JP2007235044A - スルーホールのはんだ付け構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリント基板に鉛フリーはんだを用いてスルーホールへのリード端子の実装を行う場合でも、はんだ付け性を良好にする。
【解決手段】プリント基板11のスルーホール12は、導体パターン13a、13bが上下の面に形成され、両者間をスルーホールめっき13cで電気的に接続されている。スルーホール12に、電子部品のリード端子14が挿通され、鉛フリーはんだ15によりはんだ付けされている。ここで、スルーホール12の開口面積は、リード端子14の断面積の4倍以上に設定されている。これにより、はんだ付けの際に、熱伝導性を高めることができ、高融点の鉛フリーはんだ15を用いる場合でも良好にはんだ付けを行える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プリント基板に形成したスルーホールに鉛フリーはんだを用いて電子部品のリード端子をはんだ付けする場合のスルーホールのはんだ付け構造に関する。
リード端子を備えた電子部品をプリント基板にスルーホールを形成して実装する場合には、スルーホールにリードを挿入した状態で溶融はんだに浸漬しスルーホール部分にはんだを充填されるようにしている。この場合において、一般に、共晶はんだ(Sn−Pbはんだ)を用いる場合においては、スルーホールの面積が、リードの断面積の2倍程度となるように設定されている。なお、このようなプリント基板への部品実装については、一般的な技術であるから、文献は特に示さない。
しかしながら、上記したような共晶はんだは、環境汚染の関係から使用しない方向に進んでおり、代わって、鉛フリーはんだが使用されるようになりつつある。鉛フリーはんだは、共晶はんだに比べて融点が高いため、溶融したはんだ槽から取り出したときに、十分にはんだがスルーホールの上面側に上がってこない、いわゆる「はんだ上がり」が良くない場合が生ずる。この結果、はんだ付け不良が発生してしまう場合があった。
これは、例えば図4に示すような不具合である。図4において、多層プリント基板1には、スルーホール2が形成されており、このスルーホール2を挟んで対向する部分に導体パターン3a、3bが形成され、それらの間がめっきにより電気的に接続された状態に形成されている。図示の状態は、このスルーホール2に電子部品のリード端子4を挿入してはんだ付けした状態を示している。
ここで、はんだ付けに用いるはんだは、鉛フリーはんだ5である。鉛フリーはんだ5は、前述のようにSn−Pbの共晶はんだに比べて高融点であるから、熱伝導が悪いとはんだ上がりが悪くなる。したがって、通常のはんだ槽への浸漬処理では、図示のように鉛フリーはんだ5が多層プリント基板1の下面側の導体パターン3bから上面側の導体パターン3aに達する前に固化してしまい、十分なはんだ付けとはいえない状態となる。
しかし、熱伝導を高めてはんだ上がりを良くするために多層プリント基板1を長時間はんだ槽に浸漬することは、逆にはんだ付けする電子部品やプリント基板に熱的な損傷を与えることになるので、実用上好ましくない。このため、許容される最大限の浸漬時間ではんだ付けを行うことになるが、やはりはんだ上がりの不良が発生し、はんだ付け性が低下する可能性があった。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、プリント基板にスルーホールを設け、これにリード端子を有する電子部品を鉛フリーはんだを用いてはんだ付けを行う場合でも、はんだ付け性を向上することができるようにしたスルーホールのはんだ付け構造を提供することにある。
本発明のスルーホールのはんだ付け構造は、プリント基板に形成したスルーホールにリード端子を有する電子部品を鉛フリーはんだによりはんだ付けするようにしたスルーホールのはんだ付け構造において、
前記スルーホールは、その開口面積の前記電子部品のリード端子の断面積に対する比率が4以上となるように形成されているところに特徴を有する。
また、上記構成において、前記鉛フリーはんだを、Sn−Ag系あるいはSn−Ag−Cu系の高融点の鉛フリーはんだとすることが好ましい。
請求項1の発明では、鉛フリーはんだを用いてはんだ付けを行う場合に、電子部品のリード端子を挿入するスルーホールの開口面積をそのリード端子の断面積に対して4以上の比率となるようにしたので、スルーホールでの熱伝導性を高めることができ、これによって、鉛フリーはんだにプリント基板を浸漬したときに、鉛フリーはんだをスルーホールを介してプリント基板の上面側まで十分にはんだ上がりを可能にすることができる。これによって、はんだ付け性の向上を図ることができる。
なお、上記のようにスルーホールの開口面積をリード端子の断面積の4倍以上に設定することは、従来の共晶はんだを用いた場合にはクラックなどが発生しやすくなることにつながり、適用することが難しい点があった。この点、鉛フリーはんだの場合には、はんだの特性上、クラックの発生が少ない。
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。
図1は、断面構造および平面構造を示すもので、多層プリント基板11は、複数の配線層を積層してなるもので、上面側および下面側に配線用の導体パターンが形成されると共に、内部の中間層にも配線用の導体パターンが形成されている。図示の部分には、電子部品を実装するためのスルーホール12が形成されており、この上面側および下面側には導体パターン13a、13bが形成され、上下の導体パターン13a、13b間をスルーホールめっき部13cにより電気的に接続した状態に形成されている。
スルーホール12は電子部品の挿通用に設けられたもので、電子部品のリード端子14が挿通され、鉛フリーはんだ15により固定されている。そして、図示の状態では、鉛フリーはんだ15が多層プリント基板11の上面に形成された導体パターン13aの表面まで十分にはんだ上がりができており、良好なはんだ付け性を得られている。
上述の構成において、スルーホール12の開口面積S1は、その直径寸法dから求めることができ、リード端子14の断面積S2は、その縦横の寸法から求めることができる。そして、この図示の構成においては、スルーホール12の開口面積S1は、リード端子14の断面積S2に対して4倍程度あるいはそれ以上となる面積比Rで設定されている。
このような構成を採用することで、多層プリント基板11にリード端子14をはんだ付けする際のはんだディップで、スルーホール12の熱伝導を十分に高めることができ、これによって、スルーホール12におけるはんだ上がりを良好にすることができるものである。
次に、上記したスルーホール12の開口面積S1とリード端子14の断面積S2との比率である面積比Rを、4程度あるいはそれ以上となる比率で設定することが良好であることを実験により確認した結果について説明する。
図2は、実験の条件を示すための模式的な図であり、多層プリント基板11に形成したスルーホール12の直径をdとし、リード端子14を断面が一辺の長さがaの正方形とした場合の例として示したものである。この図2において、スルーホール12の開口面積S1およびリード端子14の断面積S2は、
S1=π×(d/2)
S2=a
であるから、これらの比として表す面積比Rは、
R=S1/S2
=π×(d/2a)
となる。
そして、実験においては、リード端子14の一辺の長さaを0.64mmとして断面積S2を一定とし、スルーホール12の径寸法dを1.0mm〜2.0mmまで変化させた場合について、鉛フリーはんだのはんだ付けを行った結果を評価した。具体的には、スルーホール12の径寸法dを、1.0mm、1.2mm、1.5mm、1.6mm、1.8mm、1.9mm、2.0mmとした場合について、面積比Rを計算している。また、使用している鉛フリーはんだは、Sn−Ag−Cu系のもので、具体的にはSn−3.0Ag−0.5Cuはんだである。
はんだ付け性の評価は、はんだ上がりの状態が75%未満のとき0点、75%以上で100%未満のとき1点、100%のとき2点として得点をカウントしている。この結果を図3(a)に示す。評価ははんだ付け時間を6秒の場合と10秒の場合とでそれぞれ4個ずつ行った。図3(b)は、上述のようにしてカウントした得点について、8点満点を100点満点に換算したものを示している。
図3(c)は、上記の結果を面積比Rに対する得点をプロットしたものである。この結果から、およその閾値として、面積比Rが4程度以上のあたりから得点が50点を越え、はんだ付け性が良好になることがわかる。また、この結果は、はんだ付け時間が6秒と10秒のいずれにおいてもほぼ同等の結果となっている。したがって、この結果から、面積比Rを4以上となるように設定することではんだ付け性を良好にすることができることがわかる。
なお、面積比Rの値は、4以上であれば良いとするが、実用上においては上限があり、具体的には、はんだ付けによるブローホールの発生が起こらない程度とすることが好ましい。ブローホールの発生条件は、面積比Rのみでは決まらない条件であるから、実験的に決められることが好ましい。
このような本実施形態によれば、多層プリント基板11のスルーホール12の径寸法dを、開口面積とリード端子14の断面積との比である面積比Rが4以上となるように設定することで、鉛フリーはんだをはんだ付けする場合に、良好なはんだ上がり状態を得ることができ、はんだ付け性の向上を図ることができるようになる。
なお、実際には、上記した条件を採用することで、次のような実用的な効果を得ることができた。
(1)A基板の場合で、面積比Rを2.09であったものを4.91に変更(スルーホール径dを1.3mmから2.0mmに変更、リード端子の外形寸法1.0mm×0.64mm)することで、はんだ上がりを良好にすることができた。
(2)B基板の場合で、面積比Rを3.7であったものを6.0に変更(スルーホール径dを1.1mmから1.4mmに変更、リード端子の外形寸法0.64mm×0.40mm)することで、はんだ上がりを大幅に向上することができた。
(3)C基板の場合で、面積比を2.09であったものを4.91に変更(スルーホール径dを1.3mmから2.0mmに変更、リード端子の外形寸法1.0mm×0.64mm)することで、はんだ上がりを大幅に向上することができた。
本発明は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
上記実施形態では、実験においてリード端子14を断面が正方形の場合を想定して行った場合で説明したが、リード端子14の断面形状は、正方形に限らず長方形でも良いし、円形でも適用することができる。
また、上記実施形態で使用した鉛フリーはんだは、Sn−Ag−Cu系であるが、Sn−Ag系のものを用いることもできる。
本発明の一実施形態を示す模式的断面図および平面図 データ取得に際して行った実験の設定条件を示す図 実験結果を示すデータおよび面積比とはんだ上がり評価値との相関を示すグラフ 従来技術を説明するための図1相当図
符号の説明
図面中、11は多層プリント基板(プリント基板)、12はスルーホール、13a、13bは導体パターン、13cはスルーホールめっき、14はリード端子、15は鉛フリーはんだである。

Claims (2)

  1. プリント基板に形成したスルーホールにリード端子を有する電子部品を鉛フリーはんだによりはんだ付けするようにしたスルーホールのはんだ付け構造において、
    前記スルーホールの開口面積は、前記電子部品のリード端子の断面積の4倍以上となるように形成されていることを特徴とするスルーホールのはんだ付け構造。
  2. 請求項1に記載のスルーホールのはんだ付け構造において、
    前記鉛フリーはんだは、Sn−Ag系あるいはSn−Ag−Cu系の高融点の鉛フリーはんだであることを特徴とするスルーホールのはんだ付け構造。
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