JP2007230485A - ハイブリッド電気自動車の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の駆動輪16に駆動力を伝達可能なエンジン2と電動機6とを備え、電動機6の回転数が所定の回転領域にある場合に、エンジン2と電動機6との少なくとも一方が出力すべき要求トルクが、エンジン2の出力可能な最大トルクより小さく設定された制限トルク以下のときにはエンジン2のみで要求トルクを出力するよう制御する一方、要求トルクが制限トルクより大きいときにはエンジン2が制限トルクを出力するようにエンジン2を制御すると共に、要求トルクに対して制限トルクが不足する分を補うように電動機6を制御する。
【選択図】図2
Description
このようなパラレル型ハイブリッド電気自動車として、エンジンと自動変速機とを機械的に断接するクラッチを設け、このクラッチの出力軸と自動変速機の入力軸との間に電動機の回転軸を連結したハイブリッド電気自動車が、例えば特許文献1によって提案されている。
このようなハイブリッド電気自動車では、車両の運転状態に応じてクラッチを制御することにより駆動力の伝達状態を切り換えたり、エンジン及び電動機を制御して必要な駆動力に対するエンジンと電動機の駆動力の配分を調整したりすることが可能であり、特許文献1のハイブリッド電気自動車では、車両発進時にクラッチを切断状態とし、電動機のみで駆動を行うことにより車両の発進をスムーズに行えるようにしている。
一方、上記特許文献1乃至3のハイブリッド電気自動車のように、単に車両の運転状態に応じてエンジンと電動機との駆動力の配分を行った場合には、このような中回転領域などにおいてエンジンの出力トルクを高トルクとした運転状態となることがあり、このような運転状態が継続した場合にはエンジンからのNOx排出量が増大してしまうという問題がある。
また、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記電動機と上記駆動輪との機械的な接続を維持した状態で上記エンジンと上記駆動輪との機械的な接続を切断可能なクラッチを更に備え、上記統合制御手段は、上記回転数検出手段によって検出された回転数が上記所定の回転領域より低い低回転領域にある場合に、上記要求トルクが上記回転数検出手段によって検出された回転数において上記電動機から出力可能な上限トルク以下のときには上記クラッチを切断状態として上記電動機が上記要求トルクを出力するように上記電動機を制御する一方、上記要求トルクが上記上限トルクより大きいときには上記電動機の出力トルクと上記エンジンの出力トルクとの合計が上記要求トルクとなるように上記クラッチの接続状態と上記エンジン及び上記電動機の出力トルクとを制御することを特徴とする(請求項4)。
また、請求項2のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、エンジンの出力が制限トルクに制限されることによって要求トルクに対してエンジンの出力トルクが不足する分を電動機の出力トルクで補うようにしても要求トルクを得ることができない場合には、電動機の出力トルクを上限トルクとすると共に、エンジンの出力トルクと電動機の出力トルクとの合計が要求トルクとなるようにエンジンの出力トルクが制限トルクから増大されるようにした。これにより、要求トルクを確実に得ることができるようになり、車両の運転性能の低下を防止することが可能となる。また、電動機から最大限の出力トルクを得るようにしたので、エンジンの出力トルクが制限トルクを超える量を少なく抑えることが可能となり、NOx排出量の増大を最低限度に留めることができる。
また、請求項4のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、電動機の回転数が所定の回転領域より低い低回転領域にあって、電動機が要求トルクを出力可能なときにはクラッチを切断状態として電動機の出力トルクのみが駆動輪に伝達されるようにしたので、低回転領域では比較的運転効率の悪いエンジンを使用しないことにより、燃費が改善されると共に、車両発進時に電動機のトルクを使用することで車両をスムーズに発進させることができる。
図1は本発明の一実施形態であるハイブリッド電気自動車1の制御装置の要部構成図である。ディーゼルエンジン(以下エンジンという)2の出力軸にはクラッチ4の入力軸が連結されており、クラッチ4の出力軸は永久磁石式同期電動機(以下電動機という)6の回転軸を介して自動変速機(以下変速機という)8の入力軸が連結されている。従って、本実施形態においては電動機6の回転数と変速機8の入力軸の回転数とは一致している。また、変速機8の出力軸はプロペラシャフト10、差動装置12及び駆動軸14を介して左右の駆動輪16に接続されている。
電動機6は、バッテリ18に蓄えられた直流電力がインバータ20によって交流電力に変換されて供給されることによりモータとして作動し、その出力トルクが変速機8によって適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。また、車両減速時には電動機6が発電機として作動し、駆動輪16の回転による運動エネルギが変速機8を介し電動機6に伝達されて交流電力に変換されることにより回生制動力を発生する。そして、この交流電力はインバータ20によって直流電力に変換された後、バッテリ18に充電され、駆動輪16の回転による運動エネルギが電気エネルギとして回収される。
車両ECU22(統合制御手段)は、車両やエンジン2の運転状態、及びエンジンECU(エンジン制御手段)24、インバータECU26並びにバッテリECU28からの情報などに応じて、クラッチ4の接続・切断制御及び変速機8の変速段切換制御を行うと共に、これらの制御状態や車両の発進、加速、減速など様々な運転状態に合わせてエンジン2や電動機6を適切に運転するための統合制御を行う。
エンジンECU24は、エンジン2の始動・停止制御やアイドル制御、或いは排ガス浄化装置(図示せず)の再生制御など、エンジン2自体の運転に必要な各種制御を行うと共に、車両ECU22によって設定されたエンジン2に必要とされるトルクをエンジン2が発生するよう、エンジン2の燃料の噴射量や噴射時期などを制御する。
一方、インバータECU26は、車両ECU22によって設定された電動機6が発生すべきトルクに基づきインバータ20を制御することにより、電動機6をモータ作動または発電機作動させて運転制御する。
このように構成されたハイブリッド電気自動車1において、車両を走行させるために車両ECU22を中心として以下のような制御が行われる。
このようにしてエンジン2を始動した後、車両が停止状態にあるときには、クラッチ4が切断されており、エンジン2はアイドル運転状態にある。
図2において回転数N1及び回転数N2は、変速機8の入力回転数の中回転領域(所定の回転領域)を規定するものであり、例えば回転数N1が700rpm、回転数N2が2000rpmとなっている。
また、変速機8の入力回転数は前述したようにクラッチ4が接続された状態ではエンジン2の回転数でもあり、図2中の二点鎖線は、回転数N1より高速側のエンジン回転数の領域においてエンジン2が出力可能な最大トルクTeを示すものである。
このとき、要求トルクに対する上限トルクの不足分がわずかである場合には、エンジン2の出力トルクを同不足分に等しくすることが困難となることがあるが、このような場合にはクラッチ4を半クラッチ状態としてクラッチ4から変速機8に伝達されるトルクが上記不足分となるようにする。一方、エンジン2の出力トルクを上記不足分に等しくすることが可能である場合にはクラッチ4を完全に接続してエンジン2の出力トルクを変速機8に伝達するようにしている。
一般的なエンジンでは、中回転領域において出力トルクが高い領域ではトルクの増大と共にNOx排出量が急激に増大する傾向にあり、図3にはエンジン2の出力トルクとエンジン2の回転数とによりNOxの増大する領域を一点鎖線で示している。
領域M2は領域E2に電動機6の上限トルクTmを上乗せして得られる領域であって、要求トルクが領域M2内にある場合には、クラッチ4を接続してエンジン2から制限トルクの出力トルクを出力させると共に、要求トルクに対してエンジン2の出力トルクが不足する分を電動機6に出力させる。
まず、車両が停止した状態では変速機8の入力回転数は0rpmとなっているので、車両の発進時に適用される制御領域は回転数N1より低い低回転領域となる。そして、このような領域において、アクセルペダル30の踏込量に応じて設定した要求トルクと回転数センサ36によって検出された変速機8の入力回転数とによって定まる点が領域M1内にある場合には、クラッチ4を切断すると共に電動機6の出力トルクが要求トルクとなるように車両ECU22からインバータECU26に指示がなされる。
また、エンジンECU24は、車両ECU22から指示されたトルクをエンジン2が出力するようにエンジン2を制御し、エンジン2からの出力トルクと電動機6からの出力トルクとの合計が要求トルクとなって変速機8に伝達され、車両が発進する。
また、電動機6の出力トルクだけでは要求トルクを得ることができない場合には、エンジン2の出力トルクを併用して要求トルクを得るようにしたので、発進時にトルク不足となるようなことがなく、車両の良好な運転性能を確保することができる。
そして、変速機8の入力回転数が上昇して回転数N1から回転数N2までの中回転領域に入ると、車両ECU22は回転数センサ36によって検出された変速機8の入力回転数と要求トルクとで定まる点が図2の領域E2、M2及びE3のいずれにあるかによって制御を切り換える。
インバータECU26は、インバータ20を制御し、電動機6がモータ及び発電機のいずれでも作動しない状態として出力トルクを0N・mとし、エンジンECU24はエンジン2が要求トルクを出力するようにエンジン2を制御することにより、変速機8にはエンジン2が出力した要求トルクが伝達される。
ここで、エンジンECU24の制御によりEGR装置38が作動してエンジン2の排気の一部が吸気側に還流される領域は、中回転領域において領域E2にほぼ一致していることから、エンジン2が領域E2内で制御されることによりEGR装置もほぼ同時に作動する。そして、EGR装置38が作動してエンジン2の排気の一部が吸気側に還流されることにより、エンジン2からのNOx排出量が低減されるため、エンジン2の排ガス特性がより一層良好なものとなる。
また、前述したようにエンジン2が領域E2内で制御されることによりEGR装置もほぼ同時に作動し、エンジン2からのNOx排出量が低減されるため、エンジン2の排ガス特性がより一層良好なものとなる。
また、変速機8の入力回転数と要求トルクとによって定まる点が領域E3内にある場合には、車両ECU22はクラッチ4を接続状態とし、電動機6から上限トルクを出力するようインバータECU26に指示すると共に、エンジン2の出力トルクと電動機6の出力トルクとの合計が要求トルクとなるような出力トルクをエンジン2が出力するようエンジンECU24に指示する。従って、エンジンECU24に指示されるエンジン2の出力トルクは制限トルクよりも大きくなる。
また、高速走行などで変速機8の入力回転数が更に上昇し、回転数N2と回転数N3との間の回転領域に入った場合には、車両ECU22は領域E2の制御をそのまま適用してクラッチ4を接続すると共に電動機6の出力トルクを0N・mとするようインバータECU26に指示し、エンジン2から要求トルクを出力するようエンジンECU24に指示する。
回転数N2より高い高回転領域では、電動機6から出力可能なトルクが小さい上、エンジン2を高効率で運転可能であり、このようにして電動機6で電気エネルギを消費せずにエンジン2のみで要求トルクを得るようにすることにより、エネルギ効率を向上させながら車両の走行に必要な要求トルクを得ることができる。
更に、このときエンジン2の出力トルクが制限トルクに制限されることで要求トルクに対してエンジン2の出力トルクが不足する場合には、電動機6の出力トルクによって補うようにしたので、車両の走行に必要な要求トルクを確実に得ることができ、車両の良好な運転性能を確保することができる。
更に、低回転領域では電動機6を優先的に使用し、電動機6が上限トルクまで出力できるようにすることで、低回転領域では比較的運転効率の悪いエンジン2の使用割合を減らして燃費を改善すると共に、車両をスムーズに発進させることができる。
なお、変速機8にエンジン2や電動機6の出力トルクを伝達して車両を走行させる場合の制御は以上の通りであるが、アクセルペダル30の踏み込みが解除された場合には、エンジン2によるエンジンブレーキと電動機6の発電機作動による回生制動力とを用いて車両に適度の減速度を発生させ、車両を減速させる。このとき、電動機6の回生制動によって得られた交流電力をインバータ20で直流電力に変換することによりバッテリ18に充電して、駆動輪16の回転による運動エネルギを電気エネルギとして回収することによりエネルギ効率を高めている。
例えば、上記実施形態では、電動機6をクラッチ4と変速機8との間に配置するようにしたが、電動機6の配置はこれに限られるものではなく、例えばエンジン2とクラッチ4との間に電動機6を配置したハイブリッド電気自動車のように、エンジン2の駆動力と電動機6の駆動力とがそれぞれ駆動輪に伝達可能なハイブリッド電気自動車であれば、中回転領域において上記実施形態と同じ制御を行うことができる。
更に、上記実施形態では、低回転領域で要求トルクに対する電動機6の上限トルクの不足分がわずかである場合には、クラッチ4を半クラッチ制御すると共に要求トルクに対して上限トルクが不足する分がクラッチ4から変速機8に伝達されるようエンジン2を制御したが、クラッチ4を半クラッチとせずに完全に接続し、要求トルクからエンジン2の出力トルクを差し引いたトルクを電動機6が出力するように制御しても良い。
また、上記実施形態において、電動機6を永久磁石式同期電動機としたが電動機の形式もこれに限られるものではない。
更に、上記実施形態では変速機8を自動変速機としたが、変速機の形式はこれに限られるものではなく、無段変速機や手動式の変速機などであっても良い。
2 エンジン
4 クラッチ
6 電動機
8 変速機
16 駆動輪
22 車両ECU(統合制御手段)
24 エンジンECU(エンジン制御手段)
36 回転数センサ(回転数検出手段)
38 EGR装置
Claims (5)
- 車両の駆動輪に駆動力を伝達可能なエンジンと、上記駆動輪に駆動力を伝達可能な電動機とを備え、上記車両の運転状態に応じて上記エンジンと上記電動機との少なくとも一方が出力すべき駆動トルクとして求めた要求駆動トルクに基づき、上記エンジン及び上記電動機を制御するようにしたハイブリッド電気自動車の制御装置において、
上記電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、
上記回転数検出手段によって検出された回転数が、所定の回転領域にある場合に、上記要求トルクが上記回転数検出手段によって検出された回転数において上記エンジンから出力可能な最大トルクより小さく設定された制限トルク以下のときには上記エンジンのみで上記要求トルクを出力するよう上記エンジンを制御する一方、上記要求トルクが上記制限トルクより大きいときには上記エンジンが上記制限トルクを出力するように上記エンジンを制御すると共に上記要求トルクに対して上記制限トルクが不足する分を補うように上記電動機を制御する統合制御手段と
を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。 - 上記統合制御手段は、上記回転数検出手段によって検出された回転数が上記所定の回転領域にあって、上記回転数検出手段によって検出された回転数において上記電動機が出力可能な上限トルクと上記制限トルクとの合計が上記要求トルクに満たない場合には、上記電動機が上記上限トルクを出力するように上記電動機を制御すると共に、上記エンジンの出力トルクと上記電動機の出力トルクとの合計が上記要求トルクとなるように上記エンジンの出力トルクを上記制限トルクよりも増大させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
- 上記エンジンは、その排気の一部を吸気側に還流するEGR装置と、少なくとも上記所定の回転領域内で上記エンジンの出力トルクが所定トルク以下となる出力トルク領域において上記EGR装置を作動させるエンジン制御手段とを備え、
上記制限トルクは、上記所定トルク近傍に設定されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。 - 上記電動機と上記駆動輪との機械的な接続を維持した状態で上記エンジンと上記駆動輪との機械的な接続を切断可能なクラッチを更に備え、
上記統合制御手段は、上記回転数検出手段によって検出された回転数が上記所定の回転領域より低い低回転領域にある場合に、上記要求トルクが上記回転数検出手段によって検出された回転数において上記電動機から出力可能な上限トルク以下のときには上記クラッチを切断状態として上記電動機が上記要求トルクを出力するように上記電動機を制御する一方、上記要求トルクが上記上限トルクより大きいときには上記電動機の出力トルクと上記エンジンの出力トルクとの合計が上記要求トルクとなるように上記クラッチの接続状態と上記エンジン及び上記電動機の出力トルクとを制御することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。 - 上記エンジンはディーゼルエンジンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
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