JP2007222831A - 光触媒装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の光触媒装置よりもエネルギー効率の高い光触媒装置を提供する。
【解決手段】 電界を印加することで電子を放出する電子放出源を形成した基板と発光体を形成した基板、及び封止部材とからなり、発光体からの発光を受光できる位置に光触媒を有することを特徴とする光触媒装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は高効率光触媒装置に関する。
光触媒に特定の波長を含む光を照射して反応を起こさせて、殺菌、消臭、防汚作用を発現させる製品がさまざまな用途で上市されている。これらの製品は主として光触媒層の形態を変えること、あるいは光触媒を化学的に処理すること等、光触媒層の改善が中心となっていた。
本発明者らは、特許公報3455653号公報(以下、特許文献1と記す)に示すように、二酸化チタン結晶配向膜を特定の方向に配向させることにより顕著な抗菌作用、すなわち光触媒活性を示すことを見出した。
一方、反応系全体のエネルギー効率を考えた場合、光照射側でのエネルギー効率の改善も必要な要素となる。本発明者等は特開2000−276999号公報(以下、特許文献2と記す)、特開2002−274819号公報(以下特許文献3と記す)に示すようなエネルギー効率の高い電子放出素子を提案した。
特許公報3455653号公報 特開2000−276999号公報 特開2002−274819号公報
本発明は、上記従来技術をさらに発展させたものである。
本発明の目的は、エネルギー効率がより高く、且つ活性の高い光触媒装置を提供することである。
本発明者等は、光触媒装置として好ましく用いられる構造体について鋭意検討を行った結果、特定の方法で電子を放出する発光装置により、特定の方向に配向した光触媒を励起することでエネルギー効率及び光触媒活性の高い光触媒装置を提供できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の光触媒装置は、電界を与えることで電子を放出する電子放出源を形成した第1の基板と、前記電子放出源と対向する発光体を形成した第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間を密閉する封止部材とを有し、前記発光体からの発光を受光できる位置に光触媒を有することを特徴とする。
本発明の光触媒装置は、「前記第2の基板及び/または前記第1の基板及び/または封止部材が透明乃至半透明部材からなること」、「前記光触媒が前記第2の基板及び/または前記第1の基板及び/または封止部材の少なくとも外側面の一部に存在すること」、「前記発光体を形成した第2の基板が透明乃至半透明であること」、「前記光触媒が金属酸化物からなること」、「前記光触媒が基板表面に、結晶配向膜が結晶表面と垂直方向に(001)、(100)、(211)、(101)及び(110)からなる結晶面のいずれかから選択された方向に配向されたものであること」、「励起子束縛エネルギーが25meV以上の物質を前記発光体として用いること」、「前記発光体が金属酸化物であること」、「前記発光体がピーク波長410nm以下の光を発光すること」、「前記発光体がピーク波長410nm以下の光を発光するものとピーク波長410〜830nmの光を発光するものとからなること」、「前記光触媒及び/または発光体が、Ti、Zn、Sr、Zr、Nb、Snの少なくともいずれか1種の金属を含む酸化物であること」、「前記光触媒及び/または発光体が平板状金属酸化物及び/または突起物を有する金属酸化物からなること」、「前記電子放出源は、断面の円換算径0.01〜100μm、かつ長さ0.1μm以上の突起物を有する金属酸化物であり、前記発光体は、断面の円換算径0.01〜100μm、かつ突起物の断面の円換算径に対する長さの比が1以上の突起物を有する金属酸化物であること」、「前記電子放出源を形成する金属酸化物は、少なくともZn及びAlのいずれかからなる金属酸化物を含有すること」、「前記電子放出源を形成する突起物を有する金属酸化物が導電性を有すること」、「前記電子放出源及び/または発光体を形成する前記突起物を有する金属酸化物が金属酸化物単結晶であること」、「前記電子放出源及び/または発光体を形成する金属酸化物の突起物を構成する金属酸化物結晶が相互に平行に、かつ突起物が成長している結晶軸と同一方向に成長していること」、「前記電子放出源及び/または発光体を形成する金属酸化物における突起物が、突起物を構成する金属酸化物面上の10μm×10μmの面積あたり0.01〜10000個の密度で存在すること」を好ましい様態として含むものである。
また、本発明の光触媒装置において、前記電子放出源、前記発光体を形成する金属酸化物、前記電子放出源を形成する金属酸化物における突起物の表面を被覆する金属酸化物の中から選ばれる少なくとも一つは、空気中の酸素または水と反応して酸化物を形成する金属化合物を原材料として用い、所定圧力の空気が存在する空間に設置された基板の面に、この金属化合物の気体及び/または微粒子を向かわせて、金属酸化物を基板面上に成長させる工程を有することを特徴とする。
本発明により、エネルギー効率の高い光触媒装置が得られる。
本発明の実施の形態に係わる光触媒装置について、以下具体的に例示して説明する。
図1、図2、図5に本発明の実施の形態に係わる光触媒装置の断面図を示す。
この光触媒装置は、導電性膜D2を被覆した基板(第1の基板)G2上に、電子放出源10、11が配置されている。さらに、開口部41を持つゲート電極4が絶縁性区画部材6を介して配置されている。対極側は、透明導電性膜D1を被覆した透明基板(第2の基板)G1上に、電子放出源10、11に向き合う形で紫外線から可視光領域までの4種類の異なる波長の光を発光する発光体H1〜H4が絶縁性区画部材Zを介して配置されており、透明基板G1上の発光体とは反対側に光触媒Cが配置されている。透明基板G1と基板G2の間は封止部材Jによって密閉された構造になっており、内部は減圧されている。また、透明導電性膜D1と導電性膜D2は外部と電気的に導通を取ることができるようになっている。
透明基板G1は光を透過しさえすれば光の透過率はいずれであっても差し支えないが、好ましくは全光線透過率で70%以上、好ましくは80%以上である。全光線透過率が低すぎると発光素子からの光が光触媒層に到達する割合が低くなり、エネルギー効率が下がり好ましくない。
本実施形態中の透明導電性膜とは、固有抵抗率が100kΩ/cm以下、好ましくは10Ω/cm以下である物質である透明部材のことをいう。光の透過率はいずれであっても差し支えないが、好ましくは全光線透過率で70%以上、好ましくは80%以上である。全光線透過率が低すぎると発光素子からの光が光触媒層に到達する割合が低くなり、エネルギー効率が下がり好ましくない。
透明導電性膜の具体例としては、ITO、FTO、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。
また、本実施形態中の導電性膜D2とは、固有抵抗率が100kΩ/cm以下、好ましくは10Ω/cm以下である物質である物質のことをいう。
透明導電性膜D1、導電性膜D2共に固有抵抗率が100kΩ/cmを越えると、抵抗が過大となり、光触媒装置としてのエネルギー効率が低くなりすぎるので使用できない。
本実施形態中の発光体H1〜H4は、電子線の刺激によってルミネセンスを発する物質であればいずれであっても差し支えない。
発光体が放出する光は、蛍光、燐光いずれであっても差し支えないし、蛍光と燐光の両方を含んでいても差し支えない。さらに、発光体が放出する光の波長は遠紫外線から遠赤外線までいずれの波長であっても差し支えない。好ましくはピーク波長が1nm〜830nmである。さらに好ましくはピーク波長が360nm〜410nmである。また、ピーク波長1nm〜410nmの光とピーク波長410〜830nmの1種類以上の光の両方を含むこともまた好ましい。
これら発光体は1種類で用いても、2種類以上を用いても差し支えない。2種類以上の発光体を用いる場合は、発光する光のピーク波長が1nm〜410nmであるものを含んでいることが好ましい。
発光体として励起子束縛エネルギーが25meV以上の物質が好ましく用いられる。励起子束縛エネルギーが25meV以上の物質の例として、ZnO、GaN、AlN、CdS、CdSe、CuCl等が挙げられる。
なお、発光体中に賦活剤を含有してもよい。また、発光体が賦活剤を均一に分散した状態で含有してもよい。さらに、発光体が導電性を有していても絶縁物でも差し支えない。
発光体として金属酸化物を用いることもまた好ましい。好ましくは、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Nb、Ag、Sn、Sb、Ba、La、Ce、Eu、Gd、Tb、Tm、Yb、Ta、W、Pbの少なくとも1種の金属を含む酸化物であり、特に好ましくはTi、Zn、Sr、Zr、Nb、Snの少なくとも1種の金属を含む酸化物である。これらの金属種は単独で用いられても、2種類以上を組み合わせて用いられてもどちらでもよい。
金属酸化物発光体の具体例として、Y2 2 S:Eu、Y2 3 :Eu、(Y,Gd)BO3 :Eu、(Y,Sr)TaO4 :Nb、Y2 3 :Tb、LaPO4 :Ce,Tb、Zn2 SiO4 :Mn、Gd2 2 S:Tb、(SrCaBaMg)5 (PO4 3 Cl:Eu、Y2 3 :Tm、BaMgAl1017:Eu、CaWO4 、Ca10(PO4 6 FCl:Sb,Mn、ZnO:Zn、ZnO:Al、MgAl1119:Tb、MgAl1119:Ce、CaWO4 、CaWO4 :Pb、MgWO4 、MgGa2 4 :Mn、Sr4 Al1425:Eu、Y3 Al5 12:Cr、Y2 SiO5 :Yb等が挙げられる。勿論これ以外の発光体であっても差し支えない。
金属酸化物は結晶、非晶いずれでもよいが、結晶であることが発光体としての効果に優れ好ましく、単結晶であることがさらに好ましい。
発光体としての金属酸化物の形状はいずれであっても差し支えない。具体的には、膜状、粒子状、柱状、及びこれらを複合した形態等が挙げられる。
本発明中の発光体を形成する電極の一例として、突起物を有する金属酸化物について詳細に説明する。
本実施形態中の発光体H1〜H4は、金属酸化物の薄膜(数nm〜数十nm)上に同じ種類の金属酸化物からなる突起物を有する金属酸化物である。なお、図1では、発光体を構成する、金属酸化物の薄膜は図示せず、同じ種類の金属酸化物からなる突起物のみを図示している。この金属酸化物からなる発光体H1〜H4は、断面の円換算径0.01〜100μm、かつ前記断面の円換算径に対する長さの比が1以上である。
前記発光体H1〜H4を構成する突起物を有する金属酸化物において、突起物の断面(突起物の長さ方向中心点での断面)の円換算径は小さいほど好ましいが、後述する方法では断面の円換算径が0.01μm未満の突起物を得ることは困難である。突起物の断面の円換算径が100μmを超えると、発光体が突起物を持つことで得られる蛍光の輝度を改善する効果に乏しく好ましくない。
突起物の断面の円換算径の好ましい範囲は0.01μm以上100μm以下であり、より好ましい範囲は0.01μm以上10μm以下であり、さらに好ましい範囲は0.1μm以上3μm以下である。
なお、円換算径とは、例えば画像解析を利用した従来公知の方法で測定された突起物の1/2の長さにおける断面積を、円周率πで除した値の平方根を2倍した値である。
突起物の円換算径、長さは以下の方法による走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって求める。まず、該金属酸化物の試料を、その上側表面の中心部を通りかつ突起物の長手方向と平行に延びる平面に沿って切断して断面を得る。得られた1つの断面について、上記の中心部を起点にして、突起物の長手方向に直角な方向に左右それぞれ100μmずつの範囲をSEMで観察し、その範囲内で断面側から観察可能な突起物のうち、断面側から突起物のそれぞれの側面全体が他の突起物によって視界がさえぎられずに観察が可能な突起物について、和平均円換算径と和平均長さを求める。この場合、複数の突起物の円換算径や長さは均一であってもまちまちであってもいずれであっても差し支えない。
前記発光体H1〜H4を構成する突起物を有する金属酸化物において、突起物の長さは0.1μm以上10000μm以下であることが好ましい。突起物の長さが0.1μm未満であると発光体が突起物を持つことで得られる蛍光の輝度を改善する効果が十分に得られ難く好ましくない。さらに、10000μmを超えると突起物の機械的強度が著しく低下し、好ましくない。突起物の長さのより好ましい範囲は0.5μm以上1000μm以下であり、さらに好ましい範囲は1μm以上500μm以下である。
前記発光体H1〜H4を構成する突起物を有する金属酸化物において、突起物の断面の円換算径に対する長さの比(アスペクト比)は1以上100未満であることが好ましい。アスペクト比が1未満の場合、蛍光の輝度を改善する作用が十分でない場合があり、好ましくない。また、アスペクト比が100を超えると、使用時に変形を生じる可能性が高くなる。
突起物が複数存在する場合、突起物の円換算径、長さ、突起物の断面の円換算径に対する長さの比(アスペクト比)は和平均値で算出される。なお、突起物の断面の円換算径に対する長さの比(アスペクト比)の和平均値は、和平均円換算径に対する和平均長さの比として定義される。
前記発光体H1〜H4を構成する突起物を有する金属酸化物において、突起物の配置密度は大きいほど好ましいが、本発明に記載の方法によって、基板面100μm2 あたりの配置密度が10000本を超える突起物を得ることは困難である。基板面100μm2 あたりの突起物の配置密度が0.01本未満であると、発光体が突起物を持つことで得られる蛍光の輝度を改善する効果が十分に得られ難く好ましくない。基板面100μm2 あたりの突起物の配置密度の好ましい範囲は0.01本以上10000本以下であり、より好ましい範囲は0.01本以上1000本以下であり、さらに好ましい範囲は1本以上500本以下である。
前記発光体H1〜H4を構成する突起物を有する金属酸化物において、突起物の中心軸は相互に平行であることが好ましい。突起物をなす金属酸化物は単結晶であることが好ましい。突起物が金属酸化物結晶である場合は、突起物は相互に平行に、かつ突起物が成長している結晶軸と同一方向に成長していることが好ましい。
前記発光体H1〜H4を構成する突起物を有する金属酸化物において、突起物の中心軸が相互に平行であることは、SEM、X線ロッキング曲線法、φ−スキャン法等通常公知の方法によって確認することができる。
導電性膜を有する基材上に発光体を形成する方法は通常公知のいずれの方法であってもよい。本実施形態のように発光体に金属酸化物を用いる場合では、被覆する金属酸化物を気相や液相を通じて物理的または化学的に金属酸化物上に形成する方法、例えば、蒸着、スパッタリング、ディッピング、及び溶液鍍金等の鍍金、塗布、印刷が挙げられる。また、焼き付け法等の方法も挙げられる。
また、上述したように、発光体として金属酸化物を用いる場合には、所定圧力の空気が存在する空間に導電性膜を有する基材を加熱した状態で設置し、導電性膜を有する基材に空気中の酸素または水等の大気中に含まれる化合物と反応して酸化物を形成する金属化合物の気体及び/または微粒子を向かわせて導電性膜を有する基材上に金属酸化物を形成する方法が好ましく用いられる。
この方法は、まず原材料である金属化合物を気体化及び/または微粒子化する。金属化合物を微粒子化する方法としては、例えば、金属化合物を蒸気圧が十分高くなる温度に加熱して気体化した後に得られた蒸気を冷却する方法、金属化合物を液状で噴霧する方法、金属化合物を固体の状態ですりつぶす方法等が挙げられる。
この工程では、系内に酸素や水を存在させないか、その存在量を極めて少なくしておくことが好ましい。このようにしないと、金属化合物と酸素または水との反応が生じ、配管につまりが生じたり、所望の形態の金属酸化物が基板上に形成されないおそれがある。ただし、使用する金属化合物の酸素及び水との反応速度が極めて遅い場合には、系内に酸素や水を共存させてもよい。
原材料である金属化合物としては、空気中の酸素または水と反応して目的とする金属酸化物が形成されるものを使用する。
このような金属化合物としては、例えば(i)アルコキシド類、(ii)配位子として、アセチルアセトン、エチレンジアミン、ピペリジン、ピピラジン、シクロヘキサンジアミン、テトラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンビス(グアニド)、エチレンビス(サリチルアミン)、テトラエチレングリコール、アミノエタノール、グリシン、トリグリシン、ナフチリジン、フェナントロリン、ペンタンジアミン、ピリジン、サリチルアルデヒド、サリチリデンアミン、ポルフィリン、チオ尿素などから選ばれる1種以上を有する錯体、(iii)配位子として、カルボニル基、アルキル基、アルケニル基、フェニルあるいはアルキルフェニル基、オレフィン基、アリール基、シクロブタジエン基をはじめとする共役ジエン基、シクロペンタジエニル基をはじめとするジエニル基、トリエン基、アレーン基、シクロヘプタトリエニル基をはじめとするトリエニル基などから選ばれる1種以上を有する、各種の有機金属化合物及びハロゲン化有機金属化合物が挙げられる。また、その他の金属錯体も使用することができる。
この中でも、アセチルアセトンを配位子として有する錯体及びアルコキシド類がより好ましく用いられる。
次に、気化及び/または微粒子化させた金属化合物を、所定圧力の空気が存在する雰囲気中で基板に向けて移動させ、金属化合物を酸素または水と反応させて基板上に金属酸化物を成長させる。
金属化合物の気体及び/または微粒子のみをそのまま基板面に向かわせてもよいし、キャリアガスを用いて金属化合物の気体及び/または微粒子を積極的に移動させ、キャリアガスとの混合状体でノズルから基板面に吹き付けてもよい。この場合のキャリアガスの流量は、気化及び/または微粒子化された金属化合物の温度や基板を設置する空間の雰囲気によってその最適値が異なるが、基板の設置空間が室温、常圧雰囲気である場合には、キャリアガスの流量を、空間体積値が20/分以下になるようにすることが好ましく、5/分以下となるようにすることがさらに好ましい。ここで、空間体積値とは、キャリアガスの流量R(1分あたりの体積)と、金属化合物を気体化及び/または微粒子化させる加熱槽(キャリアガスが導入される空間)の体積Vとの比(R/V)に相当する。
キャリアガスは、原材料の金属化合物と反応しないものであれば特に限定されない。具体例として、窒素ガスやヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガス、炭酸ガス、有機弗素ガス、あるいはヘプタン、ヘキサン等の有機物質等が挙げられる。これらのうちで、安全性、経済性の上から不活性ガスが好ましい。特に窒素ガスが経済性の面より好ましい。
キャリアガスを用いて、金属化合物をノズルから基板面に吹き付ける方法を採用する場合は、ノズルの吹き出し口と基板面との距離を所定範囲内とすることが好ましい。この範囲は、吹き出し口の開口部の長軸(断面が長方形である場合には長辺の長さ、正方形である場合には1辺の長さ)をL、吹き出し口と基板面との距離をKとしたときに、その比(K/L)が0.01以上1以下となるようにすることが好ましく、0.05以上0.7以下となるようにすることがより好ましく、0.1以上0.5以下となるようにすることがさらに好ましい。この比(K/L)が1を超えると、金属化合物が金属酸化物に変換される効率が低くなる。
基板の設置空間の雰囲気は、減圧下、常圧下、あるいは加圧下のいずれでもよい。しかしながら、高度な減圧下、例えば超真空下であると、酸化物単結晶の成長速度が遅く、生産性に劣るため好ましくない。加圧下で実施する場合、酸化物単結晶の成長速度に関しては問題ないが、加圧するための設備が必要となって好ましくない。従って、基板の設置空間の雰囲気は、1.01×102 〜2.03×106 Pa(0.001〜20atm)とすることが好ましく、1.01×104 〜1.01×106 Pa(0.1〜10atm)とすることがより好ましく、常圧とすることが最も好ましい。
基板面上に形成される金属酸化物の状態は、主に、基板温度と原材料である金属化合物の過飽和度([(実際の蒸気圧−平衡蒸気圧)/平衡蒸気圧]×100)によって決定される。
基板温度は原材料の基板面での拡散距離を決定する因子であり、この拡散距離によって単位面積あたりの金属酸化物結晶の数、すなわち核生成密度が決定される。核形成密度は、金属酸化物の形状に影響を及ぼす。一般に、基板温度が高いと核生成密度は小さくなって、単位面積あたりの金属酸化物結晶の数が小さくなる。基板温度が低いと核生成密度は大きくなって、単位面積あたりの金属酸化物結晶の数が大きくなる。従って、基板温度は、必要とする突起物の形成密度に応じて設定すればよい。この基板温度としては、0℃以上800℃以下が好ましく、20℃以上800℃以下がより好ましく、100℃以上700℃以下がさらに好ましい。また、基板温度が金属化合物ガスの温度より高い温度で、かつ基板近傍及び表面で金属酸化物が形成され得る温度であることも好ましい。
金属化合物の過飽和度は結晶晶癖を決定する因子であり、この結晶晶癖で金属酸化物結晶の径及び長さ、すなわちアスペクト比が決定される。一般に、過飽和度が低いと、金属酸化物結晶は、基板面に垂直な方向よりも水平な方向に成長する傾向にあるため、アスペクト比が小さくなる。過飽和度が高いと、金属酸化物結晶は、基板面に水平な方向よりも垂直な方向に成長する傾向にあるため、アスペクト比が大きくなる。
金属酸化物結晶のアスペクト比を1以上とするためには、過飽和度を1%以上とすることが好ましい。また、この過飽和度は10%以上とすることがより好ましく、さらに好ましくは20%以上である。
金属化合物を空気中の酸素または水と反応させて、金属酸化物を基板上にエピタキシャル成長させるための最適な反応時間は、反応条件や使用する原材料の種類に応じて異なる。例えば原材料として亜鉛アセチルアセトネートを用いた場合には、通常の室温、常圧雰囲気下では10分以上とすることが好ましい。さらに好ましくは30分以上、特に好ましくは1時間以上である。
金属酸化物が基板面上でエピタキシャル成長しているかどうかは、通常のX線回折法により確認することができる。特に、基板と金属酸化物結晶との面内方位関係を、φスキャン法で観察する方法を採用することが好ましい。
図4に、本発明記載の発光体を形成する好ましい一例である、突起物を有する金属酸化物の製造装置の一例を示す。この製造装置は、キャリアガスである窒素の供給源51と、キャリアガスの流量を調整する流量計52と、原材料である金属化合物を気化する加熱槽53と、キャリアガスを加熱槽53に導入する配管54と、加熱槽53で気化された金属化合物を基板G1に向かわせる配管55と、基板G1を加熱状態で保持する基板ステージ56とで構成されている。配管54には液体トラップ57が設けてある。この液体トラップ57は、供給源51から供給されたキャリアガス中に含まれる水を除去するためのものである。
配管55の先端部には所定形状の吹き出し口58が接続してあり、この吹き出し口58の開口部58aは、配管55からの気体が、基板G1の発光体H1〜H4を形成する面全体に吹き出されるように形成されている。また、配管55及び吹き出し口58はリボンヒーターで加熱されている。
なお、基材の所定の位置に選択的に発光体を形成する必要がある場合には、通常公知のマスキング方法を用いることができる。
本発明中の光触媒は、触媒あるいは基質の光吸収によって触媒反応を起こすものであればいずれであってもよい。ここで、光触媒が吸収する光の波長は遠紫外線から遠赤外線までいずれであっても差し支えない。好ましくは吸収する光のピーク波長が1nm〜830nm、さらに好ましくは10nm〜550nmである。
光触媒として金属酸化物が好ましく用いられる。さらに好ましくはTi、Zn、Sr、Zr、Nb、Snの少なくともいずれか1種の金属を含む酸化物である。また、金属酸化物が結晶からなるものも好ましい。さらに好ましくは単結晶である。
光触媒が存在する場所は発光体から放出された光を受光できる場所であり、かつ光触媒反応を起こさせる雰囲気にさらされる部分であればいずれであっても差し支えない。好ましくは発光体を有する基板及び/または封止部材の少なくとも外側面の一部であり、さらに好ましくは発光体を有する透明乃至半透明基板の外側面である。
光触媒の形状はいずれであっても差し支えない。具体的には、膜状、粒子状、柱状等が挙げられる。また、基板表面に、結晶配向膜が結晶表面と垂直方向に(001)、(100)、(211)、(101)及び(110)からなる結晶面のいずれかから選択された方向に配向されたものもまた好ましい。
基材上に光触媒を形成する方法は通常公知のいずれの方法であってもよい。一例として発光体に金属酸化物を用いる場合では、被覆する金属酸化物を気相や液相を通じて物理的または化学的に金属酸化物上に形成する方法、例えば、蒸着、スパッタリング、ディッピング、及び溶液鍍金等の鍍金、塗布、印刷が挙げられる。また、焼き付け法等の方法も挙げられる。さらに、上述した本発明中の突起物を有する金属酸化物を形成する方法も挙げられる。
なお、基材の所定の位置に選択的に光触媒を形成する必要がある場合には、通常公知のマスキング方法を用いることができる。
本発明中の電子放出源は、電界を与えることで電子を放出する陰極素子のことをいう。電子放出源の具体例として、スピント型電極、シングルウォールカーボンナノチューブを利用及び/または加工した陰極(シングルウォールカーボンナノチューブ型電極)、マルチウォールカーボンナノチューブを利用及び/または加工した陰極(マルチウォールカーボンナノチューブ型電極)、金属酸化物ウイスカーを利用及び/または加工した陰極(金属酸化物ウイスカー型電極)、Ballistic electron Surface−Emitting Display(BSD)型電極、Ballistic Lighting Display(BLD)型電極、Metal Insulator Metal(MIM)型電極、Surface Conduction Emission(SCE)型電極が挙げられる。勿論これ以外であっても、電界を与えることで電子を放出する陰極素子であればいずれであっても差し支えない。これらの中で、スピント型電極、シングルウォールカーボンナノチューブを利用及び/または加工した陰極(シングルウォールカーボンナノチューブ型電極)、マルチウォールカーボンナノチューブを利用及び/または加工した陰極(マルチウォールカーボンナノチューブ型電極)、金属酸化物ウイスカーを利用及び/または加工した陰極(金属酸化物ウイスカー型電極)が、導電性を有する基材上に電子放出源を作製しやすいことから、特に好ましく用いられる。
金属酸化物ウイスカー型電極の場合、本発明中の突起物を有する金属酸化物が好ましく用いられる。
本実施形態中の電子放出源11(図2参照)は、金属酸化物の薄膜(数nm〜数十nm)上に同じ種類の金属酸化物からなる突起物を有する金属酸化物である。なお、図2では、電子放出源を構成する、金属酸化物の薄膜は図示せず、同じ種類の金属酸化物からなる突起物のみを図示している。よって、以下、電子放出源を突起物11ともいう。この金属酸化物からなる電子放出源が有する突起物11は、断面の円換算径0.01〜100μm、かつ長さ0.1μm以上である。
前記電子放出源である、前記突起物を有する金属酸化物において、突起物11の断面(突起物の長さ方向中心点での断面)の円換算径は小さいほど好ましいが、上述した方法では断面の円換算径が0.01μm未満の突起物を得ることは困難である。突起物の断面の円換算径が100μmを超えると、電子放出源の効果に乏しく好ましくない。
前記電子放出源を構成する突起物11の断面の円換算径の好ましい範囲は0.01μm以上100μm以下であり、より好ましい範囲は0.01μm以上10μm以下であり、さらに好ましい範囲は0.1μm以上3μm以下である。
なお、円換算径とは、例えば画像解析を利用した従来公知の方法で測定された突起物の1/2の長さにおける断面積を、円周率πで除した値の平方根を2倍した値である。
突起物の円換算径、長さは以下の方法による走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって求める。まず、該金属酸化物の試料を、その上側表面の中心部を通りかつ突起物の長手方向と平行に延びる平面に沿って切断して断面を得る。得られた1つの断面について、上記の中心部を起点にして、突起物の長手方向に直角な方向に左右それぞれ100μmずつの範囲をSEMで観察し、その範囲内で断面側から観察可能な突起物のうち、断面側から突起物のそれぞれの側面全体が他の突起物によって視界がさえぎられずに観察が可能な突起物について、和平均円換算径と和平均長さを求める。この場合、複数の突起物の円換算径や長さは均一であってもまちまちであってもいずれであっても差し支えない。
前記電子放出源である、前記突起物を有する金属酸化物において、突起物11の長さは0.1μm以上10000μm以下であることが好ましい。突起物の長さが0.1μm以下であると電子放出源としての効果に乏しく好ましくない。さらに、10000μmを超えると突起物の機械的強度が低下し、好ましくない。突起物の長さのより好ましい範囲は0.5μm以上1000μm以下であり、さらに好ましい範囲は1μm以上500μm以下である。
突起物が複数存在する場合、突起物の円換算径、長さは和平均値で算出される。
前記電子放出源である、前記突起物を有する金属酸化物において、突起物11の配置密度は大きいほど好ましいが、上述した方法によって、基板面100μm2 あたりの配置密度が10000本を超える突起物を得ることは困難である。基板面100μm2 あたりの突起物の配置密度が0.01本未満であると、電子放出源の効果に乏しく好ましくない。基板面100μm2 あたりの突起物の配置密度の好ましい範囲は0.01本以上10000本以下であり、より好ましい範囲は0.01本以上1000本以下であり、さらに好ましい範囲は1本以上500本以下である。
前記電子放出源を構成する突起物11の中心軸は相互に平行であることが好ましい。前記電子放出源、すなわち金属酸化物の薄膜(不図示)上に同じ種類の金属酸化物からなる突起物11を有するものは単結晶であることが好ましい。前記突起物11が金属酸化物結晶である場合は、該突起物は相互に平行に、かつ突起物が成長している結晶軸と同一方向に成長していることが好ましい。
突起物を有する金属酸化物において、突起物の中心軸が相互に平行であることは、SEM、X線ロッキング曲線法、φ−スキャン法等通常公知の方法によって確認することができる。
本実施形態中の電子放出源11を構成する突起物を有する金属酸化物を構成する金属種はいずれであっても差し支えない。好ましくはZn及びAlのいずれかからなる金属を少なくとも含むものである。
突起物を有する金属酸化物の突起物は導電性を有することが好ましい。また、本発明中の突起物を有する金属酸化物に導電性があってもなくても、少なくとも該突起物の表面が導電性物質で被覆されているものもまた好ましい。
さらに、本実施形態中の電子放出源11を構成する突起物を有する金属酸化物の突起物の少なくとも先端部がN−H終端を含有するアモルファス、微結晶窒化炭素物、アモルファス乃至は微結晶炭素、電子放出源を形成する金属酸化物とは異なった種類の金属酸化物の少なくとも1種からなる絶縁物層により被覆されているものもまた好ましい。
電子放出源を導電性膜に接合する方法は、ワイヤーボンディング、銀ペーストによる接着、スポット溶接等、通常公知のいずれの方法であってもよいが、好ましくは電子放出源を導電性膜に直接形成する方法である。また、電子放出源と導電性膜の間に1種類以上の導電性物を介しても差し支えない。
例えば、電子放出源として、シングルウォールカーボンナノチューブ型電極、マルチウォールカーボンナノチューブ型電極を使用する場合、スクリーン印刷法、吹き付け塗装法、気相成長法等の方法が挙げられる。
また、電子放出源として突起物を有する金属酸化物を使用する場合、上述した方法、すなわち、所定圧力の空気が存在する空間に導電性膜を有する基材を加熱した状態で設置し、導電性膜を有する基材に空気中の酸素または水等の大気中に含まれる化合物と反応して酸化物を形成する金属化合物の気体及び/または微粒子を向かわせて導電性膜を有する基材上に突起物を有する金属酸化物を形成する方法が好ましく用いられる。
なお、導電性膜の所定の位置に選択的に電子放出源を形成する必要がある場合には、通常公知のマスキング方法を用いることができる。
本実施形態中のゲート電極4とは、固有抵抗率が100kΩ/cm以下で、少なくとも1箇所の導電体で囲まれた開口平面を持つものであればいずれであっても差し支えない。また、ゲート電極4は、少なくとも一部の表面が絶縁膜で被覆されていても差し支えない。
本実施形態中のゲート電極4としての、少なくとも1箇所の導電体で囲まれた開口平面を持つ導電体の具体例としては、金属板のような板状導電体に少なくとも1箇所の穴を開けたもの、金属線のような線状導電体が網目状または織物状に接合または組み合わせられることで少なくとも1箇所の開口平面を持つもの、金属線のような線状導電体が少なくとも1箇所略円状、円状、略多角形状、多角形状につながることで少なくとも1箇所の開口平面を持つもの等が挙げられる。
ゲート電極4は、導電性膜D2と電気的に絶縁された状態で接合、または封止材等の第三の物質(絶縁性区画部材6)を介して導電性膜D2と電気的に絶縁されている。
ゲート電極4と導電性膜D2または封止材(絶縁性区画部材6)を接合する方法は、フリットガラスまたはトールシール等による接着、固定金属ピンとのカシメやスポット溶接等通常公知のいずれの方法であってもよいが、好ましくはフリットガラスによる接着である。
また、ゲート電極4は、光触媒装置の形状、用途によっては省略される場合がある。
本発明記載の電子放出源及び/または発光体を形成する好ましい一例である突起物を有する金属酸化物を用いる場合、突起物が倒れたり折れたりすることを防止するために、隣り合う突起物同士の隙間を、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、及びシアノアクリレートのような瞬間接着剤等の有機物質、ガラスやセラミックス等の無機物質、金属等で埋めても差し支えない。
本実施形態に係わる光触媒装置として、電子放出源と発光体の間にさらに1個以上の電極を有していても差し支えない。具体的には、前記ゲート電極4でもよいし、収束電極やシールド電極のように、発光装置で通常用いられる装置であればいずれであっても差し支えない。また、これらを組み合わせた複数の電極であっても差し支えない。
上述したように、本実施形態によれば、発光装置部分は従来の発光装置と比較してよりエネルギー効率が高く、かつより発光輝度の高い発光装置が得られ、さらに光触媒活性の高い光触媒が得られる。その結果として、エネルギー効率、光触媒活性の高い光触媒装置が得られる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
図1に示す光触媒装置を作製した。
まず、図3に示すように、縦40mm×横40mm×厚さ100μmのステンレス板を2枚用意した。ステンレス板には縦軸及び横軸の端部から各々3mm隔てて開口部の端部が存在し、開口部は横軸方向に5個存在している。開口部の大きさは、縦軸に平行な方向の長さが34mm、横軸に平行な方向の長さが6mmであり、開口部相互は2mmの間隔で配置している。
図4に示すような製造装置を用い、図3に示すステンレス板を絶縁膜で被覆した板状物を製造し、絶縁性区画部材Zとする。
具体的には、吹き出し口58および基板ステージ56を常温の実験室内に配置し、吹き出し口58と基板ステージ56との間の空間を大気圧とする。ステンレス板は、開口部を持つ面を上に向けて基板ステージ56に設置する。ステンレス板を基板ステージ56で600℃に加熱するとともに、加熱槽53内にアルミニウムアセチルアセトネートを入れて130℃に加熱する。
この状態で、供給源51から配管54に窒素を1.2dm3 /分で供給することにより、金属化合物の気体と窒素ガスとの混合気体を、配管55を介して吹き出し口58からステンレス板の間に吹きつける。なお、配管55および吹き出し口58はリボンヒーターで130℃に加熱されている。
これにより、原材料である金属化合物は、ステンレス板面上およびその近傍で、空気中の酸素または水と反応して金属酸化物となり、この金属酸化物が絶縁膜としてステンレス板面上を厚みが3μmになるように被覆する。
この状態では、ステンレス板が基板ステージ56に接している面は絶縁膜が被覆されないので、片面が絶縁されたステンレス板を裏返して先の操作を再度繰り返し、ステンレス板の全面を絶縁膜で被覆する。これを区画部材Zとする。
縦40mm×横40mm×厚さ100μmの大きさの透明導電層(透明導電性膜D1)が形成されたガラス基板(透明基板G1)の透明導電層D1が被覆されていない側の面に、図4に示すような製造装置を用い、光触媒Cを形成する。また、ガラス基板G1は石英ガラスからなる。
加熱槽53内にTi(O−isoC374 を仕込み、120℃に加熱する。透明電極層D1が形成されたガラス基板G1を透明電極層D1が形成された面を下にして350℃に加熱する。
この状態で、供給源51から配管54に窒素を2.0dm3 /分で供給することにより、金属化合物の気体と窒素ガスとの混合気体を、配管55を介して吹き出し口58から透明電極層D1が形成されたガラス基板G1の間に30秒間吹きつけて光触媒Cを形成する。なお、配管55および吹き出し口58はリボンヒーターで130℃に加熱されている。
こうして形成された光触媒Cつきの透明電極層D1が形成されたガラス基板G1を裏返し、さらに図4に示すような製造装置を用い、透明電極層D1上に発光体H1〜H4(すなわち、金属酸化物の薄膜(数nm〜数十nm)上に同じ種類の金属酸化物からなる突起物を有する金属酸化物)を形成する。
ここではH1として酸化亜鉛、H2としてY23 :Eu、H3としてY23 :Tb、H4としてY23 :Tmを利用する。
ガラス基板G1の透明導電層D1が形成された側に図3に示すステンレス板を置き、550℃に加熱する。さらに中央の3個の開口部をステンレス板でマスクする。
加熱槽53内に亜鉛アセチルアセトネートを仕込み、115℃に加熱する。
この状態で、供給源51から配管54に窒素を1.2dm3 /分で供給することにより、金属化合物の気体と窒素ガスとの混合気体を、配管55を介して吹き出し口58からガラス基板G1の透明導電層D1上に50分間吹きつけて発光体H1を形成する。なお、配管55および吹き出し口58はリボンヒーターで130℃に加熱されている。
内部に発光体が形成されていない開口部の一つを残して他の部分をステンレス板でマスクした状態で、H2〜H4の発光体を順次形成する。具体的には、H2としてY23 :Euを形成する場合には、加熱槽53内にY(C111923 (C11192 =dipivaloylmethanato、以下DPMと記載)とEu(DPM)3 を2/1の重量比で仕込み、220℃に加熱する。
この状態で、供給源51から配管54に窒素を1.2dm3 /分で供給することにより、金属化合物の気体と窒素ガスとの混合気体を、配管55を介して吹き出し口58からガラス基板G1の透明導電層D1上に50分間吹きつけて発光体H2を形成する。なお、配管55および吹き出し口58はリボンヒーターで230℃に、ガラス基板G1は650℃に加熱されている。
H3としてY23 :Tbを形成する場合、加熱槽53内にY(DPM)3 とTb(DPM)3 を2/1の重量比で仕込み、H4としてY23 :Tmを形成する場合、加熱槽53内にY(DPM)3 とTm(DPM)3 を2/1の重量比で仕込む以外はH2と同じ条件でH3、H4を形成する。
マスクを外した後、区画部材Zの開口部が発光体H1〜H4の場所に相当するように区画部材Zを配置し、絶縁性の封止材(図示しない)を用いて固定する。
こうして、透明電極層D1が形成されたガラス基板G1上に光触媒C、発光体H1〜H4が形成されたものを陽極として使用する。
図1に示す例では、基板G2上の導電性膜D2が形成された面上に、スクリーン印刷法、吹き付け塗布法、気相成長法等の方法により電子放出源10としてカーボンナノチューブを形成し、陰極として使用する。
ゲート電極4は、縦30.25mm×横40.25mm、厚さ100μmのステンレス板を使用する。ステンレス板には短軸及び長軸の端部から各々5mm隔てて開口部の端部が存在し、開口部は短軸方向に34個、長軸方向に68個、合計2312個存在している。開口部の大きさは、短軸に平行な方向の長さが200μm、長軸に平行な方向の長さが730μmであり、開口部相互は、短軸に平行な方向に70μm、長軸に平行な方向に75μmの間隔で配置している。
厚さ150μmのガラス板をスペーサー(区画部材6)として使用し、陰極とゲート電極をスペーサー6を介して絶縁性の封止材(図示しない)を用いて固定する。
次に、陽極を発光体H1〜H4がゲート電極及び電子放出源10に向き合うようにして、ゲート電極と発光体H1〜H4との間に所定の間隔を開けて平行に配置する。その状態で側面部全体を枠部材(封止部材J)で囲い、内部を真空にして密封する。このとき、陰極、陽極、ゲート電極は外部と電気的に導通できるようにする。また、光触媒Cは、少なくとも一部が密封されていない面に露出するようにする。
この光触媒装置の電源B1から陰極D2とゲート電極4との間に、また、B2から陰極D2と陽極D1との間にそれぞれ高電圧を印加することにより、電子放出源10の先端に強い電界が生じて電子放出源10の先端から電子が放出され、その電子が加速されて発光体H1〜H4に衝突することにより発光体H1〜H4が発光する。発光体H1はピーク波長を390nmに、発光体H2はピーク波長を612nmに、発光体H3はピーク波長482nmと542nmに、発光体H4はピーク波長450nmに持つ光を発光する。
その結果、ガラス基板G1から光が放射され、この光により光触媒Cが励起され、光触媒反応が生じる。
[実施例2]
図2に示す光触媒装置を作製した。
基板G2上の導電性膜D2が形成された面上全体に、図4に示すような製造装置を用い、実施例1で発光体H1を形成したのと同じ条件で酸化亜鉛殻なる金属酸化物(すなわち、金属酸化物の薄膜(数nm〜数十nm)上に同じ種類の金属酸化物からなる突起物を有する金属酸化物)を形成する。
次に、加熱槽53内にマグネシウムアセチルアセトネートを入れて230℃に加熱する。さらに、導電性膜D2上に酸化亜鉛ウイスカーが堆積した基板G2を基板ステージ56で600℃に加熱した状態で、供給源51から配管54に窒素を1.2dm3 /分で供給することにより、金属化合物の気体と窒素ガスとの混合気体を、配管55を介して吹き出し口58から基板11の間に10分間吹き付ける。これを電子放出源11として、陰極に使用する以外は実施例1と同じ方法で光触媒装置を製造する。
この光触媒装置の電源B1から陰極D2とゲート電極4との間に、また、B2から陰極D2と陽極D1との間にそれぞれ高電圧を印加することにより、電子放出源11の先端に強い電界が生じて電子放出源11の先端から電子が放出され、その電子が加速されて発光体H1〜H4に衝突することにより発光体H1〜H4が発光する。発光体H1はピーク波長を390nmに、発光体H2はピーク波長を612nmに、発光体H3はピーク波長482nmと542nmに、発光体H4はピーク波長450nmに持つ光を発光する。
その結果、ガラス基板G1から光が放射され、この光により光触媒Cが励起され、光触媒反応が生じる。
[実施例3]
図5に示す光触媒装置を作製した。
封止部材Jとしては、透明ガラス棒を枠状に加工したものを使用した。そして、透明ガラス棒の少なくとも一部が密封されていない面に露出するように光触媒Cを形成し、それ以外は図2に示す光触媒装置と同様な光触媒装置とした。
本発明によりエネルギー効率の高い光触媒装置が得られる。また、本発明により、照明と光触媒装置の双方の効果を有する装置が得られる。本発明中の光触媒装置は、殺菌、防汚、消臭、化学反応等従来公知の発光装置が利用される分野いずれにも使用できる。また、本発明中の照明と光触媒装置の双方の効果を有する装置は、通常の照明機能に加えて光触媒機能を有しているので、殺菌灯のような環境照明として使用することもできる。
本発明中の一実施形態に相当する光触媒装置を示す概略構成図である。 本発明中の一実施形態に相当する光触媒装置を示す概略構成図である。 絶縁性区画部材を構成するステンレス板の一例を示す概略構成図である。 突起物を有する金属酸化物を製造するための製造装置を示す概略構成図である。 本発明中の一実施形態に相当する光触媒装置を示す概略構成図である。
符号の説明
B1、B2 電源
C 光触媒
D1 透明導電性膜
D2 導電性膜
G1 透明基板(石英ガラス基板)
G2 基板
H1 発光体(突起物を有する金属酸化物)
H2 発光体(突起物を有する金属酸化物)
H3 発光体(突起物を有する金属酸化物)
H4 発光体(突起物を有する金属酸化物)
J 封止部材
Z 区画部材
4 ゲート電極
6 絶縁性区画部材(スペーサー)
10 電子放出源(カーボンナノチューブ)
11 電子放出源(酸化マグネシウム被覆酸化亜鉛からなる突起物を有する金属酸化 物)
41 ゲート電極開口部
51 供給源
52 流量計
53 加熱槽
54 配管
55 配管
56 基板ステージ
57 液体トラップ
58 吹き出し口
58a 開口部

Claims (19)

  1. 電界を与えることで電子を放出する電子放出源を形成した第1の基板と、前記電子放出源と対向する発光体を形成した第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間を密閉する封止部材とを有し、前記発光体からの発光を受光できる位置に光触媒を有することを特徴とする光触媒装置。
  2. 前記第2の基板及び/または前記第1の基板及び/または封止部材が透明乃至半透明部材からなることを特徴とする請求項1に記載の光触媒装置。
  3. 前記光触媒が前記第2の基板及び/または前記第1の基板及び/または封止部材の少なくとも外側面の一部に存在することを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の光触媒装置。
  4. 前記発光体を形成した第2の基板が透明乃至半透明であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒装置。
  5. 前記光触媒が金属酸化物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒装置。
  6. 前記光触媒が基板表面に、結晶配向膜が結晶表面と垂直方向に(001)、(100)、(211)、(101)及び(110)からなる結晶面のいずれかから選択された方向に配向されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光触媒装置。
  7. 励起子束縛エネルギーが25meV以上の物質を前記発光体として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光触媒装置。
  8. 前記発光体が金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光触媒装置。
  9. 前記発光体がピーク波長410nm以下の光を発光することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光触媒装置。
  10. 前記発光体がピーク波長410nm以下の光を発光するものとピーク波長410〜830nmの光を発光するものとからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光触媒装置。
  11. 前記光触媒及び/または発光体が、Ti、Zn、Sr、Zr、Nb、Snの少なくともいずれか1種の金属を含む酸化物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光触媒装置。
  12. 前記光触媒及び/または発光体が平板状金属酸化物及び/または突起物を有する金属酸化物からなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の光触媒装置。
  13. 前記電子放出源は、断面の円換算径0.01〜100μm、かつ長さ0.1μm以上の突起物を有する金属酸化物であり、前記発光体は、断面の円換算径0.01〜100μm、かつ突起物の断面の円換算径に対する長さの比が1以上の突起物を有する金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の光触媒装置。
  14. 前記電子放出源を形成する金属酸化物は、少なくともZn及びAlのいずれかからなる金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の光触媒装置。
  15. 前記電子放出源を形成する突起物を有する金属酸化物が導電性を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の光触媒装置。
  16. 前記電子放出源及び/または発光体を形成する前記突起物を有する金属酸化物が金属酸化物単結晶であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の光触媒装置。
  17. 前記電子放出源及び/または発光体を形成する金属酸化物の突起物を構成する金属酸化物結晶が相互に平行に、かつ突起物が成長している結晶軸と同一方向に成長していることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の光触媒装置。
  18. 前記電子放出源及び/または発光体を形成する金属酸化物における突起物が、突起物を構成する金属酸化物面上の10μm×10μmの面積あたり0.01〜10000個の密度で存在することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の光触媒装置。
  19. 前記電子放出源、前記発光体を形成する金属酸化物、前記電子放出源を形成する金属酸化物における突起物の表面を被覆する金属酸化物の中から選ばれる少なくとも一つは、空気中の酸素または水と反応して酸化物を形成する金属化合物を原材料として用い、所定圧力の空気が存在する空間に設置された基板の面に、この金属化合物の気体及び/または微粒子を向かわせて、金属酸化物を基板面上に成長させることによって得られたものであることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の光触媒装置。
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