本実施形態において、伝送レートの切り替えシーケンスにおいて必要な同期時間を設ける場合や、CDR18の構成によってはマスク回路17はなくてもよい(例えばオーバーサンプリング方式によるもの。この場合、CDR18はクロックを出力せず、データリカバリだけを行うことになる。)。
本実施形態の端末装置ONU2は、下り方向について、1G、2Gおよび10Gのレートを受信可能な端末装置である。従って、第一実施形態の端末装置ONU1で採用していたマスク回路17は設けられていない。なお、基本的な構成は図3に示す第一実施形態の端末装置ONU1とほぼ同様であるから、同じ部分については説明を繰り返さない。
受信器16の出力はデータリカバリ35と10G−CDR36に入力される。データリカバリ35は入力信号から1.25Gbpsあるいは2.5Gbpsのデータを復元するものであり、このデータリカバリ35の具体例を図5に示す。
サンプリングされた八本の信号は、レート判定及び最適位相判定部39に入力され、同値が連続する頻度から入力信号のレートを「1G」、「2G」または「10G」の選択肢から判定し、その種別を出力する。
すなわち、変化点がほとんど1以下である区間が続く場合は1G、殆ど2以下であってかなりの頻度で2の場合が発生する区間が続く場合は2G、かなりの頻度で連続した変化(例えば、隣接する3位相のサンプリング結果が101または010となることを意味する。)が発生する区間が続く場合は10Gと判断する。もっとも、いずれにも判定できない区間があってもよい。
位相選択回路38は多相クロック生成器40からクロックの供給を得て、選択したサンプリング結果を次段の回路と同期がとれるよう、予め決められた位相のクロックでサンプリングし直して出力する。
10G−CDR36は10G期間の入力信号から、10Gbpsのデータとクロックを復元する。この10G−CDR36の具体例を図6に示す。
第一位相比較器42はVCO出力と入力信号を比較するのに対して、第二位相比較器43は参照クロック発生器46からの参照クロックと、このクロックの周波数に一致するようにVCO出力を分周器47によって分周した信号とを比較する。この分周した信号は周波数比較回路48にも入力され、周波数差が定められた範囲内にあるか否か判定される(範囲内でない場合は不一致)。
図4に戻り、10G符号同期回路49は10G−CDR36で復元されたクロックとデータから64b/66b符号の境界を検出するとともに64b/66b符号を切り出してデスクランブルし、フレームを復元する。
このうち、符号同期回路41からの信号を受ける第一フレーム種別分別回路50は1Gあるいは2Gレートで送られるPON制御フレームを分別し、10G−符号同期回路49からの信号を受ける第二フレーム種別分別回路51は10Gレートで送られるPON制御フレームを分別する。これらのPON制御フレームはタイムスタンプ抽出回路21で第一実施形態(図1)の場合と同様に処理される。もっとも、本実施形態のタイムスタンプ抽出回路21では、タイムスタンプTSを取り出す対象として、特定のレートで送られたPON制御フレームのみに限定してもよいし、すべてのレートで送られたPON制御フレームとしてもよい。
また、通信内容に応じて伝送レートを変えてもよい。例えば、端末装置ONU2の登録に際しての通信については1Gレートで行うようにすれば、登録手順が単純になる。この場合、1G用又は2G用の符号化回路若しくはこれらの双方の符号化回路、及び、1.25GHz/2.5GHzの伝送クロック生成器を10Gbpsのものと並列に設け、送信器30に与える入力を両符号化回路の出力のうち一方を選択するようにすればよい。
なお、上りマルチレートに対応した局側装置1のPON受信部は、図4のPON受信部と同様の構成が可能である。ただし、バースト単位でレートが切り替わる場合でかつレートが予め決まっている場合は、データリカバリ35におけるレート判定は不要であり、局側装置1がレート種別を指示する。
更に、データリカバリ35は、レートを判定する部分のみに限定してよい。レート判定には多相クロックの相数は限定的なものでよく、10GHzの2相クロックでサンプリングし、いずれかの位相において、3回連続して値が変化する場合が頻繁にあるか否かを調べるようなものでよい。
本実施形態の端末装置ONU2は、伝送レートが自動認識できるので、図2に例示したようなレートの予告や切り替え順の制約は必要なく、フレーム間のギャップ時間にレートを切り替えることができる。
本実施形態において、下り信号は、1G、2Gおよび10Gのレートが時分割多重されているが、所定のレートを波長分割多重するようにしてもよい。例えば、1Gおよび2Gを時分割多重して一つの波長で伝送し、10G信号は別の波長で伝送してもよい。この場合、図4の受信光信号と受信機16は波長毎に独立し、それぞれデータリカバリ35と、10G−CDR36に接続されるようにすればよい。
すべての端末装置2,3,4が基準レート(例えば1Gbps)の送受信能力を備えることを前提にすれば、PON制御通信やマルチキャスト通信には基準レートで行うのが簡便である。登録後、局側装置1と端末装置2,3,4の能力をネゴーシエーションすることによって、以後の1対1通信はより高速なレートを使うように移行できる。
2 端末装置(1G用)
3 端末装置(2G用)
4 端末装置(10G用)
5 光ファイバ
6 光カプラ
7 光ファイバ
8 光ファイバ
9 光ファイバ
10 光ファイバ網
25 VCXO(基本クロックの発生器)
26 ドリフト判定回路(ドリフト調整部)
27 送信制御回路(送信制御部)
32 伝送クロック発生器
ONU1 端末装置
ONU2 端末装置
TS タイムスタンプ
Claims (5)
- 局側装置と、この局側装置に接続された光ファイバから光カプラを介して複数の光ファイバに分岐した構成を成す光ファイバ網と、その分岐した各光ファイバの終端にそれぞれ接続された複数の端末装置とを含み、前記各端末装置から前記局側装置へ向かう上り通信が時分割多重されるPONシステムに使用する前記端末装置において、
下り信号の制御フレームに含まれるタイムスタンプが送られてきた時点での当該タイムスタンプとの時間的ずれが小さくなるように自身のPONカウンタの調整を行うドリフト調整部と、調整が行われた前記PONカウンタに基づいて上り信号の送信タイミングを決定する送信制御部とを備えていることを特徴とするPONシステムに使用する端末装置。 - 前記上り信号の伝送クロックが、前記送信タイミングを決定する元となる基本クロックに基づいて生成されるものであり、前記ドリフト調整部は、下り信号の制御フレームに含まれるタイムスタンプが送られてきた時点での当該タイムスタンプとの時間的ずれが小さくなるように前記基本クロックの調整を行う請求項1に記載のPONシステムに使用する端末装置。
- 前記上り信号の伝送クロックが、前記送信タイミングを決定する元となる基本クロックの発生器とは個別に設けた伝送クロック発生器によって生成されている請求項1に記載のPONシステムに使用する端末装置。
- 前記ドリフト調整部は、タイムスタンプとPONカウンタのずれの履歴に基づいて前記の調整を定めるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のPONシステムに使用する端末装置。
- 局側装置と、この局側装置に接続された光ファイバから光カプラを介して複数の光ファイバに分岐した構成を成す光ファイバ網と、その分岐した光ファイバの終端にそれぞれ接続された端末装置とを含み、前記各端末装置から前記局側装置へ向かう上り通信が時分割多重されるPONシステムにおいて、
下り信号の制御フレームに含まれるタイムスタンプが送られてきた時点での当該タイムスタンプとの時間的ずれが小さくなるように前記端末装置のPONカウンタのドリフト調整を行い、調整が行われた前記PONカウンタに基づいて上り信号の送信タイミングを決定することを特徴とする送信タイミングの制御方法。
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