JP4910370B2 - 定着方法および画像形成装置 - Google Patents
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Description
この液体現像剤を用いる方法は、トナーを乾式状態で用いる乾式トナーに比べ、トナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いた画像形成装置では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れた画像を得ることができるという特徴を有している。
しかしながら、液体現像剤を用いた方法では、定着の際にトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体が、記録媒体中に染み込み、定着強度を低下させるという問題があった。また、この染み込みにより、記録媒体に対してボールペン等で追記するのが困難となるという問題もあった。
しかしながら、このような方法では、十分に絶縁性液体を除去するのは困難であり、十分な定着強度を得るのが困難であった。また、トナーの定着強度を向上させるために、比較的高い温度で、長時間加熱してトナー粒子を定着させることも考えられるが、近年の画像形成のさらなる高速化、省エネルギー化という要望を満足させるのが困難であった。
本発明の定着方法は、不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体とトナー粒子とを有する液体現像剤を用いて記録媒体に形成された像を、定着ローラを用いて前記記録媒体に定着する定着方法であって、
前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含有する前記定着ローラ表面を用いて前記像に含まれる前記不飽和脂肪酸成分と、前記定着ローラに含有された前記酸化重合促進剤とを接触させることを特徴とする。
これにより、特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。さらに、定着に時間がかからないため、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。また、定着に大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができる。
これにより、より確実に不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を生じさせることができる。
本発明の定着方法では、前記定着ローラの温度は、80〜200℃であることが好ましい。
これにより、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
これにより、より確実に不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を生じさせ、より強固に定着させることができる。
本発明の定着方法では、前記記録媒体に前記像を定着させた後に、前記定着ローラの表面に付着した前記絶縁性液体を除去することが好ましい。
これにより、繰り返し定着する場合において、より確実にトナー画像中の不飽和脂肪酸成分と、酸化重合促進剤とを接触させることができる。
本発明の定着方法では、前記不飽和脂肪酸成分は、少なくとも、共役化した不飽和結合を有する成分を含むことが好ましい。
これにより、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
本発明の画像形成装置は、不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体とトナー粒子とを含む液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部と、
前記液体現像剤貯留部より供給された前記液体現像剤を用いて現像する現像部と、
像担持体と、
前記現像部で前記像担持体に現像された像を記録媒体に転写する転写部と、
前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含む定着ローラ、および記録媒体を介して前記定着ローラを押圧して前記定着ローラに含まれた前記酸化重合促進剤を前記像に付着させる加圧ローラを有する定着部と、
を備えることを特徴とする。
これにより、特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。さらに、定着に時間がかからないため、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。また、定着に大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができる。
本実施形態の定着装置は、不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を用いて記録媒体上に形成されたトナー画像を定着するものである。
図1は、本実施形態の定着装置を示す断面図である。
定着装置F40は、後に詳述するような画像形成装置によって形成された未定着トナー画像F5aを有する記録媒体F5上に、未定着トナー画像F5aを定着させるものである。
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
熱定着ローラF1の弾性体F1cは、その表層に、離型層F11cを備えている。
離型層F11cは、定着の際に、トナー粒子が熱定着ローラF1の表面に付着するのを防止する機能を有している。
ところで、従来の液体現像剤を用いた定着装置では、定着の際にトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体が、記録媒体中に染み込み、定着強度を低下させるという問題があった。また、この染み込みにより、記録媒体に対してボールペン等で追記するのが困難となるという問題もあった。
これに対し、本発明は、定着の際に、定着ローラの表層に存在する酸化重合促進剤と不飽和脂肪酸成分とを接触させ、不飽和脂肪酸成分を酸化重合させる点に特徴を有している。
このような脂肪酸金属塩としては、例えば、樹脂酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩等)、オクチル酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩、カルシウム塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、亜鉛塩、カルシウム塩等)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のような離型層F11cに離型性を付与する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロルトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素ゴム、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、四フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂等が挙げられる。
離型層F11cの平均厚さは、10〜50μmであるのが好ましく、20〜40μmであるのがより好ましい。
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
定着装置F40において、後述するような画像形成装置を用いて未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着トナー画像F5aが定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
また、定着装置F40は、高速印刷(高速定着、高速画像形成)に適したものであり、具体的には、記録媒体F5の送り速度(繰り出し速度)が0.05〜0.5m/秒であるのが好ましく、0.15〜0.4m/秒であるのがより好ましい。このように、本発明では、比較的高速で記録媒体にトナーを定着した場合であっても、トナー粒子の定着不良が発生するのを効果的に防止することができる。
未定着トナー画像を定着する際の定着温度は、80〜200℃であるのが好ましく、80〜180℃であるのがより好ましい。このような定着温度であると、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応をより効果的に進行させることができ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
次に、本発明の定着装置に適用される液体現像剤について詳細に説明する。
本発明の定着装置に適用される液体現像剤は、不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
[絶縁性液体]
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明で用いる液体現像剤を構成する絶縁性液体は、不飽和結合を有する不飽和脂肪酸成分を含んでいる。
また、不飽和脂肪酸成分は、トナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)との親和性が高いため、本発明のように、絶縁性液体として不飽和脂肪酸成分を含むものを用いることにより、トナー粒子の分散性を向上させることができる。その結果、保存時等において、トナー粒子の沈降や凝集等を効果的に防止することができる。
このような共役不飽和脂肪酸成分としては、共役不飽和結合を有するものであれば、いかなるものを用いてもよく、例えば、合成されたものを用いてもよいし、植物油等から直接抽出したものを用いてもよいし、不飽和脂肪酸成分を共役化することにより得られるものを用いてもよい。
上述した中でも脱水ひまし油は、共役リノール酸成分(共役不飽和脂肪酸成分)を多く含むことから、好適に用いることができ、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。その結果、より強固にトナー画像を定着させることができる。
絶縁性液体中における全脂肪酸成分に対する不飽和脂肪酸成分の割合は、特に限定されないが、10mol%以上であるのが好ましく、20mol%以上であるのがより好ましく、20〜90mol%であるのがさらに好ましい。これにより、定着時において、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
飽和脂肪酸成分は、液体現像剤の化学的安定性を高く保つ機能を有する成分である。従って、絶縁性液体中に、飽和脂肪酸成分を含む場合、液体現像剤の化学変化を効果的に防止することができ、その結果、得られる液体現像剤の保存性、長期安定性をより高いものとすることができる。
また、飽和脂肪酸成分は、電気絶縁性、粘度を高く保つ機能を有している。従って、絶縁性液体中に、飽和脂肪酸成分を含む場合、液体現像剤の電気抵抗をより高い状態に維持することができる。また、適度な粘度により液体現像剤の搬送性がより良好となる。
絶縁性液体中に飽和脂肪酸成分が含まれている場合、絶縁性液体中における全脂肪酸成分に対する飽和脂肪酸成分の割合は、特に限定されないが、0.5〜40mol%であるのが好ましく、1〜30mol%であるのがより好ましい。これにより、絶縁性液体の電気絶縁性を高いものとしつつ、定着時において、酸化重合反応をより効果的に進行させることができる。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、絶縁性液体の酸化を防止・抑制する機能を有する酸化防止剤が含まれていてもよい。これにより、不飽和脂肪酸成分の不本意な酸化を防止することができる。
酸化防止剤の熱分解温度は、具体的には、200℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのがより好ましい。これにより、酸化防止剤としての機能を十分に保持しつつ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
次に、トナー粒子について説明する。
(トナー粒子の構成材料)
トナー粒子(トナー)は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)を含むものである。
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クローラアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、ポリエステル樹脂を用いた場合、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。これは、ポリエステル樹脂と、後に詳述する絶縁性液体(特に、絶縁性液体が、グリセリンと不飽和脂肪酸成分とのエステルで構成されるものである場合)と化学構造の類似性によるものであると考えられる。
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.1〜5μmであるのが好ましく、0.1〜4μmであるのがより好ましく、0.5〜3μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
記録媒体上の(未定着の)トナー画像は、例えば、以下に説明するような画像形成装置を用いて形成することができる。
図2は、接触方式の画像形成装置の一例を示す図である。
画像形成装置P1は、液体現像剤を貯留する現像剤容器P11と、像(トナー画像)を現像する円筒状の感光体(現像部)P2と、現像剤容器P11から感光体P2に液体現像剤を供給する現像器P10と、記録媒体に感光体P2で現像された像を転写する中間転写(転写部)ローラP18とを有している。
現像器P10は、現像剤容器P11中にその一部が浸漬された塗布ローラP12と、現像ローラP13とを有している。塗布ローラP12は、例えば、ステンレス等の金属製のグラビアローラであり、現像ローラP13と対向して回転する。また、塗布ローラP12の表面には、液体現像剤塗布層P14が形成され、メータリングブレードP15によってその厚さが一定に保持される。
同様に、中間転写ローラP18(転写部)から記録媒体F5へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
その後、紙等の記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)は、前述した定着装置F40に搬送され、定着が行われる。
なお、図2、図3共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
例えば、本発明の定着装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、定着の際に熱をかける場合について説明したが、これに限定されず、例えば、紫外線を照射してもよい。
また、前述した実施形態では、定着ローラ側から加熱するものとして説明したが、加圧ローラ側から加熱するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、定着ローラの離型層に酸化重合促進剤が含まれているものとして説明したが、離型層だけでなく、弾性体全体に含まれていてもよい。
(液体現像剤Aの製造)
まず、自己分散型樹脂としての、側鎖に多数の−SO3 −基(スルホン酸Na基)を有するポリエステル樹脂(ガラス転移点:55℃、軟化温度:123℃、):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物の自己分散型樹脂が溶解した溶液を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が1.2μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
その後、温度:100℃、雰囲気圧力:80kPaの条件下で、水系乳化液中のトルエンを除去し、さらに、室温まで冷却することにより、固形微粒子が分散した水系懸濁液を得た。得られた水系懸濁液中には、実質的にトルエンは残存していなかった。得られた水系懸濁液の固形分(分散質)濃度は30.5wt%であった。また、懸濁液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は0.8μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
得られたトナー粒子:40重量部と、絶縁性液体としての脱水ひまし油(伊藤製油社製):160重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):4重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:0.56重量部とを用意した。
得られた液体現像剤A中における、トナー粒子の平均粒径は1.0μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.45μmであった。
まず、樹脂材料としてのエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度Tf:128℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、第1の液体としてオレイン酸メチル:100重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.4重量部とを用意した。
得られた液体現像剤B中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.48μmであった。
まず、樹脂材料としてのエポキシ樹脂(エピコート1004、軟化温度Tf:128℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、上記のようにして得られた粗粉砕物:100重量部と、アイソパーH(エクソン化学社の商品名):100重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):10重量部と、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:1.4重量部とを用意した。
得られた液体現像剤C中における、トナー粒子の平均粒径は1.5μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.48μmであった。
(実施例1)
上記のようにして得られた液体現像剤Aを図2に示す画像形成装置に投入し、記録媒体(富士ゼロックスオフィスサプライ製、J紙)上に未定着のトナー画像を形成した。
次に、形成した未定着トナー画像を図1に示すような定着装置を用いて、記録媒体上に定着した。
また、熱定着ローラ内の加熱源としては、発光部長さ240mm、全長292mm、850ワットのハロゲンランプを用いた。また、加圧ローラの圧接力は、4kgとし、ニップ幅は約8mmとした。また、定着温度は、160℃に設定した。また、定着装置の記録媒体の搬送速度を200mm/秒とした。
酸化重合促進剤として、リノレン酸コバルトを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
(実施例3)
酸化重合促進剤として、ナフテン酸亜鉛を用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
離型層を構成する材料として、フッ素樹脂チューブ(四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)と、酸化重合促進剤としてのオクチル酸コバルトとで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。なお、離型層中の酸化重合促進剤の含有量は2.0wt%であった。
離型層を構成する材料として、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)と、酸化重合促進剤としてのオクチル酸コバルトとで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。なお、離型層中の酸化重合促進剤の含有量は2.0wt%であった。
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Bを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
(実施例7)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Bを用いた以外は、前記実施例4と同様にして定着を行った。
(実施例8)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Bを用いた以外は、前記実施例5と同様にして定着を行った。
定着ローラとして、離型層中に酸化重合剤を含まないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
(比較例2)
液体現像剤として、上記のようにして得られた液体現像剤Cを用いた以外は、前記実施例1と同様にして定着を行った。
上記各実施例および各比較例で得られた記録媒体上の定着トナー画像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.0kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
また、定着装置の定着温度を、140℃、120℃、100℃、80℃に変更し、上記と同様にして定着強度を評価したところ、同様の結果が得られた。このことから、本発明の定着装置は、低温定着に適したものであることがわかる。
また、定着装置の記録媒体の搬送速度を、200mm/秒から、250mm/秒、300mm/秒と速くし、上記と同様にして定着強度を評価したところ、同様の結果が得られた。このことから、本発明の定着装置は、高速印刷に適したものであることがわかる。
Claims (7)
- 不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体とトナー粒子とを有する液体現像剤を用いて記録媒体に形成された像を、定着ローラを用いて前記記録媒体に定着する定着方法であって、
前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含有する前記定着ローラ表面を用いて前記像に含まれる前記不飽和脂肪酸成分と、前記定着ローラに含有された前記酸化重合促進剤とを接触させることを特徴とする定着方法。 - 前記酸化重合促進剤は、脂肪酸金属塩である請求項1に記載の定着方法。
- 前記定着ローラの温度は、80〜200℃である請求項1または2に記載の定着方法。
- 前記定着ローラに押圧して、前記記録媒体に圧力を加える加圧ローラを有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の定着方法。
- 前記記録媒体に前記像を定着させた後に、前記定着ローラの表面に付着した前記絶縁性液体を除去する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の定着方法。
- 前記不飽和脂肪酸成分は、少なくとも、共役化した不飽和結合を有する成分を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の定着方法。
- 不飽和脂肪酸成分を含む絶縁性液体とトナー粒子とを含む液体現像剤を貯留する液体現像剤貯留部と、
前記液体現像剤貯留部より供給された前記液体現像剤を用いて現像する現像部と、
像担持体と、
前記現像部で前記像担持体に現像された像を記録媒体に転写する転写部と、
前記不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応を促進させる酸化重合促進剤を含む定着ローラ、および記録媒体を介して前記定着ローラを押圧して前記定着ローラに含まれた前記酸化重合促進剤を前記像に付着させる加圧ローラを有する定着部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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