JP2007232777A - 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、トナー粒子の表面付近には脂肪酸モノエステルが偏在しており、かつ、絶縁性液体が、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含むものであることを特徴とする。脂肪酸モノエステルの粘度は、10mPa・s以下であるのが好ましい。脂肪酸モノエステルは、炭素数が8〜18の飽和脂肪酸のエステルであるのが好ましい。トナー粒子を構成する樹脂材料は、ポリエステル樹脂であるのが好ましい。
【選択図】無し
Description
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
また、通常、液体現像剤では、定着の際にトナー粒子の表面に絶縁性液体が付着している。従来の液体現像剤では、このトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体が定着強度を低下させるという問題もあった。また、トナーの定着強度を向上させるために、比較的高い温度で、長時間加熱してトナー粒子を定着させることも考えられるが、近年の画像形成のさらなる高速化、省エネルギー化という要望を満足させるのが困難であった。
特許文献1に記載の液体現像剤は、天然油脂の酸化重合反応を利用して、定着性を向上させるものであるが、天然油脂は、記録媒体への浸透性が低く、十分に高い定着強度を得るのが困難であった。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、
前記トナー粒子の表面付近には脂肪酸モノエステルが偏在しており、かつ、
前記絶縁性液体が、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含むものであることを特徴とする。
これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れ、かつ、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
これにより、記録媒体により好適に浸透するとともに、定着時の熱で溶融したトナー粒子や不飽和脂肪酸トリグリセリドの記録媒体への浸透をより確実に促すことができる。
本発明の液体現像剤では、前記脂肪酸モノエステルは、炭素数が8〜18の飽和脂肪酸のエステルであることが好ましい。
これにより、トナー粒子表面により確実に脂肪酸モノエステルを偏在させることができる。
これにより、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
前記脂肪酸モノエステル中で、主として樹脂材料で構成されたトナー材料を粉砕し、粉砕物分散液を得る粉砕工程と、
前記粉砕物分散液と、前記不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体とを混合する混合工程とを有することを特徴とする。
このように、脂肪酸モノエステル中でトナー粒子の構成材料を粉砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子は、その表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在(付着)させたものとなる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記粉砕工程において、前記脂肪酸モノエステル中に分散剤が含まれている状態で、前記トナー材料を粉砕することが好ましい。
これにより、分散剤が粉砕助剤として働き、より効率良くトナー材料を粉砕することができるとともに、得られるトナー粒子の分散性をより高いものとすることができる。
主として樹脂材料で構成された微粒子を会合させ、会合粒子を得る工程と、
前記脂肪酸モノエステル中において、前記会合粒子を解砕し、前記トナー粒子を得る工程と、
得られた前記トナー粒子を、前記不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体中に分散する分散工程とを有することを特徴とする。
これにより、脂肪酸モノエステル中で会合粒子を解砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子は、その表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在(付着)させたものとなる。すなわち、解砕という大きな剪断力をかけることによって、トナー粒子の表面に脂肪酸モノエステルを偏在させることができる。
《液体現像剤》
まず、本発明の液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、脂肪酸モノエステルが表面付近に偏在したトナー粒子が、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む絶縁性液体に分散したものである。
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明で用いる絶縁性液体は、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含んでいる。
不飽和脂肪酸トリグリセリドは、植物由来の油脂であり、環境に優しい成分である。したがって、画像形成装置外への絶縁性液体の漏出や、使用済液体現像剤の廃棄等による絶縁性液体の環境への負荷を低減することができる。その結果、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
しかしながら、不飽和脂肪酸トリグリセリドは、記録媒体に対する浸透性が低いため、単に、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む絶縁性液体を用いた場合、十分な定着特性を得るのが困難であった。
より詳しく説明すると、脂肪酸モノエステルは記録媒体に浸透しやすい成分であるため、トナー粒子の表面付近に偏在した脂肪酸モノエステルは、定着時にトナー粒子と記録媒体とが接触した際に、記録媒体に速やかに浸透する。そして、この脂肪酸モノエステルの浸透と共に、定着時の熱で溶融したトナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)の一部が記録媒体の内部に浸透し、アンカー効果が働き、定着強度が向上する。さらに、脂肪酸モノエステルの浸透と共に、トナー粒子の表面付近に存在する不飽和脂肪酸トリグリセリドの一部も浸透し、この状態で酸化重合することにより、トナー粒子はより強固に定着される。
さらに飽和脂肪酸のモノエステルを用いることで、不飽和のモノエステルを使用した場合より液の保存性に優位性がある。
上記のような脂肪酸モノエステルの粘度は、10mPa・s以下であるのが好ましく、5mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、記録媒体により好適に浸透するとともに、定着時の熱で溶融したトナー粒子や不飽和脂肪酸トリグリセリドの記録媒体への浸透をより確実に促すことができる。また、例えば、後述するような方法で液体現像剤を製造する際に、粒径の揃ったトナー粒子を好適に得ることができる。
このような共役不飽和脂肪酸トリグリセリドとしては、共役不飽和結合を有するものであれば、いかなるものを用いてもよく、例えば、合成されたものを用いてもよいし、植物油等から直接抽出したものを用いてもよいし、不飽和脂肪酸トリグリセリドを共役化することにより得られるものを用いてもよい。
絶縁性液体中における不飽和脂肪酸トリグリセリドの含有率は、64wt%以下であるのが好ましく、48wt%以下であるのがより好ましい。これにより、環境への負荷を特に低いものとしつつ、定着時において、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
飽和脂肪酸トリグリセリドは、液体現像剤の化学的安定性を高く保つ機能を有する成分である。従って、絶縁性液体中に、飽和脂肪酸トリグリセリドを含む場合、液体現像剤の化学変化を効果的に防止することができ、その結果、得られる液体現像剤の保存性、長期安定性をより高いものとすることができる。
また、飽和脂肪酸トリグリセリドは、電気絶縁性を高く保つ機能を有している。従って、絶縁性液体中に、飽和脂肪酸トリグリセリドを含む場合、液体現像剤の電気抵抗をより高い状態に維持することができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料]
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、樹脂材料を含むものである。
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、ポリエステル樹脂を用いた場合、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
本発明の液体現像剤に適用されるトナー粒子としては、その表面に微小の凹凸を有するものを用いるのが好ましい。このように微小の凹凸を有することにより、前述した脂肪酸モノエステルをトナー粒子の表面付近により効果的に偏在(吸着)させることができる。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.1〜4μmであるのがより好ましく、0.5〜3μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の液体現像剤の製造方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法では、脂肪酸モノエステル中において、主として樹脂材料で構成されたトナー材料を粉砕し、粉砕物分散液を得る粉砕工程と、粉砕物分散液と、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体とを混合する混合工程とを有する。
本工程では、前述したようなトナー粒子の構成材料(トナー材料)を、脂肪酸モノエステル中で湿式粉砕することにより、粉砕物分散液を得る。
本実施形態では、このように、脂肪酸モノエステル中でトナー材料を粉砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子は、その表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在(吸着)させたものとなる。これに対して、ただ単に、トナー粒子を脂肪酸モノエステル中に分散しただけでは、トナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在させることはできない。すなわち、粉砕という大きな剪断力をかけることによって、初めて、トナー粒子の表面に脂肪酸モノエステルを偏在させることができる。
湿式粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
湿式粉砕の工程は、複数回に分けて行ってもよい。
また、脂肪酸モノエステルに分散剤が含まれている状態で、トナー材料を粉砕することにより、トナー粒子の表面に分散剤が付着しやすくなり、最終的に得られる液体現像剤の帯電特性を向上させることができる。
次に、得られた粉砕物分散液と、前述したような不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体とを混合する(混合工程)。
以上のようにして、表面付近に脂肪酸モノエステルが偏在したトナー粒子が、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む絶縁性液体に分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の第2実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、脂肪酸モノエステル中において会合粒子を解砕し、トナー粒子を得る工程と、得られたトナー粒子を、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体中に分散する分散工程とを有する。
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子の調製は、いかなる方法法を用いるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー構成材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系乳化液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
まず、本実施形態で用いる水系乳化液について説明する。
後述する水系乳化液調製工程で得られる水系乳化液は、水系液体で構成された水系分散媒中に、分散質(微粒子)が微分散した構成となっている。
水系分散媒は、水系液体で構成されている。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
分散質は、前述したようなトナー粒子を構成する成分を含むものである。
また、分散質中には、その成分の少なくとも一部を溶解する溶媒が含まれていてもよい。これにより、例えば、水系乳化液中における分散質の流動性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、分散質を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述した樹脂、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
乳化分散剤を用いた場合、分散質の分散性が向上するとともに、比較的容易に、水系乳化液中での分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとし、また、分散質の形状を略球形状とすることができる。その結果、最終的な液体現像剤を、略球形状で、均一な形状、大きさの揃ったトナー粒子で構成されたものとして得ることができる。ここで、乳化分散剤としては、例えば、乳化剤、分散剤、分散助剤等が挙げられる。
また、分散助剤としては、例えば、アニオン、カチオン、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
分散助剤は、分散剤と併用するものであるのが好ましい。水系乳化液が分散剤を含むものである場合、水系乳化液中における分散助剤の含有量は、特に限定されないが、2.0wt%以下であるのが好ましく、0.005〜0.5wt%であるのがより好ましい。
以上説明したような本実施形態に用いる水系乳化液においては、分散質が液状であるため、分散質はその表面張力により、円形度(真球度)の大きい形状になる傾向を示す。したがって、最終的に得られる液体現像中のトナー粒子は、円形度が特に高く、各粒子間での形状のばらつきが特に小さいものとなる。
水系乳化液中の分散質(液状の分散質)の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
上述したような水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、前述した水系液体に、必要に応じて分散剤を添加した水性溶液を用意する。
一方、前述したようなトナーの主成分となる樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む樹脂液を調製する。樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料に加えて前述した溶媒を用いてもよい。また、樹脂液は、樹脂材料を加熱することにより得られる溶融した液体であってもよい。また、樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記のようにして得られた水系乳化液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
そして、会合させた後、濾過・洗浄・乾燥等を行うことにより、会合粒子を得る。
得られる会合粒子の平均粒径は、0.1〜7μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、脂肪酸モノエステル中で解砕する(解砕工程)。これにより、脂肪酸モノエステル中にトナー粒子が分散したトナー粒子分散液が得られる。
また、このように、脂肪酸モノエステル中で会合粒子を解砕することにより、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子は、その表面付近に脂肪酸モノエステルを偏在(吸着)させたものとなる。すなわち、解砕という大きな剪断力をかけることによって、トナー粒子の表面に脂肪酸モノエステルを偏在させることができる。
また、脂肪酸モノエステルという液体中で解砕しているので、凝集等によって粗大化したトナー粒子が発生するのを防止することができる。
また、得られるトナー粒子は、その表面に、微粒子(分散質)に由来する凹凸を有するものとなるので、脂肪酸モノエステルをこの凹凸に確実に保持することができる。
また、脂肪酸モノエステルは、比較的粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子(分散質)の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子分散液と、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体とを混合し、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる(分散工程)。
以上のようにして、表面付近に脂肪酸モノエステルが偏在したトナー粒子が、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む絶縁性液体に分散した、本発明の液体現像剤が得られる。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の液体現像装置の一例を示すものである。液体現像装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
同様に、中間転写ローラP18から紙等の記録媒体F5へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
感光体P2上に形成されたトナー像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する記録媒体F5に画像が転写され、記録媒体F5上でのトナー画像は、後述するような定着装置を使用して定着が行われる。
なお、図1、図2共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
定着装置F40は、図3に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
また、熱定着ローラF1の弾性体F1cの表層にはPFA層が設けられている。これにより、各弾性体F1c、2cの厚みは異なるが、両弾性体F1c、2cは略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップが形成され、また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
定着装置F40において、後述するような画像形成装置を用いて未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着のトナー画像F5aが熱定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
未定着トナー画像を定着する際の定着温度は、80〜200℃であるのが好ましく、80〜180℃であるのがより好ましい。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような液体現像装置、定着装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
(実施例1)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、ラウリン酸メチル(日本油脂社製):100重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.0重量部とを用意した。なお、ラウリン酸メチルの25℃での粘度は3mPa・sであった。
その後、得られた粉砕物分散液:100重量部と、菜種油(日清オイリオ社製):150重量部とを混合し、液体現像剤を得た。なお、菜種油の19℃での粘度は、75mPa・sであった。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.2μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.62μmであった。また、液体現像剤の室温(20℃)での粘度は、120mPa・sであった。
ラウリン酸メチルをステアリン酸メチルに変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。なお、ステアリン酸メチルの25℃での粘度は8mPa・sであった。
(実施例3)
菜種油を大豆油(日清オイリオ社製)に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。なお、大豆油の19℃での粘度は67mPa・sであった。
(実施例4)
ポリエステル樹脂をエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度:128℃)に変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末(粗粉砕物)とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
一方、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:1重量部と、イオン交換水:700重量部とを均一に混合した水系液体を用意した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が0.5μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。なお、得られた水系乳化液中の固形分(分散質)濃度は20wt%であった。
次に、撹拌速度を調整するとともに、温度を30℃とした後、水系乳化液:100重量部に対して、3%の硫酸アンモニウム水溶液:35重量部を滴下した。これにより、会合粒子が分散した会合粒子分散液が得られた。
得られた会合粒子分散液から、会合粒子を遠心分離機で分離し、洗浄を行い、その後、真空乾燥機で乾燥を行い、会合粒子を得た。得られた会合粒子の平均粒径は5.2μmであった。
次に、得られた会合粒子:50重量部を入れて、ボールミルで10分混合し、その後、さらに、電荷制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:0.5重量部を投入し、200時間ボールミルで解砕し、トナー分散液を得た。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.3μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.50μmであった。また、液体現像剤の室温(20℃)での粘度は、95mPa・sであった。
脂肪酸モノエステルをステアリン酸メチル(日本油脂社製)に変更した以外は、前記実施例5と同様にして液体現像剤を製造した。なお、ステアリン酸メチルの25℃での粘度は8mPa・sであった。
(実施例7)
菜種油を大豆油(日清オイリオ社製)に変更した以外は、前記実施例5と同様にして液体現像剤を製造した。なお、大豆油の19℃での粘度は67mPa・sであった。
(実施例8)
ポリエステル樹脂をエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度:128℃)に変更した以外は、前記実施例5と同様にして液体現像剤を製造した。
前記実施例1と同様にして粗粉砕物を得た。
次に、得られた粗粉砕物:100重量部と、大豆油(日清オイリオ社製、粘度(19℃):67mPa・s):100重量部と、分散剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル:10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.0重量部とを用意した。
その後、得られた粉砕物分散液:100重量部と、ラウリン酸メチル:150重量部とを混合し、液体現像剤を得た。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.92μmであった。また、液体現像剤の室温(20℃)での粘度は、72mPa・sであった。
前記実施例1と同様にして粗粉砕物を得た。
次に、得られた粗粉砕物:100重量部と、大豆油(日清オイリオ社製、粘度(19℃):67mPa・s):100重量部と、分散剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル:10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.0重量部とを用意した。
これら各成分を、ボールミルに投入し、300時間湿式粉砕したが、十分な大きさのトナー粒子とすることができなかった。
前記実施例5と同様にして会合粒子を得た。
次に、500mLの容器に、4mmの炭素クロムビーズを入れ、その後、大豆油(日清オイリオ社製、粘度(19℃):67mPa・s):50重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):5重量部とを投入した。
解砕終了後、ラウリン酸メチル:150重量部を投入し、トナー粒子を分散した。分散は、ボールミルを用いて4mmビーズを入れて24時間行った。これにより、液体現像剤が得られた。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.8μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.85μmであった。また、液体現像剤の室温(20℃)での粘度は、83mPa・sであった。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の製造条件を表1に示した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下の評価を行った。
[2.1]定着強度
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、記録紙上に形成された画像について、オーブンによる熱定着を行った。この熱定着は、120℃×30分間という条件で行った。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを遠沈管に入れ、1000G、10分間の条件で遠心分離機にかけた後、上澄みの200μLを分集し、各実施例および各比較例で用いた絶縁性液体で100倍に希釈し、サンプルとした。
各サンプルを紫外可視分光光度計(日本分光社製、V−570)を用いて吸収波長を測定した。
◎ :吸光度が1.50以上(沈降が全く見られない)。
○ :吸光度が1.00以上1.50未満(沈降がほとんど見られない)。
△ :吸光度が0.50以上1.00未満(沈降が確認される)。
× :吸光度が0.50未満(沈降が顕著で自然放置でも沈降が始まる)。
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
◎ :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
○ :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められるが、液体現像剤として
問題の無い範囲である。
△ :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がはっきりと認められる。
× :トナー粒子の浮遊および凝集沈降が顕著に認められる。
各実施例および比較例について、ボールミル粉砕(実施例5〜8および比較例2にあっては、解砕)1時間後の液体と、最終的に得られた液体現像剤を、各々遠心分離を行い、上澄みを除去して固形分を取り出した。
固形分に熱50℃をかけて、精密天秤により、重量変化を測定して、以下の基準に従い、トナー粒子表面の脂肪酸モノエステルの存在の有無を評価した。
○:0.005g以上重量が重くなっており、トナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエ ステルが偏在している。
×:重量変化が0.005gよりも小さく、トナー粒子の表面付近に脂肪酸モノエス テルが偏在していない。
これらの結果を、液体現像剤の粘度、トナー粒子の体積基準の平均粒径、粒径標準偏差とともに表2に示す。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (7)
- 絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、
前記トナー粒子の表面付近には脂肪酸モノエステルが偏在しており、かつ、
前記絶縁性液体が、不飽和脂肪酸トリグリセリドを含むものであることを特徴とする液体現像剤。 - 前記脂肪酸モノエステルの粘度は、10mPa・s以下である請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記脂肪酸モノエステルは、炭素数が8〜18の飽和脂肪酸のエステルである請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記トナー粒子を構成する樹脂材料は、ポリエステル樹脂である請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤を製造する方法であって、
前記脂肪酸モノエステル中で、主として樹脂材料で構成されたトナー材料を粉砕し、粉砕物分散液を得る粉砕工程と、
前記粉砕物分散液と、前記不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体とを混合する混合工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 前記粉砕工程において、前記脂肪酸モノエステル中に分散剤が含まれている状態で、前記トナー材料を粉砕する請求項5に記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤を製造する方法であって、
主として樹脂材料で構成された微粒子を会合させ、会合粒子を得る工程と、
前記脂肪酸モノエステル中において、前記会合粒子を解砕し、前記トナー粒子を得る工程と、
得られた前記トナー粒子を、前記不飽和脂肪酸トリグリセリドを含む液体中に分散する分散工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。
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