JP2007224071A - ゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】空気入り重荷重用タイヤ及びオフロード用タイヤに好適に使用できる耐摩耗性及び低発熱性に優れ、工場作業性の高いゴム組成物、及びそれを使用した空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対してシリコーンオイル熱処理したシリカを3〜50質量部並びにダイポーラー窒素を含む部分Q、及び酸素又は硫黄を含む4〜6員環状の窒素含有複素環を含む部分Bを有する1,3−ダイポール化合物を0.1〜30質量部を配合したものであり、具体的にはダイポーラー窒素部分が、A1−C(A2)=N(A3)→O、A1−C≡N→O、及びA1−C≡N→N−A4の少なくとも1以上から選択されるものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対してシリコーンオイル熱処理したシリカを3〜50質量部並びにダイポーラー窒素を含む部分Q、及び酸素又は硫黄を含む4〜6員環状の窒素含有複素環を含む部分Bを有する1,3−ダイポール化合物を0.1〜30質量部を配合したものであり、具体的にはダイポーラー窒素部分が、A1−C(A2)=N(A3)→O、A1−C≡N→O、及びA1−C≡N→N−A4の少なくとも1以上から選択されるものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、トレッドでの発熱性を改善すると共に耐摩耗性、耐カット性及び耐チッピング性を向上させて、要求の厳しい重荷重用空気入りタイヤ及びオフロード用タイヤへの使用に好適なゴム組成物及びその空気入りタイヤに関するものである。本発明ゴム組成物は、前記特徴と併せて工場作業性に関しても、従来のゴム組成物に比較して改良したものである。
非舗装道路、特に岩石が露出するような悪路を走行することが多い高荷重トラック・バス用大型タイヤ、あるいは砕石現場等で使用されるオフザロード用タイヤ等は、それらのトレッド部やサイドウォール部にカットを受ける機会が多く、このカット部が成長してタイヤ破壊を起こしたり、カット部より侵入した雨水等がスチールコード補強材を腐食してタイヤ破壊を引き起こしたりし易い。したがって、上記タイヤの、特に、トレッド部に耐カット性及び耐チッピング性の優れたゴム組成物が必要とされている。
本出願人は、ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関する一連の研究開発活動を通じて、シリカをゴム組成物中に配合させることが、ゴム組成物の耐久性の向上に有効であるとの知見を得ている。そして、そのシリカの配合量は多いほど効果がみられることも見出している。しかしながら、シリカの配合量を増加するのに伴って、ゴム組成物の製造および加工時における工場作業性が低下することについても知見している。
そこで、本出願人は、上記従来の解決されるべき問題点を克服するために、シリカをゴム組成物中に配合するゴム組成物中に、シリコーンオイルで処理されたシリカを配合することによって、その出願時には、上記の問題点の多くを改善したゴム組成物を完成させた(特許文献1及び2)。
しかしながら、耐カット性及び耐チッピング性に優れ、発熱性の低い、耐久性に優れたゴム組成物に対する要求は今なお続いている。
そこで、本出願人はさらに改良研究を重ね、今回、ゴムの主成分たるNR(天然ゴム)又はSBR(スチレン−ブタジエンゴム)に1,3−ダイポール化合物を配合・改質処理したゴム組成物に、更に予めシリコーンオイルで処理したシリカを配合することによって、ゴム組成物の耐カット性及び耐チッピング性が更に改善されることを見出し、本発明を完成した。本発明ゴム組成物は、耐カット性及び耐チッピング性の向上と併せて、その製造および加工時における工場作業性についても、従来のゴム組成物に比較して改善されたものとなっている。
特開2004−123926号公報
特開2004−231691号公報
本出願人は、ゴム組成物およびそれを用いたタイヤに関する一連の研究開発活動を通じて、シリカをゴム組成物中に配合させることが、ゴム組成物の耐久性の向上に有効であるとの知見を得ている。そして、そのシリカの配合量は多いほど効果がみられることも見出している。しかしながら、シリカの配合量を増加するのに伴って、ゴム組成物の製造および加工時における工場作業性が低下することについても知見している。
そこで、本出願人は、上記従来の解決されるべき問題点を克服するために、シリカをゴム組成物中に配合するゴム組成物中に、シリコーンオイルで処理されたシリカを配合することによって、その出願時には、上記の問題点の多くを改善したゴム組成物を完成させた(特許文献1及び2)。
しかしながら、耐カット性及び耐チッピング性に優れ、発熱性の低い、耐久性に優れたゴム組成物に対する要求は今なお続いている。
そこで、本出願人はさらに改良研究を重ね、今回、ゴムの主成分たるNR(天然ゴム)又はSBR(スチレン−ブタジエンゴム)に1,3−ダイポール化合物を配合・改質処理したゴム組成物に、更に予めシリコーンオイルで処理したシリカを配合することによって、ゴム組成物の耐カット性及び耐チッピング性が更に改善されることを見出し、本発明を完成した。本発明ゴム組成物は、耐カット性及び耐チッピング性の向上と併せて、その製造および加工時における工場作業性についても、従来のゴム組成物に比較して改善されたものとなっている。
本発明は、上記課題に鑑み、重荷重用空気入りタイヤ及びオフロード用タイヤに好適に使用できる耐カット−チッピング性、及び低発熱性を両立させたゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するため、ゴム組成物中に、ゴム成分としてSBR等の合成ゴム又は天然ゴムを用い、これに対して、ゴム組成物の耐カット−チッピング性及び低発熱性を図る目的で、後述する1,3−ダイポール化合物を配合・処理してゴム組成物の構造上の改質を行った後、更に当該改質後のゴム組成物に対して、後述するようなシリカを配合・処理することによって、上記課題を解決した本発明ゴム組成物を完成させた。
即ち、本発明は、以下の手段あるいは構成を特徴とするものである。
即ち、本発明は、以下の手段あるいは構成を特徴とするものである。
(1) ゴム成分100質量部に対して、ダイポーラー窒素を含む部分Q、及び酸素原子又は硫黄原子を含む4〜6員環状の窒素含有複素環部分Bを有する1,3−ダイポール化合物を0.1〜30質量部、並びにシリコーンオイルで熱処理されたシリカを5〜90質量%で配合してなるゴム組成物。
(2) ダイポーラー窒素部分が、A1−C(A2)=N(A3)→O、A1−C≡N→O、及びA1−C≡N→N−A4の少なくとも1以上から選択され、該A1〜A4はそれぞれ異なっていても良い水素原子又は炭素数が20以下の基又は上記Bを連結する連結鎖であり、上記1,3−ダイポール化合物が少なくともA1〜A4の1つ以上に上記Bが連結している前記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 前記1,3−ダイポール化合物のA1〜A4は、水素原子、炭素数が1〜20の範囲にあるアルキル基、及び炭素数が6〜20の範囲にあるアリール基(但し、芳香族環にはニトロ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基、アシル基、カルボニルアルキル基、アルキル基、及びアルコキシル基を有してよい。)の何れか1つから選択される基、又はそれらの連結鎖である前記(2)に記載のゴム組成物。
(4) 前記B部分の窒素含有複素環がオキサゾリン環又はチアゾリン環である前記(3)に記載のゴム組成物。
(5) 前記シリコーンオイルで熱処理されたシリカが、窒素吸着比表面積(N2SA)180〜270m2/gである前記(1)〜(4)のいずれかに記載のゴム組成物。
(6) 前記1,3−ダイポール化合物が、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルイミンの1以上のものからなる前記(5)に記載のゴム組成物。
(7) 前記(1)〜(6)の何れか一に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入りタイヤ。
(8) 前記(1)〜(6)の何れか一に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入り重荷重用タイヤ。
(9) 前記(1)〜(6)の何れか一に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入りオフロード用タイヤ。
(2) ダイポーラー窒素部分が、A1−C(A2)=N(A3)→O、A1−C≡N→O、及びA1−C≡N→N−A4の少なくとも1以上から選択され、該A1〜A4はそれぞれ異なっていても良い水素原子又は炭素数が20以下の基又は上記Bを連結する連結鎖であり、上記1,3−ダイポール化合物が少なくともA1〜A4の1つ以上に上記Bが連結している前記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 前記1,3−ダイポール化合物のA1〜A4は、水素原子、炭素数が1〜20の範囲にあるアルキル基、及び炭素数が6〜20の範囲にあるアリール基(但し、芳香族環にはニトロ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基、アシル基、カルボニルアルキル基、アルキル基、及びアルコキシル基を有してよい。)の何れか1つから選択される基、又はそれらの連結鎖である前記(2)に記載のゴム組成物。
(4) 前記B部分の窒素含有複素環がオキサゾリン環又はチアゾリン環である前記(3)に記載のゴム組成物。
(5) 前記シリコーンオイルで熱処理されたシリカが、窒素吸着比表面積(N2SA)180〜270m2/gである前記(1)〜(4)のいずれかに記載のゴム組成物。
(6) 前記1,3−ダイポール化合物が、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルイミンの1以上のものからなる前記(5)に記載のゴム組成物。
(7) 前記(1)〜(6)の何れか一に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入りタイヤ。
(8) 前記(1)〜(6)の何れか一に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入り重荷重用タイヤ。
(9) 前記(1)〜(6)の何れか一に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入りオフロード用タイヤ。
上記手段によれば、ゴム組成物に前記の1,3−ダイポール化合物及びシリコーンオイルで熱処理したシリカを所定量を添加・配合することにより、耐摩耗性、耐偏摩耗性、及び低ヒステリシスロス性を改善させ、タイヤの性能を改良することができる。本発明によるゴム組成物への1,3−ダイポール化合物の配合・処理と、それに続くシリコーンオイルで熱処理したシリカの配合により、本発明者による先行する特許出願(特開2004−123926号公報)に係るシリコーンオイルで熱処理したシリカ及びヒドラゾン化合物を配合したゴム組成物に比較して、更に、耐カット性及び耐チッピング性の向上、並びに、発熱性の低減の効果がもたらされる。
これは、1,3−ダイポール化合物が、SBR及び変性SBRのゴム成分中の二重結合部分(P)と化合物のQ部分が下記反応式(1)〜(3)の反応が生じることによるものと考えられる。
これは、1,3−ダイポール化合物が、SBR及び変性SBRのゴム成分中の二重結合部分(P)と化合物のQ部分が下記反応式(1)〜(3)の反応が生じることによるものと考えられる。
更に、カーボンブラック(CB)あるいはホワイトカーボン(又はシリカフィラー)と化合物B部分が下記反応式(4)〜(15)式の反応が生じる。
このような化合物の作用により、ゴム組成物においてカーボンブラック及びホワイトカーボンが十分に拡散される。その結果として、耐摩耗性に加えてトレッドゴムの低発熱性及び低ヒステリシスロス性が更に改善され、空気入り重荷重用タイヤ及びオフロード用タイヤとしての使用性能も更に高まる。
以下に、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、以下に定義されるような1,3−ダイポール化合物を0.1〜30質量部を添加して改質処理を施した後、下記において詳述するようなシリコーンオイルで熱処理されたシリカを3〜50質量部配合してなることを特徴とする。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、以下に定義されるような1,3−ダイポール化合物を0.1〜30質量部を添加して改質処理を施した後、下記において詳述するようなシリコーンオイルで熱処理されたシリカを3〜50質量部配合してなることを特徴とする。
本発明のゴム組成物に配合される上記1,3−ダイポール化合物としては、ダイポーラー窒素を含む部分Q、及び酸素原子又は硫黄原子を含む4〜6員環状の窒素含有複素環を含む部分Bを有する化合物(式I〜III)が使用される。1,3−ダイポール化合物としては、ダイポーラー窒素部分を含む限り本発明の化合物である。特に好ましいダイポーラー窒素部分の具体的なものとしては、A1−C(A2)=N(A3)→O(ニトロン系)、A1−C≡N→O(ニトリルオキサイド系)、及びA1−C≡N→N−A4(ニトリルイミン系)の3つが挙げられる。これらのダイポーラー窒素部分Qは、ゴム成分等のポリマー中の二重結合部分と上述の反応式(1)〜(3)で示すように反応結合するものである。
上記のニトロン系、ニトリルオキサイド系、及びニトリルイミン系のダイポーラー窒素部分Qにおける各A1〜A4の基は、水素原子、又は炭素数が20以下の基あるいは連結鎖であることが望ましい。炭素数が20を超えると、1,3−ダイポール化合物自体の分子量が嵩み、ゴム成分との反応性が悪くなる。
上記の1,3−ダイポール化合物はB部分を有していることから、A1〜A4はB部分を連結する連結鎖となり得る。但し、A1〜A3の場合、A1のみの場合、又はA1及びA4の場合は、少なくとも1つ以上がB部分と連結しており、B部分が複数存在していても良い。尚、A1〜A4はそれぞれ異なるものであっても良く、同一のものであっても良い。
上記の1,3−ダイポール化合物のA1〜A4の具体的な基又は連結鎖としては、具体的には水素原子、炭素数が1〜20の範囲にあるアルキル基、及び炭素数が6〜20の範囲にあるアリール基(但し、芳香族環にはニトロ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基、アシル基、カルボニルアルキル基、アルキル基、及びアルコキシル基を有してよい。)の何れか1つから選択される基、又はそれらの連結鎖である。上記アルキル基、アシル基、カルボニルアルキル基、及びアルコキシル基は、分岐鎖を有していても良く、またシクロ環があっても良い。またA1〜A4はそれぞれ異なっても良い。
上記の1,3−ダイポール化合物のB部分は、オキゼチン系、チオゼチン系、オキサゾリン系、チアゾリン系、テトラヒドロオキサジン系及びテトラヒドロチオキサジン系等の酸素又は硫黄を有する窒素含有複素環からなる。特に、下記構造式(I)〜(III)で表される4〜6員の窒素含有複素環からなる(表中のXは、酸素原子:O又は硫黄原子:S)。中でも、構造式(II)のオキサゾリン及びチアゾリンが望ましい。また、各構造式中において、R1〜R7は、水素原子、又は炭素数が20以下の基又は連結鎖である。また、A1〜A4の場合と同様に各構造式において、R1〜R3の場合、R1〜R5の場合、又はR1〜R7の場合には、少なくとも1以上がQと連結しているA1〜A4に相当する。1,3−ダイポール化合物のB部分は、下記反応式(4)〜(15)の結合反応が起こり、カーボンブラック及びホワイトカーボンをゴム成分のポリマー中に均一に取り込むことができる。
上記の1,3−ダイポール化合物の具体的なものとしては、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルイミン等を挙げることができる。
このような1,3−ダイポール化合物において、例えば、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン(以下、4OPMNという。)及び4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン(以下、4OPPNという。)を具体的に挙げることができる。
本発明において用いられる1,3−ダイポール化合物の製造方法は、過度の実験をしなくても製造できる。例えば、4OPMN及び4OPPNに関しては後述する実施例においてその製造方法を示すことができる。また、他の化合物についても、他の開始物質及び中間物質を適宜選択することにより代表的な製造方法で製造することができる。
1,3−ダイポール化合物は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲で配合される。特に、0.1〜5質量部の範囲で配合されていることが好ましい。配合量が0.1質量部未満では、低発熱化及び低ヒステリシスロス性の効果が十分でない。又、配合量が30質量部を超えると、著しいコストアップになり好ましくない。
本発明のゴム組成物には、上記の1,3−ダイポール化合物の他に、以下に詳述するシリコーンオイルで熱処理したシリカが必須組成分として配合される。
このシリコーンオイルで熱処理されたシリカとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が180〜270m2/gの範囲にあるものが好適に使用される。このN2SAが180m2/g未満では耐摩耗性が不充分になるおそれがあり、一方、N2SAが270m2/gを超えると分散不良を引き起こし、低発熱性、耐摩耗性及び工場作業性が著しく低下する原因になることがある。
なお、上記のN2SAは、300℃で1時間乾燥後、ASTM D4820−93に準拠して測定した値である。このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの中で湿式シリカが特に好適である。
本発明に好適に用いられるシリカとしては、例えば、日本シリカ工業(株)のニプシルAQやSS30A等が挙げられる。
前記のようなシリコーンオイルで熱処理したシリカは、前記の1,3−ダイポール化合物で処理したゴム組成物のゴム分100質量部に対して、3〜50質量部の範囲で配合することが好ましい。さらに当該シリコーンオイルで熱処理したシリカの配合量は、本発明のゴム組成物に配合せしめた総充填剤量の5〜90質量%の範囲であることが好ましい。後者の本願ゴム組成物に用いられる充填剤の全量中に含まれる当該シリコーンオイルで熱処理したシリカの配合量が90質量%を超えると、作業性の著しい悪化及び破壊特性の低下のおそれがあり、又、当該配合量が5質量%未満では、低発熱化の効果が小さいと共に、チッピング改良の効果が乏しい。
なお、上記のN2SAは、300℃で1時間乾燥後、ASTM D4820−93に準拠して測定した値である。このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの中で湿式シリカが特に好適である。
本発明に好適に用いられるシリカとしては、例えば、日本シリカ工業(株)のニプシルAQやSS30A等が挙げられる。
前記のようなシリコーンオイルで熱処理したシリカは、前記の1,3−ダイポール化合物で処理したゴム組成物のゴム分100質量部に対して、3〜50質量部の範囲で配合することが好ましい。さらに当該シリコーンオイルで熱処理したシリカの配合量は、本発明のゴム組成物に配合せしめた総充填剤量の5〜90質量%の範囲であることが好ましい。後者の本願ゴム組成物に用いられる充填剤の全量中に含まれる当該シリコーンオイルで熱処理したシリカの配合量が90質量%を超えると、作業性の著しい悪化及び破壊特性の低下のおそれがあり、又、当該配合量が5質量%未満では、低発熱化の効果が小さいと共に、チッピング改良の効果が乏しい。
前記のシリコーンオイルで熱処理したシリカは、表面エネルギーを低下させ、シリカ粒子間の凝集を弱め、流動性を向上させることが出来る。これらの目的に使用されるシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルコキシ基含有メチルシリコーンオイル等が挙げられる。本発明に好適に用いられるシリコーンオイルとしては、例えば、信越化学社製 Hオイル(KF99)が挙げられる。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物においては、シリコーンオイルで熱処理したシリカを配合するに際し、シリカとゴム成分間の結合を強化し、低発熱性と耐摩耗性を維持向上させるために、シランカップリング剤を添加してもよい。
この目的に使用されるシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ポリスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルポリスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルポリスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルポリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールポリスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールポリスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ポリスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルポリスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールポリスルフィド等が挙げられる。
これらは、1種で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールポリスルフィドなどが好ましい。
上記シランカップリング剤の配合量としては、シリコーンオイルで熱処理したシリカの配合量に対して、5〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
上記シランカップリング剤の配合量としては、シリコーンオイルで熱処理したシリカの配合量に対して、5〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
本発明のゴム組成物には、本発明の必須の組成分としての前記の1,3−ダイポール化合物及びシリコーンオイルで熱処理したシリカ以外に、任意の充填剤として、カーボンブラック等のゴム工業で通常使用されている種々の成分を含むことができる。その他、例えば、種々の成分として、充填剤(例えば、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウムなどの無機充填剤);並びに加硫促進剤;老化防止剤;酸化亜鉛;ステアリン酸;軟化剤;及びオゾン劣化防止剤等の添加剤を挙げることができる。なお、加硫促進剤としては、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)及びCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系加硫促進剤;TT(テトラメチルチウラムスルフィド)等のチウラム系加硫促進剤;並びにDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができる。
上記に掲げたような任意の充填材のうち、カーボンブラックが特に好ましい。
カーボンブラックについては、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜180m2/gであり、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が60〜200ml/100gの範囲のものが好適である。このN2SAが30m2/g未満では発熱性には優れるが、耐摩耗性など破壊特性が著しく低下し、また、N2SAが180m2/gを超えると作業性著しく低下する。耐摩耗性及び低発熱性能のバランス的な観点から、上記の範囲が好ましい。DBPが60ml/100g未満では耐摩耗性が得られにくく、180ml/100gを超えると耐疲労性が低下してチッピングの発生等により、耐摩耗性が低下するおそれがある。
カーボンブラックについては、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜180m2/gであり、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が60〜200ml/100gの範囲のものが好適である。このN2SAが30m2/g未満では発熱性には優れるが、耐摩耗性など破壊特性が著しく低下し、また、N2SAが180m2/gを超えると作業性著しく低下する。耐摩耗性及び低発熱性能のバランス的な観点から、上記の範囲が好ましい。DBPが60ml/100g未満では耐摩耗性が得られにくく、180ml/100gを超えると耐疲労性が低下してチッピングの発生等により、耐摩耗性が低下するおそれがある。
カーボンブラックはゴム成分100質量部に対して20〜90質量部の範囲で使用されることが好ましい。カーボンブラックの使用量が20質量部未満では耐摩耗性が充分に発揮されないおそれがあり、90質量部を超えると低発熱性能が低下したり、分散不良をもたらし、耐摩耗性などが悪化する原因となる。耐摩耗性、低発熱性能及び分散性などを考慮すると、カーボンブラックの配合量は30〜70質量部の範囲がより好ましい。
なお、N2SAはASTM D3037−88に準拠して測定した値であり、DBPは、JIS K6221−1982(A法)に準拠して測定した値である。カーボンブラックとしては特にその種類に限定はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このカーボンブラックとしては、耐摩耗性に優れるHAF,ISAF及びSAF等が好適である。
なお、N2SAはASTM D3037−88に準拠して測定した値であり、DBPは、JIS K6221−1982(A法)に準拠して測定した値である。カーボンブラックとしては特にその種類に限定はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このカーボンブラックとしては、耐摩耗性に優れるHAF,ISAF及びSAF等が好適である。
本発明のゴム組成物において使用されるゴム成分は、天然ゴム及びジエン系ゴムのいずれであっても良いが、天然ゴム単独、又は、天然ゴムと合成ゴムのブレンドゴムの系が好適に使用し得る。これらのゴム成分は、本発明において用いられる1,3−ダイポール化合物との反応性に富んでいるため、良好に改質され得る。更に引き続いて添加・配合されるシリコーンオイルで熱処理したシリカによる改良効果も相俟って、本発明の目的とするゴム組成物の耐摩耗性および低発熱性の効果は顕著である。
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、タイヤトレッド部(キャップトレッドおよび/またはアンダートレッド)、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤ用部材として用いることができるが、特に耐摩耗性と低発熱性を高度にバランスさせた重荷重用タイヤのトレッド部(キャップトレッドおよび/またはアンダートレッド)のゴム組成物として好適に使用される。
本発明のゴム組成物は、ホース、ベルト等の一般的なゴム製品に使用できる。特に、ゴム組成物は空気入りタイヤに使用することが好適である。また、空気入りタイヤにあってはそのトレッド部分に適用することが望ましい。そして、トレッド部分が耐摩耗性及び低発熱性の寄与が大きいため、重荷重用空気入りタイヤ及び長時間の悪路走行耐久性が要求されるオフロード用空気入りタイヤとして好適に使用できる。このような本発明の空気入りタイヤは、充填される気体として、空気、又は窒素などの不活性なガスを用いることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
各種の測定は以下の方法により行なった。
各種の測定は以下の方法により行なった。
(実施例1〜9及び比較例1〜4)
各実施例及び比較例のゴム組成物を下記表1に示し、下記表1の配合表に従ってバンバリーミキサーを使用して架橋前のゴム組成物を調製し、調製したゴム組成物を用いて、3700R57規格のタイヤを作成した。
各実施例及び比較例のゴム組成物を下記表1に示し、下記表1の配合表に従ってバンバリーミキサーを使用して架橋前のゴム組成物を調製し、調製したゴム組成物を用いて、3700R57規格のタイヤを作成した。
*1)#1500;乳化重合SBR
*2)加硫促進剤MBTS: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
*5)ムーニー粘度INDEX: 数値が小さいほど粘度が高く作業性が悪い。
尚、*3)4OPPN及び*4)4OPMNは、以下の如く製造した。
*2)加硫促進剤MBTS: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
*5)ムーニー粘度INDEX: 数値が小さいほど粘度が高く作業性が悪い。
尚、*3)4OPPN及び*4)4OPMNは、以下の如く製造した。
<4OPPNの製造>
クロロホルム300mlに15.0gの4−ホルミル−ベンゾイルクロライド(1当量)を攪拌混合した溶液に、クロロホルム200mlに10.9gの2−アミノエタノール(2当量)を加えた溶液を−10℃下で滴下して加えた。この溶液を25℃に2時間おいた後、白色沈殿物が濾過により除かれた。濾液はロータリーエバポレータにより乾燥させ、17.4gの黄色液である4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミドを得た。
濃硫酸50mlに4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミド17.4gを攪拌しながら滴下し、混合物を100℃で1時間加熱した。この溶液に20%水酸化ナトリウム及びクロロホルムの各500mlを攪拌混合しながら滴下し、温度を15℃以下に維持した。生成層が分離され乾燥されて、6.3gの4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒドを得た。
4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(1当量、6.3g)とN−フェニル−ヒドロキシアミン(1当量、3.9g)との混合物を100mlのエタノール中で30分間還流して、50ml量に濃縮した。水50mlの同量を添加して、混合物を冷蔵庫に5℃にて一昼夜冷却した。濾過分離及び乾燥により白色結晶が得られ、6.7gの4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニルニトロンを生成した。
クロロホルム300mlに15.0gの4−ホルミル−ベンゾイルクロライド(1当量)を攪拌混合した溶液に、クロロホルム200mlに10.9gの2−アミノエタノール(2当量)を加えた溶液を−10℃下で滴下して加えた。この溶液を25℃に2時間おいた後、白色沈殿物が濾過により除かれた。濾液はロータリーエバポレータにより乾燥させ、17.4gの黄色液である4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミドを得た。
濃硫酸50mlに4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミド17.4gを攪拌しながら滴下し、混合物を100℃で1時間加熱した。この溶液に20%水酸化ナトリウム及びクロロホルムの各500mlを攪拌混合しながら滴下し、温度を15℃以下に維持した。生成層が分離され乾燥されて、6.3gの4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒドを得た。
4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(1当量、6.3g)とN−フェニル−ヒドロキシアミン(1当量、3.9g)との混合物を100mlのエタノール中で30分間還流して、50ml量に濃縮した。水50mlの同量を添加して、混合物を冷蔵庫に5℃にて一昼夜冷却した。濾過分離及び乾燥により白色結晶が得られ、6.7gの4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニルニトロンを生成した。
<4OPMNの製造>
クロロホルム300mlに4−ホルミル−ベンゾイルクロライド(15.0g、89mmol)を攪拌混合した溶液に、クロロホルム200mlに2−アミノエタノール(10.9g、178mmol)を加えた溶液を−10℃下で滴下して加えた。この溶液を25℃に2時間おいた後、白色沈殿物が濾過により除かれた。濾液はロータリーエバポレータにより乾燥させ、17g(88mmol)の黄色液である4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンズアミドを得た。
濃硫酸50mlに4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミド(17g、88mmol)を攪拌しながら滴下し、混合物を100℃で1時間加熱した。この溶液に20%水酸化ナトリウム液及びクロロホルムのそれぞれ500mlを混合し攪拌しながら滴下し、温度を15℃以下に維持した。生成層が分離され乾燥されて、6.3g(36mmol)の4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(収率41%)を得た。
4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(1当量、6.3g)とN−メチル−ヒドロキシアミン(1.7g、36mmol)との混合物を100mlのエタノール中で30分間還流して、50ml量に濃縮した。水50mlの同量を添加して、混合物を冷蔵庫に5℃にて一昼夜冷却した。濾過分離及び乾燥により白色結晶が得られ、5.1gの4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチルニトロン(収率69%)を生成した。
クロロホルム300mlに4−ホルミル−ベンゾイルクロライド(15.0g、89mmol)を攪拌混合した溶液に、クロロホルム200mlに2−アミノエタノール(10.9g、178mmol)を加えた溶液を−10℃下で滴下して加えた。この溶液を25℃に2時間おいた後、白色沈殿物が濾過により除かれた。濾液はロータリーエバポレータにより乾燥させ、17g(88mmol)の黄色液である4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンズアミドを得た。
濃硫酸50mlに4−ホルミル−N−(2−ヒドロキシエチル)−ベンザミド(17g、88mmol)を攪拌しながら滴下し、混合物を100℃で1時間加熱した。この溶液に20%水酸化ナトリウム液及びクロロホルムのそれぞれ500mlを混合し攪拌しながら滴下し、温度を15℃以下に維持した。生成層が分離され乾燥されて、6.3g(36mmol)の4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(収率41%)を得た。
4−(2−オキサゾリル)−ベンズアルデヒド(1当量、6.3g)とN−メチル−ヒドロキシアミン(1.7g、36mmol)との混合物を100mlのエタノール中で30分間還流して、50ml量に濃縮した。水50mlの同量を添加して、混合物を冷蔵庫に5℃にて一昼夜冷却した。濾過分離及び乾燥により白色結晶が得られ、5.1gの4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチルニトロン(収率69%)を生成した。
<シリコーンオイルで熱処理したシリカの調製>
シリカを流動式混合機(株式会社三井三池製作所製、ヘンシェルミキサー)に仕込み、該シリカ100質量部に対して、ジメチルシリコーンオイル KF96(信越化学工業社製)10質量部を投入し、5分間混合撹拌した。得られた混合粉末を50℃で1日放置し、表記「シリコーンオイルで熱処理されたシリカ」、すなわち表面処理シリカを得た。
シリカを流動式混合機(株式会社三井三池製作所製、ヘンシェルミキサー)に仕込み、該シリカ100質量部に対して、ジメチルシリコーンオイル KF96(信越化学工業社製)10質量部を投入し、5分間混合撹拌した。得られた混合粉末を50℃で1日放置し、表記「シリコーンオイルで熱処理されたシリカ」、すなわち表面処理シリカを得た。
次に、各実施例及び各比較例についてのタイヤの性能試験を行った。その結果を上記表1に併せて示した。ゴム組成物の性能試験は、以下に記すような低発熱性及び耐摩耗性を評価することによって行った。
[ムーニー粘度(ML1+4)]
ゴム組成物の加工性の評価として、SHIMADZU社製 MOONY VISCOMETER SMV201を用いて、加硫系配合剤を添加して混練した未加硫ゴム試料を、130℃で1分間予熱をした後、ロータの回転をスタートさせ4分後の値をML1+4として測定した。値が小さいほど、加工性がよいことを示す。
ゴム組成物の加工性の評価として、SHIMADZU社製 MOONY VISCOMETER SMV201を用いて、加硫系配合剤を添加して混練した未加硫ゴム試料を、130℃で1分間予熱をした後、ロータの回転をスタートさせ4分後の値をML1+4として測定した。値が小さいほど、加工性がよいことを示す。
[硬度]
JIS K 6301に準拠してスプリングかたさ試験(A型)にて硬度を測定した。数値の大きい方が硬度が高いことを示す。
JIS K 6301に準拠してスプリングかたさ試験(A型)にて硬度を測定した。数値の大きい方が硬度が高いことを示す。
[発熱性の評価]
10km/hの速度・ステップロード条件のドラムシステムを実施し、トレッドの深さ90mmの位置における温度を測定し、比較例1を対照値(コントロール)100として、各例を指数で表示した。指数の値が大きい程、低発熱性に優れていることを示す。
実施例1〜4と比較例1の結果とを比較した場合、比較例1のコントロールに比べて発熱性が抑えられ、本発明ゴム組成物は低発熱性に優れているがわかる。これは、シリコーンオイルで熱処理したシリカのゴム組成物への配合量が多いほど、ゴム組成物としての発熱性が低減できることを示している。
10km/hの速度・ステップロード条件のドラムシステムを実施し、トレッドの深さ90mmの位置における温度を測定し、比較例1を対照値(コントロール)100として、各例を指数で表示した。指数の値が大きい程、低発熱性に優れていることを示す。
実施例1〜4と比較例1の結果とを比較した場合、比較例1のコントロールに比べて発熱性が抑えられ、本発明ゴム組成物は低発熱性に優れているがわかる。これは、シリコーンオイルで熱処理したシリカのゴム組成物への配合量が多いほど、ゴム組成物としての発熱性が低減できることを示している。
[耐摩耗性の評価]
2000時間走行後のタイヤにおけるトレッドゴムの耐摩耗指数Aを、下記式
A=M/(D0−D1)
により算出し、コントロール(比較例1)の値を100として指数表示した。
指数の値が大きい程、耐摩耗性の改良が大きいことを示す。
(ここで、Aは耐摩耗指数、Mは2000時間走行後の走行距離km、D0は走行前の溝深さmm、D1は走行後の溝深さmmである。)
実施例1〜5と比較例1の結果とを比較した場合、比較例1のコントロールに比べて実施例1〜5のいずれも耐摩耗性に優れていることがわかる。これは、シリコーンオイルで熱処理したシリカのゴム組成物への配合量が多いほど、ゴム組成物としての耐摩耗性を向上できることを示している。
2000時間走行後のタイヤにおけるトレッドゴムの耐摩耗指数Aを、下記式
A=M/(D0−D1)
により算出し、コントロール(比較例1)の値を100として指数表示した。
指数の値が大きい程、耐摩耗性の改良が大きいことを示す。
(ここで、Aは耐摩耗指数、Mは2000時間走行後の走行距離km、D0は走行前の溝深さmm、D1は走行後の溝深さmmである。)
実施例1〜5と比較例1の結果とを比較した場合、比較例1のコントロールに比べて実施例1〜5のいずれも耐摩耗性に優れていることがわかる。これは、シリコーンオイルで熱処理したシリカのゴム組成物への配合量が多いほど、ゴム組成物としての耐摩耗性を向上できることを示している。
[耐チッピング性の評価]
耐チッピング性は、2000時間走行後のタイヤにおけるトレッドゴム表面30cm×30cmあたりのゴムの欠落していない面積率を求め、コントロール(比較例1)の値を100とし、指数で示した。指数が大きい程、耐チッピング性が改良されたことを示す。
それぞれの評価結果を第1表に示す。
耐チッピング性は、2000時間走行後のタイヤにおけるトレッドゴム表面30cm×30cmあたりのゴムの欠落していない面積率を求め、コントロール(比較例1)の値を100とし、指数で示した。指数が大きい程、耐チッピング性が改良されたことを示す。
それぞれの評価結果を第1表に示す。
本発明のゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤは、低発熱性及び耐摩耗性(耐カット−チッピング性に基づく)が優れているので、それをタイヤのトレッドなどに使用した場合、重荷重用タイヤやオフロード用タイヤに好適に使用でき、かつ、工場作業性にも優れているので、産業上の利用価値が高い。
Claims (9)
- ゴム成分100質量部に対して、ダイポーラー窒素を含む部分Q、及び酸素原子又は硫黄原子を含む4〜6員環状の窒素含有複素環部分Bを有する1,3−ダイポール化合物を0.1〜30質量部、並びにシリコーンオイルで熱処理されたシリカを5〜90質量%で配合してなるゴム組成物。
- ダイポーラー窒素部分が、A1−C(A2)=N(A3)→O、A1−C≡N→O、及びA1−C≡N→N−A4の少なくとも1以上から選択され、該A1〜A4はそれぞれ異なっていても良い水素原子又は炭素数が20以下の基又は上記Bを連結する連結鎖であり、上記1,3−ダイポール化合物が少なくともA1〜A4の1つ以上に上記Bが連結している請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記1,3−ダイポール化合物のA1〜A4は、水素原子、炭素数が1〜20の範囲にあるアルキル基、及び炭素数が6〜20の範囲にあるアリール基(但し、芳香族環にはニトロ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基、アシル基、カルボニルアルキル基、アルキル基、及びアルコキシル基を有してよい。)の何れか1つから選択される基、又はそれらの連結鎖である請求項2に記載のゴム組成物。
- 前記B部分の窒素含有複素環がオキサゾリン環又はチアゾリン環である請求項3に記載のゴム組成物。
- 前記シリコーンオイルで熱処理されたシリカが、窒素吸着比表面積(N2SA)180〜270m2/gである請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
- 前記1,3−ダイポール化合物が、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−トリル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトロン、4−メトキシフェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトロン、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−メチル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルオキシド、4−(2−オキサゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、4−(2−チアゾリル)−フェニル−N−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−オキサゾリル)−フェニル−ニトリルイミン、フェニル−N−4−(2−チアゾリル)−フェニル−ニトリルイミンの1以上のものからなる請求項5記載のゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入りタイヤ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載されるゴム組成物を使用してなる重荷重用空気入りタイヤ。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載されるゴム組成物を使用してなる空気入りオフロード用タイヤ。
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JP2006043585A JP2007224071A (ja) | 2006-02-21 | 2006-02-21 | ゴム組成物及びそれを使用した空気入りタイヤ |
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