JP2007229561A - モリブデン酸化物、触媒、その製造方法及び(メタ)アクリル酸等の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 モリブデンを含む固体触媒の製造に用いる、圧縮度が60以下であるモリブデン酸化物である。またモリブデン含有原料として前述のモリブデン酸化物を使用し、スラリーを乾燥後焼成する固体触媒とその製造方法である。さらにこの固体触媒の存在下で分子状酸素により気相接触酸化する(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸、並びに(メタ)アクリル酸の製造方法である。
【選択図】なし
Description
圧縮度Cp=(ρp−ρa)/ρp×100 ・・・・ (1)
但し、ρaは疎充填時のかさ密度、ρpは密充填時のかさ密度である。
MoaPbXcYdOe ・・・・・ (2)
(式中、Mo、P、およびOはそれぞれモリブデン、リン、および酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、バナジウム、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタン、およびセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。a、b、c、d、およびeは各元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜3、c=0.01〜3、d=0〜3であり、eは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
MofBigFehMiX1 jY1 kZlSimOn ・・・・・ (3)
(式中、Mo、Bi、Fe、Si、およびOはそれぞれモリブデン、ビスマス、鉄、ケイ素、および酸素を示し、Mはコバルトおよびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、X1はクロム、鉛、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ、タンタル、および亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Y1はリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、タングステン、アンチモン、およびチタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Zはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。f、g、h、i、j、k、l、m、およびnは各元素の原子比を表し、f=12のときg=0.01〜3、h=0.01〜5、i=1〜12、j=0〜8、k=0〜5、l=0.001〜2、m=0〜20であり、nは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
MopVqArX2 sY2 tOu ・・・・・ (4)
(式中、Mo、V、およびOはそれぞれモリブデン、バナジウム、および酸素を示し、Aは鉄、コバルト、クロム、アルミニウム、およびストロンチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、X2はゲルマニウム、ホウ素、ヒ素、セレン、銀、ケイ素、ナトリウム、テルル、リチウム、アンチモン、リン、カリウム、およびバリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Y2は、マグネシウム、チタン、マンガン、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、タンタル、カルシウム、スズ、およびビスマスからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。また、p、q、r、s、t、およびuは各元素の原子比を表し、p=12のときq=0.01〜6、r=0〜5、s=0〜10、t=0〜5であり、uは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
転化率(%)=(B/A)×100
選択率(%)=(C/B)×100
単流収率(%)=(C/A)×100
ここで、Aは供給した原料のモル数、Bは反応した原料のモル数、およびCは反応で生成した生成物のモル数である。
(モリブデン酸化物1〜5の製造)
モリブデン鉱石を焙焼して得られた粗三酸化モリブデン100部を純水400部の入ったガラス製容器中に分散させた。これを29質量%アンモニア水で溶解した後に不溶部を濾別・除去した。次いで、36質量%塩酸を加えてpHを1.0に調整した後、攪拌しながら30℃で3時間保持、得られた沈殿物を濾過、2質量%硝酸アンモニウム水溶液で分散・洗浄した後に濾過してモリブデン酸化物前駆体沈殿物を得た。これを500℃で3時間焼成し、分級して分級条件の異なるモリブデン酸化物1〜5を得た。モリブデン酸化物1〜5の平均粒子径、粒径分布の標準偏差、および圧縮度を表1に示す。
純水400部に上記「モリブデン酸化物1」100部に対して、85質量%リン酸7.3部、五酸化バナジウム4.7部、酸化銅0.9部及び酸化鉄0.2部を加え、還流下で5時間攪拌した。得られた混合液を50℃まで冷却した後、29質量%アンモニア水37.4部を滴下し、15分間攪拌した。次いで、硝酸セシウム9.0部を純水30部に溶解した溶液を滴下し、15分間攪拌した後に加熱攪拌しながら蒸発乾固し、固形物を得た。得られた固形物を130℃で16時間乾燥したものを加圧成型し、さらに破砕後、篩を用いて0.85〜1.70mmのものを分取し、空気流通下に380℃で5時間熱処理して触媒1(酸素原子を除く組成:Mo12P1.1Fe0.05Cu0.2V0.9Cs0.8)を得た。また、「モリブデン酸化物1」をモリブデン酸化物2〜5にそれぞれ変更した以外は触媒1と同様にして同様の組成の触媒2〜5を製造した。
この触媒1〜5を反応管に充填し、メタクロレイン5容量%、酸素10容量%、水蒸気30容量%及び窒素55容量%の混合ガスを反応温度290℃、接触時間3.6秒で通じて反応を行い、ガスクロマトグラフにより反応物を分析した。結果を表1に示す。
実施例4で得られた「モリブデン酸化物4」100部に対して、85質量%リン酸6.7部、五酸化バナジウム2.6部を純水800部に加え、還流下で3時間加熱攪拌した。これに酸化銅1.4部を加え、さらに還流下で2時間加熱攪拌した。還流後の混合液を50℃に冷却し、硝酸カリウム7.1部を純水40部に溶解した溶液を加え、さらに硝酸アンモニウム9.8部を純水40部に溶解した溶液を加え、加熱攪拌しながら蒸発乾固した。このようにして得られた固形物を実施例1の触媒1の製造と同様に乾燥、成形、粉砕、篩分級及び焼成を実施して触媒6(酸素原子を除く組成:Mo12P1Cu0.3V0.5K1.2)を得た。
比較例1で得られたモリブデン酸化物5を使用した以外は実施例5と同様にして触媒7(酸素原子を除く組成:Mo12P1Cu0.3V0.5K1.2)を得、反応を行った。結果を表1に示す。
(モリブデン酸化物6〜7の製造)
メタクリル酸の製造に使用された使用済み触媒100部(モリブデン55.8部、リン1.5部、バナジウム1.2部、銅0.6部、鉄0.1部、ヒ素0.7部及びセシウム7.7部を含む)を純水400部に分散させた。これに45質量%水酸化ナトリウム水溶液130部を加え、60℃で3時間攪拌後に残渣をろ別した。この溶液を36質量%塩酸で中和した後に、塩化マグネシウム6水和物20.5部を純水50部に溶解させた溶液と29質量%アンモニア水4.5部を加え、さらに29質量%アンモニア水を加えてpHを9に調整した後、攪拌しながら30℃で3時間保持し、生成した沈殿物と溶液をろ別した。このようにして得られた溶液に36質量%塩酸を加えてpHを1.0に調整した後、攪拌しながら30℃で3時間保持した。このようにして得られた沈殿を実施例1と同様の手順で乾燥、焼成、分級し、分級条件の異なるモリブデン酸化物6および7を得た。なお、モリブデン酸化物6にはモリブデン54.3部、バナジウム1.0部及びセシウム2.9部が含まれていた。
上記のモリブデン酸化物6あるいは7の全量(モリブデンとして54.3部)、五酸化バナジウム0.4部、85質量%リン酸5.4部、60質量%ヒ酸2.2部を純水160部に加え、還流下で5時間加熱攪拌した。これを50℃まで冷却した後、硝酸セシウム6.7部を純水15部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら混合液の温度を70℃に昇温した。次いで、29質量%アンモニア水27.4部を加え、得られた混合液を70℃にて90分間攪拌した後、硝酸銅2.3部を純水8部に溶解した溶液、硝酸鉄1.0部を純水8部に溶解した溶液を加えた。更にこの混合液を加熱攪拌しながら蒸発乾固した。このようにして得られた固形物を実施例1の触媒1の製造と同様に乾燥、成形、粉砕、篩分級および焼成を実施して触媒8および9(酸素原子を除く組成:Mo12P1As0.2Fe0.05Cu0.2V0.5Cs1.2)を得た。
Claims (8)
- モリブデンを含む固体触媒の製造に用いられる下記式(1)で示される圧縮度が60以下であるモリブデン酸化物。
圧縮度Cp=(ρp−ρa)/ρp×100 ・・・・ (1)
但し、ρaは疎充填時のかさ密度、ρpは密充填時のかさ密度である。 - モリブデンを含む下記式(2)で表される固体触媒の製造方法であって、モリブデン含有原料として請求項1に記載のモリブデン酸化物を使用し、モリブデン、リン、およびX元素を含むスラリーを乾燥後焼成する触媒の製造方法。
MoaPbXcYdOe ・・・・・ (2)
(式中、Mo、P、およびOはそれぞれモリブデン、リン、および酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、バナジウム、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタン、およびセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。a、b、c、d、およびeは各元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜3、c=0.01〜3、d=0〜3であり、eは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。) - モリブデンを含む下記式(3)で表される固体触媒の製造方法であって、モリブデン含有原料として請求項1に記載のモリブデン酸化物を使用し、モリブデン、ビスマス、および鉄元素を含むスラリーを乾燥後焼成する触媒の製造方法。
MofBigFehMiX1 jY1 kZlSimOn ・・・・・ (3)
(式中、Mo、Bi、Fe、SiおよびOはそれぞれモリブデン、ビスマス、鉄、ケイ素、および酸素を示し、Mはコバルト、およびニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、X1はクロム、鉛、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ニオブ、銀、バリウム、スズ、タンタル、および亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Y1はリン、ホウ素、硫黄、セレン、テルル、セリウム、タングステン、アンチモン、およびチタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Zはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。f、g、h、i、j、k、l、m、およびnは各元素の原子比を表し、f=12のときg=0.01〜3、h=0.01〜5、i=1〜12、j=0〜8、k=0〜5、l=0.001〜2、m=0〜20であり、nは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。) - モリブデンを含む下記式(4)で表される固体触媒の製造方法であって、モリブデン含有原料として請求項1に記載のモリブデン酸化物を使用し、モリブデンおよびバナジウム元素を含むスラリーを乾燥後焼成する触媒の製造方法。
MopVqArX2 sY2 tOu ・・・・・ (4)
(式中、Mo、V、およびOはそれぞれモリブデン、バナジウム、および酸素を示し、Aは鉄、コバルト、クロム、アルミニウム、およびストロンチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、X2はゲルマニウム、ホウ素、ヒ素、セレン、銀、ケイ素、ナトリウム、テルル、リチウム、アンチモン、リン、カリウム、及びバリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Y2は、マグネシウム、チタン、マンガン、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、タンタル、カルシウム、スズ、およびビスマスからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を示す。また、p、q、r、s、t、およびuは各元素の原子比を表し、p=12のときq=0.01〜6、r=0〜5、s=0〜10、t=0〜5であり、uは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。) - 請求項2〜4のいずれかに記載の方法により製造されたモリブデンを含む固体触媒。
- 式(2)で表される組成を有する請求項5に記載の固体触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。
- 式(3)で表される組成を有する請求項5に記載の固体触媒の存在下で、プロピレン、イソブチレン、またはtert−ブチルアルコールを分子状酸素により気相接触酸化する(メタ)アクロレイン及び(メタ)アクリル酸の製造方法。
- 式(4)で表される組成を有する請求項5に記載の固体触媒の存在下で、アクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
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