JP2007227621A - 絶縁ゲート構造体を有する半導体装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 絶縁ゲート構造体10は、マグネシウムが不純物として導入されている窒化ガリウムの半導体領域12を備えている。絶縁ゲート構造体10は、半導体領域12に接しており、不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの第1絶縁膜14を備えている。絶縁ゲート構造体10は、その第1絶縁膜14によって半導体領域12から隔てられている酸化シリコンの第2絶縁膜16を備えている。絶縁ゲート構造体10はさらに、第1絶縁膜14を介して半導体領域12に対向しているゲート電極18を備えている。半導体領域12には、一般式がAlx Gay In1-x-yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦1-x-y≦1)で表される窒化物半導体が用いられている。
【選択図】 図1
Description
絶縁ゲート構造体は、チャネルが形成される半導体領域と、その半導体領域に接しているゲート絶縁膜(絶縁体領域の一例)と、そのゲート絶縁膜を介して前記半導体領域に対向しているゲート電極(導電体領域の一例)を備えている。この種の半導体装置では、窒化物半導体のうち、窒化ガリウムを用いることが多い。この場合、半導体領域には、p型の不純物としてマグネシウムを利用することが多い。半導体領域に導入されたマグネシウムは、極めて大きい拡散速度を有していることが知られている(非特許文献1参照)。
本発明は、窒化物半導体が用いられている半導体装置において、閾値電圧の変動が小さい絶縁ゲート構造体を提供することを目的としている。本発明はさらに、そのような絶縁ゲート構造体を有する半導体装置の製造方法を提供することも目的としている。
ここで、本明細書で用いられる用語に関して説明する。本明細書において、「不純物が導入されている窒化物半導体の半導体領域」とは、不純物濃度が1×1015cm−3以上の窒化物半導体の半導体領域をいう。不純物は、意図して積極的に導入される場合の他に、結果として上記範囲の濃度が導入されている場合も含む。また、「不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの第1絶縁体領域」という用語も用いられる。この場合、不純物は、意図して積極的に導入されていない。したがって、この第1絶縁体領域には、不純物の濃度が1×1015cm−3未満の窒化アルミニウムが用いられている。
この形態の絶縁ゲート構造体は、絶縁体領域に、不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの第1絶縁体領域と、酸化シリコンの第2絶縁体領域の組合せを備えている。不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの第1絶縁体領域では、アルカリ土類金属は、極めて小さい拡散速度を有している。その第1絶縁体領域は、半導体領域側に設けられている。このため、半導体領域からのアルカリ土類金属の拡散は、第1絶縁体領域が抑制する。これにより、半導体領域に含まれるアルカリ土類金属は、第2絶縁体領域内に侵入することも抑制される。したがって、本発明の絶縁ゲート構造体は、拡散してくる可動イオン量が少なく、閾値電圧の変動が少ない。さらに、第2絶縁体領域の酸化シリコンは、広いバンドギャップを有している。このため、第2絶縁体領域は、広いバンドギャップによって、リーク電流を抑制する。窒化アルミニウムの第1絶縁体領域と酸化シリコンの第2絶縁体領域の組合せは、絶縁ゲート構造体の絶縁体領域として極めて有用である。
アルミニウムの含有量が少ない窒化物半導体では、アルカリ土類金属は、大きな拡散速度を有している。このような窒化物半導体を利用する絶縁ゲート構造体では、アルカリ土類金属の拡散に対策を講じることが極めて重要である。窒化物半導体が窒化ガリウムの場合、アルカリ土類金属の拡散速度は極めて大きくなる。窒化ガリウムを利用する絶縁ゲート構造体では、アルカリ土類金属の拡散に対策を講じることが極めて重要であり、本発明はこのような場合に有用な効果を発揮することができる。
窒化物半導体領域内のマグネシウムは、極めて大きな拡散速度を有することが知られている。本発明は、マグネシウムを半導体領域に導入している場合に、極めて有用な効果を発揮することができる。
半導体領域には窒化物半導体が用いられているので、窒化アルミニウムの第1絶縁体領域は、半導体領域の表面からエピタキシャル成長することができる。エピタキシャル成長を利用すると、半導体領域と第1絶縁体領域の界面の結晶の連続性が極めて良質になる。これにより、第1絶縁体領域は、半導体領域からのアルカリ土類金属の拡散を抑制する効果を向上させることができる。
第1絶縁体領域の厚みが10nm以上に調整されていると、半導体領域からのアルカリ土類金属の拡散を顕著に抑制することができる。しかしながら、第1絶縁体領域の厚みが大きすぎると、良質な結晶の第1絶縁体領域を得ることができず、半導体領域からのアルカリ土類金属の拡散を抑制する効果が低減してしまう。第1絶縁体領域の厚みが20nm以下に調整されていると、良質な結晶の第1絶縁体領域を得ることができ、半導体領域からのアルカリ土類金属の拡散を顕著に抑制し得ることが確認されている。
上記の製造方法を利用すると、半導体領域と第1絶縁体領域の界面の結晶の連続性を極めて良質にすることができる。
さらに、窒化アルミニウムの第1絶縁膜14は、酸化シリコンの第2絶縁膜16に比して、高い比誘電率を備えている。このため、ゲート絶縁膜15に第1絶縁膜14が設けられていると、ゲート絶縁膜15の相互インダクタンスの低下も抑えることができる。
図2〜図4を参照して、絶縁ゲート構造体10の製造方法を説明する。
まず、図2に示すように、マグネシウムが不純物として導入されている窒化ガリウムの半導体領域12を準備する。半導体領域12は、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を利用して、図示しない基板の表面から窒化ガリウムをエピタキシャル成長することによって得ることができる。基板には、サファイア基板、炭化ケイ素基板、シリコン基板等が用いられる。このとき、ガリウム原料としてトリメチルガリウム(TMGa)、窒素原料としてアンモニアガス(NH3)、ドーパント材料としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)を好適に利用することができる。
また、第1絶縁膜14の厚み14aは、10〜20nmに調整されている。第1絶縁膜14の厚みが10〜20nmに調整されていると、半導体領域12からのマグネシウムの拡散を実効的に抑制することができる。なお、この数値範囲による効果に関する詳細は、後の実施例で説明する。
次に、スパッタ法を利用して、第2絶縁膜16上にアルミニウムのゲート電極18を形成する。これらの工程を経て、図1に示す絶縁ゲート構造体10を形成することができる。
図5に、検討した構造体20の断面図を模式的に示す。構造体20は、サファイア基板22と、マグネシウムが不純物として導入されている窒化ガリウムの下側半導体層24と、不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの絶縁膜26と、不純物が導入されていない窒化ガリウムの上側半導体層28で構成されている。構造体20は、絶縁膜26の厚み26aが10、15、20、30nmのものを準備した。下側半導体層24と絶縁膜26と上側半導体層28は、MOCVD法を利用して、サファイア基板22の表面からエピタキシャル成長して形成されている。下側半導体層24と絶縁膜26と上側半導体層28は、MOCVD法を実施するときに供給する原料の一部を切替えることによって形成されている。なお、MOCVD法を実施するときに供給する原料は、図1の絶縁ゲート構造体10を製造する際に利用したものと同一である。
図6に示すように、絶縁膜26の厚み26aが10〜20nmの範囲では、上側半導体層28のマグネシウムの濃度が低く抑えられている。即ち、絶縁膜26は、下側半導体層24に導入されているマグネシウムが絶縁膜26を通過して上側半導体層28に侵入することを抑制している。しかしながら、絶縁膜26の厚み26aが30nmの場合、上側半導体層28のマグネシウムの濃度が、他の例に比して大きくなっている。この現象は、絶縁膜26の厚み26aが厚くなりすぎると、エピタキシャル成長しているときに、絶縁膜26内に粒界が形成されてしまうためであると推測される。このため、下側半導体層24に導入されているマグネシウムは、その粒界を介して絶縁膜24を通過し、上側半導体層28に侵入してしまう。本実施例によって、絶縁膜26の厚み26aが、10〜20nmに調整されていると、絶縁膜26はマグネシウムの拡散を顕著に抑制することが確認された。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12:半導体領域
14:第1絶縁膜
15:ゲート絶縁膜
16:第2絶縁膜
18:ゲート電極
19:ゲート制御回路
Claims (8)
- 絶縁ゲート構造体を有する半導体装置であり、
絶縁ゲート構造体は、
アルカリ土類金属が不純物として導入されている窒化物半導体の半導体領域と、
その半導体領域に接しており、不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの第1絶縁体領域と、
その第1絶縁体領域によって前記半導体領域から隔てられている酸化シリコンの第2絶縁体領域と、
第1絶縁体領域及び第2絶縁体領域を介して前記半導体領域に対向している導電体領域と、を備えており、
前記半導体領域には、一般式がAlx Gay In1−x−yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦1−x−y≦1)で表される窒化物半導体が用いられていることを特徴とする半導体装置。 - 前記半導体領域には、窒化ガリウムが用いられていることを特徴とする請求項1の半導体装置。
- 前記半導体領域に導入されているアルカリ土類金属は、マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2の半導体装置。
- 第1絶縁体領域は、前記半導体領域の表面からエピタキシャル成長して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの半導体装置。
- 第1絶縁体領域の厚みは、10〜20nmであることを特徴とする請求項4の半導体装置。
- 絶縁ゲート構造体を有する半導体装置を製造する方法であり、
基板の表面からエピタキシャル成長させ、アルカリ土類金属が不純物として導入されている窒化物半導体の半導体領域を形成する第1工程と、
その半導体領域の表面からエピタキシャル成長させ、不純物が実質的に導入されていない窒化アルミニウムの第1絶縁体領域を形成する第2工程と、
その第1絶縁体領域の表面に、酸化シリコンの第2絶縁体領域を形成する第3工程と、を備えており、
前記半導体領域には、一般式がAlx Gay In1−x−yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦1−x−y≦1)で表される窒化物半導体が用いられている製造方法。 - 前記半導体領域には、窒化ガリウムが用いられていることを特徴とする請求項6の製造方法。
- 前記絶縁体領域の厚みを、10〜20nmの範囲内に調整することを特徴とする請求項6又は7の製造方法。
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