JP2007234509A - 燃料電池電解質膜用樹脂組成物並びに電解質膜 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】(1)イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物、(2)分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルを含有する燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
【効果】本発明によれば、高いイオン伝導性及び低メタノール透過性などの特性を同時に満足した燃料電池用電解質膜を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池電解質膜用樹脂組成物、並びにこの樹脂組成物を用いて得られた電解質膜に関する。
固体高分子型燃料電池用電解質膜を用いた燃料電池は、作動温度が100℃以下と低く、そのエネルギー密度が高いことから、電気自動車の電源や簡易補助電源として広く実用化が期待されている。この固体高分子型燃料電池においては、電解質膜、白金系の触媒、ガス拡散電極、及び電解質膜と電極の接合体などに関する重要な要素技術があり、この中でも、電解質膜及び電解質膜と電極の接合体は、燃料電池としての特性に関与する最も重要な技術の一つである。
固体高分子型燃料電池においては、電解質膜の両面に燃料拡散電極と空気拡散電極が複合されており、電解質膜と電極とは実質的に一体構造になっている。このため、電解質膜はプロトンを伝導するための電解質として作用し、また、加圧下においても燃料である水素やメタノールと、酸化剤である空気又は酸素とを直接混合させないための隔膜としての役割も有する。このような電解質膜としては、電解質としてイオン(プロトン)の移動速度が大きく、イオン交換容量が高いこと、電気抵抗を低く保持するために保水性が一定かつ高いことが要求される。一方、隔膜としての役割から、膜の力学的な強度が大きいこと、寸法安定性が優れていること、長期の使用に対する化学的な安定性に優れていること、燃料である水素ガスやメタノール、酸化剤である酸素ガスに対して過剰な透過性を有しないことなどが要求される。
初期の固体高分子電解質膜型燃料電池では、スチレンとジビニルベンゼンの共重合で製造した炭化水素系樹脂のイオン交換膜が電解質膜として使用されていた。しかし、この電解質膜は、耐久性が非常に低いため実用性に乏しく、そのためその後はデュポン社によって開発されたフッ素樹脂系のパーフルオロスルホン酸膜「ナフィオン(デュポン社登録商標)」等が一般に用いられてきた。
しかしながら、「ナフィオン」等の従来のフッ素樹脂系電解質膜は、化学的な耐久性や安定性には優れているが、メタノールを燃料とする直接メタノール型燃料電池(DMFC)では、メタノールが電解質膜を通過するクロスオーバー現象が生じ、出力が低下する問題があった。また、「ナフィオン」等のフッ素樹脂系電解質膜は、モノマーの合成から出発するために、製造工程が多く、コストが高くなる問題があり、実用化する場合の大きな障害になっている。メタノールのクロスオーバーを低く抑えるためには、イオン伝導度を低くする必要があり、現状、両者間でトレードオフの関係にあり、高いイオン伝導度を保持したままメタノールクロスオーバーを低くすることが課題となっている。
そのため、前記「ナフィオン」等に代わる低コストの電解質膜を開発する努力が行われており、“Journal of Power Sources” 114(2003),P32−53(非特許文献1)に現在検討されている種々の電解質膜が紹介されている。また、国際公開第03/033576号パンフレット(特許文献1)では、電解質膜中に非電解質モノマーを含浸させて重合することで、燃料透過性を抑制する方法が提案されているが、燃料透過性は抑制されるもののイオン伝導度も低下する問題がある。
国際公開第03/033576号パンフレット Viral Mehta and Joyce Smith Cooper,"Journal of Power Sources" 114(2003),P32−53
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高いプロトン伝導性を有し、かつ、直接メタノール型燃料電池においては燃料であるメタノールの透過性が低い電解質膜を形成できる燃料電池電解質膜用樹脂組成物、並びに電解質膜を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、(1)イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物、(2)分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルを主成分とする燃料電池電解質膜用樹脂組成物を脱水縮合して前記樹脂組成物を縮合硬化させた場合、得られた縮合硬化膜は、優れたイオン伝導性を有し、この縮合硬化膜を固体高分子型燃料電池の電解質とした場合、直接メタノール型燃料電池においては、燃料であるメタノールの透過性が小さい燃料電池用として有用な電解質膜を製造できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の燃料電池電解質膜用樹脂組成物、並びに燃料電池電解質膜を提供する。
請求項1:
(1)イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物、(2)分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルを含有する燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項2:
(1)成分が、3−トリメトキシシリルプロパンスルホン酸、3−トリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸、3−トリメトキシシリルプロポキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、p−(トリメトキシシリルエチル)フェニルスルホン酸、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルリン酸、又は2−トリメトキシシリルプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸である請求項1記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項3:
上記(1)成分のイオン伝導性基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項4:
上記(2)成分の数平均分子量が400以上10,000以下であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項5:
(2)成分が、分子鎖両末端にアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合から選択される結合を介してアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルである請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項6:
(2)成分が、エーテル構造を有するパーフルオロジオールにジイソシアネートを一部反応させ、残存するイソシアネート基にこれと反応可能な基を有するアルコキシシランを反応させること、又はエーテル構造を有するパーフルオロジオールに臭化アリルを反応させて両末端をアリルエーテル化した後、アリル基にケイ素原子に結合した水素原子を有するアルコキシシランを反応させることにより得られたものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項7:
エーテル構造を有するパーフルオロジオールが、(CF2O)、(CF2CF2O)又は(CF(CF3)CF2O)で示されるエーテル構造を有し、数平均分子量が400〜2,000である請求項6記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項8:
更に溶剤を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
請求項9:
請求項1乃至8のいずれか1項記載の樹脂組成物を硬化して得られる燃料電池電解質膜。
本発明によれば、高いイオン伝導性及び低メタノール透過性などの特性を同時に満足した燃料電池用電解質膜を得ることができる。本発明の燃料電池用電解質膜は、固体高分子型燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池用電解質膜として有用である。
本発明の燃料電池電解質膜用樹脂組成物は、(1)イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物と、(2)分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルとを主成分とする。
ここで、本発明において使用される(1)成分のイオン伝導性基を有するアルコキシシラン(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜6)もしくはその加水分解物としては、3−トリメトキシシリルプロパンスルホン酸、3−トリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸、3−トリメトキシシリルプロポキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、p−(トリメトキシシリルエチル)フェニルスルホン酸、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルリン酸、2−トリメトキシシリルプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸等が挙げられる。中でも、入手が容易である3−トリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸が望ましい。
かかる(1)成分は、ビニル基、アリル基等のアルケニル基などの炭素−炭素二重結合とイオン伝導性基もしくは化学反応を利用してイオン伝導性基を付与可能な前駆体基とを有する化合物をケイ素原子に結合した水素原子を有するアルコキシシランと付加反応させ、必要によりアルコキシ基を加水分解させるか、メルカプト基を有するアルコキシシランの該メルカプト基を酸化することにより得ることができる。なお、これらの反応は常法に従って行うことができる。
上記イオン伝導性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、スルホン酸基であることが好ましく、また化学反応によりイオン伝導性基に転換される前駆体基としては、アシルオキシ基、エステル基(−COOR:Rは一価炭化水素基)、酸イミド基、ハロゲン化スルホニル基、グリシジル基等が挙げられる。この前駆体基は、例えば、水酸化ナトリウム、メタノール又は亜硫酸ナトリウムと化学反応してカルボン酸基又はスルホン酸基を形成するものである。これらの化合物は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
炭素−炭素二重結合とイオン伝導性基を有する化合物としては、スチレンスルホン酸、アリルベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、フルオロビニルスルホン酸などが例示され、二重結合と化学反応を利用してイオン伝導性基を付与可能な前駆体基を有する化合物としては、p−クロロスルホニルスチレン、アリルグリシジルエーテル、臭化アリルなどが例示される。
一方、ケイ素原子に結合した水素原子を有するアルコキシシランとしては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシエチルシラン等が挙げられる。
また、メルカプト基を有するアルコキシシランとしては、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが例示される。
例えば、(1)成分としては、入手が容易であることから、3−トリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸が好ましいが、これはトリメトキシシランと臭化アリルとを付加反応させた後、Na2SO3を用いてBrをスルホン化し、更にメトキシ基を加水分解することによって得ることができる。
(2)成分の分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルは、(CF2O)、(CF2CF2O)、(CF(CF3)CF2O)などの、エーテル構造を有するパーフルオロジオールにジイソシアネートを一部反応させ、更に残存するイソシアネートと反応可能な基を有するアルコキシシランを反応させることにより得ることができる。
また、エーテル構造を有するパーフルオロジオールを臭化アリルと反応させ両末端をアリルエーテル化した後、このアリル基に反応可能な基(即ち、ケイ素原子に結合した水素原子、つまりSiH基)を有するアルコキシシランを反応させることによっても得ることができる。
エーテル構造を有するパーフルオロジオールの例としては、Fomblin Z DOL、Fluorolink D、Fluorolink D10H、Fluorolink D10などが挙げられる。その数平均分子量は400〜2,000が望ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である(以下、同様)。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中で、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが電解質膜と触媒層間の密着性に優れるために望ましい。
イソシアネートと反応可能な基を有するアルコキシシランの例としては、アミノ基を有するアルコキシシラン、特にγ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランが縮合硬化後の硬化膜を柔軟にできるため望ましい。
上記(2)成分の分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルの製造法は特に制限されないが、パーフルオロポリエーテルジオールとジイソシアネートをモル比としてOH/NCO<1で反応させ、更に残存イソシアネート基と反応する官能基(例えばアミノ基)を有するアルコキシシランと反応させたものであることが望ましい。
即ち、分子鎖両末端にアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合から選択される結合を介してアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルは、前記成分を反応させることにより調製することができ、各成分の割合は、例えば、ポリイソシアネートのイソシアネート基1モルに対して、パーフルオロポリエーテル成分の水酸基0.1〜0.8モル、好ましくは0.2〜0.7モル、特に0.2〜0.5モル程度、アミノ基含有アルコキシシラン0.2〜0.9モル、好ましくは0.3〜0.8モル、特に0.5〜0.8モル程度である。
また、前記成分の反応方法は、特に限定されず、各成分を一括混合して反応させてもよく、ポリイソシアネートと、パーフルオロポリエーテル成分及びアミノ基含有アルコキシシランのうちいずれか一方の成分とを反応させた後、他方の成分を反応させてもよい。
これらアミド化、ウレタン化、ウレア化反応は触媒を使用しなくても進行するが、必要に応じ、触媒として、例えばスタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛などの有機金属系触媒を使用することができる。
アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合から選択される結合を介していない分子鎖両末端にアルコキシシリル基を有するパーフルオロポリエーテルの製造法は特に制限されないが、水酸化ナトリウムとパーフルオロポリエーテルジオールを反応させ、その後、臭化アリル等のハロゲン化アリルと反応させ、パーフルオロポリエーテルの両末端をアリルエーテル化した後、ケイ素原子に結合した水素原子を有するアルコキシシランと付加反応させることにより得ることができる。なお、ケイ素原子に結合した水素原子を有するアルコキシシランとしては、上述したものが挙げられる。
また、上記(2)成分の数平均分子量は、400〜10,000、特に400〜2,000であることが好ましい。
本発明の電解質膜は、(1)イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物、(2)分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルを含有しているが、縮合硬化膜の形成性や性能を高めるために他の成分を導入することが可能である。
この場合、塗工性を向上する目的で溶剤を使用することも可能である。溶剤としては、イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物及び分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したポリエーテルを均一に溶解するものが好ましく、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセロール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族乃至脂環式炭化水素、水、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの極性溶剤、ヘキサフルオロメタキシレンなどのフッ素系溶剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でもN,N−ジメチルホルムアミドなどの極性溶剤及びフッ素系溶剤が望ましい。
本発明の電解質膜に含まれる上記(1),(2)成分及び溶剤の割合は、限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択することができるが、(1)成分100質量部に対し、(2)成分は、5〜500質量部、特に5〜200質量部、溶剤は、0〜5,000質量部、特に、100〜1,000質量部の使用量とすることが好ましい。
本発明の電解質膜を形成するには、テフロン(登録商標)製基材上に樹脂組成物を塗布し、(1),(2)成分を室温もしくは加熱、好ましくは50〜100℃、特に60〜80℃の加熱により脱水縮合させる。樹脂組成物中に溶剤を加えた場合は溶剤を除去すると同時に(1),(2)成分を脱水縮合硬化させることにより電解質膜を作製することができる。
また、硬化を促進するため、ジブチル錫ジアセテートなどの有機スズ化合物を触媒ペースト中に加えておいてもよい。
このようにして得られる電解質膜は、燃料電池電解質膜、特にメタノール型燃料電池用電解質膜として公知の用法で使用し得る。なお、上記電解質膜の厚さは10〜100μm、特に10〜50μmとすることが好ましい。
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[合成例1]
下記式(1)
HOCH2CF2(OCF2CF2x(CF2O)yCF2CH2OH (1)
で示される数平均分子量1,000のパーフルオロポリエーテルグリコール(Fuluorolink D10)11.56g、窒素通気下、2,4−トリレンジイソシアネート4.02gを滴下した。滴下後、更に70℃で2時間反応させ、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン4.42gを滴下した。更に70℃で5時間反応させ、数平均分子量が1,730の分子鎖両末端にアルコキシシリル基(メチルジエトキシシリル基)がウレタン結合とウレア結合を介して結合したパーフルオロポリエーテル(A)を得た。
[合成例2]
上記式(1)で示される数平均分子量1,000のパーフルオロポリエーテルグリコール(Fuluorolink D10)50g、30%水酸化ナトリウム溶液70g、硫酸水素テトラブチルアンモニウム5gを500ml四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した後、更に臭化アリル36gを加え、一晩反応させることにより、両末端アリルエーテル化パーフルオロポリエーテル(B)を得た。
両末端アリルエーテル化したパーフルオロポリエーテル(B)30g、イソプロピルアルコール10g、0.5%白金触媒0.1gを仕込み、撹拌混合しながら溶液を80℃まで加熱した。温度上昇後、トリメトキシシラン6.8gを滴下し、更に2時間反応させることで分子鎖両末端にアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基)が結合したパーフルオロポリエーテル(C)を得た。
[実施例1]
分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテル(A)1gをイソプロピルアルコール10gに溶解し、次いで33%トリメトキシシリルプロパンスルホン酸水溶液10gを加え、撹拌混合した後、テフロン(登録商標)製シャーレに縮合硬化後の膜厚が50μmとなるように注ぎ込み、室温で一晩、その後80℃オーブンで1時間加熱脱水縮合させることにより、柔軟性のある硬化膜を得た。この硬化膜のプロトン伝導度は25℃、0.06S/cmであった。10Mメタノール水溶液の膜透過率をガスクロマトグラフィー分析装置により測定した結果、1.50kg/m2・hであった。
[実施例2]
分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテル(C)1gをイソプロピルアルコール10gに溶解し、次いで33%トリメトキシシリルプロパンスルホン酸水溶液10gを加え、撹拌混合した後、テフロン(登録商標)製シャーレに溶液を注ぎ込み、実施例1と同様の操作で加熱縮合硬化させることにより、硬化膜を得た。この硬化膜のプロトン伝導度は25℃、0.05S/cmであった。10Mメタノール水溶液の膜透過率をガスクロマトグラフィー分析装置により測定した結果、1.80kg/m2・hであった。
[比較例1]
数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業社製)23.6g、窒素通気下、2,4−トリレンジイソシアネート12.6gを滴下した。滴下後、更に70℃で2時間反応させ、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン13.8gを滴下した。更に70℃で5時間反応させ、数平均分子量が1,385の分子鎖両末端にアルコキシシリル基がウレタン結合とウレア結合を介して結合したポリテトラメチレングリコール(D)を得た。
合成した分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したポリテトラメチレングリコール(D)1gをイソプロピルアルコール10gに溶解し、次いで33%トリメトキシシリルプロパンスルホン酸水溶液10gを加え、撹拌混合した後、テフロン(登録商標)製シャーレに溶液を注ぎ込み、実施例1と同様の操作で加熱縮合硬化させることにより、硬化膜を得た。この硬化膜のプロトン伝導度は25℃、0.06S/cmであった。10Mメタノール水溶液の膜透過率をガスクロマトグラフィー分析装置により測定した結果、2.50kg/m2・hであった。

Claims (9)

  1. (1)イオン伝導性基を有するアルコキシシランもしくはその加水分解物、(2)分子鎖両末端にアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルを含有する燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  2. (1)成分が、3−トリメトキシシリルプロパンスルホン酸、3−トリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸、3−トリメトキシシリルプロポキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、p−(トリメトキシシリルエチル)フェニルスルホン酸、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルリン酸、又は2−トリメトキシシリルプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸である請求項1記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  3. 上記(1)成分のイオン伝導性基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  4. 上記(2)成分の数平均分子量が400以上10,000以下であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  5. (2)成分が、分子鎖両末端にアミド結合、ウレタン結合、ウレア結合から選択される結合を介してアルコキシシリル基が結合したパーフルオロポリエーテルである請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  6. (2)成分が、エーテル構造を有するパーフルオロジオールにジイソシアネートを一部反応させ、残存するイソシアネート基にこれと反応可能な基を有するアルコキシシランを反応させること、又はエーテル構造を有するパーフルオロジオールに臭化アリルを反応させて両末端をアリルエーテル化した後、アリル基にケイ素原子に結合した水素原子を有するアルコキシシランを反応させることにより得られたものである請求項1乃至4のいずれか1項記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  7. エーテル構造を有するパーフルオロジオールが、(CF2O)、(CF2CF2O)又は(CF(CF3)CF2O)で示されるエーテル構造を有し、数平均分子量が400〜2,000である請求項6記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  8. 更に溶剤を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の燃料電池電解質膜用樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項記載の樹脂組成物を硬化して得られる燃料電池電解質膜。
JP2006057506A 2006-03-03 2006-03-03 燃料電池電解質膜用樹脂組成物並びに電解質膜 Expired - Fee Related JP4730540B2 (ja)

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