JP2007227295A - 光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発光管内に0.15mg/mm以上もの水銀が封入された超高圧水銀ランプの点灯電力を低下させることにより、プロジェクタ装置を小型かつ安価にすることを可能にさせ得るとともに、周辺部材の劣化等の他の問題を生じることのない光源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、発光部とその両端に連続する封止部とを有する発光管の内部に、一対の電極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm以上の水銀を封入した超高圧水銀ランプと、この超高圧水銀ランプを取り囲み、当該放電ランプからの放射光を所定の方向に反射する金属製の凹面反射鏡と、この凹面反射鏡の開口面に配置される光透過性材料からなる前面ガラスとを備えた光源装置において、
前面ガラスの表面には、赤外光および紫外光を反射する反射膜が設けられ、超高圧水銀ランプから放射された赤外光または紫外光が、前面ガラスで反射されて超高圧水銀ランプの電極の一部または電極間に戻ることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光源装置に関する。特に、液晶、DMDデバイスを用いたプロジェクタ装置の光学システムに使用される光学装置に関する。
近年、投射型プロジェクタ装置は、会議、教育などの様々な場面で使用され、個人が家庭用に購入して使用する、所謂ホームシアターとしての用途も拡大されつつある。
特に、会議の形態が多様化したことにより、多数の人間に対してのみならず、数人程度で開催されるミーティングにおいてもプロジェクタ装置を使用することも一般的になってきている。
このような事情から、プロジェクタ装置を会議室や教室に設置することよりも、手軽に持ち運びできる方が便利であるため、プロジェクタ装置の小型化が求められている。また、個人が安易に購入できるようにするために安価にすることも要求されている。
プロジェクタ装置を小型化するとともに安価にするには、プロジェクタ装置内に搭載された光源装置用の点灯バラストを小型化することが好ましい。点灯バラストは、プロジェクタ装置の重量およびコストに占める割合が大きいからである。点灯バラストを小型化するには、光源装置を構成する超高圧水銀ランプの点灯時の電流値を下げることで部品の発熱を抑えることが重要であり、ランプ点灯時の電流値を下げる為にはより低い電力で点灯させる必要がある。
然るに、点灯電力を単純に下げるのみだと、点灯時に電極先端部の温度を所定の高温状態とすることができなくなるため、電極先端部からの熱電子放出が不十分となって、超高圧水銀ランプからの光放射が瞬間的に不安定となってプロジェクタ装置で投影された像がちらつく、という所謂フリッカー現象が生じることになる。また、超高圧水銀ランプから放射される光の出力が低下し、プロジェクタ装置に要求される所定の光出力を確保することができない。このような事情から、単純に超高圧水銀ランプの点灯電力を下げる手法は採用することはできなかった。
図5は、従来の光源装置を光軸を含む面で切断して得た側断面図である。図5において、「UV」は紫外光を意味し、「VIS」は可視光を意味し、「IR」は赤外光を意味する。
図5に示すように、光源装置は、反射面12´にVISを反射する誘電体多層膜からなる反射膜14´が設けられたガラス製の凹面反射鏡1´と、凹面反射鏡1´の開口端部11´に嵌め込まれた前面ガラス2´と、超高圧水銀ランプ3´とを組合せて使用することが一般的である。そして、このガラス製の凹面反射鏡1´は、超高圧水銀ランプ3´の電極34´と電極35´の間に形成された放電アークP´から放射されたUV、VIS、IRのうち、UVおよびIRを凹面反射鏡1´の背後に透過させ、VISのみを光出射方向へ反射させている。そのため、光源装置を包み込むように配置されている、例えば合成樹脂製の光源ハウス等の周辺部材(図示は省略している)、或いは、反射鏡に固定した給電線4´の絶縁被膜(シリコン系樹脂、フッ素系樹脂)が、凹面反射鏡1´を透過したUVおよびIRに曝されることにより、光源ハウスが劣化して脆くなったり、給電線4´の絶縁被膜が溶融する、という不具合を生じるおそれがあった。
特開平8−7841号 特開2005−347202号 特開2005−292421号
以上から、本発明は、発光管内に0.15mg/mm以上もの水銀が封入された超高圧水銀ランプの点灯電力を低下させることにより、プロジェクタ装置を小型かつ安価にすることを可能にするとともに、光源装置の周辺部材の劣化等の問題を生じることのない光源装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、発光部とその両端に連続する封止部とを有する発光管の内部に、一対の電極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm以上の水銀を封入した超高圧水銀ランプと、この超高圧水銀ランプを取り囲み、当該放電ランプからの放射光を所定の方向に反射する凹面反射鏡と、この凹面反射鏡の開口面に配置される光透過性材料からなる前面ガラスとを備えた光源装置において、上記の課題を次のように解決する。
(1)凹面反射鏡は、反射面が金属で構成されている。
(2)前面ガラスの表面には、赤外光および紫外光を反射する反射膜が設けられ、超高圧水銀ランプから放射された赤外光または紫外光が、前面ガラスで反射されて超高圧水銀ランプの電極の一部または電極間に戻るようにする。
(1)により、凹面反射鏡は、反射面が金属で構成されていることから、超高圧水銀ランプから放射された光の全波長域を反射させ、反射鏡の背後に光を透過させることがない。そのため、光源装置を包み込むように配置された光源ハウス等が紫外光および赤外光に曝されることはなく、光源ハウス等が劣化しない。
(2)により、放電アークから放射された紫外光、赤外光は、凹面反射鏡と前面ガラス上の反射膜で反射され、電極の一部および放電アーク上に照射される。そのため、超高圧水銀ランプの点灯電力が低い場合であっても、点灯時の電極先端部の温度を所望の高温状態とすることができるので、電極の温度の低下によるフリッカ現象を抑制することができ、また、電極間および放電空間に存在する水銀蒸気が励起され、電極間で形成される放電アークの輝度が高くなる。そのため、超高圧水銀ランプの点灯電力を低くした場合であっても、プロジェクタ装置用の光源として必要な光出力を確保することができる。
請求項2の発明は、請求項1の光源装置において、反射膜が前面ガラスの超高圧水銀ランプ側の面に設けられている。これには、以下の技術的な意義がある。
図2(a)に示すように、反射膜が前面ガラスの光出射側(超高圧水銀ランプの逆側)に設けられている場合、超高圧水銀ランプから放射された紫外光および赤外光は、前面ガラスを合計2回透過することになる。例えば、前面ガラスが石英ガラスで構成されている場合には、前面ガラスを1回透過する毎に紫外光および赤外光の強度が概ね4%低下することになる。そうすると、前面ガラスを2回透過することで、紫外光および赤外光の強度が概ね16%低下することになる。
一方、本発明のような構成とすれば、図2(b)に示すように超高圧水銀ランプから放射された紫外光および赤外光は、前面ガラスを透過することはなく、光強度の低下が生じないため、上記した効果がさらに期待できる。
請求項3の発明は、請求項1の光源装置において、
前記凹面反射鏡は、光軸を含む平面で切断して得た断面が楕円の一部分となるような回転楕円状であって、
前記前面ガラスは、前記反射膜が設けられた平面部と、凹面部とからなり、全体として凹面形状を有し、
前記超高圧水銀ランプ側に凹面部、前記凹面反射鏡の外方側に平面部が配置されている
ことを特徴としている。これには以下の技術的な意義がある。
凹面部を超高圧水銀ランプ側に配置することにより、前面ガラスを透過した可視光が擬似的な平行光となる。さらに、平面部側に反射膜を設けることで、放電アークから放射された紫外光、赤外光が、放電アークから放射されて前面ガラスに設けられた反射膜に入射するまでの光路とほぼ同一の光路を通って電極の一部および放電アークへ戻される。そのため、上記したように、点灯電力が低い場合であっても、点灯時に電極先端部の温度を所定の高温状態とすることができるとともに、プロジェクタ装置として必要な光出力を確保することができる。
なお、本発明者らは、上記の構成と異なる場合、すなわち、図6(a)に示すように、超高圧水銀ランプ側に反射膜が形成された凹面部が配置され、凹面反射鏡の外方側に平面部が配置されている場合、図6(b)に示すように、超高圧水銀ランプ側に平面部を配置するとともに凹面反射鏡の外方側に反射膜が設けられた凹面部が配置されている場合、図6(c)に示すように、超高圧水銀ランプ側に反射膜が形成された平面部が配置されるとともに凹面反射鏡の外方側に凹面部が配置されている場合の何れにおいても、前面ガラスで反射された赤外光が電極に照射されず、前面ガラスで反射された紫外光が放電アークに戻らず、上記したような効果が期待できないことを確認している。
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の光源装置において、
前記凹面反射鏡は、光軸を含む平面で切断して得た断面が楕円の一部分となるような回転楕円状であって、
前記前面ガラスは、前記超高圧水銀ランプ側に向けて湾曲している
ことを特徴としている。これには以下の技術的な意義がある。
すなわち、放電アークから放射された紫外光・赤外光は、前面ガラスに設けられた反射膜で反射されて電極の一部、放電アークへ戻される。従って、上記した効果を期待することができる。
本発明によれば、発光管内に0.15mg/mm以上もの水銀が封入された超高圧水銀ランプの点灯電力を低下させることにより、プロジェクタ装置を小型かつ安価にすることができ、さらに、光源装置の周辺部材等に悪影響を与える心配もない。
図1は、本発明の光源装置を光軸を含む面で切断して得た側断面図および実線A部分の拡大図である。図1において、「UV」は紫外光を意味し、「VIS」は可視光を意味し、「IR」は赤外光を意味している。「紫外光」とは、紫外波長域の光をいい、波長が380nmよりも短波長の光をいう。「可視光」とは、可視波長域の光、詳細には波長が380nm〜780nmの波長域の光をいう。「赤外光」とは、赤外波長域の光をいい、波長が780nmよりも長波長の光をいう。
光源装置10は、超高圧水銀ランプ3から放射された光を反射する椀状の凹面反射鏡1と、凹面反射鏡1の開口端部11に配置された前面ガラス2と、凹面反射鏡1の第1焦点に放電アークが形成されるべき箇所が一致するように配置された超高圧水銀ランプ3とから構成されている。
このような光源装置は、不図示の超高圧水銀ランプ用の点灯バラストから超高圧水銀ランプの電極34、35間に電圧が印加されることにより、電極34、35間で絶縁破壊を生じて放電アークが形成され、この放電アークPからUV,VIS,IRが放射される。
実線矢印Zで示すように、放電アークPから放射されたUV,VIS,IRは、凹面反射鏡1で光軸Lと平行な方向に反射され、VISのみが前面ガラス2を透過してプロジェクタ装置内の光学系に入射する。一方、UVおよびIRは、前面ガラス2に設けられた反射膜22によって、破線矢印Z´で示すように、実線矢印Zと同じ光路を通って放電アークPに戻される。
なお、図1のA部拡大図で示すとおり、放電アークPの中心部付近から放射されたUV、VIS、IR光はほぼ同一の光路をたどるが、放電アークは有限の大きさをもっているため、凹面反射鏡の焦点位置から離れた場所である電極34、35の先端から放射されたUV、VIS、IR光は、凹面反射鏡で反射される際、凹面反射鏡の光軸に対して完全な平行な光で出射されるのではない。たとえば、一方の電極35の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Xで示すように、凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22に入射した後、破線矢印X´で示すように、反射膜22で反射されるとともに凹面反射鏡1で再度反射され、他方の電極34に照射される。
他方の電極34の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Yで示すように、凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印Y´で示すように、反射膜22で反射されるとともに凹面反射鏡1で再度反射され、一方の電極35に照射される。それゆえに、放電アークPから放射された光は放電アークPおよび電極34,35の一部に照射される。
凹面反射鏡1は、例えばアルミニウムなどの金属材料からなり、図1に示すように、反射面12の断面が放物線の一部をなしており、反射面12に連続して円筒状の首部13が形成され、全体として椀形状を有している。円筒状の首部13には、超高圧水銀ランプ3の一方の封止部33が挿入され接着剤によって一体に固定されている。なお、ガラスや樹脂成形によって凹面反射鏡1を形成し、反射面12上にアルミニウムなどの金属からなる蒸着膜を形成しても良い。
凹面反射鏡1の少なくとも反射面12を金属材料で形成することにより、超高圧水銀ランプ3から放射されたUV,VIS,IRの全てを反射することができる。そのため、従来の光源装置のように凹面反射鏡1の背後にUVおよびIRが透過することがなく、光源装置の周辺部材がUVおよびIRに曝されて劣化する等の不具合が生じる心配がない。
また、凹面反射鏡1を金属で構成した場合には、ガラスなどで構成する場合に比べて、金型を用いたプレス加工等により所望の形状に容易に作製できることから、加工性・量産性の面でも優れている。凹面反射鏡1を構成する金属材料としては、光反射特性、加工性、冷却容易性、重量、コスト面等を考慮すると、アルミニウムを使用することが好ましい。また、点灯電力が低く、反射鏡温度を低く抑えることが出来る場合は反射鏡を樹脂成形にて製作し、反射面にアルミニウムなどの金属材料を蒸着する方法もある。樹脂成形の場合、複雑な形状であっても金属に比べて更に安価で精度良く成形することが可能である。なお、アルミニウムからなる凹面反射鏡1の反射面12には、誘電体多層膜からなる反射膜を設ける必要はないが、必ずしも反射膜を設けることを排除するものではなく、反射膜を設けても良い。
前面ガラス2は、例えばガラス等の少なくとも可視光を透過する材料からなり、反射鏡1の開口端部11に嵌め込まれて固定されている。前面ガラス2は、凹面反射鏡1に組み込まれた超高圧水銀ランプ3が、点灯中に万が一破裂した場合に、プロジェクタ装置内部の部材に向けてランプ破片が飛散することを防止するためのものである。超高圧水銀ランプ3の光出射側に位置する封止部32は、前面ガラス2の中央部に設けられた貫通孔24から凹面反射鏡1の外方に突出している。
前面ガラス2は、超高圧水銀ランプ3側の面21に誘電体多層膜からなる反射膜22が形成されている。誘電体多層膜からなる反射膜22は、超高圧水銀ランプ3から直接或いは凹面反射鏡1に反射されたUV,VIS,IRのうち、UVおよびIRを超高圧水銀ランプ3の方向へ反射し、VISは透過させるように設計されている。反射膜22は、図2を用いて前述したように、前面ガラス2の超高圧水銀ランプ側の面21に設けられている方が好ましい。なお、前述したような光損失を無視すれば、反射膜22を前面ガラス2の外方側の面23に設けることもできる。
前面ガラス2は、図1に示す例では、凹面反射鏡1に取付けられているが、これに限らず、プロジェクタ装置内の部材に固定されていても良い。後述する図3、図4についても同様である。なお、図1に示すように、前面ガラス2が凹面反射鏡1の開口端部に嵌め込まれている場合には、凹面反射鏡1の内部に密閉空間S1が形成されて凹面反射鏡1の内部が高温状態となることにより、超高圧水銀ランプの点灯電力を下げても前述した未蒸発水銀が発生しにくくなる、という利点がある。
超高圧水銀ランプ3は、略球状の発光部31と、発光部31の両端に連続する封止部32,33を備えている。封止部32、33には、それぞれ、点灯バラストに接続される給電用の導電性部材36,37が埋設され、導電性部材36,37の一部分は封止部の外方に突出している。発光部31の内部空間S2には、0.15mg/mm以上の水銀と、0.1KPa〜100KPaの始動補助用のアルゴンガス等の希ガスと、2×10−4μmol/mm〜7×10−3μmol/mmのハロゲンサイクルを行なうためのハロゲンガスが封入されている。発光部31の内部空間S2において、例えばタングステンからなる一対の電極34,35が対向して配置されている。
発光部31の内部空間S2に0.15mg/mm以上もの多量の水銀を封入しているのは、点灯時の水銀蒸気圧を高めることにより、アークを絞り、輝度を向上させるためである。この点で、メタルハライドランプ等の他の放電ランプとは異なるものである。
図1に示す光源装置によれば、図1のA部分拡大図に示すように、放電アークPの中心付近から放射されたUV、IR光は、凹面反射鏡1で光軸Lと平行な方向に反射され、前面ガラス2に設けられた反射膜22によって、破線矢印Z´で示すように、実線矢印Zと同じ光路を通って放電アークP付近に戻される。
一方の電極35の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Xで示すように、凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22に入射した後、破線矢印X´で示すように、反射膜22で反射されるとともに凹面反射鏡1で再度反射され、他方の電極34に照射される。
他方の電極34の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Yで示すように、凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印Y´で示すように、反射膜22で反射されるとともに凹面反射鏡1で再度反射され、一方の電極35に照射される。
それゆえに、放電アークPおよび電極34,35の一部に放射できることができ、放電アーク、電極に放射される光線のうち、特にIRが積極的に電極34を加熱し、超高圧水銀ランプ3の点灯電力を低くした場合であっても、電極34の先端部を所定の高温状態とすることができるので、熱電子放出が不十分となることがなくなり、フリッカー現象を生じることがなく、また特にUVが放電アーク放電空間中の水銀を励起することにより、放電アークPにおける光出力が向上し、超高圧水銀ランプへの点灯電力を低くした場合であっても、所定の光出力を確保することができる。
次に、上記図1に示す光源装置について実際に行なった試験結果を示す。ランプは直流点灯の超高圧水銀ランプを用い、凹面反射鏡1の反射面12はアルミニウムで形成され、略放物面をなしている。ここで超高圧水銀ランプ3は凹面反射鏡1の焦点に放電アークが形成されるべき箇所と一致するように配置されている。前面ガラス2は可視光のみを透過する膜が施された従来のものと、本願の前面ガラスで赤外光及び紫外光を反射し、可視光は透過する膜が施されたものの2種類を使用した。すなわち、試験は、10本の超高圧水銀ランプを使用して、凹面反射鏡1、超高圧水銀ランプ3の構成・寸法は同じで前面ガラス2のみが異なる2種類の光源装置を5個ずつ作製し、それぞれの光源装置について、ランプ点灯電力を可変させランプ電圧及びスクリーン照度を計測した。ここでランプ電圧は放電空間内で蒸発する水銀量、即ち動作圧力と電極間距離で決まるものである。従って、放電空間内に未蒸発の水銀が存在すると動作圧力が下がる為、ランプ電圧が低くなる為、同一電力では相対的にランプ電流値が大きくなってしまう。また、発光に寄与する水銀が実質減少する為、期待するスクリーン照度を達成することが出来ない。従って、使用可能な電力を推し測る手段としてランプ電圧及びスクリーン照度を計測することが有効である。
表1に従来の前面ガラスを使用した場合と本願の赤外光及び紫外光を反射し、可視光を透過する膜を超高圧水銀ランプ側に施した場合とでランプ電圧とスクリーン照度を計測した結果を示す。
Figure 2007227295
表中の○印は5本全数が130W点灯時の電圧に対する電圧低下が3V以下であり、スクリーン照度が電力比で計算される値よりも低くならない状態を示している。本試験に使用した超高圧ランプは従来の前面ガラスを使用した場合、130Wで水銀が完全に蒸発し、安定して動作することが可能なランプである。すなわち、○印は、水銀が完全に蒸発したことにより130W点灯時の電圧に対する電圧低下が3V以下となったこと、および、水銀が完全に蒸発していないが130W点灯時の電圧に対する電圧低下が3V以下となったことの両方を示している。一方、△印は電圧低下が3Vから5V程度あるランプが発生したが、スクリーン照度が電力比で計算される値よりも低くはなく、使用できる下限の状態を示している。また、×印は電圧低下が5V以上有り、スクリーン照度が電力比で計算される値を下回った状態で安定して使用することができない状態を示している。
表1に示すように本願で実施した前面ガラスに赤外光及び紫外光を反射させ、可視光を透過する蒸着膜を施すことで従来100W程度までしか使用できなかったランプを50W程度まで使用可能にすることが出来た。
また、同じ130W点灯では従来の前面ガラスを使用したときに比べて光出力が高くなり、発光効率(lm/W)が高くなることを確認した。これは放電空間内の低温部に存在する水銀を励起させ、発光に寄与させることが出来た為である。
図3は、本発明の光源装置の他の実施例を光軸を含む面で切断して得た側断面図および実線B部分の拡大図である。図1と同一符号を付した部分は同一部分若しくは対応する部分を示している。
凹面反射鏡1は、光軸Lを含む面で切断して得た断面が楕円の一部分を形成するような回転楕円状である。前面ガラス2は、反射膜22が設けられた平面部25と凹面部26とを有し、全体として凹面形状を有しており、凹面部26が超高圧水銀ランプ3側に配置され、平面部25が凹面反射鏡1の外方側に配置されている。平面部25には、誘電体多層膜からなる反射膜22が形成されている。前面ガラス2は、中央部に貫通孔24が設けられている。超高圧水銀ランプ3の光出射側に位置する封止部32は、前面ガラスの貫通孔24から凹面反射鏡1の外方に突出している。
図3に示す実施例によれば、特に実線B部分の拡大図に示すように、超高圧水銀ランプ3の放電アークPの中心付近から放射されたUV,VIS,IRは、凹面反射鏡1で光出射方向へ反射され、VISのみが前面ガラスを透過して平行光としてプロジェクタ装置内の光学部材に入射する。
放電アークPの中心付近から放射されたUV,IRは、実線矢印Zで示すように凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に入射した後、平面部25に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印Z´で示すように、実線矢印Zと同じ光路を通って放電アークPに戻される。
一方の電極35の先端からから放射されたUV、IRは、実線矢印Xで示すように凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に入射した後、平面部25に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印X´で示すように凹面反射鏡1で再度反射されて他方の電極34に照射される。
他方の電極34の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Yで示すように凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に入射した後、平面部25に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印Y´で示すように凹面反射鏡1で再度反射されて一方の電極35に照射される。
従って、点灯電力を低くした場合であっても、上記したように、所定の光出力を確保できるとともに、フリッカー現象が生じることがない。
しかも、図3に示す実施例によれば、回転楕円状の凹面反射鏡1と、凹面部26を有する前面ガラス2を組合せて使用していることから、図1に示す実施例に比して、平行光となったVISの集光面積を小さくできる。そのため、液晶プロジェクタ装置内に配置されたインテグレーターレンズ等の光学系を小型化することができ、液晶プロジェクタ装置自体を小型化することができる。
なお、図3に示す実施例によれば、前面ガラス2において凹面反射鏡1の外方側に配置された平面部25に反射膜22が設けられ、超高圧水銀ランプ3から放射されたUV,IRが前面ガラスを2回透過することから、前述したように、前面ガラス2が石英ガラス製である場合にはUV,IRの光損失が約16%程度生じることになる。しかしながら、回転楕円状の凹面反射鏡を使用する場合には、図6を用いて前述したように、図3に示す以外の構成を採り得ないため、この光損失は無視するものとする。
図4は、本発明の光源装置の他の実施例を光軸を含む面で切断して得た側断面図および実線C部分の拡大図である。図1,3と同一符号を付した部分は同一部分若しくは対応する部分を示している。
凹面反射鏡1は、光軸L1を含む面で切断して得た断面が楕円の一部分を形成するような回転楕円状である。前面ガラス2は、超高圧水銀ランプ3側に湾曲した形状であり、中央部に貫通孔24が設けられている。超高圧水銀ランプ3の光出射側に位置する封止部32は、前面ガラスの貫通孔24から凹面反射鏡1の外方に突出している。
図4に示す実施例によれば、特に実線C部分の拡大図に示すように、超高圧水銀ランプ3の放電アークPから放射されたUV,VIS,IRは、凹面反射鏡1で光出射方向へ反射され、VISのみが前面ガラスを透過して凹面反射鏡2の第2焦点に集光し、凹面反射鏡2の第2焦点に配置されたプロジェクタ装置内の光学部材に入射する。
放電アークPの中心付近から放射されたUV,IRは、実線矢印Zで示すように凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印Z´で示すように凹面反射鏡1で再度反射されて実線矢印Zと同じ光路を通って放電アークPに戻される。
一方の電極35の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Xで示すように凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印X´で示すように凹面反射鏡1で再度反射されて他方の電極34に照射される。
他方の電極34の先端から放射されたUV、IRは、実線矢印Yで示すように凹面反射鏡1で反射されて前面ガラス2に設けられた反射膜22で反射され、破線矢印Y´で示すように凹面反射鏡1で再度反射されて一方の電極35に照射される。
従って、点灯電力を低くした場合であっても、上記したように、所定の光出力を確保できるとともに、フリッカー現象が生じることがない。
なお、上記の図1、3、4に示す実施例によれば、超高圧水銀ランプ3の一方の封止部32が、前面ガラス2に設けられた貫通孔24から凹面反射鏡1の外方に突出した構成になっている。この構成によれば、封止部32から一部分が突出している導電性部材36が超高圧水銀ランプ3の点灯時に断線することがない、という利点を有する。そのため、導電性部材36を冷却するための冷却構造を設ける必要がないため、コスト面で有利となる。
また、本発明の光源装置に使用される放電ランプは点灯方式に依らず、直流点灯型、交流点灯型どちらにおいても同様の効果を得ることが出来る。
本発明の光源装置を光軸を含む面で切断して得た側断面図および実線A部分の拡大図である。 請求項2の発明の技術的意義を説明するための概念図である。 本発明の光源装置の他の実施例を光軸を含む面で切断して得た側断面図および実線B部分の拡大図である。 本発明の光源装置の他の実施例を光軸を含む面で切断して得た側断面図および実線C部分の拡大図である。 従来の光源装置を光軸を含む面で切断して得た側断面図である。 請求項3の発明の技術的意義を説明するための概念図である。
符号の説明
1 凹面反射鏡
11 開口端部
12 反射面
13 首部
2 前面ガラス
21 超高圧水銀ランプ3側の面
22 反射膜
24 貫通孔
25 平面部
26 凹面部
3 超高圧水銀ランプ
31 発光部
32,33 封止部
34,35 電極
36,37 外部リード

Claims (4)

  1. 発光部とその両端に連続する封止部とを有する発光管の内部に、一対の電極が対向して配置されるとともに、0.15mg/mm以上の水銀を封入した超高圧水銀ランプと、この超高圧水銀ランプを取り囲み、超高圧水銀ランプからの放射光を所定の方向に反射する凹面反射鏡と、この凹面反射鏡の開口側に配置される光透過性材料からなる前面ガラスとを備えた光源装置において、
    前記凹面反射鏡は少なくとも反射面が全反射の金属で構成され、
    前面ガラスの表面には、赤外光および紫外光を反射する反射膜が設けられ、超高圧水銀ランプから放射された赤外光または紫外光が、前面ガラスで反射されて超高圧水銀ランプの電極の一部または電極間に戻ることを特徴とする光源装置。
  2. 前記反射膜は、前記前面ガラスの超高圧水銀ランプ側の面に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記凹面反射鏡は、光軸を含む平面で切断して得た断面が楕円の一部分となるような回転楕円状であって、
    前記前面ガラスは、前記反射膜が設けられた平面部と、凹面部とからなり、全体として凹面形状を有し、
    前記超高圧水銀ランプ側に凹面部、前記凹面反射鏡の外方側に平面部が配置されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  4. 前記凹面反射鏡は、光軸を含む平面で切断して得た断面が楕円の一部分となるような回転楕円状であって、
    前記前面ガラスは、前記超高圧水銀ランプ側に向けて湾曲していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
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