JP2008243792A - 光学装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放電ランプ10と凹面反射鏡20よりなる光学装置において、(イ)凹面反射鏡20は、前方楕円面反射鏡部分21、中央球面反射鏡部分22および後方楕円面反射鏡部分23から構成される。(ロ)仮想接線VTLと光軸Zがなす角度αと、仮想直線VSLと光軸Zがなす角度βの関係がβ>αとなる。(ハ)電極E1の体積V(mm3)と、ランプ電力(P)との関係が、0.07×EXP(0.014×P)<Vを満たす。
【選択図】 図1
Description
LCDパネルを使う方式は、1枚式と3枚式があるが、いずれの方式であっても、光源からの放射光を3色(RGB)に分離して、LCDパネルにおいて画像情報に対応させた光を透過調整して、その後、パネルを透過した3色を合成させてスクリーン上に投射させる方式である。
一方、DLP(登録商標)を使う方式は、光源からの放射光をRGBの領域が分割形成された回転フィルターを介して、空間変調素子(光変調デバイスともいい、具体的にはDMD素子などをいう)などを時分割で照射し、このDMD素子で特定の光を反射させてスクリーンに照射するものである。DMD素子とは、1画素ごとに小さな鏡を数百万個敷き詰めたものであって、一つ一つの小さな鏡の向きを制御することで光の投射が制御される。
DLP方式は、LCD方式に比較して、光学系が簡易であるとともに3枚ものLCDパネルを使う必要がないことから装置全体が小型簡易化するメリットがある。
また、この放電ランプ(以下、単に「ランプ」ともいう)は、スクリーンに投射される画像を明るくするために、回転楕円面形状の凹面反射鏡(略お椀型)の中に組み込まれる。凹面反射鏡を使うことで、ランプからの放射光を、限られた面積のスクリーンに効率よく収束できる。
そして、プロジェクター装置に対して小型化が要求されると、当然に、プロジェクター装置の中に組み込まれる光学装置(放電ランプや凹面反射鏡)も小型化が要求される。
そして、当然ではあるが、このような寸法上、形状上の制約を受けたとしても、ランプの放射光の利用効率は高めなければならない。
反射鏡200は、楕円面反射鏡部分210と球面反射鏡部分220が放射方向に前後するように構成される。具体的には、反射鏡200の前方開口側に楕円面反射鏡部分210が形成され、後方開口側、すなわち、頂部側に球面反射鏡220が形成される。
この構成では、ランプ100から反射鏡頂部側に向かって放射される光L1を、球面反射鏡部分220に反射させて、一旦、アーク方向に戻し(光L2)、その後、放電アークを通過して楕円面反射鏡部分210により(光L3)、前方開口に向かって反射できる(光L4)。
この構成は、楕円面のみの反射鏡を使う場合に比較すると、確かに、反射鏡の頂部近傍に放射あるいは反射した光を利用できるため、光の利用効率は向上させることができる。
しかし、電極の体積が大型化する場合などは、放電アークは放射される光(L1)が電極自身で遮ったり、あるいは、反射鏡200で反射した光(L2)が電極やその他のランプ構成部分で遮光されるという問題は依然として残る。
図11に示す構造は、例えば、特開平3−266824号や実開昭63−162320号に記載される。
(イ)そして、凹面反射鏡は、前方楕円面反射鏡部分、中央球面反射鏡部分および後方楕円面反射鏡部分から構成される。前方楕円面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分は、ともに、少なくとも第一焦点が電極間において一致するとともに、当該凹面反射鏡の光放射方向に対して互いに前後する位置関係で構成される。また、中央球面反射鏡部分は、第一焦点を中心位置として、前方楕円面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分の間に位置している。
(ロ)さらに、仮想接線VTLと光軸Zがなす角度αと、仮想直線VSLと光軸Zがなす角度βの関係がβ>αとなる。ここで、仮想接線VTLは電極間の中心位置A1から凹面反射鏡の頂部側に位置する電極E1の外表面に向けて形成される直線であり、仮想直線VSLは中央球面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分の境界位置と中心位置A1で形成される直線である。
(ハ)さらに、凹面反射鏡の光放射方向と反対側に位置する電極E1の体積V(mm3)と、定常点灯時のランプ電力(P)との関係が、0.07×EXP(0.014×P)<Vを満たす。
さらに、電極間の中心位置A1から凹面反射鏡の頂部側に位置する電極の外表面に向けて形成される仮想接線VTLが、放電ランプの電極が伸びる方向との間で形成する角度αと、中央球面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分の境界位置と中心位置A1で形成される仮想直線VSLと、放電ランプの電極が伸びる方向との間で形成される角度βとの関係が、β>αとなるので、後方楕円面反射鏡部分で反射すべき光が十分となるように頂部側に位置する電極の形状を規定している。
さらに、一対の電極のうち、凹面反射鏡の光放射方向と反対側に位置する電極の体積V(mm3)と、定常点灯時のランプ電力(P)との関係が、0.07×EXP(0.014×P)<Vを満たすことで、頂部側に位置する電極の体積や形状規定を受けつつも、熱容量に耐えるだけの機能を有することができる。
光学装置は、放電ランプ(以下、単に「ランプ」ともいう)10と凹面反射鏡(以下、単に「反射鏡」ともいう)20より構成される。ランプ10は一対の電極が発光部の中で対向配置している。反射鏡20は、ランプ10を取り囲むよう配設しており、ランプ10のアーク方向、すなわち、電極の先端同士を結ぶ方向と、反射鏡20の光軸Zが一致している。
また、前方楕円面反射鏡部分21の第一焦点の位置と、中央球面反射鏡部分22の中心点の位置と、後方楕円面反射鏡部分23の第一焦点の位置は、光学的には、完全に一致することが最も好ましいが、実用上影響のない範囲であれば多少の位置ずれを生じてもよい。プロジェクター装置の光源として使うランプの電極間距離は2.0mm以下という小さいレベルであり、その範囲において、前方楕円面反射鏡部分21の第一焦点の位置と、中央球面反射鏡部分22の中心点の位置と、後方楕円面反射鏡部分23の第一焦点の位置が、ずれていても、実質的に、本発明の作用効果を奏するからである。従って、一対の電極間であって、アークが形成される領域内に、これら3つの位置が存在していれば、本発明では、実質的に3つの位置が一致しているといえる。
前方楕円反射鏡部分21の第一焦点F121と、中央球面反射鏡部分22の中心点F122と、さらに、後方楕円反射鏡部分23の第一焦点F123は、いずれも、ランプ10の電極間の中心位置A1に一致している。
また、前方楕円面反射鏡部分21からの反射光、および、後方楕円面反射鏡部分23からの反射光の第二焦点は、ロッドレンズ30の入射面31の中心点A2に位置する。しかし、前方楕円面反射鏡部分21からの反射光、および、後方楕円面反射鏡部分23からの反射光が、ランプ自身で遮光されるなど、光学的に中心点A2に集光できない場合は、前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点、あるいは、後方楕円面反射鏡部分23の第二焦点を、それぞれ、ロッドレンズ30の内部であって、光軸Zの延長線上の位置F23にしてもよい。このような第二焦点の位置は、ロッドレンズ30の入射面31の大きさや、反射鏡20の前方開口径、あるいはランプの封止部の寸法などによって決まる。
ここで、後方楕円面反射鏡部分23を中心点A2に集光させることが光学的に困難である場合、必ずしも中心点A2に集光させる必要はない。ロッドレンズ30の内部に第二焦点F2を形成してもよい。
角度αは、電極間の中心位置A1から反射鏡20の頂部側に位置する電極E1の外表面に向けて伸びる仮想接線VTL(virtual tangential line)が、光軸Zと交わる角度である。
角度βは、中央球面反射鏡部分22と後方楕円面反射鏡部分23の境界位置BL(boundary location)と中心位置A1を結ぶ仮想直線VSL(virtual straight line)が、光軸Zと交わる角度である。
ここで、角度βは角度αより大きくなければならない。角度αが角度βより大きい場合、アークから後方楕円反射鏡部分23に向かって直射する放射光がなくなってしまい、後方楕円反射鏡部分23の機能を活用できないからである。従って、電極E1は、角度βが角度αより大きくなるように形状設計しなければならない。なお、角度βと角度αの関係は、より好ましくは、角度β>角度α×1.5である。後方楕円反射鏡部分23の機能を十分に活用するためには角度βは角度αの1.5倍より大きいことが望ましいからである。また、後方楕円反射鏡部分23の後端縁部分232と中心位置A1を結ぶ直線が、光軸Zとなす角度が、角度αの最小値となる。数値例を示すと、角度αは30°、角度βは60°となる。
(a)は電極先端に突起が形成された構造を示す。電極E1および電極E2はそれぞれ棒状部分Epと大径部Eaからなり、大径部Eaの先端には、それぞれ突起p1およびp2が形成される。この場合、中心位置A1は、厳密には、突起p1およびp2の先端同士の離間距離Dpの中心になる。しかし、便宜的には、電極E1と電極E2の先端同士の離間距離Deの中心で代替できる。電極間距離は2.0mm以下と小さいレベルであり、突起の大きさも0.3mmという極小レベルだからである。また、突起pはランプ点灯に伴い成長と蒸発を繰り返し、突出長は常時変化しているからである。なお、突起が生じる理由やメカニズムについては、特開2004−247092号や特開2001−312997号に記載される。従って、仮想接線VTLは、中心位置A1と大径部Ea外表面の接線となる。
実験は、電極体積V(mm3)と点灯電力P(wattage)が異なる放電ランプを数種類点灯させて、電極溶融に関する観察を行った。
具体的には、点灯電力Pは、230W、250W、275Wの3種類について実験を行い、230Wについては電極体積V(mm3)が1.55、1.60、1.72、1.92、2.02の5種類を観察し、250Wについては電極体積V(mm3)が2.15、2.27、2.46、2.78の4種類を観察し、275Wについては電極体積V(mm3)が3.01、3.08、3.24、3.34、3.40、3.68、3.95の7種類を観察した。ランプはそれぞれ5本ずつ点灯させたので、実験した合計ランプ本数は、16種類×5本の80本となる。
放電ランプの点灯は、2時間点灯後15分消灯を1サイクルとして、50サイクル繰り返した後の電極を観察した。
電極の観察は、上記50サイクル終了後にX線装置で電極E1を観察して、突起が完全に消失しているものを「溶融」と判断し、突起の形状が点灯初期の半分以上残っているものを「溶融していない」と判断した。X線装置はSMX−100(島津製作所製)を使った。
230Wについては電極体積V(mm3)が1.55、1.60のランプが5本とも突起が完全消失した。一方、電極体積V(mm3)が1.72、1.92、2.02の3種類のランプはそれぞれ5本とも突起がほぼ完全に残っていた。また、250Wについては電極体積V(mm3)が2.15のランプが5本とも突起が完全消失した。一方、電極体積V(mm3)が2.27、2.46、2.78の4種類のランプはそれぞれ5本とも突起がほぼ完全に残っていた。さらに、275Wについては電極体積V(mm3)が3.01、3.08のランプはそれぞれ5本とも突起が完全消失した。一方、電極体積V(mm3)が3.24、3.34、3.40、3.68、3.95の5種類のランプはそれぞれ5本とも突起が完全に残っていた。
各点灯電力P(wattage)のうち、溶融しなかった電極のうち、もっとも体積の小さいものをポイントとして近似曲線を描いた。この近似曲線は「V=0.0675e0.0141P」(eの0.0141P乗)となった。誤差などと考慮して、電極体積V(mm3)と定格点灯電力P(wattage)の関係式は「0.07×EXP(0.014×P)<V」と導かれる。
また、「点灯電力」とは、ランプやその容器に表示されたランプ電力であって、安定器による損失を含まないランプの消費電力をいう。
反射鏡全体の長さ(光軸方向の長さ)は34.2mm、
前方楕円面反射鏡部分21の長さ(光軸方向の長さ)は26.0mm、
中央球面反射鏡部分22の長さ(光軸方向の長さ)は6.4mm、
後方楕円面反射鏡部分23の長さ(光軸方向の長さ)は2.0mm、
前方楕円面反射鏡部分21の前面開口径は39.3mm、
中央球面反射鏡部分22の前面開口径は22.0mm、
後方楕円面反射鏡部分23の前面開口径は18.0mm、
後方楕円面反射鏡部分23の後方開口径はφ10.0mm、
前方楕円面反射鏡部分21の第一焦点距離は6.0mm、
前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点距離は65.0mm、
ランプの電極間距離は1.0mm、
反射鏡の前方開口と光学素子の入射面との距離は33.0mm、
光学素子の入射面の面積は、28.27mm2(φ6)である。
角度αは30°である。
角度βは60°である。
放電ランプ10は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された概略球形の発光部11を有する。この発光部11の中には、先端に塊状部を有する一対の電極E(E1,E2)が2mm以下の間隔で対向配置している。また、発光部11の両端部には封止部12が形成される。この封止部12には、モリブデンよりなる導電用金属箔13が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設される。金属箔13の一端には電極Eの軸部が接合しており、また、金属箔13の他端には外部リード14が接合して外部の給電装置から給電が行なわれる。
また、この種の放電ランプは、小型化するプロジェクター装置に内蔵されるものであり、全体寸法として極めて小型化が要請させる一方で高い発光光量も要求される。このため、発光部内の熱的影響は極めて厳しいものとなる。ランプの管壁負荷値は0.8〜2.0W/mm2、具体的には1.5W/mm2となる。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することがプロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載された場合に、演色性の良い光を提供できる。
なお、放電ランプは、交流点灯に限定されず、直流点灯であってもかまわない。
給電装置は、スイッチング素子Qxを有するチョッパー回路91と、コイルLxやコンデンサCxを含む平滑回路92と、点灯始動用スタータ回路93、スイッチング素子Qxを駆動する制御回路94より構成される。
制御回路94は、放電ランプ10の点灯電圧や点灯電流は、抵抗R1、R2、R3によって検出して、点灯電力を換算して求めるともに、基準電力値と比較してスイッチング素子Qxをフィードバック制御する。
チョッパー回路91において制御された電流は、平滑回路2において直流出力となり放電ランプ10に供給される。
点灯動作は、まず、スタータ回路93により高電圧パルスを発生させると、放電ランプ10の電極間に絶縁破壊が発生してグロー放電が生じる。グロー放電はやがてアーク放電となり放電ランプは安定する。
また、電極間の中心位置A1から凹面反射鏡の頂部側に位置する電極の外表面に向けて形成される仮想接線VTLが、放電ランプの電極が伸びる方向との間で形成する角度αと、中央球面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分の境界位置と中心位置A1で形成される仮想直線VSLと、放電ランプの電極が伸びる方向との間で形成される角度βとの関係が、β>αとなるので、後方楕円面反射鏡部分で反射すべき光が十分となるように頂部側に位置する電極の形状を規定している。
さらに、一対の電極のうち、凹面反射鏡の光放射方向と反対側に位置する電極の体積V(mm3)と、定常点灯時のランプ電力(P)との関係が、0.07×EXP(0.014×P)<Vを満たすことで、頂部側に位置する電極の体積を形状規定を受けつつも、熱容量に耐えるだけの機能を有することができる。
20 反射鏡
21 前方楕円面反射鏡部分
22 中央球面反射鏡部分
23 後方楕円面反射鏡部分
24 頂部
25 前面ガラス
30 光学素子
31 入射面
E 電極
F1 第一焦点
A1 中心位置
F121 第一焦点
F122 第一焦点
F123 第一焦点
L21 光
L22 光
L23 光
P ランプ電力
V 電極の体積
VSL 仮想直線
VTL 仮想接線
Z 光軸
α 仮想接線と光軸がなす角度
β 仮想直線と光軸がなす角度
Claims (1)
- 放電容器内に一対の電極が対向するように配置されたショートアーク型放電ランプと、この放電ランプのアーク方向と光軸が一致する状態で当該放電ランプを取り囲むよう配置された凹面反射鏡よりなる光学装置において、
前記凹面反射鏡は、前方楕円反射鏡部分、中央球面反射鏡部分および後方楕円反射鏡部分から構成され、
前記前方楕円反射鏡部分と前記後方楕円反射鏡部分は、ともに、少なくとも第一焦点が前記電極間において一致するとともに、当該凹面反射鏡の光放射方向に対して互いに前後する位置関係で構成され、前記中央球面反射鏡部分は、前記第一焦点を中心位置CPとして、前記前方楕円面反射鏡部分と前記後方楕円面反射鏡部分の間に位置するとともに、
前記中心位置CPから前記凹面反射鏡の頂部側に位置する電極の外表面に向けて形成される仮想接線VTLが放電ランプの電極が伸びる方向との間で形成する角度αと、前記中央球面反射鏡部分と前記後方楕円面反射鏡部分の境界位置と前記中心位置CPで形成される仮想直線VSLと、放電ランプの電極が伸びる方向との間で形成される角度βとの関係が、β>αとなり、
前記放電ランプは、前記一対の電極のうち前記凹面反射鏡の光放射方向と反対側に位置する電極の体積V(mm3)と、定常点灯時のランプ電力(P)との関係が、0.07×EXP(0.014×P)<V を満たすことを特徴とする光学装置。
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