JP2007231101A - 印刷機用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】インキの種類に関わらずインキローラー上や給水ローラー上のインキ除去が容易できて、健康面や環境面への影響が少なく、また、印刷版への影響がない印刷機用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】エステル類の少なくとも1種、炭素原子数が6〜10のアルカン類の少なくとも1種、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類の少なくとも1種を含むことを特徴とする印刷機用洗浄剤組成物;エステル類を0.5〜20質量%、炭素原子数が6〜10のアルカン類を50〜90質量%、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類を3〜30質量%含む、上記印刷機用洗浄剤組成物。

Description

本発明は印刷機用洗浄剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは平版印刷機のインキローラー用洗浄剤組成物及び給水ローラー用洗浄剤組成物に関するものである。
平版印刷は、水と油が本質的に混り合わない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容し油性インキを反撥する領域と、水を反撥して油性インキを受容する領域から成り、前者が非画像部となり、後者が画像域となる。版面には、インキ壺からインキローラーを介したインキと、非画像部に油性のインキを付けないようにするために湿し水を供給する。版面に湿し水を供給する手段として、一般に、給水ローラーが使用される。給水ローラーとしては、鉄製ローラーの表面に銅メッキを施しその後にニッケルメッキ、クロムメッキ等を施して親水化処理を施したものや、近年、腐食のおそれのないセラミック製のものが利用されている。またゴムロールも用いられ、クロムメッキしたロールと組み合わせて行う連続給水が普及している。
印刷終了後、インキローラーからインキを洗浄除去する必要があるのは当然である。また給水ローラーは、平版印刷版上の印刷インキと接触するためインキの付着により汚れてしまう。このため、印刷中または印刷終了後、給水ローラーの表面を洗浄することも必要である。
インキローラーの洗浄には、印刷インキを溶かす溶剤、例えば炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系といった有機溶剤を回転しているローラー上に振りかけインキを溶解し、ドクターと呼ばれるブレードでかき取るなどして、インキを除去している。また給水ローラー表面も同様に、印刷インキを溶かす溶剤、例えば炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系といった有機溶剤をウェス等に適量染み込ませ、ローラー表面の汚れを拭き取るなどの方法で洗浄される。
近年、UVインキや金属インキを使用した印刷方式が広まっている。これらのインキの洗浄には芳香族炭化水素類やハロゲン化炭化水素類などが、その洗浄力の強さから使われることがあるが、いずれも健康面や環境面への影響が危惧されている。このため、例えばグリコール系溶剤と脂肪族炭化水素系溶剤を含有し、界面活性剤で水を可溶化した洗浄剤組成物(例えば特許文献1参照)などが使用されつつある。しかしながら、脂肪族炭化水素類はUVインキや金属インキなどに対しインキ溶解性に劣り、またグリコール系溶剤や界面活性剤を含む洗浄剤が印刷版に付着した場合、印刷版表面の感光層を溶解する場合があった。
特開平7−126687号公報
本発明の目的は、インキの種類に関わらずインキローラー上や給水ローラー上のインキ除去が容易で、健康面や環境面への影響が少なく、また、印刷版への影響のない印刷機用洗浄剤組成物を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために検討を重ねた結果、印刷機用洗浄剤組成物に、エステル類、炭素原子数が6〜10のアルカン類、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類を、それぞれ少なくとも1種を配合することにより、インキの種類によらずインキローラー上や給水ローラーでの優れたインキ除去性を発揮できることを見出した。
従って本発明は、エステル類の少なくとも1種、炭素原子数が6〜10のアルカン類の少なくとも1種、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類の少なくとも1種を含むことを特徴とする印刷機用洗浄剤組成物である。
本発明の実施態様として、エステル類を0.5〜20質量%、炭素原子数が6〜10のアルカン類を50〜90質量%、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類を3〜30質量%含む、印刷機用洗浄剤組成物がある。該エステル類として、下記一般式[1]または[2]で表される化合物からなる群から選ばれる、少なくとも1種が挙げられる。
CH3−(CH2)n−COOR1 [1]
CH3C−CH(OH)−COOR2 [2]
(式中、R1およびR2は、それぞれ炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1もしくは2の整数を示す。)
本発明の印刷機用洗浄剤組成物は、具体的にインキローラー用洗浄剤組成物又は給水ローラー用洗浄剤組成物として使用できる。本発明の印刷機用洗浄剤組成物はさらに具体的には、給水ローラー用洗浄用途において最も優れた性能を発揮することができる。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物はまた、実質的に水を含まない組成とすることができる。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物によれば、インキの種類に関わらずインキローラー上や給水ローラー上のインキ除去が容易にできて、健康面や環境面への影響が少なく、また、印刷版への影響もない。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物に使用するエステル類は、有機酸とアルコールから脱水して生成したものであり、例として以下の有機酸とアルコールの組合せのモノエステル、ジエステル、トリエステル等が挙げられる。
有機酸としては飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪族飽和ジカルボン酸、脂肪族不飽和ジカルボン酸、芳香族カルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシ酸等があり、具体的には酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、サリチル酸、没食子酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などである。
またアルコールとしては脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、複素環式アルコール等があり、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、オレインアルコール、リノレイルアルコール、シクロヘキサノール、グリセリン、フェノール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、サリチルアルコール、フルフリルアルコールなどである。しかしながらエステル化合物の種類は多種多岐にわたっており、本発明で使用するエステル類が上記の組み合わせに限定されないことは、説明するまでもない。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物には、エステル類を1種又は2種以上使用することができる。
エステル類の中でも、下記一般式[1]または[2]で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用できる。
CH3−(CH2)n−COOR1 [1]
CH3C−CH(OH)−COOR2 [2]
(式中、R1およびR2は、それぞれ炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1もしくは2の整数を示す。)
上記一般式[1]又は[2]で表される脂肪族カルボン酸エステル化合物は具体的に、酢酸、プロピオン酸、酪酸又は乳酸のエステルである。式中、R1及びR2で示される炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基は具体的に、不飽和又は飽和でもよく、直鎖状でも分岐状でもよい。該脂肪族炭化水素基の炭素原子数が8未満であると、インキ溶解性は優れているが、印刷版に付着した場合に感光層を劣化しやすいという傾向がある。一方炭素原子数が18を超えると、インキ溶解性が劣化する傾向がある。
本発明に使用するのに好ましいカルボン酸エステル化合物として、酢酸、酪酸、乳酸などのオクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、オレイルの各エステルが挙げられる。特に好ましいものは、乳酸オクチル、乳酸2−エチルヘキシル、乳酸カプリル、乳酸ノニル、乳酸デシル、乳酸ラウリル、乳酸セチル、酪酸2−エチルヘキシル、酪酸セチルなどである。これらのうち、乳酸エステル化合物は特に、各種のインキに対して優れたインキ溶解性効果を発揮し、また、一方、印刷版の感光層に対しても影響が少ないので、好ましく使用することができる。これら脂肪族カルボン酸エステル化合物は1種単独でも、あるいは2種以上併用して使用することもできる。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物におけるエステル類の含有量は、ローラーの拭き易さ、経済性を考慮して、組成物の全重量に基づいて0.5〜20質量%が適当であり、好ましくは1〜10質量%の範囲である。
本発明の洗浄剤組成物に含ませる炭素原子数が6〜10のアルカン類として、直鎖状アルカン、分岐した鎖状アルカン、環状アルカン、分岐した環状アルカン等のいずれを使用することも可能である。例えばn−ヘキサンとその異性体、n−ヘプタンとその異性体、n−オクタンとその異性体、n−ノナンとその異性体、及びn−デカンとその異性体等を使用することが可能である。本発明の洗浄剤組成物には、炭素原子数が6〜10のアルカン類を1種、又は2種以上組み合わせて使用することができる。本発明では、炭素原子数が6〜10のアルカン類の中でもn−ヘプタンとその異性体、及びn−オクタンとその異性体が好適である。炭素原子数が5以下のアルカンは、乾燥性が非常に早く洗浄剤組成物として不適であるのみならず、引火点が非常に低く危険である。一方炭素原子数が11以上のアルカンは、乾燥性が遅く洗浄後のローラー上からなかなか除去できない。
本発明の洗浄剤組成物における炭素原子数が6〜10のアルカン類の量は50〜90質量%が適当であり、より好ましくは70〜85質量%である。
本発明の洗浄剤組成物に含ませる炭素原子数が1〜6のアルコール類として、直鎖状アルコール、分岐した鎖状アルコール、環状アルコール、分岐した環状アルコール等を使用することが可能である。例えばテトラヒドロフルフリルアルコール、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールとその異性体、ブチルアルコールとその異性体、ペンチルアルコールとその異性体、ヘキシルアルコールとその異性体等を使用することが可能である。本発明の洗浄剤組成物には、炭素原子数が1〜6のアルコール類を1種、又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でもプロピルアルコールとその異性体、ブチルアルコールとその異性体が好適である。炭素原子数が7以上のアルコールは、インキ除去性が劣る傾向がある。
本発明の洗浄剤組成物における炭素原子数が1〜6のアルコール類の量は、3〜30質量%が適当であり、より好ましくは5〜15質量%である。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物にはさらに、グリコールエーテル類、ケトン類、炭素原子数3〜6個のラクトン、炭素原子数4〜7個の環状イミド等の溶剤を含ませてもよい。必要に応じてこれらの溶剤を添加し、インキ除去性と乾燥性を適宜変動させることができる。
本発明で使用することができるグリコールエーテル類の例として、下記一般式〔I〕又は〔II〕で示される化合物が挙げられる。
〔I〕 R1O−(CH2CH(R2)−O)m−R3
〔II〕 R4O−(CH2 CH2−O)p−CO−CH3
式中R1〜R4は独立して水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、ベンジル基、フェニル基、又は炭素原子数5〜10の環状アルキル基を示し、m及びpは1〜20の整数を示す。その具体例としてはエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
本発明で使用することができるケトン類の具体例としては、メチルアミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジアセトンアルコール、アセトニルアセトン、イソホロン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンが挙げられる。
本発明で使用することができる炭素原子数3〜6個のラクトン及び炭素原子数4〜7個の環状イミドの具体例として、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−バレロラクトン、ヘキサノラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
その他、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン、分子量200〜1000のポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、それらの化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、モノブチルエーテル等も挙げることができる。
本発明の洗浄剤組成物においてこれらの溶剤を1種、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の洗浄剤組成物におけるこれらの溶剤の量は、0〜20質量%が適当であり、より好ましくは0〜12質量%である。
またインキ中には、湿し水成分や紙粉なども含まれており、これらを除去するために洗浄剤組成物中にさらに界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤の中でも、非イオン型、及びアニオン型の界面活性剤が有利に利用できる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸部分エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、トリメチロールプロパン、グリセリン等にオキシエチレン、オキシプロピレンを付加したもの、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、
脂肪酸塩、アビエチン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分枝鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム、N−アルキルスルホこはく酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルりん酸エステル塩、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などのアニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は単独でも2種以上混合してもよく、本発明の洗浄剤組成物の総質量に対して、好ましくは0〜10質量%で、更には0〜5質量%の範囲の添加が好ましい。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物は、水を含ませることなく、実質的に無水の組成とすることができる。印刷機用洗浄剤組成物を無水の組成とすることで、インキ溶解力が最も高くなり有利である。水を含ませるときは5質量%程度までが適当である。
本発明の印刷機用洗浄剤組成物は常法に従って、インキローラー用洗浄剤としても、又は給水ローラー用洗浄剤としても使用することができる。本発明の印刷機用洗浄剤組成物をインキローラーの洗浄に使用するとき、例えばインキローラー上に振りかけ、その後ドクターブレードでかき取るといった方法で使用することができる。また、給水ローラーの洗浄に用いるとき、例えばウェスなどに適量染み込ませローラー表面の汚れを拭き取るといった方法で使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。
[実施例1〜12及び比較例1〜7]
下記表1〜3の組成(単位:質量%)に従い順に添加し、実施例1〜12、及び比較例1〜7の印刷機用洗浄剤組成物を調製し、下記条件1及び条件2で以下のように評価した。それらの結果を表1〜3に合わせて示す。
(1)条件1
印刷版:富士写真フイルム(株)製ポジ型PS版VSを画像露光し、自動現像機エコスタブロンPS900Vを用いてポジ現像液DP−7(水で8倍希釈)で現像、水洗後、ガム液FP−2W(水で2倍希釈)処理をして印刷版を作成した。
印刷機:(株)小森コーポレーション製スプリント26
インキ:大日本インキ(株)製オフセットインキ「FusionG墨」
湿し水:富士写真フイルム(株)製ECOLITY−2
(2)条件2
印刷版:富士写真フイルム(株)製ポジ型PS版VSを画像露光し、自動現像機エコスタブロンPS900Vを用いてポジ現像液DP−7(水で8倍希釈)で現像、水洗後、ガム液FP−2W(水で2倍希釈)処理をして印刷版を作成した。
印刷機:(株)小森コーポレーション製スプリント26
インキ:T&K(株)製、紫外線硬化型インキ「UV RNC墨」
湿し水:富士写真フイルム(株)製ECOLITY−2
評価項目および評価方法
・インキローラーインキ除去性
印刷終了後、インキで汚れたインキローラー最上部に洗浄剤組成物を500ml振りかけ3分間回転、ドクターブレードでかき取った後、インキの除去され方を目視で評価した。
○ :インキが完全に除去された。
○△:インキの除去は完全ではないが問題ない。
△ :インキの除去が不足している。
× :インキが全く除去されない。
・給水ローラーインキ除去性
0.09m2のウェスに洗浄剤組成物を200ml染み込ませ、印刷終了後のインキで汚れた給水ローラーを数回拭きあげた後、インキの除去され方を目視で評価した。
○ :インキが完全に除去された。
○△:インキの除去は完全ではないが問題ない。
△ :インキの除去が不足している。
× :インキが全く除去されない。
・給水ローラー作業性
−拭き易さ−
給水ローラーからインキを除去する際の、拭き易さを評価した。
○ :ローラー上で問題なく滑り、均一に拭くことが可能。
○△:ローラー上でやや滑りづらいか、またはやや滑りすぎるが、ほぼ均一に拭くことが可能。
△ :ローラー上で滑りづらいか、または滑りすぎて、均一に拭きにくい。
× :ローラー上で非常に滑りにくいか、または非常に滑りすぎて、均一に拭くことができない。
−乾燥性−
給水ローラーからインキを除去した後の、洗浄剤組成物の乾燥し易さを評価した。
○ :インキ除去後、乾拭きしなくてもすぐに乾燥する。
○△:インキ除去後、かるく乾拭きすれば乾燥する。
△ :インキ除去後、乾拭きすれば乾燥する。
× :インキ除去後、乾拭きしてもローラー上に残る。
・画像部侵食
印刷前の印刷版に洗浄剤組成物を滴下し、1時間後の画像部の侵食と印刷物の原稿再現性を評価した。
○ :全く侵食がなく、印刷すると原稿を再現する。
○△:やや侵食しているが、印刷すると原稿を再現する。
△ :明らかに侵食が認められるが、印刷すると原稿を再現する。
× :侵食がひどく、印刷すると原稿を再現しない。
・ゴム部材膨潤
印刷機の給水ローラー用ゴム部材(幅1cm×長さ5cm×厚み5mm)を、洗浄剤組成物に温度25℃で72時間浸漬したのち充分乾燥させ、長さと厚み変化を評価した。
○:変化がほとんど認められず、印刷には影響を与えない。
△:変化がわずかに認められるが、印刷には影響を与えない。
×:変化が認められ、印刷時に給水ローラーとして不具合を発生する。
Figure 2007231101









Figure 2007231101












Figure 2007231101
表1〜3の結果から、本発明の印刷機用洗浄剤組成物は、インキローラーのインキ除去性及び給水ローラーのインキ除去性にともに優れ、かつ作業効率よく給水ローラーのインキを除去することができ、また、印刷版の画像部に悪影響を与えることがないことが判る。

Claims (4)

  1. エステル類の少なくとも1種、炭素原子数が6〜10のアルカン類の少なくとも1種、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類の少なくとも1種を含むことを特徴とする印刷機用洗浄剤組成物。
  2. エステル類を0.5〜20質量%、炭素原子数が6〜10のアルカン類を50〜90質量%、及び炭素原子数が1〜6のアルコール類を3〜30質量%含む、請求項1記載の印刷機用洗浄剤組成物。
  3. 該エステル類が、下記一般式[1]または[2]で表される化合物からなる群から選ばれる、請求項1または2記載の印刷機用洗浄剤組成物。
    CH3−(CH2)n−COOR1 [1]
    CH3C−CH(OH)−COOR2 [2]
    (式中、R1およびR2は、それぞれ炭素原子数8〜18の脂肪族炭化水素基を表し、nは0又は1もしくは2の整数を示す。)
  4. 印刷機用洗浄剤組成物が給水ローラー用洗浄剤である、請求項1〜3のいずれか1項記載の印刷機用洗浄剤組成物。
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