JP2007225624A - 原子炉炉心 - Google Patents
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Abstract
【課題】D格子燃料集合体で制御棒挿入側に比べて制御棒非挿入側の可燃性毒物濃度を高くして、高燃焼度化や運転期間長期化を行う場合に線出力密度や限界出力特性を悪化させることなく、燃料集合体平均濃縮度を高めると共に、D格子燃料集合体以外の燃料集合体でもスクラム特性を悪化させずに、運転サイクル期間変動に対する融通性を有する原子炉炉心を提供する。
【解決手段】チャンネルボックス内に核分裂物質を充填した複数の燃料棒と共に冷却材を流すウォータロッドを正方格子状に配列した燃料集合体が複数装荷された原子炉炉心において、軸方向単位長さ当たりの可燃性毒物含有量が異なる複数の領域を有する第1の燃料集合体と、この第1の燃料集合体より多い量の可燃性毒物を含有すると共に可燃性毒物を含む軸方向有効領域で下部における可燃性毒物含有量から前記下部より1つ上の領域の可燃性毒物含有量を引いた可燃性毒物含有量差が前記第1の燃料集合体より小さくした第2の燃料集合体とが装荷される。
【選択図】図7
【解決手段】チャンネルボックス内に核分裂物質を充填した複数の燃料棒と共に冷却材を流すウォータロッドを正方格子状に配列した燃料集合体が複数装荷された原子炉炉心において、軸方向単位長さ当たりの可燃性毒物含有量が異なる複数の領域を有する第1の燃料集合体と、この第1の燃料集合体より多い量の可燃性毒物を含有すると共に可燃性毒物を含む軸方向有効領域で下部における可燃性毒物含有量から前記下部より1つ上の領域の可燃性毒物含有量を引いた可燃性毒物含有量差が前記第1の燃料集合体より小さくした第2の燃料集合体とが装荷される。
【選択図】図7
Description
本発明は、沸騰水型原子炉の炉心に関する。
近年、沸騰水型原子力発電プラントにおける燃料経済性の向上と、使用済み燃料体数の削減を目的として、1体の燃料集合体から取り出すエネルギーを増大させる高燃焼度化が進められている。この沸騰水型原子炉に使用される高燃焼度燃料集合体の一例を、図14(a)の一部切り欠き縦断面図と(b)の図14(a)におけるB−B矢視断面図、および(c)の図14(a)におけるC−C矢視断面図に示す。
燃料集合体1は角筒状のチャンネルボックス2内に、核分裂物質でたとえば濃縮ウランの酸化物を焼結した燃料ペレットを充填した燃料棒が合計74本で、その66本の長尺燃料棒3と8本の短尺燃料棒4は、2本の太径ウォータロッド5と共に9行9列の格子状に配列している。
前記長尺燃料棒3および太径ウォータロッド5は、外部スプリング6を介して上部タイプレート7と下部タイプレート8により固定され、また、前記長尺燃料棒3に比べて燃料ペレットが充填されている燃料棒有効長が約2/3の短尺燃料棒4は、下部タイプレート8により固定している。さらに、前記長尺燃料棒3と短尺燃料棒4および2本の太径ウォータロッド5は、軸方向に複数配置した燃料スペーサ9により相互間隔を保持している。
また、前記燃料棒の一部には、余剰反応度を適切な範囲に制御するために、濃縮ウランの酸化物と可燃性毒物であるガドリニウムの酸化物(ガドリニア、以下、Gdと略称する)を混合焼結した燃料ペレットを充填していて、可燃性毒物含有燃料棒と呼ばれている。
一般的な出力規模の沸騰水型原子炉における炉心は、数百本の燃料集合体1が格子状に配置してあり、さらに、隣接した4体の燃料集合体1の相互間に、前記燃料棒における核分裂物質の反応を制御する断面が十字型の制御棒が挿抜自在に配置された構成としている。
ところで、沸騰水型原子炉における燃料集合体の格子配列には、原子力発電プラントの発電規模および開発の経緯によって種々の形式があり、一般に隣接する燃料集合体との間隙が制御棒挿入側と制御棒非挿入側とで等しい格子と、制御棒挿入側の間隙が制御棒非挿入側より大きい格子とに大別される。
特に、制御棒挿入側の間隙が制御棒非挿入側より大きい形式の格子はD格子燃料集合体と呼ばれていて、図15(a)の燃料棒配置図と(b)の各燃料棒における燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示すように、制御棒10に隣接配置されている燃料集合体1は、制御棒挿入側の非沸騰水(減速材)領域の間隙11と制御棒非挿入側の非沸騰水領域の間隙12を異ならせている。
従って、このD格子燃料集合体の燃料集合体1においては、周囲の非沸騰水領域の違いにより熱中性子束が大きく偏り、燃料集合体1における局所出力ピーキング係数が大きくなり易くなる。このために、制御棒挿入側の間隙11と制御棒非挿入側の間隙12とが等しい形式の燃料集合体以上に、燃料集合体水平方向の燃料棒濃縮度分布の設計に配慮して(濃縮度種類数増加など)、局所出力を平坦化することにより燃料集合体の熱的特性を改善している。
さらに、可燃性毒物を含有する燃料棒は、可燃性毒物を含まない燃料棒に比べて熱伝導度が悪いので、燃焼後半の局所出力を低く抑えるように燃料棒濃縮度を下げた設計としている。一例として図15(b)に示す燃料集合体1は、記号1〜6が可燃性毒物を含まない核分裂物質のみの長尺燃料棒3で、記号V1,V2も核分裂物質のみの短尺燃料棒4である。しかし、記号G1,G2は、核分裂物質に可燃性毒物としてのGdを含有させた長尺燃料棒3の可燃性毒物含有燃料棒である。
また前記各燃料棒においては、燃料ペレットが充填されている軸方向有効領域を24ノードとし、ここでは下端(1ノード)、下部(2〜8ノード)、中央部(9〜15ノード)、上部(16〜22ノード)、上端(23,24ノード)に区分していて、それぞれに所定の特性を備えた燃料ペレットや可燃性毒物を混入した燃料ペレット等を充填することで、燃料集合体1として所望の特性を得ている。
即ち、各燃料棒1〜6,V1,V2,G1,G2における燃料の濃縮度はa〜fで、互いにa>b>c>d>e>fの関係とし、記号V1,V2の短尺燃料棒4は下部と中央部のみで、8本の燃料棒G1には、下部〜上部に対して 5.0%の可燃性毒物であるGdを含有させている。
また、4本の燃料棒G2は下部に対して 5.0%のGdを、中央部と上部に 4.0%のGdと、異なる濃度の可燃性毒物を含有させて可燃性毒物軸方向平均濃度を4.3%としている。これにより、燃料集合体1における燃料集合体平均濃縮度は3.91wt%となる。
なお、図15(a)に示すように、燃料集合体1の横断面をチャンネルボックス2の一つの対角線13で、制御棒挿入側の領域Aと制御棒非挿入側の領域Bに分割した場合に、それぞれの可燃性毒物含有燃料棒の平均濃縮度は、領域Aおよび領域Bはいずれも 3.9wt%で、可燃性毒物平均濃度は領域Aが 5.0wt%、領域Bが4.5wt%となる。
一方、現行の燃料は燃料経済性向上のために、スペクトルシフト運転を採用している。このスペクトルシフト運転とは、原子炉における運転サイクル初期から中期および後期にかけて、軸方向出力分布が下部ピークとなるように運転し、高ボイド領域の上部領域においてプルトニウムへの転換を促進させ、サイクル末期では、軸方向出力分布を中央部ピーク乃至上部ピークで運転することにより、上部領域に蓄積したプルトニウムを燃焼させて、反応度利得を得て燃料経済性を高める運転法である。
なお、前記軸方向出力分布形の制御は、燃料集合体の平均的な軸方向濃縮度分布および可燃性毒物分布や、運転サイクル中の炉心流量および制御棒計画等を調整することで達成される。ただし、制御棒緊急挿入(スクラム)時の制御棒反応度特性が適切になるように、燃料集合体の軸方向出力分布を制御する必要がある。
また前記制御棒10は、熱中性子を吸収することにより負の反応度を投入するので、炉心における軸方向出力分布が過度な上部ピークでは、制御棒挿入時の反応度特性の時間応答が遅くなる。従って、軸方向出力分布は、燃料経済性とスクラム反応度特性の兼ね合いから決められている。
原子力発電プラントにおける発電コスト低減のためには、取出燃焼度増加による燃料経済性向上や、運転期間長期化によるプラント設備利用率向上が有効である。しかしながら、上記燃料集合体1でさらなる高燃焼度化や運転期間長期化を進める上では、次のような課題を生じる。
即ち、燃料集合体における高燃焼度化や運転期間長期化を実施するためには、燃料集合体平均濃縮度を従来以上に高める必要があるが、ペレット最高濃縮度 4.9wt%の制限があることから、局所出力ピーキングを悪化させずに燃料集合体平均濃縮度を高めることは難かしい。特に、D格子燃料集合体においては、非沸騰水領域の幅が広い(間隙11)制御棒挿入側の外周に配置された燃料棒の濃縮度を上げると、局所出力が悪化し易いので、燃料集合体平均濃縮度を高めることはより困難となる。
なお、前記ペレット最高濃縮度を 4.9wt%に制限することは、燃料製造施設における臨界安全性の制限から定められたものであり、これを容易に変更することはできない。さらに、局所出力の悪化は、線出力密度だけでなく燃料集合体の限界出力特性を悪化させる場合がある。
一方、沸騰水型原子炉用燃料では、ボイド率の低い軸方向下部領域で燃焼が進行する傾向があるので、運転期間長期化を行うと下部領域と、この下部より1つ上の領域(軸方向を上中下3領域に分けた場合は中央部を指す)の領域平均燃焼度の差が大きくなる。
このために、長期運転の場合は軸方向下部の燃焼が進む分、サイクル末期で軸方向出力分布が、中央部ピーク乃至上部ピークになり易くなる。このことは、スクラム時の制御棒反応度特性(応答性)を悪化させる要因となる。さらに、原子力発電プラントの運転計画(定期検査を行う時期の調整等)によっては、毎サイクル長期運転が可能であるとは限らず、運転サイクル期間の変動に適当な融通性を持っていることも必要である。
例えば、特開平7−234293号公報「燃料集合体及び原子炉」では、可燃性毒物の含有量が異なる2種類の燃料集合体から炉心を構成し、可燃性毒物含有量の多い複数の燃料集合体(高Gd燃料と呼ぶ)の可燃性毒物平均濃度を低くし、可燃性毒物含有量の少ない複数の燃料集合体(低Gd燃料と呼ぶ)の可燃性毒物平均濃度を高くして、運転期間が短い場合は前記高Gd燃料の炉心装荷割合を高め、運転期間が長い場合は低Gd燃料の炉心装荷割合を高めている。
これにより、運転期間を通じて平坦な余剰反応度特性と良好な熱的特性を実現し、運転サイクル期間変動に対する融通性を高めている。しかしながら、この燃料では、運転期間長期化に伴うスクラム特性の悪化については十分な配慮がなされていない。
例えば、運転期間の長い場合のスクラム特性を満足するように、下部領域の可燃性毒物平均濃度を、下部より1つ上の領域の可燃性毒物平均濃度より十分に高くし、運転サイクル初期から中期にかけて下部領域の出力分布を抑制して、サイクル末期の下部領域の出力分布を増加させると、運転期間の短い場合のスペクトルシフト運転による反応度利得の効果が小さくなるという問題が生じる。
本発明の目的とするところは、D格子燃料集合体で制御棒挿入側に比べて制御棒非挿入側の可燃性毒物濃度を高くして、高燃焼度化や運転期間長期化を行う場合に線出力密度や限界出力特性を悪化させることなく、燃料集合体平均濃縮度を高めると共に、D格子燃料集合体以外の燃料集合体でもスクラム特性を悪化させずに、運転サイクル期間変動に対する融通性を有する原子炉炉心を提供することにある。
請求項1記載の発明に係る原子炉炉心は、チャンネルボックス内に核分裂物質を充填した複数の燃料棒と共に冷却材を流すウォータロッドを正方格子状に配列した燃料集合体が複数装荷された原子炉炉心において、軸方向単位長さ当たりの可燃性毒物含有量が異なる複数の領域を有する第1の燃料集合体と、この第1の燃料集合体より多い量の可燃性毒物を含有すると共に可燃性毒物を含む軸方向有効領域で下部における可燃性毒物含有量から前記下部より1つ上の領域の可燃性毒物含有量を引いた可燃性毒物含有量差が前記第1の燃料集合体より小さくした第2の燃料集合体とが装荷されたことを特徴とする。
第1の燃料集合体は、可燃性毒物の含有量が比較的少ないが軸方向可燃性毒物含有量差が大きい。また、第2の燃料集合体は可燃性毒物の含有量は前記第1の燃料集合体より多いが、軸方向可燃性毒物含有量差は小さくなっている。これにより、炉心において運転初期の余剰反応度を適正化するために、運転期間が短い場合は比較的に可燃性毒物濃度が高い第2の燃料集合体の装荷割合を多くし、運転期間が長い場合には比較的に可燃性毒物濃度が低い第1の燃料集合体の装荷割合を多くすることができる。
さらに、運転期間が短い場合は、軸方向可燃性毒物含有量差の小さい第2の燃料集合体の装荷割合が多いことから、スペクトルシフト運転による反応度利得を確保できる。また、運転期間が長い場合は、軸方向可燃性毒物含有量差の大きい第1の燃料集合体燃料の装荷割合が多いので適切なスクラム特性が得られる。
請求項2記載の発明に係る原子炉炉心は、請求項1において、第1の燃料集合体の可燃性毒物の燃料集合体平均濃度を、前記第2の燃料集合体における可燃性毒物の燃料集合体平均濃度より高くしたことを特徴とする。
第1の燃料集合体は、可燃性毒物の含有量が比較的少なく軸方向可燃性毒物含有量差が大きく、さらに可燃性毒物の燃料集合体平均濃度を高くしている。また、第2の燃料集合体は、可燃性毒物の含有量が比較的多く、軸方向可燃性毒物含有量差は小さく、さらに可燃性毒物の燃料集合体平均濃度を低くしている。
複数の第1の燃料集合体と第2の燃料集合体を適宜組み合わせて炉心に装荷した場合に、比較的可燃性毒物含有量の少ない第1の燃料集合体の可燃性毒物の燃料集合体平均濃度が、可燃性毒物含有量の多い第2の燃料集合体の可燃性毒物の燃料集合体平均濃度より高いので、運転期間が長い場合も短い場合も運転期間を通じて余剰反応度がより平坦化される。
なお、運転期間が短い場合は、軸方向可燃性毒物含有量差の小さい第2の燃料集合体の装荷割合を多くすることで、スペクトルシフト運転による反応度利得を確保できる。また、運転期間が長い場合は、軸方向可燃性毒物含有量差の大きい第1の燃料集合体燃料の装荷割合を多くすることで適切なスクラム特性が得られる。
請求項3記載の発明に係る燃料集合体は、請求項2において、第2の燃料集合体の一部をコントロールセルに隣接配置したことを特徴とする。これにより、上述の作用に加えて、前記余剰反応度の平坦化を優先させた場合に、比較的可燃性毒物の多い第2の燃料集合体の無限増倍率のピーク値が、第1の燃料集合体のピーク値を超えた場合に有効で、運転サイクル後半の第2の燃料集合体の径方向出力ピーキングを抑制できて、最小限界出力比の低下を回避することができる。
以上本発明によれば、沸騰水型原子炉用でD格子燃料集合体における非制御棒挿入側の可燃性毒物含有燃料棒の可燃性毒物平均濃度、および核分裂物質平均濃度を高めることにより、線出力密度や限界出力特性を悪化させることなく、燃料集合体の核分裂物質平均濃度を高めることができる。
さらに、可燃性毒物の燃料集合体含有量の異なる2種類の燃料集合体のうちで、可燃性毒物含有量の少ない方の燃料集合体の可燃性毒物平均濃度と、軸方向可燃性毒物含有量差を高めることにより、サイクル末期スクラム特性や、サイクル末期余剰反応度特性が良好で、かつ、運転サイクル期間変動に対する融通性のある沸騰水型原子炉炉心を提供する。
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上記した従来技術と同じ構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。第1実施の形態は、図1(a)の燃料棒配置図と(b)の燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示すように、燃料集合体14は上記従来の燃料集合体1と同様に、角筒状のチャンネルボックス2内に、核分裂物質であるたとえば濃縮ウランの酸化物を焼結した燃料ペレットを充填したの燃料棒で、66本の長尺燃料棒3と8本の短尺燃料棒4の合計74本を、2本の太径ウォータロッド5と共に9行9列の格子状に配列している。
また燃料棒は、記号1〜6およびG1,G2で示す長尺燃料棒3と、V1,V2で示す短尺燃料棒4で構成されていて、燃料ペレットが充填されている軸方向有効部の長さは、長尺燃料棒3では約 370cm(24ノード)、短尺燃料棒4で約 220cm(14ノード)である。
前記燃料棒1〜6の軸方向有効領域で、下端(1ノード)の約15cmおよび上端(2ノード)の約30cmの空白表示領域には、天然ウランペレットが充填されているが、下部〜上部の約 325cm(21ノード)の領域の濃縮度は軸方向に一様に分布されている。
また、燃料棒V1,V2についても、軸方向有効領域で下部と中央部(14ノード)において同様に、濃縮度は軸方向に一様に分布させている。なお、各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度は、a〜fまで6種類(天然ウランは除く)で、互いにa>b>c>d>e>fの関係としている。
さらに、可燃性毒物であるGdを含む可燃性毒物含有燃料棒は2種類で、G1は8本でG2は4本の計12本であり、G1の軸方向有効領域で下部〜上部の可燃性毒物の濃度が 5.0%で、G2については上部と中央部が 4.0%に、下部は 5.0%として可燃性毒物の濃度差がつけられている。従って、可燃性毒物含有燃料棒G1,G2における可燃性毒物軸方向平均濃度は、可燃性毒物含有燃料棒G1が 5.0%で、Gd燃料棒G2は 4.3%となり、これにより、燃料集合体14における燃料集合体平均濃縮度は3.95wt%となる。
また、図1(a)に示すように、燃料集合体14の横断面をチャンネルボックス2の一つの対角線13で、制御棒挿入側の領域Aと制御棒非挿入側の領域Bに分割すると、領域A,Bにおける可燃性毒物含有燃料棒の平均濃縮度は、領域Aが 4.1wt%で、領域Bは 4.4wt%となり、可燃性毒物平均濃度については、領域Aが4.5wt%で、領域Bは 5.0wt%に構成されている。
次に、上記構成による作用について説明する。本燃料集合体14によれば、前記可燃性毒物含有燃料棒G1,G2における可燃性毒物平均濃度が、領域Aでは 4.5wt%で、領域Bにて 5.0wt%となり、上記従来設計例の燃料集合体1における領域Aの 5.0wt%と領域Bの 4.0wt%と比べて、領域A,Bの可燃性毒物平均濃度が逆になっている。
D格子燃料集合体では、隣接燃料集合体との幅(間隙11)が広い側の領域Aの方が、幅(間隙12)が狭い側の領域Bより可燃性毒物の燃焼が早いことから、領域Bの可燃性毒物の平均濃度を領域Aより高くすることにより、領域Bで可燃性毒物が燃え尽きる燃焼度点と、領域Aで可燃性毒物が燃え尽きる燃焼度点のずれが大きくなり、その分だけ無限増倍率のピーク値が小さくなる。
これにより、図2の無限増倍率の燃焼変化特性図(中央下部領域で40%ボイド履歴の計算結果)で示すように、本燃料集合体14では曲線15(実線)のように、従来の燃料集合体1の曲線16(点線)に比べて、無限増倍率のピーク値が低減するので、炉心計算において運転サイクル後半の最小限界出力比を改善することができる。
なぜなら、一般に、運転時の最小限界出力比は、無限増倍率が高く炉心の径方向出力ピーキングが大きくなる運転サイクル後半の1サイクル目燃料で最も厳しくなる傾向があるので、無限増倍率のピーク値が下がれば径方向出力ピーキングが低減できて、最小限界出力比を改善することができるからである。
また、可燃性毒物含有燃料棒の平均濃縮度は、本燃料集合体14では、領域Aでは 4.1wt%で、領域Bでは 4.4wt%となっており、上記従来の燃料集合体1の領域Aおよび領域Bが共に 3.9wt%であるのに比べて、その燃料集合体平均濃縮度を3.91wt%から3.95wt%まで0.04wt%高めることができる。これにより、サイクル末期平均燃焼度時(27.5GWd /t )に無限増倍率が 0.3%dk程度増加させることができる。従って、取出燃焼度を向上させて燃料経済性を高めることができる。
第2実施の形態について説明する。なお、上記第1実施の形態と同様の構成部分と作用等については詳細な説明を省略し、異なる部分について説明する。図3(a)の燃料棒配置図と(b)の燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示すように、本燃料集合体17は上記従来の燃料集合体1と同様に、角筒状のチャンネルボックス2内に多数の燃料棒が、2本の太径ウォータロッド5と共に9行9列の正方格子に配列してある。
前記燃料棒は、記号1〜6およびG1〜G3で示す66本の長尺燃料棒3と、V1,V2で示す8本の短尺燃料棒4で構成されており、前記長尺燃料棒3の軸方向有効領域で下部〜上部の濃縮度は軸方向に一様としている。また、燃料棒V1,V2の軸方向有効領域で下部と中央部も、同様に濃縮度は軸方向に一様である。
なお、各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度は、a〜fまで6種類(天然ウランは除く)で、互いにa>b>c>d>e>fの関係としている。さらに、可燃性毒物であるGdを含む可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3は、3種類で各4本の計12本であり、それぞれの可燃性毒物濃度は、可燃性毒物含有燃料棒G1が 6.0%で、G2は 5.0%であるが、G3については軸方向有効領域の下部は 5.0%で、中央部と上部が 4.0%として濃度差がつけられている。
従って、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3における可燃性毒物軸方向平均濃度は、可燃性毒物含有燃料棒G1は 6.0%で、G2は 5.0%、またG3が 4.3%となっている。これより、本燃料集合体17における燃料集合体平均濃縮度は3.98wt%となる。
また、図3(a)に示すように、燃料集合体17の横断面をチャンネルボックス2の一つの対角線13により、制御棒挿入側の領域Aと制御棒非挿入側の領域Bに分割した場合に、前記領域Bには燃料集合体17内で可燃性毒物濃度が最大値の 6.0%で、燃料ペレットの濃縮度が最大値のaである可燃性毒物含有燃料棒G1を配置した構成としている。
これにより、各領域における可燃性毒物平均濃度については、領域Aが 4.5wt%で、領域Bは 5.0wt%となると共に、可燃性毒物含有燃料棒の平均濃縮度は、領域Aが 4.1wt%で、領域Bは 4.7wt%となり、この領域Bにおける可燃性毒物含有燃料棒の平均濃縮度 4.7wt%は、領域Aの 4.1wt%より大きく構成される。
次に、上記構成による作用について説明する。本燃料集合体17においては、上記第1実施の形態の燃料集合体14に比べて、可燃性毒物含有燃料棒の種類を2種類から3種類に増やし、領域Bに配置した燃料棒G1における可燃性毒物を燃料集合体17内での最大値 6.0%に、また燃料濃縮度を燃料集合体内での最大値aとしている。
これにより、可燃性毒物平均濃度は、制御棒挿入側の領域Aでは 4.5wt%に、また制御棒非挿入側の領域Bでは 5.5wt%となり、図4の無限増倍率の燃焼変化特性図(中央下部領域で40%ボイド履歴の計算結果)に示すように、燃料集合体17では曲線18(実線)のように、従来の燃料集合体1の曲線16(点線)に比べて無限増倍率のピーク値が大幅に低減する。
さらに、図5の最小限界出力比推移特性図に示すように、13か月平衡炉心を作成した場合の炉心計算において、燃料集合体17の曲線19(実線)に示すように、上記従来設計例の燃料集合体1の曲線20(点線)に比べて、運転サイクル後半の最小限界出力比を2乃至3%改善することができる。
また、可燃性毒物含有燃料棒の平均濃縮度は、燃料集合体17では、領域Aでは4.1wt%で、領域Bでは 4.7wt%となっており、上記従来の燃料集合体1の領域A,Bとも 3.9wt%と比べて、燃料集合体平均濃縮度を3.91wt%から3.98wt%まで0.07wt%高めることができた。これにより、図4に示すようにサイクル末期の平均燃焼度時(27.5GWd /t)に無限増倍率が 0.4%dk程度増加することができ、燃料経済性を高めることができる。
なお、領域Bは隣接燃料集合体との間隙12(非沸騰水領域)の狭い側なので、間隙11の広い領域Aに比べて燃料寿命を通じて局所出力が高くならない傾向があり、これは可燃性毒物を含有する燃料棒にも当てはまる。
一般に、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3の可燃性毒物濃度を高めると熱伝導度が悪化するので、可燃性毒物が燃え尽きた後の熱的余裕のために、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3の濃縮度を下げておく必要があるが、領域Bにおける可燃性毒物含有燃料棒G1,G2は、燃焼後期の局所出力は高くならないので、濃縮度を下げる必要がない。従って、領域Bにおける可燃性毒物含有燃料棒G1,G2の燃料棒濃縮度を高くできて、その分だけ、燃料集合体平均濃縮度を高めることができる。
ここで本発明による燃料集合体17が、可燃性毒物が燃え尽きた後の可燃性毒物含有燃料棒の熱的余裕確保に有利であることについて説明する。図6の燃料棒配置図に示すように、ウラン燃料集合体21は、記号1〜6およびG1〜G3で示す66本の長尺燃料棒3と、V1,V2で示す8本の短尺燃料棒4で構成されており、前記長尺燃料棒3の軸方向有効領域で下部〜上部と、燃料棒V1,V2の下部と中央部の濃縮度は軸方向に一様に分布されている。
また、3種類の可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3も同様に、軸方向有効領域で下部〜上部の濃縮度と、含有する可燃性毒物の濃度が軸方向に一様の分布としている。なお、下端(1ノード)と上端(2ノード)には天然ウランを充填している。ここで、図6に示す同じ燃料棒配置による3つのケースについて、表1により説明する。
ケース1は従来燃料の設計例で、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3は、平均濃縮度が全て 4.4wt%であり、制御棒挿入側の領域Aと制御棒非挿入側の領域Bも同じ 4.4wt%、また、可燃性毒物平均濃度が全て 5.0wt%で、領域Aと領域Bも同じ 5.0wt%である。
ケース2は可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3における平均濃縮度が、G1は 4.9wt%でG2が 4.4wt%、またG3は 3.9wt%であり、領域Aは 4.1wt%で、領域Bが 4.7wt%である。なお、毒物平均濃度は全て 5.0wt%であり、従って、領域Aと領域Bも同じ 5.0wt%である。
ケース3は可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3における平均濃縮度は、ケース2と同じでG1は 4.9wt%でG2が 4.4wt%、またG3は3.9wt%であり、領域Aは 4.1wt%で領域Bが 4.7wt%である。また、毒物平均濃度はG1は 6.0wt%、G2が 5.0wt%、G3は 4.0wt%で、領域Aは 4.3wt%で領域Bが 5.7wt%である。なお、燃料集合体平均濃縮度はケース1〜3の全てが3.98wt%となっている。
ここで、可燃性毒物が燃え尽きた後の可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3の熱的余裕を制限する尺度として、図3(b)に示す燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図を参照し、G1〜G3の軸方向で上部の領域における可燃性毒物が燃え尽きた後の局所出力比(定義:可燃性毒物含有燃料棒の局所出力/局所出力の集合体内最大値(LPF))を調べると、表1のようになり、ケース1の従来燃料の設計では制限値を満足していない。
これは領域Aにおける可燃性毒物含有燃料棒G2,G3の熱的余裕が足りないからであり、従って、可燃性毒物含有燃料棒G2,G3の濃縮度を下げる必要がある。なお、各ケースにおける局所出力比は、前記軸方向で上部の領域の方が下部の領域より厳しくなっている。
一方、ケース2では、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G3を位置に応じて、平均濃縮度を調節しているので、前記ケース1と同じ燃料集合体平均濃縮度を持ちながら、可燃性毒物含有燃料棒の熱的余裕の制限値を満たしている。さらに、ケース3では、領域Bに配置した燃料棒G1の毒物平均濃度を燃料集合体内の最大値の 6.0wt%まで高めても、熱的余裕の制限値を満たしているので、上記図4の曲線18に示すようなピーク値を下げた無限増倍率が実現できて、最小限界出力比を改善することができる。
また、地震時を想定して、燃料集合体(軸方向有効領域の上部で代表)が制御棒挿入側に1mm変位した場合の投入反応度を評価したが、ケース3の本発明の場合は、ケース1の従来に比べて約10%投入反応度が小さくなることがわかる。
第3実施の形態は低可燃性毒物含有燃料集合体と高可燃性毒物含有燃料集合体の2種類が装荷された原子炉に係るものである。ここでは、隣接した燃料集合体相互間で制御棒挿入側と制御棒非挿入側の非沸騰水領域の間隙(幅)が等しい燃料集合体を例に説明するが、D格子燃料集合体の場合についても同様である。なお、上記第1実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略して、異なる部分について説明する。
図7(a)の燃料棒配置図と(b)の燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示すように、第1の燃料集合体である燃料集合体22は、角筒状のチャンネルボックス2内に多数の燃料棒が、2本の太径ウォータロッド5と共に9行9列の正方格子に配列してある。
前記燃料棒は、記号1〜5およびG1,G2で示す66本の長尺燃料棒3と、V1,V2で示す8本の短尺燃料棒4で構成していて、前記燃料棒1〜5の軸方向有効領域は、下端(1ノード)、下部(7ノード)、中央下部(7ノード)、中央上部(5ノード)、上部(2ノード)および上端(2ノード)としている。
さらに、下端(1ノード)および上端(2ノード)の空白表示領域には、天然ウランペレットが充填されている。なお、燃料棒1,3〜5については、軸方向有効領域で下部〜上部(21ノード)と、燃料棒V1,V2の下部〜中央下部(14ノード)において、燃料ペレットによる濃縮度は軸方向に一様に分布させている。
しかし、燃料棒2と可燃性毒物含有燃料棒G1,G2は、軸方向有効領域で複数の濃縮度で、可燃性毒物含有燃料棒G2においては、可燃性毒物濃度についても差をつけている。なお、各燃料棒の内部に充填している燃料ペレットの濃縮度は、a〜eまで5種類(天然ウランは除く)で、互いにa>b>c>d>eの関係としている。
可燃性毒物であるGdを含む可燃性毒物含有燃料棒は2種類で、G1は4本でG2は8本の計12本であり、可燃性毒物含有燃料棒G1は、軸方向有効領域の下部〜中央上部の可燃性毒物濃度が 5.0%で、上部は 3.0%としている。また、可燃性毒物含有燃料棒G2については、可燃性毒物濃度が下部は 5.5%で、中央下部と中央上部が 4.5%、また上部は 3.0%としている。
従って、可燃性毒物含有燃料棒G1,G2における可燃性毒物軸方向平均濃度は、G1が 4.8%でG2は 4.7%となっている。さらに、可燃性毒物含有量差(下部−中央下部)は 8.0wt%で、可燃性毒物の燃料集合体平均値は4.73wt%に構成された、低可燃性毒物含有燃料集合体(以下、低Gd燃料集合体と呼ぶ)である。
次に図8(a)の燃料棒配置図と(b)の燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示す第2の燃料集合体である燃料集合体23については、前記第1の燃料集合体の燃料集合体22と同様に、多数の燃料棒とフォータロッドを9行9列の正方格子に配列してある。
前記燃料棒は、記号1〜5およびG1,G2で示す66本の長尺燃料棒3と、V1,V2で示す8本の短尺燃料棒4で構成しており、可燃性毒物であるGdを含む可燃性毒物含有燃料棒は2種類であるが、可燃性毒物含有燃料棒G1は11本でG2は4本の計15本である。
また、燃料棒1〜5,V1,V2については、前記図7に示す第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体22と同様であるが、可燃性毒物含有燃料棒G1については、軸方向有効領域の下部〜中央上部の可燃性毒物濃度が 5.0%で、上部は 3.0%としている。また、可燃性毒物含有燃料棒G2については、可燃性毒物濃度が下部は 5.5%で中央下部と中央上部が 4.5%、また上部は 3.0%としている。
従って、可燃性毒物含有燃料棒G1,G2における可燃性毒物軸方向平均濃度は、G1が 4.8%でG2は 4.7%となっている。また、可燃性毒物含有量差(下部−中央下部)は 4.0wt%で、可燃性毒物の燃料集合体平均値は4.77wt%に構成された、高可燃性毒物含有燃料集合体(以下、高Gd燃料集合体と呼ぶ)である。
これにより、前記第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体22と、第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体23との燃料集合体平均濃縮度は、いずれも 3.7wt%で同じである。しかし、可燃性毒物を含む軸方向有効領域のうちで、下部領域の可燃性毒物の含有量から下部より1つ上の中央下部領域での可燃性毒物の含有量を引いた含有量差が、第1の燃料集合体である燃料集合体22は 8.0wt%で、第2の燃料集合体である燃料集合体23の 4.0wt%に対して大きく構成されている。
即ち、図示しない本発明の原子炉炉心は、前記下部領域の可燃性毒物の含有量から下部より1つ上の中央下部領域での可燃性毒物の含有量を引いた含可燃性毒物含有量差が大きい第1の燃料集合体である燃料集合体22と、この燃料集合体22と比較して前記可燃性毒物含有量差が小さい第2の燃料集合体である燃料集合体23により構成される。
次に、上記構成による作用について説明する。可燃性毒物の含有量の異なる2種類の第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体22と、第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体23から炉心を構成すると共に、第2の燃料集合体の軸方向可燃性毒物含有量差を小さく、第1の燃料集合体の軸方向可燃性毒物含有量を大きくしている。
これにより、一般に運転初期の余剰反応度の適正化から、運転期間が短い場合は第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体23の炉心装荷割合が高く、運転期間が長い場合は第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体22の炉心装荷割合を高くしている。
従って、炉心では運転期間が短い場合は、軸方向可燃性毒物含有量差の小さい第2の燃料集合体の装荷割合が高いので、スペクトルシフト運転による反応度利得を確保できる。逆に、運転期間が長い場合は、軸方向可燃性毒物含有量差の大きい第1の燃料集合体の装荷割合が高いので適切なスクラム特性が得られる。
第4実施の形態は第3実施の形態と同様に低可燃性毒物含有燃料集合体と高可燃性毒物含有燃料集合体の2種類を装荷した炉心に係るものである。また、D格子燃料集合体を例に説明するが、制御棒挿入側と制御棒非挿入側の非沸騰水領域の間隙(幅)が等しい燃料集合体の場合についても同様である。なお、上記第1実施の形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略して、異なる部分について説明する。
図9(a)の燃料棒配置図と(b)の燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示すように、第1の燃料集合体である燃料集合体24は、角筒状のチャンネルボックス2内に多数の燃料棒が、2本の太径ウォータロッド5と共に9行9列の正方格子に配列してある。
前記燃料棒は、記号1〜6およびG1〜G4で示す66本の長尺燃料棒3と、V1,V2で示す8本の短尺燃料棒4で構成していて、前記燃料棒1〜6の軸方向有効領域は、下端(1ノード)、下部(7ノード)、中央下部(7ノード)、中央上部(5ノード)、上部(3ノード)および上端(1ノード)としている。
さらに、下端(1ノード)および上端(1ノード)の空白表示領域には、天然ウランペレットが充填されている。なお、燃料棒1,3,6については、軸方向有効領域で下部〜上部(21ノード)と、燃料棒V1,V2の下部〜中央下部(14ノード)において、燃料ペレットによる濃縮度は軸方向に一様に分布させている。
しかし、燃料棒2,4,5と可燃性毒物含有燃料棒G1〜G4は、軸方向有効領域では複数の濃縮度で、可燃性毒物含有燃料棒G1,G3,G4においては、可燃性毒物濃度も差をつけている。なお、各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度は、a〜eまで5種類(天然ウランは除く)で、互いにa>b>c>d>eの関係にある。
可燃性毒物であるGdを含む可燃性毒物含有燃料棒は4種類で、G1は3本でG2は2本、G3,G4はそれぞれ4本の計13本であり、可燃性毒物含有燃料棒G1については、軸方向有効領域の下部〜中央上部の可燃性毒物濃度が、 5.5%で上部は 4.5%としている。
また、可燃性毒物含有燃料棒G2は、運転サイクル初期の最大線出力密度を低減するために、下部に 1.0%の薄い可燃性毒物を配置しているが、他の可燃性毒物含有燃料棒に比べて薄く、サイクル初期にしか影響を及ぼさない。従って、ここの可燃性毒物の燃料集合体平均値や、可燃性毒物含有量差(下部領域−中央下部領域)の計算からは除外している。
さらに、可燃性毒物含有燃料棒G3は、下部〜中央上部が 5.5%で上部は 3.5%、可燃性毒物含有燃料棒G4は、下部が 5.5%で中央下部〜上部を 3.5%としている。従って、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G4における可燃性毒物軸方向平均濃度は、G1が 5.4%でG2は 0.3%、G3は 5.2%でG4は 4.1%である。
また、可燃性毒物含有量差(下部−中央下部)は 8.0wt%で、可燃性毒物の燃料集合体平均値は 4.9wt%に構成された、低可燃性毒物含有燃料集合体(以下、低Gd燃料集合体と呼ぶ)である。
次に図10(a)の燃料棒配置図と(b)の燃料濃縮度および可燃性毒物濃度の軸方向分布図に示す第2の燃料集合体である燃料集合体25おいては、前記第1の燃料集合体の燃料集合体24と同様に、多数の燃料棒とウォータロッドを9行9列の正方格子に配列してある。
前記燃料棒は、記号1〜6およびG1〜G4で示す66本の長尺燃料棒3と、V1,V2で示す8本の短尺燃料棒4で構成しており、可燃性毒物であるGdを含む可燃性毒物含有燃料棒は4種類であるが、可燃性毒物含有燃料棒G1とG2はいずれも2本で、G3は8本、G4は4本の計16本である。
また、燃料棒1〜5,V1,V2については、前記図7に示す第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体24と同様であるが、可燃性毒物含有燃料棒G1については、軸方向有効領域の下部〜中央上部の可燃性毒物濃度が 5.5%で、上部は 4.5%としている。また、可燃性毒物含有燃料棒G2については下部のみが 1.0%、可燃性毒物含有燃料棒G3は、下部〜中央上部が 4.5%で上部は 3.5%、さらに可燃性毒物含有燃料棒G4は、下部が 4.5%で中央下部〜上部を 3.5%としている。
従って、可燃性毒物含有燃料棒G1〜G4における可燃性毒物軸方向平均濃度は、G1が 5.4%でG2は 0.3%、G3が 4.4%でG4は 3.8%である。また、可燃性毒物含有量差(下部−中央下部)は 4.0wt%で、可燃性毒物の燃料集合体平均値は 4.4wt%に構成された、高可燃性毒物含有燃料集合体(以下、高Gd燃料集合体と呼ぶ)である。
これにより、前記第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体24と、第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体25との燃料集合体平均濃縮度は、いずれも 4.0wt%で同じになっている。しかしながら、前記可燃性毒物を含む軸方向有効領域のうちで、下部の可燃性毒物の含有量から下部より1つ上の中央下部での可燃性毒物の含有量を引いた可燃性毒物含有量差が、第1の燃料集合体である燃料集合体24は 8.0wt%で、第2の燃料集合体である燃料集合体25の 4.4wt%に比べて大きく構成されている。
即ち、図示しない本発明の原子炉の炉心は、前記軸方向有効領域のうちで、下部の可燃性毒物の含有量から下部より1つ上の中央下部における可燃性毒物の含有量を引いた可燃性毒物含有量差が大きい第1の燃料集合体である燃料集合体24と、この燃料集合体24と比較して前記可燃性毒物含有量差が小さい第2の燃料集合体である燃料集合体25により構成される。
次に、上記構成による作用について説明する。可燃性毒物の含有量の異なる2種類の第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体24と、第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体25から炉心を構成すると共に、第2の燃料集合体の可燃性毒物含有量差を小さく、第1の燃料集合体の可燃性毒物含有量を大きくしている。
これらの燃料集合体のおける中央下部領域の無限増倍率の燃焼変化(40%ボイド履歴)は、図11の無限増倍率の燃焼変化特性図に示すように、第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体24の曲線26(実線)と、第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体25の曲線27(点線)のようになる。
これによれば、燃焼初期では曲線26で示す低Gd燃料集合体である燃料集合体24の無限増倍率が大きいが、無限増倍率のピーク付近では、この低Gd燃料集合体の無限増倍率が、高Gd燃料集合体である燃料集合体25の燃料集合体曲線27に比べて多少小さくなっている。
一例として、第1の燃料集合体24と第2の燃料集合体25で、運転期間が13か月から14か月に変化した場合の平衡炉心を作成すると、低Gd燃料集合体の燃料集合体24および高Gd燃料集合体の燃料集合体25における装荷割合は表2のようになる。
従来設計では、13か月運転の余剰反応度はサイクルを通じて減少傾向にあり、14か月運転の余剰反応度は運転サイクル後半で増加傾向にあったが、本第4実施の形態では、図12の余剰反応度推移特性図に示すように、13か月運転の曲線28(点線)と14か月運転の曲線29(実線)1共に、サイクルを通じて平坦な余剰反応度が得られた。また、13か月運転および14か月運転共に、スクラム反応度特性の制限を満足している。
また、これは上記第3実施の形態に加え、低Gd燃料集合体の燃料集合体24における可燃性毒物の燃料集合体平均燃料濃度が 4.9wt%で、高Gd燃料集合体の燃料集合体25におけるの可燃性毒物の燃料集合体平均濃度 4.4wt%より高くなっているので、運転期間が13か月から14か月に変動しても、運転期間を通じた余剰反応度をより平坦化することができる。ここで、本実施の形態で運転期間が変動した場合に有利であることを説明するために表3に示す3つのケースの特性を比較する。
ケース1は、図9に示す低Gd燃料集合体である燃料集合体24の燃料棒G4における下部領域のGd濃度を 4.5wt%に変えた従来設計で、ケース3は第4実施例(図9と図10の燃料集合体24,25)、ケース2は、ケース3とは逆に、前記燃料集合体24の燃料棒G4における軸方向有効領域の下部のGd濃度を 4.5%とし、図10に示す高Gd燃料集合体である燃料集合体25の燃料棒G4における下部のGd濃度を 5.5%にした設計である。
これらのケース1〜3における13,14か月運転でのサイクル末期余剰反応度と、サイクル末期スクラム指標の相対値を表2に示す。なお、スクラム指標の相対値とは、スクラム時に制御棒が50%の深さまで挿入された場合に投入された積分反応度で、制限値を 1.0にした時の相対値を示し、1.0 以上の時にスクラム特性が制限を満足する。
従って、この表2により、ケース1の従来燃料では、14か月運転の場合に制限値1のスクラム特性を満足しない。また、軸方向有効領域の下部と中央部の可燃性毒物含有量差を増加させるのは、ケース2よりもケース3、即ち、低Gd燃料集合体の軸方向可燃性毒物含有量を増加させた方が、13か月運転のサイクル末期余剰反応度の観点から有利なことがわかる。
第5実施の形態は第4実施の形態の変形例であり、上記第4実施の形態と同様な構成部分等については詳細な説明を省略して、異なる部分について説明する。図13の1/4平衡炉心の燃料装荷パターン図に示すように、炉心30(1/4表示)において○で囲った高Gd燃料集合体の一部を、制御棒を囲んで運転サイクルが進行した燃料集合体(ここでは4サイクル目)を配した、太線で囲って示すコントロールセル31に隣接配置した構成とする。
上記構成による作用としては、上記第4実施の形態においては図11に示すように、無限増倍率のピーク付近では、第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の燃料集合体25における無限増倍率が曲線27で示すように、曲線26で示す第1の燃料集合体である低Gd燃料集合体の燃料集合体24よりやや大きくなっているので、運転サイクル後期の最小限界出力比が厳しくなる。
しかし、本第5実施の形態によれば、上記第4実施の形態において余剰反応度の平坦化を優先させた場合に、第2の燃料集合体の無限増倍率のピーク値が、第1の燃料集合体のピーク値を超えた場合に有効であり、炉心30において○で示すように第2の燃料集合体である高Gd燃料集合体の一部を、コントロールセル31に隣接配置されている。
これにより、運転サイクル後半における高Gd燃料集合体の径方向出力ピーキングが抑制されることから、この高Gd燃料集合体による最小限界出力比の低下を回避することができる。
1,14,17,21〜25…燃料集合体、2…チャンネルボックス、3…長尺燃料棒、4…短尺燃料棒、5…太径ウォータロッド、6…外部スプリング、7…上部タイプレート、8…下部タイプレート、9…燃料スペーサ、10…制御棒、11…間隙(制御棒挿入側)、12…間隙(制御棒非挿入側)、13…一つの対角線、15,18,19,26,29…曲線(実線)、16,20,27,28…曲線(点線)、30…1/4炉心、31…コントロールセル。
Claims (3)
- チャンネルボックス内に核分裂物質を充填した複数の燃料棒と共に冷却材を流すウォータロッドを正方格子状に配列した燃料集合体が複数装荷された原子炉炉心において、軸方向単位長さ当たりの可燃性毒物含有量が異なる複数の領域を有する第1の燃料集合体と、この第1の燃料集合体より多い量の可燃性毒物を含有すると共に可燃性毒物を含む軸方向有効領域で下部における可燃性毒物含有量から前記下部より1つ上の領域の可燃性毒物含有量を引いた可燃性毒物含有量差が前記第1の燃料集合体より小さくした第2の燃料集合体とが装荷されたことを特徴とする原子炉炉心。
- 前記第1の燃料集合体の可燃性毒物の燃料集合体平均濃度を、前記第2の燃料集合体における可燃性毒物の燃料集合体平均濃度より高くしたことを特徴とする請求項1記載の原子炉炉心。
- 前記第2の燃料集合体の一部をコントロールセルに隣接配置したことを特徴とする請求項2記載の原子炉炉心。
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