JP2007228851A - 豆乳の新規な製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、生大豆粉を使用して豆乳を製造する新規な方法を開発することを課題とする。より具体的には、本発明は、生大豆粉を使用して豆乳を製造するに際して、大豆由来の青臭さがない豆乳を製造する新規な方法を開発することを課題とする。
【解決手段】本発明は、生大豆粉を二段階に分けて加熱することにより、大豆由来の青臭さがない豆乳を効率的に製造することができることを見いだした。具体的には、本発明は、生大豆粉を熱水で分散・溶解後(第一次加熱)、さらに高温で加熱する(第二次加熱)ことを特徴とする、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、生大豆粉を二段階に分けて加熱することにより、大豆由来の青臭さがない豆乳を効率的に製造することができることを見いだした。具体的には、本発明は、生大豆粉を熱水で分散・溶解後(第一次加熱)、さらに高温で加熱する(第二次加熱)ことを特徴とする、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、豆乳の新規な製造方法に関する。より具体的には、本発明は、生大豆粉からの豆乳の新規な製造方法に関する。
尚、本発明でいう豆乳とは、繊維質等(いわゆる「オカラ」)を含むものと繊維質等を除去した両方を含むことをいう。
尚、本発明でいう豆乳とは、繊維質等(いわゆる「オカラ」)を含むものと繊維質等を除去した両方を含むことをいう。
生の大豆には、酵素リポキシナーゼが含まれており、大豆組織を破壊すると、大豆子実に含まれているリポキシゲナーゼはリノール酸などの不飽和脂肪酸に働き中間物質である過酸化脂質を生成する。これに更に他の酵素が働くと青臭みの主成分であるn-ヘキサナールが発生し豆乳は青臭くなる。そのため、この酵素を失活させたり、または作用させないように大豆を磨砕すると、青臭さのない豆乳が出来る。現在市販されている豆乳は、この方法によって造られているものがほとんどである。
最近では、微粉砕した大豆粉を原料として、おからも入った大豆を丸ごと使った豆乳が造られている。微粉砕した大豆粉を使った大豆飲料の場合、原料となる大豆粉は大豆を加熱して酵素を失活させた脱臭大豆粉を使用している。
脱臭大豆粉を原料とした豆乳は、既に青臭さの発生原因である酵素リポキシナーゼが失活しているため、豆乳の製造に際しては脱臭のための設備が不要であり、殺菌、充填設備のある飲料、牛乳メーカーなどでも、簡単に青臭さのない豆乳が造られる利点を持っている。しかし脱臭大豆粉は、いったん加熱しているため大豆中のタンパク質の溶解度が低くなっており、液状のなめらかさや安定性に欠ける欠点があった。
一方、生大豆粉を使用して豆乳を製造する方法も知られているが(特許文献1)、生大豆粉を使用して豆乳を製造する場合、豆乳中へのタンパク質の溶解性は高いが、原料中でリポキシナーゼが失活していないために青臭さが出るので、無臭の豆乳の製造には不向きとされていた。
特開2002-345425
本発明は、生大豆粉を使用して豆乳を製造する新規な方法を開発することを課題とする。より具体的には、本発明は、生大豆粉を使用して豆乳を製造するに際して、大豆由来の青臭さがない豆乳を製造する新規な方法を開発することを課題とする。
本発明は、生大豆粉を二段階に分けて加熱することにより、大豆由来の青臭さがない豆乳を効率的に製造することができることを見いだした。具体的には、本発明は、生大豆粉を熱水で加熱溶解し(第一次加熱)、さらに高温で加熱する(第二次加熱)ことを特徴とする、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造方法を提供する。
本発明の方法により豆乳を製造することにより、豆乳中への大豆由来タンパク質の溶解性が高く、液状のなめらかさや安定性に優れた豆乳を得ることができる。また、大豆由来の青臭さがない豆乳を簡便・効率的に製造することができる。本発明はさらに、第一次加熱の工程を導入することにより、生大豆粉の溶解性が高まり、豆乳製品の品質の安定性および歩留まりを向上させることができる。また、このようにして製造した豆乳を他の成分と混合することにより、青臭さがない大豆飲料を製造することもできる。
本発明は、上述したように、生大豆粉を熱水で加熱溶解し(第一次加熱)、その直後さらに高温で加熱する(第二次加熱)ことを特徴とする、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造方法を提供することを特徴とする。
より具体的には、本発明の豆乳の製造方法は、生大豆粉を熱水で加熱溶解し(第一次加熱)、その直後さらに高温で加熱し(第二次加熱)、その後冷却することにより行う。このようにして製造された豆乳中には、大豆中の成分がそのまま混在しており、この豆乳を飲用することにより、繊維質、タンパク質などを効率的に摂取することができる。また、大豆繊維質等を低減し、水溶性大豆タンパク質を主とした豆乳を製造することが所望される場合には、第二次加熱後に、液体を濾過するか、もしくは遠心分離処理することにより、溶解液中に含まれる繊維質等を除去する工程を挿入することにより目的を達成することができる。
ここで、第一次加熱は、大豆粉に熱水を加え80℃〜90℃で溶解を継続する工程をいう。この工程の主目的は、大豆由来の青臭の発生を抑えつつ、生大豆粉を迅速に均一分散して、生大豆粉の溶解を効率的に行い、豆乳中への大豆由来タンパク質の溶解を促進し、液状のなめらかさや安定性を得ることである。
本発明の製造方法において、単に生大豆粉の分散・溶解を効率的に行い、豆乳中への大豆由来タンパク質の溶解を促進し、液状のなめらかさや安定性を得ることだけを目的とする場合には、80℃以下の温度であってもその目的を達成することができる。しかしながら、本発明の製造方法は、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造を目的としているため、豆乳製造時に大豆由来の青臭さの発生を抑制する温度を第一次加熱の温度として採用する必要がある。本発明では、原料が粉体であり、しかも微粒子であることから迅速に均一分散・溶解し、かつ問題となる酵素の活性を抑える必要がある。上記の観点から、本発明において検討した結果、70℃以下の温度で第一次加熱を行った場合には、豆乳中に酵素由来の青臭さが出てしまうことから、本発明における第一次加熱は、80℃以上であることが必要である。
一方、一回で高温で加熱を行うと、熱水と大豆粉との混合により温度低下があることから加熱溶解装置の複雑化、初期の加熱温度及び分散溶解状態の安定化が図れないという問題がある。更に最初から高温にすると生大豆粉からタンパク質が液体中に溶解する前にタンパク質の変性が生じ、豆乳中への大豆由来タンパク質の溶解が十分に得られないため、液状のなめらかさや安定性が低下するという問題点があった。そのため、本発明における第一次加熱は、粉体の分散・溶解及び酵素の活性の阻止の観点から90℃以下の温度であることが好ましい。
第一次加熱を行う時間は、通常は連続で行われるための数秒間であるが、分散・溶解状態の観点から適宜時間の長さを変更することができる。
本発明における第二次加熱は、95℃〜140℃で加熱する工程をいう。この工程の主目的は、リポキシナーゼの完全失活、トリプシンインヒビターの完全失活を行うと共に、原料大豆粉に由来する土壌菌等の殺菌が行われるという効果がある。
本発明における第二次加熱は、95℃〜140℃で加熱する工程をいう。この工程の主目的は、リポキシナーゼの完全失活、トリプシンインヒビターの完全失活を行うと共に、原料大豆粉に由来する土壌菌等の殺菌が行われるという効果がある。
本発明の製造方法は、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造を目的としている。この大豆由来の青臭さを低減するためには、生大豆粉中に含まれるリポキシゲナーゼを作用させないことが必要である。したがって、第二次加熱の温度をリポキシナーゼの失活という観点から検討すると、この酵素が働かない温度は80℃以上であるが完全失活させるためには十分とは言えない。従って、より完全にリポキシゲナーゼを失活するにはより高温、すなわち95℃以上に加熱して保持することが好ましい。また、同じく生大豆粉中に含まれるトリプシンインヒビターの活性は、95℃でも数分間にわたり維持されたことから、本発明の方法においては、リポキシナーゼの失活やトリプシンインヒビターの失活をより確実に行うため、更に加熱して100℃以上にして保持することが好ましい。
更に、第二次加熱は、殺菌処理の観点からも有効で、リポキシゲナーゼ、トリプシンインヒビターの失活に必要な温度と時間を考慮して、温度と時間の関係を決定しなければならないが、上記酵素の失活に必要な条件は、同時に殺菌の効果も十分に満たしていた。この失活・殺菌の観点を加味して考慮すると、第二次加熱は、95℃、300秒〜140℃、30秒までの範囲で設定することが好ましい。本発明において好ましくは、95℃、300秒〜140℃、30秒、さらに好ましくは100℃、240秒〜135℃、30秒、の設定で第二次加熱を行う。
このようにして製造された豆乳は、そのまま飲用に供してもよく、また他の成分と混合してから飲用に供してもよい。他の成分と混合する場合、青臭さがない大豆飲料を提供することができる。
実施例1:生大豆粉の溶解性と温度の関係
本実施例においては、生大豆粉を溶解・分散する際に、溶解水の水温が生大豆粉の溶解・分散に対してどのような作用を有するかを示すことを目的として行った。
本実施例においては、生大豆粉を溶解・分散する際に、溶解水の水温が生大豆粉の溶解・分散に対してどのような作用を有するかを示すことを目的として行った。
生大豆粉500gに対して、熱水3 Lを加えてミキサーで攪拌し、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、95℃の温度に懸濁液を調整した。懸濁することにより、生大豆粉中のタンパク質の溶解度を測定した。溶解度は、懸濁液を1分間所定温度で保持した後、遠心分離して上層のタンパク質をケルダール法で測定して指標として調べた(表1)。
この結果、分散液の温度が高いとダマになり易いが、攪拌操作で容易に分散状態にすることが可能であった。懸濁温度が高いほうが、生大豆粉のタンパク質の溶解性が高いことがわかった。このことから、本発明の方法においては、生大豆粉を60℃以上の熱水を使用して溶解・分散することにより、製品の品質および歩留まりを上昇させることができることがわかった。
実施例2:生大豆粉を溶解する際の温度と大豆由来の青臭さの関係
本実施例は、生大豆粉を溶解する際の温度と、大豆由来の青臭さとの関係を調べることを目的として行った。
本実施例は、生大豆粉を溶解する際の温度と、大豆由来の青臭さとの関係を調べることを目的として行った。
本実施例においては、生大豆粉(500 g)に対して、以下の温度帯となるのに適した熱水(3 L)を加えて混合、分散し、混合液の温度を60℃、70℃、80℃、85℃、90℃または95℃の温度に調整し、その試験温度に2分間保持した後急冷して青臭さを官能試験により調べた。官能試験は、8人の被験者に上述の種々の温度にて調製した生大豆粉液を30℃に冷却した後、試飲してもらい、青臭さを+、±、−の三段階で評価してもらった。この結果を、表2に示す。
この官能試験の評価結果から、混合液を80℃の温度で保持した場合にわずかに青臭さが残る程度で、85℃以上の場合には、青臭さの発生はほとんど発生しなかった。この結果から、生大豆粉を原料として大豆由来の青臭さを低減した豆乳を製造する場合には、生大豆粉を80℃以上、好ましくは85℃以上の温度で分散・溶解することが好ましいことが明らかになった。
実施例3:第二次加熱と酵素失活の関係
本実施例においては、第二次加熱と酵素失活との関係を調べることを目的として、トリプシンインヒビターの活性を調べた。
本実施例においては、第二次加熱と酵素失活との関係を調べることを目的として、トリプシンインヒビターの活性を調べた。
本実施例では、まず生大豆粉(500 g)に熱水(3 L)を加えて攪拌・分散し、85℃の混合液を得た。その後、蒸気を吹きこんで液温を95℃、100℃、110℃、120℃、130℃、135℃、140℃に保持して、30秒〜300秒の時間経過によるトリプシンインヒビターの活性を調べた。トリプシンインヒビターの活性は、リポキシゲナーゼより失活しにくく、トリプシンインヒビターの測定がリポキシゲナーゼ活性の目安となることから、これを測定した。その結果を表3に示す。
この結果から、95℃にて第二次加熱を行った場合においては300秒以上加熱を行うことにより、100℃では、240秒以上、110℃では120秒以上、120℃では60秒以上、130℃以上では30秒以上加熱を行うことにより、それぞれトリプシンインヒビターが問題にならない程度にまで十分に失活することがわかった。
本発明の方法により生大豆粉を原料として豆乳を製造することにより、豆乳中への大豆由来タンパク質の溶解性が高く、液状のなめらかさや安定性に優れた豆乳を得ることができる。また、大豆由来の青臭さがない豆乳を効率的に製造することができる。本発明はさらに、第一次加熱の工程を導入することにより、生大豆粉のタンパク質の溶解性が高まり、豆乳製品の品質の安定性および歩留まりを向上させることができる。また、このようにして製造した豆乳を他の成分と混合することにより、青臭さがない大豆飲料を製造することもできる。
Claims (3)
- 生大豆粉を熱水で80℃〜90℃の温度に分散・溶解後(第一次加熱)、さらに95℃〜140℃で加熱する(第二次加熱)ことを特徴とする、大豆由来の青臭さを低減した豆乳の製造方法。
- 第一次加熱を、85℃〜90℃の温度にて行う、請求項1に記載の方法。
- 第二次加熱を、95℃〜140℃で、300秒〜30秒間行う、請求項1及び2のいずれか1項に記載の方法。
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